JP2000136155A - フェニルデカヒドロナフタレン誘導体 - Google Patents

フェニルデカヒドロナフタレン誘導体

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JP2000136155A
JP2000136155A JP11179016A JP17901699A JP2000136155A JP 2000136155 A JP2000136155 A JP 2000136155A JP 11179016 A JP11179016 A JP 11179016A JP 17901699 A JP17901699 A JP 17901699A JP 2000136155 A JP2000136155 A JP 2000136155A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対応する2環性のシクロヘキサン誘導体と比
較してネマチック液晶性に優れ、3環性のシクロヘキサ
ン誘導体よりも応答性、相溶性に優れたフッ素系のフェ
ニルデカヒドロナフタレン誘導体である液晶性化合物、
さらにこれを用いて、広いネマチック相温度範囲と低電
圧駆動性を有する液晶組成物、さらにアクティブマトリ
ックス駆動用としても使用可能な液晶組成物を提供す
る。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (R:1個以上のF原子またはC数1〜7のアルコキシ
ルに置換されていてもよいC数1〜18のアルキル、X
a、XbおよびXc:H原子、F原子、Z:H原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基等、但しRがアルキル基且つZが置
換されていないアルキル基またはアルコキシル基あるい
はシアノ基のときはXa、XbおよびXcのうち少なくと
も1個はF原子。)のフェニルデカヒドロナフタレン誘
導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規液晶性化合物で
ある、デカヒドロナフタレン誘導体とそれを含有する液
晶組成物に関するものである。これらは電気光学的液晶
表示用、特に温度範囲が広いネマチック液晶材料として
有用である。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッ
サー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ
等に用いられるようになっている。液晶表示方式として
は、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、S
TN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、
GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液
晶)等があり、また駆動方式としても従来のスタティッ
ク駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さら
に単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリッ
クス方式が実用化されている。
【0003】これらの表示方式や駆動方式に応じて、液
晶材料としても種々の特性が要求されている。中でも温
度範囲が広いことはほとんどの場合に共通して非常に重
要であるが、これにはネマチック相上限温度(TN-I
が充分高いことと、融点(TC -N)あるいはスメクチッ
ク−ネマチック転移温度(TS-N)が充分低いことを含
んでいる。
【0004】また、他の液晶化合物や汎用液晶組成物に
対する相溶性も重要である。この相溶性が不良の場合に
は、析出や相分離の危険を避けるために非常に多数の液
晶化合物を混合させる必要が生じ、組成物の調製には非
常な手間がかかり、高コスト化が避けられなかった。
【0005】また、駆動電圧が充分低いことも多くの場
合に共通して重要な特性であり、そのためには閾値電圧
(Vth)が低い必要がある。
【0006】また、応答が高速であることも同様に重要
な特性であり、そのために液晶の粘性はできるだけ小さ
いことが要求されている。
【0007】また、屈折率異方性(Δn)も重要な特性
であり、その表示方法に応じてさまざまな値が要求され
るが、製造の容易なセル厚の大きい液晶素子の場合には
小さい値が要求されることが多い。
【0008】ところで、一般に液晶表示素子の閾値電圧
はその自乗が、誘電率異方性(Δε)に逆比例し、弾性
定数に比例することが知られている。従って、誘電率異
方性が大きいいわゆるp型であって、かつその弾性定数
が比較的小さく、粘性が比較的小さい液晶化合物が上記
要求を満足させるために有効であり、その目的でこれま
でにも種々設計あるいは合成されてきている。
【0009】液晶化合物は通常コアと呼ばれる中心骨格
部分と両側の側鎖部分から構成されている。通常、側鎖
部分の少なくとも一方は鎖状基であることが多いが、誘
電率異方性が正のいわゆるp型液晶の場合には、他方の
側鎖部分は極性基である。
【0010】液晶化合物に用いられる極性基としては、
シアノ基が代表的である。このシアノ基を有する液晶化
合物は他の極性基を有する液晶化合物と比較して、やや
粘性が大きいけれども、極性が強く、液晶性にも優れる
という優れた特性を示す。これらのシアノ基は、通常分
子末端のフェニル基に直結して導入されている。従っ
て、化合物としては分子の片方の末端に4−シアノフェ
ニル基を有する構造が大半を占めている。
【0011】一般に液晶化合物は構造的に中心骨格(コ
ア)部分と側方基(側鎖および極性基)から形成されて
おり、そのコア部分を構成する環構造としては、1,4
−フェニレン基(フッ素置換されていてもよい)やトラ
ンス−1,4−シクロヘキシレン基をはじめとして、ピ
リジン−2,5−ジイル基やピリミジン−2,5−ジイ
ル基等の複素芳香環、ジオキサン−トランス−1,4−
ジイル基やピペリジン−1,4−ジイル基等の飽和複素
環等、既に多くのものが知られている。しかしながらこ
れらの環構造から構成されたシアノ系の液晶化合物のみ
では年々高度化する液晶組成物に対する要求特性には充
分応えきれなくなってきているのが実情である。
【0012】ところで上記のトランス-1,4-シクロヘキ
シレン基をトランス−2,6−トランスデカヒドロナフ
チレン基に変換することにより液晶性が向上することは
知られている。p型の誘導体としてもトランス−6−ア
ルキル−2−(4−シアノフェニル)トランスデカヒド
ロナフタレン(P)
【0013】
【化2】
【0014】(式中、Raは炭素原子数1〜7の直鎖状
アルキル基を表す。)が報告(ドイツ公開特許3150
312号公報)されている。しかしながら、この(P)
の化合物はネマチック液晶性には優れるものの閾値電圧
の低減という点ではそれほど優れたものではなく、他の
液晶材料との相溶性も充分とは言えず、さらに液晶とし
てのその他の物性や電気光学特性もほとんど知られてい
ない。
【0015】ところで液晶化合物により大きい誘電率異
方性が求められる場合には、シアノ基が結合したフェニ
ル基にさらにシアノ基と同方向に1〜2個のフッ素原子
を導入することが効果的である。従って、前述の液晶化
合物における4−シアノフェニル基を3−フルオロ−4
−シアノフェニル基または3,5−ジフルオロ−4−シ
アノフェニル基に変換した化合物も開発されている。し
かしながら、デカヒドロナフタレン誘導体としては、そ
のような化合物はこれまで全く知られていなかった。
【0016】また、アクティブマトリックス駆動におい
ては液晶材料の電圧保持率が非常に高くなければならな
いという制約がある。一般に閾値電圧は誘電率異方性
(Δε)の平方根に逆比例するため、閾値電圧を低減す
るためには極性の基を液晶分子の長軸方向に導入してそ
の誘電率異方性を増大させる必要がある。しかしながら
アクティブマトリックス駆動用の液晶材料においては、
上記の制約のために、極性基としてシアノ基やエステル
結合等通常閾値電圧の低下に大きい効果のある基を用い
ることができず、フッ素原子やトリフルオロメトキシ基
等の限られたフッ素系の基が用いられているにすぎな
い。ただし、誘電率異方性増大に対するフッ素原子導入
の効果は例えば前述のシアノ基と比較するとかなり小さ
い。従って、液晶分子の誘電率異方性を充分増大させ、
閾値電圧を低減させるためには、分子中に2個以上のフ
ッ素原子を同方向に導入する必要がある。こうした理由
から、アクティブマトリックス駆動用の液晶材料として
現在汎用されているのは3,4−ジフルオロフェニル基
(A)および3,4,5−トリフルオロフェニル基
(B)
【0017】
【化3】
【0018】を分子中に有する液晶化合物が主である。
【0019】また慣用のアクティブマトリックス方式で
は、正の誘電異方性(Δε>0)である液晶組成物が用
いられるのに対し、S.YamauchiらによるSI
DDigest of Technical Pape
rs,378頁以降(1989)に記載されたVAN
(垂直配向ネマチック)方式、K.A.Crabdal
lらによるAppl.Phys.Lett.,65,4
(1994)に記載されたVAC(垂直配向コレステリ
ック)方式あるいはR.A.SorefによるJ.of
Appl.Phys.,Vol.45,No.12,
5466(1974)に記載されたIPS(イン−プレ
ーン・スイッチング)方式などの表示方式では、負の誘
電異方性(Δε<0)である液晶組成物が用いられる。
【0020】上述のアクティブマトリックス駆動におい
て、負の誘電率異方性を増大するためには分子長軸方向
に対して極性基を導入するわけであるが、アクティブマ
トリックス駆動用の液晶材料においては、上記の制約の
ために、同様に垂直にフッ素原子を導入する必要があ
る。こうした理由から、アクティブマトリックス駆動用
の負の誘電異方性を持つ液晶材料として現在汎用されて
いるのは2−ジフルオロフェニル基(C)および2,3
−ジフルオロフェニル基(D)
【0021】
【化4】
【0022】を分子中に有する液晶化合物が主である。
【0023】ところでこれらのフッ素系液晶化合物にも
大きな問題点が存在する。その第一は液晶性が低いこと
である。通常の液晶材料には2環性、3環性および4環
性の液晶性化合物が用いられるが、こうしたフッ素系化
合物はその低い液晶性のため、最も低粘性で高速応答に
適した2環性の化合物は少量しか用いることができな
い。そのため、3環性の化合物が主に使用されるが、低
電圧化のために誘電率異方性が大きい3,4,5−トリ
フルオロフェニル基(B)を含有する3環性液晶化合物
を添加すると、液晶材料の応答性に悪影響を与える場合
が多い。
【0024】第二の問題点は相溶性が悪くその混合によ
ってネマチック相を低温域まで拡大させることが容易で
ないことである。液晶材料においては通常、液晶化合物
を多数混合(ブレンド)することによりその融点を降下
させ、低温域まで安定にネマチック相を存在させること
を可能としている。しかしながらこうしたフッ素系の液
晶ではその混合による融点の降下は比較的小さく、従っ
て組成物の融点を充分に低下させるためには異種骨格か
らなる非常に多数の液晶化合物を混合させる必要がある
のが実情である。そのために、組成物の調製には非常な
手間がかかり、高コスト化が避けられなかった。
【0025】こうしたことから、アクティブマトリック
ス駆動用として使用可能なフッ素系液晶化合物として、
より液晶性に優れ、かつ相溶性に優れて混合により低温
域温度範囲の拡大がより容易であるような液晶化合物が
求められている。
【0026】一般にアクティブマトリックス駆動用とし
ては、前述の制約から1,4−フェニレン基(フッ素置
換されていてもよい)とトランス−1,4−シクロヘキ
シレン基にほぼ限定されているのが実情である。
【0027】ところでこのトランス−1,4−シクロヘ
キシレン基をトランス−2,6−トランスデカヒドロナ
フチレン基に変換することにより液晶性が向上すること
は知られている。しかもトランス−2,6−トランスデ
カヒドロナフチレン基には酸素原子や窒素原子といった
ヘテロ原子が含まれないため、この変換により電圧保持
率が低下することもない。従って、トランス−2,6−
トランスデカヒドロナフチレン基を有するフッ素系液晶
化合物は温度範囲の広いアクティブマトリックス駆動用
液晶材料として使用可能と考えられるわけであるが、そ
のような液晶化合物はこれまで全く知られていないのが
実情である。
【0028】従って、フッ素系のトランス−2,6−ト
ランスデカヒドロナフチレン骨格を有する液晶化合物で
あって、よりネマチック液晶性に優れ、アクティブマト
リックス駆動用としてもより適した液晶性化合物が求め
られている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じるため、対応する2環性
のシクロヘキサン誘導体と比較してネマチック液晶性に
優れ、3環性のシクロヘキサン誘導体よりも応答性、相
溶性に優れたフッ素系のフェニルデカヒドロナフタレン
誘導体である液晶性化合物を提供し、さらにこれを用い
て、広いネマチック相温度範囲と低電圧駆動性を有する
液晶組成物を提供し、さらにアクティブマトリックス駆
動用としても使用可能な液晶組成物をも提供することに
ある。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために 1.一般式(I)
【0031】
【化5】
【0032】(式中、Rは1個以上のフッ素原子または
炭素原子数1〜7のアルコキシル基に置換されていても
よい炭素原子数1〜18のアルキル基を表し、Xa、Xb
およびXcは水素原子またはフッ素原子を表し、Zは水
素原子あるいはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロ
ゲン原子あるいは1個以上のフッ素原子または炭素原子
数1〜7のアルコキシル基により置換されていてもよい
炭素原子数1〜12のアルキル基、アルコキシル基、ア
ルケニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ
基またはアルコキシカルボニル基あるいはシアノ基、シ
アナト基、水酸基またはカルボキシル基を表すが、ただ
しRがアルキル基且つZが置換されていないアルキル基
