JP2000126607A - 光触媒機能を有する合成樹脂成形品 - Google Patents

光触媒機能を有する合成樹脂成形品

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JP2000126607A
JP2000126607A JP10304490A JP30449098A JP2000126607A JP 2000126607 A JP2000126607 A JP 2000126607A JP 10304490 A JP10304490 A JP 10304490A JP 30449098 A JP30449098 A JP 30449098A JP 2000126607 A JP2000126607 A JP 2000126607A
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resin
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porous layer
particles
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Eiichiro Yokochi
英一郎 横地
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】合成樹脂物品表面に光触媒機能を有する多孔質
層を設けて、外部有機物との接触面積を増大させること
により、より優れた選択的な光触媒作用を有する合成樹
脂成形品を提供する。 【解決手段】光触媒粒子を分散させてなる多孔質層を有
する合成樹脂成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒機能を有す
る合成樹脂成形品に関し、特に光触媒を分散せしめた多
孔質層を有する合成樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化
チタン(TiO2 )等に代表される光触媒は、これに紫
外線等の光を照射すると光化学反応を起こし、各種の有
機物等を分解する触媒として作用したり、抗菌又は防黴
作用などの働きがあることが知られている。
【0003】このようなアナターゼ型二酸化チタン等の
光触媒が奏する上記の如き光触媒機能のメカニズムは、
電子構造に基づいて次のように説明されている。
【0004】即ち、光触媒にそのバンドギャップ以上の
エネルギーを持つ光(光量子)が照射されると、価電子
帯の電子が伝導帯に励起するとともに、電子が励起した
後の価電子帯には正孔が生じ(所謂、「対発生」)、伝
導帯の励起電子は空気中の酸素と反応して、O2 - 、O
- 等の活性酸素種を生成し、価電子帯の正孔は光触媒の
表面に付着した微量の水分と反応してOHラジカルを生
成する。そして、このようにして生成された活性酸素種
やOHラジカルにより各種の有機物が分解され、抗菌又
は防黴作用などの働きが得られる。
【0005】かかる光触媒の働きを利用して、近年、ア
ナターゼ型二酸化チタン等のような光触媒を水処理、空
気清浄、土壌処理等に応用する技術が実用化されつつあ
る。その代表的なものとして、例えば、大気中の窒素酸
化物(NOx )等の汚染物質や、日常的な生活空間にお
ける悪臭等の分解除去等が検討されている。
【0006】このような技術の応用例としては、特開平
5−253544号公報等で開示されるように外壁材、
タイル、煉瓦、板ガラス、瓦等の建築材料や、その他の
無機物からなる構造物の表面に、真空蒸着、スパッタリ
ング、CVD(Chemical Vapour De
position)法や超微粒子(ゾル)の焼結等の手
法により、前記光触媒単体の膜を形成したものが知られ
ている。しかしながら、これらの方法では製造に時間、
労力を要し、また、コスト面でも問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記のような
各種物品の表面に合成樹脂バインダーを用いて、光触媒
粉末を固定化等することによって、これらのものに光触
媒機能を付与することが考えられた。例えば、本出願人
により開示された特開平10−156988号公報に
は、無機透明多孔質体中に光触媒を担持した光触媒担持
体を基材樹脂中に含有せしめ、これを成形してなる合成
樹脂成形品及び物品が記載されている。これは、光触媒
を無機質多孔質体中に担持せしめることにより、光触媒
