JP2000123396A - 光学装置 - Google Patents

光学装置

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JP2000123396A
JP2000123396A JP10291116A JP29111698A JP2000123396A JP 2000123396 A JP2000123396 A JP 2000123396A JP 10291116 A JP10291116 A JP 10291116A JP 29111698 A JP29111698 A JP 29111698A JP 2000123396 A JP2000123396 A JP 2000123396A
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optical device
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JP10291116A
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Takeshi Mizuno
剛 水野
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学ピックアップ等の光学装置において、そ
の光学部品点数の削減および光学的な配置設定に際して
のアライメントの簡単化を可能にし、装置全体の簡素
化、小型化を図ると共に、全てのピット深さの光学記録
媒体に対してトラッキングエラー信号及びフォーカスエ
ラー信号が安定して得られ、半導体プロセスによる製造
が容易にできるようにする。 【解決手段】 発光部LD,M1と、光検出素子PD
1,PD2,PD3から成る受光部と、発光部からの出
射光LF を被照射部2に収束照射し、更に被照射部2か
ら反射された戻り光LR を収束させる収束手段3とを有
し、戻り光LR の収束手段3による焦点位置近傍に戻り
光LR の光軸に対して対称となるように互い違いに形成
されたマスク手段4,5が形成され、マスク手段4,5
を経た戻り光LR (L1)を光検出素子PD1,PD
2,PD3で受光してトラッキングエラー信号及びフォ
ーカスエラー信号を検出する光学装置20を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば発光部から
の光を光記録媒体例えば光ディスクなどの被照射部に照
射し、被照射部からの反射による戻り光を受光検出する
場合に適用して好適な光学装置に係わる。特に任意のピ
ット深さやグルーブ深さを有する光ディスクに対するト
ラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を検出
する場合に適用して好適な光学装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来の光学装置、いわゆるコンパクトデ
ィスク(CD)プレーヤなどの光ディスクドライブや光
磁気ディスクドライブの光学ピックアップでは、グレー
ティングやビームスプリッタなどの各光学部品を個別に
組み立てるため装置全体の構成が複雑且つ大きくなり、
また、基板上にハイブリッドで組み立てる場合に光学的
な配置設定に際して厳しいアライメント精度を必要とし
ていた。
【0003】図24に従来のコンパクトディスク(C
D)の再生専用の光学ピックアップの一例の構成図を示
す。この光学ピックアップ81は、半導体レーザ82、
回折格子83、ビームスプリッタプレート84、対物レ
ンズ85及びフォトダイオードからなる受光素子86を
備えて成り、半導体レーザ82からのレーザ光Lがビー
ムスプリッタプレート84で反射され、対物レンズ85
で収束されて光ディスク90に照射され、この光ディス
ク90で反射された戻り光がビームスプリッタプレート
84を透過して受光素子86にて受光検出される。
【0004】しかしながら、この様な光学ピックアップ
81は、部品点数が多く、また非常に大型になるだけで
なく、その配置に高い精度が要求され、生産性の低いも
のであった。
【0005】ところで、光学ピックアップ等の光学装置
におけるトラッキングサーボの方法としては、通常プッ
シュプル法や3ビーム法やヘテロダイン法等が用いられ
ている。
【0006】このうち、従来から行われているプッシュ
プル法は、ディスク上において入射光の光スポットがト
ラックあるいはピットからずれたときに、ディスクによ
り生じる±1次回折光において強度差が生じ、これによ
り遠視野像が非対称となることから、例えば2個の検出
器によってこの非対称に応じた信号を取り出し、これら
信号を演算器によって演算することによって、光スポッ
トのずれを検出するものである(図25参照)。
【0007】図25にプッシュプル法を用いるトラッキ
ングサーボの概略構成図を示す。図25Bに示すよう
に、ディスク52表面のピットによる凹凸に光が照射さ
れると、凹凸により光が回折されて、0次回折光(主ビ
ームB)及び±1次回折光(副ビームB′)に分割され
る。また図25において、S0 ,S1 はそれぞれ0次回
折光、±1次回折光の照射スポットを示す。S0 が円と
なるのは、対物レンズの開口によるものである。
【0008】この場合には、図25Aに示すように、受
光部として2分割フォトダイオードPDR ,PDL が配
置形成される。これらフォトダイオードPDR ,PDL
の受光した信号を、図示しないが差動増幅器等で、例え
ば(PDL −PDR )のように演算処理して、トラッキ
ング信号としてトラッキングエラー信号TEを得ること
ができる。
【0009】そして、トラックとビームがずれている時
には、スポットの中心が2分割フォトダイオードの分割
線からずれるため、TE=(PDL −PDR )が0とな
らず、ずれた方向に応じて正又は負の値を示す。これに
より、トラックとのずれの方向や量を検出することがで
きる。
【0010】プッシュプル法を用いるトラッキングサー
ボは、2分割フォトダイオードがあれば実現できるた
め、安価に構成することができるが、レンズのシフトに
対して、ディスクからの戻り光が受光面上で受光素子の
分割線に対して垂直にシフトし、信号に大きなオフセッ
トが生じる問題がある。
【0011】ここで、図26Aに示すように、レンズ5
1が横方向にシフトすると、それに従ってフォトダイオ
ードPDL ,PDR が受光する光のスポットも破線で示
すようにシフトし、トラッキングが合っていてもトラッ
キングエラー信号TE=0とならなくなる。また、図2
6Bに示すように、レンズ51がディスク52に対して
傾いた場合でも、受光する光のスポットが破線で示すよ
うにシフトし、トラッキングが合っていてもトラッキン
グエラー信号TE=0とならなくなる。
【0012】従来のプッシュプル信号の場合に、上述の
ようにレンズのシフトがトラッキングエラー信号に与え
る影響を図27に示す。尚、縦軸は相対値で表してい
る。ディスクは、グルーブのピッチが1.60μm、グ
ルーブのデプス(深さ)が波長/8、デューティ(du
ty:グルーブの比率)が65%のディスクとして計算
を行った。また、波長は0.78μmとした。
【0013】図27より、従来のプッシュプル信号では
レンズのシフトによって、トラッキングエラー信号もそ
れに応じて全体がシフトしていた。
【0014】また、プッシュプル法においては、再生用
レーザの波長をλ、ディスク52の透明基板の屈折率を
nとするとき、ディスク52のピットの深さがλ/4n
である場合に、0次回折光と±1次回折光との干渉によ
り信号が0となるため、原理的にトラッキングエラー信
号の検出ができなくなる。従って、ピットの深さがλ/
4nである規格のディスク52には用いることができな
い。例えば、DVD(Dedital Versatile Disk)−RO
M、DVD−Videoはこのピットの深さがλ/4n
近傍である規格であるため、プッシュプル法の適用はで
きない。
【0015】また、3ビーム法では、回折格子により光
を分割して、主ビームとその両側に2本の副ビームを形
成し、図28に3ビーム法におけるディスク面でのスポ
