JP2000126857A - ダイカストマシン用スリーブ - Google Patents

ダイカストマシン用スリーブ

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JP2000126857A
JP2000126857A JP10304246A JP30424698A JP2000126857A JP 2000126857 A JP2000126857 A JP 2000126857A JP 10304246 A JP10304246 A JP 10304246A JP 30424698 A JP30424698 A JP 30424698A JP 2000126857 A JP2000126857 A JP 2000126857A
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JP
Japan
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sleeve
less
die casting
casting machine
iron
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Pending
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JP10304246A
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English (en)
Inventor
Sakae Takahashi
栄 高橋
Masayuki Shimada
真幸 島田
Atsushi Masuda
淳 増田
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Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Machine Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、溶湯に対する保温性を備えるとと
もに、プランジャチップとの摩擦に対し、摩耗しにくい
ダイカストマシン用スリーブを提供する。 【解決手段】本発明のダイカストマシン用スリーブは、
熱伝導率(300℃)が10W/m・K以上、25W/
m・K以下と低い鉄系材料(例えば、SUS630,S
US631相当;JIS−G−4303)を用いるの
で、溶湯に対する保温性を備えるとともに、スリーブ内
径面が粒状の金属炭化物と金属窒化物および窒素の拡散
領域とからなるので、耐摩耗性も備えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカストマシン
用スリーブに係り、特にアルミ合金、マグネシウム合金
の成形品の鋳造に使用されるダイカストマシンにおい
て、溶湯受け兼加圧シリンダとして使用されるスリーブ
に好適な構成に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイカストマシンにおいて溶湯受け兼加
圧シリンダとして使用されるスリーブには、従来、JI
S−SKD61などの工具鋼が使用されてきた。この様
な工具鋼製のスリーブは、その熱伝導率が29W/m・
K(300℃)と比較的高いので、スリーブ内に注入さ
れた溶湯(溶融金属)が急速に冷却され、特に、スリー
ブに接する部分では短時間で凝固が始まる。このため、
スリーブから金型に注入された後に、溶湯が早期に凝固
することによって、湯境い、湯まわり不良、充填不良な
どの成形不良が発生する。特に、注湯量の少ない薄肉成
形品の製造の際に、上記の様な成形不良が高い頻度で発
生することが問題となっている。
【0003】この様な問題を解決するため、鋼製あるい
は合金製の外筒にセラミックス製の内筒を嵌め込んだ多
重スリーブが開発されている(例えば、特開平2−17
9346号公報、特開平5−038563号公報な
ど)。この様な複合構造を備えたスリーブは、内筒を構
成するセラミックスの熱伝導率が低いので(例えば、約
20W/m・K(300℃))、溶湯の保温性に優れて
おり、上記のような問題を解消し、ダイカスト製品の不
良率を減少させることができる。更に、セラミックス製
の内筒は、溶融アルミニウムに対する耐食性を備えてい
るので、溶湯落下部において侵食が生じにくいという利
点を持っている。
【0004】しかし、セラミックス製の内筒は熱伝導率
が低いので、溶湯の注入の際に大きな熱応力が発生し、
この熱応力によって瞬時に破損するという問題がある。
この様な問題を改善するため、セラミックス製の内筒と
金属製の外筒の間に応力緩和層を設けるなどの工夫がな
されているが(例えば、特開平5−50204号公
報)、その効果は十分であるとは言えない。これらは、
熱伝導率が低く、靭性に乏しく、強度に対する信頼性に
欠けるというセラミックスの一般的な性質からの当然の
帰結であり、現状では容易には解決できないと考えられ
る。
【0005】セラミックス製の内筒を用いたスリーブの
もう一つの欠点は、切削加工が難しいので、加工効率の
低い研削加工に頼らざるを得ない点にある。これが、上
記の様な構造を備えたスリーブの製作コストを引き上げ
る要因となっている。
【0006】上記の様なセラミックス製の内筒を用いた
スリーブの欠点を補うべく、低熱伝導率の合金を用いた
スリーブが提案されている(特願平10−107756
号、特願平10−107758号)。上記の合金を用い
たスリーブは、熱伝導率が12〜20W/m・K(室温
〜300℃)と低く、溶湯に対する保温性に優れている
ので、湯境い、湯回り不良、充填不良などの成形不良の
発生を効果的に抑えることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の合金と
して、例えば、JIS−G−4303のSUS630,
631相当を用いた場合、SKD61と比較し、焼入れ
等熱処理による硬化性が低く、そのため、窒化処理して
も、プランジャチップとの摩擦によって摩耗し、その寿
命に問題があった。
【0008】この発明は、以上の点に鑑みなされたもの
で、その目的は、セラミックス並の断熱特性を備えると
ともに、耐摩耗性に優れたスリーブを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のダイカストマシ
ン用スリーブは、熱伝導率(300℃)が、10W/m
・K以上、25W/m・K以下の鉄系材料からなるスリ
ーブ本体の内径面に粒状の金属炭化物、金属窒化物、及
び窒素を拡散した領域を形成してなることを特徴とす
る。
【0010】本発明のダイカストマシン用のスリーブに
よれば、熱伝導率(300℃)が10W/m・K以上、
25W/m・K以下と低い鉄系材料をスリーブ本体とし
て用いるので、溶湯に対する保温性を備えるとともに、
内径面が粒状の金属炭化物と金属窒化物および窒素の拡
散領域となるので、プランジャーチップとのかじりが防
止され、耐摩耗性も備えることができる。内径面は浸炭
により、金属炭化物を形成させ、窒化処理により、金属
窒化物および窒素の拡散領域を形成させる。
【0011】上記、鉄系材料として、析出硬化系ステン
レス鋼、または、C:0.1%以上0.5%以下、S
i:3%以上7%以下、Ni:5%以上18%以下、C
r:0.5%以上8%以下、残部鉄および不可避不純物
からなる合金鋼を用いることができる。前者は熱伝導率
が約20W/m・Kと低く、後者は特開平9−2638
97号公報に開示される断熱性合金であり、低い熱伝導
率等を特徴とする。
【0012】析出硬化系ステンレス鋼として、重量%で
C:0.07%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.
0%以下、Ni:3%以上5%以下、Cr:15%以上
17.5%以下、Cu:3%以上5%以下、Nb:0.
15%以上0.45%以下を含む合金鋼(SUS630
相当;JIS−G−4303)、または重量%でC:
0.09%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%
以下、Ni:6.5%以上7.75%以下、Cr:16
%以上18%以下、Al:0.75%以上1.50%以
下を含む合金鋼(SUS631相当;JIS−G−43
03)を用いることができる。これらの合金は上述した
ように低熱伝導率であり、さらに、アルミニウム等の溶
融金属に耐食性を備え、高温においても高い強度を備え
ているので、溶湯の注入時に発生する熱応力に耐えるこ
とができる。
【0013】なお、互いに材質が異なる内筒部と外筒部
とからなる多重スリーブの内筒部として、本発明による
スリーブを用いることも可能であり、例えば、外筒部を
安価な鋼製とした場合、経済性に優れた多重スリーブが
得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明のダイカストマシン
用スリーブの一例で、スリーブ本体1は熱伝導率(30
0℃)が、10W/m・K以上、25W/m・K以下の
鉄系材料からなる円筒状をなし、その外周面にフランジ
状の突起部1aを有する。スリーブ本体1の内径面には
粒状の金属炭化物と金属窒化物および窒素を拡散させた
拡散領域2が形成されている。
【0015】上記構成のダイカストマシン用スリーブは
例えば次に示す工程で製作することができる。
【0016】a.図1に示す形状を備えた外周面にフラ
ンジ状の突起部1aを有するフランジ本体1を溶体化処
理が施されたSUS630材を用いて、機械加工により
作成する。ただし、この段階では内径側に研削代(余
肉)を残しておく。
【0017】b.上記部材を浸炭処理し、部材表面に炭
素を拡散させ、その後急冷し粒状の炭化物を形成させ
る。
【0018】c.上記部材の内径側に研削加工を施した
後、窒化処理により表面に窒化物および窒素の拡散領域
を形成させる。
【0019】d.必要部を研削仕上げし、スリーブを完
成させる。尚、工程cの窒化処理により、析出硬化系ス
テンレスは硬化する。
【0020】上記工程により製作されたスリーブを、コ
ールドチャンバー方式のダイカストマシンに取り付け
て、マグネシウム合金のダイカスト鋳造を行い、パーソ
ナルコンピュータのケース(肉厚1mm)を作成した。
この試験において、以下の結果が得られた。
【0021】a.ダイカストの溶湯温度が従来のSKD
61材のスリーブと比較して40℃低下できた。
【0022】b.ダイカストの押し湯の量が従来のSK
D61材のスリーブと比較して38%低下できた。
【0023】c.製品の鋳造欠陥が減少し、従来のSK
D61材のスリーブと比較して良品率が16%向上し
た。
【0024】d.上記の理由により、従来のSKD61
材のスリーブと比較して製品1 個あたりのコストが25
%低減した。
【0025】e.スリーブの耐久性が、浸炭せずに窒化
処理だけしたSUS630材のスリーブと比較して約
1.3倍となった。
【0026】
【発明の効果】以上の試験結果から明らかなように、本
発明のダイカストマシン用スリーブによれば、スリーブ
の保温性、および、耐摩耗性が改善される結果、ダイカ
スト製品の歩留まりを向上させ、製造コストを削減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基ずくダイカストマシン用スリーブの
形状の一例を示す総断側面図。
【符号の説明】
1…スリーブ本体 2…拡散領域

