JP2000129387A - 立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料およびその製造方法 - Google Patents

立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料およびその製造方法

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JP2000129387A JP10298960A JP29896098A JP2000129387A JP 2000129387 A JP2000129387 A JP 2000129387A JP 10298960 A JP10298960 A JP 10298960A JP 29896098 A JP29896098 A JP 29896098A JP 2000129387 A JP2000129387 A JP 2000129387A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 立方晶窒化硼素を分散した複合材料を、鋼製
の機械本体もしくは固定用の鋼製治具にロウ付け接合す
る際、発生する熱応力による欠けを抑制できる焼結体と
その製造方法とを提供。 【解決手段】 線膨張係数が異なる硬質材料を3層以上
積層した立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料であ
る。各層の線膨張係数は最上層から最下層に向かうに従
って大きくなる順に構成され、立方晶窒化硼素は最上層
にのみ含有される。最上層は平均粒径0.5〜100μmの立
方晶窒化硼素粒子を10〜50体積%含有し、残部が超硬合
金およびサーメットの少なくとも一方を主体とする。最
下層はWCを主体とする硬質相と、25〜70体積%の鉄族金
属を主体とする結合相とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超硬およびサーメッ
トの少なくとも一方と立方晶窒化硼素粒子とを複合化し
たロウ付けに最適な複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、WC基超硬合金はその優れた靭性、
耐摩粍性によりその適用分野を大幅に広げてきている。
その適用範囲の拡大のため、特開平7−300375号公報、
特開平9−194909号公報には超硬合金を積層構造にした
り、鋼と同時焼結することで、溶接可能とするなどの提
案がなされている。しかしながら、これらの方法は従来
の超硬合金と比較してコストが高くなるなどの問題点を
有し、特殊な用途でしかその特性を発揮することができ
なかった。
【0003】また、立方晶窒化硼素焼結体も超硬合金を
大幅に上回る耐摩耗性により、その適用分野を増大して
きている。しかしながら従来の立方晶窒化硼素焼結体は
超高圧発生容器により製造されるため、製造コストが極
めて高く、また大径品が作製できないなど形状面でも制
約が大きい上、その強度、靭性は超硬合金と比較して劣
るため、限定された用途でしかその優れた性能を発揮す
ることができなかった。
【0004】これに対して、本発明者らは上記問題点を
解決するため、超硬合金マトリックス中に立方晶窒化硼
素を分散した焼結体を超高圧発生容器を用いずに通電加
圧焼結により製造する方法を提案(特開平9−194978号
公報)し、安価で耐摩耗性に優れた焼結体を作製するこ
とができるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】立方晶窒化硼素の含有
量が50%を越える立方晶窒化硼素焼結体は、一般に超高
圧容器を用いて製造されるときにWC基超硬合金を基体と
して焼結接合している。これは立方晶窒化硼素焼結体を
耐摩材料として使用する場合に鋼などでできた構造物や
機械本体との接合が立方晶窒化硼素焼結体と直接接合す
ることができず、超硬合金を同時焼結して、超硬合金と
鋼間をロウ付け処理することで接合力を確保するためで
ある。しかしながら、立方晶窒化硼素焼結体は立方晶窒
化硼素の含有量が一般に80体積%以上と大きく、立方晶
窒化硼素の熱膨張係数は超硬合金や鋼のそれと比較する
と小さいことから、両者の熱膨張係数差が大きく、ロウ
付け加工時に発生した熱応力により焼結体に割れを生じ
やすい。そのため、焼結体の長さまたは径を30mm以下に
小さくすることで応力緩和しながらロウ付け接合を行っ
ている。
【0006】超硬合金については、特開平7−300375号
公報において、超硬合金を積層構造とし、焼結炉内に温
度傾斜を設けることで残留応力の発生の少ない溶接可能
な超硬合金が提案されたり、特開平9−194909号公報に
は鋼と同時焼結することで溶接可能な超硬合金が提案さ
れている。これらの提案で超硬合金の適用範囲は確かに
