JP2000121857A - Y分岐光導波路及び光集積回路 - Google Patents
Y分岐光導波路及び光集積回路Info
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Abstract
射損失に得ることが出来る非対称Y分岐光導波路及びそ
れを用いた光集積回路、光伝送システムを提供する。 【解決手段】 本願に係る非対称Y分岐型光導波路は、
第1の導波路(I)と、2つの第2の導波路(III)
と、両者の間に配置されたマルチモード導波路部(I
I)を有して構成される。本Y分岐型光導波路は、当該
第1の導波路と当該マルチモード導波路との接続部にお
いてマルチモード導波路の光軸と交差する方向の幅が不
連続に変化し、且つ前記2つの第2の導波路の各々の第
2の導波路に対して各々光ピークが現れるごとく前記マ
ルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非対称と
なるよう構成されている。こうして、モード干渉で現れ
る2峰性の光強度分布において峰の高さに差が生じて、
分岐比の非対称化が実現される。
Description
及び光集積回路に関するものである。
指して、基板上に石英(ガラス)やポリマから成る光導
波路、Y分岐光導波路、および方向性結合器などを集積
化した光集積回路の研究が活発化している。Y分岐光導
波路は光集積回路を構成する要素として重要であり、そ
の分岐過剰損失を低減すべく様々な構造を持つY分岐光
導波路が検討されている。
1:1の対称なものが検討されているが、異なる分岐比
を持つ非対称Y分岐光導波路も用途によっては必要であ
る。石英(ガラス)系導波路を用いた非対称Y分岐につ
いては、例えば、「NTT R&D」、Vol.46、
N0.5、1997、pp.473〜485(記事
1)、あるいは「1995年電子情報通信学会エレクト
ロニクスソサイエティ大会予稿集」、SC−1−15、
pp.337〜338(記事2)に記載されている。こ
のような非対称Y分岐光導波路を用いることによって、
受信感度の優れた光送受信モジュールや任意の分岐数を
持つスプリッタを実現している。
導波路、入射光を広げるテーパ導波路、及び2つの出力
導波路を有し、入力導波路とテーパ導波路を中心軸から
所定値だけずらすことにより、分岐比を非対称化してい
る。一方、後者(記事2)の例は、分岐光導波路の入力
端のコア幅をW1、2つの出力端のコア幅をそれぞれW
0とし、このコア幅を光の進行方向Lに沿ってW1から
W0に徐々に広がるテーパ導波路としている。そして、
各コア幅の増加率dW/dLを分岐した二つの導波路で
異なる値とすることによって、分岐比を非対称化してい
る。
先立って、これまでの技術の問題点を明らかにする。即
ち、従来の例として説明した非対称Y分岐光導波路を実
際に作製すると、以下のような問題点が生ずる。
ラフィの分解能やコアのパターンニングの時に生じるサ
イドエッチングなどのために、出力導波路間の隙間の先
端がなまった形(幅約3μm程度)となる。出力導波路
に入射する光は中心部分で大きな光強度を持っている。
従って、このなまり部で光が散乱されるために、Y分岐
で放射損失を生じる。この放射損失は、コアとクラッド
間の屈折率差が比較的小さな光導波路(例えば屈折率差
が0.3%以下)においては比較的小さく無視できる
が、その屈折率差が大きな導波路(例えば屈折率差が
0.45%以上)では極めて大きくなり実用上の障害と
なる。
Y分岐が楔型構造を取ることによって導波路間の幅が有
限でもあまり放射損失を生じないように設計されてい
る。しかし、スリット部に光の強い部分が入射・散乱す
るので、やはりコアとクラッドの屈折率差が大きい導波
路では大きな放射損失を生じる。また、分岐導波路の入
力端の幅は他の部分に比べて半分程度に狭くなる。従っ
て、ポリマなどの軟弱な材料を用いて導波路を形成する
際には、この領域が応力等によって導波路に亀裂が発生
するおそれがある。さらに実際にY分岐を作製すると、
上部クラッド層を形成してY分岐を埋込む時に分岐導波
路間の狭い部分にボイド(気泡)などの欠陥が発生する
ことがある。この為、従来のいずれの非対称Y分岐にお
いても、この欠陥部に光の最も強い部分がぶつかるため
に大きな放射損失を生じる。
損失が少なく安定な分岐比を有する非対称Y分岐光導波
路及びそれを用いた光集積回路を提供することにある。
また、本非対称Y分岐光導波路及びそれを用いた光集積
回路は光伝送装置、あるいは光ネットワークなどに用い
て有用である。
解決するために、Y分岐光導波路全体的にその諸構成の
見直しを行なった。そして、本願発明は、光導波路とし
て、マルチモード干渉(multi−mode int
erference:以下、MMIと略記する)型Y分
岐光導波路に注目し、これを用いて非対称Y分岐を作製
することを考えた。MMI型Y分岐については、後述の
とおり対称(1:1)Y分岐は知られているが、非対称
Y分岐は知られていない。本発明者は、このMMI型Y
分岐に関して鋭意研究を進め、その構成を工夫すること
によって、放射損失が少なく安定な分岐比を有する非対
称Y分岐光導波路が得られることを見出したものであ
る。
路は、光を入力する入力導波路と、光を出力する2つの
出力導波路と、入力導波路と2つの出力導波路の間に配
置され複数のモード光を発生するマルチモード導波路と
を備えたY分岐光導波路であって、このマルチモード導
波路が光軸方向の中心線に対して非対称となるように構
成したものである。
によって得ることが出来る。第1は中心線で分けられた
マルチモード導波路の入口部分の一方の幅を、対応する
マルチモード導波路の出口部分の幅よりも小さくする方
法である。第2は中心線で分けられたマルチモード導波
路の中間部分の一方の幅を、対応するマルチモード導波
路の出口部分の幅よりも小さくする方法である。一方、
前述の第1および第2のいずれの場合も、マルチモード
導波路の出口部分は、光軸方向の中心線に対して対称と
なるようにする。
導波路の形態は、光を入力する入力導波路と、光を出力
する2つの出力導波路と、入力導波路と2つの出力導波
路の間に配置され複数のモード光を発生するマルチモー
ド導波路とを備えたY分岐光導波路であって、マルチモ
ード導波路のコア部の側面と中心線との距離が光の進行
方向に対して少なくとも一部で互いに異なるように構成
したものである。
なるよう構成するには、例えば光の進行方向に対してそ
の距離が曲線状に変化するようにする。この場合、マル
チモード導波路のコア部の一側面と中心線との距離の変
化を、マルチモード導波路の出口付近において緩やかに
するとよい。また、マルチモード導波路のコア部の一側
面と中心線との距離を入口から出口に向って大きくし、
かつ距離の変化がマルチモード導波路の中間部に比べ入
口付近と出口付近において小さくなるようにしてもよ
い。
コア部の一側面と中心線との距離が入口から出口に向っ
て正弦関数状に大きくなるようにしたり、Raised
Sin状に大きくなるようにする。さらに、2つの出
力導波路の入口に所定幅のオフセットを付与してもよ
い。このように構成することにより、マルチモード導波
路を構成するコアとクラッドの屈折率差が0.3%より
も大きい場合でも放射損失を小さくすることができる。
ここで、コア及びクラッドはポリマ材料又は石英系材料
から構成される。
光集積回路に好適に用いることができる。このような光