による基材樹脂の分解を防止して、分解対象物である低
分子量乃至は微粒子状の有機物のみを選択的に光分解せ
しめるようにしたものである。
【0008】しかしながら、上記合成樹脂成形品は、光
触媒粉末が無機透明多孔質体中に担持されたものである
ので、優れた選択的光触媒機能を有するものであるが、
該合成樹脂成形品の製造時において、光触媒担持体が樹
脂バインダー中に埋没してしまい、光触媒の機能が十分
に発揮されない場合があった。
【0009】そこで、本発明は、上記特開平10−15
6988号公報に記載の光触媒機能を有する合成樹脂成
形品に改良を施し、合成樹脂物品表面に光触媒機能を有
する多孔質層を設けて、光触媒粒子と外部有機物との接
触面積を増大させることにより、より優れた光触媒作用
を有する合成樹脂成形品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明は、光触媒粒子を分散させてなる多孔質層を有す
るこを特徴とする光触媒機能を有する合成樹脂成形品を
提供する。本発明をかかる構成とすることにより、光触
媒粒子の外部有機物との接触面積を増大させて、優れた
選択的光触媒機能を有する合成樹脂成形品とすることが
できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光触媒機能を有す
る合成樹脂成形品について詳細に説明する。本発明にい
う光触媒とは、一般に「光触媒」と呼ばれる全てのもの
をいうが、具体的には、特定の波長の光が照射されると
光化学反応を起こし、これによって、各種の有機物等を
分解する触媒として作用したり、抗菌又は防黴作用等の
働きがあるものをいう。
【0012】また、光触媒は、具体的には、アセトアル
デヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、メチルメ
ルカプタン等のメルカプタン、硫化水素等の硫化物、ア
ンモニア、トリメチルアミン等のアミン類、ピリジン、
トルエン、酢酸等の悪臭の原因となるものや、窒素酸化
物(NOX )等の大気中の汚染物質、油の汚れやミス
ト、煙草の脂(ヤニ)等の分解作用、殺菌作用、防黴作
用等が知られている。本発明では、上記光触媒の作用に
より分解、殺菌、防黴し得る全てのものが対象となり得
る。本発明の合成樹脂成形品は、これらの内、気体、低
分子有機物に対して特に大きな効果を発揮する。
【0013】前記光触媒としては、例えば、アナターゼ
型の結晶構造を有する二酸化チタン(TiO2 )、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)等が挙げられ
る。
【0014】上記したものの内、本発明では、1)日常
生活に必要とされる日光、或いは照明光でも高い触媒活
性が得られ、特殊な光源を必要としない、2)化学的に
安定であり、長時間にわたって高い光触媒活性が保持さ
れる、3)毒性がない、及び、4)安価でありコスト的
にも有利である等の理由から、アナターゼ型二酸化チタ
ンが特に好ましく用いられる。また、二酸化チタンの結
晶系には、光触媒活性に優れるアナターゼ型とルチル型
が知られているが、本発明において用いられる二酸化チ
タンは、全てがアナターゼ型結晶構造であることが光触
媒機能を発揮する上で好ましいが、一部にルチル型結晶
構造を有するものであってもよい。
【0015】また、本発明においては、更に必要に応
じ、アナターゼ型二酸化チタンの光触媒活性発現のため
の感光波長の上限を長波長側に移動させるために、分光
増感剤を添加することもできる。このような増感剤とし
ては、例えば、Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,
2’−ピリジン)2 (NCS)2 等のルテニウム錯体が
挙げられる。
【0016】本発明に用いられる光触媒粒子は、単体で
用いることができるし、無機透明多孔質体等の担持体に
光触媒粒子を担持せしめた光触媒担持体の形で用いるこ
ともできる。
【0017】光触媒粒子を単体として用いる場合には、
該光触媒粒子を樹脂中に分離、沈降を起こすことなく均
一に分散させて用いるのが好ましい。粒子状で含有せし
めることにより、後述するように、製膜した樹脂シート
をさらに延伸することによって、光触媒粒子の一部をシ
ート表面に押し出すことができ、そのため樹脂表面に露
出する粒子の面密度を増加させることができる。
【0018】上記光触媒粒子を担持させる場合において
は、光触媒粒子をこれらの無機透明多孔質体に担持させ
