JP5656076B2 - cBNインサート - Google Patents

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本発明は、cBN(立方晶窒化硼素)を主成分としてこれを超高圧、高温下にて焼結成形してなるcBNインサートに関し、特に、接合部を介して接合されたcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とを有するcBNインサートに関する。
従来、cBN(立方晶窒化硼素)を主成分としてこれを超高圧、高温下にて焼結成形してなるcBNインサートは、高硬度を有し耐摩耗性にすぐれることから、切削チップ、エンドミル等の切削工具の切れ刃部に広く用いられているが、cBN自体は加工が困難で高価なうえ、靭性が低く折損しやすいためにその用途が制約されていた。ところが、近年、これを克服するための方法として、安価で加工性にすぐれたWC基超硬製インサート本体とcBN製切れ刃部とをろう付けしたり、あるいは、WC基超硬製インサート本体とcBN製切れ刃部とを拡散接合で接合したりすることにより、WC基超硬製インサート本体とcBN製切れ刃部とを接合したcBNインサートを得ることが行われている。
cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とを接合する方法としては、例えば、切れ刃部になる位置にcBN層を配置した円板状cBN焼結体を製造し、これを所望のISO規格のインサート形状に切り出すことによって、上下面に切れ刃部を有するインサートを作製する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、cBN切れ刃片を例えば0.5〜65重量%のTiおよび/またはZrを含み残部がCuからなるろう材を用いて工具母材にろう付けする方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−117808号公報 特開2009−202283号公報
ところが、前記特許文献1に開示されたような切れ刃部になる位置にcBN層を配置した円板状cBN焼結体を製造し、これを所望のISO規格のインサート形状に切り出すことによって、上下面に切れ刃部を有するインサートを作製する方法では、図1に示す型番CNGA120408形状のように中心穴があるインサートの場合、後加工で穴をつけることになりインサートの製造原価が高価になっていた。
また、前記特許文献2に開示されたようなcBN切れ刃片を0.5〜65重量%のTiおよび/またはZrを含み残部がCuからなるろう材を用いてろう付けする方法では、高負荷加工において切れ刃部が脱落するという課題があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、接合部を介して接合されたcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とを有するcBNインサートにおいては、より一層すぐれた接合強度を有するcBNインサートを提供することである。
そこで、本発明者らは、接合部を介して接合されたcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とを有するcBNインサートにおいて、その接合部の強度改善について鋭意研究した結果、以下の知見を得た。
cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とを接合するに当たり、図2に示すように、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合部に、cBN製切れ刃部側に、Pd、Siおよび不可避成分としてのW、Co、Cのうち少なくとも1種、残部Niからなる厚み5μm以上の拡散層と、WC基超硬製インサート本体側にPdとSiとを主成分とするWCブリッジ形成相とを形成すると、前記拡散層とWCブリッジ形成相とからなる接合部を介してcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とが強固に接合された接合部材が形成されること。
前記接合部の状態を観察すると、図2に示すように、インサート金属として挿入したNi−Pd−Si合金は溶融して、NiがcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合面近傍の接合部(5〜30μm)全体に拡散しているとともに、PdとSiは、主としてWC基超硬製インサート本体のWC粒子間に拡散し、WC粒子同士を強固に結びつけWCブリッジ形成相を形成していること。
前記接合部中のcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合面近傍からcBN製切れ刃部表層部に位置する拡散層が、Pd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%およびW、Co、Cのうち少なくとも1種を合計で16〜22at%、残部Niからなる組成を有し、その厚みが5μm以上14μm以下のとき最大の接合強度を示すこと。