拡大したが、これらの材料では耐摩耗性の大きな改善が
見られないため、特殊な焼結法や特殊な黒鉛型を採用し
たことによるコスト増が大きく、その適用範囲は限定さ
れたものであった。また、溶接による直接接合法は溶接
加工時の熱により立方晶窒化硼素の劣化が起こりやすい
と言う問題もある。その上、鋼と同時焼結することで黒
鉛型が大型化し、コスト増となる問題点もあった。
【0007】従って、本発明の主目的は、立方晶窒化硼
素を分散した複合材料を、鋼製の機械本体もしくは固定
用の鋼製治具にロウ付け接合する際、発生する熱応力に
よる欠けを抑制できる焼結体とその製造方法とを提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
に鑑み種々の試験・検討を行った結果、立方晶窒化硼素
粒子を含む硬質材料の下層に超硬合金およびサーメット
の少なくとも一方からなる硬質材料を積層して接合し、
その積層数や最上層の立方晶窒化硼素粒子の粒径、含有
量、最下層の金属結合相量、WCの平均粒度などを最適化
することで、各層の熱膨張係数を上層から下層に向かっ
て大きくなるように配置し、最下層を鋼にロウ付け接合
するのに好適な焼結体が作製できることを見出して本発
明に至ったものである。
【0009】すなわち、本発明のロウ付け用複合材料
は、線膨張係数が異なる硬質材料を3層以上積層した立
方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料において、各層の
線膨張係数が最上層から最下層に向かうに従って大きく
なる順に構成されている。ここで、立方晶窒化硼素粒子
は最上層にのみ含有されており、最上層は平均粒径0.5
〜100μmの立方晶窒化硼素粒子を10〜50体積%含有し、
残部が超硬合金およびサーメットの少なくとも一方を主
体とする。また、最下層はWCを主体とする硬質相と、25
〜70体積%の鉄族金属を主体とする結合相とからなる。
なお、各層の厚みを薄くし、各層の組成変化を僅かづつ
とすることで、硬質材料の厚さ方向における線膨張係数
の変化が実質的に連続する構成も本発明に含む。
【0010】硬質材料の積層数を3層以上としたのは、
積層数が3層未満では鋼とロウ付けする際に鋼と最下層
の熱膨張係数差または最上層と最下層の熱膨張係数差が
大きくなりすぎて大きな熱応力が発生し、亀裂または割
れが生じやすくなるためである。
【0011】立方晶窒化硼素の含有量を10〜50体積%と
したのは10体積%より立方晶窒化硼素が少ないと立方晶
窒化硼素を含有させたことによる特性向上の効果が現れ
にくく、50体積%より立方晶窒化硼素が多いとロウ付け
時の割れ発生が起こりやすくなるためである。特に好ま
しいのは15〜40体積%である。また、立方晶窒化硼素粒
子の粒径を0.5〜100μmとしたのは、0.5μmよりも粒
径が小さいと優れた耐摩耗性が得られないためであり、
100μmよりも大きいとロウ付け時の割れ発生が起こり
やすくなるためである。特に好ましいのは1〜60μmで
ある。なお、立方晶窒化硼素粒子は最上層にのみ含有さ
れるが、これは最上層以外に立方晶窒化硼素粒子が含ま
れると、ロウ付け時の割れ発生が起こりやすくなるため
である。次に最上層の厚みは0.1〜4mmであることが好
ましい。これは、4mmよりも厚いと、ロウ付け時の割れ
が起こりやすいためであり、0.1mmよりも薄いと優れた
耐摩耗性が得られにくくなるためである。特に好ましい
厚みは0.5〜3mmである。
【0012】最上層の立方晶窒化硼素粒子には200〜150
0MPaの圧縮残留応力が導入されていることが好ましい。
これによりロウ付け時の引っ張りの熱応力が発生しても
打ち消す方向に働くため、ロウ付け時の割れの発生が抑
制される。また、この圧縮残留応力によリ立方晶窒化硼
素粒子の脱落が抑制され、優れた耐摩粍性の複合材料と
できる。この圧縮残留応力の値が200MPaを下回るとロウ
付け時の割れ抑制や立方晶窒化硼素粒子の脱落防止の効
果が得られにくく、1500MPaを上回ると焼結体の強度が
低下する。特に好ましいのは300〜1000MPaのときであ
る。
【0013】なお、この最上層のマトリックスである硬
質合金の結合相にはCoが好ましいが、耐食性を向上させ
たい場合にはNiやCrで置き換えても構わない。また、WC
の少なくとも一部を周期律表第IVa、Va、VIa族元素の炭
化物、窒化物又は炭窒化物、例えばTiC、TiCN、TiN、Mo
2C、TaC、NbCなどで置き換えても構わない。
【0014】次に、最下層のWC基超硬合金中の結合相は
25〜70体積%の鉄族金属を含有する。これは、25体積%
未満であるとロウ付け時の熱応力による割れ発生の抑制
効果が小さく、70体積%を越えると超硬合金としての優
れた性能が低下するためである。鉄族金属としてはロウ
付け時の割れ抑制の観点からCoを主体とすることが好ま
