JP2000129309A - オーステナイト系ステンレス焼結体の製造方法 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス焼結体の製造方法

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JP2000129309A
JP2000129309A JP30094098A JP30094098A JP2000129309A JP 2000129309 A JP2000129309 A JP 2000129309A JP 30094098 A JP30094098 A JP 30094098A JP 30094098 A JP30094098 A JP 30094098A JP 2000129309 A JP2000129309 A JP 2000129309A
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powder
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dispersant
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Akihito Otsuka
昭仁 大塚
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形法を用い、耐食性に優れ、高強度で
あるとともに、複雑な形状を有する製品も容易に得るこ
とができるオーステナイト系ステンレス焼結体の製造方
法を提供する。 【解決手段】 FeとCrを主成分としたフェライト系
合金粉末に、平均粒径10μm以下のNi粉末を添加し
て目標組成のオーステナイト系ステンレス鋼になるよう
に配合された原料粉末と分散剤を含有するバインダーと
からなる組成物を射出成形し、得られた成形体を脱バイ
ンダー処理し、さらに該成形体を非酸化性雰囲気で焼結
するオーステナイト系ステンレス焼結体の製造方法を特
徴とするものであり、前記バインダーを前記組成物全量
当たり30〜70容量%の量で含有し、かつ前記分散剤
を該バインダー当たり3〜30容量%の量で含有するこ
とが好ましく、さらに前記非酸化性雰囲気が真空、水素
あるいはアルゴン、またはアルゴンパーシャル雰囲気で
あることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性および機械
的特性に優れたオーステナイト系ステンレス焼結体の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼を分類すると、マルテンサ
イト系、フェライト系、オーステナイト系に分類され、
日本国内における生産量としてはオーステナイト系ステ
ンレス鋼が最も多く使用されている。オーステナイト系
ステンレス鋼は、18−8(18Cr−8Ni−Fe)
ステンレス鋼をベースに発展してきた鋼種で、強度や硬
さの点ではマルテンサイト系ステンレス鋼よりも劣るも
のの、耐食性、加工性、溶接性などは各系のステンレス
鋼のうちで最も優れていることから、様々な分野で使用
されている。
【0003】上記のオーステナイト系ステンレス鋼製品
を製造するには、一般に溶製材を機械加工する切削加工
法や精密鋳造法が知られている。そして複雑な形状の製
品を製造するに際しては、切削加工法では鋳造品を加工
した板や塊状品から切り出して、所定形状まで機械加工
を行うため、加工コストが上昇する上に歩留まりが悪か
った。
【0004】また精密鋳造法では、鋭利な部分での寸法
精度が得られず、鋳造時に発生する大小の気孔が内部に
残留するなどの鋳造欠陥が生じるという問題があった。
したがってこのような欠点を補うために、オーステナイ
ト系ステンレス鋼を粉末冶金法によって製造する試みが
なされている。しかし通常の粉末冶金法は、原料粉末を
金型に装入し、プレスによって圧縮成形を行うものであ
るから、複雑な形状品を得ることは不可能であり、圧縮
性の要求から100μm程度の比較的大きな平均粒径を
有する原料粉末を用いるため、焼結密度が上昇せず、そ
の結果耐食性を向上することが困難であるとともに、高
強度に必要な高密度化が難しく、さらに最終製品形状に
仕上げるためには、切削加工を行う必要もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の現状に
鑑みなされたものであって、射出成形法を用いて、耐食
性に優れ、高強度であるとともに、複雑な形状を有する
製品も容易に得ることができるオーステナイト系ステン
レス焼結体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、FeとCrを主成分としたフェライト系合金
粉末に、平均粒径10μm以下のNi粉末を添加して目
標組成のオーステナイト系ステンレス鋼になるように配