前記接合部は、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との間にインサート金属としてNi−Pd−Si合金を挟み、圧力をかけながら金属融点以上に加熱することで、Ni−Pd−Si合金が液相化・拡散により見かけ上消失し、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体は、Ni−Pd−Si合金を介さずに拡散層とWCブリッジ形成相とが一体化した接合部を形成していること。
接合部の構成成分を測定したところ、WC基超硬製インサート本体と接合部との接合面近傍では、WC基超硬合金中へのPd、Siの拡散が生じていることが観察され、一方、cBN製切れ刃部と接合部との接合面近傍には、Ni−Pd−Si合金の液相化、拡散によって生じたNi−Pd−Si拡散領域が形成されていること。
Ni含有量は、接合部のWCブリッジ形成相が形成されている範囲において、cBN製切れ刃部側からWC基超硬製インサート本体に向かって次第に減少していること。
前記cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体からなるcBNインサートについて、曲げ試験を実施し、その特性を確認したところ、すぐれた曲げ強さを示し、さらに、破断も接合部で起こるのではなく、WC基超硬製インサートの箇所で破断が生じていたことから、本発明による接合部はすぐれた曲げ強さを有し、その結果として、本発明のcBNインサートは、すぐれた接合強度を有するものであること。
本発明のcBNインサートを形成するにあたり、WC基超硬製インサート本体のコーナー部にくぼみを設け、ここにインサート金属であるNi−Pd−Si合金を設置し、さらにcBN片を設置し、圧力100MPaをかけた状態で不活性ガス中にて高周波で接合部を局部加熱することにより拡散層を有する接合部が形成されること。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とが接合部を介して接合されたcBNインサートにおいて、
前記cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合部の接合面からcBN製切れ刃部側にPd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%およびW、Co、Cのうち少なくとも1種を合計で16〜22at%、残部Niからなる組成を有し、Niの含有量は前記接合面から遠ざかるにしたがって次第に減少している厚み5μm以上14μm以下の拡散層を形成し一方、WC基超硬製インサート本体側には、PdとSiとNiを含むWCブリッジ形成相を形成し、かつ、WCブリッジ形成相が形成されている範囲ではNi含有量がcBN製切れ刃部側からWC基超硬製インサート本体に向かって次第に減少しているcBNインサート。」
を特徴とするものである。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明では、cBN製切れ刃部とWC基超硬合金製インサートとを接合部を介して接合し、cBNインサートを構成するが、cBNインサートの製造法は、例えば、以下のとおりである。
(a)75容量%のcBNと残りTiN、Al結合相をボールミルで24時間、アセトンを用いて湿式混合する。
(b)得られた混合粉末を乾燥後、油圧プレスにて成形圧100MPaで成形する。
(c)得られた成形体を真空中1Pa、1000℃、30分の条件で熱処理し、揮発成分および粉末表面への吸着成分を除去する。
(d)成形体と超硬合金基材を積層し、代表的には圧力5GPa、温度1500℃、保持時間30分の条件で超高圧高温処理し、cBN焼結体を得る。
(e)得られたcBN焼結体を研削した後、横断状に切断し、cBN焼結体円板を得る。
(f)cBN焼結体円板をワイヤー放電加工機で所定寸法に切断し、cBN片を得る。
(g)WC基超硬製インサート本体のコーナー部に凹状のくぼみを設け、ここにNi−Pd−Si合金を設置し、さらにcBN片を設置する。
(h)圧力100MPaかけた状態で不活性ガス中にて高周波で接合部を局部加熱することにより拡散層を有する接合部が形成される。
なお、くぼみの代わりにコーナー部を切断して、その切断面に短冊状のcBNブランクを接合することで上下切れ刃を同時に形成することもできる。
(i)上下面および外周面を研磨し、ISO規格の型番CNGA120408のインサート形状を得る。
(j)更に面取り加工でホーニングを設ける。
(k)また、必要に応じ、例えば、TiAlNをPVDでコーティングすることによって、インサートの耐摩耗性等を向上させる。
