JP2000127284A - 透明導電積層体の製造方法 - Google Patents

透明導電積層体の製造方法

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JP2000127284A
JP2000127284A JP10299482A JP29948298A JP2000127284A JP 2000127284 A JP2000127284 A JP 2000127284A JP 10299482 A JP10299482 A JP 10299482A JP 29948298 A JP29948298 A JP 29948298A JP 2000127284 A JP2000127284 A JP 2000127284A
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transparent conductive
polymer
cured resin
resin layer
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Seiji Tsuboi
誠治 坪井
Kazuo Hachiman
一雄 八幡
Hiroshi Hara
寛 原
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カールの小さい透明導電積層体を与える製造
方法を提供する。 【解決手段】 高分子フィルムの一方の片面に金属酸化
物層、硬化樹脂層Aが順次接して設けられ、該高分子フ
ィルムの他方の片面に硬化樹脂層Bが設けられてなる高
分子積層フィルムの硬化樹脂層Bが設けられた面に、ス
パッタリング法により、成膜雰囲気中の水分と酸素の分
圧比がH2O/O2=0.05以上2.0以下の範囲で透
明導電薄膜を形成することを特徴とする透明導電積層体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
による透明導電積層体の製造方法に関し、さらに詳しく
は高分子フィルム上に金属酸化物層、及び硬化樹脂層が
設けられている高分子積層フィルム上に主としてインジ
ウム酸化物からなる透明導電薄膜を形成してなる、液晶
表示用途に好適な透明導電積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ペイジャー、携帯電話、電子手
帳、携帯情報端末等の携帯して移動できる情報機器が普
及し始めている。これらの情報機器の携帯性を向上する
ため、より一層の薄型化、軽量化、耐破損性が求められ
ている。従来、LCD、タッチパネルの透明電極用基板
として、重く、厚く、割れやすいガラス基板が用いられ
てきたが、これに代わる材料として、透明樹脂基板が提
案されている。しかし、透明樹脂基板は耐久性、耐溶剤
性、ガスバリアー性等の基本特性がガラス基板よりも劣
っている。例えば透明樹脂基板をLCD用電極基板とし
て利用した場合、金属酸化物層を設けることにより、ガ
スバリアー性は付与される。しかし、透明電極パターニ
ング後のレジスト剥離過程でアルカリ水溶液にさらされ
るため該金属酸化物層が溶解する問題や、液晶配向膜形
成過程で、液晶配向膜の前駆材料をN−メチルピロリド
ン等の溶剤に溶解した塗工液をコーテイングする際に、
上記溶剤により上記透明樹脂基板が、白化、膨潤等の損
傷を受ける問題があった。この様な問題を解決するため
に高分子フィルムに硬化樹脂層を積層することが提案さ
れている。
【0003】ところで透明導電薄膜としてはITO(I
n−Sn−O)膜がその高導電性、高透明性の特性を活
かし液晶ディスプレイ、タッチパネル等の電極材料とし
て広く用いられている。成膜方法としては近年、成膜速
度の制御性、形成された薄膜の均一性等の点からDC
マグネトロンスパッタリング法が一般的となっている。
特に最近の薄膜形成技術の進歩は目覚しく、耐熱性のあ
まりない高分子フィルム基板上に透明導電薄膜を形成で
きるようになった。中でもスパッタリング法は、長時間
にわたって成膜が可能、長時間膜形成を行っても組成が
ずれない、広幅化が容易などの特徴を有し、最も利用さ
れている技術の一つである。
【0004】本発明者等は高分子フィルム上に金属酸化
物層及び硬化樹脂層が積層された高分子積層フィルム上
が、ガスバリア性、耐久性、取り扱い強度に優れ、液晶
表示用の透明樹脂基板として好適であることを見出して
いる。更に本発明者等は、スパッタリング法を用いてこ
の高分子積層フィルム上にITO膜を形成した透明導電
積層体の実用性を検討してきた。しかしながら、 IT
M(In−Sn−Metal)またはITOターゲット
を使用してDC マグネトロンスパッタリング法により
高分子積層フィルム上に連続成膜した場合には、成膜時
間が長くなるに従って作製した透明導電積層体の変形が
激しくなるなどの問題があることが分かった。かかる高
