JP2000121803A - 反射防止膜 - Google Patents

反射防止膜

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JP2000121803A
JP2000121803A JP10288018A JP28801898A JP2000121803A JP 2000121803 A JP2000121803 A JP 2000121803A JP 10288018 A JP10288018 A JP 10288018A JP 28801898 A JP28801898 A JP 28801898A JP 2000121803 A JP2000121803 A JP 2000121803A
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Japan
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refractive index
polysiloxane resin
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antireflection film
film
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English (en)
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Nobuo Kushibiki
信男 櫛引
Kikuko Takeuchi
貴久子 竹内
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DuPont Toray Specialty Materials KK
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Dow Corning Asia Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MgF2 と同程度に充分に低い屈折率を有
し、有機材料を用いた光学器材の反射防止膜とし使用で
き、更にその有機基材の表面保護機能を併せ持つ反射防
止膜を提供する。 【解決手段】 フルオロ炭化水素基をケイ素原子に結合
した置換基として有するポリシロキサン樹脂100重量
部と、コロイダルシリカ10〜80重量部とを含有し、
屈折率が1.40以下であるポリシロキサン樹脂組成物
から構成される反射防止膜。更に、この膜の下に芳香族
炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基として有し、
屈折率が1.50以上であるポリシロキサン樹脂を含有
してなる層を有する反射防止膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記憶、ディスプ
レイ、光学素子等に有機光学材料を用いるときに問題と
なる表面反射を低減させる反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ、プリズム等光学素子には単層膜
又は多層膜の反射防止膜を設けて光の透過時の反射によ
る光の損失を抑制しており、低屈折率と高屈折率に屈折
率勾配を有する膜を光学素子表面に形成させた反射防止
膜も実用化されている。一般的には、ガラスの場合、反
射防止膜はスパッタ或いは真空蒸着によって種々の金属
化合物の厚さを調製して形成される。
【0003】近年、有機材料がレンズ、光ディスク等種
々の光学用途に使用され始めている。有機材料は硬度が
低く傷が付きやすいため、表面保護のためにシリコーン
系、或いはアクリル系の表面保護材が用いられている。
このような例として、特開昭51−2736号公報、特
開昭53−130732号公報、特開昭63−1684
70号公報、特開平4−175388号公報等のコロイ
ダルシリカ含有ポリアルキルシロキサン、或いはポリア
ルキルシロキサン等が知られている。
【0004】また、表面保護機能と低屈折率に基づく反
射防止機能を併せ持つものとして、オルソケイ酸化合物
の加水分解物、いわゆるゾルゲル化合物が実用化されて
いる(山根正之編、ゾルゲル法の技術課題とその対策、
189頁、アイピーシー社)。これは、ゾルゲル化合物
