JP2000119953A - 植毛用パイルの製造方法ならびに植毛品の製造方法 - Google Patents

植毛用パイルの製造方法ならびに植毛品の製造方法

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JP2000119953A
JP2000119953A JP28798198A JP28798198A JP2000119953A JP 2000119953 A JP2000119953 A JP 2000119953A JP 28798198 A JP28798198 A JP 28798198A JP 28798198 A JP28798198 A JP 28798198A JP 2000119953 A JP2000119953 A JP 2000119953A
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flocking
pile
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aqueous solution
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JP28798198A
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Hiromi Usui
博美 碓井
Yutaka Masuda
豊 増田
Katsuhiko Mochizuki
克彦 望月
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】植毛時の飛翔性を損なうことなく、毛抜けやパ
イル損傷のない高品位の極細または長毛足植毛品を得る
ことができる、複合繊維による易分割性の植毛用パイル
の製造方法ならびに植毛品の製造方法を提供する。 【解決手段】−SO3M基単位(但し、Mは金属原子、
水素原子、またはホスホニウム基)を有する化合物を全
酸成分に対して1モル%以上の割合で共重合せしめた変
性ポリエステルを一の成分(A成分)とし、該変性ポリ
エステル(A成分)よりもアルカリ減量速度が遅い他の
成分(B成分)を含む少なくとも2成分からなる複合繊
維を長さ0.1mm〜5mmにカットして得られるパイル
を、そのカットの前または後に、該変性ポリエステルの
膨潤剤を含有するアルカリ性水溶液を用いて、該変性ポ
リエステル成分の減量率が5%から40%の範囲となる
ように加熱処理することを特徴とする植毛用パイルの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合繊維を植毛後
に分割することにより得られる分割繊維を用いた植毛品
を容易にかつ高品位に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植毛品とは、短繊維すなわちカットパイ
ルを、重力あるいは静電気力を用いて基材上に接着剤を
介して植え付けたもので、種々の用途に利用されてい
る。このとき植毛されるパイルには、太さと長さの関係
に限定があり、一般に細くて長いパイルを静電植毛しよ
うとすると、パイルが絡み合うため飛翔性が悪く、高密
度な植毛を行うことが難しいとされている。しかし、繊
維が極細であれば手触りや外観が柔軟になり、より高品
位なものが得られると考えられ、また繊維長が長くなれ
ば、シール毛皮調のものが得られるなど、極細繊維また
は長毛足の植毛品に対する要求は大きい。そこで従来か
ら、海島型複合繊維や剥離分割型複合繊維を植毛し、そ
の後分割し極細化することが提案されている。これは、
植毛するまでは従来通り太繊度であるため飛翔性、作業
性に影響がなく、植毛後に海成分を溶解除去または2成
分の膨潤性の違い等を利用した剥離分割を行うことによ
り、繊維を極細化するため、直接植毛では不可能な細繊
度や繊維長の植毛品を得ることができるというものであ
る。
【0003】例えば、特開昭59−76975号公報で
は、海成分にポリスチレンを用いた複合繊維で植毛し、
トリクレン等の溶剤で溶解することにより分割すること
が提案されている。また、特開昭60−155745号
公報では、ナイロン6を海成分とし蟻酸で溶出する方法
が開示されている。
【0004】しかし、これらの方法で複合繊維の分割を
行う場合、次のような問題点があった。すなわち、剥離
しやすい2成分による複合繊維は紡糸延伸時の安定性に