分子積層フィルム自身は平面性に優れ平坦であっても、
該高分子積層フィルム上にITO薄膜を堆積すると透明
導電積層体自身が変形してしまうという問題があった。
この変形を一般的にカールと称する。カールがある程度
以上の大きさになると、透明導電積層体のパネル化工程
で、具体的にはレジスト塗布時にスピナーヘッドまたは
ロールコータ基台に吸着することができなくなったり、
さらに、洗浄時や乾燥時に基板ホルダーやキャリアーに
容易に収納できない等の種々の問題が生ずる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、IT
MまたはITOターゲットを使用してスパッタリング法
により高分子フィルムの上に透明導電薄膜を形成した場
合に、導電性、透明性に優れ、カールが小さく平面性が
良好な透明導電積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、透明導電
積層体のカールを抑制するためには堆積する透明導電薄
膜の結晶性を低下させ応力を小さくすることが有効であ
ることを見出した。従来の技術としてこの膜応力を低減
する手法としては、成膜圧力をできるだけ高くして、作
製される薄膜の密度を疎にする方法がある。その様な薄
膜は密度が疎であるために膜応力は若干低下して、透明
導電積層体の変形を抑制するのにある程度効果があるこ
とが分かった。しかしながら、成膜条件によっては圧力
を高くしてもその効果が発揮されないことがあった。
【0007】そこで本発明者らは、更にITMまたはI
TOターゲットを使用してスパッタリング法による透明
導電積層体の製造方法において、高分子積層フィルム中
に存在する微量の水分を考慮しつつ、該スパッタリング
法の導入ガスとして不活性ガス(主にアルゴン)に加え
て、成膜雰囲気中に存在する水分と酸素の分圧を四重極
型質量分析計で測定し、その分圧比がH2O/O2=
0.05以上2.0以下となるように水分、酸素導入量
を調節しながら成膜することにより、結晶性を低くして
膜の応力の小さいITO薄膜が得られ、その結果カール
の小さい透明導電積層体を与えることを見出した。
【0008】すなわち本発明は、高分子フィルムの一方
の片面に金属酸化物層、硬化樹脂層Aが順次接して設け
られ、該高分子フィルムの他方の片面に硬化樹脂層Bが
設けられてなる高分子積層フィルムの硬化樹脂層Bが設
けられた面に、スパッタリング法により、成膜雰囲気中
の水分と酸素の分圧比がH2O/O2=0.05以上2.
0以下の範囲で透明導電薄膜を形成することを特徴とす
る透明導電積層体の製造方法である。かかる透明導電積
層体は透明導電薄膜の比抵抗が1x10-4以上1x10
-3オームセンチ以下で全光線透過率が80%以上92%
以下であり、透明性と導電性に優れるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明の方法には、主にスパッタリング法
が使用される。主としてインジウム酸化物を含む透明導
電薄膜を形成するスパッタリング法には、インジウムを
主成分とする合金、または酸化インジウムを主成分とす
る焼結体をターゲットとして用いることができる。前者
はアルゴンなどの不活性ガスおよび酸素ガスなどの反応
性ガスを真空槽内に導入して、反応性スパッタリングを
行う。後者においては、アルゴンなどの不活性ガス単独
かあるいはアルゴンなどの不活性ガスに微量の酸素ガス
などの反応性ガスを混合したものを用いてスパッタリン
グを行う。スパッタリングの方式は、直流または高周波
二極スパッタリング、直流または高周波マグネトロンス
パッタリング、イオンビームスパッタなど公知の方式が
適用できる。中でもマグネトロン方式は高分子積層フィ
ルムへのプラズマ衝撃が少なく、高速成膜が可能で好ま
しい。
【0011】また、スパッタリング装置としてバッチ
式、ロールツーロール方式の両者に適用できる。その生
産性を考慮すると特にロールツーロール方式の方が好ま
しい。
【0012】本発明者等はITO薄膜の応力が成膜圧力
だけでなく、成膜雰囲気中の酸素と水分の存在量比によ
って決定されることを突き止めた。この水分は主に高分
子フィルムや硬化樹脂層から放出されると推定される。
この放出水分量の変動がカール特性のバラツキの原因で
あった。そこで高分子積層フィルムを搬送しながら、主
としてインジウム酸化物からなる透明導電薄膜を形成し
てなる透明導電積層体をロールツーロール方式またはバ
ッチ方式でに製造するに当たり、従来用いられている導
入ガスである不活性ガス(主にアルゴン)に加えて成膜
雰囲気中に放出される水分量を例えば四重極型質量分析
計でモニターし、H2O/O2=0.05以上2.0以下
となるように、例えば外部から水分を導入したり、外部
へ除去することで制御することにより作製される。成膜
雰囲気中に存在する水分(massnumber18)