ット位置を示すように、主ビームによるスポットS0
その両側の副ビームによるスポットS1 ,S2 をディス
ク52のグルーブ又はピットに照射して、2つの副ビー
ムの反射光をそれぞれ検出して、差信号を取ることによ
り、プッシュプル法と同様のトラッキングサーボを行う
ものである。
【0016】ここで、主ビームのスポットS0 がトラッ
ク中心からずれると、副ビームのスポットS1 ,S2
よる反射光が対称でなくなり、差信号によるトラッキン
グエラー信号が0から変動する。このトラッキングエラ
ー信号の変動量は、主ビームのスポットS0 のトラック
中心からのずれ量に対応して変化することから、トラッ
キングサーボを行うことができる。尚、主ビームの反射
光は、ディスク記録信号の検出に用いる。
【0017】この場合には上述のようなレンズシフトに
も対応することができるが、グレーティング等の回折格
子を通す必要があるため、部品点数が増えること、主ビ
ームの光量が減少することにより消費電力が増加するこ
と、調整が複雑であり、従って、製造コストもかかるこ
と等の欠点を有している。
【0018】この他、特にピット深さがλ/4nである
規格のディスクのトラッキングサーボに有効な方法に
は、位相差検出法がある。位相差検出法は、2次元ピッ
トの回折スペクトルをRF(高調波)信号をリファレン
スとして、ヘテロダイン検波する方法や、光検出器上で
検出された各信号をデジタル演算処理する方法により実
現されている。
【0019】位相差検出法においては、例えば、図29
に示すように、光軸を中心として、被照射部である光デ
ィスクの例えばピット列方向であるタンジェンシャル方
向T及びこの方向Tに垂直な方向に、縦横に4分割した
フォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdを形
成し、遠視野領域に設置する。そして、この4分割フォ
トダイオードPDa〜PDdで光ディスクからの戻り光
を検出する。図29中、中央の円はレンズの瞳に対応し
0次回折光のスポットに相当する。その他周囲の8つの
円は1次回折光のスポットに相当する。また、中央の点
線部はディスクのピットPに対応する像である。
【0020】そして、この4分割フォトダイオードPD
a〜PDdの構成に対して、例えば次のように信号処理
を行う。各フォトダイオードの検出信号の総和であるR
F信号(PDa+PDb+PDc+PDd)と各フォト
ダイオードの検出信号を演算した信号(例えばPDa+
PDc−PDb−PDd)とを、位相を考慮しながらヘ
テロダイン検波する。このときの演算信号の内容を数1
に示す。
【0021】
【数1】 演算信号=(PDa+PDc)−(PDb+PDd) =C sin(2πvt /vp )sin (2πaωt/vp ) ただし、 vt :デトラック量 vp :ピット列の周期 a:読みとり位置の半径 ω:光ディスクの角速度 C:定数
【0022】ここで、数1のC sin(2πvt /vp
の部分は、RF信号(PDa+PDb+PDc+PD
d)がcos(2πaωt/vp )であることを考慮す
ると、これをリファレンスとして演算信号をヘテロダイ
ン検波した場合に得られる信号となる。こうしてヘテロ
ダイン検波により得られた信号からデトラック量vt
求めることができる。
【0023】この場合には、レンズシフトによるトラッ
キングエラー信号のオフセットが生じにくく、またピッ
ト深さがλ/4nである規格のディスクに有効である。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】一方、前述の従来の光
学装置の欠点を改善するものとして、光学部品点数の削
減および光学的な配置設定に際してのアライメントの簡
単化を可能にし、装置全体の簡素化、小型化を図る目的
で、レンズなど収束手段の共焦点位置に発光部を配置
し、この発光部のある共焦点位置近傍に受光部を形成す
る、いわゆるCLC(コンフォーカル・レーザ・カプ
ラ)構成が考えられている。
【0025】そして、本出願人は、前述のレンズシフト
やディスクの傾きに起因するトラッキングエラー信号の
オフセットをなくすために、上述の共焦点位置に受光部
を形成する分割フォトダイオードを配置し、これら分割
フォトダイオードによりプッシュプル法等を用いてトラ
ッキングサーボを行う光学装置を先に提案した(特願平
7−35528号出願「光学装置」参照)。
【0026】このような光学装置によれば、共焦点位置
近傍の受光部によるプッシュプル法(CPP法)によっ
てトラッキングエラー信号の検出を行うことから、レン
ズのオフセットやディスクの反りに対しても安定したト
ラッキングエラー信号の検出ができ、組み立て時のアラ
イメントが大幅に簡素化される。また、発光部と受光部
とが同一基板上に形成されているため、部品点数の削減
が図れ、製造コストの低廉化や高信頼性化が実現でき
る。
【0027】しかしながら、上述のCPP法では、共焦
点光学系特有の欠点を有している。特に、ジャストフォ
ーカスでなく、焦点深度内程度のごくわずかなフォーカ
スのずれが生じる場合に端的に現れる。
【0028】図30にその一例を示す。図30は、デフ
ォーカスが生じた場合のCPP法によるトラッキングエ
ラー信号とデトラック量との関係を示す数値計算結果の
一例である。ディスクは図27の計算で用いたものと同
じ形状のモデルとした。
【0029】図30より、±1μm以下の焦点深度内と
変わらない程度、あるいは焦点深度内でのデフォーカス
(通常、焦点深度内ではデフォーカスとは言わないが便
宜上こう呼ぶこととする)が生じる場合でも、CPP法
によるトラッキングエラー検出では、誤差を生じること
がわかる。また、図30中、曲線Gで示すデフォーカス
=−0.50μmの場合のように、本来のトラッキング
エラー信号(曲線Eで示すデフォーカス=0.00μm
の場合)とは周波数が異なる信号や、その他例えば倍の
周波数を有するトラッキングエラー信号になることがあ
る。また、曲線Hや曲線Iのように信号の正負が反転し
てしまうことがある。
【0030】一方、光ディスクの光学系では、信号の記
録・再生にあたり、トラッキングの制御と共にフォーカ
スの制御も必要となる。通常、フォーカスの制御では、
スポットサイズ法・非点収差法・ナイフエッジ法等の方
法により、対物レンズの焦点深度以下の程度にデフォー
カス量を抑制している。しかし、デフォーカス量は、常
時0μmにされるわけではなく、焦点深度内での微妙な
変動が絶えず生じており、従って、CPP法によるトラ
ッキングエラーの検出を行う場合には、ピット深さにつ
いて検討する前に、デフォーカスの影響を考慮した補正
法、または検出法を採用する必要がある。
【0031】そして、フォーカスエラー信号の検出及び
フォーカスサーボ方式としては、従来、非点収差法、フ
ーコー法、ナイフエッジ法等が代表的なものとして挙げ
られる。
【0032】このうち非点収差法では、半導体レーザL
D、対物レンズ、コリメータレンズ、回折格子、ビーム
スプリッタプレート、フォトディテクタ等の各光学部品
を組み合わせ、所定位置へ精度良く配置、固定して構成
され、フォーカスエラー信号を得ることができる。しか
しながら、一般にこの方式では、トラッキングエラー信
号の生成との兼ね合いもあって、以下に挙げる問題点を
有する。 1)非点収差を生じさせるために部品点数が多くなり、
各部品の組立や調整にかかる工程数が多くなること 2)光学系が大型化すること 3)生産工程が複雑化し、歩留まりが低くなること
【0033】これらの問題点を改善したピックアップの
例として、ホログラム素子を用いた光学系によるフーコ
ー法が提案され、実用化されている。このような光学系
では、ホログラム素子により生じる±1次回折光(対物
レンズからの戻り光の±1次回折光)を用いて、フォー
カスエラー信号の検出を行うのが一般的である。
【0034】図31にこのようなホログラム素子を用い
た光学ピックアップを示す。図31に示す光学ピックア
ップ110は、半導体レーザ101、フォトディテクタ
102、ホログラム素子103、対物レンズ104の各
光学部品から構成されている。この場合、半導体レーザ
101から出射した光は、ホログラム素子103を通過