やや難があることが多い。また海成分を除去するためト
リクレンや蟻酸等の薬品を使用する場合、取り扱いに危
険性が高く、安全面やコスト面に問題が大きい。しかも
これらの溶剤は、植毛の接着剤層を損ないやすく、毛抜
けが発生する問題がある。
【0005】一方、特開昭62−149963号公報で
は、変性ポリエステルを含有する複合繊維からなるパイ
ルを、植毛前または後にpH4以下の酸性水溶液で処理
し変性ポリエステル成分を脆化させ、植毛後にアルカリ
処理や擦過処理で分割することが提案されている。ここ
では変性ポリエステルとレギュラーポリエステルからな
る複合繊維を用いるので、製糸性には問題なく、また、
分割処理が水系であるため比較的容易である利点があ
る。しかし、変性ポリエステルを脆化する工程は、常圧
で行うためには硫酸などの強酸を用いる必要があり、マ
レイン酸等の扱いやすい酸を用いるためには高圧装置を
用いて120〜130℃の高温処理を行う必要がある。
また、残すべき島成分が、ポリアミドなどのように耐強
酸性や110℃以上の耐熱性に劣る成分の場合、除去す
べき変性ポリエステルを脆化する際に、この方法では黄
変や劣化等の問題を招きやすかった。
【0006】しかも、酸による脆化は、濃度、時間等を
強い条件にしても飽和してしまうためか、植毛後の易分
割性には上限があった。海成分の脆化すなわち、複合繊
維の易分割性が弱いと、植毛後に擦過やアルカリ処理な
どで分割する場合に強い条件が必要となり、毛抜けや島
成分繊維の損傷が起きやすいという問題を生じることに
なる。
【0007】以上の事から、従来は、極細繊維の植毛品
を得ようとして複合繊維を用いて植毛しても、実用的な
工程で接着剤層や残すべき島成分を損なうことなく分割
することが難しかった。また、酸による変性ポリエステ
ルの脆化を行う場合にも、植毛後の分割を容易に行うこ
とのできる十分な脆化を達成するのは難しく、特に常圧
下で、島成分を損傷することなく、分割性の良いパイル
を製造することは難しいのが現状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、植毛
時の飛翔性を損なうことなく、毛抜けやパイル損傷のな
い高品位の極細または長毛足の植毛品を得ることができ
る、複合繊維による易分割性の植毛用パイルの製造方法
ならびに植毛品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の植毛用パイルの
製造方法は、前記課題を解決するため次の構成を有す
る。
【0010】すなわち、−SO3M基単位(但し、Mは
金属原子、水素原子、またはホスホニウム基)を有する
化合物を全酸成分に対して1モル%以上の割合で共重合
せしめた変性ポリエステルを1成分(A成分)とし、該
変性ポリエステル(A成分)よりもアルカリ減量速度が
遅い他の成分(B成分)を含む、少なくとも2成分から
なる複合繊維を長さ0.1mm〜5mmにカットして得られ
るパイルを、そのカットの前または後に、該変性ポリエ
ステルの膨潤剤を含有するアルカリ性水溶液を用いて、
該変性ポリエステル成分の減量率が5%から40%の範
囲となるように加熱処理するものである。
【0011】また、本発明の植毛品の製造方法は、その
植毛用パイルを用いて植毛した後、物理刺激またはアル
カリ処理により、分割するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の植毛用パイルの製造方法
の特徴は、植毛するまでは、複合繊維の形態を保ち、分
散性、飛翔性を損なわない通常繊度のパイルであり、植
毛後には容易に極細に分割できることにある。また、易
分割性を得るための処理を常圧の100℃以下で行って
も、従来の酸処理に比べその効果が高いことにある。
【0013】本発明において、パイルに用いる複合繊維
は、少なくとも一の成分が、−SO3M基単位(但し、
Mは金属原子、水素原子、またはホスホニウム基)を有
する化合物を全酸成分に対して1モル%の割合で共重合
せしめた変性ポリエステルであり、他の成分はそれより
もアルカリ減量速度の遅い成分の少なくとも2成分から
なる複合繊維である。このうち、−SO3M基単位(但
し、Mは金属原子、水素原子、またはホスホニウム基)
を有する化合物を共重合せしめた変性ポリエステルは本
技術により脆化され、植毛後の分割処理により、複合繊
維中の他の成分が極細繊維植毛を形成する。
