JP2000135663A - 被加工物自転型ワイヤソー及びウェハ製造方法 - Google Patents

被加工物自転型ワイヤソー及びウェハ製造方法

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JP2000135663A
JP2000135663A JP31052998A JP31052998A JP2000135663A JP 2000135663 A JP2000135663 A JP 2000135663A JP 31052998 A JP31052998 A JP 31052998A JP 31052998 A JP31052998 A JP 31052998A JP 2000135663 A JP2000135663 A JP 2000135663A
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cutting
wafer
rotation
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Fumio Obata
文雄 小幡
Satoshi Sakamoto
智 坂本
Junji Matsubara
潤治 松原
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TAKIZAWA TEKKOSHO KK
Tottori University NUC
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TAKIZAWA TEKKOSHO KK
Tottori University NUC
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    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28DWORKING STONE OR STONE-LIKE MATERIALS
    • B28D5/00Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor
    • B28D5/0058Accessories specially adapted for use with machines for fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material
    • B28D5/0082Accessories specially adapted for use with machines for fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material for supporting, holding, feeding, conveying or discharging work

Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬脆材料を効率的に切断できるワイヤソーを
開発する。 【解決手段】 被加工物1を自転させる支持部10と、ワ
イヤ4を走行させながら前記被加工物1に押し当てるワ
イヤ走行部8と、被加工物1に対するワイヤ4の切断点
Cに向けて砥粒を供給する砥粒供給部12とからなる被加
工物自転型ワイヤソーを用い、ワイヤ4を走行させなが
ら自転する被加工物1に押し当ててこの被加工物1を周
縁から回転軸5に向けて切断していき、回転軸5をわず
かに残した段階でウェハ相当部2相互を熱可塑性物質に
より一時的に固着した後、ワイヤ4のみを走行させて残
る回転軸5を切除することにより、被加工物1からウェ
ハを分離するウェハ製造方法を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬脆材料の被加工
物を切断する被加工物自転型ワイヤソーと、これを用い
てインゴットから各種ウェハを切り出すウェハ製造方法
とに関する。
【0002】本発明にいう硬脆材料とは、高硬度かつ欠
けやすい難削材を広く意味し、例えばシリコンやセラミ
ックス又はソーダガラス等を含む。また、インゴットと
は硬脆材料を一定径で延びる棒状に形成した被加工物、
