JP2000136824A - 静圧空気軸受直線案内装置 - Google Patents

静圧空気軸受直線案内装置

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JP2000136824A
JP2000136824A JP10311658A JP31165898A JP2000136824A JP 2000136824 A JP2000136824 A JP 2000136824A JP 10311658 A JP10311658 A JP 10311658A JP 31165898 A JP31165898 A JP 31165898A JP 2000136824 A JP2000136824 A JP 2000136824A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな温度変化が生じてもバイメタル現象が
起こることを低減し、安定した真直度精度を保つことが
可能な静圧気体軸受直線案内装置を提供する。 【解決手段】 基台1上を案内方向に移動可能な可動体
としてのテーブル3と、テーブル3を気体によって支持
・案内する空気軸受部6、7、8と、空気軸受部6、
7、8に対して吸引力を与える吸引力付与部10と、を
備え、基台1はセラミックスまたは石からなり、吸引力
付与部10は吸引レール部10aを備え、吸引レール部
10aの熱膨張係数は、基台1の熱膨張係数とほぼ同じ
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、高精度な加工装置
及び測定装置、半導体製造や検査装置などにおいて、試
料、工具、検出器などを高い位置決め精度をもって移動
させることが可能な静圧気体軸受直線案内装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の静圧気体軸受直線案内装置には、
案内方向に延びるガイドレールと、このガイドレールの
上側に跨がるように配置され且つ前記案内方向に移動可
能な可動体と、この可動体を気体によって支持・案内す
る空気軸受部と、可動体を基台に対して吸引する吸引力
付与部と、を備えて構成されたものがある。
【0003】このような静圧気体軸受直線案内装置とし
ては、例えば、図3に示すように、上面に水平な基準面
50aを備えて案内方向に延びる基台50を有してい
る。この基台50は、一般的にセラミックスや石などに
よって構成されている。基台50の上面の幅方向(案内
方向に直交する水平方向)中心から若干偏位した位置に
は、ガイドレール51が突設されている。このガイドレ
ール51は、基準面50aに沿って案内方向に延びてい
る。この基台50の基準面50aの上方に、所定間隔を
あけて可動体であるテーブル55の下面が、基準面50
aに対して平行に対向配置されている。
【0004】テーブル55の下面には、ガイドレール5
1を両側から挟むように、ガイドレール51の各側面に
所定間隔をあけて対向する対向面を持った対向部56及
び57がそれぞれ形成されている。この対向部56及び
57のガイドレール51の側面に対向する面には、水平
方向を支持する水平方向空気軸受部53がそれぞれ配置
されている。また、対向部56の下面には、上下方向を
支持する上下方向空気軸受部54が配置されている。ま
た、テーブル55の下面であって、対向部56と幅方向
で対象な位置には、対向部58が形成されている。この
対向部58の下面には、前記と同様に上下方向を支持す
る上下方向空気軸受部54が配置されている。これらの
対向部56〜58は、案内方向に所定間隔をあけて複数
個設けられている。
【0005】さらに、上下方向空気軸受部54の幅方向
外側には、吸引力発生部59が各々設けられている。こ
の吸引力発生部59は、基台50の基準面50aに設け
られてガイドレール51と平行に延びる、例えば強磁性
体からなる吸引レール59aと、テーブル55の下面に
支持されて吸引レール59aの上面と所定間隔をあけて
対向した磁石59bと、から構成されている。この吸引
力発生部59は、その吸引力を大きくするために、吸引
