JP2004291218A - メタルボンドホイール - Google Patents

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清之 青木
Tatsushi Chayama
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    • B24D3/02Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent
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    • B24D3/10Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent and being essentially inorganic metallic or mixture of metals with ceramic materials, e.g. hard metals, "cermets", cements for porous or cellular structure, e.g. for use with diamonds as abrasives

Abstract

【課題】切れ味が良く、硬くて長寿命であり、錆が発生せず、しかも加圧時の変形がなく高強度であるNi−Cu−Sn系メタルボンドホイール及びその製造方法を提供する。
【手段】本発明は、ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合することにより構成されたメタルボンドホイールであって、前記メタルボンドの化学組成は、Niを40〜70wt%、Snを19〜30wt%、Agを1〜7wt%、及び少なくとも5wt%を占める残部としてのCuからなるメタルボンドホイールに関する。特に前記ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒がチタン被覆されていることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合させて構成されたメタルボンドホイール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタルボンドホイールは、硝子の表面や端面の研削及び/又は研磨、セラミック材料などの脆性材料の研削及び/又は研磨(以下これら用途について言及する場合、「硝子研削」の用語に統一して記述する)に使用されている。
【0003】
硝子研削用のメタルボンドホイールを構成するためのメタルボンドの組成としては、Cu−Sn系(特許文献1〜3)、Fe−Cu−Sn系(特許文献1)が開示されている。さらには、Co−Cu−Sn系(特許文献1及び3)やNi−Cu−Sn系(特許文献4)のメタルボンドも開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−217271号公報
【特許文献2】
特開平2−76680号公報
【特許文献3】
特開2001−246566号公報
【特許文献4】
特開平10−230464号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
硝子研削に使用されるメタルボンドホイールに要求される性質は、切れ味よいこと(つまり研削時の焼けや研削割れの発生頻度が少なく、加工能率が高いこと)、長寿命であること、錆などが発生しないこと、加圧時の変形がない高強度であること(つまり曲げ強度等が高い)など、多面にわたる。これらの要求を首尾良く充足したメタルボンドホイールが理想とされる。
【0006】
しかしながら、上記従来のメタルボンドホイールでは、以下に言及する通り、それらの要求を十分に満たしてはいなかった。
Cu−Sn系メタルボンドでは、Cu成分が多いと切れ味が悪く、Sn成分が多いと切れ味は改善されるが、ボンドの強度が低下し、その結果短寿命となる。結局、Cu−Sn系のボンドは一般的に短寿命である。Fe−Cu−Sn系メタルボンドは、Feの添加量が増えるに従ってCu−Sn系メタルボンドホイール寿命は長くなるが、硝子研削において一般的な湿式研削に際し、研削後にホイールのボンド面に錆が発生しやすい。ボンド面に錆成分があると、それが次回の研削開始直後に被削材に転写して汚れが生じるといった問題が指摘されている。Co−Cu−Sn系メタルボンドは、錆は発生しないが、Coの添加量が増えるに従って一般的に硬いボンドとなり、切れ味が低下するといった不具合がある。
【0007】
これに対して、Ni−Cu−Sn系メタルボンドは、Niを使用することで、ボンドを強くしてホイールの寿命を延ばすことができる。この観点からは、Ni量を比較的高く設定することが好ましい。
【0008】
それに加えて、硬くて寿命の長いメタルボンドホイール製造するためには、高密度な加圧焼成体として製造できることが必要とされる。
しかしながら、Niの量を高く設定するに従って高い焼成温度が要求されるため、Ni−Cu−Sn系メタルボンドホイールの製造では、加熱による変形を起こさないカーボン製の焼成用型を用いるのが一般的である。この製法面での制約は、生産コストを増大させずに硬くて寿命の長いメタルボンドホイールを提供することの妨げとなっていた。