ウェハとはインゴットから切り出した薄板状の製品を意
味する。
【0003】
【従来の技術】硬脆材料は高硬度かつ欠けやすいため
に、難削材として捉えられている。例えば、シリコンイ
ンゴットは硬脆材料の一つである。このシリコンインゴ
ットからシリコンウェハを切り出す場合、いかに短時間
でシリコンウェハを切り出せるかが加工上のひとつの課
題として挙げられている。とりわけ、シリコンウェハが
近年大口径化するにつれて、反りのない薄いシリコンウ
ェハを短時間で製造することは、半導体製造業における
最大の関心事でもある。
【0004】従来のシリコンウェハ製造においては、内
又は外周刃ブレードやマルチブレードソー等の加工装置
を用い、シリコンインゴットからシリコンウェハを切り
出す加工方法が一般的であった。しかし、こうしたブレ
ードを用いる加工方法は、ブレードの剛性不足からシリ
コンインゴットの大口径化に対応できないことが指摘さ
れた。そこで、近年では、線径0.2mm程度の鋼製の研削
用ワイヤ(以下ワイヤと略する)を用いたワイヤソー(通
常、ワイヤを多数並設するマルチワイヤソー)が、利用
されるようになってきた。
【0005】このワイヤソーは、走行するワイヤが切断
点(主として切断に寄与する部位)に砥粒(遊離砥粒)を次
から次へと送り込み、砥粒による切断点の研削の作用に
よって被加工物を切断する加工装置であり、砥粒(遊離
砥粒)はラッピングオイル等と混合したスラリーとして
外部から供給する形態が一般的である。このワイヤソー
では、切断点へどれだけ確実に砥粒を供給できるかが重
要である。また、被加工物の切断には、単位時間あたり
に切断点を通過するワイヤ長さも関係してくるため、ワ
イヤの走行速度は速いほど好ましい。しかし、ワイヤ自
身の引っ張り強度のほか、ワイヤの巻取や張力の変動等
の問題から、ワイヤの走行速度には一定の限界があっ
た。そこで、近年提案されるワイヤソーの焦点は、ワイ
ヤの走行速度の制約下の中で、いかに切断時間を短縮す
るかに集まっている。これに対して、揺動型ワイヤソー
(特開昭56-76366号)や振動型ワイヤソー(日本機械学会
論文集(C編)54巻502号1176)等を例示することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した揺動型ワイヤ
ソー又は振動型ワイヤソーは、走行するワイヤと被加工
物であるインゴット等との間における位置関係の制御が
重要であり、そのために必要な回転角制御装置、発振器
や位相差計等が装置構成を複雑にし、操作や精度維持の
ために労力を要する。このほか、複雑な装置構成は、加
工装置としての単価を高くし、ひいてはウェハ単価を高
くする問題となっていた。
【0007】また、従来のワイヤソーによる切断時間の
短縮は、必ずしもシリコンウェハ製造に適したものでは
なかった。なぜなら、切断時間の短縮は、ウェハ表面
(切断面)の表面粗度を大きくし、集積度が高まる半導体
製造が求める滑らかな表面を有するウェハの要求に応え
られなかったからである。ウェハ表面の表面粗度が大き
いと、後工程である研磨作業に負担を課することにな
り、ウェハ製造全般から見れば好ましいことではない。
【0008】ワイヤソーを用いた切断加工は、こうした
改善、改良によるにも拘わらず、切断時間を短縮する効
果が薄く、とりわけ大口径化するシリコンインゴットの
切断に対し、より一層の改善又は改良が求められてい
る。そこで、硬脆材料である被加工物を効率的に切断で
きるワイヤソーの開発を目標として検討した。この検討
においては、得られるシリコンウェハの表面粗度に留意
しつつ、大口径化するシリコンウェハを容易かつ短時間
に製造することを具体的目標とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】検討の結果、開発したも
のが、被加工物を自転させる支持部と、ワイヤを走行さ
せながら前記被加工物に押し当てるワイヤ走行部と、被
加工物に対するワイヤの切断点(より正確には切断線、
但しワイヤの幅は無視)に向けて砥粒(遊離砥粒)を供給
する砥粒供給部とからなる被加工物自転型ワイヤソーで
ある。ワイヤは、鋼製又は炭素繊維製を用いることがで
き、一方向走行を基本とするが、反覆走行(ノコギリの
使用態様)させてもよい。被加工物へのワイヤの圧接