と酸素(massnumber32)のピーク強度比
(分圧比)がH2O/O2=0.05未満の場合、成膜初
期からITO膜の応力が大きくなるような膜成長が起こ
り、その影響で透明導電積層体としたときのカールが増
加する。本発明によればH2O/O2=0.05以上の範
囲である場合、薄膜の応力が非常に小さい成長が起こ
り、そのため透明導電積層体としたときのカールが小さ
くなる。薄膜の応力は膜の成長過程と密接な関係があ
り、その膜成長には成膜雰囲気に存在する酸素と水の量
比が大きな影響を与える。この成膜雰囲気に存在する酸
素と水の量比を制御することにより、膜応力の低い透明
導電膜を作製でき、透明導電積層体としたときのカール
を低減できる。しかし、 H2O/O2=2は低減される
が比抵抗の上昇及び耐熱性R/R0が悪化する問題があ
る。ここでいう耐熱性R/R0とは130℃、4h熱処
理後の表面抵抗の値を初期の表面抵抗の値で割った値で
0.7< R/R0<1.5を大体の目安としている。
【0013】本発明では、成膜雰囲気中に存在する水分
と酸素のピーク強度比(分圧比)がH2O/O2=0.0
5以上2.0以下の範囲で製膜することにより、カール
が小さく、ITO薄膜の比抵抗、耐熱性R/R0が良好
であり、H2O/O2=0.05以上1.5以下の場合に
ITO薄膜の比抵抗がより良好である薄膜となる。
【0014】本発明によってできる透明導電薄膜は、主
としてインジウム酸化物を含むものである。インジウム
酸化物は本来透明な電気絶縁体であるが、(1)微量の
不純物を含有する場合、(2)わずかに酸素不足になっ
ている場合などに半導体になる。好ましい半導体金属酸
化物としては、例えば不純物としてスズまたはフッ素を
含む酸化インジウムを挙げることができる。特に好まし
くは、酸化スズを2〜20重量%含むインジウム酸化物
の層である。本発明に用いられる主としてインジウム酸
化物を含む透明導電薄膜の膜厚は充分な導電性を得るた
めには100Å以上であることが好ましい。また、本発
明に用いられる透明導電薄膜の比抵抗はデバイスを作製
した時の応答速度を考慮すると1x10-3オームセンチ
以下であることが好ましく、デバイスを形成したときの
視認性を良好に保つためには全光線透過率が80%以上
であることが好ましい。
【0015】また、透明導電積層体を変形させる力は膜
の応力とその膜厚に大きく影響を受ける。上記透明導電
薄膜は、その膜厚が厚くなるほど透明導電積層体とした
ときの変形すなわちカールが大きくなるため、本発明に
おいては特に透明導電薄膜の膜厚が300〜3000
Å、好ましくは500〜3000Åの場合にその効果を
発揮する。
【0016】上記透明導電薄膜が形成される高分子積層
フィルムは、高分子フィルムの一方の片面に金属酸化物
層、硬化樹脂層Aが順次接して設けられ、該高分子フィ
ルムの他方の片面に硬化樹脂層Bが設けられている。そ
して、該硬化樹脂層B上には上記透明導電薄膜が形成さ
れている。本発明における高分子フィルムとしては、耐
熱性を有する透明な有機高分子化合物からなるものであ
れば特に限定しないが、通常ガラス転移温度(Tg)
が、100℃以上、好ましくは130℃以上である高分
子が好ましい。かかる高分子としては、例えばポリエー
テルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリ
アリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、
ポリオレフィンなどが挙げられる。もちろんこれらはホ
モポリマー、コポリマーとして、また単独またはブレン
ドとしても使用できる。この中で、ビスフェノールA、
トリメチクロヘキサンビスフェノールをジヒトロキシ成
分とするポリカーボネートがより好ましい。
【0017】本発明における透明導電薄膜は膜応力が少
ないので、膜厚0.025mm以上0.4mm以下の薄
い高分子フィルムを用いたときに特にその効果が大き
い。かかる高分子フィルムは、溶融法、流延法により製
造することができ、透明性の点で流延法で得られたもの
が好ましい。
【0018】本発明における金属酸化物層としては、珪
素、アルミニウム、マグネシウム等の群から選ばれる1
種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物が挙
げられ、ガスバリア性に優れている材料として知られて
いる。これら酸化物層はスパッタ法、イオンプレーテイ
ング法、プラズマCVD法等により作製される。
【0019】この中でも、ガスバリア性、透明性、表面
平滑性、屈曲性等の点から珪素原子数に対する酸素原子
数の割合(x)が1.5〜2.0の珪素酸化物(SiO
x)を主成分とするこ金属酸化物が良好である。珪素酸
化物に対する酸素原子数の割合は、X線電子分光法、X
線マイクロ分光法、オージェ電子分光法、ラザホード後
方散乱法などにより分析、決定される。この割合が1.