またはアルコキシル基あるいはシアノ基のときはXa
bおよびX cのうち少なくとも1個はフッ素原子を表
し、デカヒドロナフタレン環はトランス形であり、その
2,6−位はトランス配置である。)で表されるフェニ
ルデカヒドロナフタレン誘導体。
【0033】2.一般式(I)においてRが炭素原子数
1〜7の直鎖状アルキル基を表すところの上記1記載の
フェニルデカヒドロナフタレン誘導体。
【0034】3.一般式(I)においてZが水素原子あ
るいはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子
あるいは1個以上のフッ素原子または炭素原子数1〜7
のアルコキシル基により置換されていてもよい炭素原子
数1〜12のアルキル基、アルコキシル基、アルケニル
基またはアルケニルオキシ基あるいはシアノ基を表すと
ころの上記1記載のフェニルデカヒドロナフタレン誘導
体。
【0035】4.一般式(I)においてXa、Xbおよび
cのうち少なくとも1個はフッ素原子を表すところの
上記1記載のフェニルデカヒドロナフタレン誘導体。
【0036】5.上記1〜4記載の一般式(I)で表さ
れる化合物を含有する液晶組成物。
【0037】6.上記5記載の液晶組成物を構成要素と
する液晶素子。を前記課題を解決するための手段として
見出した。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一例について説明
する。
【0039】本発明は、上記課題を解決するために、一
般式(I)
【0040】
【化6】
【0041】で表されるフェニルデカヒドロナフタレン
誘導体を提供する。
【0042】式中、Rはフッ素原子または炭素原子数1
〜7のアルコキシル基に置換されていてもよい炭素原子
数1〜18のアルキル基を表すが、炭素原子数1〜7の
直鎖状アルキル基が好ましい。Xa、XbおよびXcは水
素原子またはフッ素原子を表すが、液晶性および高速応
答性を向上させるためには水素原子であることが好まし
く、相溶性を向上させるためにはXaまたはXbはフッ素
原子が好ましく、大きな負の誘電率異方性が求められる
場合にはXbまたはXcはフッ素原子が好ましい。但し、
Rがアルキル基且つZが置換されていないアルキル基ま
たはアルコキシル基あるいはシアノ基のとき、Xa、Xb
およびXcのうち少なくとも1個はフッ素原子を表す。
Zは水素原子あるいはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素
のハロゲン原子あるいはフッ素原子または炭素原子数1
〜7のアルコキシル基により置換されていてもよい炭素
原子数1〜12のアルキル基、アルコキシル基、アルケ
ニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基ま
たはアルコキシカルボニル基あるいはシアノ基、シアナ
ト基、水酸基またはカルボキシル基を表すが、水素原子
あるいはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原
子あるいはフッ素原子または炭素原子数1〜7のアルコ
キシル基により置換されていてもよい炭素原子数1〜1
2のアルキル基、アルコキシル基、アルケニル基または
アルケニルオキシ基あるいはシアノ基が好ましく、フッ
素原子、塩素原子、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル
基、炭素原子数1〜6の直鎖状アルコキシル基あるいは
3−ブテニル基、トランス−3−ペンテニル基、トラン
ス−2−プロペニルオキシ基、トランス−2−ブテニル
オキシ基、トランス−4−ペンテニルオキシ基、トラン
ス−4−ヘキセニルオキシ基、トリフルオロメトキシ
基、ジフルオロメトキシ基、メトキシエチル基、メトキ
シエトキシ基またはシアノ基がさらに好ましい。デカヒ
ドロナフタレン環はトランス形であり、その2,6−位
はトランス配置である。
【0043】一般式(I)においては、そのR、Xa
b、XcおよびZの選択によって多種の化合物群を包含
するけれども、それらの中では一般式(Ia)〜(I
n)
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】で表される化合物が好ましい。式中、Ra
は炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、Rbは炭素原
子数1〜7の直鎖状アルキル基あるいは3−ブテニル
基、トランス−3−ペンテニル基、トリフルオロメチル
基または2−メトキシエチル基を表し、Rcは炭素原子
数1〜7の直鎖状アルキル基あるいは2−プロペニル
基、トランス−2−ブテニル基、トランス−4−ペンテ
ニル基、トランス−4−ヘキセニル基または2−メトキ
シエチル基を表す。
【0052】一般式(I)の化合物はそのZの表すとこ
ろに応じて以下の工程に基づいて製造することができ
る。
【0053】製法イ) Zが水素原子あるいはフッ素ま
たは塩素のハロゲン原子あるいはアルキル基またはアル
コキシル基の場合 一般式(IIIa)
【0054】
【化14】
【0055】(式中、Xa、XbおよびXcは一般式
(I)におけるとおなじ意味を表し、Waは臭素または
ヨウ素原子を表し、Zaは水素原子あるいはフッ素また
は塩素のハロゲン原子あるいはアルキル基またはアルコ
キシル基を表す。)で表されるハロゲン化ベンゼンから
調製されたグリニヤール反応剤あるいはフェニルリチウ
ム反応剤等の有機金属反応剤を一般式(II)
【0056】
【化15】
【0057】(式中、Rは一般式(I)におけると同じ
意味を表し、デカヒドロナフタレン環はトランス配置で
ある。)で表される6−置換トランスデカヒドロナフタ
レン−2−オン(この化合物は前述のドイツ公開特許3
150312号公報に記載された製造方法に基づき製造
できる。)と反応させ、次いで酸触媒存在下で脱水させ
ることにより、オクタヒドロナフタレン誘導体(IV
a)
【0058】
【化16】
【0059】(式中、R、Xa、Xb、XcおよびZaは前
述におけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを水素
添加した後、必要に応じてシス/トランスの異性化を行
い、トランス体を分離して一般式(I)におけるZが水
素原子あるいはフッ素または塩素のハロゲン原子あるい
はアルキル基またはアルコキシル基である化合物を得る
ことができる。
【0060】製法ロ) Zが臭素またはヨウ素のハロゲ
ン原子の場合 製法イ)で得られた一般式(I−s)
【0061】
【化17】
【0062】(式中、R、Xa、XbおよびXcは前述に
おけるとおなじ意味を表す。)で表されるフェニルデカ
ヒドロナフタレン誘導体に直接臭素化あるいはヨウ素化
するか、あるいはアルキルリチウムでリチオ化した後、
臭素あるいはヨウ素と反応させることにより一般式
(I)におけるZが臭素またはヨウ素のハロゲン原子で
ある化合物を得ることができる。
【0063】製法ハ) Zがアルケニルオキシ基の場合 一般式(IIIb)
【0064】
【化18】
【0065】(式中、Xa、XbおよびXcは一般式
(I)におけるとおなじ意味を表し、Wbは臭素または
ヨウ素原子を表し、Raはメチル基またはメトキシエト
キシエチル基などの水酸基の保護基を表す。)で表され
るハロゲン化ベンゼンからグリニヤール反応剤を調製
し、製法イ)と同様に一般式(II)の6−置換トラン
スデカヒドロナフタレン−2−オンと反応させ、次いで
酸触媒存在下で脱水させることにより、オクタヒドロナ
フタレン誘導体(IVb)
【0066】
【化19】
【0067】(式中、R、Xa、Xb、XcおよびRaは前
述におけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを水素
添加した後、必要に応じてシス/トランスの異性化を行
い、トランス体を分離し、臭化水素酸などにより脱保護
して、フェノール誘導体(I−t)
【0068】
【化20】
【0069】(式中、R、Xa、XbおよびXcは前述に
おけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを塩基でア
ルコラートとしてから一般式(IIIc)
【0070】
【化21】
【0071】(式中、Rbはアルケニル基を表し、Wc
塩素、臭素またヨウ素のハロゲン原子あるいはp−トル
エンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスル
ホニルオキシ基などの脱離基を表す。)で表される化合
物と反応させることにより一般式(I)におけるZがア
ルケニルオキシ基である化合物を得ることができる。
【0072】あるいは、フェノール誘導体(I−t)を
アルコラートとした後、一般式(IIId)
【0073】
【化22】
【0074】(式中、Wdは塩素、臭素またヨウ素のハ
ロゲン原子あるいはp−トルエンスルホニルオキシ基ま
たはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離
基を表し、Rcはフッ素あるいはアルコキシル基に置換
されてもよいアルキル基を表す。)で表される化合物と
反応させ、酸触媒存在下で脱アセタールして得られたア
ルカナール誘導体に一般式(Va)
【0075】
【化23】
【0076】(式中、Rdはフッ素あるいはアルコキシ
ル基に置換されてもよいアルキル基を表す。)で表され
るウィッティッヒ反応剤を反応させることにより、一般
式(I)におけるZがアルケニルオキシ基である化合物
を得ることもできる。
【0077】製法ニ) Zがアルケニル基の場合 一般式(I)においてZが水素原子あるいは臭素または
ヨウ素のハロゲン原子である化合物から調製された有機
金属反応剤(I−u)
【0078】
【化24】
【0079】(式中、YaはMgBr、MgI、Li、
CuLiまたはB(OH)2などの金属または含金属基
を表し、R、Xa、XbおよびXcは前述におけるとおな
じ意味を表す。)で表される有機金属反応剤を一般式
(IIIc)で表される化合物と遷移金属触媒存在下に
カップリング反応させることにより、一般式(I)にお
けるZがアルケニル基である化合物を得ることができ
る。遷移金属触媒としてはパラジウム錯体あるいはニッ
ケル錯体が好ましい。
【0080】あるいは、一般式(I−v)
【0081】
【化25】
【0082】(式中、Weは塩素、臭素またヨウ素のハ
ロゲン原子あるいはp−トルエンスルホニルオキシ基ま
たはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離
基を表し、R、Xa、XbおよびXcは前述におけるとお
なじ意味を表す。)で表されるフェニルデカヒドロナフ
タレン誘導体を一般式(IIIe)
【0083】
【化26】
【0084】(式中、YbはMgBr、MgI、Li、
CuLiまたはB(OH)2などの金属または金属塩を
表し、Reはアルケニル基を表す。)で表される有機金
属反応剤を遷移金属触媒存在下にカップリング反応させ
ることにより得ることもできる。ここで遷移金属触媒と
してはパラジウム錯体あるいはニッケル錯体が好まし
い。
【0085】製法ホ) Zがシアノ基の場合 一般式(I―v)で表されるフェニルデカヒドロナフタ
レン誘導体をシアン化銅(I)または遷移金属触媒存在
下にシアン化ナトリウムあるいはシアン化カリウムと反
応させることにより、一般式(I)におけるZがシアノ
基である化合物を得ることができる。ここで遷移金属触
媒としてはパラジウム錯体あるいはニッケル錯体が好ま
しい。
【0086】あるいは、一般式(I−u)で表される有
機金属反応剤を二酸化炭素と反応させることにより、一
般式(I−w)
【0087】
【化27】
【0088】(式中、R、Xa、XbおよびXcは前述に
おけるとおなじ意味を表す。)で表される安息香酸誘導
体を得る。これを塩化チオニル等の塩素化剤で酸塩化物
(I−x)
【0089】
【化28】
【0090】(式中、R、Xa、XbおよびXcは前述に
おけるとおなじ意味を表す。)とした後、アンモニアを
反応させて酸アミドとし、次いで脱水することにより一
般式(I)におけるZがシアノ基である化合物を得るこ
ともできる。
【0091】あるいは、一般式(I−s)で表されるフ
ェニルデカヒドロナフタレン誘導体において、塩化アル
ミニウム等のルイス酸存在下にシュウ酸ジクロリドと反
応させることにより一般式(I−x)で表される酸塩化
物を直接得て、前述と同様にして一般式(I)における
Zがシアノ基である化合物を得ることもできる。
【0092】あるいは、一般式(I−s)で表されるフ
ェニルデカヒドロナフタレン誘導体において、塩化アル
ミニウム等のルイス酸存在下にアセチル化することによ
り、一般式(I−y)
【0093】
【化29】
【0094】(式中、R、Xa、XbおよびXcは前述に
おけるとおなじ意味を表す。)で表されるアセトフェノ
ン誘導体を得て、次亜塩素酸等で酸化することにより一
般式(I−w)で表される安息香酸誘導体を得て、前述
と同様にして一般式(I)におけるZがシアノ基である
化合物を得ることもできる。
【0095】あるいは、一般式(IIIe)
【0096】
【化30】
【0097】(式中、Xa、XbおよびXcは一般式
(I)におけるとおなじ意味を表し、Wfは臭素または
ヨウ素原子を表し、Zbは4,4−ジメチル−1,3−
オキサゾリン−2−エン−2−イル基の如きカルボキシ
ル基の保護基を表す。)で表されるハロゲン化ベンゼン
誘導体からグリニヤール反応剤を調製し、製法イ)と同
様に一般式(II)の6−置換トランスデカヒドロナフ
タレン−2−オンと反応させ、次いで酸触媒存在下で脱
水させることにより、オクタヒドロナフタレン誘導体
(IVc)
【0098】
【化31】
【0099】(式中、R、Xa、Xb、XcおよびZbは前
述におけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを水素
添加した後、必要に応じてシス/トランスの異性化を行
い、トランス体を分離してフェニルデカヒドロナフタレ
ン誘導体(I−z)
【0100】
【化32】
【0101】(式中、R、Xa、Xb、XcおよびZbは前
述におけるとおなじ意味を表す。)を得る。これを脱保
護することにより一般式(I−w)で表される安息香酸
誘導体を得て、前述と同様にして一般式(I)における
Zがシアノ基である化合物を得ることもできる。