し対物レンズ104で収束し被照射部であるディスク1
05に照射され、ここで反射した戻り光が再び対物レン
ズ104で収束された後に、ホログラム素子103にお
いて回折し、その戻り光の±1次回折光を用いてフォー
カスサーボ信号の検出を行うものである。
【0035】ここで、戻り光の±1次回折光は、±1次
の各光線(+1次回折光および−1次回折光)に対して
異なるパワーを持たせ、各光線の焦点の位置をずらす必
要がある。しかしながら、±1次回折光び焦点位置をず
らすために、ホログラム素子103の回折パターンが複
雑化することから、量産性や歩留まりの低下等さらなる
問題点が生じていた。
【0036】さらに、出射光がホログラム素子103を
通過することにより生じる回折光が利用されずに捨てら
れることになるため、以下の問題を生じることになる。 4)光量の不足を補うために、半導体レーザの出力を増
やす必要がある。 5)半導体レーザの出力の増大により、消費電力が増大
する。
【0037】従って、前述のトラッキングエラー信号の
検出と整合性を保ちながら、これらの問題点を解決する
ことが必要になってきている。
【0038】本発明はこのような点を考慮してなされた
もので、光学ピックアップなどの光学装置において、そ
の光学部品点数の削減および光学的な配置設定に際して
のアライメントの簡単化を可能にし、装置全体の簡素
化、小型化を図ると共に、様々なピット深さの光学記録
媒体に対してトラッキングエラー信号及びフォーカスエ
ラー信号が安定して得られ、半導体プロセスによる製造
が容易にできるようにするものである。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明の光学装置は、発
光部と、光検出素子から成る受光部と、発光部からの出
射光を被照射部に収束照射し更に被照射部から反射され
た戻り光を収束させる収束手段とを有し、戻り光の収束
手段による焦点位置近傍に戻り光の光軸に対して対称と
なるように互い違いに形成されたマスク手段が形成さ
れ、このマスク手段を経た戻り光を光検出素子で受光し
て、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号
を検出するものである。
【0040】上述の本発明の構成によれば、戻り光の光
軸に対して対称となるように互い違いに形成されたマス
ク手段を経た戻り光を受光検出することにより、収束手
段のシフト等に対しても安定したトラッキングエラー信
号やフォーカスエラー信号等の信号を得ることができ
る。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明は、発光部と、光検出素子
から成る受光部と、発光部からの出射光を被照射部に収
束照射し更に被照射部から反射された戻り光を収束させ
る収束手段とを有し、戻り光の収束手段による焦点位置
近傍に戻り光の光軸に対して対称となるように互い違い
に形成されたマスク手段が形成され、マスク手段を経た
戻り光を光検出素子で受光して、トラッキングエラー信
号及びフォーカスエラー信号を検出する構成とする。
【0042】また本発明は、上記光学装置において、発
光部が半導体レーザとこの半導体レーザからの出射光を
反射させる反射面が同一半導体基体に形成された半導体
部から構成され、受光部が半導体基体に形成され、半導
体基体に収束手段の共焦点が設定され、この共焦点近傍
にマスク手段が配置された構成とする。
【0043】図1に光学装置の斜視図を示す。図1に示
すように、この光学装置10は、被照射部が例えば記録
ピットを有する光ディスク2で、この光ディスク2に対
してレーザ光を照射して記録の読み出しがなされる光学
ピックアップに適用した場合である。また、図2Aは光
学装置の拡大斜視図、図3Aは光学装置の要部の断面
図、図3Bは平面図をそれぞれ示す。
【0044】この光学装置10は、図1に示すように、
半導体レーザLDが形成された光半導体素子7と、この
光半導体素子7上に配置されたガラスプリズム6と、半
導体レーザLDの出射光LF を被照射部である光ディス
ク2に収束照射させる収束手段として対物レンズ3を有
して構成されている。
【0045】また、対物レンズ3は、出射光LF が光デ
ィスク2で反射された戻り光LR を光半導体素子7に収
束照射させるように構成されている。即ち、この光学装
置10は、レンズなど収束手段の共焦点位置に発光部を
配置し、この発光部のある共焦点位置近傍に被照射部か
ら反射した戻り光を収束照射させるいわゆるCLC(コ
ンフォーカル・レーザ・カプラ)構成とされている。
【0046】このとき、戻り光LR は、対物レンズ3に
より光回折限界(即ちレンズの回折限界)近傍まで収束
されるものであり、この光回折限界は、半導体レーザL
Dからの出射光LF の波長をλ、対物レンズ3の開口数
をN.A.とするとき、1.22λ/N.A.となる。
【0047】光半導体素子7は、図2に示すように、半
導体基板1上に、発光部として基板面に沿う方向でかつ
例えば光ディスク2のタンジェンシャル方向に平行な共
振器長方向を有する半導体レーザLD、及びこの半導体
レーザLDの一方の出射端面に対向する斜面として設け
られ半導体レーザLDからの出射光LF を反射する反射
面M1が形成され、受光部として2つのフォトダイオー
ドPD1,PD2からなる光検出素子が形成されて成
る。
【0048】また、光半導体素子7上面の反射面M1を
挟んだ前後の領域には、AR(無反射)コート面4とH
R(高反射)コート面5とが、図3Bに平面図を示すよ
うに、出射光LF の光軸に対称になるように互い違いに
形成されている。これらARコート面4とHRコート面
5とは、後述するように戻り光LR に対して透過型のナ
イフエッジマスクと同様の作用を生じるマスク手段とな
るものである。
【0049】ここで、例えば半導体レーザLDの波長を
780nmとする場合には、半導体基板1をGaAsに
より構成する。そして、反射面M1を{111}結晶面
により形成すれば、基板面に対して54.7°の角度の
反射面となる。
【0050】この光半導体素子7は、ウエハ上に複数の
光半導体素子7を同時に形成するいわゆるウエハバッチ
プロセスにより、一連の半導体製造工程で製造すること
ができる。即ち例えば、半導体レーザLDと反射面M1
とフォトダイオードPD1,PD2とマスク手段4,5
が形成された光半導体素子7をモノリシックに作製した
上で、別途ウエハ状、バー状にて作製されたガラスプリ
ズム6を接合し、さらに裏面電極の形成、viaホール
形成等の既存の技術を組み合わせることで、半導体プロ
セスに準じた方法で作製することが可能である。
【0051】そして、光半導体素子7を半導体製造工程
で形成することにより、調整が簡素で、かつ経時変化の
少ない、共焦点光学系の利点を生かした例えば光学ピッ
クアップ等の光学装置10を構成することができる。ま
た、反射面M1の形成は、プレーナー状態で形成するこ
とが可能なため、容易に形成することができる。
【0052】また、ガラスプリズム6は、その出射光L
F が通過する部分が出射光LF の光軸に垂直な斜面6A
とされ、上面にHRコートされた反射面M2が形成され
ている。
【0053】そして、この光学装置10において、反射
面M1により反射された出射光LFは、対物レンズ3に
より光ディスク2に収束照射され、この出射光LF が光
ディスク2で反射された戻り光LR が対物レンズ3によ
って再び収束され、ガラスプリズム6の斜面6Aを通っ
て光半導体素子7に向かう。
【0054】さらに、図2及び図3Aに示すように、戻
り光LR は光半導体素子7の反射面M1の周囲に焦点
(共焦点)を結び、この共焦点近傍に形成されたマスク
手段となるARコート面4及びHRコート面5において
反射される。このとき、反射された光は、透過型のナイ
フエッジマスクと同様のマスク作用を受けて一部の光が
妨げられた反射光L1となる。
【0055】この反射光L1は、さらにガラスプリズム
6の上面の反射面M2で反射され、光半導体素子7の上
面に形成された2つのフォトダイオードPD1,PD2
の方向に向かう。
【0056】尚、これら2つのフォトダイオードPD
1,PD2は、反射光L1の光軸を囲むようにそれぞれ
