JP2000119846A - 薄膜の製造方法 - Google Patents

薄膜の製造方法

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JP2000119846A
JP2000119846A JP10290856A JP29085698A JP2000119846A JP 2000119846 A JP2000119846 A JP 2000119846A JP 10290856 A JP10290856 A JP 10290856A JP 29085698 A JP29085698 A JP 29085698A JP 2000119846 A JP2000119846 A JP 2000119846A
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substrate
sputtering
oxide
target
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JP10290856A
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Kazunori Ohashi
一記 大橋
Fumito Kimura
文人 木村
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Original Assignee
Nikon Corp
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  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防曇効果が持続し、光学特性を劣化させない
防曇膜および耐久性に優れ、反射防止効果を劣化させな
い防汚膜を製造する。 【解決手段】 チタンを主成分とする第1ターゲットお
よびケイ素を主成分とする第2ターゲットを真空チャン
バー内に設置する工程と、スパッタリング法により第1
ターゲットおよび第2ターゲットのうちのいずれか一方
のターゲットの物質を基材上に堆積させる第1スパッタ
リング工程と、スパッタリング法により、第1ターゲッ
トおよび第2ターゲットのうちの他方のターゲットの物
質を基材上に堆積させる第2スパッタリング工程と、第
1および第2スパッタリング工程終了後に、基材上に堆
積させた物質を酸化して、酸化ケイ素および酸化チタン
を主成分とする混合物の薄膜を形成する混合物膜形成工
程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇性および防汚
性が付与された薄膜の製造方法に関し、特にレンズ等の
光学部材に用いられる防曇防汚膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスやプラスチック等で形成された光
学部材は、温度差や湿度差によって曇り(結露)が生じ
て、この光学部材が透明部材である場合には、この曇り
によってその透明性が低下する。このため、従来より光
学部材に防曇性を付与する方法が提案されている。第1
の方法は、界面活性剤や、親水性官能基を有する有機化
合物で構成された防曇膜を光学部材上に設ける方法であ
る。第2の方法は、親水性のビニル化合物と有機シラン
化合物とで構成された防曇膜を光学部材上に設ける方法
である。第3の方法は、プラスチック基材中に界面活性
剤を添加して基材自体に防曇性を持たせる方法である。
また、第4の方法は、文献1(特開昭60−21064
1号公報)に開示されている方法である。この方法は、
ケイ素酸化物かケイ素またはその混合物を蒸発材料とし
て用い、真空中での成膜時にアンモニア、水素、酸素等
の反応性物質を雰囲気中に添加して、イオンプレーティ
ング法などの反応性薄膜形成方法を行うものである。こ
れにより、プラスチック成型品の表面に親水性のケイ素
化合物薄膜が形成される。この方法でプラスチック成型
品の表面に形成される親水性薄膜は防曇性を示す。
【0003】また、ガラス、金属、汎用樹脂および紙製
品等の各種基材に防汚性を付与する方法としては、酸化
チタンを用いる方法が知られている。通常、その方法
は、酸化チタンをエタノールやトルエン等の溶媒に添加
し、シリコン系の無機材料と共に分散させたコーティン
グ剤を作製し、このコーティング剤を上記基材の最表面
に塗布する方法である。酸化チタンは、約400nmの
波長より短い波長の紫外線を吸収して光化学反応を起こ
す。すなわち、水や酸素を分解してスーパーオキサイド
イオンや水酸ラジカル等の活性酸素を生成する。そし
て、この活性酸素によって、汚れの主な成分である有機
物を分解することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
防曇処理においては、次のような問題があった。
【0005】まず、第1および第2の方法で形成された
防曇膜は、防曇膜の密着性が低く、また、防曇効果が短
時間で失われてしまう。
【0006】また、第3の方法では、プラスチック基材
中に界面活性剤を添加するので、基材の透明性が低下し
てしまい、光学部材への適用には問題が有る方法であ
る。さらに界面活性剤を大量に添加しないと、所望の防
曇効果を得ることができない。
【0007】また、第4の方法によって形成された親水