の多孔質構造の由来する低屈折率を利用して、表面保護
と反射防止の機能をもたらすものである。
【0005】この他に、フルオロシリコーンとコロイダ
ルシリカ等の微粒子とからなる組成物により、反射防止
効果を得る試みとして、特開平2−115801号公報
記載の発明が知られているが、この公報には屈折率が
1.40を超える反射防止膜が開示されていて、これは
レンズに適用できる程度に過ぎず、高精度の光学素子へ
適用できる反射防止膜の実現が望まれていた。
【0006】単色光を透過させる基材ではns >n1
0 (但し、ns は基材の屈折率、n1 は膜材の屈折
率、n0 は空気の屈折率である)であるならば、n1
1 =(2m−1)λ/4であるときにn1 =√(n0
s )であれば、屈折率が1.5の基材のときに特定の波
長の反射が4%から1.3%まで低減される。白色光源
の場合には2層或いは3層などの多層構成が必要であ
り、n1 1 =n2 2 =λ/2或いはn1 1 =n2
2 =λ/4では基材の屈折率よりも高い屈折率を有す
る層も設けられている。
【0007】空気と接する層は、単層であれ多層であ
れ、低屈折率であるから、MgF2 と同様の低屈折率で
あることが望ましく、更にこれに加えて有機基材の表面
保護機能を兼備する材料が望まれる。
【0008】有機材料を用いた光学器材では、MgF2
からなる反射防止膜をその上に製膜する場合、製膜工程
においてスパッタ、或いは真空蒸着を用いるため耐熱性
が低い有機基材への適用には問題がある。一方、近年ペ
ルフルオロエチレン−プロピレンコポリマー、フッ素化
アクリル樹脂、フッ素化ポリイミド等の低屈折率樹脂が
開発された。これらは反射防止膜の低屈折率材料として
使用可能な低い屈折率を有するが、表面硬度が低いため
に表面に傷がつきやすいという問題を有している。
【0009】従って、MgF2 と同程度に低い屈折率を
有し、有機基材に使用できる反射防止膜としての充分な
性能を有し、更に有機基材の表面保護機能を併せ持つ反
射防止膜が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以下
の特性を有する反射防止膜を提供することである。 光学樹脂上に製膜できるような十分低い温度、例え
ば70℃〜200℃程度の低温工程で製膜することがで
きること。 MgF2 からなる反射防止膜と同程度に充分に低い
屈折率を有すること。 更に、少なくとも反射防止膜表面の汚れをこすり落
としても、傷が付かない程度の表面保護性能を併せ持つ
こと。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
ケイ素原子に結合した置換基として、 一般式Cn 2n+12 4 −(nは1以上8以下の整
数)で示される炭素数3以上、10以下のフルオロ炭化
水素基、及び 炭素数1以上6以下のアルキル基、を含むポリシロキ
サン樹脂(但し、前記のフルオロ炭化水素基がケイ素
原子に結合した全置換基のうちの5モル%以上、90モ
ル%以下の範囲にある)100重量部とコロイダルシリ
カの10重量部以上、80重量部以下とを含み、屈折率
が1.4以下であるポリシロキサン樹脂組成物を有する
反射防止膜である。この明細書において屈折率はナトリ
ウムd線587.6nmでの屈折率である。
【0012】前記ケイ素原子に結合した置換基が、及
びの置換基からなるポリシロキサン樹脂(但し前記
の基がケイ素原子に結合した全置換基のうちの5モル%
以上、90モル%以下の範囲にある)を、以下、「フル
オロ炭化水素基を有するポリシロキサン樹脂」という。
フルオロ炭化水素基を有するポリシロキサン樹脂におけ
るフルオロ炭化水素基の鎖長があまり長くなると、凝集
する傾向が高まるため、一般式Cn 2n+124 −に
おいてはnは8以下が好ましく、より好ましくは4〜6
である。実用的な表面性状の反射防止膜を得るには、フ
ルオロ炭化水素基を有するポリシロキサン樹脂のケイ素
原子上の置換基として、一定の割合(10モル%以上、
95モル%以下)でアルキル基を導入することが望まし
い。これにより、反射防止膜の表面としては望ましくな
い傾向、例えば、べとつきを抑制することができる。
【0013】本発明第1の態様によれば、コロイダルシ
リカにより前記ポリシロキサン樹脂組成物の表面硬度を
向上させ、ケイ素原子に結合したフルオロ炭化水素基に
より屈折率の低減をはかることにより、低屈折率(1.
