JP3651284B2 - ダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超硬およびサーメットの少なくとも一方とダイヤモンド粒子とを複合化したロウ付けに最適な複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、WC基超硬合金はその優れた靭性、耐摩粍性によりその適用分野を大幅に広げてきている。その適用範囲の拡大のため、特開平7−300375号公報、特開平9−194909号公報には超硬合金を積層構造にしたり、鋼と同時焼結することで、溶接可能とするなどの提案がなされている。しかしながら、これらの方法は従来の超硬合金と比較してコストが高くなるなどの問題点を有し、特殊な用途でしかその特性を発揮することができなかった。
【0003】
また、ダイヤモンド焼結体も超硬合金を大幅に上回る耐摩耗性により、その適用分野を増大してきている。しかしながら従来のダイヤモンド焼結体は超高圧発生容器により製造されるため、製造コストが極めて高く、また大径品が作製できないなど形状面でも制約が大きい上、その強度、靭性は超硬合金と比較して劣るため、限定された用途でしかその優れた性能を発揮することができなかった。
【0004】
これに対して、本発明者らは上記問題点を解決するため、超硬合金マトリックス中にダイヤモンドを分散した焼結体を超高圧発生容器を用いずに通電加圧焼結により製造する方法を提案(特開平9−194978号公報)し、安価で耐摩耗性に優れた焼結体を作製することができるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ダイヤモンドの含有量が50%を越えるダイヤモンド焼結体は、一般に超高圧容器を用いて製造されるときにWC基超硬合金を基体として焼結接合している。これはダイヤモンド焼結体を耐摩材料として使用する場合に鋼などでできた構造物や機械本体との接合がダイヤ焼結体と直接接合することができず、超硬合金を同時焼結して、超硬合金と鋼間をロウ付け処理することで接合力を確保するためである。しかしながら、ダイヤモンド焼結体はダイヤモンドの含有量が一般に80体積%以上と大きく、ダイヤモンドの熱膨張係数は超硬合金や鋼のそれと比較すると小さいことから、両者の熱膨張係数差が大きく、ロウ付け加工時に発生した熱応力により焼結体に割れを生じやすい。そのため、焼結体の長さまたは径を30mm以下に小さくすることで応力緩和しながらロウ付け接合を行っている。
【0006】
超硬合金については、特開平7−300375号公報において、超硬合金を積層構造とし、焼結炉内に温度傾斜を設けることで残留応力の発生の少ない溶接可能な超硬合金が提案されたり、特開平9−194909号公報には鋼と同時焼結することで溶接可能な超硬合金が提案されている。これらの提案で超硬合金の適用範囲は確かに拡大したが、これらの材料では耐摩耗性の大きな改善が見られないため、特珠な焼結法や特殊な黒鉛型を採用したことによるコスト増が大きく、その適用範囲は限定されたものであった。また、溶接による直接接合法は溶接加工時の熱によりダイヤモンドの劣化が起こりやすいと言う問題もある上、鋼と同時焼結することで、黒鉛型が大型化し、コスト増となる問題点もあった。
【0007】
従って、本発明の主目的は、ダイヤモンドを分散した複合材料を、鋼製の機械本体もしくは固定用の鋼製治具にロウ付け接合する際、発生する熱応力による欠けを抑制できる焼結体とその製造方法とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的に鑑み種々の試験・検討を行った結果、ダイヤモンド粒子を含む硬質材料の下層に超硬合金およびサーメットの少なくとも一方からなる硬質材料を積層して接合し、その積層数や最上層のダイヤモンド粒子の粒径、含有量、最下層の金属結合相量、WCの平均粒度などを最適化することで、各層の熱膨張係数を上層から下層に向かって大きくなるように配置し、最下層を鋼にロウ付け接合するのに好適な焼結体が作製できることを見出して本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明のロウ付け用複合材料は、線膨張係数が異なる硬質材料を3層以上積層したダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料において、各層の線膨張係数が最上層から最下層に向かうに従って大きくなる順に構成されている。