前記のようにしてできたcBNインサートの接合部の状態を目視観察すると、インサート金属として挿入したNi−Pd−Si合金は消失しており、金属組織は、あたかも、WC基超硬製インサート本体とcBN製切れ刃部とがNi−Pd−Si合金を介して一体化接合した複合材料が形成されているようにみられるが(図2参照)、接合部についてAES(オージェ電子分光法)を用いて、詳細にその構成成分、分布を調査したところ、WC基超硬製インサート本体の接合部との接合面近傍では、WC基超硬製インサート本体のWC粒子間にPd、Siの拡散が生じWCブリッジ形成相を形成しWC粒子間を強固に結びつけていること、一方、cBN製切れ刃部の接合部との接合面近傍には、Ni−Pd−Si合金の液相化、拡散によって生じたNi−Pd−Si拡散領域が形成されており、また、接合部側のcBN製切れ刃部との接合面近傍にもNi−Pd−Si拡散領域が形成されており、さらに、接合部およびcBN製切れ刃部に形成されたNi−Pd−Si拡散領域(以下、「拡散層」という)のNi含有量は、接合部とcBN製切れ刃部の接合面から遠ざかるにしたがって、次第に減少していることを見出した。
さらに、鋭意研究を重ねたところ、前記拡散層の組成が、Pd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%およびW、Co、Cのうち少なくとも1種を合計で16〜22at%、残部Niであるときに、接合部はすぐれた引張強さおよび曲げ強さを有することが判明した。
前記接合部は、前述のようにWC基超硬製インサートのコーナー部に凹状のくぼみを設け、ここにNi−Pd−Si合金を設置し、さらに超硬の裏打ちを有するcBN焼結体片を設置し、圧力100MPaをかけた状態で例えばArガスのような不活性ガス中にて高周波で接合部を局部加熱することにより、WC基超硬製インサート本体とcBN焼結体片との両方に拡散層を有する接合を形成することによって得られる。
このとき接合部の形成に用いるNi−Pd−Si合金の厚みは、厚くなりすぎると接合強度が低下するため15μm以下が望ましい。また、拡散層は、強固な接合強度を得るだけでなく、接合部に発生する応力を緩和する目的があるため、厚みは、5μm以上あることが望ましい。
Niは、WC基超硬製インサート本体に含まれるCoバインダ中に拡散することで一体化し、強固な接合を得る効果がある。PdとSiは、Pd−Si合金を形成し、特にWC基超硬製インサート本体に含まれる微粒のWC粒子間でブリッジを形成して見かけ上、大きなWC粒子を形成する。この結果、cBN焼結体基材に使用されている中粒のWC粒子との見かけ上の粒度差が小さくなり接合部周辺での応力が緩和される。
ここで拡散層の望ましい組成として前記のように定めた理由について説明する。
Pd:
WC、Ni両元素とも濡れ性がよく、接合部の強度を改善する効果がある。しかしながら、含有量が20at%を超えると高温強度低下の原因となる。また、1at%より少ないと十分な濡れ性が得られない。そこで、Pdの含有量は、1〜20at%と定めた。
Si:
ろう付けは、950℃より低い温度で行う必要がある。というのは、950℃以上になるとcBN焼結体の特性が劣化するからである。特に、バインダとしてCo等の金属を使用した場合、劣化が顕著になるため950℃以下で行う必要がある。
ところが、NiおよびPdは、融点がそれぞれ1455℃、1555℃であり、cBN焼結体の接合には高温すぎるため、融点を下げる必要がある。Siは、NiおよびPdの両方と共晶反応するため、融点を下げることが可能になる。そこで、Siを用いて融点を下げるのだが、Siが0.5at%よりも少ないと十分に融点を下げることができず、15at%よりも多いと脆化の原因になる。そこで、Siの含有量は、0.5〜15at%と定めた。
W、Co、C
W、Co、Cは、WC基超硬製インサート本体またはcBN製切れ刃部から接合部へ拡散してくる不可避成分である。これらの成分が接合部中に存在することによって、接合面近傍における組成の急激な変化が緩和されるため、WC基超硬製インサート本体と接合部、またはcBN製切れ刃部と接合部との間で発生する応力が緩和されるとともに、これらの成分が一種のバインダのような役割を果たしWC基超硬製インサート本体およびcBN製切れ刃部と接合部との接合力が向上する。
Ni:
拡散層の組成において、前記成分を除いた残部を占める成分であって、高温強度が高いので強固な接合強度が得られる。また、Niは、溶融時の移動度も高いため、接合部全体に亘り拡散し、WC基超硬製インサート本体とcBN製切れ刃部とを強固に接合する。