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導率(300℃)が、10W/m・
    K以上、25W/m・K以下の鉄系材料からなるスリー
    ブ本体の内径面に粒状の金属炭化物、金属窒化物、及び
    窒素を拡散した領域を形成してなることを特徴とするダ
    イカストマシン用スリーブ。
  2. 【請求項2】 鉄系材料が析出硬化系ステンレス鋼であ
    る請求項1記載のダイカストマシン用スリーブ。
  3. 【請求項3】 析出硬化系ステンレス鋼が重量%でC:
    0.07%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%
    以下、Ni:3%以上5%以下、Cr:15%以上1
    7.5%以下、Cu:3%以上5%以下、Nb:0.1
    5%以上0.45%以下を含むことを特徴とする請求項
    2に記載のダイカストマシン用スリーブ。
  4. 【請求項4】 析出硬化系ステンレス鋼が重量%でC:
    0.09%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%
    以下、Ni:6.5%以上7.75%以下、Cr:16
    %以上18%以下、Al:0.75%以上1.50%以
    下を含むことを特徴とする請求項2に記載のダイカスト
    マシン用スリーブ。
  5. 【請求項5】 鉄系材料が重量%でC:0.1%以上
    0.5%以下、Si:3%以上7%以下、Ni:5%以
    上18%以下、Cr:0.5%以上8%以下、残部鉄お
    よび不可避不純物からなる請求項1に記載のダイカスト
    マシン用スリーブ。
  6. 【請求項6】 スリーブを多層に組み合わせたダイカス
    トマシン用多重スリーブにおいて、内筒部のスリーブが
    請求項1〜5のいずれかに記載のスリーブであるダイカ
    ストマシン用多重スリーブ。
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