ディスクのタンジェンシャル方向Tに配置され、またそ
の長手方向がディスクのラジアル方向Rと一致してい
る。
【0057】そして、フォトダイオードPD1,PD2
に反射光L1が照射されることにより、これらフォトダ
イオードPD1,PD2から得られる信号に対して後述
するように演算を行って、トラッキングエラー信号及び
RF(高調波)信号等の各種信号がそれぞれ生成され
る。
【0058】尚、戻り光LR に対するマスク手段を構成
するARコート面4及びHRコート面5は、同様のマス
ク効果が得られるならば、他の手法を用いても良い。
【0059】この光学装置10におけるトラッキングエ
ラー信号の生成は、トラッキングエラー信号をSTE、
フォトダイオードPD1,PD2の受光量をそれぞれI
PD1,IPD2として、以下の数2により実現され
る。
【0060】
【数2】ピット深さがλ/4nでないとき、 STE=(IPD1−IPD2) ピット深さがλ/4nのとき、 STE=(IPD1+IPD2)※edge1−(IP
D1+IPD2)※edge2
【0061】尚、数2の※edge1及び※edge2
は、それぞれ立ち上がり及び立ち下がりのピットエッジ
での検出を示す。ここで、図6を用いてピットエッジに
おける検出について説明する。図6Aは立ち上がりのピ
ットエッジpit edge( 1) 、図6Bは立ち下がりのピッ
トエッジpit edge( 2) における検出位置をそれぞれ示
す。図中上下の矢印は記録媒体の移動方向、水平の矢印
は検出方向を示す。ビームスポットSが移動することに
より、各ピットエッジpit edge( 1) ,pit edge( 2)
における検出を行うことができる。
【0062】上記の数2の演算を行うことにより、後述
するようにトラッキングエラー信号STEはラジアル方
向Rのレンズシフトに対して十分なマージンを有する。
そして、先に提案したCKEデバイス、即ち共焦点位置
にナイフエッジマスクとなる例えば三角錐形状の反射面
を有する半導体構造等を形成した光学装置の特長を合わ
せ持つ。
【0063】またトラッキングエラー信号は、いずれの
ピット深さのディスクにも対応して検出することができ
るため、同様の光学系を半導体レーザLDに赤色材料を
用いた光学装置に適用すれば、例えばDVD−ROM及
びDVD−RAM共通の光学ピックアップ装置として用
いることができる。
【0064】尚、RF信号は2つのフォトダイオードP
D1,PD2の和信号により検出することができる。ま
た、フォーカスエラー信号は、例えば戻り光LR を途中
で分離して受光検出することにより、公知の検出方法を
用いて検出することができる。
【0065】光学装置のその他の構成として、ガラスプ
リズム6のレーザ光LF ,LR が通過する斜面6Aにホ
ログラム素子を形成した構成も採ることができる。これ
により、例えばトラッキングエラー信号のプレイヤビリ
ティ対策として有用な3ビーム法を容易に適用して、フ
ォトダイオードの検出信号によるトラッキングエラー信
号と併用して、ディスクの傷等に強いトラッキングエラ
ー信号を得ることができる。また、この構成では、例え
ばCDとDVDを1つの装置で記録又は再生を行う光学
ピックアップ装置等に用いられる2焦点光学ヘッドのホ
ログラムパターン形成も特に問題なく行える等の利点を
有する。
【0066】次に、本発明の光学装置の有効性を具体的
に示すために、図1に示した光学装置10のマスク手段
4,5を経た反射光L1のビームスポットの状態につい
て、モデルを用いて具体的に計算を行った。計算に用い
たモデルを図4及び図5に示す。
【0067】図4Aに示すように、光ディスク2のピッ
トPからの戻り光LR を、対物レンズ3で収束し、その
戻り光LR の共焦点位置にナイフエッジマスクKEを配
置し、ナイフエッジマスクKEで切り取られた戻り光L
R (反射光L1)を光検出器PDで検出する構成の透過
型のモデルを用いた。また、図4Bは図4Aの要部を拡
大した図であり、回折限界まで収束された戻り光L
R が、ナイフエッジマスクKEで切り取られる状態を示
す。
【0068】また、図5に示したモデルは、透過型簡易
モデルであり、図4Aに示した透過型のモデルのナイフ
エッジマスクKEを分割して、左奥の領域が開口したナ
イフエッジマスクKE1と右手前の領域が開口したナイ
フエッジマスクKE2として、それぞれナイフエッジマ
スクKE1,KE2を透過した戻り光LR をフォトダイ
オードPDで受光するようにしたモデルである。
【0069】尚、以下の計算結果において、フォトダイ
オードPDは、戻り光の光軸を通る分割線(破線)と光
軸を中心とした図中横方向の2本の仮想分割線(実線)
とを設けた仮想フォトダイオードとして表現する。そし
て、以下ナイフエッジマスクKE1のモデルを(+,
+)と表現し、ナイフエッジマスクKE2のモデルを
(−,−)と表現する。
【0070】尚、これらのモデルは、図1の光学装置1
0と比較して光学系を若干簡略化しているが、本質的な
問題はない。
【0071】そして、計算に用いた各パラメータは、主
にコンパクトディスク(CD)に準じたものを用い、以
下に示す数値を使用した。 半導体レーザLDの発振波長 :780nm 対物レンズの開口数NA :0.45 対物レンズの焦点距離 :ディスク側 5.0mm レーザ側 25.0mm ラジアル方向のグルーブ・ピット間隔 :1.60μm タンジェンシャル方向のグルーブ・ピット間隔 :3.20μm ピット長さ :2.08μm(〜7T又はグルーブ) 線速度 :1.25m/秒 半導体レーザLDの発散角 :pn接合と垂直な方向 24.0° pn接合と平行な方向 12.0° ナイフエッジマスクのオフセット:ラジアル方向 0.0μm (ARコート面4) タンジェンシャル方向 2.0μm 反射光L1の伝搬距離 :100μm (ARコート面4からフォトダイオードPDまで)
【0072】上述の干渉パターンの計算結果を、上述の
ように仮想分割線を記した仮想フォトダイオードPDに
対応させて図7A〜図7Cに示す。尚、図7A〜図7C
において、上部の矢印はラジアル方向Rのレンズシフト
の方向を示す。
【0073】図7Aは、焦点深度内程度のフォーカスの
ずれ(以下デフォーカス)の状態とデトラックの状態に
対するパターンの変化を示している。図中縦方向がデフ
ォーカスをそれぞれ−方向、オンフォーカス(0)、+
方向としており、横方向デトラックをそれぞれ−方向、
オントラック(0)、+方向としている。即ち、9つの
図のうち、中央の図がオンフォーカスかつオントラック
のときのパターンを示す。
【0074】図7Aより、オントラックのときには受光
量がPD1=PD2であり、デトラックが−方向のとき
はPD1<PD2であり、デトラックが+方向のときは
PD1>PD2である。従って、数1に示したように
(PD1−PD2)とすれば、デトラックの符号に合っ
たトラッキングエラー信号STEが得られることがわか
る。
【0075】また、デフォーカスが−方向のときはPD
1とPD2の光量の差が小さく、+方向のときはPD1
とPD2の光量の差が大きい。従って、デフォーカスの
符号によりトラッキングエラー信号STEの傾きが左右
され、デフォーカスが+方向になるほどトラッキングエ
ラー信号STEの傾きが大きくなることがわかる。
【0076】そして、図7Aにおいて、干渉パターンの
反転等の不具合は生じていないので、図4Aに示した互
い違いのナイフエッジマスクKEにより、比較的良好な
トラキングエラー信号STEが得られることが期待でき
る。
【0077】また図7Bは、上述の数2の演算を用いた
トラッキングエラー信号の検出方法における信号の成り
立ちをより詳しく見るために、図5に示した共焦点位置
に設置されたナイフエッジマスクが片側だけ存在する場
合即ちモデル(+,+)或いはモデル(−,−)を用い
たときの各干渉パターンを示すものである。また図7C
は、図4に示した互い違いのナイフエッジマスクKEを
用いた場合に、ディスクのグルーブによる各回折光(0
次及び±1次光)の仮想フォトダイオードPD上でのラ
ンディング位置を計算した結果を示す。
【0078】図7Bでは、上の3つの図がモデル(−,
−)のときを示し、下の3つの図がモデル(+,+)の