本発明によれば、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とが接合部を介して接合されたcBN焼結体製インサートにおいて、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合部の接合面からcBN製切れ刃部側にPd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%およびW、Co、Cのうち少なくとも1種を合計で16〜22at%、残部Niからなる組成を有し、Niの含有量は前記接合面から遠ざかるにしたがって次第に減少している厚み5μm以上14μm以下の拡散層と、WC基超硬製インサート本体側にPdとSiとNiを含むWCブリッジ形成相を形成し、かつ、WCブリッジ形成相が形成されている範囲ではNiの含有量がcBN製切れ刃部側からWC基超硬製インサート本体に向かって次第に減少していることによって、Niが接合部全体に亘り拡散するとともに、PdおよびSiがWC基超硬製インサート本体の接合部近傍のWC粒子間に拡散してブリッジを形成し、さらに接合部近傍に形成される所定の組成を有するNi−Pd−Si拡散領域がcBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との間の応力を緩和するので、きわめて強固な接合強度が得られ、cBNインサートの耐久性を飛躍的に向上させる。
また、本発明によれば、すぐれた接合強度を有するcBNインサートを提供することができるばかりか、高価な超硬合金成分の使用量の低減、リサイクル、軽量化による省資源、省エネ化を図ることができ、さらに、このcBNインサートを用いることにより、加工精度の改善、工具寿命の延長が図られ、安全確実な切削加工を実施することができ、さらに、工具が加工容易なWC基超硬製インサート本体との複合材料として形成されていることから、工具設計の自由度が大幅に向上するというすぐれた効果が期待できる。
また、本発明における接合層であるNi−Pd−Siは全率固溶体を形成し、接合温度は液相が存在する温度以上であるため、PVD、CVD等の高温条件下、すなわち、接合温度以下の条件で表面被覆層を設けたとしても、接合層からのガス発生による被覆層への悪影響、および、複合材料の接合状態に劣化はない。したがって、本発明のcBNインサートに、PVD、CVD等による表面被覆層を設けることによって、より一層高品質の表面被覆切削工具を製造することができる。
ISO型番CNGA120408形状のインサートの外観を示した斜視図である。 本発明のcBNインサートの接合部縦断面のAES(オージェ電子分光法)による面分析写真であり、(a)が接合部全体、(b)が接合部のインサート本体部分、(c)が接合部のcBN切れ刃部の超硬合金部分である。
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、表1に示される4種のWC基超硬製インサート本体(以下、単に、超硬製インサート本体という)A−1〜A−4を形成した。
次に、原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の平均粒径を有するcBN粉末、TiN粉末、Al粉末を用意し、これら原料粉末を表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間アセトンを用いて湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で直径:15mm×厚さ:1mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、ついでこの圧粉体を、圧力:1Paの真空雰囲気中、900〜1300℃の範囲内の所定温度に30分間保持の条件で焼結して、揮発成分および粉末表面への吸着成分を除去し、切れ刃片用予備焼結体を形成する。そして、この切れ刃片予備焼結体を、別途用意した、Co:8質量%、WC:残りの組成、並びに直径:15mm×厚さ:2mmの寸法をもったWC基超硬合金製支持片と重ね合わせた状態で、通常の超高圧焼結装置に装入し、通常の条件である圧力:5GPa、温度:1200〜1500℃の範囲内の所定温度に保持時間:30分の条件で超高圧高温焼結し、cBN焼結体A〜Fを得る。そして、このcBN焼結体の上下面をダイヤモンド砥石を用いて研磨し、ワイヤー放電加工装置またはダイヤモンド切断機にて頂角80度で頂角を挟む2辺が3mmの二等辺三角形状に分割し、cBN製切れ刃部を得る。そして、前述の超硬製インサート本体(A−1〜A−4)のろう付け部(コーナー部)に凹状のくぼみを設け、ここに、ろう材としてPd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%、Ni:残りからなる組成を有するNi−Pd−Si合金を設置し、さらに前述のcBN製切れ刃部を設置する。そして、圧力100MPaをかけた状態で不活性ガス中にて高周波で接合部を局部加熱することにより表3に示すような組成と厚みの拡散層を有する接合部が形成される。なお、凹状のくぼみを設けることに代えて、コーナー部を切断して短冊状のcBNブランクを接合することで上下切れ刃を同時に形成することもできる。
次に、所定寸法に外周加工し、ISO規格の型番CNGA120408のインサート形状にした後に、切れ刃部に幅:0.15mm、角度:25°のホーニング加工を施し、さらに仕上げ研摩を施すことによりISO規格の型番CNGA120408のインサート形状をもった本発明インサート1〜10をそれぞれ製造した。
