JP2000134996A - 可変速発電電動機システム - Google Patents

可変速発電電動機システム

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JP2000134996A JP10300752A JP30075298A JP2000134996A JP 2000134996 A JP2000134996 A JP 2000134996A JP 10300752 A JP10300752 A JP 10300752A JP 30075298 A JP30075298 A JP 30075298A JP 2000134996 A JP2000134996 A JP 2000134996A
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譲 久保田
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Shigehiro Kayukawa
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明洋 真岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 交流系統で異常が発生した場合、その異常を
除去した直後に交流電圧や有効電力が通常値に対して過
大になることを抑制し、即座に元の状態に復帰させる手
段を備えた可変速発電電動機システムを提供する。 【解決手段】 発電電動機14と、交流励磁手段15
と、励磁手段15からの交流励磁電流を励磁分電流Id
とトルク分電流Iqとに変換する手段12と、発電電動
機14の交流電圧制御手段8と、発電電動機14の有効
電力制御手段2と、励磁装置15の励磁分電流Idおよ
びトルク分電流Iqを制御する電流制御手段13とを備
えた可変速発電電動機システムにおいて、交流系統異常
検出手段18を設け、交流電源系統に異常が生じたとき
に励磁分電流指令値Idcおよびトルク分電流指令値Iqc
を、それぞれ、異常検出直前の入力値または予め定めら
れた所定値に保持する励磁分電流保持手段16とトルク
分電流保持手段17とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変速発電電動機
システムに係り、特に、可変周波数の交流を二次側から
印加して可変速運転する発電電動機の交流電圧および有
効電力を制御する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術としては、例えば、特
開平2−146996号公報に示されているように、交
流電力系統での異常検知に対応して有効電力指令値を操
作する方式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、交
流電力系統側で異常が発生した場合、有効電力を考慮す
るが、交流電圧変動に関しては配慮が不足している。電
源周期の数サイクル程度で終了する交流系統の異常によ
り交流電圧が低下している間に、二次励磁発電システム
では、交流電圧を上昇させるように電圧制御するため、
二次側の励磁電流が最大値まで上昇する。その結果、交
流系統の異常が除去された直後には、発電電動機の交流
電圧が異常に上昇してしまうおそれがあり、交流電圧制
御の応答を十分に高速化できない。
【0004】また、このような発電電動機を用いて系統
を安定化し動揺を抑制するシステムを構築しようとする
場合、制御応答速度の制約から最適な制御を実現できな
いという問題があった。
【0005】図1は、交流電力系統側で異常が発生した
場合における二次励磁発電システムの動作を説明する電
圧ベクトル図である。図1(a)は、通常時の電圧ベクト
ルを示している。E0は、発電電動機の誘起電圧ベクト
ルであり、VGは、発電電動機端子電圧ベクトルであ
り、VLは、交流系統の電圧ベクトルである。ZGIは、
発電電動機の漏れリアクタンスによる電圧降下分であ
り、ZTIは、主変圧器による漏れリアクタンスによる電
圧降下分である。
【0006】図1(b)は、交流系統で三相短絡事故等が
発生し、交流系統の電圧VLが低下した場合の電圧ベク
トルを示している。このような異常により交流系統の電
圧VLが低下すると、発電電動機端子電圧VGが低くなる
とともに、流れる電流が増大し、電圧降下分ZGIおよび
ZTIが大きくなる。一般に、このような状態を長く放置
することはできないので、異常が発生した送電線を切り
離し、電源周期の数サイクル程度で、交流系統の電圧V