性薄膜では、水とこの薄膜との接触角が10度程度とな
る。これは親水性を示す値であるが、この程度の親水性
では、薄膜の表面に水滴が島状となって残ってしまう。
そして、この水滴の部分で光の散乱が生じる。よって、
光学部材に形成する膜として実用的ではない。
【0008】また、酸化チタンを分散させたコーティン
グ剤を基材の最表面に塗布し、防汚性を付与する方法に
は、以下に述べる問題がある。
【0009】このコーティング剤の塗布は、通常ディッ
ピング法若しくはスプレー法を用いて行う。これらの方
法を用いて塗布した後、塗布膜を乾燥させるために、通
常、低くても120℃以上の温度で加熱処理を行う。し
かしながら、この加熱処理によって基材にクラックが発
生するおそれがある。
【0010】また、眼鏡やカメラ等に用いられるレンズ
には、高い耐擦傷性および密着性が要求される。しかし
ながら、上記のコーティング膜は、硬度に問題があり、
日常の使用に耐えられるだけの耐久性は有していない。
また、これらのレンズでは、より高い光の透過性が要求
されるが、上記のコーティング剤には酸化チタンが含ま
れているため、この酸化チタンに起因して、レンズの屈
折率が高くなってしまう。したがって反射防止効果が劣
化してしまう問題が有った。
【0011】このため、防曇効果がより持続し、かつ下
地となる光学部材の光学特性を劣化させることのない防
曇膜の出現が望まれていた。
【0012】また、下地の反射防止効果を劣化させず、
かつ耐久性に優れた防汚膜の出現が望まれていた。
【0013】さらに、クラックを発生させることのない
防汚膜の形成方法の出現が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明に係る発
明者等は、膜の材料、膜の形成方法および形成条件等に
ついて、鋭意研究を行った。その結果、防曇性および防
汚性の両方の特性を兼ね備え、耐久性等の優れた防曇防
汚膜を形成することに成功した。
【0015】すなわち、本発明の防曇防汚膜は、酸化チ
タンおよび酸化シリコンの混合膜をスパッタリング法に
より製膜されることを特徴とする。
【0016】本発明により得られる酸化チタンおよび酸
化シリコンの混合膜(防曇防汚膜)は、従来の防曇膜よ
りも高い親水性を示すので、従来よりも防曇性を向上さ
せることができる。これは、酸化チタンが膜中に含まれ
ているので、酸化チタンの光触媒作用で、膜の表面に付
着した水が分解され、その結果、膜の親水性がより高く
なるためである。また、従来技術で説明したように、酸
化チタンは紫外線を吸収して活性酸素を生成する。そし
てこの活性酸素が汚れの成分となる有機物を分解する。
よって、この混合膜によって汚れを防ぐことができる。
従って、曇りおよび汚れが防止されるべき下地表面上
に、本発明の防曇防汚膜を設けておけば、この下地の表
面は曇ることもなく、また汚れることもない。
【0017】また、本発明の防曇防汚膜は金属酸化物の
膜である。よって、従来の界面活性剤等からなる水性の
防曇膜よりも、耐擦傷性に優れ、かつ防曇効果もより持
続させることができる。
【0018】また、本発明の防曇防汚膜は、従来の防曇
膜よりも親水性を示すことから、膜の表面に付着した水
滴は、膜の表面全体に広がり、水との静止接触角は略0
°となる。よって膜の表面に島状に残存することはなく
なり、光の散乱を引き起こすおそれはない。
【0019】また、この膜は屈折率の高い酸化チタンと
屈折率の低い酸化シリコンとで構成されているため、製
造時に酸化チタンと酸化シリコンの、膜中に含有される
割合を調整することによって、膜の屈折率を設計に応じ
た好適な値に設定することができる。従って、下地をレ
ンズ等の光学部材とする場合、反射防止効果等の光学特
性を劣化させることはない。また、酸化チタンの屈折率
と酸化シリコンの屈折率との間の屈折率の範囲内で、膜
の屈折率を自由に定めて防曇防汚膜を形成することがで
きるため、所望の屈折率を有する当該膜を形成すること
ができる。このため、この膜を光学部材の反射防止膜や
ミラーとしても用いることができる。
【0020】また、本発明の防曇防汚膜において、酸化
チタンおよび酸化シリコンの混合膜の膜厚は、100Å
以上、7500Å以下が好ましい。
【0021】膜厚が100Åよりも薄いと、スパッタリ
ングされた物質を均一に付着させることができなくな
る。そのため、膜の領域によって生じる性能が異なって
しまう問題点が生じる。
【0022】また、膜厚を7500Åよりも厚く成膜し
ようとすると、成膜に要する時間が長くなる。その結
果、プラスチック基材が長時間にわたり熱にさらされる
ことになり、クラックが発生する問題点が生じる。
【0023】防曇防汚膜の膜厚を上記の範囲内の厚さに
することによって、所望の防曇および防汚効果が得られ
る。また、膜の製造条件によっては膜中にクラックが発
生するおそれがある。このクラックの発生を防止するた
めには、防曇防汚膜の膜厚を100Å〜2500Åの範
囲内の厚さとするのがより好ましい。
【0024】また、防曇防汚膜を製造するに当たり、チ
タンを主成分とする第1ターゲットおよびケイ素を主成
分とする第2ターゲットを真空チャンバー内に設置する
工程と、スパッタリング法により、第1ターゲット第2
ターゲットのうちのいずれか一方のターゲットの物質を
基材上に堆積させる第1スパッタリング工程と、スパッ
タリング法により、第1ターゲットおよび第2ターゲッ