5よりも小さくなると透明性が悪くなることから、1.
5〜2.0が好ましい。
【0020】該金属酸化物層の厚さとしては、5nm〜
200nmの範囲が好ましい。5nmよりも薄くなると
均一に膜を形成することは困難であり、膜が形成されな
い部分が発生し、この部分からガスが浸透し、ガスバリ
アー性が悪くなる。また、200nmよりも厚くなると
透明性を欠くだけでなく、屈曲性が悪く、クラックが発
生してガスバリアー性が損なわれる。
【0021】更に高い透明性の要求に対してはフッ化マ
グネシウムを全体の重量に対して5〜30重量%含有さ
れている、上記の珪素酸化物が好ましい。
【0022】上記金属酸化物層は上記高分子フィルムに
接して設けられ、該金属酸化物層に接して下記で述べる
硬化樹脂層Aが設置されていることにより、ガスバリヤ
性に優れ、液晶表示用基板として好ましく使用できる。
【0023】本発明における硬化樹脂層A、Bは高分子
フィルム、金属酸化物層あるいは透明導電薄膜と接着性
が良好なもので、耐薬品性、耐屈曲性を有するものが良
い。かかる硬化樹脂層は本発明に使用する高分子積層フ
ィルムのカール変形を少なくするために高分子フィルム
の両面に膜厚をほぼ等しく塗布することが好ましい。
【0024】この様な硬化樹脂層を構成する具体的な例
としては、熱硬化性樹脂として例えばエポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、アクリルエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、シリコン系樹脂またはウレタン樹脂など
がある。光重合性ポリマーとしてはポリエステルアクリ
レート、ポリエステルウレタンアクリレート、エポキシ
アクリレート、ポリオールアクリレートなどがある。こ
こでシリコン系樹脂としては、例えばアルコキシシラン
を原料とする反応硬化物、該アルコキシシランとOH基
を有する親水性ポリマーとからなる反応硬化物が、ガス
バリア性、耐溶剤性の面で好適である。かかるアルコキ
シシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グ
リキドキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノ
エチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
を挙げることができる。これらは2種類以上組み合わせ
て用いることができる。
【0025】また、OH基を有する親水性ポリマーとし
ては、例えば、けん化度80%以上のポリビニルアルコ
ール、エチレンービニルアルコールコポリマー、及び分
子内にシリル基を有するポリビニルアルコール等のポリ
ビニルアルコール系ポリマー、ヒドロキシエチルメタク
リレート等のアクリル系ポリマーを挙げることができ
る。これらは共重合体として、あるいはブレンドとして
2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0026】その中でも硬化樹脂層としては、特にアル
コキシシランとポリビニルアルコール系ポリマーとを組
み合わせて用いることが好ましい。
【0027】また、高分子積層フィルムに用いられる硬
化樹脂層A、Bは同一の物が好ましい。また、かかる硬
化樹脂層は2層以上設けてもよい。
【0028】上記硬化樹脂層の膜厚は特に限定するもの
ではないが、3μmよりも低い場合には耐溶剤性が不十
分である。また、膜厚の上限は製膜性と経済性、耐溶剤
性のバランスで決定される。好ましくは20μm以下、
より好ましくは10μm以下が良い。
【0029】この硬化樹脂層は、以下のように形成する
ことができる。即ち、上記熱硬化性樹脂を含む溶液に必
要に応じて反応性希釈剤、微粒子、レベリング剤等の各
種添加剤、熱可塑性樹脂、可塑剤等の改質剤を添加して
塗工液とする。塗工液の濃度、粘度調整のため必要に応
じて適当な有機溶剤で希釈する。該塗工液を公知の塗工
法、例えば、ディップコート、スプレーコート、フロー
コート、ロールコート、バーコート、スピンコート等
で、基板上に塗工し、120℃以上の温度で3分以上、
より好ましくは130℃以上の温度で5分以上の熱処理
により硬化させて硬化層とすることにより、形成され
る。
【0030】また、光重合性ポリマーを用いる場合は、
紫外線又は電子線等の放射線を照射することにより硬化