40以下)で表面硬度が高い(鉛筆硬度がH以上)の反
射防止膜を得る。
【0014】コロイダルシリカは、屈折率が1.45程
度とフルオロ炭化水素基をケイ素原子に結合した置換基
として有するポリシロキサン樹脂に比較して屈折率が高
いため、ポリシロキサン樹脂組成物中での重量割合が増
大するに連れて、ポリシロキサン樹脂組成物からなる膜
の屈折率は高くなる。また、同じくコロイダルシリカの
重量割合の増大により該膜の表面硬度は向上する。本発
明の反射防止膜は低屈折率(1.40以下)でかつ、反
射防止膜表面の汚れをこすり落としても、傷がつかない
程度の表面保護性能を有するものである。表面保護機能
は主として、反射防止膜中のコロイダルシリカの割合に
依存するものであり、コロイダルシリカの割合が増大す
るにつれて、反射防止膜の膜硬度は増大し、より高い表
面保護機能が発揮される。しかし、コロイダルシリカ割
合の増大は屈折率の増大につながるので、屈折率1.4
0以下で、上記レベルの表面保護機能を確保するには、
反射防止膜の表面硬度として、鉛筆硬度でH以上である
ことが望ましい。本発明第1の態様においては、屈折率
と表面硬度を両立させることが重要である。
【0015】前記フルオロ炭化水素基をポリシロキサン
樹脂の例として、一般式がRSiO 3/2 (ここに、Rは
n (2n+1)2 4 −又は炭素数1〜6のアルキル基
である。但し、Rのうち5モル%以上90モル%以下は
n (2n+1)2 4 −である。)で示されるポリシロ
キサン樹脂やRSiO3/2 単位及びR2 SiO2/2 単位
からなるポリシロキサン樹脂RSiO3/2 単位、 R2
SiO2/2 単位、 RSiO3/2 単位、 SiO4/2 単位を
適宜選んで組み合わせたポリシロキサン樹脂を挙げるこ
とができる。 但しいずれの場合もポリシロキサン樹脂の
Rのうち5モル%以上90モル%以下はCn (2n+1)
2 4 −である。また上記Cn 2n+12 4 −で示さ
れるフルオロ炭化水素基及び炭素数1以上6以下のアル
キル基を包括して「R」と記すことがある。
【0016】前記Cn 2n+1−で示されるペルフルオロ
炭化水素基の例としては、ペルフルオロメチル基、ペル
フルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフル
オロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロ
ヘキシル基、ペルフルオロオクチル基などがある。フル
オロ炭化水素の鎖長が長くなれば屈折率は低下するもの
の、膜は柔軟になり表面硬度は低下する。
【0017】前記Rのうち、エチレン基の付いたペルフ
ルオロ炭化水素基(フルオロ炭化水素基)以外のケイ素
原子に結合した置換基として、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げる
ことができる。メチル基が屈折率の上からは好ましい
が、膜の機械的強度等を考慮して適宜選択される。
【0018】前記ポリシロキサン樹脂組成物を構成する
他の必須成分であるコロイダルシリカは、平均粒度が1
0nm以上40nm以下の範囲であるのが光学的透明性を保
持する上で好ましい。前記ポリシロキサン樹脂組成物中
におけるコロイダルシリカの配合量は、フルオロ炭化水
素基を有するポリシロキサン樹脂のフルオロ炭化水素基
の種類と、該フルオロ炭化水素基を有するポリシロキサ
ン樹脂中の置換基に占めるフルオロ炭化水素基の割合に
依存する。
【0019】屈折率が1.40以下であり、且つ表面硬
度(鉛筆硬度で表す)がH以上であるようにするために
は、前記フルオロ炭化水素基を有するポリシロキサン樹
脂100重量部に対して10〜80重量部の範囲である
のが好ましい。例えば、C49 2 2 /Me=1/
4でコロイダルシリカ/フルオロ炭化水素基を有するポ
リシロキサン樹脂=40/100であるとき、屈折率が
1.382、鉛筆硬度H以上である。
【0020】本発明第1の態様において、前記フルオロ
炭化水素基を有するポリシロキサン樹脂はその前駆体樹
脂を硬化させて作る。一般に硬化前のポリシロキサン樹
脂中にはヒドロシリル基或いは加水分解性基が残存して
いるため、乾燥後に加熱硬化させることができる。その