ここで、ダイヤモンド粒子は最上層にのみ含有されており、最上層は平均粒径1〜60μmのダイヤモンド粒子を10〜50体積%含有し、残部が超硬合金およびサーメットの少なくとも一方を主体とする。また、最下層はWCを主体とする硬質相と、25〜70体積%の鉄族金属を主体とする結合相とからなる。なお、前記ダイヤモンド粒子の一部はダイヤモンド粒子の含有量を超えない範囲で立方晶窒化硼素に置き換えても良い。さらに、各層の厚みを薄くし、各層の組成変化を僅かづつとすることで、硬質材料の厚さ方向における線膨張係数の変化が実質的に連続する構成も本発明に含む。
【0010】
ダイヤモンドの含有量を10〜50体積%としたのは10体積%よりダイヤモンドが少ないとダイヤモンドを含有させたことによる特性向上の効果が現れにくく、50体積%よりダイヤモンドが多いとロウ付け時の割れ発生が起こりやすくなるためである。特に好ましいのは15〜40体積%である。また、ダイヤモンド粒子の粒径を1〜60μmとしたのは、1μmよりも粒径が小さいと優れた耐摩耗性が得られないためであり、60μmよりも大きいとロウ付け時の割れ発生が起こりやすくなるためである。特に好ましいのは1〜30μmである。
なお、ダイヤモンド粒子は最上層にのみ含有されるが、これは最上層以外にダイヤモンドが含まれると、ロウ付け時の割れ発生が起こりやすくなるためである。
【0011】
次に最上層の厚みは0.1〜4mmであることが好ましい。これは、4mmよりも厚いと、ロウ付け時の割れが起こりやすいためであり、0.1mmよりも薄いと優れた耐摩耗性が得られにくくなるためである。特に好ましい厚みは0.5〜3mmである。
最上層のダイヤモンド粒子には200〜1500MPaの圧縮残留応力が導入されていることが好ましい。これによりロウ付け時の引っ張りの熱応力が発生しても打ち消す方向に働くため、ロウ付け時の割れの発生が抑制される。また、この圧縮残留応力によリダイヤモンド粒子の脱落が抑制され、優れた耐摩粍性の複合材料とできる。この圧縮残留応力の値が200MPaを下回るとロウ付け時の割れ抑制やダイヤモンド粒子の脱落防止の効果が得られにくく、1500MPaを上回ると焼結体の強度が低下する。特に好ましいのは300〜1000MPaのときである。
【0012】
なお、この最上層のマトリックスである硬質合金の結合相にはCoが好ましいが、耐食性を向上させたい場合にはNiやCrで置き換えても構わない。また、WCの少なくとも一部を周期律表第IVa、Va、VIa族元素の炭化物、窒化物又は炭窒化物、例えばTiC、TiCN、TiN、Mo2C、TaC、NbCなどで置き換えても構わない。
【0013】
さらに、最上層に含まれるダイヤモンド粒子が焼結中に液相を生成した結合相に溶解し、黒鉛化する現象を防ぐため、ダイヤモンドに1300℃以上の融点を有する金属、合金、セラミックスなどを被覆したのち、超硬合金とともに焼結することが好ましい。好適な被覆膜厚は0.05〜1μmで、好適な膜質はCr、Mo、W、Ti-Al-V、TiN、SiCなどである。
【0014】
次に、最下層のWC基超硬合金中の結合相は25〜70体積%の鉄族金属を含有する。これは、25体積%未満であるとロウ付け時の熱応力による割れ発生の抑制効果が小さく、70体積%を越えると超硬合金としての優れた性能が低下するためである。鉄族金属としてはロウ付け時の割れ抑制の観点からCoを主体とすることが好ましく、NiやFeなどを一部に用いても構わない。また、結合相中には周期律表第IVa、Va、VIa族元素、例えばCr、Ta、Ti、Zrなどが固溶されていると強度の観点から好ましい。なお、硬質相であるWCの一部をTiの炭化物、窒化物又は炭窒化物で置き換えても構わないが、最も好ましいのはWCとCoもしくはWCとCrが固溶したCoからなる超硬合金である。
【0015】
WCの結晶粒径は1〜5μmであることがロウ付け時の割れ発生抑制および亀裂進展抑制の観点から好ましい。特に好ましいのはWCの平均粒径が1〜3μmのときである。
【0016】
また、前記最下層のWCの平均粒径よりも、前記最上層中のWCの平均粒径を小さくすると、最上層の耐摩耗性向上と最下層の耐熱亀裂性向上が両立し、かつ最上層の焼結性も焼結中に生成した液相の毛細管現象がWCの微粒化で起こりやすくなって向上するため好ましい。特に、最上層のWCの平均粒径が1μmよりも小さいと前記効果が顕著となり好ましい。