しく、NiやFeなどを一部に用いても構わない。また、結
合相中には周期律表第IVa、Va、VIa族元素、例えばCr、
Ta、Ti、Zrなどが固溶されていると強度の観点から好ま
しい。なお、硬質相であるWCの一部をTiの炭化物、窒化
物又は炭窒化物で置き換えても構わないが、最も好まし
いのはWCとCoもしくはWCとCrが固溶したCoからなる超硬
合金である。
【0015】WCの結晶粒径は1〜5μmであることがロウ
付け時の割れ発生抑制および亀裂進展抑制の観点から好
ましい。特に好ましいのはWCの平均粒径が1〜3μmのと
きである。
【0016】また、前記最下層のWCの平均粒径よりも、
前記最上層中のWCの平均粒径を小さくすると、最上層の
耐摩耗性向上と最下層の耐熱亀裂性向上が両立し、かつ
最上層の焼結性も焼結中に生成した液相の毛細管現象が
WCの微粒化で起こりやすくなって向上するため好まし
い。特に、最上層のWCの平均粒径が1μmよりも小さい
と、前記効果が顕著となり好ましい。
【0017】さらに、前記最下層のHv硬度が1000kg/m2
以下であるようにすると、特に優れた耐熱亀裂性を有す
ることができ、ロウ付け加工性が向上する。なお、本発
明の複合材料は、ロウ付け加工前に金属や合金を複合材
料の最下面にコーティングやメタライズし、ロウ付け作
業性、ロウ付け強度を高めることができる。
【0018】以上のような構造とすることで、従来の超
高圧装置で作製された立方晶窒化硼素焼結体では難しか
ったロウ付け面の最大長さが50mm以上の耐摩材料のロウ
付けが熱亀裂の発生なしで行うことができる。そのた
め、作業性の向上やロウ付けコストの低減、ロウ付け時
の寸法精度向上による加工取りしろの低減により、立方
晶窒化硼素粒子を含む難削性硬質材料の研削加工コスト
の低減が可能となる。また、超高圧装置を使用しないこ
とによる大幅な製造コストの低減およびその優れた耐摩
耗性により、従来の超硬合金や立方晶窒化硼素焼結体よ
りも優れたコストパフォーマンスが期待できるようにな
る。
【0019】本発明の複合材料は内径50mm以上、好まし
くは80mm以上の黒鉛型を用いて、通電加圧焼結法によっ
て製造されることが好ましい。すなわち、所定の組成に
混合した各層の原料粉末を線膨張係数が最上層から最下
層に向かうに従って大きくなる順に黒鉛型に装填し、通
電加圧焼結により黒鉛型内の原料粉末を焼結することで
焼結体を得る。この製造法によれば、超高圧発生容器を
使わずとも立方晶窒化硼素粒子を含有する硬質材料の作
製が可能であり、製造コストの低減および大サイズの焼
結体の製造が可能となる。また、低温での短時間焼結が
可能であるので、組成の異なる硬質材料を2層以上と立
方晶窒化硼素を含有する硬質材料を積層した状態で組成
の変動を極力少なくして同時焼結することが可能であ
る。
【0020】なお、この焼結法を用いた場合の好ましい
製造条件は以下の通りである。すなわち、焼結温度は硬
質材料に液相が生成する温度であることが好ましく、前
記焼結温度での保持時間が20秒以上10分以内、加圧力が
5〜100MPaの条件で通電加圧焼結して製造されると好ま
しい。ここで、液相生成温度での保持時間は20秒以上10
分以内が好ましい。これは、20秒よりも液相生成温度で
の焼結時間が短いと緻密化が不十分であり、10分よりも
長いと立方晶窒化硼素の劣化が起こりやすいためであ
る。特に、前記通電加圧焼結が1〜100msecのパルス電流
を用いて行われた場合には、非常に緻密で立方晶窒化硼
素の脱落が生じにくい焼結体を得ることができる。
【0021】本発明の複合材料は以上に記載したよう
に、大サイズの焼結体でも良好なロウ付け加工が可能で
耐摩耗性と靭性に優れるため、超硬合金や超高圧発生容
器を用いて製造される立方晶窒化硼素焼結体と比較し
て、コストパフォーマンスに優れる。特に鋼にロウ付け
接合して用いられる耐摩耗材料として使用されたとき
に、その優れた性能を発揮できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (実施例1)平均粒径3μmのWC粉末、平均粒径1μmのC
o、Ni、Cr粉末、平均粒径2μmのTiCN粉末、平均粒径30
μmの立方晶窒化硼素(cBN)粉末を準備し、表1の組成
に配合後、ボールミルを用いて混合し、焼結用粉末を用
意した。このようにして準備した粉末を各層の厚みが焼
結後に2mmとなるように表1の順に積層して、内径80mmの
黒鉛型に充填し、0.01Torr以下の真空中で圧力20MPaを
付加しながら、パルス電流を流して通電加圧焼結した。
昇温パターンは10分間で1330℃まで昇温、その温度で1
分間保持して、30℃/minの速度で冷却した。このよう
にして得られた焼結体No.1-1〜No.1-11は直径が80mm、
各層の厚みが2mmで総厚みが4〜8mmの焼結体で、割れも