加熱工程は反射防止膜をほどこす有機基材の耐熱温度以
下でなければならないが、加熱温度は50〜150℃の
範囲で調節することができる。低温加熱の場合は架橋を
促進するために、ジブチル錫ジアセテート等の錫化合
物、ブチルチタネート等の有機チタン化合物、並びに酢
酸、酢酸エチル等の有機酸及び有機酸エステル等の後記
加水分解触媒から選択して用いるのがよい。添加量は樹
脂量に対して1〜10重量%の範囲で、硬化温度及び硬
化速度を考慮して選定することができる。
【0021】このようにして硬化させたポリシロキサン
層は、フルオロ炭化水素基による表面エネルギーの効果
も作用して、表面が汚れたときに容易にクリーニング
紙、或いは布で傷を付けずに拭き取ることも、水、イソ
プロピルアルコール等の低級アルコールで表面を洗うこ
ともできる。
【0022】本発明第1の態様におけるポリシロキサン
樹脂は、伊藤邦雄編「シリコーンハンドブック」(日刊
工業新聞社、1990年)第12章〜第15章、或いは
熊田誠、和田正編「最新シリコーン技術」第3章等に記
載されている方法に準じて製造することができる。本発
明におけるポリシロキサン樹脂組成物は、まず、加水分
解性基を有する有機ケイ素化合物とコロイダルシリカを
溶液中で混合し、加水分解縮合させる。コロイダルシリ
カ中のシラノールと加水分解した有機ケイ素化合物とが
反応して結合した、フルオロ炭化水素基を有するポリシ
ロキサン樹脂中にコロイダルシリカが均一分散したポリ
シロキサン樹脂組成物の溶液を製造する。このとき、加
水分解を促進するために、ギ酸、酢酸、シュウ酸、プロ
ピオン酸、マロン酸、グルタル酸、グリコール酸、酒石
酸、グルコース又はフラタトース等の糖類を出発物質と
する多価酸等を触媒として加えることができる。こうし
て得られたポリシロキサン樹脂組成物の溶液から、溶液
を加熱等の手段で除去し、硬化させることにより、本発
明のポリシロキサン樹脂組成物が得られる。
【0023】本発明の第2の態様は、被覆すべき基材側
に形成されるべき芳香族炭化水素基をケイ素原子に結合
した置換基として有し、屈折率が1.50以上であるポ
リシロキサン樹脂を含有してなる第1層と、この第1の
層の上に設けられた上記第1の態様の膜と同じ組成及び
構造を有する第2層とを有する反射防止膜である。
【0024】光源が白色光或いは多色光である場合に
は、反射防止膜によって基材の反射率をゼロにすること
は単層膜では実質的に不可能であり、多層膜からなる反
射防止膜が用いられている。これは、基本的には低屈折
率層と高屈折率層とを積層させた多層膜からなる構成の
反射防止膜である。多層膜の構成は種々の設計が行われ
ているが、計算による最適屈折率が示唆されても、実際
にその屈折率を有する化合物を選択し、反射防止膜を得
ることは困難である場合が多い。例えば、屈折率1.5
程度の基材に形成する多層膜の高屈折率層としては、n
1 1 =n2 2=λ/2である場合には屈折率1.7
程度の膜が示唆されるが、基材との屈折率の差を考慮し
て1.62程度の膜が好ましいとされている。
【0025】具体的には、屈折率の高い物質と低い物質
(例えば、酸化ケイ素と酸化チタン或いは酸化ジルコニ
ウム)を同時に基材へスパッタすることにより、膜を形
成し、屈折率を調製する方法がとられる。しかしなが
ら、有機系の材料からなる基材に対しては、このような
方法で製膜することは、MgF2 の場合と同様に有機系
の材料の耐熱性の問題があった。
【0026】ポリシロキサン樹脂では、高屈折率を示す
2又は3官能性の有機ケイ素化合物と低屈折率を示す2
又は3官能性の有機ケイ素化合物とを混合し加水分解す
ることにより、容易に屈折率を調整することができる。
例えば、一般式(A−C2 4 x 1 y SiO
3/2 (ここに、Aは芳香族炭化水素基であり、R1 は脂
肪族炭化水素基であり、x+y=1である。)で示され
るポリシロキサン樹脂の場合においては、x/yを変化
させることにより屈折率を調整することができる。例え
ば、特に屈折率が高い芳香族基として、Aがトリフェニ
ルアミンであり、x=1のとき、屈折率は1.65程度
となり、R1 がメチル基であり、y=1であるとき、屈
折率は1.4程度となる。従って、このポリシロキサン
樹脂の場合、原料の投入比を調整することにより、1.