ときを示す。また、中央の図がオントラックのときを示
し、右の図が+方向のデトラックのとき、左の図が−方
向のデトラックのときをそれぞれ示す。
【0079】図7Bより、デトラックの方向が+方向の
場合は、モデル(−,−)のナイフエッジマスクKE2
による回折成分による干渉パターンを主たる信号とし、
モデル(+,+)のナイフエッジマスクKE1による強
い方の干渉成分は、PD1とPD2との間のPD3に現
れるため、演算上寄与しないため捨てられる。この場合
の仮想フォトダイオード上の干渉は、図中左半分が明る
いため、図7Cより主に0次回折光と+1次回折光の成
分に支配されることがわかる。
【0080】一方、デトラックの方向が−方向の場合
は、モデル(+,+)のナイフエッジマスクKE1によ
る回折成分による干渉パターンを主たる信号とし、モデ
ル(−,−)のナイフエッジマスクKE2による強い方
の干渉成分は、上記と同様に信号には寄与しない。この
場合の仮想フォトダイオード上の干渉は、図中右半分が
明るいため、図7Cより主に0次回折光と−1次回折光
の成分に支配されることがわかる。
【0081】図7Bより、デトラックが+方向及び−方
向の場合において、それぞれ主成分とは反対方向の成分
が不要な信号として残存しているが、前述の共焦点プッ
シュプル法(CPP法)とは異なり、残存するのは弱い
信号成分だけであるため、相対的に充分小さなものとし
て観測される。これは、オンフォーカス時でも残る倍周
期成分の項が相対的に小さくなることを意味し、これに
より良好なトラッキングエラー信号が得られる。
【0082】また、図7Aよりわかるように、ラジアル
方向Rと、仮想フォトダイオードの分割パターン及び干
渉パターンとの関係から、ラジアル方向Rのレンズシフ
トが生じた場合でも、そのレンズシフトにトラッキング
エラー信号(PD1−PD2)が原理的に影響されな
い。
【0083】従って、例えば前述のCKEデバイスでは
三角錐の2面でスプリットした2つの光束とレンズシフ
トの方向を考慮する必要があるが、上述の光学装置10
では1つの光束(反射光L1)だけを考えればよいの
で、より簡素なフォトダイオードの分割線でCKEデバ
イスと同等の効果が得られる。
【0084】以上は図4及び図5に示した透過型のモデ
ルについて演算を行ったが、反射型のマスク手段4,5
から成る図1の光学装置10においても、同様の考えを
適用することができる。
【0085】尚、これらの結果とは別に、数2で示した
計算手法を用い、分割フォトダイオードPD1,PD
2,PD3の位置関係をタンジェンシャル方向Tに隣接
するように設置すれば、互い違いのナイフエッジマスク
KEでなくても上記計算結果の一部として示したよう
な、片側のみのナイフエッジマスクKE1或いはKE2
を使用しても同様の効果、即ちラジアル方向Rのレンズ
シフトによりトラッキングエラー信号が影響されない効
果があると期待される。実際には、後述するようにデフ
ォーカスの影響をキャンセルするために、互い違いのナ
イフエッジマスクKEを必要とする。
【0086】ここで、図8にラジアル方向のレンズシフ
ト特性、デューティ依存、フォーカス依存の各特性を考
慮したトラッキングエラー信号の計算結果を示す。図8
AはレンズシフトLSによるトラッキングエラー信号の
変化を示し、図8Bはディスクピットのデューティ(d
uty)が50%のときのデフォーカスによるトラッキ
ングエラー信号の変化を示し、図8Cはディスクピット
のデューティが65%のときのデフォーカスによるトラ
ッキングエラー信号の変化を示す。
【0087】図8A〜図8Cより、いずれも良好なトラ
ッキングエラー信号が得られている。特に、ラジアル方
向のレンズシフトがあってもトラッキングエラー信号が
ほとんど変化しない。フォーカスに関しては、フォーカ
スズレに対するトラッキングエラー信号の傾きの変動が
やや大きいが、 (1)実際にフォーカスサーボが動作している場合にお
いては、±0.1μm程度しかフォーカス方向に振れな
いこと (2)トラッキングエラー信号の特性がデフォーカスの
方向により変化していないため、トラッキングサーボが
外れても負帰還の方向が一定であり、再びトラッキング
サーボをかける際に問題がないこと 等の理由から特に大きな問題とはならない。
【0088】次に、共焦点位置に配設されるマスク手段
のパターンが、互い違いに形成されねばならないことに
ついて説明する。結論を先に述べると、これはトラッキ
ングエラー信号に対するデフォーカスの影響をキャンセ
ルするための処置である。
【0089】片側のみのナイフエッジマスクKE1或い
はKE2が共焦点位置に配設される場合の干渉パターン
の計算例は、先の図7Bに示した通りであるが、一見す
るとこの片側のみのナイフエッジマスクKE1或いはK
E2によって、トラッキングエラー信号をラジアル方向
Rのレンズシフトにより影響されることなく、安定して
検出することが可能なように見える。
【0090】しかしながら、片側のみのナイフエッジマ
スクKE1或いはKE2を用いた場合には、後述する図
18に示すようにデフォーカスによっても干渉パターン
の変動が現れ、しかも図7Bに示したデトラックによる
干渉パターンの変動と重複するように変動する。従っ
て、片側のみのナイフエッジマスクKE1或いはKE2
により検出される干渉パターンでは、デフォーカスによ
るパターン変化なのか或いはデトラックによるパターン
変化なのかを、判別できないこととなる。
【0091】これに対して、ナイフエッジマスクを互い
違いに共焦点位置近傍に配置した場合では、デフォーカ
スが生じた場合でも分割フォトダイオードPD1,PD
2上での干渉パターンの軸対称性が常に維持される。こ
れにより、トラッキングエラー信号の検出が数2に示し
たトラッキングエラー信号検出法に準ずる場合には、+
側或いは−側のいずれのデフォーカスの状態において
も、各フォトダイオードPD1,PD2に対して、それ
ぞれ同等のオフセットは与えるが差分のあるオフセット
をもって影響を与えることはなく、結果としてデフォー
カスの影響を受けない安定なトラッキングエラー信号の
検出が可能となる。このことは後述するピットエッジ検
出の場合にも当てはまる。
【0092】従って、共焦点位置近傍に配置するナイフ
エッジマスクは、互い違いに形成することが不可欠とな
る。
【0093】次に、ピット深さがλ/4nの場合におけ
る信号の状態とトラッキングエラー信号の検出について
説明する。ピット深さがλ/4nの場合には、一般には
前述の位相差検出法が用いられるが、図1に示した構成
の光学装置10において位相差検出法を実現するには注
意が必要である。それは、共焦点位置近傍にナイフエッ
ジマスクを有することから、このナイフエッジマスクに
よる回折の影響によって、従来の位相差検出法はそのま
までは実現できないことに起因する。
【0094】これに対して、例えば前述のCKEデバイ
スを用いた位相差検出法では、従来の位相差検出法とよ
く似た別の演算方法を用いることによって、ほぼ同一の
効果を得ることができる。このCKEデバイスの場合
は、共焦点位置にある三角錐状の半導体構造が半導体レ
ーザのストライプに関して対称で、かつミラー効果によ
るパターンの反転を考慮して、結果として従来の位相差
検出法とほぼ同等の演算方法を導出することができた。
また、CKEデバイスでは、ナイフエッジマスクとなる
複数の反射面でそれぞれ得られるパターン変動の効果に
より、4分割された仮想フォトダイオード上におけるデ
トラックに対するパターンの反転がたすき掛けの関係と
なる。
【0095】これに対して、図1に示した構成の光学装
置10では、ナイフエッジ作用を生じるマスク手段4,
5が半導体レーザLDのストライプに対して対称ではな
く、仮想発光点即ち立ち上げられた出射光LF の光軸に
対して対称であり、またミラー効果によるパターンの反
転もない。
【0096】また、図4及び図5に示した透過型のモデ
ルにおいて、立ち上がりのピットエッジ検出の場合の干
渉パターンの計算結果を図9に示す。図9では、左の列
が図4に示した互い違いのナイフエッジマスクKEによ
り得られる干渉パターン、中央及び右がそれぞれ図5に
示したモデル(+,+)及びモデル(−,−)により得