Lを元の状態に復帰させ、図1(a)の状態に戻る。
【0007】交流電圧制御系は、発電電動機端子電圧V
Gを検出し、この電圧VGを一定にするように、発電電動
機二次側の励磁電流を制御している。しかし、制御応答
速度が電源周期の数サイクルより速い場合には、この交
流系統の異常が除去されるよりも速く発電電動機二次側
の励磁電流を増加させて、図1(c)に示すような電圧ベ
クトルになる。図1(c)の状態では、励磁電流の大きさ
を制限値まで増大させるので、発電電動機誘起電圧VG
は、最大となる。
【0008】図1(d)は、異常が発生した送電線を切り
離し、電源周期の数サイクル程度で、交流系統の電圧V
Lが元の状態に復帰した直後の電圧ベクトルを示してい
る。この状態では、発電電動機の誘起電圧E0が高くな
っているので、発電電動機端子電圧VGが高くなり、通
常時と比べて、dVだけ上昇してしまう。
【0009】二次励磁発電システムにおいて、図1(b)
のような交流系統の異常が発生している最中に、励磁電
流を増大させた場合、交流系統は、電圧が零に近くなっ
てしまうため、発電電動機は、有効電力を電力系統側に
吸収/放出できず、ほとんどの電流が無効分として働い
てしまい、交流電圧制御が働いた場合にも、有効電力制
御が働いた場合にも、同様に、図1(c)のような電圧関
係になってしまう。
【0010】本発明の目的は、交流系統で異常が発生し
た場合、その異常を除去した直後に交流電圧や有効電力
が通常値に対して過大になることを抑制し、即座に元の
状態に復帰させる手段を備えた可変速発電電動機システ
ムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、回転子巻線および固定子巻線の一方が交
流電源系統に接続された発電電動機と、交流電源から電
力を供給され可変周波数の交流を巻線の他方に出力し交
流励磁する励磁手段と、交流電源および発電電動機の回
転子の電圧位相に基づき検出したすべり位相により励磁
手段からの交流励磁電流を励磁分電流とトルク分電流と
に変換する手段と、発電電動機の交流電圧を制御するた
めに当該交流電圧の検出値に基づき励磁分電流の指令値
を決める交流電圧制御手段と、発電電動機の有効電力を
制御するために当該有効電力の算出値に基づきトルク分
電流の指令値を決める有効電力制御手段と、励磁分電流
指令値およびトルク分電流指令値に基づき励磁装置の励
磁分電流およびトルク分電流を制御する電流制御手段と
を備えた可変速発電電動機システムにおいて、交流電源
系統の異常を検出する交流系統異常検出手段を設け、交
流電源系統に異常が生じたときに励磁分電流指令値を異
常検出直前の入力値または予め定められた所定値に保持
する励磁分電流保持手段と、交流電源系統に異常が生じ
たときにトルク分電流指令値を異常検出直前の入力値ま
たは予め定められた所定値に保持するトルク分電流保持
手段との少なくとも一方の保持手段を設けた可変速発電
電動機システムを提案する。
【0012】本発明は、また、上記目的を達成するため
に、回転子巻線および固定子巻線の一方が交流電源系統
に接続された発電電動機と、交流電源から電力を供給さ
れ可変周波数の交流を巻線の他方に出力し交流励磁する
励磁手段と、交流電源および発電電動機の回転子の電圧
位相に基づき検出したすべり位相により励磁手段からの
交流励磁電流を励磁分電流とトルク分電流とに変換する
手段と、発電電動機の交流電圧を制御するために積分要
素を含み交流電圧の検出値に基づき励磁分電流の指令値
を決める交流電圧制御手段と、発電電動機の有効電力を
制御するために積分要素を含み有効電力の算出値に基づ
きトルク分電流の指令値を決める有効電力制御手段と、
励磁分電流指令値およびトルク分電流指令値に基づき励
磁装置の励磁分電流およびトルク分電流を制御する電流
制御手段とを備えた可変速発電電動機システムにおい
て、交流電源系統の異常を検出する交流系統異常検出手
段を設け、交流電源系統に異常が生じたときに交流電圧
の検出値の積分要素を含む交流電圧制御手段への入力を
阻止する交流電圧誤差蓄積抑止手段と、交流電源系統に
異常が生じたときに有効電力の算出値の積分要素を含む
有効電力制御手段への入力を阻止する有効電力誤差蓄積
抑止手段との少なくとも一方の抑止手段を設けた可変速
発電電動機システムを提案する。
【0013】前記交流系統異常検出手段は、交流電圧の
検出値に基づき交流電源系統側の異常の有無を判断する
手段であり、より具体的には、三相の交流電圧の正相分
の検出値に基づき交流電源系統側の異常の有無を判断す
る手段である。
【0014】前記交流系統異常検出手段は、交流電源系