【0017】
さらに、前記最下層のHv硬度が1000kg/m2以下であるようにすると、特に優れた耐熱亀裂性を有することができ、ロウ付け加工性が向上する。
なお、本発明の複合材料はロウ付け加工前に、金属や合金を複合材料の最下層面にコーティングやメタライズし、ロウ付け作業性、ロウ付け強度を高めることができる。
【0018】
以上のような構造とすることで、従来の超高圧装置で作製されたダイヤモンド焼結体では難しかったロウ付け面の最大長さが50mm以上の耐摩材料のロウ付けが熱亀裂の発生なしで行うことができる。そのため、作業性の向上やロウ付けコストの低減、ロウ付け時の寸法精度向上による加工取りしろの低減により、ダイヤモンド粒子を含む難削性硬質材料の研削加工コストの低減が可能となる。また、超高圧装置を使用しないことによる大幅な製造コストの低減およびその優れた耐摩耗性により、従来の超硬合金やダイヤモンド焼結体よりも優れたコストパフォーマンスが期待できるようになる。
【0019】
本発明の複合材料は内径50mm以上、好ましくは80mm以上の黒鉛型を用いて、通電加圧焼結法によって製造されることが好ましい。すなわち、所定の組成に混合した各層の原料粉末を線膨張係数が最上層から最下層に向かうに従って大きくなる順に黒鉛型に装填し、通電加圧焼結により黒鉛型内の原料粉末を焼結することで焼結体を得る。この製造法によれば、超高圧発生容器を使わずともダイヤモンド粒子を含有する硬質材料の作製が可能であり、製造コストの低減および大サイズの焼結体の製造が可能となる。また、低温での短時間焼結が可能であるので、組成の異なる硬質材料を2層以上とダイヤモンドを含有する硬質材料を積層した状態で組成の変動を極力少なくして同時焼結することが可能である。
【0020】
なお、この焼結法を用いた場合の好ましい製造条件は以下の通りである。すなわち、焼結温度は硬質材料に液相が生成する温度であることが好ましく、前記焼結温度での保持時間が20秒以上10分以内、加圧力が5〜100MPaの条件で通電加圧焼結して製造されると好ましい。ここで、液相生成温度での保持時間は20秒以上10分以内が好ましい。これは、20秒よりも液相生成温度での焼結時間が短いと緻密化が不十分であり、10分よりも長いとダイヤモンドの黒鉛化が起こりやすいためである。特に、前記通電加圧焼結が1〜100msecのパルス電流を用いて行われた場合には、非常に緻密でダイヤモンドの脱落が生じにくい焼結体を得ることができる。
【0021】
本発明の複合材料の最上層にはダイヤモンドが含有されるが、ダイヤモンドを含有する材料の場合、溶融接合で他材料に接合されるとダイヤモンドの劣化が起こりやすく好ましくない。本発明の複合材料は以上に記載したように、大サイズの焼結体でも良好なロウ付け加工が可能で耐摩耗性と靭性に優れるため、超硬合金や超高圧発生容器を用いて製造されるダイヤ焼結体と比較して、コストパフォーマンスに優れる。特に鋼にロウ付け接合して用いられる耐摩耗材料として使用されたときに、その優れた性能を発揮できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
平均粒径3μmのWC粉末、平均粒径1μmのCo、Ni、Cr粉末、平均粒径2μmのTiCN粉末、平均粒径20μmのダイヤモンド粉末にMoをPVD法で0.5μm被覆した粉末を準備し、表1の組成に配合後、ボールミルを用いて混合し、焼結用粉末を用意した。このようにして準備した粉末を各層の厚みが焼結後に2mmとなるように表1の順に積層して、内径80mmの黒鉛型に充填し、0.01Torr以下の真空中で圧力20MPaを付加しながら、パルス電流を流して通電加圧焼結した。昇温パターンは10分間で1330℃まで昇温、その温度で1分間保持して、30℃/minの速度で冷却した。このようにして得られた焼結体No.1-1〜No.1-11は直径が80mm、各層の厚みが2mmで総厚みが4〜8mmの焼結体で、割れもなく良好な外観を呈していた。
【0023】
【表1】
Figure 0003651284
【0024】