なく良好な外観を呈していた。
【0023】
【表1】
【0024】次に、これらの焼結体からワイヤカット装
置を用いて長さ70mm、幅10mmの短冊状の試験片を切りだ
し、ワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用い
て平面研削後、S45C製鋼材に銀ロウ(住友電工製SA4)
とフラックス(硝酸25%、硼砂30%、酸性フッ化カリ45
%)を用いて、高周波炉で大気中、500℃以上に加熱し
ながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行った。その結果
を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】本発明品であるNo.1-2、1-3、1-6、1-7、1
-8、1-11の試料には熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好
に接着していることが確認できた。一方、本発明品でな
いNo.1-1、1-4、1-5、1-9、1-10の試料にはロウ付け時
に発生したと思われる熱亀裂や割れが発生し、良好なロ
ウ付けができなかった。No.1-1は硬質材料が2層しかな
く、No.1-4、1-5は線膨張係数の配列が下層に向かうに
従って大きくなっていない。また、No.1-9は最下層にお
けるCo量が多すぎ、No.10は最下層の硬質相がWCを主体
として構成されていない。
【0027】(実施例2)実施例1で作製したNo.1-2と同
じ構造の焼結体を最上層の立方晶窒化硼素粒径のみ表3
に示すように変化させて、試料No.2-1〜2-8を実施例1と
同様にして作製した。さらに、これらの試料から、実施
例1と同様に長さ70mm、幅10mmの短冊状の試験片を切り
だし、ワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用
いて平面研削後、SK5製鋼材に銀ロウ(住友電工製SA3)
とフラックス(硝酸25%、硼砂30%、酸性フッ化カリ45
%)を用いて、高周波炉で大気中、500℃以上に加熱し
ながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行ない、熱亀裂の
発生の有無を評価した。
【0028】
【表3】
【0029】次に、上記の鋼にロウ付けした円盤状試験
片の最上面に垂直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5
kg/cm2で、60分間のサンドブラストを行い、エロージ
ョンテストを行った。標準試料として、No.1-2最上層の
マトリックスであるWC−Coと同じ組成比、同じ平均粒径
の粉末を実施例1の条件で通電加圧焼結し、この焼結体
(No.2-9)の摩耗量を100としたときの、No.2-1〜2-9の
焼結体の摩耗量を測定した。
【0030】これらの評価結果も表3中に示す。立方晶
窒化硼素の平均粒径が0.5〜100μmの範囲にあり、本発
明品であるNo.2-2、2-3、2-4、2-5、2-6の試料には熱亀
裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確
認できた。しかも優れた耐摩粍性も同時に有しているこ
とが確認できた。中でも1〜60μmの範囲にあるNo.2-2、
2-3、2-4の試料は特に優れた耐摩耗性を有していること
がわかる。
【0031】(実施例3)実施例1で用いた粉末を用い
て、表4の組成と構造を持つ焼結体No.3-1〜3-7を実施例
1と同様にして作製した。なお、各層の厚みは1.5mm、総
厚みは4.5mmとした。なお、No.3-1の試料のみ単層で総
厚みは4.5mmである。
【0032】
【表4】
【0033】これらの試料の最上面を#400のダイヤモ
ンド砥石で平面研削後、#400のダイヤモンド電着砥石
で研磨し、この面の中央部をX線を用いて最上層の立方
晶窒化硼素粒子が有する応力の測定をsin2φ法により行
った。用いたX線の線源はCo−Kα線で立方晶窒化硼素の
ヤング率を71GPa、ポアソン比を0.2として応力値を算出
した。その結果を表5中に記す。
【0034】
【表5】
【0035】さらに、これらの試料から直径60mmの円盤
状の試験片をワイヤカット装置で切りだし、実施例1と
同様にワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用
いて平面研削後、SCM435製鋼材にロウ材(Ag40%,Cu30%,
In5%,Zn25%)銀ロウ(住友電工製SA3)とフラックス
(硝酸25%、硼砂30%、酸性フッ化カリ45%)を用い
て、真空炉中で650℃程度に加熱しながら最下層と鋼材
のロウ付け接合を行った。その結果を表5に示すが、本