【0102】あるいは、フェニルデカヒドロナフタレン
誘導体(I−z)において、Zbが4,4−ジメチル−
1,3−オキサゾリン−2−エン−2−イル基等の場
合、オキシ塩化リン等の酸性脱水剤を用いることによ
り、一般式(I)におけるZがシアノ基である化合物を
得ることもできる。
【0103】斯くして製造される本発明の化合物(I)
の代表的な例を第1表にまとめて示す。
【0104】
【表1】
【0105】(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック
相を、Iは等方性液体をそれぞれ示す。また、( )内
はその相がモノトロピックであることを表す。) 一般式(I)の化合物を液晶組成物中に添加することに
より得られる優れた効果は以下のとおりである。
【0106】第1表中に表された(I−3)
【0107】
【化33】
【0108】の化合物を、汎用のn型ホスト液晶(H)
【0109】
【化34】
【0110】に20%添加してネマチック液晶組成物
(H−3)を調製したところ、そのネマチック相上限温
度(TN-I)は65.3℃であった。この(H−3)を
−20℃で2週間放置したが結晶の析出や相分離は観察
されなかった。また、−60℃に冷却して結晶化させ、
その融点(TC-N)を測定したところ2℃であった。
【0111】次に、(H−3)をセル厚8.0μmのT
Nセルに充填して液晶素子を作成し、20℃でその電気
光学特性を測定したところ、以下のとおりであった。 誘電率異方性(Δε) 4.0 閾値電圧(Vth) 1.68V 応答時間(τ) 41.5m秒 屈折率異方性(Δn) 0.084
【0112】一方、ホスト液晶(H)単独での物性値は
以下のとおりである。 ネマチック相上限温度(TN-I) 72.5℃ 誘電率異方性(Δε) -1.3 屈折率異方性(Δn) 0.085
【0113】ここで、応答時間は立ち上がり時間(τ
r)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧印加時
の応答時間である。ホスト液晶(H)はn型であるため
に電場応答しないが、(H−3)では(I−3)を20
%添加することにより誘電率異方性(Δε)が4.0と
大きくなり、低電圧駆動が可能となり、41.5m秒と
いう高速応答も可能となった。しかもネマチック相上限
温度(TN-I)の低下も約7℃程度に抑えることができ
た。
【0114】これに対して、フッ素置換されていない6
−シアノナフタレン誘導体である(R−1)
【0115】
【化35】
【0116】を(H)に20%添加してネマチック液晶
組成物(H−R1)を調製した。同様にして液晶素子を
作成し、その電気光学特性を測定したところ、以下のと
おりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 83.0℃ 誘電率異方性(Δε) 2.1 閾値電圧(Vth) 2.70V 応答時間(τ) 38.5m秒 屈折率異方性(Δn) 0.088
【0117】(H−A)はTN-Iが(H−3)より高く
ホスト液晶(H)に対しても約10℃も上昇しており、
また応答時間もやや低減されている。しかしながら、Δ
εが(H−3)と比較してかなり減少し、そのために閾
値電圧(Vth)が大幅に上昇していることがわかる。
また、(H−R1)を同様に−20℃で放置したとこ
ろ、1週間以内に結晶が析出した。
【0118】次に、第1表中に表された(I−1)
【0119】
【化36】
【0120】の化合物を(H)に20%添加してネマチ
ック液晶組成物(H−1)を調製した。同様にして液晶
素子を作成し、その電気光学特性を測定したところ、以
下のとおりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 76.5℃ 誘電率異方性(Δε) 3.2 閾値電圧(Vth) 2.30V 応答時間(τ) 40.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.085
【0121】従って、(H−3)と比較して、閾値電圧
(Vth)は高くなっているものの、ネマチック相上限
温度は10℃以上高くなり、その応答性もわずかではあ
るが改善されている。また、この(H−1)を同様に−
20℃で2週間放置したが結晶の析出や相分離は観察さ
れなかった。
【0122】これに対して(I−1)におけるトランス
デカヒドロナフチレン基がシクロヘキシレン基に置き換
わった構造を有する、3−フルオロ−4−シアノベンゼ
ン誘導体である(R−2)
【0123】
【化37】
【0124】を(H)に20%添加してネマチック液晶
組成物(H−R2)を調製した。同様にして液晶素子を
作成し、その電気光学特性を測定したところ、以下のと
おりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 58.5℃ 誘電率異方性(Δε) 3.6 閾値電圧(Vth) 2.2V 応答時間(τ) 36.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.084
【0125】これを(H−1)と比較すると、(H−R
2)のΔεは(H−1)より増大し、Vthはより効果
的に低減されていることがわかる。また、その応答も
(H−1)より高速であった。しかしながら、そのT
N-Iは(H−1)と比較して20℃近くも低下してしま
った。
【0126】以上のように、一般式(I)の化合物は、
他の液晶化合物との相溶性に優れ、ネマチック液晶性に
優れ、その添加により誘電率異方性を大きく増大させて
その閾値電圧を低減することが可能であり、かつ高速応
答が可能であるといった特長を併せ有する点で、従来知
られている構造の比較的類似した(A)や(B)の化合
物と比較してもより優れていることがわかる。
【0127】次に、第1表中に表された(I−7)
【0128】
【化38】
【0129】の化合物を、温度範囲が広く低粘性でアク
ティブマトリックス駆動にも使用可能なホスト液晶組成
物(J)
【0130】
【化39】
【0131】に20重量%添加して液晶組成物(J−
7)を調製した。ここで(J)の物性値ならびにそれを
用いて作成した液晶素子の電気光学的特性値は以下のと
おりである。 ネマチック相上限温度(TN-I) 116.7℃ 融点(TC-N) +11℃ 誘電率異方性(Δε) 4.8 閾値電圧(Vth) 2.14V 応答時間(τ) 25.3m秒 屈折率異方性(Δn) 0.090
【0132】これに対して(J−7)の物性値ならびに
それを用いて同様に作成した液晶素子の電気光学的特性
値は以下のとおりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 88.7℃ 融点(TC-N) +13℃ 誘電率異方性(Δε) 5.7 閾値電圧(Vth) 1.69V 応答時間(τ) 31.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.080
【0133】従って、(I−7)を20%添加すること
により、そのネマチック相上限温度(TN-I)の降下を
28℃に抑えながら、その閾値電圧(Vth)を0.4
5Vも低減することができた。さらにその応答時間も6
m秒以内の増加に抑えることができた。また、冷却して
結晶化させ、測定したその融点(TC-N)は13℃でホ
スト液晶(J)とほとんど変化がなく、(I−7)がホ
スト液晶によく溶解していることがわかる。また、(J
−7)のネマチック相上限温度(TN-I)から外挿した
(I−7)単独でのネマチック相上限温度は−23℃で
あった。
【0134】次に、この素子の室温および80℃におけ
る電圧保持率を測定したがいずれも極めて良好でアクテ
ィブマトリックス駆動用としても充分使用可能であるこ
とがわかった。
【0135】これに対して(I−7)におけるトランス
デカヒドロナフチレン基がシクロヘキシレン基に置き換
わった構造を有するシクロヘキシルベンゼン誘導体(R
−3)
【0136】
【化40】
【0137】を(H)に同量(20%)添加して液晶組
成物(J−R3)を調製したところ、ネマチック相上限
温度(TN-I)は70℃と大きく降下した。これから外
挿した(R−3)単独でのネマチック相上限温度は−1
00℃以下であった。従って、(I−7)と比較して液
晶性がかなり低いことがわかる。
【0138】この組成物の他の物性値ならびに同様にし
て作成した素子の電気光学特性値は以下のとおりであ
る。 誘電率異方性(Δε) 5.6 閾値電圧(Vth) 1.58V 応答時間(τ) 30.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.080
【0139】従って、(I−7)と比較してネマチック
相上限温度(TN-I)が20℃近くも降下しているにも
かかわらず、閾値電圧(Vth)は0.1V程度しか低
減されておらず、応答時間もほとんど変化がないことが
わかる。
【0140】次に、(I−7)と類似の構造を有する
が、(I−7)におけるトランスデカヒドロナフチレン
基がビシクロヘキサン−4,4’−ジイル基に置き換わ
った構造を有するフェニルビシクロヘキサン誘導体(R
−4)
【0141】
【化41】
【0142】を(H)に同量(20%)添加して液晶組
成物(J−R4)を調製した。この組成物の物性値なら
びに同様にして作成した素子の電気光学特性値は以下の
とおりである。 ネマチック相上限温度(TN-I) 111.0℃ 融点(TC-N) +25℃ 誘電率異方性(Δε) 5.9 閾値電圧(Vth) 2.00V 応答時間(τ) 37.8m秒 屈折率異方性(Δn) 0.087
【0143】従って、TN-Iはホスト液晶と同程度と非
常に高いが、Vthはホスト液晶より0.14V程度低
減されたにすぎず、(J−7)よりかなり高くなった。
また、応答時間は(J−7)より7m秒近くも遅くなっ
てしまった。さらに融点はホスト液晶より13℃も上昇
しており、この(R−4)の化合物のホスト液晶に対す
る溶解性はあまり優れていないことがわかる。
【0144】以上のように、本発明の(I−7)の化合
物は温度範囲が広く、閾値電圧が低く、高速応答が可能
な液晶組成物を調製するうえにおいて従来の化合物より
優れた効果を有していることがわかる。
【0145】従って、一般式(I)の化合物は、他のネ
マチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるい
はSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に温度
範囲が広く低電圧駆動が可能な液晶材料として好適に使
用することができる。またシアノ基を含有しない(I)
の化合物は分子内に強い極性基を持たないので、大きい
比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アク
ティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使
用することも可能である。本発明はこのように一般式
(I)で表される化合物の少なくとも1種類をその構成
成分として含有する液晶組成物をも提供するものであ
る。
【0146】本発明の提供する組成物においては、その
第一成分として一般式(I)で表される化合物を少なく
とも1種含有するが、その他の成分として特に以下の第
二〜第四成分から少なくとも1種含有することが好まし
い。
【0147】即ち、第二成分はいわゆるフッ素系(ハロ
ゲン系)のp型液晶化合物であって、以下の一般式(A
1)〜(A3)で示される化合物からなるものである。
【0148】
【化42】
【0149】上式中、Rbは炭素原子数1〜12のアル
キル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたは
エチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造
を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH2
は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=
CH−、−CF=CF−または−C≡C−により交換さ
れていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ
素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されて
いてもよいが、炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、
炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子
数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数
1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1
〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭
素が生じる場合には、化合物として光学活性であっても
ラセミ体であってもよい。
【0150】環A、環Bおよび環Cはそれぞれ独立的に
トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランスデカ
ヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個
以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−
フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されて
いてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1個以上の
フッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナ
フタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換さ
れていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3
−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジ
ン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル
基を表すが、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、
トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジ
イル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタ
レン−2,6−ジイル基または1〜2個のフッ素原子に
より置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ま
しい。特に環Bがトランス−1,4−シクロヘキシレン
基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−
2,6−ジイル基である場合に、環Aはトランス−1,
4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、環Cが
トランス−1,4−シクロヘキシレン基またはトランス
デカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基で
ある場合に環Bおよび環Aはトランス−1,4−シクロ
ヘキシレン基であることが好ましい。また、(A3)に
おいて環Aはトランス−1,4−シクロヘキシレン基で
あることが好ましい。
【0151】La、LbおよびLcは連結基であって、そ
れぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH3)CH2
−および−CH2CH(CH3)−)、1,4−ブチレン
基、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2
−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH
−、−CF=CF−、−C≡C−または−CH=NN=
CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレ
ン基、−COO−、−OCF2−、−CF2O−、−CF
=CF−または−C≡C−が好ましく、単結合またはエ
チレン基が特に好ましい。また、(A2)においてはそ
の少なくとも1個が、(A3)においてはその少なくと
も2個が単結合を表すことが好ましい。
【0152】環Zは芳香環であり以下の一般式(IX
a)〜(IXc)で表すことができる。
【0153】
【化43】
【0154】式中、Ya〜Yjはそれぞれ独立的に水素原
子あるいはフッ素原子を表すが、(IXa)において、
aおよびYbの少なくとも1個はフッ素原子であること
が好ましく、(IXb)において、Yd〜Yfの少なくと
も1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYd
フッ素原子であることがさらに好ましい。
【0155】末端基Paはフッ素原子、塩素原子、トリ
フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフル
オロメチル基またはジフルオロメチル基あるいは2個以
上のフッ素原子により置換された炭素原子数2または3
のアルコキシル基、アルキル基、アルケニル基またはア
ルケニルオキシ基を表すが、フッ素原子、トリフルオロ
メトキシ基またはジフルオロメトキシ基が好ましく、フ
ッ素原子が特に好ましい。
【0156】また、(A2)においては本発明の一般式
(I)の化合物は除く。
【0157】第三成分はいわゆるシアノ系のp型液晶化
合物であって、以下の一般式(B1)〜(B3)で示さ
れる化合物からなるものである。
【0158】
【化44】
【0159】上式中、Rcは炭素原子数1〜12のアル
キル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたは
エチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造
を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH2
は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=
CH−、−CF=CF−または−C≡C−により交換さ
れていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ
素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されて
いてもよいが、炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、
炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子
数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数
1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1
〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭
素が生じる場合には、化合物として光学活性であっても
ラセミ体であってもよい。
【0160】環D、環Eおよび環Fはそれぞれ独立的に
トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランスデカ
ヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個
以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−
フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されて
いてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1個以上の
フッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナ
フタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換さ
れていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3
−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジ
ン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル
基を表すが、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、
トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジ
イル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタ
レン−2,6−ジイル基または1〜2個のフッ素原子に
より置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ま
しい。特に環Eがトランス−1,4−シクロヘキシレン
基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−
2,6−ジイル基である場合に、環Dはトランス−1,
4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、環Fが
トランス−1,4−シクロヘキシレン基またはトランス
デカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基で
ある場合に環Dおよび環Eはトランス−1,4−シクロ
ヘキシレン基であることが好ましい。また、(B3)に
おいて環Dはトランス−1,4−シクロヘキシレン基で
あることが好ましい。
【0161】Ld、LeおよびLfは連結基であって、そ
れぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH3)CH2
−および−CH2CH(CH3)−)、1,4−ブチレン
基、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2
−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH
−、−CF=CF−、−C≡C−、−OCH2−、−C
2O−、または−CH=NN=CH−を表すが、単結
合、エチレン基、−COO−、−OCF2−、−CF2
−、−CF=CF−または−C≡C−が好ましく、単結
合、エチレン基または−COO−が特に好ましい。ま
た、(B2)においてはその少なくとも1個が、(B
3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すこと
が好ましい。
【0162】環Yは芳香環であり以下の一般式(IX
d)〜(IXf)で表すことができる。
【0163】
【化45】
【0164】式中、Yh〜Ynはそれぞれ独立的に水素原
子あるいはフッ素原子を表すが、(IXe)において、
nおよびYoは水素原子であることが好ましい。末端基
aはシアノ基(−CN)、シアナト基(−OCN)ま
たは−C≡CCNを表すが、シアノ基が好ましい。
【0165】また、(B2)においては本発明の一般式
(I)の化合物は除く。
【0166】第四成分は誘電率異方性が0程度である、
いわゆるn型液晶であり、以下の一般式(C1)〜(C
3)で示される化合物からなるものである。
【0167】
【化46】
【0168】上式中、RdおよびReはそれぞれ独立的に
炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖
状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよ
く、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に
存在する任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、
−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−また
は−C≡C−により交換されていてもよく、基内に存在
する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメ
トキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1
〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1
−アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケ
ニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基また
は末端が炭素原子数1〜3アルコキシル基により置換さ
れた炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基が好ましく、
さらに少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アル
キル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基ま
たは炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基である
ことが特に好ましい。
【0169】環G、環H、環Iおよび環Jはそれぞれ独
立的に、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トラ
ンスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル
基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換
されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフ
ッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,
6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されて
いてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル
基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい
1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−
トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジ
イル基またはピリジン−2,5−ジイル基を表すが、各
化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トラ
ンス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により
置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、
1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテト
ラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子に
より置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン
基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル
基、ピリミジン−2,5−ジイル基またはピリジン−
2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、他