集積回路は、入力導波路と複数の出力導波路の間に配置
したマルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非
対称となるよう構成された非対称Y分岐光導波路を含
む。そして必要に応じて、他の非対称Y分岐光導波路や
対称Y分岐光導波路を組み合せて集積する。
比を有する非対称Y分岐光導波路及びそれを用いた光集
積回路を得ることができる。
な分岐比を有する非対称Y分岐光導波路及びそれを用い
た光集積回路を得ることができる。
いわゆるY分岐光導波路をもって説明したが、更に多く
の出力導波路を有する光導波路に対しても本願発明の発
明思想を用いることが出来る。
態を列挙すれば、次の通りである。
と、光を出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路
と複数の出力導波路の間に配置され複数のモード光を発
生するマルチモード導波路とを備え、前記マルチモード
導波路が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構
成されたことを特徴とする光導波路である。
分岐光導波路において、前記出力導波路と称した第2の
光導波路より前記入力導波路と称した第1の光導波路に
光を伝搬させることもある。しかし、本願明細書の以下
の説明では、説明をわかり易くする為、第1の光導波路
を光を「入力導波路」、複数の第2の光導波路を「出力
導波路」と称する。それは、本願発明の解決課題が、前
記第1の光導波路から前記複数の第2の光導波路への光
の分岐に関するものであるからである。
において、前記中心線で分けられた前記マルチモード導
波路の入口部分の一方の幅が、対応する前記マルチモー
ド導波路の出口部分の幅よりも小さいことを特徴とする
光導波路である。
において、前記中心線で分けられた前記マルチモード導
波路の中間部分の一方の幅が、対応する前記マルチモー
ド導波路の出口部分の幅よりも小さいことを特徴とする
光導波路である。
出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数の
出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生するマ
ルチモード導波路とを有し、前記入力導波路と前記マル
チモード導波路との接続部において当該マルチモード導
波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変化し、且つ
前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非
対称となるよう構成されたことを特徴とする光導波路で
ある。
出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数の
出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生するマ
ルチモード導波路とを有し、前記入力導波路と前記マル
チモード導波路との接続部において当該マルチモード導
波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変化し、且つ
前記マルチモード導波路の入口部分の少なくとも一方の
幅が、対応する前記マルチモード導波路の出口部分の幅
よりも小さいことを特徴とする光導波路である。
ルチモード導波路との接続部の不連続の諸形態の詳細に
ついては、後述される。
出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数の
出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生するマ
ルチモード導波路とを有し、前記マルチモード導波路が
光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構成され、
前記マルチモード導波路での複数の光ピークが現れる位
置に前記複数の出力導波路の各々を配したことを特徴と
する光導波路である。
て、前記入力導波路と前記マルチモード導波路との接続
部において当該マルチモード導波路の光軸と交差する方
向の幅が不連続に変化し、且つ前記マルチモード導波路
が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構成され
たことを特徴とする光導波路である。
光導波路と、前記第1の光導波路と前記2つの第2の光
導波路とはそれら間にマルチモード光導波路を有して接
続され、前記第1の光導波路と前記マルチモード光導波
路との接続部において前記第1の光光導波路の光軸の延
長線と交差する方向の幅に不連続があり、且つ前記第1
の光導波路から光を入射した時、前記2つの第2の光導
波路の各々に対応して前記伝搬光に光強度の異なる第1
の峰および第2の峰を有するように、前記マルチモード
光導波路の形状が前記第1の光導波路の光軸方向の中心
線の延長線に対して非対称な形状を有することを特徴と
するY分岐光導波路である。
モード光導波路との接続部のコア領域の少なくとも側面
は遷移領域を有し、この遷移領域の両側に連なる当該第
1の光導波路のコア領域と当該マルチモード光導波路の
コア領域との両側面の延長線は互いに交差していること
を特徴とする前記第8に記載のY分岐光導波路である。
該第1の光導波路のコア領域と当該マルチモード光導波
路のコア領域との両側面の延長線は互いに直交している
ことを特徴とする前記第9に記載のY分岐光導波路であ
る。
チモード光導波路との接続部の不連続部は、前記第1の
光光導波路の光軸の延長線と交差する方向の幅が当該光
導波路を伝搬する光の光導波路内の波長の50倍以下の
長さに渡って変化してなされることを特徴とする前記第
8に記載のY分岐光導波路である。
の光導波路と、前記第1の光導波路と前記2つの第2の
光導波路との間に配置されたマルチモード光導波路とを
有し、前記第1の光導波路と前記マルチモード光導波路
との接続部において前記第1の光導波路の光軸の延長線
と交差する方向の幅が不連続に変化し、且つ前記伝搬光
の光軸と直交して交差する面での光強度の分布がその光
強度の異なる2つの極大値を有し、当該2つの極大値を
有する光分布の各々が前記2つの第2の光導波路の各々
に対応するように、前記マルチモード光導波路の形状が
前記第1の光導波路光軸方向の中心線の延長線に対して
非対称となるよう構成されたことを特徴とするY分岐光
導波路である。
を出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数
の出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生する
マルチモード導波路とを有し、前記マルチモード導波路
が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構成さ
れ、前記マルチモード導波路での複数の光ピークが現れ
る位置に前記複数の出力導波路の各々を配されたY分岐
光導波路を有することを特徴とする光集積回路である。
を出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数
の出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生する