【0009】
すなわち、Ni−Cu−Sn系メタルボンドホイールの製造工程において、高密度な加圧焼成体が得られるように高圧をかけるとカーボン型の摩耗が激しく頻繁に新しい型に換える必要があるため、生産コストが増大し、その一方で、高圧での焼成に適しており型交換の頻度が少ない耐熱合金又は耐熱鋼材では許容できる焼成温度に上限があるため、使用するNi量を制限せざるをえないという、相反する要求が存在していた。
【0010】
本発明者により検討された製造例では、Ni成分が40wt%を下回るとホイール寿命の改善効果は得られず、逆に、Ni成分が40wt%以上であると一般には800℃以上の焼成温度が必要とされた。
【0011】
本発明は、上記の問題等を解決するためになされたものであり、切れ味が良く、硬くて長寿命であり、錆が発生せず、しかも加圧時の変形がなく高強度であるNi−Cu−Sn系メタルボンドホイール及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
さらに本発明は、上記のような組成のメタルボンドにおいてもダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒が良好に結合し保持されるNi−Cu−Sn系メタルボンドホイール、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、Ni量40wt%以上のNi−Cu−Sn系メタルボンドにおいて所定量のAgを含ませることによって硝子研削用途に適したNi−Cu−Sn系メタルボンドホイールを効率的に生産できることを見出し、これに加え、そのメタルボンド組成においてチタン被覆されたダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒を使用することが更なる利点をもたらすことを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合することにより構成されたメタルボンドホイールであって、前記メタルボンドの化学組成は、Niを40〜70wt%、Snを19〜30wt%、Agを1〜7wt%、及び少なくとも5wt%を占める残部としてのCuからなることを特徴とするメタルボンドホイールを提供する。
【0015】
前記ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒がチタン被覆されていることが好ましい。また、前記メタルボンドホイールは、硝子の研削及び/又は研磨に使用されものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメタルボンドホイール。
【0016】
また、本発明は、ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合するメタルボンドホイールの製造方法であって、
(a)、Niが40〜70wt%、Snが19〜30wt%、Agが1〜7wt%、及び少なくとも5wt%を占める残部がCuである組成のメタルボンドを得るのに必要とされる量でそれら金属の粉末混合物を用意し、該金属粉末をダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒と混合すること;及び
(b)前記金属粉末と砥粒との混合物を、耐熱合金又は耐熱鋼材を使用した金型を使用して、温度650〜850℃で焼成すること;
を含む、メタルボンドホイールの製造方法を提供する。
【0017】
上記製造方法において、チタン被覆されたダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒を使用することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のメタルボンドホイールは、下記の化学組成を有するNi−Cu−Sn−Ag系メタルボンドで構成される。
【0019】
Ni元素は、メタルボンド組成の中で40〜70wt%の範囲で含まれる。40wt%を下回るとホイール寿命が低下し、70wt%を超えると焼成温度が上がり過ぎて、効率的な生産ができない。Ni元素の量は50〜70wt%が特に望ましい。
【0020】
Sn元素は、メタルボンド組成の中で19〜30wt%の範囲で含まれる。Cu−Sn系の中でSn元素は、ボンドの溶融を助ける働きがある。19wt%より少ないと焼成温度が上がり過ぎて、効率的な生産ができない。30wt%より多くなると強度が低下するため、ホイール寿命が低下する。Sn元素の量は19〜25wt%が特に望ましい。
【0021】
本発明におけるAgの使用は、得られるメタルボンドに好ましい物性を与える。すなわち、焼結促進効果である。
さらにAgの使用は、Cu−Sn系の金属にAgを加えると、その溶融に際し低温液層域が増大するので、その加える量が比較的少なくてもボンド融点が下がる。したがって、従来では800℃を超える高温焼成が必要とされたNi−Cu−Sn系メタルボンドをそれよりも低い温度で焼成可能にする。すなわち、Ni−Cu−Sn系メタルボンドホイールの製造において、Agの使用は650〜850℃の焼成条件を適用可能にするので、そのような比較的低温域で耐用性のある耐熱合金又は耐熱鋼材の金型を使用して、焼成時に高い加圧力を与えることができ、かくしてメタルボンドホイールを高密度な焼成体として製造することができる。しかも、耐熱合金又は耐熱鋼材の金型は高圧をかけても型交換の頻度が少なくて済むので、コストアップを招くことなく、上記のようにして硬く寿命の長い良好なメタルボンドホイールを提供することができる。