統側の異常を検出する電圧レベルよりも異常からの回復
を検出する電圧レベルを高くしたヒステリシス特性を持
つことが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、図1ないし図6を参照し
て、本発明による可変速発電電動機システムの実施例を
説明する。
【0016】《実施例1》図2は、本発明による可変速
発電電動機システムの実施例1の制御構成を示すブロッ
ク図であり、図3は、図2の実施例1における交流系統
異常検出器18の構成の一例を示すブロック図であり、
図4は、図2の実施例1における交流系統異常検出器1
8の構成の他の例を示すブロック図である。
【0017】実施例1においては、主変圧器Mtrを介し
て、発電電動機14を電力系統V0に接続してある。ま
た、励磁用変圧器Etrおよび主変圧器Mtrを介して、励
磁装置15を電力系統V0に接続し、励磁装置15によ
り可変周波数の交流を発生させ、発電電動機14の回転
子巻線を交流励磁する。励磁装置15は、交流を一度直
流に変換してその直流をさらに所望の周波数の交流に変
換する間接交流変換器すなわち順変換器および逆変換器
からなる変換装置を用いてもよいし、直流を介在させず
に交流を直接所望の周波数の交流に変換する直接交流変
換器すなわちサイクロコンバータを用いてもよい。
【0018】電源電圧位相検出器9は、電源電圧の位相
を検出する。発電電動機14の回転子の位相検出器10
は、発電電動機14の回転子の位相を検出する。回転子
の位相検出器10としては、発電電動機14の回転子の
回転位置に応じて、90度の位相差を持つ二相の正弦波
信号を出力するレゾルバ装置等を使用できる。
【0019】すべり位相検出器11は、位相検出器9が
検出した電源電圧の位相信号と位相検出器10が検出し
た回転子の位相信号とに基づき、すべり位相を出力す
る。
【0020】電流検出器12は、すべり位相検出器11
で検出したすべり位相を用いて、励磁装置15からの励
磁電流を、回転座標系の直交二軸電流である励磁分電流
Idとトルク分電流Iqとに変換する。励磁分電流Id
は、図1の発電電動機端子電圧VGを決定し、トルク分
電流Iqは、発電電動機の有効電力を決定する。
【0021】電流制御器13は、励磁分電流Idが励磁
分電流指令値Idcに一致するように、トルク分電流I
qがトルク分電流指令値Iqcに一致するように、励磁
装置15を制御する。
【0022】交流電圧検出器7は、交流電圧VLaを検出
する。交流電圧検出値VLaは、三相の交流電圧をVu,
Vv,Vwとした場合、数式1により、電圧の振幅値とし
て検出される。数式1を用いて得られる三相交流の振幅
値は、瞬時振幅値であり、三相の交流電圧に直流分や不
平衡分が生じた場合は、電源周波数またはその2倍の周
波数の成分が生じる。これに対して、離散フーリエ変換
を利用して正相分のみを検出すると、振動成分を除去で
きる。
【0023】
【数1】
【0024】同様に、三相の交流電圧をVu,Vv,Vw
として、電源周期をT、電源周波数をω、周期T内のサ
ンプリング回数をnとした場合、数式2により、交流電
圧VLaを求めることができる。数式2を用いた場合は、
電源周波数の整数倍の高調波成分が除去されるため、交
流電圧の正相分が安定して得られる。
【0025】
【数2】
【0026】交流電圧制御器8は、交流電圧検出器7で
検出した交流電圧検出値VLaが交流電圧指令値Vcに一
致するように制御する。例えば、比例積分要素を含んだ
制御器を用いて、交流電圧指令値Vcと交流電圧検出値
VLaとの差が零になるように、励磁分電流指令値Idcを
決定する。
【0027】有効電力検出器5は、可変速発電電動機シ
ステムの出力電流と発電電動機14の端子電圧とから、
可変速発電電動機システムの有効電力Pを検出する。有
効電力Pは、数式1で得られるVa,Vbと三相の電流I
u,Iv,Iwとを用いて、数式3により得られるIaおよ
びIbから求められる。数式3により得られる有効電力
Pは、瞬時電力であり、電圧や電流に不平衡が生じた場
合は、振動した検出値となる。
【0028】
【数3】
【0029】これに対して、数式2で得られるVr,V
iと、三相の電流Iu,Iv,Iwに基づき得られるIr,
Iiとを用いて、数式4により有効電力Pを求めてもよ
い。数式4によれば、有効電力Pの正相分を検出でき、
電圧や電流に重畳された電源の正数倍周波数の高調波や
直流分の影響を除去でき、交流系統の異常中にも、有効
電力を安定して検出できる。
【0030】
【数4】
【0031】有効電力制御器2は、有効電力検出器5で
検出した有効電力Pが有効電力指令値Pcに一致するよ