4から1.65の範囲でその屈折率を変化させることが
できる。
【0027】本発明第2の態様の反射防止膜は、基材が
上記のポリシロキサン樹脂で被覆されており(第1の
層)、加えて最外層(第2の層)もポリシロキサン樹脂
であるので、製膜後の層間の密着性にも優れた多層材料
として好適に使用することができる。
【0028】例えば、屈折率1.5程度の基材に形成す
る多層膜としては、n1 1 =n22 =λ/2である
場合には屈折率1.7程度の膜が示唆されるが、基材と
の屈折率を考慮して1.62程度の膜が好ましいとされ
ている。これ(第1の層)を本発明第2の態様における
高屈折率ポリシロキサンで提供するには、前述の一般式
において、x=0.85、y=0.15とすれば、40
0nm〜600nmの範囲で良好な反射防止膜が得られる。
【0029】本発明における高屈折率の第1の層の樹脂
は、例えば、特開平9−124665号公報に開示され
ている方法に従って製造することができる。即ち、(A
−C 2 4 )Si(OR2 3 、R3 Si(OR2 3
(ここに、Aは前記と同じ意味を表し、R2 は炭素数1
以上6以下のアルキル基であり、R3 は脂肪族炭化水素
基を表す。)を屈折率に応じて任意の量を水を含む溶媒
中で加水分解させることによって製造することができ
る。この樹脂も樹脂中にシラノール基が残っているた
め、第2層に用いる低屈折率ポリシロキサンと同様に架
橋することができる。
【0030】この第1の層の基材へのコーティングに
は、下塗り層が必要な場合がある。芳香族炭化水素基が
主体の場合、溶媒が芳香族炭化水素基を含むことが多
く、その場合は基材表面が溶媒によって膨潤する。そこ
で、メチル、エチル、プロピル、グリシドキシプロピ
ル、アミノプロピル等のアルキル基を主体とするR4
i(OR2 3 (ここに、R2 は前記と同じ意味を表
し、R4 は置換又は非置換のアルキル基を表す。)層を
予め光学的に影響のない厚さ(波長の1/4未満の厚
さ)でコートし、加熱架橋しておくことが推奨される。
これによって表面が溶媒に侵されることなく、高屈折率
層を施すことができる。
【0031】本発明の反射防止膜を適用できる有機透明
基材は、反射防止膜の屈折率範囲、硬化温度等を考慮す
ると、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチル
メタクリレート、ポリエチレンテレフタレートの配向フ
ィルム等、屈折率が1.45以上1.7以下の可視光領
域で光学的に透明である材料でできたものが好適であ
る。前記低屈折率ポリシロキサンは、これらのどの樹脂
よりも広い波長範囲で特定の光吸収を示さないため、基
材の光透過性を損なうことはない。
【0032】以下に本発明の好ましい実施態様を示す。 (実施態様1)ケイ素原子に結合した置換基として、 一般式Cn 2n+12 4 −(nは1以上6以下の整
数)で示される炭素数3以上、8以下のフルオロ炭化水
素基、及び 炭素数1以上6以下のアルキル基、を含むポリシロキ
サン樹脂(但し、前記のフルオロ炭化水素基がケイ素
原子に結合した全置換基のうちの5モル%以上、30モ
ル%以下の範囲にある)100重量部コロイダルシリカ
の10重量部以上、50重量部以下とを含み、屈折率が
1.4以下であるポリシロキサン樹脂組成物を有する反
射防止膜。
【0033】(実施態様2)ケイ素原子に結合した置換
基として、 一般式C4 9 −C2 4 −で表されるフルオロ炭化
水素基、及び メチル基、を含むポリシロキサン樹脂(但し、前記
のフルオロ炭化水素基がケイ素原子に結合した全置換基
のうちの5モル%以上、30モル%以下の範囲にある)
100重量部とコロイダルシリカの10重量部以上、5
0重量部以下とを含み、屈折率が1.4以下であるポリ
シロキサン樹脂組成物を有する反射防止膜。
【0034】(実施態様3)ケイ素原子に結合した置換
基として、 一般式C4 9 −C2 4 −で表されるフルオロ炭化
水素基、及び メチル基、を含むポリシロキサン樹脂(但し、前記
のフルオロ炭化水素基がケイ素原子に結合した全置換基
のうちの10モル%である)100重量部とコロイダル
シリカの30重量部とを含み、屈折率が1.4以下であ
るポリシロキサン樹脂組成物を有する反射防止膜。
【0035】(実施態様4)ケイ素原子に結合した置換
基として、 一般式Cn 2n+12 4 −(nは1以上6以下の整