次に、これらの焼結体からワイヤカット装置を用いて長さ70mm、幅10mmの短冊状の試験片を切りだし、ワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用いて平面研削後、SK5製鋼材に銀ロウ(JIS:BAg-3)とフラックス(硝酸25%、硼砂30%、酸性フッ化カリ45%)を用いて、高周波炉で大気中、500℃以上に加熱しながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行った。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003651284
【0026】
本発明品であるNo.1-2、1-3、1-6、1-7、1-8、1-11の試料には熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確認できた。一方、本発明品でないNo.1-1、1-4、1-5、1-9、1-10の試料にはロウ付け時に発生したと思われる熱亀裂や割れが発生し、良好なロウ付けができなかった。No.1-1は硬質材料が2層しかなく、No.1-4、1-5は線膨張係数の配列が下層に向かうに従って大きくなっていない。また、No.1-9は最下層におけるCo量が多すぎ、No.10は最下層の硬質相がWCを主体として構成されていない。
【0027】
(実施例2)
実施例1で作製したNo.1-2と同じ構造の焼結体を最上層のダイヤモンド粒径のみ表3に示すように変化させて、試料No.2-1〜2-8を実施例1と同様にして作製した。さらに、これらの試料から、実施例1と同様に長さ70mm、幅10mmの短冊状の試験片を切りだし、ワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用いて平面研削後、SK5製鋼材に銀ロウ(住友電工製SA3)とフラックス(硝酸25%、硼砂30%、酸性フッ化カリ45%)を用いて、高周波炉で大気中、500℃以上に加熱しながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行ない、熱亀裂の発生の有無を評価した。
【0028】
【表3】
Figure 0003651284
【0029】
次に、上記の鋼にロウ付けした円盤状試験片の最上面に垂直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5kg/cm2で、60分間のサンドブラストを行い、エロージョンテストを行った。標準試料として、No.1-2最上層のマトリックスであるWC−Coと同じ組成比、同じ平均粒径の粉末を実施例1の条件で通電加圧焼結し、この焼結体(No.2-9)の摩耗量を100としたときの、No.2-1〜2-9の焼結体の摩耗量を測定した。
【0030】
これらの評価結果も表3中に示す。ダイヤモンドの平均粒径が1〜60μmの範囲にあり、本発明品であるNo.2-2、2-3、2-4、2-5、2-6の試料には熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確認できた。しかも優れた耐摩粍性も同時に有していることが確認できた。中でも1〜30μmの範囲にあるNo.2-2、2-3、2-4の試料は特に優れた耐摩耗性を有していることがわかる。
【0031】
(実施例3)
実施例1で用いた粉末を用いて、表4の組成と構造を持つ焼結体No.3-1〜3-7を実施例1と同様にして作製した。なお、各層の厚みは1.5mm、総厚みは4.5mmとした。なお、No.3-1の試料のみ単層で総厚みは4.5mmである。
【0032】
【表4】
Figure 0003651284
【0033】
これらの試料の最上面を#400のダイヤモンド砥石で平面研削後、#400のダイヤモンド電着砥石で研磨し、この面の中央部をX線を用いて最上層のダイヤモンド粒子が有する応力の測定をsin2φ法により行った。用いたX線の線源はCo−Kα線でダイヤモンドのヤング率を100GPa、ポアソン比を0.2として応力値を算出した。その結果を表5中に記す。
【0034】
【表5】
Figure 0003651284
【0035】
さらに、これらの試料から直径60mmの円盤状の試験片をワイヤカット装置で切りだし、実施例1と同様にワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用いて平面研削後、SUS304製鋼材にロウ材(Ag60%,Cu24%,In14%,Ti2%)を用いて、真空炉中で750℃程度に加熱しながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行った。その結果を表5に示すが、本発明品の積層構造を有するNo.3-2〜3-7の試料には熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確認できた。