の環はトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは
1〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されて
いてもよい1,4−フェニレン基であることが好まし
い。
【0170】Lg、LhおよびLiは連結基であって、そ
れぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH3)CH2
−および−CH2CH(CH3)−)、1,4−ブチレン
基、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2
−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH
−、−CF=CF−、−C≡C−または−CH=NN=
CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレ
ン基、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2
O−、−CF=CF−、−C≡C−または−CH=NN
=CH−が好ましく、(C2)においてはその少なくと
も1個が、(C3)においてはその少なくとも2個が単
結合を表すことが好ましい。
【0171】また、(C2)においては本発明の一般式
(I)の化合物は除く。
【0172】(C1)におけるより好ましい形態は以下
の一般式(C1a)〜(C1h)で表すことができる。
【0173】
【化47】
【0174】上記各式中、RfおよびRgはそれぞれ独立
的に炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数
2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子数4〜7の
直鎖状3−アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状ア
ルコキシル基または末端が炭素原子数1〜3のアルコキ
シル基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アル
キル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1〜7の
直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アル
ケニル基または炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニ
ル基を表す。ただし、環G1〜環G8が芳香環の場合、
対応するRfは1−アルケニル基およびアルコキシル基
を除き、環H1〜環H8が芳香環の場合、対応するRg
は1−アルケニル基およびアルコキシル基を除く。
【0175】環G1および環H1はそれぞれ独立的にト
ランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランスデカヒ
ドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1〜2
個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていて
もよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子に
より置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル
基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい
テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個
のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−シク
ロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−
2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基また
はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、各化合物にお
いて、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,
6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されて
いてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個の
フッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナ
フタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換さ
れていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3
−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジ
ン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル
基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の
環はトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1
〜2個のフッ素原子またはメチル基により置換されてい
てもよい1,4−フェニレン基である。環G2および環
H2はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロヘキ
シレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−
2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチ
ル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン
基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい
ナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子
により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−
2,6−ジイル基を表すが、各化合物において、トラン
スデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル
基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい
ナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子
により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−
2,6−ジイル基は1個以内であることが好ましく、そ
の場合の他方の環はトランス−1,4−シクロヘキシレ
ン基あるいは1〜2個のフッ素原子またはメチル基によ
り置換されていてもよい1,4−フェニレン基である。
環G3および環H3はそれぞれ独立的に1〜2個のフッ
素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい
1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置
換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1
〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラ
ヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、各化合
物において1個以上のフッ素原子により置換されていて
もよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ
素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタ
レン−2,6−ジイル基は1個以内であることが好まし
い。
【0176】(C2)におけるより好ましい形態は以下
の一般式(C2a)〜(C2m)で表すことができる。
【0177】
【化48】
【0178】上式中、環G1、環G2、環G3、環H
1、環H2および環H3は前述の意味を表し、環I1は
環G1と、環I2は環G2と、環I3は環G3とそれぞ
れおなじ意味を表す。また、上記各化合物において、ト
ランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイ
ル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよ
いナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原
子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン
−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていて
もよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキ
サン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,
5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル基は1個
以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトラ
ンス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1〜2個の
フッ素原子またはメチル基により置換されていてもよい
1,4−フェニレン基である。
【0179】次に(C3)におけるより好ましい形態は
以下の一般式(C3a)〜(C3f)で表すことができ
る。
【0180】
【化49】
【0181】上式中、環G1、環G2、環H1、環H
2、環I1および環I2は前述の意味を表し、環J1は
環G1また環J2は環G2とそれぞれおなじ意味を表
す。また、上記各化合物において、トランスデカヒドロ
ナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上の
フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−
2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換さ
れていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイ
ル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−
シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス
−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基ま
たはピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であること
が好ましく、その場合の他方の環はトランス−1,4−
シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子また
はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニ
レン基である。
【0182】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明をさら
に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0183】化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル
(NMR)、質量スペクトル(MS)および赤外吸収ス
ペクトル(IR)により確認した。組成物の%は重量%
を表す。
【0184】(参考例)6−プロピルトランスデカヒド
ロナフタレン−2−オンの合成
【0185】
【化50】
【0186】(1−i)6−プロピル−4,4a,5,
6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−ナフタレン−2−オ
ンの合成 4−プロピルシクロヘキサノン211gをトルエン60
0mL中に溶解し、ピロリジン225mLを加える。、
水分離器を取り付けた装置で、溜出水がなくなるまで4
時間加熱還流した。そのまま加熱を続けながら、ピロリ
ジンとトルエンを溜去した後、室温に戻してトルエン8
00mLを加え、20℃以下に冷却しながら、メチルビ
ニルケトン130mLを30分間かけて滴下した。滴下
後、2時間加熱還流し、室温まで放冷した。酢酸ナトリ
ウム62g、氷酢酸130mLおよび水130mLを混
合した水溶液を加え、2時間加熱還流した後、室温まで
放冷した。有機層を分離して、水で洗滌し、溶媒を溜去
した。得られた油状物237gをテトラヒドロフラン
(THF)500mLに溶解し、3M塩酸300mLを
加えた。5時間加熱還流後室温に戻し、有機層を分離
し、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
し、溶媒を溜去し、6−プロピル−4,4a,5,6,
7,8−ヘキサヒドロ−3H−ナフタレン−2−オンの
黄色液体223gを得た。 IR(neat)1676,1622cm-1 1 H−NMR(アセトン−d6)δ5.7(s,1H),
2.2−1.6(m,12H),1.4−1.2(m,
4H),0.9(t,3H)13 C−NMR(アセトン−d6)δ199,168,1
25,42−30,21,15 MS m/z192,164,149,135,12