る方法のほか、光触媒粒子を担持させた光触媒担持体の
具体的な形態は特に制限はないが、無機透明多孔質体に
担持させるのがより好ましい。
【0019】光触媒は、本来的に有機物を分解させる作
用を有しているが、光触媒粒子を無機透明多孔質体に担
持させる場合においては、樹脂成形品の製造時におい
て、樹脂は樹脂分子間に働く凝集力により集合体として
振る舞う。また、有機物である樹脂と無機透明多孔質体
とは馴染みが悪く、光触媒粒子担持体の孔の内部、或い
は光触媒粒子担持体と樹脂との間には空気が入り込む場
合もあるため、樹脂は無機透明多孔質体の孔の内部には
侵入し難い。
【0020】また、たとえ無機透明多孔質体の孔の内部
に樹脂が侵入したとしても、そこに光触媒粒子が存在し
なければ樹脂の分解は起こらない。また、孔内部に光触
媒粒子が存在し、そこへ樹脂が入り込んで、樹脂が分解
されたとしても分解は局所的に分解されるに留まり、光
触媒粒子の作用が全体に及ぶことはない。従って、無機
透明多孔質体中に光触媒粒子を担持せしめた担持体とし
て用いる場合には、光触媒との接触により樹脂が分解さ
れるのを防止することができる。
【0021】一方、前述したような分解対象物の多く
は、通常低分子であり、分子状で空気中に拡散している
ので、拡散現象により容易に無機透明多孔質体の孔内に
入り込み、光触媒と接触して選択的に分解される。
【0022】光触媒を担持させる無機透明多孔質体は、
担持する光触媒との組み合わせに応じて、該光触媒の触
媒活性が得られる波長の光に対して透明性を有し、この
ような光を透過し得るものを適宜選択することができ
る。
【0023】例えば、光触媒粒子にアナターゼ型二酸化
チタン粒子を用いる場合、アナターゼ型二酸化チタン粒
子は380nm以下の波長の近紫外線光で光触媒活性が
得られるから、無機透明多孔質体は380nm以下の波
長の近い紫外光を透過するものが好ましい。但し、前記
分光増感剤を添加した場合には、シフトした感光波長の
上限(吸収幅)以下の波長に対して透明なものを選ぶの
が好ましい。
【0024】かかる無機透明多孔質体としては、具体的
には、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、セメ
ント、トライカルシウムシリケート、珪酸カルシウム、
多孔質ガラス、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム
等を例示することができる。これらの中でも、光触媒の
担持特性、光触媒によって分解された生成物の吸着性等
の点で、シリカゲル又はゼオライトを用いるのが好まし
い。
【0025】かかる場合においては、光触媒粒子を平均
粒径1〜200μm、比表面積10〜300m2 /gと
なるように、多孔質体に担持せしめるのがより好まし
い。
【0026】また、十分な光触媒活性を得られるように
するためには、無機透明多孔質体100重量部に対し
て、10〜900重量部の光触媒粒子を担持させるのが
特に好ましい。更にこの光触媒担持体に、抗菌効果を付
与するために、該担持体にAgイオン等を吸着乃至担持
させたり、或いは銅イオンを添加して光触媒機能を補強
したりすることもできる。
【0027】図2に本発明における光触媒担持体4を概
念的に例示する。例えば、該担持体2には、a)塊状の
無機透明多孔質体5の孔6内の任意の場所に光触媒7を
担持させたもの(図2(a))、b)無機透明多孔質体
5を中空状に形成し、その中空壁面に光触媒7を担持さ
せたもの(図2(b))、c)内部が中空状に形成され
た無機透明多孔質体5の孔6内の任意の場所に光触媒7
を担持させ、該多孔質体5と同種又は異種の多孔質体8
が上記中空部に充填されたもの(図2(c))等を挙げ
ることができる。
【0028】なお、無機透明多孔質体5の孔6内への基
材樹脂の侵入を防ぎ、分解対象物の侵入を許してこれを
選択的に分解させるためには、無機透明多孔質体5の表
面に現れる孔6の径rが10nm〜10μmであるのが
好ましく、無機透明多孔質体5の比表面積は、10〜1
00m2 /gであるのが好ましい。また、無機透明多孔
質体5には、平均粒径1〜100μmのものを用いるの
が好ましい。
【0029】本発明の光触媒機能を有する合成樹脂成形
品に用いることのできる樹脂としては、光触媒粒子或い
は光触媒担持体を所定の割合で含有し、多孔質層を形成
し得るものであれば特にその制限はない。例えば、ポリ
オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニリデン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、フッ素系樹脂。珪素樹脂等を挙げることが
できる。これらの内、アクリル樹脂、ポリオレフィン系
樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、珪素樹脂の使用
が、成形性、加工性、光触媒粒子又は光触媒担持体との
相溶性の点から特に好ましい。
【0030】ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系不飽和単
量体のみからなる単独重合体、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のエ
チレン系不飽和単量体同士の共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン系不
飽和単量体とそれと重合可能な単量体との2元或いは3
元共重合体等を挙げることができる。
【0031】アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メ
タ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)ア
クリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、(メタ)アクリル
酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メ
タ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキジエチル、(メタ)ア
クリル酸メチル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル同士の単独又は共重合体、或いは
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の単量体との
共重合体等の1種又は2種以上の混合物を挙げることが
できる。なお、上記ポリ(メタ)アクリル酸メチル等と
は、ポリアクリル酸メチル又はポリメタクリル酸メチル
の意で用いている。
【0032】ウレタン樹脂は、イソシアネートとポリオ
ールとが重付加重合を起こすことにより得られる樹脂で
あり、1液硬化型(湿気硬化型)のものと2液硬化型の
ものとに大別されるが、本発明においてはこれらのいず
れもが使用可能である。1液硬化型ウレタン樹脂は、ウ
レタン骨格、ポリカーボネート骨格等を持った多官能イ
ソシアネートプレポリマーからなり、空気中等の水分
(湿気)を吸収してこれと反応してポリウレタンとな
る。又、2液硬化型ウレタン樹脂は、多官能ポリオール
と多官能イソシアネートとが反応してポリウレタンとな
るものであり、ポリオールとしては、アクリルポリオー
ル、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオ
ール、ポリエーテルポリオール等を用いることができ
る。
【0033】イソシアネートとしては、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、4,4ジフエルメタンジイソジア
ネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、1,6−ヘキサメチレンジシソシアネート等
の脂肪族(又は脂環式)イソシアネート、或いはこれら
の付加体、多重体を用いることができる。
【0034】フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ
化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレ
ン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化
エチレン−プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、四フッ化エチレン−
パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等の
フッ化炭素重合体、フッ化炭素共重合体や、これらのフ
ッ化炭素単量体とアクリル酸エステル又はメタクリル酸
エステルとの共重合体、水酸基又はカルボキシル基等の