【0036】
次に、上記の鋼にロウ付けした円盤状試験片の最上面に垂直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5kg/cm2で、60分間のサンドブラストを行い、エロージョンテストを行った。なお、No.3-1の試料に関しては良好なロウ付けができていなかったため、ロウ付け前の試験片を用いて評価を行った。No.3-1の摩耗量(重量減少量)を100としたときの各試料の摩耗量を評価し、その結果を表5中に記載した。
【0037】
表5の結果より、ダイヤモンド粒子に導入された圧縮応力値が200〜1500MPaの範囲にあるNo.3-2〜3-6の試料は、圧縮応力値がこの範囲外にある試料No.3-1、3-7よりも優れた耐摩耗性を有し、中でも圧縮応力値が500〜1000MPaの範囲にあるNo.3-3〜3-5の試料は特に優れた耐摩耗性を有することがわかる。
【0038】
(実施例4)
平均粒径0.5〜10μmのWC粉末、平均粒経1μmのCo、Ni粉末、平均粒径10μmのダイヤモンド粉末にMoをCVD法で0.3μm被覆した粉末を準備し、表6の組成に配合後、ボールミルを用いて混合し、焼結用粉末を用意した。このようにして準備した粉末を各層の厚みが焼結後に1mmとなるように表6の順に積層して、内径60mmの黒鉛型に充填し、0.01Torr以下の真空中で圧力30MPaを付加しながら、パルス電流を流して通電加圧焼結した。昇温パターンは6分間で1350℃まで昇温、その温度で1分間保持して、50℃/minの速度で冷却した。このようにして得られた焼結体No.4-1〜4-9は直径が60mm、各層の厚みが3mmで総厚みが12mmの焼結体で、割れもなく良好な外観を呈していた。
【0039】
【表6】
Figure 0003651284
【0040】
次に、この焼結体の一部をダイヤモンド砥石を用いて切断し、厚み方向の断面を平面研削後、鏡面研磨し、最下層のHv硬度をダイヤモンド製のビッカース圧子を用いて荷重50kgで測定するとともに、最上層と最下層の中に含まれるWCの平均粒径をフルマンの式により算出した。その結果を表7中に記載した。
【0041】
【表7】
Figure 0003651284
【0042】
さらに、これらの試料から50mm×40mmの角状の試験片をワイヤカット装置を用いて切り出し、実施例1と同様にワイヤカット面を#200のダイヤモンド砥石を用いて平面研削後、SK3製鋼材にロウ材(Ag69%,Cu27%,,Ti4%)を用いて、真空炉中で850℃程度に加熱しながら最下層と鋼材のロウ付け接合を行った。その結果を表7に示す。本発明品の積層構造を有するNo.4-1〜4-9の試料にはいずれも熱亀裂や割れもなく、鋼に対し良好に接着していることが確認できた。
【0043】
このようにして鋼にロウ付け接合したNo.4-1〜4-9の角状試験片における最上面の黒皮を#400のダイヤモンド砥石を用いて平面研削し、これらの面に対して垂直方向からφ20の超硬ボールを用いて15Jの衝撃エネルギー与える試験を行った。この破壊衝撃試験では、衝撃を5回与える度に試験片の破壊の有無を確認しながら試験片が破壊するまで繰り返し、試験片が破壊するまでに要した破壊衝撃回数を計測した。その結果も表7に示す。
【0044】
また、前述の方法で同様に作製した鋼にロウ付け接合したNo.4-1〜4-9の角状試験片の最上面に垂直方向から100μmのSiC粉末を用いて、5kg/cm2で60分間のサンドブラストを行い、エロージョンテストを行った。なお、No.4-3の摩耗量(重量減少量)を100としたときの各試料の摩耗量を評価し、その結果を表7中に記載した。
【0045】