発明品の積層構造を有するNo.3-2〜3-7の試料には熱亀
裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確
認できた。
【0036】次に、上記の鋼にロウ付けした円盤状試験
片の最上面に垂直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5
kg/cm2で、60分間のサンドブラストを行い、エロージ
ョンテストを行った。なお、No.3-1の試料に関しては良
好なロウ付けができていなかったため、ロウ付け前の試
験片を用いて評価を行った。No.3-1の摩耗量(重量減少
量)を100としたときの各試料の摩耗量を評価し、その
結果を表5中に記載した。
【0037】表5の結果より、立方晶窒化硼素粒子に導
入された圧縮応力値が200〜1500MPaの範囲にあるNo.3-2
〜3-6の試料は、圧縮応力値がこの範囲外にある試料No.
3-1、3-7よりも優れた耐摩耗性を有し、中でも圧縮応力
値が500〜1000MPaの範囲にあるNo.3-3〜3-5の試料は特
に優れた耐摩耗性を有することがわかる。
【0038】(実施例4)平均粒径0.5〜10μmのWC粉
末、平均粒経1μmのCo、Ni粉末、平均粒径15μmの立方
晶窒化硼素粉末を準備し、表6の組成に配合後、ボール
ミルを用いて混合し、焼結用粉末を用意した。このよう
にして準備した粉末を各層の厚みが焼結後に1mmとなる
ように表6の順に積層して、内径100mmの黒鉛型に充填
し、0.01Torr以下の真空中で圧力30MPaを付加しなが
ら、パルス電流を流して通電加圧焼結した。昇温パター
ンは6分間で1350℃まで昇温、その温度で1分間保持し
て、50℃/minの速度で冷却した。このようにして得ら
れた焼結体No.4-1〜4-9は直径が60mm、各層の厚みが3m
mで総厚みが12mmの焼結体で、割れもなく良好な外観を
呈していた。
【0039】
【表6】
【0040】次に、この焼結体の一部をダイヤモンド砥
石を用いて切断し、厚み方向の断面を平面研削後、鏡面
研磨し、最下層のHv硬度をダイヤモンド製のビッカース
圧子を用いて荷重50kgで測定するとともに、最上層と最
下層の中に含まれるWCの平均粒径をフルマンの式により
算出した。その結果を表7中に記載した。
【0041】
【表7】
【0042】さらに、これらの試料から50mm×40mmの角
状の試験片をワイヤカット装置を用いて切り出し、実施
例1と同様にワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石
を用いて平面研削後、S45C製鋼材にロウ材(JIS:BAg-
4)を用いて、真空炉中で800℃程度に加熱しながら最下
層と鋼材のロウ付け接合を行った。その結果を表7に示
す。本発明品の積層構造を有するNo.4-1〜4-9の試料に
はいずれも熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着し
ていることが確認できた。
【0043】このようにして鋼にロウ付け接合したNo.4
-1〜4-9の角状試験片における最上面の黒皮を#400のダ
イヤモンド砥石を用いて平面研削し、これらの面に対し
て垂直方向からφ20mmの超硬ボールを用いて15Jの衝撃
エネルギー与える試験を行った。この破壊衝撃試験で
は、衝撃を5回与える度に試験片の破壊の有無を確認し
ながら試験片が破壊するまで繰り返し、試験片が破壊す
るまでに要した破壊衝撃回数を計測した。その結果も表
7に示す。
【0044】また、前述の方法で同様に作製した鋼にロ
ウ付け接合したNo.4-1〜4-9の角状試験片の最上面に垂
直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5kg/cm2で60分
間のサンドブラストを行い、エロージョンテストを行っ
た。なお、No.4-3の摩耗量(重量減少量)を100とした
ときの各試料の摩耗量を評価し、その結果を表7中に記
載した。
【0045】表7の結果より、最下層のHv硬度が1000kg
/m2以下であるNo.4-2〜4-9の試料は最下層の硬度が100
0kg/m2より大きいNo.4-1の試料よりも優れた耐衝撃性
を示している。中でも最下層のWCの平均粒径が1〜5μm
の範囲にあるNo.4-2、4-3、4-4、4-6、4-7、4-8、4-9の
試料は特に優れた耐衝撃性を示した。また、最下層中の
WCの平均粒径よりも最上層中のWCの平均粒度が小さいN
o.4-6、4-7の試料の耐エロージョン性能は最上層と最下
層のWCの平均粒径が等しいNo.4-3の試料よりも優れてい
る。中でも最上層のWCの平均粒径が1μmよりも小さいN
o.4-6の試料の耐エロージョン性能は特に優れているこ
とが確認できた。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明複合材料に