極性官能基を有するフッ化炭素をイソシアネート架橋し
たフッ素樹脂等も用いることができる。
【0035】上記フッ素系樹脂やポリシロキシサンのよ
うな珪素樹脂は、光触媒に分解され難い性質を有する
為、好ましい。
【0036】本発明の光触媒機能を有する合成樹脂成形
品は、光触媒粒子(又は光触媒担持体)を分散させてな
る多孔質層を有することを特徴とする。光触媒粒子(又
は光触媒担持体)の含有量は、成形品の厚みや光触媒担
持体の平均粒径等によっても異なるが、通常、樹脂10
0重量部に対し、5〜900重量部であるのが好まし
い。光触媒又は光触媒担持体の含有量が5重量%未満で
は光触媒機能の効果に乏しく、900重量部をこえる
と、樹脂組成物の製膜特性等が乏しくなる。
【0037】前記多孔質層(又は多孔質シート)を得る
には、(1)光触媒粒子又は光触媒担持体を含有する樹
脂組成物を、基材表面に塗工、乾燥、所望により加熱処
理を施すことにより、基材表面に多孔質膜を得る方法、
(2)光触媒粒子又は光触媒担持体を含有する上記樹脂
組成物をフィルム形状に製膜し、延伸させることにより
多孔質シートを得る方法等がある。この場合、前記多孔
質層(又は多孔質シート)の比表面積は50〜1000
2 /gとするのが好ましい。また、前記樹脂組成物
は、有機溶媒溶液或いはエマルジョンの形で用いること
ができる。
【0038】前記(1)の方法は、具体的には、光触媒
粒子又は光触媒粒子を無機透明多孔質体に担持した光触
媒担持体を樹脂組成物の水性(水分散型)エマルジョン
の液状樹脂組成物を、グラビアコート、ロールコート、
スプレーコート、フローコート、コンマコート等の公知
の塗工法により光触媒機能を付与しようとする物品の表
面に塗工して乾燥することにより、光触媒機能を有する
多孔質層を形成するものである。又、更に多孔質の程度
を高める為には、後述の方法によって細胞状発泡体とす
る。又、1液硬化(湿気硬化型)ウレタン樹脂に光触媒
粒子又は光触媒担持体を添加したものを高湿度雰囲気中
で硬化せしめることによって得ることもできる。この場
合、該多孔質層の厚みは、十分な光触媒機能の確保と成
形品の加工性等の観点から20〜200μm程度が好ま
しい。
【0039】また、前記(2)の方法は、光触媒粒子又
は光触媒粒子を無機透明多孔質体に担持した光触媒担持
体を樹脂中に分散せしめた樹脂組成物を、インフレーシ
ョン法、キャレンダー法、押出し法等の従来公知の方法
により製膜、延伸することにより、光触媒粒子と樹脂と
の界面に剪断応力を生じせしめて、多孔質化するもので
ある。この場合、延伸倍率は、1.5〜3.0倍程度が
単位体積当たりの光触媒粒子の含有量の確保、延伸ムラ
を生じさせない等の観点から好ましい。尚、延伸は、一
軸延伸或いは二軸延伸のどちらのものも使用することが
できる。また、得られる多孔質シートの厚みは、通常、
50〜500μm程度が好ましい。
【0040】次いで、該多孔質シートと基材とを、熱融
着或いは接着剤層を介して積層することにより、本発明
の合成樹脂成形品を得ることができる。接着剤として用
いることのできる樹脂としては、例えば、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸ビニ
ル−アクリレート系樹脂、カルボキシル基含有アクリル
樹脂系樹脂、酢酸ビニル−エチレン系樹脂、ポリビニー
ル系樹脂等を挙げることができる。
【0041】本発明の合成樹脂成形品の例を図1に示
す。図1(a)は、光触媒粒子2又は光触媒担持体4が
分散された多孔質層1単層からなる合成樹脂成形品であ
り、(b)は、シート状又は板状の基材3上に、光触媒
粒子2又は光触媒担持体4が分散された多孔質層1が積
層された合成樹脂成形品である。
【0042】なお、単層の多孔質層からなる合成樹脂成
形品を製造するにあたっては、図3に示すように、剥離
性の支持体シート9の上に、光触媒粒子又は光触媒担持
体2が分散された多孔質層(シート)を形成(又は積
層)した後、支持体シート9を剥離して、単層の多孔質
層からなる合成樹脂成形品1を製造することもできる。
【0043】又、図1(c)に示すような細胞状発泡体
で表面に開口する空洞aを多数有するものは、通気性が
良好であって、光触媒活性も良好である。即ち、このよ
うな細胞状発泡体では、光触媒の外部有機物との接触が
効率よく行われるため、優れた光触媒機能が発揮され
る。
【0044】細胞状発泡体を形成する方法としては、上
記樹脂組成物中に発泡剤を添加してこれを加熱し発泡さ