樹脂層とすることができる。
【0031】本発明における透明導電積層体は、構成成
分として高分子フィルム、金属酸化物層、硬化樹脂層
A、B、および透明導電薄膜とを含んでなるもので、高
分子フィルム上に金属酸化物層が接しており、かつ該金
属酸化物層上に接して硬化樹脂層Aが設けられている。
具体的構成としては、例えば硬化樹脂層A/金属酸化物
層/高分子フィルム/硬化樹脂層B/透明導電薄膜であ
る。高分子フィルムと硬化樹脂層Bとの間、あるいは硬
化樹脂層Bと透明導電薄膜の間、さらには硬化樹脂層A
の上には、密着性を改善したり、耐薬品性、耐屈曲性、
耐摩耗性等をより高める目的で、接着性層、耐薬品性層
の機能を果たす層が存在してもよい。
【0032】図1は、本発明の成膜方法を実施するため
の装置の構成図の一例である。各種の高分子フィルムの
ロールを基板フィルムとして巻き出し軸4にセットし、
フィルムを巻き出して図示の成膜経路を沿って巻き取り
軸7にセットされた巻き芯に巻き取りできるようにセッ
トする。成膜時には11の四重極質量分析計(超小型分
圧計MPA)で成膜中の水分圧と酸素分圧をモニターし
ながら水導入量、酸素導入量を調節する。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0034】(1)四重極型質量分析計 本発明において使用した四重極型質量分析計は主に真空
槽内に存在する元素の種類およびその存在量を評価する
装置である。従来この四重極型質量分析計を用いて成膜
雰囲気中のガス成分を計測するためには、差動排気系を
取り付けることにより実際の成膜圧力よりも低い圧力
(1x10-4Torr以下)にして測定する。四重極型
質量分析計の一例としては日本真空技術社製MASSM
ATE100がある。本発明ではエムシーエレクトロニ
クス社製のMicropoleAnalyzer超小型
分圧真空計システムMPAを使用した。MPAセンサと
して今回は最大動作圧力が5mTorr、分析室量範囲
が2〜100AMUである型式番号MPA−CF−21
5を使用した。MPAは差動排気系を用いずに成膜圧力
下(1x10-2Torr〜1x10-4Torrr)で測
定できる質量分析計である。
【0035】(2)全光線透過率の測定 日本電色工業社製COH−300Aを用いて測定を行っ
た。
【0036】(3)カール測定 本発明の薄膜の応力による液晶表示用透明導電積層体と
したときの変形量の測定方法を以下に記載する。本測定
方法をカール測定法、その変形量をカールと記述する。
【0037】液晶表示用透明導電積層体を10cm角の
正方形に切り取り、恒湿、常温下(25℃、50%RH
環境下)で24時間放置する。その後該積層体を水平な
支持板上に透明導電層を設ける面が下になるように置
き、該積層体の四隅の支持板からの高さの平均値(カー
ル)が0〜20mmの範囲内にあるものを良好な特性と
して評価する。
【0038】(4)比抵抗の測定 ITO薄膜の表面抵抗を三菱化学株式会社のLores
taMP MCP−T350で測定し、ITO薄膜の膜
厚を理学電気工業社製の蛍光X線分析装置によって測定
した。この表面抵抗を膜厚で割ることにより比抵抗を求
めた。
【0039】(5)耐熱性の評価 成膜直後のITO付フィルムの表面抵抗(Ω/cm2
R0を測定し、その後130℃、4時間の熱処理を施し
て同様に表面抵抗(Ω/cm2)Rを測定する。この熱
処理後の表面抵抗Rを熱処理前の表面抵抗R0で割った
ものをR/R0耐熱性と称する。R/R0=0.5〜
1.5の範囲にあるものを良好な特性とする。
【0040】[実施例1]高分子フィルムとしては、厚
みが100μmで、DSCで測定したTgが150℃で
あるポリカーボネートフィルムを用いた。
【0041】ついで、このポリカーボネートフィルムの
一方の面に10重量%のフッ化マグネシウムを添加した
珪素酸化物を蒸着源とし、真空度67mPa下で真空蒸
着することによって、厚さ100nmのフッ化マグネシ
ウム含有酸化珪素層を積層した。この珪素酸化物はSi
Oxの平均組成でXはおよそ1.7であった。
【0042】引き続いてこのフッ化マグネシウム含有酸
化珪素層の表面に、100W・min/m2の積算エネ
ルギーでコロナ処理を行った後に、以下の様な硬化樹脂
層Aを積層した。
【0043】容器外部が水冷された攪拌容器内にビニル
メトキシシラン(信越シリコーン社製KBM1003)
148重量部を入れ、激しく攪拌を行いながら0.01