トのうちの他方のターゲットの物質を基材上に堆積させ
る第2スパッタリング工程と、第1および第2スパッタ
リング工程終了後に、基材上に堆積させた物質を酸化し
て、酸化ケイ素および酸化チタンを主成分とする混合物
の薄膜を形成する混合物膜形成工程とを含んでいる。
【0025】この防曇防汚膜の製造には、スパッタリン
グ法が用いられている。下地上に堆積されるスパッタ原
子の運動エネルギーは高く、これにより、形成される予
備混合膜の下地に対する吸着力が強くなる。従って、得
られる防曇防汚膜の耐久性を、従来のスピン法やディッ
ピング法等の塗布法を用いて形成される膜よりも向上さ
せることができる。
【0026】尚、本発明では、基材上に物質が堆積した
酸化前の状態を予備混合膜と称し、酸化後の状態を混合
膜とする。
【0027】また、この発明の防曇防汚膜の製造方法で
は、まず、予備混合膜を形成し、次にこれを酸化して混
合膜とする。これまでの工程を1サイクルとして、この
サイクルを繰り返すことにより、混合膜が堆積されて所
望の厚さを有する防曇防汚膜が形成される。この1サイ
クル中に形成される予備混合膜は数原子層の厚さであ
る。ここでいう数原子層の厚さとは、1サイクル中の所
定の時間内で酸化できる予備混合膜の厚さを指す。例え
ば、1サイクルを1秒以下の時間で行う場合、下地表面
の全面には、スパッタリングによりチタンおよびシリコ
ンのスパッタ原子が厚さ方向に1〜2原子層の厚みで吸
着して、予備混合膜を形成している。よって、例えば1
〜2原子層を数原子層とする。そして、この厚さはチタ
ン原子およびシリコン原子の直径および重なり方によっ
て規定される。より具体的には、10Å以下、5〜6Å
の厚さとするのが好適である。予備混合膜とこれを酸化
することにより得られる混合膜の膜厚は、略等しいもの
である。
【0028】また、予備混合膜を酸化する方法は、予備
混合膜を酸化性雰囲気中に暴露するか、或いはイオンビ
ームを用いて酸素イオンを予備混合膜に照射するのが好
ましい。
【0029】酸化性雰囲気として、好ましくは、酸素プ
ラズマ雰囲気、活性酸素(酸素ラジカルともいう。)雰
囲気および酸素ガス雰囲気のうちから選ばれる一種若し
くは2種以上の混合雰囲気とするのがよい。
【0030】この酸化により、予備混合膜は酸化され
て、酸化チタンおよび酸化シリコンで構成される混合膜
が形成される。そして、上記サイクルを繰り返すことに
より混合膜が堆積して、本発明の防曇防汚膜が形成され
る。
【0031】また、本発明の防曇防汚膜を形成する下地
の材料は、特に限定されるものではない。防曇防汚膜
を、ガラスや、セラミック、またはプラスチックで形成
された、防曇性および防汚性が要求される下地に形成可
能である。例えば、鏡、窓、自動車のガラス、眼鏡レン
ズ、サングラスその他の光学部材に形成することが有効
である。
【0032】本発明においては、光学部材を、基材自体
としてもよいし、或いは基材と基材の表面に設けられた
コーティング膜とを含む構造体としてもよい。
【0033】コーティング膜として、プライマー層、ハ
ードコート層および反射防止膜のうちのいずれか一種の
層(膜)、若しくは2種以上の積層膜を用いることがで
きる。この場合、プラスチック基材とこの基材上に設け
られたコーティング膜とを含む構造体を光学部材として
もよい。
【0034】例えば、基材上に設けた反射防止膜の表面
に本発明の防曇防汚膜を設ける場合、防曇防汚膜を反射
防止膜を構成する一部の層としてもよい。本発明の防曇
防汚膜は、酸化チタンと酸化シリコンとで構成されてい
る。酸化チタンは高屈折率の膜を形成する材料として通
常用いられており、また、酸化シリコンは低屈折率の膜
を形成する材料として用いられている。このため、膜中
に含まれる酸化チタンおよび酸化シリコンの割合を製造
時に調整することによって、所望の屈折率の防曇防汚膜
を作製できる。従って、この発明の防曇防汚膜は、この
膜自体を反射防止膜を構成する最表層膜として用いるこ
とができる。すなわち、表面にこの膜を設けることによ
って、反射防止膜自体に防曇性および防汚性を付与する
ことができる。
【0035】また、プラスチック基材上に形成されたハ
ードコート層の表面にこの発明の防曇防汚膜を設けても
よい。これにより、耐擦傷性を有するプラスチックレン
ズに防曇および防汚効果を付与することができる。
【0036】さらに、プラスチック基板とハードコート
層との間には、プライマー層が設けられていてもよい。
これにより、プラスチックレンズに耐衝撃性を与え、か
つ基板とハードコート層との密着性を向上させることが
できる。
【0037】また、本発明の薄膜の製造方法では、各々
異なる屈折率を有する少なくとも2つのターゲットを真
空チャンバー内に設置する工程と、スパッタリング法に
より、ターゲットのうちの1つのターゲットの物質を基
材上に堆積させる第1スパッタリング工程と、スパッタ
リング法により、ターゲットのうちの第1スパッタリン
グ工程とは異なるターゲットの物質を基材上に堆積させ
る第2スパッタリング工程と、基材上に堆積させた物質
を酸化して、異なる屈折率を有する酸化物の混合物の薄
膜を形成する混合物形成工程とを含んでいるのがよい。
【0038】例えば、高屈折率の物質を主成分とするタ
ーゲットと、低屈折率の物質を主成分とするターゲット
を用意して、第1スパッタリング工程により、この2つ