うに制御する。例えば比例積分要素を含んだ制御器を用
いて、有効電力指令値Pcと可変速発電電動機システム
の有効電力Pとの差が零になるように、トルク分電流指
令値Iqcを決定する。
【0032】交流系統異常検出器18は、交流系統の異
常により交流系統電圧が異常に低下した場合に、異常検
出信号Fをセットし、電圧が通常状態に戻った時点で、
異常検出信号Fをクリアする。
【0033】図3は、図2の実施例1における交流系統
異常検出器18の構成の一例を示すブロック図である。
交流系統異常検出器18は、電圧振幅検出器40と、電
圧レベル判定器41とを含んでいる。電圧振幅検出器4
0は、数式1または数式2に基づき、交流電圧の振幅を
検出し、電圧振幅検出値を出力する。電圧レベル判定器
41は、出力された電圧振幅検出値が電圧低下検出レベ
ルVdよりも低い場合に、異常検出信号セットレベル信
号Setにより異常検出信号Fを出力し、電圧振幅検出値
が電圧復帰検出レベルVupより高い場合に、異常検出信
号クリアレベル信号Clrにより異常検出信号Fをクリア
する。
【0034】電圧低下検出レベルVdよりも電圧復帰検
出レベルVupを大きく設定して、ヒステリシス特性を持
たせると、電圧振幅検出器40の出力が検出レベル近傍
でふらついた場合にも、安定した出力が得られる。
【0035】図4は、図2の実施例1における交流系統
異常検出器18の構成の他の例を示すブロック図であ
る。本例は、電圧振幅検出器40が瞬時電圧振幅を求め
る数式1に基づき交流電圧の振幅を検出した際、電圧の
不平衡成分や直流分の影響により検出値が変動する場合
に、異常検出信号Fを確実に得るための検出器構成を採
用している。電圧振幅検出器40の検出値は、フィルタ
42を介して電圧レベル判定器41に入力される。すな
わち、交流電圧の不平衡成分等に起因する電源周波数の
正数倍成分の変動をフィルタ42により減衰させて電圧
レベル判定器41に入力する。この構成により、交流系
統異常時の電圧不平衡状態でも、異常検出信号Fが確実
に得られる。
【0036】既に説明したように、電圧振幅検出器40
として数式2を用いる場合は、交流系統異常時の電圧不
平衡状態でも安定した電圧振幅検出値が得られるので、
図3の構成で十分である。
【0037】図2の励磁分電流保持器16は、異常検出
信号Fがセットされていない場合、入力された励磁分電
流指令値Idcをそのまま出力し、異常検出信号Fがセッ
トされた場合は、出力値を異常検出信号Fがセットされ
る直前の入力値または予め定められた所定値に保持す
る。
【0038】トルク分電流保持器17は、異常検出信号
Fがセットされていない場合、入力されたトルク分電流
指令値Iqcをそのまま出力し、異常検出信号Fがセット
された場合は、出力値を異常検出信号Fがセットされる
直前の入力値または予め定められた所定値に保持する。
【0039】交流電圧制御器8および有効電力制御器2
が積分系の制御要素を含む制御構成では、交流系統異常
が発生している間の誤差の蓄積を防ぐために、異常検出
信号Fがセットされた場合、積分動作を停止する機能を
備える。
【0040】このような構成の制御装置によれば、図1
(b)に示した電圧状態になっても、励磁電流が一定に保
持されるので、発電機誘起電圧E0が一定となり、交流
電圧制御器8や有効電力制御器2が非常に高速に応答し
た場合、図1(c)のような電圧関係になることが防止さ
れることになり、交流系統の異常が除去された直後に、
図1(a)の状態に戻るように制御し、過大な電圧の発生
を防止できる。
【0041】励磁分電流保持器16は、異常検出信号F
がセットされていない場合は、入力された励磁分電流指
令値Idcをそのまま出力し、異常検出信号Fがセットさ
れた場合は、出力値を異常検出信号Fがセットされる直
前の入力値または予め定められた所定値に設定する設定
機能を持たせれば、交流系統で異常が発生している間
は、励磁分電流指令値Idcを零に絞っておき、異常回復
直後は、交流電圧制御器8に保持された異常検出直前の
出力に速やかに戻すことができる。
【0042】トルク分電流保持器17も、同様に、異常
検出信号Fがセットされていない場合は、入力されたト
ルク分電流指令値Iqcをそのまま出力し、異常検出信号
Fがセットされた場合は、出力値を予め定められた所定
値に設定する機能を持たせれば、異常回復直後は、異常
検出信号Fがセットされる直前の出力に速やかに戻すこ
とができる。
【0043】励磁分電流保持器16およびトルク分電流
保持器17にこのような機能を持たせると、交流系統で
異常が継続している間は、発電電動機14の励磁電流を