せる方法が代表的である。発泡剤としては、例えば、ポ
リ塩化ビニリデン樹脂等の樹脂の中空体中に、ブタン、
ヘキサン等の揮発膨張性物質を内包させたマイクロカプ
セル型発泡剤、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブ
チロニトリル等の熱分解型発泡剤、及びこれに必要に応
じて、鉛、亜鉛等の発泡促進剤を添加したもの等が挙げ
られる。
【0045】本発明の合成樹脂成形品は図1(a),
(b)及び(c)に示すもののほか、フィルム状、シー
ト状又は板状に成形されたものでも、これらを他の基材
と積層したものであってもよい。その他、各種立体形
状、例えば、窓枠(サッシ)、手摺、扉、扉枠、天井
板、床板、壁材、窓ガラス、間仕切り等の建築要内外装
材、食卓、箪笥、引き出しの外板等の家具類、流し台、
換気扇、換気ダクト、洗面台、浴槽等の住宅設備機器
類、電灯の反射板、光拡板、グローブ、CRT(ブラウ
ン管)表面、テレビジョン受信機等の弱電・OA機器の
キャビネット、キーボード等、車両内装材等のような特
定の製品形態に成形されたものであっても良く、その具
体的な形状は問わない。
【0046】本発明の合成樹脂成形品を構成する基材材
料としては、例えば、(1)ポリ塩化ビニル、ポリエス
テル、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリカーボネ
ート、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン等の合
成樹脂の他、鉄、アルミニウム、銅等の金属、ガラス、
陶磁器等のセラミックス、石膏、珪酸カルシウム、セメ
ント等の非陶磁器系窯業材料、木材等。また、以上の基
材は、その形状は、シート、板、立体形状等任意であ
る。
【0047】(2)和紙、上質紙、壁紙用裏打紙等の紙
類、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ビニロ
ン繊維等の繊維からなる織布又は不織布等。以上の基材
は、専ら、その形状は、シートとして用いられる。
【0048】尚、本発明の合成樹脂成形品においては、
光触媒機能を阻害しない範囲内で、絵柄印刷や、凹凸模
様のエンボス加工を施すこともできる。
【0049】また、本発明の合成樹脂成形品の多孔質層
には、光触媒機能を損なわない範囲内で、各種添加剤を
含有させることができる。このような添加剤の例として
は、ITO(Inzium Tin Oxide)粉末
乃至鱗片等の帯電防止剤、ポリオキシエチレンアミン
系、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル系、ソル
ビタン脂肪酸エステル系、アルキルアルカノールアミン
系等の界面活性剤等がある。特に帯電防止剤を添加する
場合には、油汚れ等の汚染物質の付着防止効果を付与す
ることができるので好ましい。前記添加剤の添加量は、
通常、0.5〜5重量%程度である。
【0050】或いは、光触媒の機能を補強する為に、光
触媒以外の触媒、抗菌剤、防黴剤等を添加しても良い。
光触媒以外の触媒としては、鉄酸化物、銅酸化物、亜鉛
酸化物等が挙げられる。これらの触媒は特に、夜等の光
の存在しない環境下で光触媒の機能の少なくとも一部を
肩代わりするのに有効である。
【0051】抗菌剤としては、銀イオンをイオン交換可
能に担持したゼオライトが、又、防黴剤としては、1
0,10´−オキシビスフェノキシアルシン等が代表的
である。
【0052】或いは、耐候(光)を更に向上させる為
に、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル
捕捉剤を0.1〜5重量%程度添加してもよい。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、以下の実施例は、あくまで本発明の実施態様
の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、自由
に設計、変更が可能である。
【0054】実施例1 先ず、シリカゲル100重量部に対して、アナターゼ型
二酸化チタン粒子40重量部を担持せしめることによ
り、平均粒径5μmの光触媒担持体を得た。次に、この
光触媒担持体を、多孔質コーティング剤(多官能イソシ
アネートプレポリマーからなる一液硬化型ウレタン樹脂
溶液)に、該多孔質コーティング剤の固形分100重量
部に対して50重量部含有せしめて塗工組成物を調製し