1,107,94,79,66,55
【0187】(1−ii)6−プロピルトランスデカヒ
ドロナフタレン−2−オンの合成 −40℃以下に冷却しながら、液体アンモニア中2Lに
金属リチウム25gを少量ずつ加えて溶解させた。内温
を−30〜−40℃に保ちながら、(1−ii)で得ら
れた6−プロピル−4,4a,5,6,7,8−ヘキサ
ヒドロ−3H−ナフタレン−2−オン223g、t−ブ
タノール130mLのTHF500mL溶液を滴下し、
滴下後、30分間攪拌を続けた。固体の塩化アンモニウ
ムを少量ずつ加えてリチウムを酸化した後、室温まで昇
温し、アンモニアを留去した。水を加え、トルエンで抽
出し、有機層を飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、溶媒を溜去し、減圧蒸留(沸点130−
156℃、0.8KPa)して6−プロピルトランスデ
カヒドロナフタレン−2−オンの淡黄色液体154gを
得た。 IR(neat)1719cm-1 1 H−NMR(アセトン−d6)δ2.7(s,1H),
2.4−1.1(m,12H),1.4−1.0(m,
4H),0.9(t,3H)13 C−NMR(アセトン−d6)δ199,168,1
25,42−30,21,15 MS m/z194,176,165,150,13
7,121,107,95,81,67,55 同様にして以下の化合物を得る。
【0188】 6−メチルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン 6−エチルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン 6−ブチルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン 6−ペンチルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン 6−ヘキシルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン 6−ヘプチルトランスデカヒドロナフタレン−2−オン
【0189】(実施例1)トランス−2−プロピル−ト
ランス−6−(3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニ
ル)トランスデカヒドロナフタレン(I−3)の合成
【0190】
【化51】
【0191】(1−a)トランス−2−プロピル−トラ
ンス−6−(3,5−ジフルオロフェニル)トランスデ
カヒドロナフタレンの合成 マグネシウム2.4gをTHF5mLに懸濁し、1−ブ
ロモ−3,5−ジフルオロベンゼン17.6gのTHF
80mL溶液をTHFが穏やかに還流する速さで約30
分かけて滴下した。さらに1時間撹拌後、6−プロピル
−オクタヒドロナフタレン−2−オン20gのTHF8
0mL溶液を30分間かけ滴下した。さらに2時間撹拌
後、10%塩酸80mLを加えた。ヘキサン100mL
を加え、有機層を分離し、水層はヘキサン100mLで
抽出し有機層を併せた。水、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。溶媒を溜去し、トルエン105mLとp−トルエ
ンスルホン酸一水和物1.7gを加え、溜出する水分を
分離除去しながら110℃で加熱撹拌した。水の溜出が
なくなってから、室温に戻し、水50mLを加え、有機
層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。溶媒を溜去し全量を酢酸エチル100mLに溶
解し、5%パラジウム−炭素3.0gを加え、オ−トク
レ−ブ中、水素圧400KPa下で撹拌した。室温で5
時間撹拌後、触媒をセライト濾過により除き、溶媒を溜
去してトランス−6−プロピル−2−(3,5−ジフル
オロフェニル)トランスデカヒドロナフタレンのトラン
ス/シス混合物を得た。この全量をN,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)100mLに溶解し、t−ブトキ
シカリウム2.4gを加え、70℃で5時間攪拌した。
室温まで冷却した後、水100mLを加え、トルエン1
00mLで2回抽出した。有機層を併せ、10%塩酸、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗滌
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン)で精製
し、さらにエタノ−ルから再結晶して、トランス−6−
プロピル−トランス−2−(3,5−ジフルオロフェニ
ル)−トランス−デカヒドロナフタレンの白色結晶1
6.5gを得た。
【0192】(1−b)トランス−2−プロピル−トラ
ンス−6−(3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニ
ル)トランスデカヒドロナフタレンの合成 (1−a)で得られたトランス−6−プロピル−トラン
ス−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−トランス−
デカヒドロナフタレン16.5gをTHF70mLに溶
解し、−78℃に冷却する。1.6Mブチルリチウム−
ヘキサン溶液38.6mLを内温が−50℃を越えない
よう、30分かけ滴下した。さらに20分攪拌した後、
内温が−50℃を越えないようにして、二酸化炭素を吹
き込んだ。発熱が起こらなくなったら、徐々に室温まで
昇温し、水50mLおよびヘキサン50mLを加え、有
機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗滌し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し全量を1,
2−ジクロロエタン170mLに溶解し、塩化チオニル
を8.1gおよびピリジン0.1mLを加え、室温で5
時間攪拌した。溶媒を溜去し全量をジクロロメタン10
0mLに溶解し、攪拌しながらアンモニアガスを吹き込
んだ。2時間後濾過し、残渣をDMF100mLに溶解
し、塩化オキサリル7.9gを滴下した。さらに1時間
攪拌後、氷水に注ぎ、トルエン100mLを加え、有機
層を分離した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィ−(ヘキサン)で精製し、さらにエタノ−ルから再結
晶して、トランス−2−プロピル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル)トランス
デカヒドロナフタレンの白色結晶9gを得た。
【0193】同様にして以下の化合物を得る。
【0194】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル)トランス
デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフ
タレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフ
タレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナ
フタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナ
フタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナ
フタレン
【0195】(実施例2)トランス−2−プロピル−ト
ランス−6−(3−フルオロ−4−シアノフェニル)ト
ランスデカヒドロナフタレン(I−1)の合成
【0196】
【化52】
【0197】酢酸100mLおよび48%臭化水素酸水
溶液100mLにトランス−2−プロピル−トランス−
6−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)トランス
デカヒドロナフタレン(この化合物は(1−a)の1−
ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼンに換え、1−ブロ
モ−3−フルオロ−4−メトキシベンゼンを用い、他は
同様にして得た。)20gを加え、20時間加熱還流さ
せた。室温に戻し、水およびトルエンを加え、有機層を
分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、
水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を溜去し全量をジクロロメタン100mLに溶
解し、無水トリフルオロメタンスルホン酸19.7gを
加え、5℃に冷却した。激しく撹拌しながら、ピリジン
12mLを滴下した後さらに1時間撹拌した。水を加え
て、反応を停止させ、有機層を分取し、水層をジクロロ
メタンで抽出し、有機層を併せ、10%塩酸、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液、水次いで飽和食塩水で洗滌し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。シリカゲルカラムクロ
マトグラフィ−(ヘキサン)で精製後、溶媒を溜去し、
全量をアセトニトリル150mLに溶解し、ジブロモビ
ス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)1.7
g、トリフェニルホスフィン1.4g、亜鉛粉0.3
g、シアン化カリウム8.5gを加え、80℃で16時
間加熱撹拌させた。水を加え反応を停止し、有機層をさ
らに水で洗滌後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。シリ
カゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/ジクロロ
メタン)で精製し、さらにエタノ−ルから再結晶して5
−フルオロ−6−シアノ−2−(トランス−4−プロピ
ルシクロヘキシル)ナフタレンの白色固体12.5gを
得た。
【0198】同様にして以下の化合物を得る。
【0199】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3−フルオロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒ
ドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフタレ
ン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフタレ
ン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−シアノフェニル)トランスデカヒドロナフタレ
【0200】(実施例3)トランス−6−プロピル−ト
ランス−2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−
トランス−デカヒドロナフタレン(I−7)の合成
【0201】
【化53】
【0202】マグネシウム3.6gをTHF3.5mL
に懸濁し、1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベン
ゼン25.8gのTHF110mL溶液をTHFが穏や
かに還流する速さで約30分かけて滴下した。さらに1
時間撹拌後、6−プロピル−オクタヒドロナフタレン−
2−オン20gのTHF86mL溶液を30分間かけ滴
下した。さらに2時間撹拌後、10%塩酸50mLを加
えた。ヘキサンを加え、有機層を分離し、水層はヘキサ
ンで抽出し有機層を併せた。水、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、溶媒を溜去し、トルエン100mLとp−トル
エンスルホン酸1水和物2.0gを加え、溜出する水分
を分離除去しながら110℃で加熱撹拌した。水の溜出
がなくなってから、室温に戻し、水50mLを加え、有
機層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。溶媒を溜去し全量を酢酸エチル200mLに溶
解し、5%パラジウム−炭素2.5gを加え、オ−トク
レ−ブ中、水素圧400KPa下で撹拌した。室温で5
時間撹拌後、触媒をセライト濾過により除き、溶媒を溜
去してトランス−6−プロピル−2−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)トランスデカヒドロナフタレンの
トランス/シス混合物を得た。この全量をDMF55m
Lに溶解し、t−ブトキシカリウム1gを加え、70℃
で5時間攪拌した。室温まで冷却した後、水100mL
を加え、ヘキサン100mLで2回抽出した。有機層を
併せ、10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、
水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
−(ヘキサン)で精製し、さらにエタノ−ルから再結晶
して、トランス−6−プロピル−トランス−2−(3,
4,5−トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレンの白色結晶5gを得た。 IR(neat)1615,1530cm-1 1 H−NMR(アセトン−d6)δ7.4−6.8(m,
2H),2.5−2.8(m,4H),1.9−0.7
(m,18H)13 C−NMR(アセトン−d6)δ154,150,1
40,137,146,112,43−34,21,1
5 MS m/z 310,267,247,225,211,1
97,185,171,158,145,135,12
3,109,95,81,67,55
【0203】同様にして以下の化合物を得る。
【0204】トランス−2−メチル−トランス−6−
(4−フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−エチル−トランス−6−(4−フルオロ
フェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(4−フルオ
ロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(4−フルオロ
フェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(4−フルオ
ロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(4−フルオ
ロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(4−フルオ
ロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン
【0205】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,4−ジフルオロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,4−ジフ
ルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3,4−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,4−ジフ
ルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,4−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,4−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,4−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン
【0206】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタレン
【0207】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,4,5−トリフルオロフェニル)−トランス−デ
カヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,4,5−
トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,4,5−
トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,4,5
−トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,4,5
−トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,4,5
−トリフルオロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン
【0208】トランス−2−メチル−トランス−6−
(4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−デ
カヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(4−トリフル
オロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−プロピル−トランス−6−(4−トリフ
ルオロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(4−トリフル
オロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(4−トリフ
ルオロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(4−トリフ
ルオロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(4−トリフ
ルオロメトキシフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン
【0209】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)
−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−デ
カヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−
デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−デ
カヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−
デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−
デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トランス−
デカヒドロナフタレン
【0210】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシフェ
ニル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラ
ンス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラ
ンス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラ
ンス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)−トラ
ンス−デカヒドロナフタレン
【0211】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニ
ル)−トランス−デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トランス
−デカヒドロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トランス
−デカヒドロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン
【0212】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3−フルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デ
カヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3−フルオロ
−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフタ
レン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3−フルオ
ロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロナフ
タレン
【0213】トランス−2−メチル−トランス−6−
(3,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル)−トラン
ス−デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロ
ナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(3,5−ジフ
ルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒドロ
ナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(3,5−ジ
フルオロ−4−クロロフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン
【0214】トランス−2−メチル−トランス−6−
(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−トラ
ンス−デカヒドロナフタレン トランス−2−エチル−トランス−6−(2,3−ジフ
ルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−プロピル−トランス−6−(2,3−ジ
フルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカヒ
ドロナフタレン トランス−2−ブチル−トランス−6−(2,3−ジフ
ルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカヒド
ロナフタレン トランス−2−ペンチル−トランス−6−((2,3−
ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカ
ヒドロナフタレン トランス−2−ヘキシル−トランス−6−(2,3−ジ
フルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカヒ
ドロナフタレン トランス−2−ヘプチル−トランス−6−(2,3−ジ
フルオロ−4−メトキシフェニル)−トランス−デカヒ
ドロナフタレン
【0215】(実施例4)液晶組成物の調製(1) 汎用のn型ホスト液晶(H)
【0216】
【化54】
【0217】を調製した。この(H)は72.5℃以下
でネマチック相を示し、その融点は17℃である。この
組成物の物性値は以下のとおりであった。 誘電率異方性(Δε) −1.3 屈折率異方性(Δn) 0.085
【0218】次にこのホスト液晶(H)の80%と実施
例1で得られた本発明の化合物である(I−3)
【0219】
【化55】
【0220】からなる液晶組成物(H−3)を調製し
た。この組成物の液晶(ネマチック)相上限温度(T
N-I)は65.3℃であり、(H)に対する低下を約7
℃程度に抑えることができた。この(H−3)を−20
℃で2週間放置したが結晶の析出や相分離は観察されな
かった。また、−60℃に冷却して結晶化させ、その融
点(TC-N)を測定したところ2℃であった。これか
ら、(I−3)の化合物は汎用液晶との相溶性にも優れ
ていることがわかる。
【0221】次に、この(H−3)をセル厚8.0μm
のTNセルに充填して液晶素子を作成し、20℃でその
電気光学特性を測定したところ、以下のとおりであっ
た。 誘電率異方性(Δε) 4.0 閾値電圧(Vth) 1.68V 応答時間(τ) 41.5m秒 屈折率異方性(Δn) 0.084
【0222】ここで、応答時間は立ち上がり時間(τ
r)と立ち下がり時間(τd)が等しくなる電圧印加時
の応答時間である。
【0223】ホスト液晶(H)はn型であるため応答し
ないが、(H−3)では(I−3)を20%添加するこ
とにより誘電率異方性(Δε)が4.0と大きくなり、
41.5m秒という高速応答が可能となった。
【0224】(比較例1)実施例4において、(I−
3)に換えて、フッ素置換されていない6−シアノナフ
タレン誘導体である(R−1)
【0225】
【化56】
【0226】を(H)に同量(20%)添加してネマチ
ック液晶組成物(H−R1)を調製した。この組成物の
ネマチック相上限温度(TN-I)は83.0℃と(H)
よりも上昇した。しかしながら、同様にして−20℃で
放置したところ、1週間以内に結晶が析出した。従っ
て、(R−1)の汎用液晶に対する相溶性は(I−3)
より劣っていることがわかる。
【0227】次に同様にして液晶素子を作成し、その電
気光学特性を測定したところ、以下のとおりであった。 誘電率異方性(Δε) 2.1 閾値電圧(Vth) 2.70V 応答時間(τ) 38.5m秒 屈折率異方性(Δn) 0.088
【0228】(H−R1)はTN-Iが(H−3)より約
18℃も高くなり、また応答時間もやや低減されてい
る。しかしながら、Δεが(H−3)と比較してかなり
減少し、そのために閾値電圧(Vth)が大幅に上昇し
ており、低電圧駆動には適さなくなっていることがわか
る。
【0229】(実施例5)液晶組成物の調製(2) ホスト液晶(H)の80%と実施例2で得られた(I−
1)
【0230】
【化57】
【0231】の化合物20%からなるネマチック液晶組
成物(H−1)を調製した。その物性値ならびに同様に
して液晶素子を作成して測定したその電気光学特性は以
下のとおりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 76.5℃ 誘電率異方性(Δε) 3.2 閾値電圧(Vth) 2.30V 応答時間(τ) 40.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.085
【0232】従って、(H−3)と比較して、閾値電圧
(Vth)は少し高くなっているものの、ネマチック相
上限温度は10℃以上高くなり、その応答性もわずかで
はあるが改善されている。また、この(H−1)を同様
に−20℃で2週間放置したが結晶の析出や相分離は観
察されなかった。
【0233】(比較例2)実施例4において、(I−
1)に換えて、(I−1)におけるトランスデカヒドロ
ナフチレン基がシクロヘキシレン基に置き換わった構造
を有する、3−フルオロ−4−シアノベンゼン誘導体で
ある(R−2)
【0234】
【化58】
【0235】を(H)に20%添加してネマチック液晶
組成物(H−R2)を調製した。その物性値ならびに同
様にして液晶素子を作成して測定したその電気光学特性
は以下のとおりであった。 ネマチック相上限温度(TN-I) 58.5℃ 誘電率異方性(Δε) 3.6 閾値電圧(Vth) 2.2V 応答時間(τ) 36.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.084
【0236】(H−R2)のΔεは(H−1)より増大
し、Vthはより効果的に低減されていることがわか
る。また、その応答も(H−1)より高速であった。し
かしながら、そのTN-Iは(H−1)と比較して20℃
近くも低下してしまった。従って、(R−2)のような
フェニルシクロヘキサン誘導体では低電圧駆動と広い温
度範囲を合わせ有する液晶組成物の調製が困難であるこ
とがわかる。
【0237】(実施例6)液晶組成物の調製(3) 温度範囲が広く低粘性でアクティブマトリックス駆動に
も使用可能な汎用のホスト液晶(J)
【0238】