られる干渉パターンを示す。
【0097】図9に示すように、デトラックの方向によ
らず同一の対角フォトダイオード上(左上と右下の分割
フォトダイオード上)でしか信号が検出されない。従っ
て、4分割してもデトラックに対応した演算を行うこと
ができず、仮想フォトダイオードの4分割が全く意味を
なさない状態となる。
【0098】ここで、ピットエッジ検出による位相差検
出法においては、(0,−1)及び(0,+1)の2つ
の回折光が主たる位相の回転方向を決めていることか
ら、これらが重ならないことが非常に重要である。
【0099】また、図4及び図5に示した透過型のモデ
ルにおいて、立ち上がりのピットエッジで検出を行った
場合における各回折光の仮想フォトダイオード上でのラ
ンディング位置の関係の計算結果を図10に示す。図1
0に示すように、上述の2つの回折光(0,−1)及び
(0,+1)がほぼ重なって分布しており、この結果が
上述のデトラックに対する干渉パターンの変化を生んで
いると言える。
【0100】そして、上述した問題は、片側のピットエ
ッジにおける検出だけではデトラックの符号を検出する
際に必要な情報が充分でないことを意味する。
【0101】図9に示した干渉パターンと同様の計算
を、立ち下がりのピットエッジで検出を行った場合につ
いて行った結果を図11に示す。この場合も、図9と同
様に、デトラックの符号によらず同一対角フォトダイオ
ード上に信号がある。
【0102】従って、ピットエッジの立ち上がり、及び
立ち下がりの両方で検出することによって上述の問題を
回避する必要がある。
【0103】尚、ピットエッジの立ち上がり、立ち下が
りでそれぞれ検出する場合、即ち前述の図6A及び図6
Bの内の一方の状態で検出する場合には、タンジェンシ
ャル方向Tの位相が反転する。これは上述の(0,−
1)及び(0,+1)の重なりの問題に準じ、ピットの
立ち上がり、立ち下がりのうち一方を選択することがそ
れに当てはまる。
【0104】さらに、図9及び図11のそれぞれ左の列
に示した、図4の透過型モデルにおける干渉パターンの
デトラックの方向による変化を、まとめて図12に示
す。共焦点位置のマスク手段の対称性を考慮すると(図
4のモデルでは対称、図1の実際の光学装置10ではや
や非対称である)、図12より仮想フォトダイオード上
で検出される干渉パターンのデトラックの方向による変
化が、ピットエッジの立ち上がりの検出と立ち下がりの
検出とでちょうど反転した挙動を示すことがわかる。
【0105】そして、それぞれのピットエッジでの検出
光量の符号は、デトラックの符号によらず+であるた
め、ピットエッジの立ち上がり、及び立ち下がりでの各
検出信号の差から、トラッキングエラー信号を生成する
ことができる。
【0106】ここで、ピット深さがλ/4nの場合につ
いて、ラジアル方向のレンズシフト特性、デューティ依
存、フォーカス依存の各特性を考慮したトラッキングエ
ラー信号の特性の計算結果を図13A〜図13Cに示
す。図13Aはラジアル方向RのレンズシフトLSによ
るトラッキングエラー信号の変化を示し、図13Bはデ
ィスクピットのデューティが50%のときのデフォーカ
スによるトラッキングエラー信号の変化を示し、図13
Cはディスクピットのデューティが65%のときのデフ
ォーカスによるトラッキングエラー信号の変化を示す。
【0107】図13Aより、ラジアル方向Rのレンズシ
フトLSがあってもトラッキングエラー信号がほとんど
変化しないことがわかる。また、図13B及び図13C
より、デフォーカスによって(図31に示したように)
トラッキングエラー信号が反転しない。
【0108】即ち、いずれも良好な結果が得られてお
り、ピット深さがλ/4nの場合の検出方法として期待
できる。
【0109】尚、上述の計算によるシュミレーションで
は、ナイフエッジを経た戻り光LR(図1では反射光L
1)の伝搬距離を100μmとしているが、遠視野とし
て充分な距離例えば500μm程度或いはそれ以上伝搬
させたい場合においても、上述した同様の演算を行うこ
とにより各ピット深さに対応してトラッキングエラー信
号を得ることができる。
【0110】図14及び図15に共焦点位置からの伝搬
距離が500μmの場合の仮想フォトダイオード上での
デトラックに対する干渉パターンを示す。図14はピッ
トの深さがλ/4nでない場合、図15はピットの深さ
がλ/4nである場合の干渉パターンをそれぞれ示す。
図14及び図15より、ピット深さがλ/4nの場合
も、そうでない場合も、数2に示した演算式によりトラ
ッキングエラー信号が得られることがわかる。
【0111】伝搬距離は、上述の光学装置10におい
て、例えばガラスプリズム6の厚さや反射面M1の角度
を変更することにより変化する。特にガラスプリズム6
を厚く形成する場合には、伝搬距離が長くなり遠視野と
なることを考慮する必要が生じる。
【0112】上述の光学装置10では、共焦点位置近傍
に戻り光LR の光軸に対称な互い違いのマスク手段4,
5が形成されていることにより、例えば数2に示した演
算を行って、光ディスク2のピット深さがλ/4nでな
くとも、ピット深さがλ/4nであっても、共に良好な
トラッキングエラー信号を得ることができる。即ち1つ
の光学装置10により、様々なピット深さの光ディスク
2に対応して信号検出を行うことができる。また、レン
ズシフトやデフォーカスの影響に強いトラッキングエラ
ー信号を得ることができる。
【0113】さらに、同一の半導体基体1上に、半導体
レーザLDとマスク手段4,5と光検出素子PD1,P
D2とを形成したことにより、光学装置10を部品点数
を少なく簡潔に小型に構成することができる。
【0114】また、光半導体素子7は2次元プロセスで
形成することができ、タンジェンシャル方向Tの精度条
件が前述のCKEデバイス等の3次元構造より緩和され
るので、製造が容易になる利点を有する。
【0115】上述の光学装置10では、光半導体素子7
とガラスプリズム6を用いて光学装置10を構成した
が、図4に準ずるモデルで記述できる光学系、即ち戻り
光の共焦点位置近傍に光軸に対称な互い違いのマスク手
段を設けた光学系であれば、その他の素子で形成した場
合も同様の効果が得られる。
【0116】さらに、戻り光が光半導体素子7に焦点を
結ぶ共焦点光学系以外に、共焦点光学系を採用しない一
般的な光学系、例えば従来提案されているように発光部
と受光部が個別の素子として用意され、それらを組み合
わせて構成された光学装置においても、戻り光が出射光
と分離された後、戻り光が収束限界にある焦点付近の位
置に、マスク手段として光軸に対して対称な互い違いの
マスク手段を配置することにより、上述の数2に示した
演算を適用してトラッキングエラー信号を生成すること
ができる。
【0117】上述の光学装置10では、フォトダイオー
ドPD1,PD2によりトラッキングエラー信号を検出
し、フォーカスエラー信号は別に検出する構成であった
が、光半導体素子7の上面に形成したフォトダイオード
によりフォーカスエラー信号も検出することもできる。
その場合を本発明の実施の形態として次に示す。
【0118】図16及び図17に本発明に係る光学装置
の実施の形態を示す。図16は光学装置の要部の斜視
図、図17Aは光学装置の要部の断面図、図17Bは光
学装置の要部の平面図をそれぞれ示す。
【0119】この光学装置20は、図1に示した光学装
置10の構成に対して、さらにフォトダイオードPD
1,PD2の間、即ち戻り光LR がマスク手段4,5と
第3の反射面M2により反射された反射光L1の光軸付
近に、フォトダイオードPD3が配置され、3つのフォ
トダイオードPD1,PD2,PD3において信号を検
出するものである。その他の構成は図1に示した光学装
置10と同じであるため、同一符号を付して重複説明を
省略する。
【0120】即ち、この光学装置20においては、反射
光L1が3つのフォトダイオードPD1,PD2,PD
3にて受光される。
【0121】尚、この光学装置20においても、前述の
光学装置10と同様に、トラッキングエラー信号TE
は、前述の数2により得ることができる。従って、この
光学装置20でも、前述のの光学装置10と同様に、ピ