数)で示される炭素数3以上、8以下のフルオロ炭化水
素基、及び 炭素数1以上6以下のアルキル基、を含みポリシロキ
サン樹脂(但し、前記のフルオロ炭化水素基がケイ素
原子に結合した全置換基のうちの5モル%以上、30モ
ル%以下の範囲にある)100重量部とコロイダルシリ
カの10重量部以上、50重量部以下とを含み、屈折率
が1.4以下であるポリシロキサン樹脂組成物よりなる
反射防止膜を最外層とし、芳香族炭化水素基をケイ素原
子上の置換基として有し、屈折率が1.5以上であるポ
リシロキサン樹脂を内層とする反射防止膜。
【0036】(実施態様5)ケイ素原子に結合した置換
基として、 一般式C4 9 −C2 4 −で表されるフルオロ炭化
水素基、及び メチル基、を含みポリシロキサン樹脂(但し、前記
のフルオロ炭化水素基がケイ素原子に結合した全置換基
のうちの5モル%以上、30モル%以下の範囲にある)
100重量部とコロイダルシリカの10重量部以上、5
0重量部以下とを含み、屈折率が1.4以下であるポリ
シロキサン樹脂組成物よりなる反射防止膜を最外層と
し、芳香族炭化水素基をケイ素原子上の置換基として有
し、屈折率が1.5以上であるポリシロキサン樹脂を内
層とする反射防止膜。
【0037】(実施態様6)ケイ素原子に結合した置換
基として、 一般式C4 9 −C2 4 −で表されるフルオロ炭化
水素基、及び メチル基、を含みポリシロキサン樹脂(但し、前記
のフルオロ炭化水素基がケイ素原子に結合した全置換基
のうちの10モル%である)100重量部とコロイダル
シリカの30重量部とを含み、屈折率が1.4以下であ
るポリシロキサン樹脂組成物よりなる反射防止膜を最外
層とし、芳香族炭化水素基をケイ素原子上の置換基とし
て有し、屈折率が1.5以上であるポリシロキサン樹脂
を内層とする反射防止膜。
【0038】
【実施例】以下に、有機透明基板のうちでも最も表面に
傷が付きやすく溶剤に侵されやすいポリカーボネート樹
脂(屈折率:1.586)を例にとって、実施例1及び
2を説明する。 (実施例1)コロイダルシリカのイソプロピルアルコー
ル分散液(IPA−ST、固形分30wt%、日産化学工
業株式会社)32.5gを攪拌させておき、これにメチ
ルトリエトキシシラン25.06g、3,3,4,4,
5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリメトキ
シシラン5.87g、酢酸6.29gを順次加え、65
〜70℃で6時間反応させて、ポリシロキサン樹脂中の
ケイ素原子に結合した有機置換基中に占めるフルオロ炭
化水素基の割合が9%で、このポリシロキサン樹脂対コ
ロイダルシリカ(固形分)の重量比が100:31であ
るポリシロキサン樹脂組成物の溶液を得た。その後、イ
ソプロピルアルコール10.65gとジブチル錫ジラウ
レート2.4gとを加えて被覆剤1を調整し、以下の測
定に供した。
【0039】(屈折率)被覆剤1をシリコン基板に塗布
して、120℃で2時間加熱して硬化させて、ポリシロ
キサン樹脂組成物を形成させた。エリプソメータ(VA
SA、J.A.Woollma社製)で、屈折率を測定
した結果、d−線での屈折率は、1.382であった。
【0040】(硬度)被覆剤1をガラス板上にコーティ
ングし、120℃で2時間加熱して、膜厚2μm のポリ
シロキサン樹脂組成物からなる被膜を得た。この被膜の
鉛筆硬度は4Hであった。
【0041】(光透過率)被覆剤1をポリカーボネート
基板上にスピンコートし、120℃で2時間加熱硬化さ
せ、厚さ190nmのポリシロキサン樹脂組成物からなる
膜を得た。これを精密屈折率計(KPR−200、カル
ニュー光学工業株式会社)を用い、d−線の透過率を測
定したところ、スピンコート前では89%であったの
が、スピンコート後は97%であった。
【0042】(表面保護機能)この膜にタバコの煙を吹
きかけ、ベンコット(登録商標)(旭化成工業株式会社
製)で拭き取ったが、表面には傷は認められなかった。
【0043】(実施例2) (4−〔2−(トリエトキシシリル)エチル〕トリフェ
ニルアミンの合成) (4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド
の合成)三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.