は、ワイヤ走行部を被加工物に接近離反させる場合や、
被加工物を走行するワイヤに向けて接近離反させる場合
が考えられる。被加工物は、シリコンインゴットのよう
な形状の場合、長尺方向の回転軸により自転を図る。こ
のとき、前記重心通過軸線と回転軸とのズレがあって
も、インゴットの自転にブレを生じさせない程度であれ
ば本発明に影響はない。被加工物は、対称方向から挟持
する両持ち支持で自転させる、又は一方向から挟持する
片持ち支持で自転させる方法がある。砥粒は、ラッピン
グオイル等と混合したスラリーとして供給する。
【0010】本発明のワイヤソーは、走行するワイヤの
働きだけではなく、自転する被加工物の働きの相乗作用
により、より効率的に切断点へ砥粒を供給し、切断作用
をよりよく発揮して切断時間の短縮をもたらす。砥粒が
より確実に切断点へ供給されるようになるので、被加工
物に対するワイヤの圧接力(通常ワイヤの張力)による砥
粒の研削作用の向上が果たされ、圧接力の向上が切断時
間の短縮という効果になって現れる。また、ワイヤは被
加工物に圧接するので切断点を境に撓むが、自転する被
加工物に対して横断した恰好で走行する。これに対し
て、被加工物の切断面は回転運動しているので、この切
断面は走行するワイヤに摺接することになる。当然、ワ
イヤにはスラリーが絡むことで砥粒が付着しており、結
果として前記摺接は切断面の研磨作用をもたらすことに
なる。この砥粒の供給の観点から、本発明におけるこの
ワイヤソーでは、被加工物の自転方向とワイヤの走行方
向とを同方向とする方が好ましい。
【0011】ワイヤソーにおける切断作用には、ワイヤ
の切断点におけるワイヤの相対的な走行速度(以下相対
速度と呼ぶ)が少なからず影響する。すなわち、切断点
を通過する単位時間あたりのワイヤ長が長いほど、切断
作用がよりよく発揮されるわけである。そこで、切断点
への砥粒の供給が確実であれば、被加工物の自転方向と
ワイヤの走行方向とを異方向とすれば、ワイヤの走行速
度を低く抑えながら、相対速度を高めることができる。
本発明では、前記内容を含むものとして、被加工物を自
転させる支持部と、ワイヤを走行させながら前記被加工
物に押し当てるワイヤ走行部とからなり、このワイヤに
は砥粒(固定砥粒)を付着させた被加工物自転型ワイヤソ
ーを提示できる。このワイヤソーにおいても、被加工物
の自転方向とワイヤの走行方向とを同方向としてもよい
が、既述したとおり、砥粒の供給が確実であれば、相対
速度を高めることができる異方向が好ましい。砥粒によ
る切断作用及び研磨作用は先に説明した本発明のワイヤ
ソーと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0012】相対速度の大きさ(絶対値)は、被加工物に
対するワイヤの切断点における被加工物の切断点速度
(自転速度(=角速度)×切断点半径)とワイヤの走行速度
とにより決まる。前式のうち、切断点半径は切断が進む
につれて当然減少し、切断点速度は切断の進行にあわせ
て低下することになる。上述の確実な砥粒の供給による
切断作用及びワイヤに対して切断面が摺接して実現する
研磨作用は、切断点速度の低下による影響は少ない。し
かし、相対速度の向上による切断作用の改善は、相対速
度の大きさの変動により影響を受けるので、切断点半径
の減少に伴ってワイヤの走行速度又は被加工物の自転速
度を増速し、相対速度の大きさが一定となるようにする
ことが望ましい。切断半径の減少に伴う相対速度の変化
の影響は、被加工物の最外周半径が大きい場合ほど顕著
になる。
【0013】本発明では、相対速度の方向性及び大きさ
の関係から、理論的には、(A)被加工物の自転方向とワ
イヤの走行方向とを同方向で、(a)切断点速度が走行速
度を上回る場合と(b)走行速度が切断点速度を上回る場
合、(B)被加工物の自転方向とワイヤの走行方向とを異
方向で、(a)切断点速度が走行速度を上回る場合と(b)走
行速度が切断点速度を上回る場合、を考えることができ
る。これまで述べてきたように、砥粒の供給の面から
は、(A)被加工物の自転方向とワイヤの走行方向とが同
方向であることが望ましい。この場合でも、切断点速度
が走行速度を上回ることは現実的ではないので、(b)走
行速度が切断点速度を上回る場合が基本となる。しか
し、より積極的に相対速度の向上による切断時間の短縮