マルチモード導波路とを有し、前記複数の出力導波路の
各々の出力導波路に対して各々光ピークが現れるごとく
前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非
対称となるよう構成されたY分岐光導波路を有すること
を特徴とする光集積回路である。
を出力する複数の出力導波路と、前記入力導波路と複数
の出力導波路の間に配置され複数のモード光を発生する
マルチモード導波路とを有し、前記入力導波路と前記マ
ルチモード導波路との接続部において当該マルチモード
導波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変化し、且
つ前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して
非対称となるよう構成されたY分岐光導波路を有するこ
とを特徴とする光集積回路である。
の諸方法を、その各々の趣旨に従って、上記発明の諸形
態に適用出来ることは言うまでもない。
に、まず、本願発明で用いるマルチモード干渉(mul
ti−mode interference:MMI)
型Y分岐について述べる。マルチモード導波路を用いて
Y分岐を形成する技術は、例えば、IEEE PHOT
ONICS TECHNOLOGY LETTERS,
VOL.2,NO.6,1990,pp.404〜40
6、あるいは1994年秋季第55回応用物理学会学術
講演会講演予稿集、第3分冊、19p−R−2、p.9
08に記載されている。これらは、特に半導体光導波路
の分野で検討されているもので、その用途からして分岐
比1:1の対称Y分岐である。
路、マルチモード導波路部、及び2つの出力導波路から
なる。この入力導波路を伝播する基本モード光が、マル
チモード導波路部に入射すると、マルチモード導波路部
において基本モード光(n=0)と高次モード光(n=
2)が発生し、両モード光の位相速度差による干渉によ
って伝播する光の波形が変形する。そして、両モード光
の位相がちょうどπだけ異なる箇所では、伝播する光は
2つのピークをもつ強度分布を有することとなる。この
部分に対応して2つの出力導波路を配置することによ
り、分岐比1:1の対称Y分岐を実現することが出来
る。
る方法としては、次のような方法が考えられる。(1)
第1は入力導波路を中心軸からΔxだけずらす方法、
(2)第2はマルチモード導波路部を中心線に対して非
対称とする方法、(3)第3は出力光導波路を中心線に
対して非対称とする方法である。これらの方法を検討し
た結果、第2の方法が最も有用であることが判明した。
ド導波路出力端で生じる中心線に対称な2峰性のビーム
が出力導波路に入射する際に光結合の低下を招くので、
大きな放射損失が生じやすい。従って、この方法は実際
的ではない。
た。図11に示すようなY分岐光導波路について、ビー
ム伝播法(BPM)を用いて、光の伝播状態を計算し
た。図11の例は、入力導波路(I)、マルチモード導
波路(II)および2つの出力導波路(III)が接続
されたY分岐光導波路の概略を示す平面図である。図で
は光が伝播する導波路部分のみが模式的に示されてい
る。P0は入射光の強度、P1’,P2’は2つの出力
導波路(III)の各々の出力導波路での光の強度を示
す。Wは入出力導波路の光軸に交差する方向の幅、△x
は入力導波路と出力導波路の中心線の差、またdは2つ
の出力導波路の間隔を示している。zはマルチモード導
波路(II)の入力端よりの距離を示し、z=Lの位置
が出力導波路(III)の入力端の位置を示している。
図11において、導波路に交差して示された複数の細線
は各位置における、光のモードを模式的に示している。
又、図に「おいて一点鎖線は導波路の中心線を示してい
る。尚、他の光導波路の平面図などにおける符号は図1
1と同様の部位を示している。
す。この結果は、各幾何学的パラメータが次の場合のも
のである。即ち、それらは、当該光導波路のコア部の屈
折率が1.52、コアとクラッドの屈折率差が0.45
%、入出力導波路幅(w)が6.5μm、出力導波路間
隔(d)が3μm、マルチモード導波路部長(L)が2
45μm、Δxが4μmの場合についての結果である。
図3は出力導波路のマルチモード導波路の出口からの距
離と各出力導波路の光パワーの関係を示す図である。図
3においてP1’、P2’は、上記計算結果による各出
力導波路の光パワーを示している。尚、P1およびP2
は本願発明になる非対称型Y分岐光導波路の各出力導波
路の光パワーを示している。これについては後述する。
2つの出力導波路部(III)で各光強度(光パワー)
P1’、P2’が、出力導波路のマルチモード導波路部
出口からの距離zによって互いに入れ替わり、安定した
分岐比を実現するのが難しいことが、図3の結果より理
解される。前述の光パワーの変化の為、分岐比が波長変
化や出力導波路の間隔の変化に対して大きく変化するこ
とに起因する。この光パワーの変化は、入力導波路を中
心軸からずらしたことによって出力導波路領域で奇モー
ド(n=1)が発生し、この奇モード(n=1)と基本
モード(n=0)間の干渉が生じているためと考えられ
る。
この方法が本願発明に係わる方法である。この方法は、
例えば図1に示す構成を取る。図1は入力導波路
(I)、マルチモード導波路(II)および2つの出力
導波路(III)が接続されたY分岐光導波路で本願発
明の一つの形態を示す平面図である。図中の各符号は前
述した図11と同様である。
と幅wで初期導波路間隔dの2つの出力導波路(II
I)との間に長さLのマルチモード導波路部(II)が
配置される。第2に、マルチモード導波路部を非対称化
するため、マルチモード導波路の入力端におけるコアの
一部をδだけ小さくし、且つ光の進行方向に対してコア
側面と中心線との間の距離が図の関数a(z)にしたが
って徐々にもとに戻るよう構成したものである。これが
本発明の一実施例である。これによって、マルチモード
導波路を伝播する光の位相速度が中心線に対して非対称
となる。このため、モード干渉で現れる2峰性の光強度
分布において峰の高さに差が生じて分岐比の非対称化が
実現できる。
で現れる2峰性の光強度分布の状態を示す図である。図
2において、導波路に交差して示された複数の細線は各
位置における、光のモードを模式的に示している。図の
ように、光強度P0で入力導波路(I)を通過した光
は、マルチモード導波路部(II)においてモード干渉
により2峰性の光強度分布が生ずる。この2峰性の光強
度分布は上述のマルチモード導波路部の構造により非対
称となり、それぞれ2つの出力導波路(III)に各々
光強度P1およびP2として伝播される。
ついて、ビーム伝播法(BPM)を用いて光の伝播を計
算した結果をP1およびP2として示す。図3から理解
されるように、2つの出力導波路の各光強度(光パワ
ー)P1、P2は出力導波路のマルチモード導波路部出
口からの距離zに対してあまり変化せず、安定した分岐
比が実現できる。これは、入力導波路の中心線に対して
2つの出力導波路が対称に配置されているために出力導
波路領域で奇モード(n=1)の発生が抑制されてお
り、モード干渉による不安定が生じないためと考えられ
る。
る各種諸形態を検討した結果、本発明の目的には、マル
チモード導波路部に非対称性を導入した第2の場合が最
も安定した分岐比を実現できる方法であることを見出し
た。
出力導波路に低放射損失で結合するためには、マルチモ