【0022】
上記の効果を得るために必要とされるAgの量は、メタルボンド組成の中で1〜7wt%の範囲である。1wt%より少ないと上記融点降下が得られず、7wt%を超えると銀が偏析する傾向が見られ、7wt%を超えてもAgによる焼結促進効果は少ない。Agの量は、2〜5wt%がより望ましい。
【0023】
Cu元素は、上記メタルボンド組成の残部を構成する。そのCuの量は、少なくとも5wt%であり、NiとCuとの和の重量で60wt%以上であることが望ましい。
【0024】
本発明のメタルボンドホイールは、上記メタルボンド材料とダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒(以下「超砥粒とも称する」)と混合して、加圧焼成することにより製造される。特に好ましい砥粒は、チタン被覆されたダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒である。
【0025】
上記超砥粒として、前記チタン被覆されたダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒を使用すると、メタルボンドとそれら砥粒との間の結合力を高めることができ、より硬く長寿命なNi−Cu−Sn系メタルボンドホイールを提供することができる。
【0026】
本発明者の理解によれば、上記の効果は、焼成時における昇温中に生成されるCu−Sn−Ag系の液層内にメタルボンドの主成分となるNi元素が溶け込み、こうして生じたCu−Sn−Ag−Niの液層は、それら超砥粒を被覆しているTi金属又はTiCに対する濡れ性が良好であることに起因すると考えられる。
【0027】
本発明のメタルボンドホイールに使用できるチタン被覆ダイヤモンド砥粒又はチタン被覆CBN砥粒は、当業者に知られており、市販品を使用してもよいし、製造して使用してもよい。その製造方法は、例えば、CVD法による被覆法が挙げられる。
【0028】
本発明のメタルボンドホイールは、次のようにして製造される。すなわち、メタルボンド材料として、上述した各金属の組成に対応する量でそれぞれの金属粉末を用意し、これらを所定量の超砥粒と均一に混合する。メタルボンド材料と超砥粒との配合比は、通常、体積部にして5:95〜25:75である。その材料混合物を温度650〜850℃で少なくとも30MPaの最終加圧力で約1時間かけて加圧焼成する。
【0029】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、これらは本発明の実施可能性及び有用性を例証するものであり、本発明の構成を何ら限定する意図はない。
【0030】
【実施例】
[実施例1]:ボンド物性のテスト
Ni、Cu,Snを含んだメタルボンドにAgを添加したときの物性の変化を調べ、Ag添加の効果を確認した。
【0031】
各原料粉末を下記所定量計量し、攪拌雷潰機にて20分間混合し、メタルボンドを作成した。
〔メタルボンドの組成〕
テストボンド Ni/Cu/Sn/Ag=45/31/19/5(wt%)
対照ボンド Ni/Cu/Sn/Ag=45/36/19/0(wt%)
次に、得られたメタルボンドを50×5mmの耐熱鋼金型に均一に充填し、熱間で焼結した。ここで、テストボンド及び対照ボンドの双方とも最終圧力をすべて98MPaとし、最終加熱温度は400℃、500℃、600℃、650℃、700℃、又は750℃を適用した。焼結体は、冷却後に金型から取り出し、各辺仕上げ加工を行い、最終的に50×5×5mmの角状のテストピースを作成した。
【0032】
ボンドの物性テスト
上記のようにして得られた各テストピースについて、ロックウエル硬度(HRA)、及び曲げ強度をテストした。それぞれの測定方法は以下の通りとした。
【0033】
[ロックウエル硬度(HRA)]
メタルボンドの物性を評価するためのロックウエル硬度は、JIS規格(ロックウエル硬さ試験B7726、1998)に従い、基準荷重3kgfを加え、次に一定の試験荷重を加えて再び戻したとき、前後2回の基準荷重における圧子の侵入深さhから求められる。本テストではダイヤモンド圧子を用い、試験荷重60kgfとし130−500hの算出式で求めた。ダイヤモンド圧子の性能は以下である。
a)先端は、円錐部と球面部が滑らかに接続された曲面とする。
b)先端の円錐角度は120°±30’とする。
c)先端の円錐部の母線と差込部の荷重受面との角度は、30°±20’とする。
d)先端の球面部の曲率半径は、0.2±0.02mmとする。
【0034】
[曲げ強度]
JIS規格(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法R1601、1986)に従い、各テスト砥石をスパン間距離30mm、荷重降下速度3mm/minにて3点曲げ強度を行った。各テストピースについて3個の平均値をとった。
【0035】
テスト結果
表1にロックウエル硬度についてのテスト結果を示し、表2に曲げ強度についてのテスト結果を示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004291218