よれば、最上層を硬度に優れた立方晶窒化硼素含有硬質
材料で構成し、下層に向かって線膨張係数が大きくなる
ような積層構造の焼結体とすることで、この複合材料を
鋼材料にロウ付けする際の熱応力に伴う割れを抑制し、
鋼材料との接着性を高めることができる。
【0047】また、本発明製造方法によれば、超高圧発
生容器を使わずとも立方晶窒化硼素粒子を含有する硬質
材料の作製が可能であり、製造コストの低減および大サ
イズの焼結体の製造が可能となる。また、低温での短時
間焼結が可能であり、各層間の組成の変動を極力少なく
して複数層を同時焼結することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都築 克典 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 4K018 AB03 AB04 AD03 BB04 BC12 CA14 EA22

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線膨張係数が異なる硬質材料を3層以上
    積層した立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料におい
    て、 前記各層の線膨張係数は最上層から最下層に向かうに従
    って大きくなる順に構成され、立方晶窒化硼素粒子は最
    上層にのみ含有され、 最上層は平均粒径0.5〜100μmの立方晶窒化硼素粒子を1
    0〜50体積%含有し、残部が超硬合金およびサーメット
    の少なくとも一方を主体とし、 最下層はWCを主体とする硬質相と、25〜70体積%の鉄族
    金属を主体とする結合相とからなることを特徴とする立
    方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料。
  2. 【請求項2】 最上層の厚みが0.1〜4mmであることを
    特徴とする請求項1に記載の立方晶窒化硼素含有ロウ付
    け用複合材料。
  3. 【請求項3】 前記立方晶窒化硼素粒子が200〜1500MPa
    の圧縮残留応力を有することを特徴とする請求項1に記
    載の立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料。
  4. 【請求項4】 前記立方晶窒化硼素粒子の平均粒径が1
    〜60μmであることを特徴とする請求項1に記載の立方晶
    窒化硼素含有ロウ付け用複合材料。
  5. 【請求項5】 前記最下層のWCの平均粒径が1〜5μmで
    あることを特徴とする請求項1に記載の立方晶窒化硼素
    含有ロウ付け用複合材料。
  6. 【請求項6】 前記最下層のWCの平均粒径よりも前記最
    上層のWCの平均粒径が小さいことを特徴とする請求項1
    に記載の立方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料。
  7. 【請求項7】 前記最上層のWCの平均粒径が1μmよりも
    小さいことを特徴とする請求項1に記載の立方晶窒化硼
    素含有ロウ付け用複合材料。
  8. 【請求項8】 前記最下層のHv硬度が1000kg/m2以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の立方晶窒化硼素
    含有ロウ付け用複合材料。
  9. 【請求項9】 前記複合材料における最下層の最大長さ
    が50mm以上あることを特徴とする請求項1に記載の立方
    晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料。
  10. 【請求項10】 3層以上の各層の原料粉末を混合する
    工程と、 各層の原料粉末を線膨張係数が最上層から最下層に向か
    うに従って大きくなる順に黒鉛型に装填する工程と、 通電加圧焼結により黒鉛型内の前記原料粉末を焼結する
    工程とを具え、 最上層の原料粉末は、平均粒径0.5〜100μmの立方晶窒
    化硼素粒子を10〜50体積%と、残部がWC、周期律表第IV
    a、Va、VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物から
    選択された少なくとも一種および鉄族金属を主体とし、 最下層の原料粉末は、WCを主体とする硬質相と、25〜70
    体積%の鉄族金属を主体とする結合相とからなり、 前記黒鉛型の内径が50mm以上であることを特徴とする立
    方晶窒化硼素含有ロウ付け用複合材料の製造方法。
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