を図るのであれば、砥粒を付着させたワイヤを用いて、
(B)被加工物の自転方向とワイヤの走行方向とを異方向
にし、前記理由同様、(b)走行速度が切断点速度を上回
るようにするのがよい。
【0014】外部から砥粒(遊離砥粒)を供給する場合、
上記切断点速度と走行速度との組合せによって、砥粒の
供給位置は異なる。より確実な砥粒の切断点への供給を
鑑みれば、被加工物の自転方向とワイヤの走行方向とが
同方向の場合、被加工物に対してワイヤの走行方向上流
から砥粒を供給するのがよい。砥粒は、ラッピングオイ
ル等と別に供給するようにしてもよいが、一般には、ラ
ッピングオイル等と砥粒とを混合したスラリーとして供
給する。本発明のワイヤソーでは、切断点への砥粒の供
給が改善されている結果、飛散防止のために、より粘度
の高いグリスと砥粒とを混合したスラリーが使用できる
ほか、広く水又は油と砥粒とを混合したスラリーの使用
も可能である。このうち、グリスを用いたスラリーは粘
度が高くなるので、被加工物に対して供給位置の違いの
影響を受けにくい利点を有する。また、スラリーを大量
に使用すれば、同様に供給位置の制約を受けなくなる。
【0015】本発明のワイヤソーを用いた場合、ウェハ
製造は次のような手順となる。すなわち、ワイヤを走行
させながら自転する被加工物に押し当ててこの被加工物
を周縁から回転軸に向けて切断していき、回転軸をわず
かに残した段階でウェハ相当部相互を熱可塑性物質によ
り一時的に固着した後、ワイヤのみを走行させて残る回
転軸を切除することにより、被加工物からウェハを分離
するウェハ製造方法である。このウェハ製造方法では、
ウェハ相互の分離痕は回転軸上にできる。この分離痕
は、例えばシリコンウェハの場合、半導体製造に供する
ことができない不要部位となるが、近年の大口径化から
鑑みれば、ほとんど無視しうる大きさに抑えることがで
きる。
【0016】また、本発明のワイヤソーには、次のよう
なウェハ製造がより適当である。すなわち、別体の回転
軸を貫設した被加工物を自転させ、ワイヤを走行させな
がら被加工物に押し当ててこの被加工物を周縁から回転
軸に向けて切断することにより、被加工物からウェハを
分離するウェハ製造方法である。このウェハ製造方法で
は、予め不要部位となる中心を開孔しておき、この開孔
に別体の回転軸を貫設することにより、分離するウェハ
相互が切断直後にばらけて脱落することを防止する。こ
の開孔についても、上述の説明同様、半導体製造等に供
することはできないが、ほとんど無視しうる大きさに抑
えることができる。被加工物と別体である回転軸の材料
には被加工物と同種又は異種の金属、樹脂、セラミック
ス等を用いることができる。切断作業終了後容易な除去
を実現する観点からは、熱可塑性物質、とりわけ熱可塑
性樹脂で構成することが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図を参照しながら説明する。図1は本発明の被加工
物自転型ワイヤソーの一構成を示す斜視図、図2は同ワ
イヤソー使用時におけるインゴット(被加工物)1の切断
進行状況を表した断面図、図3はウェハ相当部2相互を
熱可塑性樹脂3により一時的に固着してワイヤ4のみを
走行させて残る回転軸5を切除している状態を表した図
2相当断面図であり、図4は熱可塑性樹脂からなる回転
軸6を貫設したインゴット7を切断している状態を表し
た別例の図2相当断面図である。ワイヤ走行部8には、
繰出ローラ、巻取ローラ及びテンションローラ機構等が
附属するが、以上の各部は従来のワイヤソーと同様であ
るため、説明の便宜上図示を略している。
【0018】本例に示すワイヤソーは、図1に見られる
ように、長尺円筒状のインゴット1を回転軸5上一方向
からチャック9により挟持して水平な片持ち支持状態で
自転させる支持部10と、3基の溝ローラ11を用いて構成
のワイヤ4を一定間隔(ウェハ厚)で周回させたワイヤ走
行部8と、インゴット1に対してワイヤ4の走行方向上
流側に位置するスラリー供給部(砥粒供給部)12とからな
る。ワイヤ4の走行方向(図1中直線矢印参照)は一方向
であり、周回部分の水平域を上方からインゴット1に押
し当て、ワイヤ走行部8を下降させる(図1中白抜き矢
印)ことで切断していく。インゴット1に対するワイヤ