表7の結果より、最下層のHv硬度が1000kg/m2以下であるNo.4-2〜4-9の試料は最下層の硬度が1000kg/m2より大きいNo.4-1の試料よりも優れた耐衝撃性を示している。中でも最下層のWCの平均粒径が1〜5μmの範囲にあるNo.4-2、4-3、4-4、4-6、4-7、4-8、4-9の試料は特に優れた耐衝撃性を示した。また、最下層中のWCの平均粒径よりも最上層中のWCの平均粒度が小さいNo.4-6、4-7の試料の耐エロージョン性能は最上層と最下層のWCの平均粒径が等しいNo.4-3の試料よりも優れている。中でも最上層のWCの平均粒径が1μmよりも小さいNo.4-6の試料の耐エロージョン性能は特に優れていることが確認できた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明複合材料によれば、最上層を硬度に優れたダイヤモンド含有硬質材料で構成し、下層に向かって線膨張係数が大きくなるような積層構造の焼結体とすることで、この複合材料を鋼材料にロウ付けする際に熱応力に伴う割れを抑制し、鋼材料との接着性を高めることができる。
【0047】
また、本発明製造方法によれば、超高圧発生容器を使わずともダイヤモンド粒子を含有する硬質材料の作製が可能であり、製造コストの低減および大サイズの焼結体の製造が可能となる。また、低温での短時間焼結が可能であり、各層間の組成の変動を極力少なくして複数層を同時焼結することができる。

Claims (10)

  1. 線膨張係数が異なる硬質材料を3層以上積層したダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料において、
    前記各層の線膨張係数は最上層から最下層に向かうに従って大きくなる順に構成され、ダイヤモンド粒子は最上層にのみ含有され、
    最上層は平均粒径1〜60μmのダイヤモンド粒子を10〜50体積%含有し、残部が超硬合金およびサーメットの少なくとも一方を主体とし、
    最下層はWCを主体とする硬質相と、25〜70体積%の鉄族金属を主体とする結合相とからなることを特徴とするダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  2. 最上層の厚みが0.1〜4mmであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  3. 前記ダイヤモンド粒子が200〜1500MPaの圧縮残留応力を有することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  4. 前記ダイヤモンド粒子の平均粒径が1〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  5. 前記最下層のWCの平均粒径が1〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  6. 前記最下層のWCの平均粒径よりも前記最上層のWCの平均粒径が小さいことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  7. 前記最上層のWCの平均粒径が1μmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  8. 前記最下層のHv硬度が1000kg/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  9. 前記複合材料における最下層の最大長さが50mm以上あることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料。
  10. 3層以上の各層の原料粉末を混合する工程と、
    各層の原料粉末を線膨張係数が最上層から最下層に向かうに従って大きくなる順に黒鉛型に装填する工程と、
    通電加圧焼結により黒鉛型内の前記原料粉末を焼結する工程とを具え、
    最上層の原料粉末は、平均粒径1〜60μmのダイヤモンド粒子を10〜50体積%と、残部がWC、周期律表第IVa、Va、VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物から選択された少なくとも一種および鉄族金属を主体とし、
    最下層の原料粉末は、WCを主体とする硬質相と、25〜70体積%の鉄族金属を主体とする結合相とからなり、
    前記黒鉛型の内径が50mm以上であることを特徴とするダイヤモンド含有ロウ付け用複合材料の製造方法。
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