のターゲットのうちのいずれか一方のターゲットの物質
を基材上に堆積させて、その後、第2スパッタリング工
程により、もう一方のターゲットの物質を基材上に堆積
させる。この後、これらの物質を酸化させることにより
得られる酸化物の混合物の薄膜の屈折率は、上記の高屈
折率の物質の屈折率よりは低く、上記の低屈折率の物質
の屈折率よりは高い。そして、混合する複数の酸化物の
組成比(存在比)を制御することにより、自由に屈折率
を変えることができる。
【0039】真空チャンバーに設置するターゲットは2
つに限らず、さらに設置してもよい。そして、スパッタ
リング工程もターゲットの数に対応して増やしても良
い。また、製造する薄膜の種類や特性に応じて、ターゲ
ットを選択してもよい。この場合、スパッタリング工程
は、選択されたターゲットの数に応じて行われる。
【0040】また、基材上に堆積させた物質に対する酸
化は、この物質を酸化性雰囲気に暴露するか、あるいは
物質に酸素イオンを照射することによって行われるのが
よい。
【0041】また、スパッタリングによって基材上に物
質を略均一に付着させるためには、製造される薄膜の膜
厚を100Å以上にするのがよい。また、製造される膜
にクラックが発生するのを抑制するためには、薄膜を7
500Å以下の厚さに製造するのがよい。また、さらに
好ましくは、薄膜の膜厚を100Å以上2500Å以下
の範囲の厚さにするのがよい。
【0042】また、上記基材は、眼鏡用プラスチックレ
ンズまたはミラーであるのがよい。これにより、眼鏡用
プラスチックレンズやミラーに防曇性および防汚性を付
与することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態について説明する。なお、各図は発明を理解でき
る程度に各部材の形状、大きさおよび配置関係を概略的
に示してあるに過ぎず、したがってこの発明を図示例に
限定するものではない。また、図において、図を分かり
易くするために断面を示すハッチング(斜線)は一部分
を除き省略してある。
【0044】まず、図1を参照して、この発明の防曇防
汚膜の製造方法および製造装置について説明する。
【0045】図1は、スパッタリング装置の構成を示す
概略図であり、装置の底面に対して平行な線で切った断
面を示している。
【0046】まずチタンおよびシリコンをターゲット材
料として用いて、スパッタリング法によりチタンおよび
シリコンの予備混合膜を下地上に形成する。本実施の形
態では、例えば、図1に示すようなスパッタリング装置
を用いる。ここで、このスパッタリング装置について説
明する。
【0047】図1に示されているように、スパッタリン
グ装置10の、チャンバ11内の略中央に円筒状の基板
ホルダ13が設けられている。この基板ホルダ13の表
面には、薄膜(ここでは、予備混合膜)が成膜される下
地15としての基板を、薄膜形成面を外側に向けて複数
セットすることができる。また、この基板ホルダ13の
直径は約50cmであり、高さも約50cmである。ま
た、基板ホルダ13は、円筒の中心を中心軸として、図
1の矢印で示す方向に任意好適な回転速度で回転させる
ことができる。
【0048】また、チャンバ11内は、ステンレス製の
マスク17によって4つの空間に仕切られている。本実
施の形態では、4つの空間のうちの2つの空間をそれぞ
れ第1成膜室19および第2成膜室21としている。ま
た、第1成膜室19には第1金属ターゲット23が設け
られている。同様に第2成膜室21には第2金属ターゲ
ット25が設けられている。ここでは、第1成膜室19
をシリコン薄膜を成膜する空間とし、第2成膜室21を
チタン薄膜を成膜する空間とする。よって、第1金属タ
ーゲット23をシリコン(Si)のターゲットとし、第
2金属ターゲット25をチタン(Ti)のターゲットと
する。また、第1および第2成膜室19,21には、ス
パッタリングガスの導入口27,29がそれぞれ設けら
れている。スパッタリングガスとしては、ヘリウムガ
ス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスおよび
キセノンガスの希ガスうち、いずれかの希ガスが用いら
れるが、この実施の形態では、安価で、通常よく用いら
れているアルゴンガスを用いる。また、成膜室19,2
1に導入されたスパッタリングガスはグロー放電によっ
てイオン化される。
【0049】また、4つの空間のうちのもう一つの空間
を、ここでは反応室31として使用する。この反応室3
1には、反応ガスの導入口33が設けられている。反応
ガスとして、例えば酸素プラズマを用いる。反応ガスの
導入口33の、反応室側とは反対の側33aは、反応ガ
ス発生装置につながっていて、例えば、高周波放電によ
り酸素プラズマを発生させている(図示せず。)。
【0050】また、4つの空間のうち、残っているもう
一つの空間35は、本実施の形態では使用しないが、第
3成膜室または第2反応室として利用することができ
る。
【0051】また、スパッタリング装置10内の雰囲気
圧を、本実施の形態では、3.0×10-5Torrに減
圧しておく。
【0052】上述したスパッタリング装置10を用い
て、下地15上にこの発明の防曇防汚膜を形成する。図
2は、この防曇防汚膜の形成工程を示す、概略的な工程
断面図である。
【0053】まず、基板ホルダ13を回転させて、第1
成膜室19に下地15の表面を露出させる(図1参