【0037】
【表2】
Figure 2004291218
【0038】
上記表1の結果から、対照ボンドと比べてテストボンドの硬さが高くなっていることが分かる。
上記表2から明らかなように、Agを5wt%含んだテストボンドは、高温焼成した場合に焼結体の硬度は上昇し、曲げ強度はやや低下している。対照ボンドの曲げ強度は700〜750℃以上で最大値となるが、テストボンドは650〜700℃でほぼ最大値に達している。特に低温度500〜600℃の曲げ強度値の差は顕著である。
【0039】
以上の結果から、Ag添加による焼結促進効果が示される。したがって、Ag添加のNi−Cu−Sn系メタルボンドを使用すれば、切れ味が良く、硬くて長寿命なホイールを提供できると結論づけられた。
【0040】
[実施例2]:メタルボンドホイール製造例1
チタン被覆ダイヤモンド砥粒#500(GE社から購入、商品名:MBM30/40Ti)を使用して、メタルボンドホイールのテストピースを作製した。
〔混合比〕
砥粒 1000重量部
金属粉末 4200重量部
〔メタルボンドの組成〕
Ni/Cu/Sn/Ag=45/28/25/2(wt%)
上記各原材料を計量し、攪拌雷潰機にて20分間混合して、材料混合物を調製し、50×5mmの耐熱鋼金型に均一に充填した。加圧焼成は、同じ条件で複数調製された材料混合物に対し、それぞれ異なる最終加熱温度650℃、700℃、又は750℃を適用した。最終圧力はすべて100MPaとした。得られた焼結体を冷却後に金型から取り出し、各辺仕上げ加工を行い、最終的に50×5×5mmの角状のテストピースを作製した。

【0041】
[実施例3]:メタルボンドホイール製造例2
チタン被覆されていないダイヤモンド砥粒#500を使用した以外は、上記実施例2と同様にしてテストピースを作製した。
【0042】
実施例2及び3のテストピースの物性テスト
上記のようにして作製された実施例2及び3の各テストピースについて、ロックウエル硬度(HRB)及び曲げ強度を測定した。それぞれの測定方法は、以下の通りとした。
【0043】
〔ロックウエル硬度〕
メタルボンドホイールの物性を評価するためのロックウエル硬度は、JIS規格(ロックウエル硬さ試験B7726、1998)に従い、基準荷重98.07N(10kgf)を加え、次に一定の試験荷重を加えて再び戻したとき、前後2回の基準荷重における圧子の侵入深さhから求められる。本テストでは直径1.5875mm(1/16インチ)の鋼球を用い、試験荷重980.7N(100kgf)とし130−500hの算出式で求めた。
【0044】
〔曲げ強度〕
JIS規格(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法R1601、1986)に従い、各テスト砥石をスパン間距離30mm、荷重降下速度3mm/minにて3点曲げ強度を行った。各テストピースについて3個の平均値をとった。
【0045】
表3にロックウエル硬度の測定結果を示し、表4に曲げ強度(MPa)の測定結果を示す。
【0046】
【表3】
Figure 2004291218
【0047】
【表4】
Figure 2004291218
【0048】
上記の結果から明らかなように、実施例2及び3の双方において、Ni量が40wt%を超えるメタルボンド組成を採用し、比較的低温で焼結させているが、硬度及び強度としての物性値は共に好ましく高いレベルにあった。このように実施例2及び3の双方とも、優れた研削ホイールを製造できることを示す。
【0049】
また、実施例2と実施例3との比較により、上記メタルボンド組成においてチタン被覆ダイヤモンド砥粒を使用することの利点が示される。すなわち、実施例2の結果は、ロックウエル硬度及び曲げ強度のいずれについても、実施例3の結果を有意に上回っており、このことから、40wt%を超える多量のNiを含み且つ少量のAgを含む当該メタルボンド組成において、チタン被覆ダイヤモンド砥粒との結合力、つまり当該砥粒の保持力が高まるという効果が認められた。
【0050】
[実施例4及び5]
チタン被覆ダイヤモンド砥粒#500を使用して、実施例4及び5の硝子研削用メタルボンドホイールを作製した。比較例としては、特開昭58−217271号公報に記載されるようFe−Cu−Sn系メタルボンドを使用してホイールを用意した。それぞれのホイール仕様は下記の通りとした。
〔混合比〕
砥粒 1000重量部
金属粉末 4200重量部
〔メタルボンドの組成〕
実施例4 Ni/Cu/Sn/Ag=45/28/25/2(wt%)
実施例5 Ni/Cu/Sn/Ag=65/8/25/2(wt%)
比較例 Fe/Cu/Sn=60/28/12(wt%)
上記各原料料を計量し、攪拌雷潰機にて20分間混合し、メタルボンドホイール用材料混合物を調製した。台金にはスチール製台金を用い、その台金上に外周203mm、高さ12.5mm、ホイール層厚み3.5mm円形状のホイール外形を成型するための耐熱合金型が用意された。この耐熱合金型に前記メタルボンドホイール用材料混合物を均一に充填し、最終圧力をすべて100MPaとし、最終加熱温度をすべて750℃として、加圧焼成した。得られた焼結体は、冷却後に金型から取り出し、仕上げ加工を行い、最終的に外周202mm、厚み12mm、穴径50.8mmの1A1のホイールが作製された。更に、各ホイールの外周使用面(研削面)に5つの溝を形成し、各テスト用ホイールを完成させた。下記研削テストでは、各ホイールとも中央の溝部を使用した。