【0014】この変性ポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートなどに対して前記−SO3
M基単位を有する化合物を共重合せしめたものが好適に
用いられる。すなわち、主たる構成単位としてはエチレ
ンテレフタレート単位、プロピレンテレフタレート単位
またはブチレンテレフタレート単位とし、前記−SO3
M基単位を有する化合物を共重合せしめたものであるこ
とが好ましい。また、脆化処理が十分効果を発揮するに
は、かかる共重合成分の割合は全酸成分に対して1モル
%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは4モ
ル%以上とすることが望ましい。
【0015】変性ポリエステルと複合する成分として
は、アルカリ減量速度が変性ポリエステルより遅ければ
特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル、またはナイロン6、
ナイロン66等のポリアミドが取扱い性、製糸性の点で
好ましく、なかでも変性ポリエステルとの減量速度差が
大きい点でポリアミドがより好ましい。
【0016】この成分の分割後の繊度は特に限定されな
いが、極細繊維の品位的な特徴を有するためには1d以
下が好ましく、0.5d以下がより好ましい。
【0017】複合形態は特に限定されず、断面が図1〜
6に例示されるような、海島状、楔分割状、並列縞状な
ど、どのような形態でもよい。(図中、Aが脆化される
変性ポリエステル成分、Bが変性ポリエステル成分
(A)よりもアルカリ減量速度が遅い成分で、植毛、分
割後に残る成分を表す。)これらのなかでも植毛後のパ
イルの接着性がより良好な点から、図6のような楔分割
状がより好ましい。
【0018】本発明において、複合繊維をパイルにカッ
トするには、通常行われる方法を用いることができ、特
に限定されるものではない。カット長は、植毛時の飛翔
性、工程通過性および商品性の点から0.1mmから5mm
とする。カット長が0.2mmから2mmであることは好ま
しい。
【0019】本発明において、カットしたパイルは、脆
化されるべき変性ポリエステルの膨潤剤を含有するアル
カリ性水溶液を用いて加熱処理する。ここでいう膨潤剤
とは、安息香酸、サリチル酸などの芳香族の有機酸、安
息香酸メチル、サリチル酸ブチル、ジメチルテレフタレ
ートなどの芳香族エステル化物、ジフェニルエーテルな
どの芳香族エーテル化物、o−フェニルフェノール、p
−フェニルフェノールなどのフェニルフェノール、ジク
ロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのクロルベンゼ
ン、β−メチルナフタレンなどのメチルナフタレン、ジ
フェニール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコー
ルおよびこれらの誘導体等があげられ、これらの単独、
または混合物を指し、これらを溶解する有機溶剤や界面
活性剤との併用も含まれる。特にフェニルフェノール
系、メチルナフタレン系、ジクロルベンゼン系が効果が
高いので好ましい。
【0020】かかる膨潤剤の添加濃度は、処理時間、温
度、アルカリ濃度により異なるが、膨潤剤を吸尽する繊
維成分の重量に対して、1%owfから50%owfの
範囲で使用すればよい。
【0021】本発明でいうアルカリ性水溶液とは、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム等のアルカリ性を示す物質を溶解した水溶液を
いうが、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを
溶解した水溶液が好ましい。その濃度は、必要な複合繊
維パイルの脆化程度によって、任意に選ぶことができる
が、好ましくは0.05%以上1.5%未満とする。
【0022】また、このとき、アルカリ水溶液中には膨
潤剤の他に、浸透剤などのいわゆる界面活性剤や、アミ
ン類、第4級アンモニウム化合物などのアルカリ減量促
進剤を併用しても差し支えない。
【0023】本発明は、前記複合繊維からなるパイル
を、先に挙げた膨潤剤を含むアルカリ性水溶液中で熱処
理するものである。この熱処理は、パイルを液中で攪拌
しながら加熱し、80℃〜150℃で10分から120
分処理するとか、パイルに液を付与したのち、100℃