照。)。第1成膜室19では、イオン化したスパッタリ
ングガス(アルゴンイオンのガス)が、第1金属ターゲ
ット23(Siのターゲット)に入射する。これによ
り、ターゲット23からSi原子41が飛び出して、下
地15の表面に付着する(図2(A))。次に、基板ホ
ルダ13は、第2成膜室21に到達する(図1参
照。)。第2成膜室21において、第1成膜室19での
処理と同様の処理が行われ、下地15の表面上にTi原
子43が付着する(図2(B))。
【0054】例えば、基板ホルダ13を高速で回転させ
る場合、各成膜室19,21に下地15が露出している
時間は短時間になる。これにより、第1成膜室19で下
地15の表面全面にSi原子41が付着することはな
い。よって、第2成膜室21では、Ti原子43が、下
地15の表面に付着しているSi原子41上およびSi
原子41が付着していない下地15の表面に付着する。
よって、この時点で、SiおよびTiの予備混合膜45
が形成される(図2(B))。
【0055】このように最初に下地表面に付着する物質
は、下地表面の全面に付着しないことが好ましい(但
し、膜厚は略均一。)。それは、最初に付着する物質が
下地全面に付着してしまうと、次に付着させる物質は基
材表面に付着することができなくなる。このようになる
と2種類の物質が混ざりあった混合膜を形成することが
できなくなり、最表面には1種類の物質しか存在しない
状態になってしまう。こうなると、膜の性質も最表面に
存在する物質の性質しか呈さなくなってしまう問題点が
生じる。
【0056】また、このように複数の材料が混ざり合っ
た状態で物質を付着させるならば、どの物質を先にスパ
ッタリングしてもよい。
【0057】この後、基板ホルダ13が回転して、予備
混合膜45が形成された下地15は、反応室31に移動
する(図1参照。)。反応室31内には、反応ガスの導
入口33から反応ガスとして酸素が導入されている。そ
して酸素プラズマ雰囲気に予備混合膜45が曝されるこ
とによって、予備混合膜45は酸化され、酸化Siおよ
び酸化Tiの混合膜47が形成される(図2(C))。
【0058】このスパッタリング装置10の基板ホルダ
13の回転速度は、所定の回転速度、例えば50〜10
0回転/分の範囲内で自由に調整することが出来る。基
板ホルダ13が1回転する間に、下地15上に予備混合
膜45を形成し、この予備混合膜45を酸化して混合膜
47に変えるという一連の工程が行われる(図2(A)
〜(C))。基板ホルダ13が1回転するのに要する時
間は、50回転/分の回転速度の場合で1.2秒、10
0回転/分の場合は0.6秒である。よって、各成膜室
19,21および反応室31に下地15が露出している
時間は、単純に計算すると0.15秒〜0.3秒であ
る。この時間で、予備混合膜45を酸化するためには、
予備混合膜45を数原子層の厚さ、具体的には5〜6Å
の厚さに形成する必要がある。このため、ここでは、基
板ホルダ13の回転速度を100回転/分にするのが好
ましい。
【0059】そして、上記一連の、一回の成膜および一
回の酸化の工程を1サイクルとし、この成膜・酸化サイ
クルを繰り返す。すなわち、基板ホルダ13を連続して
回転させることによって、混合膜47が堆積され、所望
の膜厚の防曇防汚膜49が形成される(図2(D))。
この膜に防曇および防汚効果を持たせるためには、膜厚
を100〜7500Åにするのがよい。
【0060】また、スパッタリング装置10の成膜条件
等、防曇防汚膜の製造条件を変えることによって膜中に
発生するおそれのあるクラックを考慮すると、膜厚を1
00〜2500Åにするのが好ましい。
【0061】この実施の形態の防曇防汚膜49を設ける
下地15として使用されるプラスチックレンズ基材とし
ては、エポキシ樹脂、アクリル酸エステルおよび/また
はメタクリル酸エステルの共重合体(この中には他のビ
ニルモノマとの共重合体も含む)、ポリアミド、ポリエ
ステル(いわゆるアルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂を含む)、各種アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂
などを含む)、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレン樹脂、透
明塩化ビニル樹脂、繊維素系樹脂およびジエチレングリ
コールビスアリルカーボネート重合体(CR39)のう
ち、いずれかの樹脂からなるプラスチックレンズ等が用
いられる。また、基材として紫外線などの活性エネルギ
ー線を照射することにより重合する樹脂(例えば紫外線
硬化樹脂)等を用いてもよい。
【0062】この発明の防曇防汚膜は、プラスチック基
板上に直接形成してもよいし、また無機化合物からなる
単層または多層の反射防止膜の表面に形成してもよい。
反射防止膜上に形成する場合、反射防止膜の構成は、一
般的に高屈折率の膜と、低屈折率の膜とが交互に積層さ
れているのが好ましい。低屈折率の膜を形成する材料と
しては、フッ化マグネシウム、一酸化珪素、または二酸
化珪素を使用することができ、高屈折率の膜を形成する
材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化錫、酸化タングス
テン、酸化鉄、酸化セリウム、または酸化チタンが使用