4の圧接力(ワイヤの張力T)は、ワイヤ走行部8の下降
速度により決定する。インゴット1の自転方向(図1中
楕円弧矢印参照)は、ワイヤ4の走行方向と同方向であ
る。ワイヤ総延長走行後、インゴット1の自転方向及び
ワイヤ4の走行方向を逆転させることにより、図1中の
自転方向及び回転方向と等価な切断作業を繰り返し実施
する。
【0019】ワイヤ4は、張力をかけてインゴット1に
圧接しているため、図2に見られるように、やや上方に
凸な状態で切断点C(実際には切断線)に接している。ス
ラリー供給部12から放出されたスラリー(ラッピングオ
イルと砥粒の混合物)13は、走行するワイヤ4に絡みつ
くようにして切断点Cへと導かれる。このとき、スラリ
ー13はワイヤ4からインゴット1の切れ込みに対して垂
れていこうとするが、インゴット1の自転によりそれぞ
れワイヤ4に向けて押し戻され、ワイヤーによって切断
点Cへと吸い込まれるように導かれる。このように、被
加工物の自転が、無駄のない効果的な砥粒の供給を実現
する点が本発明の最大の利点である。そして、切断点C
で研削されたインゴット1の研削屑14は、走行するワイ
ヤ4及びインゴット1の自転によって弾き飛ばされ、逐
次切断点Cから除去される。こうして、切断点Cは目詰
まりのない状態で切断が進行する。併せて直進運動する
ワイヤ4に対して切断面Sが摺接して研磨作用が働くの
で、ウェハ表面(切断面S)の表面粗度は小さくなる。
【0020】本例のワイヤソーでは、インゴット(被加
工物)の自転方向とワイヤ4の走行方向とを同方向にし
ている。このため、切断時間の短縮の効果は、主に切断
点への砥粒のより確実な供給に依るところが大きい。こ
の砥粒のより確実な供給については、ワイヤの走行速度
よりもインゴットの自転速度(=角速度)が効果(切断時
間の短縮)の程度を左右する。インゴットの自転方向と
ワイヤの走行方向とが同方向の場合、ワイヤの走行速度
によっても異なるが、インゴットの自転速度がワイヤの
走行速度の1〜2割程度で、切断時間を約半減すること
ができる。砥粒(実際はスラリー)は、インゴットの自転
速度が高くなるにつれて、切断点へと導かれるよりもイ
ンゴットの自転によって飛散する量が上回ってしまうた
め、インゴットの自転速度はあまり高速でない方が好ま
しい。
【0021】切断が進行し、回転軸5を含むわずかな部
位が残った時点でインゴット1の自転を停止させ、図3
に見られるように、熱可塑性樹脂3で各ウェハ相当部2
相互を固着した状態で残る回転軸5をワイヤ4の走行の
みで切除すれば、切断作業は完了する。インゴット1を
自転させない状態で切除する回転軸5は、切断痕として
残余の切断面Sとは表面粗度が異なり、例えばシリコン
ウェハとしては半導体製造に寄与しない不要部位とな
る。しかし、大口径化するシリコンウェハにとっては、
前記不要部位はそれほど問題とならなず、むしろ全体的
な切断面の表面粗度の改善という効果が大ききな意味を
持つ。
【0022】上述のように、回転軸上に不要部位が形成
できるならば、予め回転軸を別体でつくっておき、この
回転軸まで切り込めば切断作業が終わるようなインゴッ
トを使用するウェハ製造方法が考えられる。図4は前記
ウェハ製造方法によるインゴット7の切断作業を表した
もので、インゴット7には熱可塑性樹脂からなる回転軸
6を貫設している。切断作業は、インゴット7を自転さ
せながら走行するワイヤ4で回転軸6まで切り込んでい
けば完了する。この状態では、ドーナツ状に形成される
各ウェハは、回転軸6の熱可塑性樹脂で相互に連結した
状態にある。所定数又はインゴット全体の切断作業終了
後、熱可塑性樹脂を溶解させて除去することにより、各
ウェハを容易に分離できる。
【0023】
【実施例】本発明の有用性を実証するため、簡易な装置
構成で、被加工物の自転及びワイヤの走行と切断時間と
の関係についての試験を実施した。試験条件は以下のと
おりである。スピンドルで片持ち支持状態で自転させた
被加工物に、マシニングセンターのテーブル上に一定張
力Tで張架したワイヤを側方から押し当てる試験装置を
用いた。ワイヤの走行は、マシニングセンターのテーブ
ルを水平反覆運動させることで擬似的に実現した。反覆
速度、すなわちワイヤの走行速度は24m/min.である。
ワイヤは銅被覆鋼線(φ0.18mm)であり、一部の試験を除