から150℃の飽和蒸気中で1分〜60分処理するなど
の方法があげられるが、85℃から130℃の水溶液中
で10分から120分加熱処理するのが好ましい。特に
85℃から98℃で処理すると、脆化される変性ポリエ
ステルを十分に処理することができ、かつ極細繊維とし
て残される他の成分に変質や減量がなく、また装置とし
ても、常圧用のものを用いることができるので好まし
い。
【0024】本発明は、膨潤剤を含むアルカリ性水溶液
中で複合繊維の処理において、アルカリによって強く加
水分解を受ける変性ポリエステルを、この処理により溶
解除去するのではなく、複合繊維としての形態を保った
まま脆化せしめ強度を低減させることによって、植毛さ
れるまでは複合繊維としての太繊度でありながら、植毛
後には容易に分割される状態とすることを特徴とする。
【0025】通常、ポリエステル繊維は、アルカリ加水
分解を受けると、大部分は表層から溶解除去され、細っ
ていく。したがって、複合繊維を通常の条件でアルカリ
加水分解すると、外側の変性ポリエステルから溶解除去
が進み、最終的に全分割されるか、外側のみ分割され内
部は全く分割できない状態になる。
【0026】しかしながら、本発明のように変性ポリエ
ステルに対し、膨潤剤を用いてアルカリ処理を行うと、
変性ポリエステルは膨潤し、アルカリが内部にも作用す
るため、まず繊度が保たれたまま、加水分解が進行し、
変性ポリエステルの強度が低下していく。本発明の方法
により得られたパイルを電子顕微鏡で観察すると、大部
分の変性ポリエステルは、繊維軸方向に対して垂直に浸
食が進んだ部分と浸食が進みにくい部分が交互に現れる
ことにより、横縞状に浸食されている。したがって、本
発明によるパイルは、後に分割工程で残される成分が、
劣化して浸食が進んだ変性ポリエステル成分の残存する
部分によって、橋かけ接着されたような状態となること
が多い。したがって、この状態では、複合繊維は完全に
は分割されてはいないが、わずかな刺激で非常に分割さ
れやすい状態となっているのである。
【0027】変性ポリエステルに対し、膨潤剤とアルカ
リを用いて処理するという技術は、特開昭56−140
169号公報に開示されているが、この場合、速やかな
変性ポリエステルの溶解除去を目的としており、従来の
アルカリ減量に比べ、変性ポリエステルがより選択的に
急速に溶出することが特徴とされている。
【0028】しかしながら、本発明のような植毛パイル
の場合、複合繊維中の変性ポリエステルが植毛前に溶解
除去されてしまうと、複合繊維が分割極細化するため、
その後の植毛が困難になる。
【0029】そこで、膨潤剤とアルカリ水溶液を用い
て、変性ポリエステル部分の強度を低下させ、しかも、
完全には分割しない状態に処理することが重要なのであ
る。
【0030】このとき、複合繊維中の変性ポリエステル
成分の重量変化が5%未満では、脆化が十分でないこと
から植毛後の分割処理が容易でない。また、40%を越
えると、複合繊維は分割が進行してしまい、その後の植
毛が困難となるため、変性ポリエステルにおける減量率
は5%から40%の範囲になるように加熱処理する。減
量率は5%から30%の範囲であることが、植毛前、電
着処理、篩い選別等の工程において、分割が進行するこ
とがなく、かつ、植毛後の分割処理では容易に分割でき
るので好ましい。
【0031】この変性ポリエステル成分の減量率は、複
合する他成分が、アルカリに溶解しないものであれば、
パイル自身の減量率から計算することが可能であるし、
また、多少減量の進行するレギュラーポリエステルなど
との複合繊維である場合は、本発明の加熱処理時に、変
性ポリエステル100%からなる織編物を同時処理する
ことによっても求めることができる。
【0032】本発明による植毛用パイルは、その後、通
常の染色、電着処理、篩い選別等の工程を経て、植毛す
ることができる。植毛後には、物理的手段もしくはアル
カリ処理を行い、複合繊維を分割することにより、極細
植毛品を得ることができる。この時、物理分割手段とし
ては、金属ブラシや獣毛ブラシによるブラシング、サン
ドペーパーによるバフィング、摩擦係数の高いゴムなど
による擦過処理やロールによる押圧処理、もみ処理など
があげられる。また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ムなどのアルカリ液で水系脱海処理を行ってもよい。こ
の場合、十分に脆化した変性ポリエステルは、溶出速度