【化59】
【0239】を調製した。この(J)は116.7℃以
下でネマチック相を示し、その融点は11℃である。こ
の組成物の物性値ならびに、これを用いて作成したセル
厚6.0μmのTNセルにおける閾値電圧(Vth)の
20℃における測定値は以下のとおりであった。 閾値電圧(Vth) 2.14V 誘電率異方性(Δε) 4.8 屈折率異方性(Δn) 0.090
【0240】次にこのホスト液晶(J)の80%と実施
例3で得られた本発明の化合物である(I−7)
【0241】
【化60】
【0242】20%からなる液晶組成物(J−7)を調
製したところ、ネマチック相上限温度は88.7℃で
(J)より若干低くなった。この組成物は0℃で1ヶ月
以上放置しても結晶の析出や相分離は観察されず、(I
−7)は汎用の液晶との相溶性にも優れていることがわ
かる。次に−60℃に冷却して結晶化させその融点を測
定したところ、+13℃で(J)の融点とほぼ同程度で
あった。次にこの組成物を用いて同様に液晶素子を作成
し、その特性値を測定したところ、以下のとおりであっ
た。 ネマチック相上限温度(TN-I) 88.7℃ 融点(TN-I) 13.0℃ 閾値電圧(Vth) 1.69V 誘電率異方性(Δε) 5.7 応答時間(τ) 31.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.080
【0243】従って、(I−7)を20%添加すること
により、そのネマチック相上限温度(TN-I)の降下を
28℃に抑えながら、その閾値電圧(Vth)を0.4
5Vも低減することができた。さらにその応答時間も6
m秒以内の増加に抑えることができた。また、冷却して
結晶化させ、測定したその融点(TC-N)は13℃でホ
スト液晶(J)とほとんど変化がなく、(I−7)がホ
スト液晶によく溶解していることがわかる。また、(J
−7)のネマチック相上限温度(TN-I)から外挿した
(I−7)単独でのネマチック相上限温度は−23℃で
あった。
【0244】次に、この素子の室温および80℃におけ
る電圧保持率を測定したがいずれも極めて良好でアクテ
ィブマトリックス駆動用としても充分使用可能であるこ
とがわかった。
【0245】(比較例3)実施例6において、(I−
7)に換えて、シクロヘキシルベンゼン誘導体(R−
3)
【0246】
【化61】
【0247】を(J)に同量(20%)添加して液晶組
成物(J−R3)を調製した。この組成物のネマチック
相上限温度(TN-I)は70℃と大きく降下した。これ
から外挿した(R−3)単独でのネマチック相上限温度
は−100℃以下であった。従って、(I−7)と比較
して液晶性がかなり低いことがわかる。
【0248】この組成物の他の物性値ならびに同様にし
て作成した素子の電気光学特性値は以下のとおりであ
る。 閾値電圧(Vth) 1.58V 誘電率異方性(Δε) 5.6 応答時間(τ) 30.0m秒 屈折率異方性(Δn) 0.080
【0249】従って、(I−7)と比較してネマチック
相上限温度(TN-I)が20℃近くも降下しているにも
かかわらず、閾値電圧(Vth)は0.1V程度しか低
減されておらず、応答時間もほとんど変化がないことが
わかる。
【0250】(比較例4)実施例6において、(I−
7)の化合物に換えて、(I−7)におけるトランスデ
カヒドロナフチレン基がビシクロヘキサン−4,4’−
ジイル基に置き換わった構造を有するフェニルビシクロ
ヘキサン誘導体(R−4)
【0251】
【化62】
【0252】を(J)に同量(20%)添加して液晶組
成物(J−R4)を調製した。この組成物の物性値なら
びに同様にして作成した素子の電気光学特性値は以下の
とおりである。 ネマチック相上限温度(TN-I) 111.0℃ 融点(TN-I) 25.0℃ 閾値電圧(Vth) 2.00V 誘電率異方性(Δε) 5.9 応答時間(τ) 37.8m秒 屈折率異方性(Δn) 0.087
【0253】従って、ネマチック相上限温度(TN-I
はホスト液晶と同程度と非常に高いが、閾値電圧(Vt
h)はホスト液晶より0.14V程度低減されたにすぎ
ず、(J−7)よりかなり高くなってしまっている。ま
た、応答時間は(J−7)より7m秒近くも遅くなって
しまった。さらに融点はホスト液晶より13℃も上昇し
ており、この(R−4)の化合物のホスト液晶に対する
溶解性はあまり優れていないことがわかる。
【0254】以上のように、本発明の(I−7)の化合
物は温度範囲が広く、閾値電圧が低く、高速応答が可能
な液晶組成物を調製するうえにおいて従来の化合物より
優れた効果を有していることがわかる。
【0255】従って、一般式(I)の化合物は、他のネ
マチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるい
はSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に温度
範囲が広く低電圧駆動が可能な液晶材料として好適に使
用することができる。また(I−5)〜(I−9)の化
合物は分子内に強い極性基を持たないので、大きい比抵
抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アクティ
ブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使用す
ることも可能である。本発明はこのように一般式(I)
で表される化合物の少なくとも1種類をその構成成分と
して含有する液晶組成物をも提供するものである。
【0256】(実施例7)液晶組成物の調製(4) 以下の組成からなる液晶組成物(M)を調製した。
【0257】4重量%の4−エトキシ−1−(トランス
−4−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン 3重量%のトランス−4−ペンチルシクロヘキサンカル
ボン酸4−メチルフェニル 3重量%のトランス−4−プロピルシクロヘキサンカル
ボン酸4−エトキシフェニル 3重量%のトランス−4−(4−メチルフェニル)−ト
ランス−4’−ビニルビシクロヘキサン 3重量%のトランス−4−ブチル−トランス−4’−プ
ロピルビシクロヘキサン 4重量%のトランス−4−ペンチル−トランス−4’−
ビニルビシクロヘキサン 3重量%の4,4’−ビス(3−ブテニル)ビシクロヘ
キサン 4重量%の1−(4−プロピルフェニル)−2−(4−
メチルフェニル)エチン 3重量%の1−(4−エトキシフェニル)−2−(4−
ペンチルフェニル)エチン 3重量%の1,2−ビス[4−(3−ブテニル)フェニ
ル]エチン 4重量%の1−(4−エチルフェニル)エチニル−4−
(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン 3重量%の4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシ
ル)−4’−エチルビ フェニル3重量%の4−(トランス−4−プロピルシク
ロヘキシル)−1−シアノベンゼン 4重量%の4−[トランス−4−(トランス−1−プロ
ペニル)シクロヘキシル]−1−シアノベンゼン 3重量%の4−[トランス−4−(3−ブテニル)シク
ロヘキシル]−1−シアノベンゼン 3重量%の4’−ペンチル−4−シアノビフェニル 4重量%の2−(4−シアノフェニル)−5−ペンチル
ピリミジン 3重量%の4−エチル安息香酸4−シアノフェニル 3重量%のトランス−4−ペンチルシクロヘキサンカル
ボン酸3,4−ジフルオロフェニル 4重量%の4−ブチル安息香酸3−フルオロ−4−シア
ノフェニル 3重量%の4−(トランス−3−ペンテン−1−イル)
安息香酸3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル 3重量%のトランス−4−(3−フルオロ−4−シアノ
フェニル)−トランス−4’−(3−メトキシプロピ
ル)ビシクロヘキサン 3重量%のトランス−4−(3,4−ジフルオロフェニ
ル)−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン 4重量%のトランス−4−(3,4−ジフルオロフェニ
ル)−トランス−4’−ビニルビシクロヘキサン 4重量%のトランス−4−(3,4,5−トリフルオロ
フェニル)−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサ
ン 3重量%のトランス−4−[2−(3,4,5−トリフ
ルオロフェニル)エチル]−トランス−4’−プロピル
ビシクロヘキサン 3重量%の4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)−4’−シアノビフェニル 4重量%の4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)安息香酸3−フルオロ−4−シアノフェニル 3重量%の4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキ
シル)−3,4,5−トリフルオロビフェニル 3重量%の1−(3,4,5−トリフルオロフェニル)
エチニル−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)ベンゼン
【0258】この(M)のTN-Iは75.0℃であり、
Δnは0.142であった。この(M)の90%と実施
例1で得られた(I−3)
【0259】
【化63】
【0260】の3%、実施例2で得られた(I−1)
【0261】
【化64】
【0262】の3%および実施例3で得られた(I−
7)
【0263】
【化65】
【0264】の4%からなる液晶組成物(M−I)を調
製した。この(M−I)のTN-Iは70.4℃であり、
Δnは0.136であった。
【0265】
【発明の効果】一般式(I)のフェニルデカヒドロナフ
タレン誘導体は、液晶性および現在汎用の液晶化合物あ
るいは組成物との相溶性に優れる。また、その添加によ
り、応答性をほとんど悪化させずに閾値電圧を大きく低
減させることが可能である。また分子内に強い極性の基
を含まない化合物においては、アクティブマトリックス
駆動用としても使用可能である。さらに、実施例にも示
したように工業的にも製造が容易であり、無色で化学的
にも安定である。従って、これを含有する液晶組成物は
実用的液晶として、特に温度範囲が広く低電圧駆動と高
速応答を必要とする液晶表示用として極めて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高津 晴義 東京都東大和市仲原3−6−27 (72)発明者 ゲルワルト・エフ・グラーエ ドイツ連邦共和国 ベルリン市 ライヒハ ルト・ストラーセ 13 D−14195 (72)発明者 ライナーブルーノ・フリングス ドイツ連邦共和国 ベルリン市 ペットカ ッサー・ストラーセ 16A 12307 (72)発明者 コルネリア・ピッザート ドイツ連邦共和国 ベルリン市 ヒルシュ ホーナーウェグ 28 14163 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA03 AB64 EA35 GP03 4H027 BA01 BB03 BB04 BC04 BD02 BD04 BD05 BD08 BD24 CB01 CB02 CC04 CD04 CL01 CL04 CM04 CN02 CP04 CQ01 CQ04 CR04 CT02 CT04 CW01 CW02 DE04 DM02 DM03 DM04 DM05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは1個以上のフッ素原子または炭素原子数1
    〜7のアルコキシル基に置換されていてもよい炭素原子
    数1〜18のアルキル基を表し、Xa、XbおよびXc
    水素原子またはフッ素原子を表し、Zは水素原子あるい
    はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子ある
    いは1個以上のフッ素原子または炭素原子数1〜7のア
    ルコキシル基により置換されていてもよい炭素原子数1
    〜12のアルキル基、アルコキシル基、アルケニル基、
    アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基またはアル
    コキシカルボニル基あるいはシアノ基、シアナト基、水
    酸基またはカルボキシル基を表すが、ただしRがアルキ
    ル基且つZが置換されていないアルキル基またはアルコ
    キシル基あるいはシアノ基のときはXa、XbおよびX c
    のうち少なくとも1個はフッ素原子を表し、デカヒドロ
    ナフタレン環はトランス形であり、その2,6−位はト
    ランス配置である。)で表されるフェニルデカヒドロナ
    フタレン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(I)においてRが炭素原子数1
    〜7の直鎖状アルキル基を表すところの請求項1記載の
    フェニルデカヒドロナフタレン誘導体。
  3. 【請求項3】 一般式(I)においてZが水素原子ある
    いはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子あ
    るいは1個以上のフッ素原子または炭素原子数1〜7の
    アルコキシル基により置換されていてもよい炭素原子数
    1〜12のアルキル基、アルコキシル基、アルケニル基
    またはアルケニルオキシ基あるいはシアノ基を表すとこ
    ろの請求項1記載のフェニルデカヒドロナフタレン誘導
    体。
  4. 【請求項4】 一般式(I)においてXa、XbおよびX
    cのうち少なくとも1個はフッ素原子を表すところの請
    求項1記載のフェニルデカヒドロナフタレン誘導体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の一般式(I)で表さ
    れる化合物を含有する液晶組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の液晶組成物を構成要素と
    する液晶素子。
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