小さくして、固定子側に過大な電流が流れることを防止
し、交流系統の異常回復直後には、異常検出信号Fによ
り積分系に保持された異常検出直前の出力に速やかに戻
すことができ、交流系統の異常が回復した直後の制御性
能を高められる。
【0044】《実施例2》図5は、本発明による可変速
発電電動機システムの実施例2の制御構成を示すブロッ
ク図である。
【0045】実施例2の交流電圧誤差蓄積抑止器21
は、交流系統異常検出器18の出力である異常検出信号
Fがセットされた場合に出力を零とし、異常検出信号F
がセットされていない場合は、入力値Veをそのまま出
力する。
【0046】交流電圧制御器24は、積分要素を含む制
御器で例えば比例積分制御器などで構成する。交流系統
の異常を検出した場合には、交流電圧制御器24の入力
が零となるため、それまでに積分系の制御要素に蓄積さ
れた励磁分電流指令値Idcが出力され、交流系統異常中
の誤差の蓄積を防止できる。
【0047】有効電力誤差蓄積抑止器22は、交流系統
異常検出器18の出力である異常検出信号Fがセットさ
れた場合に出力を零とし、異常検出信号Fがセットされ
ていない場合は、入力値Peをそのまま出力する。
【0048】有効電力制御器23は、積分要素を含む制
御器であり、例えば比例積分制御器などで構成する。交
流系統の異常を検出した場合には、有効電力制御器23
の入力が零となるため、それまでに積分系の制御要素に
蓄積されたトルク分電流指令値Iqcが出力され、交流系
統異常中の誤差の蓄積を防止できる。
【0049】このように交流系統の異常時に制御系への
入力誤差を零とすれば、制御系に積算される誤差の蓄積
が零となるため一定の出力状態を保持でき、交流系統の
状態復帰時には、異常発生前の状態に戻ることができ
る。
【0050】図6は、本発明の励磁分電流指令値Idc,
トルク分電流指令値Iqc,発電電動機端子電圧VGの推
移を従来方式と比較して示す図である。
【0051】既に述べたように、従来方式の交流電圧制
御系では、発電電動機端子電圧VGを検出し、この電圧
VGを一定にするように、発電電動機二次側の励磁電流
を制御している。しかし、制御応答速度が電源周期の数
サイクルより速い場合には、この交流系統の異常が除去
されるよりも速く発電電動機二次側の励磁電流を増加さ
せて、図1(c)に示すような電圧ベクトルになる。図1
(c)の状態では、励磁分電流指令値Idcやトルク分電流
指令値Iqcを変えることにより、励磁電流の大きさを制
限値まで増大させるので、発電電動機誘起電圧VGは、
最大となる。したがって、その後は、発電電動機誘起電
圧VGにオーバーシュートやリンギングが生じてしま
い、異常発生前の状態に戻るには、時間が掛かってい
た。
【0052】これに対して、本発明においては、異常検
出信号Fがセットされた場合に、出力値を異常検出信号
Fがセットされる直前の励磁分電流指令値Idcやトルク
分電流指令値Iqcまたは予め定められた所定値に保持す
るので、発電電動機誘起電圧VGは、オーバーシュート
やリンギングを抑制される。交流電圧制御器8や有効電
力制御器2が非常に高速に応答した場合でも、図1(c)
のような電圧関係になることを抑制し、交流系統の異常
が除去された直後には、図1(a)の状態に戻るように制
御し、過大な電圧の発生を防止できる。
【0053】本発明による可変速発電電動機システムを
応用した可変速揚水発電システムや可変速フライホイー
ル発電システム等では、交流系統の異常中に交流電圧制
御や有効電力制御の制御が乱されることなく運転できる
ので、このような交流系統の異常時を考えて制御応答の
速さを遅く設定する必要が無く、システムとして最適な
応答の設定が可能となり、高速な交流電圧制御応答およ
び有効電力制御応答を実現し、電力系統の動揺抑制や安
定化に際して最適なシステムを構築できる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、固定周波数の交流系統
で三相短絡等の異常が発生した場合、その異常を検出し
て励磁電流を異常検出直前の入力値または予め定められ
た所定値に保つので、異常除去直後に交流電圧や有効電
力が通常値に対して過大になることはなく、元の状態に
速やかに復帰できる。
【0055】また、固定周波数の交流系統が異常になっ
たことを検出し、発電電動機の固定子巻線の電圧調整手
段や有効電力調整手段の動作を停止させるので、交流系
統で三相短絡等の異常が発生した場合には、励磁分電流
指令やトルク分電流指令を一定に保つことができ、異常
除去直後には、交流電圧や有効電力が過大になることな
く、元の状態に速やかに復帰できる。