本発明インサートについて、接合部縦断面をAES(オージェ電子分光法)による面分析で観察した。その結果を図2に示す。(a)は接合部全体を観察した写真である。明るく見えるのがNi、中央が挿入合金、側がcBN切れ刃の超硬合金部、側がインサート本体である。NiがcBN切れ刃の超硬合金部およびインサート本体に拡散しているのが確認できる。このNiが拡散している領域全体が、接合部に相当する。(b)は(a)のインサート本体部を拡大して観察した写真である。明るく見えるのが、ブリッジ形成相で、黒く見えるのがWC粒子である。(c)は(a)のcBN切れ刃部の超硬合金部を拡大して観察した写真である。明るく見えるのが、Niの拡散層で、黒く見えるのがWC粒子である。すなわち、本発明においては、接合部=拡散層(cBN切れ刃の超硬合金部側)+挿入合金+ブリッジ形成相(インサート本体側)ということを意味している。
比較のため、ろう材として、本発明インサートとは異なる組成のNi−Pd−Si合金をろう材として使用し、前述と同様の方法でcBNンサートを作成し、表3に示される組成の拡散層を有する比較インサート1〜6を製造した。さらに、ろう材として、従前のNi箔、Cu箔、Ag箔を使用し、WC基超硬製インサート本体/Ni箔またはCu箔またはAg箔/cBN製切れ刃部の順に整列させたcBNンサートを作成し、表4に示される条件で熱処理し、表3に示される比較インサート7〜10を製造した。
前記本発明インサート1〜10、比較インサート1〜10のそれぞれについて、曲げ試験を実施し、曲げ強さを測定するとともに、破断箇所を目視観察した。
その結果を表3に示す。
なお、曲げ試験は、JIS・R1601で規定されるファインセラミックスの曲げ強さ試験方法に準じ、JISより小さいサンプル形状より行った。
表3に示される結果から、本発明インサート1〜10は、2GPa以上の曲げ強さを示し、かつ、破断は、ほとんどが接合部以外の箇所(超硬合金部材)で生じるすぐれた接合強度を有する複合材料であるのに対して、比較インサート1〜10の曲げ強さは、本発明インサート1〜10に比してはるかに劣るものであり、しかも、破断が接合部で生じていることから、これらのインサートの接合強度が十分であるとはいえないことは明らかである。
つぎに、本発明インサート1〜10、比較インサート1〜10のそれぞれについて、以下の切削条件で切削加工試験を行った。
《切削条件A》
被削材−直径:100mmのSCM415(HRc60)の丸棒、
切削速度:180m/min.、
切り込み:0.3mm、
送り:0.2mm/rev.、
切削時間:3分、
の条件での焼入れした合金鋼の乾式連続切削試験、
《切削条件B》
被削材−直径:100mmのSCM415(HRc60)の丸棒、
切削速度:180m/min.、
切り込み:0.5mm、
送り:0.2mm/rev.、
切削時間:3分、
の条件での焼入れした合金鋼の乾式連続切削試験、
《切削条件C》
被削材−直径:100mmのSCM415(HRc60)の丸棒、
切削速度:200m/min.、
切り込み:0.5mm、
送り:0.2mm/分、
切削時間:3分、
の条件での焼入れした合金鋼の乾式連続切削試験、
その結果を表3に示す。
表3に示した結果から、本発明インサートは、比較インサートに比べ、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合強度が強く、耐久性にすぐれていることが明らかである。
前述のように、本発明のcBNインサートは、各種の鋼や鋳鉄などの通常の切削条件での切削加工は勿論のこと、特にダクタイル鋳鉄や焼結合金などのフェライト相が多く析出した被削材の高速連続切削加工及び断続切削加工であっても、cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合強度がすぐれていることによって、長期に亘って安定した切削性能を発揮するものであるから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (1)

  1. cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体とが接合部を介して接合されたcBNインサートにおいて、
    前記cBN製切れ刃部とWC基超硬製インサート本体との接合部の接合面からcBN製切れ刃部側にPd:1〜20at%、Si:0.5〜15at%およびW、Co、Cのうち少なくとも1種を合計で16〜22at%、残部Niからなる組成を有し、Niの含有量は前記接合面から遠ざかるにしたがって次第に減少している厚み5μm以上14μm以下の拡散層を形成し一方、WC基超硬製インサート本体側には、PdとSiとNiを含むWCブリッジ形成相を形成し、かつ、WCブリッジ形成相が形成されている範囲ではNi含有量がcBN製切れ刃部側からWC基超硬製インサート本体に向かって次第に減少しているcBNインサート。
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