合された原料粉末と分散剤を含有するバインダーとから
なる組成物を射出成形し、得られた成形体を脱バインダ
ー処理し、さらに該成形体を非酸化性雰囲気で焼結する
オーステナイト系ステンレス焼結体の製造方法を特徴と
するものであり、前記バインダーを前記組成物全量当た
り30〜70容量%の量で含有し、かつ前記分散剤を該
バインダー当たり3〜30容量%の量で含有することが
好ましく、さらに前記非酸化性雰囲気が真空、水素ある
いはアルゴン、またはアルゴンパーシャル雰囲気である
ことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実態の形態】以下本発明を詳細に説明する。 (焼結用粉末)出発材料である金属粉末として合金粉末
を用いことが多いが、オーステナイト組成の合金粉末で
は焼結時の緻密化が困難であるので、高密度の焼結体を
得る方法として高い温度での焼結や長時間の焼結、高価
なガスアトマイズ粉末を用いることが一般的な方法であ
った。
【0008】一方フェライト組成の合金粉末はオーステ
ナイト組成の合金粉末より焼結時の緻密化が容易で、高
い焼結密度が得られることから、本発明においてFeと
Crを主成分としたフェライト系合金粉末に、所定粒径
のNi粉末を添加して目標組成のオーステナイト系ステ
ンレス鋼に配合することにより、焼結体の密度が高くな
る。なおNi粉末の添加量はフェライト系合金粉末に対
して5〜15重量%とすることが好ましく、5重量%未
満ではフェライト組成であり、一方15重量%を超える
と緻密化が困難となるからである。
【0009】また添加するNi粉末の平均粒径として
は、10μm以下が好ましい。平均粒径が10μmを超
えると、焼結体の密度が上昇しにくくなるため、10μ
m以下と限定した。なおNi粉末の平均粒径は小さいほ
ど好ましいが、現状の技術水準では平均粒径を1μm以
下とすることができないために2〜3μm程度が平均粒
径の下限となる。
【0010】(バインダー)射出成形用組成物における
バインダーは、焼結用粉末の射出成形を可能とし、かつ
得られた射出成形体に一定の強度を確保するために必要
であるが、その含有量が30容量%未満では組成物の流
動性が低下し射出成形が困難となり、一方70容量%を
超えると成形時に成形体表面に面引けが生じ、また得ら
れた射出成形体中の焼結用粉末の充填密度が低くなり、
最終的に得られる焼結製品の密度を向上させることが困
難となるため、本発明では射出成形用組成物におけるバ
インダーの含有量を30〜70容量%と限定した。
【0011】また分散剤を含有させることにより、バイ
ンダーとして一般的に用いる樹脂やワックスとの相溶性
および焼結用粉末との親和性を改善し、Ni粉末の凝集
を抑制して均一に分散させることができる。したがって
この分散剤が焼結用粉末とバインダーとの橋渡し的役割
を果たし、この結果として分散性や射出成形時の金型と
の離型性が改善されるのである。本発明で用いる分散剤
の代表的なものとして比較的安価で、安定していること
からフタル酸エステルなどが好適に使用されるが、その
使用量がバインダー全体の3容量%未満では分散性の改
善効果が十分に得られず、一方30容量%を超えると得
られる射出成形体の強度が低下し、成形体が脆くなるた
め分散剤の含有量としてはバインダー全体当たり3〜3
0容量%が好ましい。
【0012】(射出成形用組成物)本発明に係る射出成
形用組成物は、焼結用粉末、バインダーおよび分散剤を
前記した割合で均一に混練することによって容易に調製
される。この組成物は射出成形、脱脂および焼結の各工
程を経て最終製品とされる。
【0013】(射出成形、脱脂)射出成形は、プラスチ
ックの射出成形に使用されている通常の射出成形機を用
いて行うことができる。また脱脂は一般的に射出成形体
を加熱処理を行うことによって行われるが、焼結粉末と
して酸化され易い金属が使用されている場合には、加熱
処理を不活性ガス雰囲気下または還元性雰囲気下で行う
ことが好適である。
【0014】(焼結)脱バインダーした成形体を焼結す
る場合には、非酸化性雰囲気として真空、水素あるいは
アルゴン、またはアルゴンパーシャル(アルゴン雰囲気
で減圧)雰囲気などで焼結することが必要である。上記
の非酸化性雰囲気で焼結することにより高い密度の焼結
体を得ることができる。
【0015】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を比較例とともに以
下に説明する。 実施例1 原料粉末として平均粒径9μmのFe−20.4重量%
Cr合金粉末に、平均粒径5μmのNi粉末を8重量%
添加して、SUS 304相当(Fe−18.8重量%
Cr−8重量%Ni)のオーステナイト系ステンレス鋼
となるように配合し、バインダー当たり分散剤を15容
量%添加したワックス系バインダーを45容量%加え、
150℃で混練した後、ぺレット状に造粒した。このぺ
レットを射出成形機を用いて射出圧800kg/cm