【0056】さらに、交流系統の異常検出に際して、正
相分に対応する電圧を検出する手段を備えているので、
交流電圧が不平衡の状態下でも、交流系統の異常を安定
して検出できる。
【0057】その結果、交流系統の異常中に交流電圧制
御や有効電力制御の制御が乱されることなく、可変速発
電電動機システムを運転でき、システムとして最適な応
答設定が可能となり、高速な交流電圧制御応答および有
効電力制御応答を実現し、電力系統の動揺抑制や安定化
に際して最適なシステムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】交流電力系統側で異常が発生した場合における
二次励磁発電システムの動作を説明する電圧ベクトル図
である。
【図2】本発明による可変速発電電動機システムの実施
例1の制御構成を示すブロック図である。
【図3】図2の実施例1における交流系統異常検出器の
構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図2の実施例1における交流系統異常検出器の
構成の他の例を示すブロック図である。
【図5】本発明による可変速発電電動機システムの実施
例2の制御構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の励磁分電流指令値Idc,トルク分電流
指令値Iqc,発電電動機端子電圧VGの推移を従来方式
と比較して示す図である。
【符号の説明】
Clr 異常検出信号クリアレベル dV 発電電動機端子電圧VGの上昇分 E0 発電電動機誘起電圧ベクトル Etr 励磁用変圧器 F 異常検出信号 Id 励磁分電流検出値 Idc 励磁分電流指令値 Iq トルク分電流検出値 Iqc トルク分電流指令値 Mtr 主変圧器 P 有効電力 Pc 有効電力指令値 Pe 入力値 Set 異常検出信号セットレベル V0 電力系統 Vc 交流電圧指令値 VG 発電電動機端子電圧 VL 交流系統電圧ベクトル VLa 交流電圧検出値 Vu 三相交流電圧 Vv 三相交流電圧 Vw 三相交流電圧 ZGI 発電電動機の漏れリアクタンスによる電圧降下分 ZTI 主変圧器の漏れリアクタンスによる電圧降下分 2 有効電力制御器 5 有効電力検出器 7 交流電圧検出器 8 交流電圧制御器 9 電源電圧位相検出器 10 発電電動機回転子位相検出器 11 すべり位相検出器 12 電流検出器 13 電流制御器 14 発電電動機 15 励磁装置 16 励磁分電流保持器 17 トルク分電流保持器 18 交流系統異常検出器 21 交流電圧誤差蓄積抑止器 22 有効電力誤差蓄積抑止器 23 有効電力制御器 24 交流電圧制御器 40 電圧振幅検出器 41 電圧レベル判定器 42 フィルタ
フロントページの続き (72)発明者 久保田 譲 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 本部 光幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 粥川 滋広 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 真岡 明洋 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 加藤 有一 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 西尾 徹 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 両満 明 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 5H590 AA11 AA21 AA24 AB01 CA12 CC05 CC10 CC18 CC24 CD01 CD03 CD05 CE01 DD43 EA14 EB02 EB14 EB20 EB21 EB29 FA08 FB07 FC27 GA02 GA06 HA02 HA04 HA06 HA10 HB20 JA06 JA12 JA13 JA19 JB15 JB16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子巻線および固定子巻線の一方が交
    流電源系統に接続された発電電動機と、前記交流電源か
    ら電力を供給され可変周波数の交流を前記巻線の他方に
    出力し交流励磁する励磁手段と、前記交流電源および前
    記発電電動機の回転子の電圧位相に基づき検出したすべ