た。次いで、このものを、グラビアコート法により、厚
さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
(PET)基材表面に塗工して、20℃、70%RHの
雰囲気中で硬化せしめて膜厚100μmの多孔質膜を形
成することにより、実施例1の光触媒機能を有するシー
トを作製した。得られたシートの多孔質膜の比表面積は
150m2 /gであった。得られたシートを面積15c
2 の大きさに切り取り、下記に示す評価試験用サンプ
ル片とした。
【0055】実施例2 先ず、シリカゲル100重量部に対して、アナターゼ型
二酸化チタン粒子40重量部を担持せしめることによ
り、平均粒径5μmの光触媒担持体を得た。次に、この
光触媒担持体を、ポリプロピレン樹脂に、該ポリプロピ
レン100重量部に対し50重量部含有させ、Tダイで
厚さ120μmのフィルムを製膜した。次いで、このフ
ィルムを一軸延伸により、厚さ80μmの多孔質フィル
ムを作製した。得られたフィルムを面積15cm2 の大
きさに切り取り、下記に示す評価試験用サンプル片とし
た。
【0056】比較例 先ず、シリカゲル100重量部に対して、アナターゼ型
二酸化チタン粒子40重量部を担持せしめることによ
り、平均粒径5μmの光触媒担持体を得た。次に、この
光触媒担持体を、アクリルポリオール100重量部に、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート6重量部を添
加してなる二液硬化型ウレタン樹脂(透明のもの)に、
該樹脂100重量部に対し、50重量部含有せしめた塗
工組成物を、グラビアコート法により、厚さ100μm
の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)基材
上に塗工して、膜厚12μmの表面樹脂層を形成するこ
とにより、比較例のシートを作製した。得られたフィル
ムを面積15cm2 の大きさに切り取り、下記に示す評
価試験用サンプル片とした。
【0057】光触媒活性評価試験 次に、以上のようにして得られた評価試験用サンプル片
を用いて、以下の光触媒活性評価試験を行った。即ち、
上記実施例1,2及び比較例で得たサンプル片の表面全
面に煙草の脂(ヤニ)を付着し、該表面に低圧水銀灯か
らなる光源を用いて、波長380nmのスペクトルを含
む紫外線を30時間照射し、10時間毎の各サンプル片
の脂付着前の表面を基準とした色差(ΔE値)を測定し
た。色差(ΔE値)は、分光光度計で測定し、ハンター
のLabの式にて評価した。その結果を表1に示す。ま
た、この結果をグラフに表したものを図4に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1においては、色差(ΔE値)が小さく
なる程、煙草の脂が効率よく分解されていることを示
す。表1から、実施例1及び2の合成樹脂成形品は、比
較例のものと比して優れた光触媒機能を有することがわ
かった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光触媒機
能を有する合成樹脂成形品は、極めて優れた光触媒機能
を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒機能を有する合成樹脂成形品の
構造断面図である。(a)は、単層からなる合成樹脂成
形品の例であり、(b)は、基材と光触媒を含有する多
孔質層からなる合成樹脂成形品の例であり、(c)は、
(b)と同様な層構成を有する合成樹脂成形品であっ
て、多孔質層が細胞状発泡体からなる例である。
【図2】剥離性の支持体シートを用いる本発明の光触媒
機能を有する合成樹脂成形品の製造の主要工程断面図で
ある。
【図3】光触媒を無機透明多孔質体に担持した光触媒担
持体の一例を概念的に示す図である。
【図4】光触媒活性評価試験結果(ΔE値の経時変化)
を示す図である。縦軸はΔE値の変化を、横軸は経過時
間をそれぞれ表す。
【符号の説明】
1…多孔質層、2…光触媒、3…基材、4…光触媒担持
体、5…無機透明多孔質体、6…孔、7…光触媒、8…
他の無機透明多孔質体、9…支持体シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光触媒粒子を分散させてなる多孔質層を有
    する合成樹脂成形品。
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