規定の塩酸水54部を徐々に添加し、更に3時間ゆっく
りと攪拌を行うことにより、ビニルメトキシシランの加
水分解液を得た。次いでアクリル系樹脂を50重量部、
前述のビニルメトキシシランの加水分解物を50重量
部、未加水分解のビニルトリメトキシシラン10重量部
および光開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェ
ニルプロパン−1−オン(メルク社製ダルキュアー11
73)5重量部及びレベリング剤としてシリコンオイル
(東レダウコーニングシリコーン社製SH28PA)
0.02重量部を混合して塗液(イ)とした。この塗液
(イ)をコロナ放電処理をしたフッ化マグネシウム含有
酸化珪素上にマイクログラビアロールコーテイング法を
用いてコーテイングし、60℃で1分間加熱して塗膜中
の残留溶媒を排気除去した後、120W/cmの高圧水
銀灯を用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫
外線を照射して塗膜の硬化を行い、厚さ4umの硬化樹
脂層Aを形成した。次に反対側のフィルム面にも50W
・min/m2の積算エネルギーでコロナ放電処理を行
った後に、フッ化マグネシウム含有酸化珪素層上に積層
した硬化樹脂層と同一の硬化樹脂層Bを設けた。この高
分子積層フィルム自身のカール変形量は0mmであっ
た。このようにして得られた高分子積層フィルムを巻き
取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して
1.5x10-5Torrまで排気した。その後、O2
Ar混合ガス(O2/Ar=1.2%)を槽内に150
sccm導入し、圧力を3.0x10−3Torrに保
った後、メインロールの温度を室温、フィルム速度をV
f=0.1m/min、投入電力密度を1W/cm2
設定してSiOx層と反対面の硬化樹脂層B上に連続成
膜した。その時の成膜雰囲気中に存在する水分(mas
snumber18)と酸素(massnumber3
2)の四重極型質量分析計(MPA)によるピーク強度
比(詳しくは分圧比)H2O/O2=1.8となるように
水分を調節しながら導入した。
【0044】この透明導電積層体の評価結果を表.1に
示す。全ての評価において良好な結果であった。
【0045】[実施例2]実施例1に記述した高分子積
層フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装
置内に設置して2x10-5Torrまで排気した。その
後、O2/Ar混合ガス(O2/Ar=1.2%)を槽内
に150sccm導入し、圧力を3.0x10-3Tor
rに保った後、メインロールの温度を室温、フィルム速
度をVf=0.1m/min、投入電力密度を1W/c
2に設定してSiOx層と反対面の硬化樹脂層B上に
連続成膜した。その時の成膜雰囲気中に存在する水分
(massnumber18)と酸素(massnum
ber32)の四重極型質量分析計(MPA)によるピ
ーク強度比(詳しくは分圧比)H2O/O2=0.8とな
るように水分を補充した。
【0046】この透明導電積層体の評価結果を表.1に
示す。全ての評価において良好な結果であった。
【0047】[比較例1]実施例1に記述した高分子積
層フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装
置内に設置して2x10-6Torrまで排気した。その
後、O2/Ar混合ガス(O2/Ar=2.0%)を槽内
に150sccm導入し、圧力を3.0x10-3Tor
rに保った後、メインロールの温度を室温、フィルム速
度をVf=0.1m/min、投入電力密度を1W/c
2に設定してSiOx層と反対面の硬化樹脂層B上に
連続成膜した。その時の成膜雰囲気中に存在する水分
(massnumber18)と酸素(massnum
ber32)の四重極型質量分析計(MPA)によるピ
ーク強度比(詳しくは分圧比)はH2O/O2=0.03
であった。この透明導電積層体は、カールが大きく問題
であった。
【0048】[比較例2]実施例1に記述した高分子積
層フィルムを巻き取り式マグネトロンスパッタリング装
置内に設置して4x10-6Torrまで排気した。その
後、O2/Ar混合ガス(O2/Ar=1.2%)を槽内
に150sccm導入し、圧力を3.0x10-3Tor