き、被加工物にT=15Nの張力T(圧接力)で押し付け
た。被加工物はφ5mmのソーダガラス棒である。スラリ
ーはGC800砥粒と鉱物油系ラッピングオイルとを砥粒濃
度50wt%で混合したもので、大量に供給することによ
り、本試験では供給位置による影響はないものとした。
切断作業における進行程度は、ワイヤの1度の走行(テ
ーブルの往又は復運動)毎に1μm切り込むものとした。
【0024】図5〜図7はそれぞれ試験結果をまとめた
グラフであり、図5は被加工物の自転速度と切断時間と
の相関をワイヤの走行方向と被加工物の自転方向との関
係で比較したグラフ、図6は被加工物の自転の有無によ
る切断面の表面粗度Ra(算術平均粗さ)の違いを比較し
たグラフであり、そして図7は被加工物の自転速度と切
断時間との相関をワイヤの張力Tとの関係で比較したグ
ラフである。
【0025】まず、被加工物の自転による切断時間の短
縮という効果は、図5において顕著に現れている。被加
工物の自転方向とワイヤの走行方向とを同方向とした場
合、被加工物が自転を始めるとすぐに切断時間の短縮が
始まり、被加工物の自転速度約6m/min.(本試験では、
被加工物最外周の周速度をもって自転速度に代えてい
る、自転速度一定)で、切断時間の短縮は被加工物の自
転がない場合(従来)に比べて約半分のところで落ち着
く。約6m/min.以上の自転速度では、自転速度の増加
は切断時間の短縮にほとんど寄与しない。被加工物にお
けるワイヤの切断点へのスラリー(砥粒)の供給の効果と
相対速度低下による切断作用の低下とが平衡するものと
思われる。
【0026】これに対し、被加工物の自転方向とワイヤ
の走行方向とを異方向とした場合、自転速度1.5m/min.
までは、同方向の場合に似た切断時間の短縮の効果が見
られるものの、自転速度が1.5m/min.以上に増加する
と、逆に切断時間は従来を上回るようになる。しかし、
自転速度が14m/min.を越えると、再び切断時間は短縮
の傾向を示す。これは、(1)自転速度が1.5m/min.以上
では、被加工物の自転によってスラリー(砥粒)が飛散
し、切断点への砥粒の供給が不十分になり、切断時間が
増加する、しかし(2)自転速度が14m/min.以上では、相
対速度の増加により単位時間あたりに切断点を通過する
ワイヤ長さが非常に長くなる結果、切断作用の向上の効
果が現れたものと思われる。これらから、砥粒が外部か
ら供給する遊離砥粒でなく、ワイヤに付着させた固定砥
粒であれば、自転方向と走行方向とが異方向の場合で
も、被加工物の自転速度の増加に伴って大きく切断時間
の短縮を図れるものと推察できる。
【0027】本発明の特徴は、被加工物の切断時間の短
縮と共に、切断面の表面粗度を小さく抑えることができ
る点にある。これは、これからの半導体製造における高
品質のシリコンウェハの供給を期待させる。図6に示す
結果はこれを裏づけるものであり、自転のない被加工物
を同一試験装置で切断した場合に比べ、本発明を適用し
た場合は約40%(本試験では約0.8μm)程度の表面粗度R
aの改善が見られ、より平坦な切断面、すなわちウェハ
表面が得られることが証明された。また、得られる切断
面は、被加工物に対するワイヤの押し付け方向の影響が
ない、すなわち切断面に方向性が現れないことが、試験
後の切断面の視認により確認された。実際には、この状
態でシリコンウェハとして供給することはできないが、
従来に比べて容易かつ短時間で研磨作業を終えることが
でき、将来の半導体製造におけるコスト低減に貢献でき
る。
【0028】最後に、被加工物に対するワイヤの張力T
(圧接力)の違いによる切断時間の変化を調べた。被加工
物の自転方向とワイヤの走行方向とは同方向とした。図
7に示す結果から、次第に短縮の度合いは小さくなるも
のの、張力Tが増えるに従って、切断時間は短縮してい
く。過剰な張力は、切断点へ導かれる砥粒が入り込む隙
間を塞いでしまうものの、試験に示した範囲では、効率
よく供給される砥粒をより強く押さえこむことで切断時
間を短縮していることがわかる。これも、砥粒がより確
実に切断点へ導かれる本発明の作用による効果である。
【0029】
【発明の効果】本発明の被加工物自転型ワイヤソー及び
ウェハ製造方法により、第1に切断時間の短縮が実現で
きる。短縮の度合いは様々な条件により異なるが、およ