が非常に速くなり、アルカリ処理の濃度や時間を減じる
ことができるため、残されるべき繊維が損傷を受けずに
分割することができる。
【0033】また、本発明で用いた膨潤剤が、堅牢度や
臭気の点で問題になる場合は、本発明の脆化処理の後工
程すなわち、染色、電着処理、植毛、あるいは分割処理
の任意の工程の前または後で、洗浄または乾熱処理等に
より、膨潤剤を除去してもよい。
【0034】
【実施例】[実施例1]エチレンテレフタレート単位を
主としてなり5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチ
ルを全酸成分に対して8モル%共重合した変性ポリエス
テルを海成分(A成分)とし、ポリエチレンテレフタレ
ートを島成分(B成分)とする図1のような海島型複合
繊維(繊度6d、海島比22/78、島繊度0.13
d)を0.5mmにカットし以下の処理を行った。
【0035】下記のアルカリ水溶液中に浴比1:20で
浸漬し、攪拌しながら98℃×90分の加熱処理を行っ
た後、水洗洗浄した。なお、この加熱処理での変性ポリ
エステルの減量率は21%であった。
【0036】テトロシンSP (クロロベンゼン系キャリヤ剤 山川薬品工業株式会社
製) 0.3% 水酸化ナトリウム 0.25% 得られたパイルを顕微鏡観察したところ、複合繊維はそ
の形態を保持しており、分割しているパイルは見られな
かった。
【0037】このパイルを常法に従って電着処理し、次
いで、基布としてポリエステル65%/レーヨン35%
の混紡平織織物起毛品(目付125g/m2)を用い、
接着剤としてポリエーテル型ポリウレタンのDMF溶液
(25%液)を200g/m2となるようにナイフコー
ターで塗布し、上述のパイルをアップ法電植装置で植毛
した。
【0038】この植毛布を水酸化ナトリウム1.5%水
溶液を用いて95℃×5分のアルカリ処理を行うことで
複合繊維を分割処理したのち水洗、乾燥した。
【0039】実施例1の植毛品は、全ての複合繊維が分
割し、柔らかなスエード調の外観で、高品位な植毛品と
なった。
【0040】[比較例1]実施例1で用いたのと同じ海
縞型複合繊維(0.5mmにカットしたもの)をマレイン
酸2%水溶液中に浴比1:20で浸漬し、圧力容器によ
り130℃×90分の加熱処理を行った後、水洗洗浄し
た。なお、この加熱処理での変性ポリエステルの減量率
は3%であった。
【0041】得られたパイルを顕微鏡観察したところ、
複合繊維はその形態を保持しており、分割しているパイ
ルはほとんど見られなかった。
【0042】このパイルを実施例1と同様に電着処理
し、植毛品を作製した。
【0043】この植毛布を水酸化ナトリウム1.5%水
溶液を用いて95℃×5分のアルカリ処理を行うことで
複合繊維を分割処理したのち水洗、乾燥した。
【0044】比較例1の植毛品は、未分割のパイルがと
ころどころに残っており、ややざらっとした感触となっ
た。そこで、さらにアルカリ処理を5分追加したが、毛
抜けが多くなったため、品位が低下した。
【0045】[実施例2]エチレンテレフタレート単位
を主としてなり5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チルを全酸成分に対して4モル%共重合した変性ポリエ
ステルを除去されるべき米印型成分(A成分)とし、ポ
リアミドを残されるべき楔型成分(B成分)とする図6
のような8分割型複合繊維(繊度3d、海島比20/8
0、島繊度0.3d)を1.0mmにカットし以下の処理
を行った。
【0046】下記のアルカリ水溶液中に浴比1:20で
浸漬し、攪拌しながら95℃×60分の加熱処理を行っ
た後、水洗洗浄した。なお、パイルの一部を取って計量
後、ポリアミド成分を溶解除去し、残る変性ポリエステ
ル成分のアルカリ処理前後の重量変化を計量したとこ
ろ、変性ポリエステルの減量率は18%であった。
【0047】テトロシンPEC (フェニルフェノール系キャリヤ剤 山川薬品工業株式
会社製) 0.15% 水酸化ナトリウム 0.2% 得られたパイルを顕微鏡観察したところ、複合繊維はそ
の形態を保持しており、分割極細化しているパイルは見
られなかった。
【0048】このパイルを実施例1と同様に電着処理
し、植毛品を作製した。
【0049】このパイルによる植毛品を豚毛ブラシロー
ルを用いて下記条件でブラシングにより分割処理を行っ
た。