レール59aを透磁率の高い、例えば純鉄や鉄系の磁性
材料で形成している。
【0006】なお、符号60は、テーブル55の移動を
行う公知の駆動装置である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の静圧気体軸受直線案内装置は、基台がセラミックス
や石などから構成され、吸引レールが純鉄や鉄系の磁性
材料で構成されているため、両者の熱膨張係数が異なる
ことになる。ここで、純鉄の熱膨張係数は、9〜10×
10-6/℃であり、セラミックス(アルミナ)の熱膨張
係数は、4〜8×10-6/℃、石の熱膨張係数は、6〜
9×10-6/℃である。このため、使用時の温度変化に
よって、熱膨張係数の違う材料間で寸法にずれが生じ
る、いわゆる「バイメタル現象」が起こり、真直度精度
が悪化する虞がある。
【0008】さらに、静圧気体軸受直線案内装置の保管
温度や輸送時の温度が大きく変化した場合(例えば、夏
季30℃以上、冬季10℃以下など)は、使用の際に常
温に戻っても、ボルトの結合部などが位置ずれを起こし
て元の精度に戻らないという虞もある。
【0009】本発明は、このような従来の問題点を解決
することを課題とするものであり、大きな温度変化が生
じてもバイメタル現象が起こることを低減し、安定した
真直度精度を保つことが可能な静圧気体軸受直線案内装
置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、基台上を案内方向に移動可能な可動体
と、当該可動体を気体によって支持・案内する空気軸受
部と、当該可動体を当該基台に対して吸引する吸引力付
与部と、を備えた静圧気体軸受直線案内装置であって、
前記基台はセラミックスまたは石から構成され、前記吸
引力付与部は前記基台に固定される吸引レール部を備
え、当該吸引レール部の熱膨張係数は、前記基台の熱膨
張係数とほぼ同じである静圧気体軸受直線案内装置を提
供するものである。
【0011】この構成を備えた静圧気体軸受直線案内装
置は、基台と吸引レールの熱膨張係数がほぼ同じである
ため、大きな温度変化が生じても、両者の間に寸法変化
が生じることがなく、いわゆる「バイメタル現象」が起
こることを低減することができる。このため、安定した
真直度精度を保つことができる。
【0012】また、基台をセラミックスまたは石から構
成したため、錆びることがなく、さらに、金属より熱膨
張係数が小さいため、変形することが少なく、寸法精度
が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態に係る
静圧気体軸受直線案内装置について図面を参照して説明
する。
【0014】図1は、本実施の形態に係る静圧気体軸受
直線案内装置の正面図、図2は、図1のII−II線に沿っ
た断面図である。
【0015】図1及び図2に示すように、本実施の形態
に係る静圧気体軸受直線案内装置は、上面に水平な基準
面1aを備え且つ案内方向に延びる基台1と、基台1の
上面に案内方向に沿って設けられたガイド部材2と、ガ
イド部材2に案内されて移動する可動体の構成要素であ
るテーブル3と、テーブル3を支持・案内する空気軸受
部6、7及び8と、空気軸受部6、7及び8に対して吸
引力を与える吸引力付与部10と、を備えて構成されて
いる。
【0016】基台1は、アルミナセラミックスから構成
されており、その熱膨張係数は、4.7×10-6/℃で
ある。基台1の基準面1aの幅方向(案内方向に直交す
る水平方向)の中央部から一方の端部(図1では左側)
に若干偏位した位置には、ガイド部材2が設けられてい
る。また、基台1の幅方向両側には、後に詳述する吸引
力付与部10の吸引レール10aが固定され、案内方向
に沿って延びている。
【0017】ガイド部材2は、断面長方形を備えたレー
ル部材からなり、基準面1aの案内方向に沿って配置さ
れている。このガイド部材2は、底面(基準面1a側)
と、左右側面の計3面が真直、平面で、平行、直角精度
が良好に設定されており、基台1と同様に、アルミナセ
ラミックスから構成されている。また、このガイド部材
2は、幅が狭く構成されているため、ナローガイド状態