    り位相により前記励磁手段からの交流励磁電流を励磁分
    電流とトルク分電流とに変換する手段と、前記発電電動
    機の交流電圧を制御するために当該交流電圧の検出値に
    基づき前記励磁分電流の指令値を決める交流電圧制御手
    段と、前記発電電動機の有効電力を制御するために当該
    有効電力の算出値に基づき前記トルク分電流の指令値を
    決める有効電力制御手段と、前記励磁分電流指令値およ
    びトルク分電流指令値に基づき前記励磁装置の励磁分電
    流およびトルク分電流を制御する電流制御手段とを備え
    た可変速発電電動機システムにおいて、 前記交流電源系統の異常を検出する交流系統異常検出手
    段を設け、 前記交流電源系統に異常が生じたときに前記励磁分電流
    指令値を前記異常検出直前の入力値または予め定められ
    た所定値に保持する励磁分電流保持手段と、前記交流電
    源系統に異常が生じたときに前記トルク分電流指令値を
    前記異常検出直前の入力値または予め定められた所定値
    に保持するトルク分電流保持手段との少なくとも一方の
    保持手段を設けたことを特徴とする可変速発電電動機シ
    ステム。
  2. 【請求項2】 回転子巻線および固定子巻線の一方が交
    流電源系統に接続された発電電動機と、前記交流電源か
    ら電力を供給され可変周波数の交流を前記巻線の他方に
    出力し交流励磁する励磁手段と、前記交流電源および前
    記発電電動機の回転子の電圧位相に基づき検出したすべ
    り位相により前記励磁手段からの交流励磁電流を励磁分
    電流とトルク分電流とに変換する手段と、前記発電電動
    機の交流電圧を制御するために積分要素を含み前記交流
    電圧の検出値に基づき前記励磁分電流の指令値を決める
    交流電圧制御手段と、前記発電電動機の有効電力を制御
    するために積分要素を含み前記有効電力の算出値に基づ
    き前記トルク分電流の指令値を決める有効電力制御手段
    と、前記励磁分電流指令値およびトルク分電流指令値に
    基づき前記励磁装置の励磁分電流およびトルク分電流を
    制御する電流制御手段とを備えた可変速発電電動機シス
    テムにおいて、 前記交流電源系統の異常を検出する交流系統異常検出手
    段を設け、 前記交流電源系統に異常が生じたときに前記交流電圧の
    検出値の前記積分要素を含む交流電圧制御手段への入力
    を阻止する交流電圧誤差蓄積抑止手段と、前記交流電源
    系統に異常が生じたときに前記有効電力の算出値の前記
    積分要素を含む有効電力制御手段への入力を阻止する有
    効電力誤差蓄積抑止手段との少なくとも一方の抑止手段
    を設けたことを特徴とする可変速発電電動機システム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の可変速発電電
    動機システムにおいて、 前記交流系統異常検出手段が、前記交流電圧の検出値に
    基づき前記交流電源系統側の異常の有無を判断する手段
    であることを特徴とする可変速発電電動機システム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の可変速発電電動機シス
    テムにおいて、 前記交流系統異常検出手段が、三相の前記交流電圧の正
    相分の検出値に基づき前記交流電源系統側の異常の有無
    を判断する手段であることを特徴とする可変速発電電動
    機システム。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の可変速発電電
    動機システムにおいて、 前記交流系統異常検出手段が、前記交流電源系統側の異
    常を検出する電圧レベルよりも前記異常からの回復を検
    出する電圧レベルを高くしたヒステリシス特性を持つこ
    とを特徴とする可変速発電電動機システム。
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JP2015089331A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 ゲーエー ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲー 電力供給ネットワークに接続された発電機の運転方法

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