ット深さがλ/4nである規格のディスクに対して、充
分なトラッキングエラー信号を検出することができる。
また、レンズシフトやデフォーカスの影響に強いトラッ
キングエラー信号TEを得ることができる。
【0122】そして、この光学装置20においては、特
にフォーカスエラー信号SFEは、例えば次の数3によ
り外側のフォトダイオードPD1,PD2の信号と、内
側のフォトダイオードPD3の信号とを演算して得るこ
とができる。
【0123】
【数3】SFE=(IPD1+IPD2)−IPD3
【0124】ここで、この図16及び図17に示した実
施の形態の光学装置20について、フォーカスエラー信
号が数3により得られることを説明する。
【0125】図18に図4及び図5に示した透過型モデ
ルについて、デフォーカス時の仮想フォトダイオード上
の干渉パターンの変化を計算した結果を示す。図18で
は、左の図及び中央の図が図5に示した共焦点位置に設
置されたナイフエッジマスクが片側だけ存在するモデル
(+,+)及びモデル(−,−)による干渉パターンを
示し、最も右の図が図4に示した互い違いのナイフエッ
ジマスクKEによる干渉パターンを示す。
【0126】図18の左の列及び中央の列の2つの列よ
り、それぞれのナイフエッジ効果によるパターンの変化
は、いずれもデフォーカスが−方向の場合は内側が明る
くなり、+方向の場合は外側が明るくなることから、デ
フォーカスの方向に対し同一方向の性質を有する。これ
により、これらを合わせ持つ互い違いのナイフエッジマ
スクKEの場合も、右の列に示すようにデフォーカスが
−方向の場合は内側が明るくなり、+方向の場合は外側
が明るくなる。
【0127】従って、仮想フォトダイオードの内側と外
側との信号を比較すること、即ち(PD1+PD2)の
信号とPD3の信号とを比較することにより、フォーカ
スエラー信号の検出が可能となることが分かる。
【0128】また、図4に示した透過型モデルでは、ナ
イフエッジマスクKEが光軸に対称となっていることに
より、ラジアル方向R及びタンジェンシャル方向Tのレ
ンズシフトがあっても、フォーカスエラー信号には原理
的に影響を及ぼさないことは自明である。これに対し
て、図16及び図17に示した構成の光学装置20で
は、反射面M1がマスク手段に対して斜めに形成されて
いてタンジェンシャル方向Tが若干非対称となるため、
もしタンジェンシャル方向Tのレンズシフトがあるとす
ると、ある程度しか除去されない。しかしながら、実際
にはタンジェンシャル方向Tのレンズシフトはほとんど
生じないので、図16及び図17に示した構成でも問題
はなく、しかもラジアル方向Rのレンズシフトの影響が
原理的にないので、良好なフォーカスエラー信号が得ら
れる。
【0129】ただし、図16及び図17に示した構成の
光学装置20では、(PD1+PD2)及びPD3の合
焦状態における信号の絶対値が等しくないため、予めこ
の成分(絶対値の差)を取り除いておく必要がある。こ
れは、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信
号を共通のフォトダイオードで検出する際に必要となる
条件であり、どちらか一方のエラー信号のみの検出が必
要であればフォトダイオードの分割線をずらして合焦状
態における信号の絶対値が等しくなるようにすればよ
い。
【0130】図19A及び図19Bに、図4に示した透
過型モデルにおいて上述の絶対値の差の成分を取り除い
た上で得られるフォーカスエラー信号の計算結果を示
す。図19Aは、外側のフォトダイオード(PD1+P
D2)における検出信号(FE/out)及び内側のフ
ォトダイオードPD3における検出信号(FE/inと
オフセット成分を含む)の状態及びフォーカスエラー信
号FEを示す。また、図19Bは、±400μmのラジ
アル方向RのレンズシフトLSがある場合の特性を示
す。図19Aより良好なS字形状のフォーカスエラー信
号が得られ、しかも図19Bよりラジアル方向Rのレン
ズシフトLSの影響を受けないことがわかる。従って、
非常に良好なフォーカスエラー信号の検出が期待できる
ことがわかる。
【0131】尚、図19A及び図19Bに示されている
仮想フォトダイオードの分割線は、前述のトラッキング
エラー信号を生成したときの分割線と同一位置に設けら
れており、これらの結果からトラッキングエラー信号及
びフォーカスエラー信号を整合性のある形で検出可能な
ことが示されていると考えられる。
【0132】上述のシミュレーションでは、共焦点位置
から仮想フォトダイオードまでの伝搬距離を全て100
μmとしているが、伝搬距離をさらに長くした場合に
は、充分な遠視野に近づく過程で、干渉パターンが徐々
に変化していく。
【0133】そして、図18中に示したモデル(+,
+)のマスクに対する−方向のデフォーカスの光量分布
について、伝搬距離Lを長くしていったときの変化を図
20に示す。図20より、仮想フォトダイオード上のほ
ぼ中央に位置していた一方のデフォーカスによる光量分
布が、伝搬距離Lが長くなるほど外側方向に位置がずれ
てくることがわかる。光量分布が外側方向にずれていく
と、もともと外側に光量分布を有する他方のデフォーカ
ス(この場合は+方向のデフォーカス)との区別ができ
なくなってしまう。図21に伝搬距離Lを変化させたと
きの、デフォーカスによる干渉パターンの挙動を示すよ
うに、伝搬距離Lが500μm及び1000μmの場合
には、デフォーカスの方向が+方向でも−方向でも類似
した変化を示すことがわかる。
【0134】従って、遠視野においては、数3の演算で
は適切なフォーカスエラー信号が得られないことが分か
る。
【0135】また、図22A〜図22C及び図23D〜
図23Eに、伝搬距離Lを変化させて得られるフォーカ
スエラー信号FEを示す。いずれも縦軸は相対値であ
り、破線(FE/out)が外側のフォトダイオードP
D1+PD2による信号、鎖線(FE/in)が内側の
フォトダイオードPD3による信号(図22Aはオフセ
ットを含む)、実線が2つの信号を演算して得られたフ
ォーカスエラー信号FEを示す。
【0136】伝搬距離Lが変化すると受光強度等も変化
するので、信号の絶対値の比較はできないが、伝搬距離
Lが長くなることにより、フォーカスエラー信号のS字
がくずれ、デフォーカスに対応して線形に変化する範囲
も狭くなってくることがわかる。そして、この条件では
伝搬距離L=100μm程度とすることにより、良好な
フォーカスエラー信号が得られることがわかる。
【0137】従って、遠視野の場合には、良好なフォー
カスエラー信号を得るためには、トラッキングエラー信
号とは切り離してフォーカスエラー信号を別途検出する
必要がある。
【0138】これに対して、遠視野というには充分でな
い位置、例えば上述の計算結果の場合では100μm程
度の位置に仮想フォトダイオードを配置することによ
り、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号
を整合性良く共通に設けられた検出器で検出することが
できる。
【0139】上述の実施の形態の光学装置20によれ
ば、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号
の検出に特徴を有することにより、下記の利点を有す
る。 (1)全てのピット深さ又はグルーブ深さの光ディスク
に対して、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを
かけることができる。 (2)共焦点光学系を利用したことにより、全てのピッ
ト深さ又はグルーブ深さの光ディスクに対して、トラッ
キングエラー信号及びフォーカスエラー信号がラジアル
方向のレンズシフトに強くなる。 (3)トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信
号の検出のために付加する光学部品がないため、部品点
数を削減した簡素な光学系を構成することができる。従
って、組立工程及び調整工程の簡素化を図ることができ
る。 (4)部品点数の削減及び工程の簡素化により製造コス
トが低減できる。 (5)低消費電力化や小型軽量化ができる。 (6)同一の半導体基体に半導体レーザ、光検出素子、