rに保った後、メインロールの温度を室温、フィルム速
度をVf=0.1m/min、投入電力密度を1W/c
2に設定してSiOx層と反対面の硬化樹脂層B上に
連続成膜した。その時の成膜雰囲気中に存在する水分
(massnumber18)と酸素(massnum
ber32)の四重極型質量分析計(MPA)によるピ
ーク強度比(詳しくは分圧比)はH2O/O2=5.0と
なるように水分を補充した。
【0049】この透明導電積層体は、カールは抑制され
たが比抵抗が高くかつ耐熱性が悪いものであった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明により、バッチ式、ロールツーロ
ール方式を問わず、スパッタリング法を用いて成膜雰囲
気中に存在する水分(massnumber18)と酸
素(massnumber32)の四重極型質量分析計
によるピーク強度比(詳しくは分圧比)を適切な範囲で
高分子積層フィルム上に成膜することによりカール特性
の良好な透明導電性積層体を提供できる。この透明導電
性積層体は液晶表示装置用透明電極基板、タッチパネル
等に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできる一般的なロールツ
ーロール式成膜法の製造装置の断面図である。
【符号の説明】
1. 真空チャンバー 2. 長尺ロール状ポリマーフィルム 3. ターゲット 4. 巻きだし軸 5. メインロール 6. サブロール 7. 巻き取り軸 8. Arガス導入系 9. O2ガス導入系 10.H2O導入系 11.MPA(質量分析計)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 寛 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 4F100 AA17B AA17E AA20B AA25E AA28E AH06C AK01A AK01C AK01D AK45A AK52C AR00E BA05 BA07 BA10C BA10E BA13 EH66B EJ55 GB41 JB12C JB12D JG01 JG01E JL04 JN01 JN01E YY00E 4K029 AA11 AA25 BA50 BC07 BC09 CA06 EA01 EA03 EA05 FA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの一方の片面に金属酸化
    物層、硬化樹脂層Aが順次接して設けられ、該高分子フ
    ィルムの他方の片面に硬化樹脂層Bが設けられてなる高
    分子積層フィルムの硬化樹脂層Bが設けられた面に、ス
    パッタリング法により、成膜雰囲気中の水分と酸素の分
    圧比がH2O/O2=0.05以上2.0以下の範囲で透
    明導電薄膜を形成することを特徴とする透明導電積層体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 透明導電薄膜が、インジウム酸化物を主
    成分とし、錫、亜鉛およびガリウムから選ばれた1種類
    以上の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の
    透明導電積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子フィルムがポリカーボネートから
    なり、金属酸化物層がSiOxからなり、硬化樹脂層A
    およびBがアルコキシシランの反応硬化物を含んでなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電積
    層体の製造方法。
  4. 【請求項4】 透明導電薄膜の膜厚が300〜3000
    Åであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の透明導電積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016181776A1 (ja) * 2015-05-13 2016-11-17 住友金属鉱山株式会社 反応性スパッタリング法と積層体フィルムの製造方法

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