4gとDMF35.5mLを入れ、氷水冷却下、攪拌しな
がらオキシ塩化リン84.4mLを滴下し、温度を95℃
に上げて5時間反応させた。反応液を4Lの温水へ注
ぎ、1時間攪拌した。その後、沈殿物をロ取し、エタノ
ール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N,N
−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得た。収量9
1.5g(収率81.0%)。
【0044】(4−ビニルトリフェニルアミンの合成)
水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタ
ン700mLを三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しなが
らトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを
加えた。次に無水エタノールを1滴加えた後、70℃で
4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニルア
ミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、温度を70℃
に上げ、5時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液と沈
殿物のエーテル抽出液を一緒に水洗した。次いで、エー
テル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、
反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶し、針
状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを得た。収量8
3.4g(収率84.0%)。
【0045】(4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロ
シリル化)トルエン40mL、トリエトキシシラン9.9
g(60ミリモル)及びトリス(テトラメチルビニルジ
シロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018ミ
リモルを三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しながら4
−ビニルトリフェニルアミン8.2gのトルエン溶液2
0mLを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間攪拌を行
った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−〔2−
(トリエトキシシリル)エチル〕トリフェニルアミンを
得た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0046】上に合成した4−〔2−(トリエトキシシ
リル)エチル〕トリフェニルアミンをトルエンに溶解
し、ジブチル錫ジラウレート2.4gを加えて被覆剤2
を調製した。
【0047】(屈折率)被覆剤2をシリコン基板に塗布
して、120℃で2時間加熱して硬化させた後、エリプ
ソメータ〔VASA、J.A.Woollma社製)で
屈折率を測定した。d−線での屈折率は、1.6であっ
た。
【0048】(透過率)被覆剤2をポリカーボネート上
にスピンコートし、120℃で2時間加熱硬化させて、
ポリシロキサン樹脂からなる膜を形成させた。これに実
施例1で調製した被覆剤1をスピンコートして、120
℃で2時間硬化させて、厚さ190nmの膜を作製した。
実施例1と同様に透過率を測定したところ、98%であ
った。
【0049】(表面保護機能)この膜にタバコの煙を吹
きかけ、ベンコット(登録商標)(旭化成工業株式会社
製)で拭き取ったが、表面に傷は認められなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明における低屈折率樹脂を反射防止
膜としてポリカーボネート等の透明な有機樹脂基板上に
塗布することにより、反射防止が達成され、光透過率が
向上するのみならず、表面硬度も改善される。これによ
り、今後一層の記録密度が要求される光記録基板の反射
防止膜とすることにより、記録に要するレーザ出力が低
減されるのみならず、読み出しに伴うエラーの改善に寄
与する。加えて、汚れを拭き取ることができるため、カ
ートリッジの無い光記録媒体の使用が可能となる。ま
た、表示体においては、特に、液晶表示デバイスでのい
わゆるノングレアコーティングとして効果があり、背面
からの光源の反射を防止し、視認性の向上に有効であ
る。本発明の反射防止膜は、アモルファスシリコンの太
陽電池に直接塗布することが可能であるばかりでなく、
低温工程のためアモルファスシリコンを損なわないもの
とすることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 G11B 7/24 538 G11B 7/24 538J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素原子に結合した置換基として、 一般式Cn 2n+12 4 −(nは1以上8以下の整
    数)で示される炭素数3以上、10以下のフルオロ炭化
    水素基、及び 炭素数1以上6以下のアルキル基、を含む、ポリシロ
    キサン樹脂(但し、前記のフルオロ炭化水素基がケイ
    素原子に結合した全置換基のうちの5モル%以上、90
    モル%以下の範囲にある)100重量部とコロイダルシ
    リカの10重量部以上、80重量部以下とを含み、屈折
    率が1.4以下であるポリシロキサン樹脂組成物を有す
    る反射防止膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載したポリシロキサン樹脂
    100重量部とコロイダルシリカの10重量部以上、8
    0重量部以下とからなり、屈折率が1.4以下であるポ
    リシロキサン樹脂組成物を最外層とし、芳香族炭化水素
    基をケイ素原子上の置換基として有し、屈折率が1.5
    以上であるポリシロキサン樹脂を内層とする反射防止
    膜。
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