マスク手段(ナイフエッジマスク)を形成するので、組
立後の経時変化が少ない。 (7)小型軽量化が実現可能で、これによる応答速度の
向上が図られる。 (8)フォーカスの状態に依存しないトラッキングエラ
ー信号を検出できる。 (9)半導体プロセスの一環としてマスク手段を作製で
きるため、極めて再現性が高く、歩留まり良く製造する
ことができる。
【0140】本発明の光学装置は、上述の実施の形態に
限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲でその他様々な構成が取り得る。
【0141】
【発明の効果】上述の本発明による光学装置によれば、
互い違いに形成されたマスク手段を設けることにより、
被照射部がピットを有する光ディスクである場合に、全
てのピット深さ又はグルーブ深さの光ディスクに対して
トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号の検
出を行うことができる。また、対物レンズ等の収束手段
の変動に影響されないでトラッキングエラー信号やフォ
ーカスエラー信号の検出を正確に行うことができる。
【0142】そして、光検出素子でトラッキングエラー
信号やフォーカスエラー信号を検出することにより信号
の検出のために付加する光学部品がないため、部品点数
を削減した簡素な光学系を構成できる。このため、調整
工程の簡素化が実現できる。これにより、光学装置の低
製造コスト化を図ることができ、また光量のロスが低減
されて低消費電力化が図られる。
【0143】また、共焦点光学系を採用した場合には、
発光部及びマスク手段を(さらに好ましくは光検出素子
も)同一半導体基体に形成するため、部品点数を低減し
て光学装置を小型軽量化することができ、さらに応答速
度の向上もなされ、光学装置の組立後の経時変化を少な
くすることができる。
【0144】共焦点光学系を採用した場合には、共焦点
位置近傍に形成されるマスク手段を半導体プロセスの工
程中に形成することができるため、再現性が高く、歩留
まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学装置の概略構成図(斜視図)である。
【図2】図1の光学装置の要部の拡大図である。
【図3】A 図1の光学装置の要部の断面図である。 B 図1の光学装置の要部の平面図である。
【図4】A、B 計算に用いた光学系のモデルを示す図
である。
【図5】図4のモデルのナイフエッジマスクを2つに分
けたモデルを示すである。
【図6】A、B ピットエッジにおける検出を説明する
ピットエッジの概略図である。
【図7】図4及び図5のモデルにおける仮想フォトダイ
オード上の干渉パターンの計算結果を示す図である。 A 図4のモデルにおけるデフォーカスの状態とデトラ
ックの状態に対する干渉パターンの変化を示す図であ
る。 B 図5の各モデルにおけるデトラックの状態に対する
干渉パターンの変化を示す図である。 C 図7Aのときの各回折成分の位置関係を示す図であ
る。
【図8】ディスクのピット深さがλ/4n以外である場
合のトラッキングエラー信号の特性を示す図である。 A ラジアル方向のレンズシフトによるトラッキングエ
ラー信号の変化を示す図である。 B、C デフォーカスによるトラッキングエラー信号の
変化を示す図である。
【図9】図4及び図5のモデルにおける立ち上がりのピ
ットエッジ検出の場合の干渉パターンの計算結果を示す
図である。
【図10】図4及び図5のモデルにおける立ち上がりの
ピットエッジ検出の場合の各回折光の仮想フォトダイオ
ード上のランディング位置を示す図である。
【図11】図4及び図5のモデルにおける立ち下がりの
ピットエッジ検出の場合の干渉パターンの計算結果を示
す図である。
【図12】図4のモデルにおける干渉パターンのデトラ
ックの方向による変化を示す図である。
【図13】ディスクのピット深さがλ/4nである場合
のトラッキングエラー信号の特性を示す図である。 A ラジアル方向のレンズシフトによるトラッキングエ
ラー信号の変化を示す図である。 B、C デフォーカスによるトラッキングエラー信号の
変化を示す図である。
【図14】伝搬距離が500μmであり、ディスクのピ
ット深さがλ/4n以外である場合の干渉パターンの変
化を示す図である。
【図15】伝搬距離が500μmであり、ディスクのピ
ット深さがλ/4nである場合の干渉パターンの変化を
示す図である。
【図16】本発明の光学装置の実施の形態の概略構成図
(斜視図)である。
【図17】A 図16の光学装置の要部の断面図であ
る。 B 図16の光学装置の要部の平面図である。
【図18】図4及び図5のモデルにおける仮想フォトダ
イオード上の干渉パターンのデフォーカスの状態に対す
る変化を示す図である。
【図19】図4のモデルにおけるフォーカスエラー信号
の計算結果を示す図である。 A フォーカスエラー信号と内側と外側のフォトダイオ
ードでの検出信号を示す図である。 B フォーカスエラー信号のラジアル方向のレンズシフ
トに対する変化を示す図である。
【図20】図18中モデル(+,+)のマスクに対する
−方向のデフォーカスの光量分布について伝搬距離を長
くしていったときの変化を示す図である。
【図21】伝搬距離を変化させたときの、デフォーカス
による干渉パターンの挙動を示す図である。
【図22】A〜C 伝搬距離を変化させたときのフォー
カスエラー信号を示す図である。
【図23】D〜E 伝搬距離を変化させたときのフォー
カスエラー信号を示す図である。
【図24】従来の光学装置の概略構成図である。
【図25】A、B プッシュプル法によるトラッキング
サーボを説明する図である。
【図26】プッシュプル法における問題点を説明する図
である。 A レンズがシフトした場合のオフセットを示す図であ
る。 B レンズが傾いた場合のオフセットを示す図である。
【図27】従来のプッシュプル法によるトラッキングエ
ラー信号へのレンズシフトの影響を示した図である。
【図28】3スポット法によるトラッキングサーボを説
明する図である。
【図29】位相差検出法によるトラッキングサーボを説
明する図である。
【図30】CPP法によるトラッキングエラー信号とデ
フォーカス量との関係を示す図である。
【図31】従来のホログラム素子を用いた光学装置の概
略構成図である。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…光ディスク、3…対物レンズ、4
…ARコート反射面、5…HRコート反射面、6…ガラ
スプリズム、7…光半導体素子、10,20…光学装
置、51…レンズ、52…ディスク、LF …出射光、L
R …戻り光、M…反射面、LD…半導体レーザ、T…デ
ィスクのタンジェンシャル方向、P…ディスクのピッ
ト、R…ディスクのラジアル方向

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光部と、 光検出素子から成る受光部と、 上記発光部からの出射光を被照射部に収束照射し、更に
    該被照射部から反射された戻り光を収束させる収束手段
    とを有し、 上記戻り光の上記収束手段による焦点位置近傍に、上記
    戻り光の光軸に対して対称となるように互い違いに形成
    されたマスク手段が形成され、 上記マスク手段を経た上記戻り光を上記光検出素子で受
    光して、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー
    信号を検出することを特徴とする光学装置。
  2. 【請求項2】 上記発光部が半導体レーザと該半導体レ
    ーザからの出射光を反射させる反射面が同一半導体基体
    に形成された半導体部から構成され、上記受光部が上記
    半導体基体に形成され、該半導体基体に上記収束手段の
    共焦点が設定され、該共焦点近傍に上記マスク手段が配
    置されたことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
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