ード導波路の長さはモード干渉による2峰性のピークが
強く現れるように設定すればよい。また、マルチモード
導波路の出口で出力導波路とより低損失で結合するため
には、出口付近の波面が中心線に対して垂直となるよう
にするのが好ましい。このためにはマルチモード導波路
の出口付近の構造上の変化を緩やかにする必要がある。
さらに出力導波路は中心線に対して対称に配置されてい
るため、マルチモード導波路の出力端における構造は中
心線に対して対称に設定しておく必要がある。
の図1、図2の他に、例えば図5〜図7のいずれの構造
例をも用い得る。図5〜図7は、これまでの諸例と同様
に、入力導波路(I)、マルチモード導波路(II)お
よび2つの出力導波路(III)が接続された本願発明
に係わる非対称Y分岐光導波路の概略を示す平面図であ
る。図5は非対称Y分岐光導波路の他の実施例を示す図
であり、マルチモード導波路の上側コアとクラッドとの
境界線を山なりの曲線状に形成したものである。図6
も、本発明に係る非対称Y分岐光導波路の他の実施例を
示す図であり、マルチモード導波路の上側コアとクラッ
ドとの境界線は図1、図2と同様とし、かつ下側コアと
クラッドとの境界線も曲線形状としたものである。図7
は、本発明に係る非対称Y分岐光導波路の他の実施例を
示す図であり、マルチモード導波路の中間部分で上側コ
アとクラッドとの境界線を中心線側にへこんだ曲線とな
るよう形成したものである。勿論、ここに示した諸例に
よらず、本願発明の思想に基づく各種諸形態が可能なこ
とは言うまでもない。
低損失なY分岐を実現するためには、マルチモード導波
路部の入口付近での中心線に対する両導波路の幅の非対
称性を、当該マルチモード導波路部の出口付近の中心線
に対する導波路の幅の非対称性より大きな非対称性を導
入し、出口付近では中心線に対して対称な構造を使用し
た方が良い。当該マルチモード導波路部の出口付近での
中心線に対する導波路の幅は必ずしも対称である必要性
はないが、前述の通り対称に設定する方が安定した分岐
比を得るに好適である。
する入力導波路と、光を出力する複数の出力導波路と、
前記入力導波路と複数の出力導波路の間に配置され複数
のモード光を発生するマルチモード導波路とを有し、前
記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非対
称となるよう構成され、前記マルチモード導波路での複
数の光ピークが現れる位置に前記複数の出力導波路の各
々を配するものである。
する入力導波路と、光を出力する複数の出力導波路と、
前記入力導波路と複数の出力導波路の間に配置され複数
のモード光を発生するマルチモード導波路とを有するY
分岐光導波路であって、前記複数の出力導波路の各々の
出力導波路に対して各々光ピークが現れるごとく前記マ
ルチモード導波路が光軸方向の中心線に対して非対称と
なるよう構成するものである。しかし、こうした場合で
も、前記マルチモード導波路部の出口付近では導波路の
中心線に対して対称な構造を使用した方が良い。
置するコアとクラッドとの境界をマルチモード導波路部
の入口付近で中心線から遠ざける構造を導入しても、光
は中心線近傍にしか存在しないために、あまり有効に分
岐比を非対称化できない。有効的に非対称化する方法と
しては、この入口付近で一方のコアとクラッドとの境界
をある程度長い範囲に渡って中心線に近づける必要があ
る。この入口付近で一方のコアとクラッドとの境界を中
心線に近づける範囲は、当該マルチモード導波路部の光
軸と交差する方向の幅や要請される分岐比等にもよる
が、当該マルチモード導波路部の光軸方向の長さの1/
2程度以上とするのが通例である。
クラッドとの境界線を入口で中心線に近付けて、中心線
からの距離の変化を入口と出口近傍で小さく中心部分で
は大きくするのが良い。具体的な例としては、中心線か
らコアとクラッドとの境界線までの距離を、光の進行方
向に対して、次の式1で表わされる正弦関数状曲線、も
しくは式2で表わされるRaised Sin形状曲線
に添って変化させることが挙げられる。
均の幅、、δはマルチモード導波路の入力端におけるコ
アの一部の減少幅(δ>0)、zは光の進行方向の距
離、Lはマルチモード導波路の入力端から出力導波路の
入力端までの距離である。尚、aave−δ/2がマル
チモード導波路の非対称部分を持つ入力端におけるコア
の幅、aave+δ/2がマルチモード導波路の非対称
部分を持つ側の出力端におけるコアの幅である。
入力端におけるコアの幅である。従って、(amin+
δ)が当該マルチモード導波路の非対称部分を持つ出力
端におけるコアの幅となる。又、式2のその他の各パラ
メータは式1と同様である。
形状に変化させた場合の分岐比(P1/P2)と放射損
失(動作波長1.3μm)の計算結果を示すものであ
る。横軸はマルチモード導波路の入力端におけるコアの
一部の減少幅δで、実線は分岐比、点線は放射損失を示
す。この計算方法はBPM法である。また、その光導波
路のモデルは図1に示すものである。用いた各パラメー
タは、当該光導波路のコアの屈折率が1.520、コア
とクラッドの屈折率差が0.45%、入出力導波路幅
(w)が6.5μm、出力導波路間の隙間(d)が3μ
m、マルチモード導波路部長(L)が245μmとし
た。そして、導波路の中心線からコアとクラッドとの境
界線までの距離を上記式2で表わされるRaised
Sin形状に変化させた。この図4から、δを変化させ
ることによって分岐比が1〜3以上の広い範囲に渡って
非対称なY分岐が実現できることが分かる。そして、図
4に見られるように、上述の範囲に渡って放射損失は
0.3dB以下と小さい値を確保することが出来る。
非対称Y分岐光導波路の他の実施例を示す平面図であ
る。これらの諸例は、マルチモード導波路部の出口で現
れる峰のピークと出力導波路の中心とを一致させた例で
ある。具体的には、図示したように、出力導波路の入口
にオフセットbまたはcを与える。これにより、非対称
Y分岐の一層の低損失化を図ることができる。このよう
に更に低損失を図る為にオフセット構造を用い、前記マ
ルチモード導波路部の出口で現れる峰のピークと出力導
波路の中心とを一致させるのが好ましい。これら両者を
完全に一致させることがより好ましいことは言うまでも
ない。
かは、導波路の屈折率と当該導波路の出口導波路の曲が
り形状などによって決定される。一般に、図8aの形状
は半導体材料による導波路の場合に、一方、図8bの形
状はレジンやガラスによる導波路の場合に多く採用され
る。また、オッフセットの程度(図8aあるいは図8b
におけるオフセットb、cの程度)も導波路の屈折率と
当該導波路の出口導波路の曲がり形状などによって決定
される。一般には、これらのオフセットb、cの値は概
ね0.2μmより1.5μm程度の範囲から選ばれるこ
とが多い。
ード導波路との接続部の不連続の諸形態の詳細について
説明する。
7、図8a、図8b、図9a、図10b、図10c、お
よび図11の各図に示される各導波路の諸形態は、意図
的に曲線部分を導入した領域以外の領域は直線で示され
ている。例えば、入力導波路と前記マルチモード導波路
との接続部は直交するコア部分の外形で示されている。
しかし、実際の導波路の形態には、その角度を有する部
分に微細ななまり部分を有する。このなまりの程度は、
導波路を構成する材料やその製造方法に依存することは
言うまでもない。
波路の一例の入力導波路と前記マルチモード導波路との