【0050】ブラシ回転数300rpm 処理速度5m/分 実施例2による植毛品は回転ブラシによる2回のブラシ
ングで、ほぼ完全に全てのパイルが分割され、極細繊維
の柔らかなタッチと高密度な植毛による厚み感を有する
高品位な植毛品が得られた。
【0051】[比較例2]実施例2で用いたのと同じ8
分割型複合繊維(1.0mmにカットしたもの)を下記の
アルカリ水溶液中に浴比1:20で浸漬し、攪拌しなが
ら100℃×90分の加熱処理を行った後、水洗洗浄し
た。なお、パイルの一部を取って計量後、ポリアミド成
分を溶解除去し、残る変性ポリエステル成分のアルカリ
処理前後の重量変化を計量したところ、変性ポリエステ
ルの減量率は70%であった。
【0052】テトロシンPEC (フェニルフェノール系キャリヤ剤 山川薬品工業株式
会社製) 1.0% 水酸化ナトリウム 2.0% 得られたパイルを顕微鏡観察したところ、大部分のパイ
ルが分割していた。
【0053】常法により電着処理を行い、植毛しようと
したが、極細化したパイルは分散性、飛翔性が悪く、十
分な植毛ができない状態であった。 [比較例3]実施例2で用いたのと同じ8分割型複合繊
維(1.0mmにカットしたもの)をマレイン酸3%水溶
液を用いて浴比1:20で圧力容器により130℃×9
0分の加熱処理を行った後、水洗洗浄した。なお、パイ
ルの一部を取って計量後、ポリアミド成分を溶解除去
し、残る変性ポリエステル成分のアルカリ処理前後の重
量変化を計量したところ、変性ポリエステルの減量率は
6%であった。
【0054】得られたパイルはポリアミド成分が黄変し
ていた。また、得られたパイルを顕微鏡観察したとこ
ろ、複合繊維はその形態を保持しており、分割している
パイルは見られなかった。
【0055】このパイルを実施例1と同様に電着処理
し、植毛品を作製した。
【0056】この植毛品は、実施例2と同じ2回のブラ
シングでは、未分割のパイルが半分以上あり、ほぼ完全
に分割するためには10回以上のブラシング加工が必要
であった。さらに、分割した植毛品は、実施例2と同じ
く極細繊維の柔らかなタッチを有しているが、長時間の
ブラシングにより、ところどころ毛が脱落してムラな状
態があり、品位がやや劣るものであった。
【0057】[比較例4]実施例2で用いたのと同じ8
分割型複合繊維(1.0mmにカットしたもの)をマレイ
ン酸3%水溶液を用いて浴比1:20で95℃×90分
の加熱処理を行った後、水洗洗浄した。なお、パイルの
一部を取って計量後、ポリアミド成分を溶解除去し、残
る変性ポリエステル成分のアルカリ処理前後の重量変化
を計量したところ、変性ポリエステルの減量率は1%で
あった。
【0058】得られたパイルは比較例3に比べると、ポ
リアミド成分の黄変は少なかった。また、パイルを顕微
鏡観察したところ、複合繊維はその形態を保持してお
り、分割しているパイルは見られなかった。
【0059】このパイルを実施例1と同様に電着処理
し、植毛品を作製した。
【0060】これらの植毛布を、実施例2と同様、豚毛
ブラシロールを用いて下記条件でブラシングにより分割
処理を行った。
【0061】ブラシ回転数300rpm 処理速度5m/分 この植毛品は、ブラシング回数を重ねても、完全に分割
することができなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、毛抜けやパイル傷みが
なく、品位の良好な極細植毛品を容易に提供できるた
め、特に衣料分野や自動車内装分野、靴、鞄等の皮革調
資材分野において有用性が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる複合繊維の複合形態の一例を示
すものである。
【図2】本発明で用いる複合繊維の複合形態の他の例を
示すものである。
【図3】本発明で用いる複合繊維の複合形態のまた他の
例を示すものである。
【図4】本発明で用いる複合繊維の複合形態のまた他の
例を示すものである。
【図5】本発明で用いる複合繊維の複合形態のまた他の
例を示すものである。
【図6】本発明で用いる複合繊維の複合形態のまた他の
例を示すものである。
【符号の説明】
A:変性ポリエステル成分 B:変性ポリエステル(A)よりもアルカリ減量速度が