となる。このため、水平方向空気軸受6a及び7aの距
離が狭くなり、モーメント剛性の強いものとなる。
【0018】テーブル3は、基台1の基準面1aの上方
に所定間隔をあけた状態で配置されている。テーブル3
の下面には、ガイド部材2と所定の間隔をあけて且つガ
イド部材2を両側から挟むように、一対の空気軸受部6
及び7が対向配置されている。この空気軸受部6及び7
は、図2に示すように、案内方向に互いに間隔をあけて
各々2個所設置されている。この空気軸受部6及び7
の、ガイド部材2の側面に対向する面には、水平方向を
支持する水平方向空気軸受6a及び7aがそれぞれ配置
されている。
【0019】水平方向空気軸受6a及び7aは、ガイド
部材2に対向する面に、ガイド部材2に水平に空気を吹
き出す空気穴が形成されている。この空気穴からガイド
部材2に対し空気を吹き出すことで、テーブル3は、ガ
イド部材2に対し水平方向に支持される。このように、
水平方向空気軸受6及び7は、ガイド部材2を挟み込む
ようにガイド部材2の両側に対向して配置されているた
め、ガイド部材2に対して偏った力がかからない。この
ため、ガイド部材2の変形を低減することができる。
【0020】また、空気軸受部6の下面には、上下方向
を支持する上下方向空気軸受6bが配置されている。
【0021】また、テーブル3の下面であって、2つの
空気軸受部6と幅方向で対象な位置には、空気軸受部8
が形成されている。この空気軸受部8の下面には、前記
と同様に上下方向を支持する上下方向空気軸受8bが各
々配置されている。
【0022】各上下方向空気軸受6b及び8bには、そ
の下面に基準面1aに向けて空気を吹き出す空気穴が形
成されている。この空気穴から基準面1aに空気を吹き
出すことで、テーブル3は、基準面1a対して上下方向
に支持される。また、空気穴から吹き出される空気の圧
力は、各上下方向空気軸受6b及び8bに対しそれぞれ
独立に設定することができるようになっている。このた
め、例えばテーブル3の変形によって、上下方向空気軸
受6b及び8bと、基準面1aとの間の隙間が変化して
も、前記空気の給気圧力を調整することで微調整ができ
るようになっている。なお、水平方向空気軸受6a及び
7a、上下方向空気軸受6b及び8bの各空気軸受に、
空気を供給する装置、及び経路は図示しないが、任意に
設定されている。
【0023】さらに、テーブル3の幅方向最端部(空気
軸受部6及び8の幅方向外側)には、吸引力付与部10
の構成要素である永久磁石10bがスペーサ10cを介
して吸引レール10aと所定の間隔をあけて各々設けら
れている。なお、この永久磁石10b及びスペーサ10
cは、吸引レール10aと共に吸引力付与部10を構成
する。このスペーサ10cは、吸引レール10aと永久
磁石10bとの間隙の調整、つまり永久磁石10bの高
さ位置を調整し易くするために設けられている。この吸
引力付与部10により、テーブル3は基台1に対して吸
引される。
【0024】なお、吸引力付与部10を空気軸受部6及
び8(上下方向空気軸受6b及び8b)に隣接したこと
で、テーブル3の吸引と浮上のせん断応力が、テーブル
3に作用しないようにしている。
【0025】また、吸引レール10aは、基台1と同様
の熱膨張係数を備えた低熱膨張材料、例えば、低熱膨張
鋳物(熱膨張係数:4〜5×10-6/℃)を用いて構成
した。このため、温度変化によって、熱膨張係数の違う
材料間で寸法にずれが生じる、いわゆる「バイメタル現
象」が起こることがなく、安定した真直度精度を得るこ
とができる。
【0026】なお、この静圧気体軸受直線案内装置に
は、特に図示しないが、テーブル3の移動を行う公知の
駆動装置が設けられている。
【0027】この静圧気体軸受直線案内装置が作動する
際は、上下方向空気軸受6b及び8bの空気穴から空気
を基準面1aに向けて吹き出し、これによってテーブル
3は、基準面1aに対して上下方向に浮上支持されて水
平となる。また、水平方向空気軸受6a及び7bの空気
穴から空気をガイド部材2に向けて吹き出し、これによ
ってテーブル3は、幅方向の位置決めがなされている。
そして、テーブル3は、駆動装置11によって駆動され