接続部を拡大して示した平面図である。図での各符号は
これまでの導波路の平面図と同様である。入力導波路1
とマルチモード導波路2がZ=0の位置で接続されてい
る。尚、図14で符号7として示した曲線部分は、図1
と同様に、前記マルチモード導波路2が光軸方向の中心
線に対して非対称となるよう構成する本願発明に係る領
域を示している。図14では入力導波路1とマルチモー
ド導波路2の接続部を示したが、当該光導波路の全体の
角部において、類似のなまり部分が生ずる。こうしたな
まり部分が製造方法によることは言うまでもない。マル
チモード導波路2の出口付近も、その形状によって同じ
ようななまりが生ずる。
入力導波路1とマルチモード導波路2との接続部の角部
3になまり部分を有する。同様にマルチモード導波路2
の外側の角部4にもなまり部分を有する。この例では、
入力導波路1とマルチモード導波路2との接続部のコア
領域の少なくとも側面は遷移領域を有し、この遷移領域
の両側にある当該入力導波路のコア領域と当該マルチモ
ード導波路の両コア領域との両側面(6、5)は互いに
交差している。図14の例では、入力導波路のコア領域
の延長線10とマルチモード導波路のコア領域の延長線
11のなす角度φが直角である。本願発明では、この接
続部のこうした不連続性と合わせて前記マルチモード導
波路2が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構
成することによって、光が当該マルチモード導波路2の
領域に入射した際に複数のモードを効率よく励振し、こ
の励振された複数のモードが干渉してマルチモードで伝
搬し、このマルチモード導波路2に連なる2つの出力導
波路の各出力導波路に対して各々光ピークが現れるごと
く構成される。このような趣旨に沿って、本願発明にお
いてはこの角度φは、鈍角にても、鋭角にても実施する
ことが出来るが、多くは鈍角の場合が多い。
いるが、更に加工精度が劣る場合もある。この場合で
も、本願発明を実施することは可能である。又、加工精
度によらず図14のような形状を製造することも当然出
来る。
波路の別な例の入力導波路と前記マルチモード導波路と
の接続部を拡大して示した平面図である。図での各符号
はこれまでの導波路の平面図と同様である。入力導波路
1とマルチモード導波路2がZ=0の位置で接続されて
いる。尚、図15で符号7として示した曲線部分は、図
14と同様に、前記マルチモード導波路2が光軸方向の
中心線に対して非対称となるよう構成する本願発明に係
る領域を示している。図15では入力導波路1とマルチ
モード導波路2の接続部を示したが、当該光導波路の全
体の角部において、類似のなまり部分が生ずることは考
慮しておかねばならない。こうしたなまり部分が製造方
法によることは言うまでもない。
的大きく設けられた例である。従って、特に図14の例
に見られた入力導波路のコア領域とマルチモード導波路
の両コア領域との両側面(6、5)は、その接続部で図
14の例より大きな遷移領域(8、9)を有している。
入力導波路のコア領域の側面の延長線と、当該入力導波
路と当該マルチモード導波路の接続部の両コア領域の側
面が形成する線の変曲点での接線とが鈍角で交差してい
る。図15の例では、入力導波路のコア領域の延長線1
3とマルチモード導波路のコア領域変曲点での接線14
の延長のなす角度φが鈍角である。
所望程度の距離で大きく変化しておれば、複数モードが
励振されて、モード干渉が起きる。この場合、この領域
の光軸方向(いわゆる前記入力導波路の光軸の延長線の
方向)の長さl0は、当該導波路を伝搬する光の当該導
波路内の波長(λ)の少なくとも50倍以下の長さに渡
って変化する必要がある。尚、導波路内の波長(λ)
は、λ0/nで表わされる。ここで、λ0は真空中での
光の波長、nは当該導波路のコアの屈折率である。
なる分岐を得るには、このl0は光の当該導波路内の波
長(λ)の20倍以下となすのが好ましい。
大して示したが、ガラスあるいはポリマの場合、この領
域は1μmより20μm程度である。他方、マルチモー
ド導波路の長さは、種々の形態はあるものの、概ね10
0μmより400μm程度である。従って、上述したな
まり部分を含む遷移領域を有していても、分岐の設計方
法や特性を基本的に乱すものではない。してみると、例
えば、図15に示した比較的大きな遷移領域を有する例
においても、前記入力導波路と前記マルチモード導波路
との接続部が光軸方向と交差する方向の幅が不連続に変
化すると見て十分である。
明してきたが、これらを整理し、その主な実施の諸形態
を以下に列挙する。
と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波路
と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を発
生するマルチモード導波路とを有し、前記マルチモード
導波路が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう構
成されたことを特徴とする光導波路である。
記マルチモード導波路の入口部分の一方の幅が、対応す
る前記マルチモード導波路の出口部分の幅よりも小さい
ことを特徴とする前項(1)に記載の光導波路である。
記マルチモード導波路の中間部分の一方の幅が、対応す
る前記マルチモード導波路の出口部分の幅よりも小さい
ことを特徴とする前項(1)に記載の光導波路である。
出口部分が、光軸方向の中心線に対して対称となるよう
構成されたことを特徴とする前項(1)より(3)のい
ずれかに記載の光導波路。
と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波路
と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を発
生するマルチモード導波路とを有し、前記マルチモード
導波路のコア部の側面と中心線との距離が光の進行方向
に対して少なくとも一部で互いに異なるよう構成された
ことを特徴とする光導波路である。
コア部の少なくとも一側面と中心線との距離が、光の進
行方向に対して曲線状に変化するよう構成されたことを
特徴とする前項(5)に記載の光導波路である。
コア部の一側面と中心線との距離の変化が、前記マルチ
モード導波路の出口付近において緩やかとなるよう構成
されたことを特徴とする前項(6)に記載の光導波路で
ある。
コア部の一側面と中心線との距離が入口から出口に向っ
て大きくなり、かつ前記距離の変化が前記マルチモード
導波路の中間部に比べ入口付近と出口付近において小さ
くなるよう構成されたことを特徴とする前項(5)に記
載の光導波路である。
コア部の一側面と中心線との距離が入口から出口に向っ
て正弦関数状に大きくなるよう構成されたことを特徴と
する前項(5)に記載の光導波路である。
路のコア部の一側面と中心線との距離が入口から出口に
向ってRaised Sin状に大きくなるよう構成さ
れたことを特徴とする前項(5)に記載の光導波路であ
る。
の入口に所定幅のオフセットを付与することを特徴とす
る前項(5)より(10)のいずれかに記載の光導波路
である。
路と、光を出力する複数の出力導波路と、前記入力導波
路と複数の出力導波路の間に配置され導波路を形成する
コアとクラッドの光軸方向の境界線と中心線との距離が
光の進行方向に対して少なくとも一部で互いに異なるよ