の条件で金型に射出成形した。得られた成形体(幅10
mm、長さ50mm、厚さ5mmの直方体)を300℃
まで加熱し60分間保持してワックス系バインダーの除
去を行った。その後この脱バインダー処理した成形体を
1330℃で2時間真空中で焼結を行った。
【0016】このようにして得られた焼結品について焼
結密度、耐食性を調べた。この際焼結密度は比重計で測
定し、耐食性の評価としては、3%NaCl水溶液中に
30℃で24時間浸漬し、錆の発生および変色を目視に
より観察して評価した。その結果を表1に示す。
【0017】実施例2 原料粉末として平均粒径10μmのFe−19.5重量
%Cr−2.5重量%Mo合金粉末に、平均粒径5μm
のNi粉末を12重量%添加して、SUS 316相当
(Fe−17.2重量%Cr−12重量%Ni−2.2
重量%Mo)のオーステナイト系ステンレス鋼となるよ
うに配合し、バインダー当たり分散剤を10容量%添加
したワックス系バインダーを45容量%加え、1380
℃で焼結を行った以外は、実施例1と同様に試料を作製
し実施例1と同様にして評価した。この結果を表1に併
せて示す。
【0018】実施例3 原料粉末として平均粒径9μmのNi粉末を用いた以外
は、実施例1と同様に試料を作製し実施例1と同様にし
て評価した。この結果を表1に併せて示す。
【0019】比較例1 原料粉末として平均粒径9μmのSUS 304合金粉
末(Fe−19.1重量%Cr−8.2重量%Ni)を
用いた以外は、実施例1と同様に試料を作製し実施例1
と同様にして評価した。この結果を表1に併せて示す。
【0020】比較例2 原料粉末として平均粒径9.8μmのSUS 316合
金粉末(Fe−17.3重量%Cr−12.2重量%N
i−2.1重量%Mo)を用いた以外は、実施例2と同
様に試料を作製し実施例1と同様にして評価した。この
結果を表1に併せて示す。
【0021】比較例3 原料粉末として平均粒径38μmのNi粉末を用いた以
外は、実施例1と同様に試料を作製し実施例1と同様に
して評価した。この結果を表1に併せて示す。
【0022】比較例4 バインダー成分中に分散剤を添加しなかった以外は、実
施例1と同様に試料を作製し実施例1と同様にして評価
した。この結果を表1に併せて示す。
【0023】
【表1】 なお上記表1において○は良好、×は悪いを示す。
【0024】上記表1から分かる通り本発明の実施例に
係るオーステナイト系ステンレス焼結体は、比較例に比
べて高密度で耐食性を兼ね備え優れているものであっ
た。
【0025】
【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば、高密度
で耐食性を有する焼結体を容易に、かつ安定して製造す
ることができ、また射出成形法を用いているので複雑な
形状を有する製品でも容易に製造することができるもの
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FeとCrを主成分としたフェライト系
    合金粉末に、平均粒径10μm以下のNi粉末を添加し
    て目標組成のオーステナイト系ステンレス鋼になるよう
    に配合された原料粉末と分散剤を含有するバインダーと
    からなる組成物を射出成形し、得られた成形体を脱バイ
    ンダー処理し、さらに該成形体を非酸化性雰囲気で焼結
    すること特徴とするオーステナイト系ステンレス焼結体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記バインダーは前記組成物全量当たり
    30〜70容量%の量で含有され、かつ前記分散剤は該
    バインダー当たり3〜30容量%の量で含有されている
    ことを特徴とする請求項1記載のオーステナイト系ステ
    ンレス焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記非酸化性雰囲気が真空、水素あるい
    はアルゴン、またはアルゴンパーシャル雰囲気であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のオーステナイト
    系ステンレス焼結体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111451507A (zh) * 2020-05-27 2020-07-28 江苏省海洋资源开发研究院(连云港) 一种高氮无镍奥氏体不锈钢近净成形方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111451507A (zh) * 2020-05-27 2020-07-28 江苏省海洋资源开发研究院(连云港) 一种高氮无镍奥氏体不锈钢近净成形方法

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