遅い成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA01 AA21 BA04 EA04 EA05 EA13 EA14 GA38 GA40 4L031 AA18 AA19 AA20 AB08 BA11 BA33 CA01 CA06 CA16 CA17 DA00 DA03 4L041 AA07 BA04 BA05 BA09 BA11 BA12 BA13 BA16 BA42 BD15 BD20 CA06 CA12 DD01 DD11 DD15 EE06 EE15 EE20

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】−SO3M基単位(但し、Mは金属原子、
    水素原子、またはホスホニウム基)を有する化合物を全
    酸成分に対して1モル%以上の割合で共重合せしめた変
    性ポリエステルを一の成分(A成分)とし、該変性ポリ
    エステル(A成分)よりもアルカリ減量速度が遅い他の
    成分(B成分)を含む少なくとも2成分からなる複合繊
    維を長さ0.1mm〜5mmにカットして得られるパイル
    を、そのカットの前または後に、該変性ポリエステルの
    膨潤剤を含有するアルカリ性水溶液を用いて、該変性ポ
    リエステル成分の減量率が5%から40%の範囲となる
    ように加熱処理することを特徴とする植毛用パイルの製
    造方法。
  2. 【請求項2】該他の成分(B成分)がポリアミドである
    ことを特徴とする請求項1記載の植毛用パイルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】該他の成分(B成分)が1デニール以下で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の植毛用
    パイルの製造方法。
  4. 【請求項4】該加熱処理が、85℃以上98℃以下の常
    圧処理であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに
    記載の植毛用パイルの製造方法。
  5. 【請求項5】該アルカリ性水溶液が、水酸化ナトリウム
    または/および水酸化カリウムを含む水溶液であること
    を特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の植毛用パイ
    ルの製造方法。
  6. 【請求項6】水酸化ナトリウムまたは/および水酸化カ
    リウムの溶液濃度が、0.05%以上1.5%未満であ
    ることを特徴とする請求項5に記載の植毛用パイルの製
    造方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の植毛用パイルの製造方法に
    より得られた植毛用パイルを植毛後、物理的手段によ
    り、またはアルカリ性水溶液による加熱処理を行うこと
    により分割することを特徴とする植毛品の製造方法。
  8. 【請求項8】該他の成分(B成分)がポリアミドである
    ことを特徴とする請求項7記載の植毛品の製造方法。
  9. 【請求項9】該他の成分(B成分)が1デニール以下で
    あることを特徴とする請求項7または8に記載の植毛品
    の製造方法。
  10. 【請求項10】該加熱処理が、85℃以上98℃以下の
    常圧処理であることを特徴とする請求項7〜9いずれか
    に記載の植毛品の製造方法。
  11. 【請求項11】該アルカリ性水溶液が、水酸化ナトリウ
    ムまたは/および水酸化カリウムを含む水溶液であるこ
    とを特徴とする請求項7〜10いずれかに記載の植毛品
    の製造方法。
  12. 【請求項12】水酸化ナトリウムまたは/および水酸化
    カリウムの溶液濃度が、0.05%以上1.5%未満で
    あることを特徴とする請求項11に記載の植毛品の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015504982A (ja) * 2012-09-21 2015-02-16 クレンボン カンパニー リミテッド カットループ組織を有する生地、その製造方法及びそれを用いた製品
JP2015505918A (ja) * 2012-09-21 2015-02-26 クレンボン カンパニー リミテッド カットループ組織を有する生地、その製造方法及びそれを用いた製品

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