う構成されたマルチモード導波路とを備えたことを特徴
とする光導波路である。
屈折率差が0.3%よりも大きいことを特徴とする前項
(12)に記載の光導波路である。通例、この程度の屈
折率差をもって光伝送される。
がポリマ材料又は石英系材料から構成されることを特徴
とする前項(12)又は(13)に記載の光導波路であ
る。
ルチモード導波路で複数のモード光を発生し、前記モー
ド光の干渉により複数のピークが現れる部分に複数の出
力導波路を配置するよう構成したことを特徴とする光導
波路である。
路と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波
路と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を
発生するマルチモード導波路とを有し、前記入力導波路
と前記マルチモード導波路との接続部において当該マル
チモード導波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変
化し、且つ前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線
に対して非対称となるよう構成されたことを特徴とする
光導波路である。
路と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波
路と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を
発生するマルチモード導波路とを有し、前記入力導波路
と前記マルチモード導波路との接続部において当該マル
チモード導波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変
化し、且つ前記マルチモード導波路の入口部分の少なく
とも一方の幅が、対応する前記マルチモード導波路の出
口部分の幅よりも小さいことを特徴とする光導波路であ
る。
路と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波
路と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を
発生するマルチモード導波路とを有し、前記マルチモー
ド導波路が光軸方向の中心線に対して非対称となるよう
構成され、前記マルチモード導波路での複数の光ピーク
が現れる位置に前記2つの出力導波路の各々を配したこ
とを特徴とする光導波路である。
マルチモード導波路との接続部において当該マルチモー
ド導波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変化し、
且つ前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対し
て非対称となるよう構成されたことを特徴とする前項
(18)に記載の光導波路である。
路と、光を出力する2つの出力導波路と、前記入力導波
路と2つの出力導波路の間に配置され複数のモード光を
発生するマルチモード導波路とを有し、前記2つの出力
導波路の各々の出力導波路に対して各々光ピークが現れ
るごとく前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に
対して非対称となるよう構成されたことを特徴とする光
導波路である。
マルチモード導波路との接続部において当該マルチモー
ド導波路の光軸と交差する方向の幅が不連続に変化し、
且つ前記マルチモード導波路が光軸方向の中心線に対し
て非対称となるよう構成されたことを特徴とする前項
(20)に記載の光導波路である。
の諸形態を、その各々の趣旨に従って、上記発明の諸形
態に適用出来ることは言うまでもない。
路を用いて、いわゆる光集積回路を構成することが出来
る。従って、上記各特徴部分を有する光導波路、あるい
はそれらの諸光導波路の複数を組み合わせて一つの基板
に搭載した光集積回路が可能である。また、ハイブリッ
ド光集積回路の外に、例えば半導体材料を用いて諸部材
を集積化した光集積回路をも構成することが出来る。本
明細書ではこれらの諸集積回路を各々列挙することは省
略し、以下に、代表的な形態のみを示す。
力導波路の間に配置したマルチモード導波路が光軸方向
の中心線に対して非対称となるよう構成された非対称Y
分岐光導波路を含むことを特徴とする光集積回路であ
る。
波路の一つの出力導波路に接続された対称Y分岐光導波
路を備えたことを前項(22)に記載の光集積回路であ
る。
る。
光導波路の一例を示す平面図で、図9(b)は図9
(a)でのA−A’断面図である。図における各パラメ
ータはこれまで説明したものと同様である。図9(a)
に示す例は光導波路を樹脂、わけても有機高分子樹脂、
有機ポリマを用いて構成する例である。こうした樹脂材
料は光導波路に通例用いることが出来る材料を用いるこ
とが出来る。
次のとおりである。まず、ポリマを用いて非対称Y分岐
を通例の方法によって作製する。即ち、Siまたは石英
などの基板91上に、異なる2種類のポリマを順次塗布
とベークとを繰り返して、所望厚さの樹脂膜を形成す
る。こうして、下部クラッド92(厚さ10μm、屈折
率1.520)、コア93(厚さ6.5μm、屈折率
1.527)が形成される。次に、こうして準備した基
体上にフォトマスクを設けて、反応性イオンエッチング
により不要部分を除去して、コア93を図に示すような
形状に加工する。この時、各寸法はw=6.5μm、L
=245μm、d=3.0μm、δ=4.6μmとす
る。更に、マルチ導波路部で一方のコアとクラッドの境
界線と中心線の距離a(z)を前述の式2で表わされる
Raised Sin形状で変化させる。基体からフォ
トマスクを除去後、再びポリマを塗布、ベークする。こ
うして、上部クラッド94(厚さ15μm、屈折率1.
520)が形成される。具体的なポリマ材料としては、
フッ素化ポリイミドを用いた。当該フッ素化ポリイミド
のフッ素化率を変えることにより屈折率を変化させた2
種類のフッ素化ポリイミドを得ることが出来る。基板を
ダイシングにより所望形状に切断し、端面にシングルモ
ードファイバを結合してスプリッタ・モジュールを構成
する。このスプリッタ・モジュールの分岐特性を評価し
たところ、この非対称Y分岐の分岐比は1:3(±0.
3)で安定した値が得られた。また、このスプリッタ・
モジュールの放射損失も0.3dBと小さな値が得られ
た。
は、出力導波路間の距離が比較的大きくても、あるいは
コアとクラッドの屈折率差が比較的大きくても、低損失
な非対称Y分岐を実現できる。また分岐間に多少の欠陥
が発生しても、その場所には比較的弱い光強度しか無い
ために、大きな過剰損失を生じないというメリットもあ
る。
岐光導波路を用いて作製した光集積回路の一例を示す平
面図である。図10(b)はA部の拡大図、図10
(c)はB部の拡大図、図10(d)はC−C’断面図
である。図10(a)の例は光導波路を無機物を用いて
形成した例である。こうした無機物の例として、石英、
ガラス、半導体材料などを挙げることが出来るが、こう
した材料は光導波路に通例用いることが出来る材料を用
いることが出来る。
1:n(ここで、nは整数である)、例えば1:3の石
英系導波路光スプリッタを示している。図10(d)に
見られるように、石英基板100(屈折率1.460)
上に、GeをドープしたSiO2コア101(厚さ6.