可能である。これらの反射防止膜は、例えば真空蒸着
法、イオンプレーティング、またはスパッタリングを用
いて形成する。
【0063】また、本発明の防曇防汚膜は、反射防止膜
の性質を兼ね備えるように形成することも可能である。
この場合、反射防止膜を構成する積層構造の最表層(最
上層)が防曇防汚膜を兼ねることになる。
【0064】このように本発明の防曇防汚膜を反射防止
膜として用いる場合にも、従来から知られている、反射
防止理論に基づいた膜厚、屈折率にすることが好まし
い。従って、反射防止膜の機能を付加させる場合には、
防曇防汚膜が形成される下地層の屈折率は、下地層上に
設ける防曇防汚膜よりも高くなければいけない。
【0065】また、プラスチック基材表面に設けられた
ハードコート層上にこの発明の防曇防汚膜を形成する場
合、ハードコート層を、有機ケイ素化合物を主成分とす
る液状高分子(ハードコート液)を硬化被膜で被覆した
ものとするのがよい。
【0066】特に、下記一般式(I)で表される有機ケ
イ素化合物またはその加水分解物が好ましい。
【0067】 一般式(I):R1 a2 bSi(OR34-(a+b) 但し、式中、R1 は、官能基又は不飽和2重結合を有す
る炭素数4〜14の基であり、R2 は、炭素数1〜6の
炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基であり、R3 は炭
素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基又はア
シル基であり、a及びbは、それぞれ0又は1であり、
かつa+bは、1又は2である。
【0068】一般式(I)の化合物のうち、R1 が官能
基としてエポキシ基を有するものについては、例えば、
以下に示す化合物が挙げられる。これらはエポキシ基を
有していて、エポキシシランとも呼ばれる。
【0069】このエポキシシランの具体例として、例え
ば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキ
シシランがある。
【0070】また、一般式(I)の化合物のうち、R1
が官能基としてエポキシ基を有するエポキシシラン以外
の化合物としては、例えば次のものを使用して好適であ
る。
【0071】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル
トリメトキシエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシ
ラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピル
トリメトキシシランなどの各種トリアルコキシシラン、
トリアシロキシシランまたはトリアルコキシアルコキシ
シラン化合物。
【0072】以上に挙げた一般式(I)の例示化合物
は、いずれもSi原子に結合するOR3 基が3個ある
(a+b=1)3官能の例であるが、OR3 基が2個あ
る(b=2)2官能の相当する化合物ももちろん使用す
ることができる。2官能の相当する化合物の例として
は、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシラン、またはジメチルジエトキシシラン
がある。
【0073】なお、一般式(I)の化合物は、1種で使
用してもよいが、目的に応じて2種以上を混合して使用
してもよい。
【0074】更に、a+b=0の4官能の相当する化合
物を併用することも可能である。4官能の相当する化合
物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケー
ト、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケー
ト、n−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート、ま
たはsec−ブチルシリケートが挙げられる。
【0075】これらの組成物を用いてハードコート層を
形成した場合、硬度向上、干渉縞の防止、および帯電防
止性能を更に付与するために微粒子状無機物を添加する
ことも可能である。ハードコート層中に混入させるゾル
としては、例えば、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミ
ニウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、酸化ス
ズ、酸化ベリリウム、酸化アンチモン、酸化タングステ
ン、または酸化セリウムといった、無機粒子のゾルが使
用可能である。
【0076】また、これらの微粒子は、単独で使用する
だけでなく、必要に応じて2種以上を混合または複合状
態で使用することも可能である。例えば、酸化スズ微粒
子を核として、これを酸化タングステンと酸化スズの複
合形態の微粒子で被覆した変性状態のものも使用可能で
ある。このような変性状態にしたものは溶媒中で凝集せ
ず、良好な分散状態を形成する。特に、酸化チタニウ
ム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化セリウ
ム、酸化ジルコニウム、または酸化スズを使用した場合
には、ハードコート層の屈折率を高くすることができ
る。
【0077】微粒子の粒子径は、1〜200nm、特に