て、案内方向に移動される。この時、吸引力付与部10
と、上下方向空気軸受部6b及び8bとが、近接して設
けられているため、吸引力付与部10による吸引力と、
上下方向空気軸受部6b及び8bによる浮上力によるせ
ん断応力が、ほとんどテーブル3に作用せず、吸引力と
浮上力とが釣り合った状態でテーブル3の良好な移動が
行える。
【0028】この移動に際して、テーブル3は、その上
下方向の支持が各々の上下方向空気軸受6b及び8bに
よって独立して制御されるため、基準面1aに対して常
に水平方向に安定して維持される。また、このテーブル
3は、水平方向空気軸受6a及び7aによって、ガイド
部材2に対して偏った力がかからないため、スムーズな
移動が行われる。
【0029】なお、本実施の形態では、基台1を熱膨張
係数が、4.7×10-6/℃であるアルミナセラミック
スで構成した場合いついて説明したが、これに限らず、
基台1は、石や他のセラミックスから構成することがで
きる。この場合、例えば、熱膨張係数が6〜9×10-6
/℃程度の石を使用できる。また、セラミックスとして
は、例えば、アルミナ(Al23)セラミックス(熱膨
張係数:4〜8×10-6/℃)、ムライト(3Al23
・2SiO2)セラミックス(熱膨張係数:5×10-6
/℃)、窒化珪素(Si34)セラミックス(熱膨張係
数:3〜4×10-6/℃)等が挙げられる。
【0030】この場合には、吸引レール10aも、吸引
レール10aとしての機能を損なわず、且つ基台1の構
成材料の熱膨張係数とほぼ同じ熱膨張係数を備えた材料
から構成することが必要である。
【0031】また、本実施の形態では、磁気吸引力を与
える手段として、永久磁石を使用した場合について説明
したが、これに限らず、電磁石や真空吸引などその他の
非接触手段を使用することもできる。
【0032】さらにまた、本実施の形態では、一対の水
平方向空気軸受を2個(合計4個)所配置した場合につ
いて説明したが、これに限らず、一対の水平方向空気軸
受の設置数及び設置箇所は、テーブルのサイズや、スト
ロークの長さなどに応じて任意に決定することができ
る。
【0033】そしてまた、本実施の形態では、上下方向
空気軸受をテーブルの幅方向両側に各々2個づつ、合計
4個設置した場合について説明したが、これに限らず、
上下方向空気軸受の設置数及び設置箇所は、テーブルの
サイズや、ストロークの長さなどに応じて任意に決定す
ることができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静圧
気体軸受直線案内装置は、基台と吸引レールの熱膨張係
数がほぼ同じであるため、大きな温度変化が生じても、
両者の間に寸法変化が生じることがなく、バイメタル現
象が起こることを低減することができる。この結果、安
定した真直度精度を維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施の形態に係る静圧気体軸受直線
案内装置の正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】従来の静圧気体軸受直線案内装置の正面図であ
る。
【符号の説明】
1 基台 1a 基準面 2 ガイド部材 3 テーブル 6、7、8 空気軸受部 6a、7a 水平方向空気軸受 6b、8b 上下方向空気軸受 10 吸引力付与部 10a 吸引レール 10b 永久磁石 10c スペーサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基台上を案内方向に移動可能な可動体
    と、当該可動体を気体によって支持・案内する空気軸受
    部と、当該可動体を当該基台に対して吸引する吸引力付
    与部と、を備えた静圧気体軸受直線案内装置であって、 前記基台はセラミックスまたは石から構成され、前記吸
    引力付与部は前記基台に固定される吸引レール部を備
    え、当該吸引レール部の熱膨張係数は、前記基台の熱膨
    張係数とほぼ同じである静圧気体軸受直線案内装置。
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