8μm、屈折率1.467)を火炎堆積法と焼結によっ
て設ける。こうして準備した基体上にフォトマスクを設
けてドライエッチングすることにより、コア101を図
のような形状に加工する。その後、基体よりマスクを除
去し、火炎堆積と焼結によってSiO2上部クラッド1
02(厚さ20μm)を形成する。ここで、図10
(a)に見られるA部には、マルチモード導波路部で一
方の境界線と中心線の距離が式1で示される正弦関数状
に変化した1:2非対称Y分岐(w=6.8μm、d=
4.0μm、L=255μm、d=3.1μm)を、同
様にB部には、従来の対称MMI型Y分岐(w=6.8
μm、d=0μm、L=255μm、d=3.1μm)
を設ける。基板から素子をダイシングにより所望形状に
切り出し、入出力端面に計4本の光ファイバを接着す
る。こうして得られた1:3スプリッタの波長1.3μ
mにおける損失は、5.4±0.2dBである。そし
て、この特性から1:3カップラの過剰損失は0.2d
Bと低損失であることが確認された。
(ガラス)をコアやクラッドの材料として用いて非対称
Y分岐導波路を作製する場合について述べたが、このほ
か半導体材料やLiNbO3などその他の材料あるいは
それらの組み合わせから成る材料、即ち通例光導波路を
構成し得る諸材料を用いても同様に、本願発明は実施可
能である。また、本発明による非対称Y分岐光導波路を
用いて光送受信モジュールを作製することによって、受
信感度の優れた光送受信モジュールが得られる。
説明する。
対称Y分岐光導波路を用いた双方向光通信装置を模式的
に示す図である。図12において、局A230と局B2
40には、それぞれ、少なくとも送信器(205、20
6)、受信器(209、210)、およびスプリッタモ
ジュール(213、214)を有する送受信機(21
5、216)が設けられている。わけても、スプリッタ
モジュール(213、214)は、本願発明に係る非対
称Y分岐光導波路を有して構成されている。当該非対称
Y分岐光導波路はこれまでの実施例で示した非対称Y分
岐光導波路の諸例を用いることが当然出来る。尚、言う
までもないが、ここで非対称Y分岐光導波路とは、その
分岐路が非対称であって、分岐比が1:1ではないもの
を指す。特に、ポリマーを用いた非対称Y分岐光導波路
は、量産性、価格等の面で実用的である。
々少なくとも駆動回路201および光源202を有す
る。この光源202は通例半導体レーザ装置が用いられ
る。一方、局A、局Bの受信器209、210は、各々
少なくとも受光部203および受信回路204を有す
る。受光部203には通例フォトダイオードが用いられ
る。
4)の端面には光ファイバー(217、218、21
9、220、221)接続されている。本例では、両ス
プリッタモジュール(213、214)の間に光ファイ
バー221が示されているが、更に必要に応じて光ファ
イバーアンプ、中継器等光通信に必要な諸装置、諸部材
が設けられることは言うまでもない。
る。局A230の送信器205に入力された電気信号2
22は駆動回路201によって、例えば増幅され、この
電気信号に基づいて光源202によって光信号223に
変換される。光信号223は局Aの非対称Y分岐光導波
路213を通過し、更に所望の光伝送路219を通過す
る。そして、局Bに入力される光信号224は局Bの非
対称Y分岐光導波路214によって信号光は分岐され
る。この内、分岐光225は局B240の受信器210
の受光部203に入力され、ここで電気信号に変換され
る。この変換された電気信号は受信器210の受信回路
204によって、例えば増幅され、受信信号226とし
て処理される。他方、非対称Y分岐光導波路214の送
信器側に伝播する光は分岐比を送信器側は小さく押さえ
られており実質的な伝送の障害とならない。あるいは、
送信器側にアイソレータを使用するなど所望光システム
の要請による諸構成が可能である。尚、局B240から
局A230への送信も前述の送受信の方法と同様に行わ
れる。局B240よりの送信信号は227、局A230
での受信信号は228である。
発明に係る非対称Y分岐光導波路を用いて、受信器側に
大きな光信号として分配することである。本願発明に係
る非対称Y分岐光導波路は、これまでにない大きな分岐
比を低い放射損失にて実現できるものであり、この観点
から本願発明に係る非対称Y分岐光導波路はこうした光
システムの構築に極めて有用である。前記非対称Y分岐
光導波路211の分岐比を受信器側に大きくなるように
設定することによって、光通信パワーは安全上、十分に
低く押さえることが可能で、良好な受信感度を持つ光通
信システムを構成することが出来る。
の適用した光伝送装置の例を示すものである。第1の分
岐部301は本願発明の係る非対称Y分岐光導波路、第
2の分岐部302は通例の対称Y分岐光導波路である。
レーザ装置よりの光信号307が第1の光信号として入
力される。第1の分岐部301より第2の分岐部302
によって分岐された光信号308の内、更に、第2の光
信号310は受光素子306、たとえばフォトダイオー
ドが受光するように構成されている。一方、その他の各
光導波路には、光ファイバー304、305が接続さ
れ、この各光ファイバーに前記第1および第2の各光信
号309,311が伝播するように構成されている。
定な分岐比を有する非対称型分岐光導波路およびそれを
用いた光集積回路を得ることが出来る。
実施例を示す平面図である。
ける光強度分布を示す図である。
出力導波路の光パワーを示す図である。
岐比と放射損失の関係を示す図である。
の実施例を示す平面図である。
の実施例を示す平面図である。
の実施例を示す平面図である。
る非対称Y分岐光導波路の他の実施例を示す平面図であ
る。
路の一例を示す平面図である。図9(b)はそのA−
A’での断面図である。
導波路を用いて作製した光集積回路の一例を示す平面
図、図10(b)はそのA部の拡大図、図10(c)は
そのB部の拡大図、図10(d)はそのC−C’での断
面図である。
を示す平面図である。
送システムの構成例を示す図である。
ステムの例を示す図である。
の入力導波路とマルチモード導波路の接続部を拡大した
平面図である。
の別な形態の入力導波路とマルチモード導波路の接続部
を拡大した平面図である。
上部クラッド、100:コア、101:コア、102:
クラッド
Claims (25)
- 【請求項1】 第1の光導波路と、2つの第2の光導波
路と、前記第1の光導波路と前記2つの第2の光導波路
とはそれら間にマルチモード光導波路を有して接続さ
れ、前記第1の光導波路と前記マルチモード光導波路と
の接続部において前記第1の光光導波路の光軸の延長線
と直交する方向の幅に不連続があり、且つ前記第1の光
導波路から光を入射した時、前記2つの第2の光導波路
の各々に対応して前記伝搬光に光強度の異なる第1の峰
および第2の峰を有するように、前記マルチモード光導
波路の形状が前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の
延長線に対して非対称な形状を有することを特徴とする
Y分岐光導波路。 - 【請求項2】 前記マルチモード光導波路の出口部分
が、前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線に
対して対称となるよう構成されたことを特徴とする請求
項1に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項3】 前記第1の光導波路の光軸方向の中心線
の延長線で分けられた前記マルチモード光導波路の入口
部分の一方の幅が、対応する前記マルチモード光導波路
の出口部分の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1
に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項4】 前記第1の光導波路の光軸方向の中心線
の延長線で分けられた前記マルチモード光導波路の入口
部分の一方の幅が、対応する前記マルチモード光導波路
の出口部分の幅よりも小さいことを特徴とする請求項2