【0051】
研削テスト研削テストでは、下記条件で硝子端面部を研削した。
Figure 2004291218
評価項目として、研削テストに用いられた各ホイールについて、ホイール半径消耗(mmR)、研削動力(Ra)、仕上げ面粗度(μm)、ホイール使用面の錆び発生状態を調べた。それぞれの測定方法は、下記の通りである。
【0052】
〔ホイール消耗〕
カーボンレプリカ法によって使用前後の形状を比較した。
〔研削動力〕
ホイール軸モーターの消費電力をWとし、612×W /周速(60/100)として求められる。なお、周速として前記ホイール周速度を使用した。
【0053】
〔仕上げ面粗度Ra〕
中心線平均粗さ(Ra)は、粗さの曲線からその中心線の方向に測定長さlの部分を抜取り、この抜取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0054】
【数1】
Figure 2004291218
【0055】
〔ホイール使用面の錆び発生状態〕
研削完了してから一晩放置後、ホイール使用面の錆びの発生状態を目視で観察した。
【0056】
表5に上記研削テスト結果を示す。
【0057】
【表5】
Figure 2004291218
【0058】
上記テスト結果から、以下のことが示される。
ホイール半径消耗について、実施例4及び実施例5の双方とも、比較例よりホイールの摩耗が少ないという結果が示された。
【0059】
研削動力については、実施例4及び実施例5の双方とも、比較例より低い値が示された。これはホイールの切れ味が良いことを意味し、被削材である硝子の研削焼け及び研削割れが発生する頻度を減少させ得ることを示している。
【0060】
面粗度については、実施例4、実施例5、比較例のいずれも同様の値を示した。このことは、それら実施例の製品が、研削用ホイールとして従来の製品と同等の品質を有していることを示している。
【0061】
錆び発生については、実施例4と実施例5のいずれにも発生せず、比較例のみで発生したことが確認された。これは、比較例のメタルボンドに含まれているFeが原因であると言える。従って、本実施例のホイールによれば、被削材が錆びで汚染されることがなくなり、被削材の生産効率が向上する。
【0062】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明は、切れ味が良くて研削時の焼けや研削割れの発生頻度が少なく、硬くて長寿命であり、錆が発生せず、しかも加圧時の変形がなく高強度であるNi−Cu−Sn系メタルボンドホイール及びその製造方法を提供することができ、特に、Ni量の高い組成のメタルボンドにおいてもダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒を良好に結合させて保持できるメタルボンドホイールとその製法を提供することができる。

Claims (5)

  1. ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合することにより構成されたメタルボンドホイールであって、前記メタルボンドの化学組成は、Niを40〜70wt%、Snを19〜30wt%、Agを1〜7wt%、及び少なくとも5wt%を占める残部としてのCuからなることを特徴とするメタルボンドホイール。
  2. 前記ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒が、チタン被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載のメタルボンドホイール。
  3. 前記メタルボンドホイールは、硝子の研削及び/又は研磨に使用されものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメタルボンドホイール。
  4. ダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒をメタルボンドで結合するメタルボンドホイールの製造方法であって、
    (a)、Niが40〜70wt%、Snが19〜30wt%、Agが1〜7wt%、及び少なくとも5wt%を占める残部がCuである組成のメタルボンドを得るのに必要とされる量でそれら金属の粉末混合物を用意し、該金属粉末をダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒と混合すること;及び
    (b)前記金属粉末と砥粒との混合物を、耐熱合金又は耐熱鋼材を使用した金型を使用して、温度650〜850℃で焼成すること;
    を含む、メタルボンドホイールの製造方法。
  5. チタン被覆されたダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒を使用することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
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