そ従来のワイヤソーに比べて切断時間は半分に短縮でき
る。これは、単位時間あたりのウェハの製造量を倍加さ
せ、ひいてはウェハの単価を低下させることになるか
ら、とりわけ大量のシリコンウェハを必要とする半導体
製造業に大きく貢献することとなる。また、切断時間の
短縮は、大口径化するシリコンウェハを効率よく切断
し、ウェハを製造できることを意味する。
【0030】第2に、得られるウェハ表面の表面粗度が
改善され、集積度が高まる半導体製造におけるウェハの
品質要求に応えられるようになる。これは、現在の半導
体製造の要求に応えるだけでなく、将来更に微細化する
と言われる超微細配線プロセス(コンマミクロンオーダ
ー)にも使用可能なシリコンウェハの提供をも可能にす
ることを意味する。
【0031】より精密かつ平坦なウェハを得るには、こ
のほかレーザーを用いた加工方法等もあるが、製造装置
が高価で大量生産に適さない。本発明は、ワイヤソー自
体は既存の設備で済み、別途被加工物を支持しながら回
転させる支持部を付加すればよいだけである。これか
ら、一方で設備投資は安価に抑え、他方で切断時間を短
縮し、かつ高品質なウェハを得られるため、本発明の費
用対効果は極めて高いということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被加工物自転型ワイヤソーの一構成を
示す斜視図である。
【図2】同ワイヤソー使用時におけるインゴット(被加
工物)の切断進行状況を表した断面図である。
【図3】研削用ワイヤのみを走行させて回転軸を切除し
ている状態を表した図2相当断面図である。
【図4】熱可塑性樹脂からなる回転軸を貫設したインゴ
ットを切断している状態を表した別例の図2相当断面図
である。
【図5】被加工物の自転速度と切断時間との相関をワイ
ヤの走行方向と被加工物の自転方向との関係で比較した
グラフである。
【図6】被加工物の自転の有無による切断面の表面粗度
Raの違いを比較したグラフである。
【図7】被加工物の自転速度と切断時間との相関をワイ
ヤの張力Tとの関係で比較したグラフである。
【符号の説明】
1 インゴット(被加工物) 4 ワイヤ 5 回転軸 8 ワイヤ走行部 10 支持部 12 スラリー供給部(砥粒供給部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 潤治 岡山県岡山市東畦50番地の46号 Fターム(参考) 3C058 AA05 AA11 AA18 AB01 AB04 CA01 CA04 CA05 CA06 CB03 CB05 DA02 DA03 3C069 AA01 BA06 BB02 BB04 CA04 CB01 CB04 DA06 EA01 EA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物を自転させる支持部と、研削用
    ワイヤを走行させながら前記被加工物に押し当てるワイ
    ヤ走行部と、被加工物に対する研削用ワイヤの切断点に
    向けて砥粒を供給する砥粒供給部とからなることを特徴
    とする被加工物自転型ワイヤソー。
  2. 【請求項2】 被加工物の自転方向と研削用ワイヤの走
    行方向とを同方向としたことを特徴とする請求項1記載
    の被加工物自転型ワイヤソー。
  3. 【請求項3】 被加工物を自転させる支持部と、研削用
    ワイヤを走行させながら前記被加工物に押し当てるワイ
    ヤ走行部とからなり、該研削用ワイヤには砥粒を付着さ
    せたことを特徴とする被加工物自転型ワイヤソー。
  4. 【請求項4】 被加工物の自転方向と研削用ワイヤの走
    行方向とを異方向としたことを特徴とする請求項3記載
    の被加工物自転型ワイヤソー。
  5. 【請求項5】 研削用ワイヤを走行させながら自転する
    被加工物に押し当てて該被加工物を周縁から回転軸に向
    けて切断していき、回転軸をわずかに残した段階でウェ
    ハ相当部相互を熱可塑性物質により一時的に固着した
    後、研削用ワイヤのみを走行させて残る回転軸を切除す
    ることにより、被加工物からウェハを分離することを特
    徴とするウェハ製造方法。
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