に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項5】 前記中心線で分けられた前記マルチモー
ド光導波路の中間部分の一方の幅が、対応する前記マル
チモード導波路の出口部分の幅よりも小さいことを特徴
とする請求項1に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項6】 前記マルチモード光導波路の出口部分
が、前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線に
対して対称となるよう構成されたことを特徴とする請求
項5に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項7】 前記マルチモード光導波路のコア部の側
面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線と
の距離が光の進行方向に対して少なくとも一部で互いに
異なるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載
のY分岐光導波路。 - 【請求項8】 前記マルチモード光導波路のコア部の少
なくとも一側面と中心線との距離が、光の進行方向に対
して曲線状に変化するよう構成されたことを特徴とする
請求項7に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項9】 前記マルチモード光導波路のコア部の一
側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線
との距離の変化が、前記マルチモード光導波路の出口付
近において、当該出口付近以外での変化の程度より緩や
かとなるよう構成されたことを特徴とする請求項7に記
載のY分岐光導波路。 - 【請求項10】 前記マルチモード光導波路のコア部の
一側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長
線との距離が入口から出口に向って大きくなり、かつ前
記距離の変化が前記マルチモード光導波路の中間部に比
べ入口付近と出口付近において小さくなるよう構成され
たことを特徴とする請求項7記載のY分岐光導波路。 - 【請求項11】 前記マルチモード光導波路のコア部の
一側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長
線との距離が入口から出口に向って正弦関数状に大きく
なるよう構成されたことを特徴とする請求項7記載のY
分岐光導波路。 - 【請求項12】 前記マルチモード光導波路のコア部の
一側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長
線との距離が入口から出口に向ってRaisedSin
状に大きくなるよう構成されたことを特徴とする請求項
7記載のY分岐光導波路。 - 【請求項13】 前記2つの第2の光導波路の入口に所
定幅のオフセットを付与することを特徴とする請求項7
に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項14】 前記第1の光導波路と前記マルチモー
ド光導波路との接続部のコア領域の少なくとも側面は遷
移領域を有し、この遷移領域の両側に連なる当該第1の
光導波路のコア領域と当該マルチモード光導波路のコア
領域との両側面の延長線は互いに交差していることを特
徴とする請求項1に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項15】 前記遷移領域の両側に連なる当該第1
の光導波路のコア領域と当該マルチモード光導波路のコ
ア領域との両側面の延長線は互いに直交していることを
特徴とする請求項14に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項16】 前記第1の光導波路と前記マルチモー
ド光導波路との接続部の不連続部は、前記第1の光光導
波路の光軸の延長線と交差する方向の幅が当該光導波路
を伝搬する光の光導波路内の波長の50倍以下の長さに
渡って変化してなされることを特徴とする請求項1に記
載のY分岐光導波路。 - 【請求項17】 前記マルチモード光導波路の出口部分
が、前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線に
対して対称となるよう構成されたことを特徴とする請求
項14に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項18】 前記マルチモード光導波路の出口部分
が、前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線に
対して対称となるよう構成されたことを特徴とする請求
項15に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項19】 前記マルチモード光導波路の出口部分
が、前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線に
対して対称となるよう構成されたことを特徴とする請求
項16に記載のY分岐光導波路。 - 【請求項20】 前記マルチモード光導波路のコア部の
側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線
との距離が光の進行方向に対して少なくとも一部で互い
に異なるよう構成されたことを特徴とする請求項14に
記載のY分岐光導波路。 - 【請求項21】 前記マルチモード光導波路のコア部の
側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線
との距離が光の進行方向に対して少なくとも一部で互い
に異なるよう構成されたことを特徴とする請求項15に
記載のY分岐光導波路。 - 【請求項22】 前記マルチモード光導波路のコア部の
側面と前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の延長線
との距離が光の進行方向に対して少なくとも一部で互い
に異なるよう構成されたことを特徴とする請求項16に
記載のY分岐光導波路。 - 【請求項23】 第1の光導波路と、2つの第2の光導
波路と、前記第1の光導波路と前記2つの第2の光導波
路との間に配置されたマルチモード光導波路とを有し、
前記第1の光導波路と前記マルチモード光導波路との接
続部において前記第1の光導波路の光軸の延長線と直交
する方向の幅が不連続に変化し、且つ前記第1の光導波
路から光を入射した時、前記伝搬光の光軸と直交して交
差する面での光強度の分布がその光強度の異なる2つの
極大値を有し、当該2つの極大値を有する光分布の各々
が前記2つの第2の光導波路の各々に対応するように、
前記マルチモード光導波路の形状が前記第1の光導波路
光軸方向の中心線の延長線に対して非対称となるよう構
成されたことを特徴とするY分岐光導波路。 - 【請求項24】 第1の光導波路と、2つの第2の光導
波路と、前記第1の光導波路と前記2つの第2の光導波
路とはそれら間にマルチモード光導波路を有して接続さ
れ、前記第1の光導波路と前記マルチモード光導波路と
の接続部において前記第1の光光導波路の光軸の延長線
と直交する方向の幅に不連続があり、且つ前記第1の光
導波路から光を入射した時、前記2つの第2の光導波路
の各々に対応して前記伝搬光に光強度の異なる第1の峰
および第2の峰を有するように、前記マルチモード光導
波路の形状が前記第1の光導波路の光軸方向の中心線の
延長線に対して非対称な形状を有する非対称Y分岐光導
波路を有することを特徴とする光集積回路。 - 【請求項25】前記非対称Y分岐光導波路の一つの出力
光導波路に接続された対称Y分岐光導波路を有すること
を特徴とする請求項24に記載の光集積回路。
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