5〜100nmのものが好ましい。これより小さいと製
造が困難であり、微粒子自身の安定性も悪く、かつ上記
効果も小さい。これより大きいと、コーティング組成物
の安定性が低下したり、塗膜の透明性が低下したり、ま
たは平滑性が低下したりする。
【0078】また、ハードコート液の塗布時における流
れ性を向上し、ハードコート層の平滑性を向上するため
に、例えば、水、低級アルコール、アセトン、エーテ
ル、ケトン、またはエステルといった溶媒を使用するこ
とが可能である。
【0079】以上の成分の他に、さらに必要に応じてハ
ードコート液中に各種添加剤を併用して加えてもよい。
添加剤を用いることにより、例えば塗布される基材(成
形物)との接着性を向上させることができる。また、コ
ーティング組成物の安定性を向上させることが可能とな
る。添加剤の例としては、pH調節剤、粘度調節剤、レ
ベリング剤、つや消し剤、安定剤、紫外線吸収剤、また
は酸化防止剤がある。
【0080】また、ハードコート液の塗布方法として
は、刷毛塗り、浸漬、ロール塗り、スプレー塗装、また
は流し塗り等、通常の塗布法を用いることができる。こ
の際、塗布条件は、主としてビヒクル(塗布液)の性質
によって決定される。
【0081】このような湿式法の他に、乾式法を用いて
ハードコート層を形成することもできる。例えば、乾式
法としてCVD法を用いてハードコート層を形成する場
合、基材表面に変性層を形成した後にハードコート層を
形成することが好ましいが、ハードコート層のみを形成
することも可能である。変性層とは、基材の表面上に形
成され、基材側から膜厚方向に徐々に屈折率を変化させ
てある層である。この屈折率の変化は、変性層内の物質
の組成比を変化させることによって得られる。
【0082】変性層及びハードコート層の材料として用
いられるSiを含む有機化合物としては、例えば、テト
ラエトキシシラン、ジメトキシシラン、メチルメトキシ
シラン、テトラメトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、ジエトキシジメチルシラン、またはメチルトリエ
トキシシランが好適に用いられる。また、同様に材料と
して用いられるTiを含む有機化合物としては、例え
ば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テ
トライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチ
タン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキ
シチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−
t−ブトキシチタン、またはテトラジエチルアミノチタ
ンが好適に用いられる。
【0083】これらのSiおよびTiの有機化合物は、
その一種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を
併用してもよい。
【0084】また、ハードコート層の膜厚は0.4μm
よりも厚く、5μmよりも薄いことが好ましい。また変
性層の膜厚は100nmよりも厚く、900nmよりも
薄いことをが好ましい。
【0085】また、プラスチックレンズ基材とハードコ
ート層との間にプライマー層を形成する場合、プライマ
ー層に用いられる材料としては、ウレタン系材料からな
るものが好ましい。ウレタン系材料からなるプライマー
層の組成物は、活性水素含有化合物、ポリイソシアネー
ト、或いはこれらの混合物若しくは重合物からなる。
【0086】活性水素含有化合物としては、エチレング
リコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブ
タンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジプロピレングリコール、またはジエチレ
ングリコールなどのアルキレングリコール類、ポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはポ
リテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリ
コール類、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(テト
ラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペ
ート)、またはポリ(ネオペンチレンアジペート)など
のポリアルキレンアジペート類、ポリ−ε−カプロラク
トン、ポリ(1,4−ブタンジエン)グリコール、また
はポリ(1,2−ブタンジエン)グリコールなどのポリ
ブタジエングリコール類、ポリ(ヘキサメチレンカーボ
ネート)などのポリ(アルキレンカーボネート)類、若
しくはシリコンポリオールが挙げられるが、その他の公
知の活性水素含有化合物の使用も可能である。
【0087】また、ポリイソシアネートの例としては、
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’ジメチ
ル−4,4’ジフェニルジイソシアネート、芳香族系ジ
イソシアネート、1,6ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソ
シアナトメチル)シクロヘキサン、またはトリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシア
ネートが挙げられる。さらにポリイソシアネートとし
て、ブロック型ポリイソシアネートを用いることもでき
る。
【0088】このようなウレタン系材料は、ウレタン系
材料から成る溶液、またはウレタン系材料から成る粒子
を水等の溶媒中に分散させたもの(エマルジョン状)で
もよい。
【0089】更に、ウレタン系材料の他、架橋されたポ
リビニルアセタールからなるプライマー層を形成するこ
とも可能である。ポリビニルアセタールを主成分とする
プライマー層は、主成分であるポリビニルアセタール
と、加水分解性オルガノシラン化合物又はその加水分解
縮合物、アルミニウム又はチタニウムのアルコキシド化
合物あるいはアルミニウム又はチタニウムのアルコキシ
ドジケトネート化合物及び硬化触媒を溶解したプライマ
ー組成物をプラスチックレンズ表面に塗布し、加熱処理
することにより形成可能である。
【0090】また、プライマー組成物のプラスチックレ
ンズ基材への塗布方法は、スピンコート法、またはディ
ッピング法など公知の方法を用いるのがよい。
【0091】また、ポリビニルアセタールプライマー層
の膜厚は、熱硬化後の段階で0.1〜5μm、好ましく
は0.2〜3μmである。プライマー層の膜厚が0.1
μmより薄いと耐衝撃性の改善が十分でなくなる。また
5μmより厚いと耐衝撃性の点では問題ないが、耐熱性
および面精度が低下する。
【0092】また、プライマー層には、上述したような
ハードコート層と同様に、微粒子状無機酸化物を混入さ
せることが可能である。微粒子の混入により、屈折率の
調整、硬度の向上などの効果を付与することができる。
これらの微粒子としては、市販されている水または有機
溶媒に分散させた微粒子状無機酸化物をそのまま用いる
ことができる。
【0093】微粒子状無機酸化物又はこれらの無機酸化
物の複合体の平均粒子径は1〜300nmであり、好ま
しくは1〜50nmである。平均粒子径が300nmを
越えると光の散乱によるレンズの曇りが生ずる。
【0094】プライマー組成物中の無機酸化物微粒子の
添加量は固形分濃度として0.1〜30重量%である
が、プライマー層の屈折率がプラスチックレンズの屈折
率に一致するか、もしくは極めて近くなるように、無機
酸化物微粒子の種類および添加量を調整する。
【0095】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。なお、以下の説明で用いる使用材料、使用装
置、また使用材料の使用量や工程中で述べる温度、圧
力、膜厚、各部の寸法などの数値的条件は、この発明の
範囲内の一例に過ぎない。従ってこの発明はこれら条件
に何ら限定されるものではない。
【0096】<第1の実施例>第1の実施例として、図
1で示されているスパッタリング装置10を用いて、下
地15としての眼鏡用プラスチックレンズ基板上に、本
発明の防曇防汚膜を形成する例について説明する。
【0097】本実施例では、屈折率1.50のジエチレ
ングリコールビスアリルカーボネートからなる眼鏡用の
プラスチック基板15(以下、単に基板と称する。)を
用意する。スパッタリング装置10の第1金属ターゲッ
ト23の材料としては、多結晶Siを用い、また、第2
金属ターゲット25の材料として多結晶Tiを用いる。
また、スパッタリングガスとしてはアルゴンガスを用い
る。
【0098】まず、スパッタリング装置10内の雰囲気
圧を、3.2×10-3Torrに設定する。そして、第
1成膜室19にアルゴンガスを、例えば流量390sc
cmで導入して、このアルゴンガスをグロー放電により
イオン化した後、第1金属ターゲット23に入射させ
る。このとき、スパッタリング電力は3.75kWとす
る。
【0099】また、第2成膜室21にアルゴンガスを、
例えば流量650sccmで導入して、このアルゴンガ
スをイオン化した後、第2金属ターゲット25に入射さ
せる、このとき、スパッタリング電力を3.70kWと
する。
【0100】また、反応室31には、反応ガス導入口3
3から反応ガスである酸素が導入される。このとき、酸
素プラズマを発生させるための電力を1.5kWとす
る。
【0101】基板15がセットされた基板ホルダ13
は、この例では、100回転/分の速さで回転させる。
【0102】まず、第1成膜室19に基板15が曝され
ると、アルゴンガスの第1金属ターゲット23への入射
によって発生したSiのスパッタ原子41が、基板15
の表面に付着する(図2(A))。次に、基板ホルダ1
3が回転することにより、第2成膜室21に基板15が
移動して、この第2成膜室21において発生したTiの
スパッタ原子43が基板15上へ付着する。ここで、各
成膜室19,21に基板15が曝されている時間は、1
秒以下であるため、基板15の表面にはTiとSiとが
混合された状態で付着している。そして、基板15が第
2成膜室21を1度通過した時点で、基板15上には、
数原子層(1〜2原子層)の厚さの、SiおよびTiか
らなる予備混合膜45が形成される(図2(B))。
【0103】次に、基板ホルダ13が回転することによ
り、予備混合膜45を具えた基板15は反応室31内の
雰囲気に曝される。反応室31内は、酸素プラズマ雰囲
気となっている。このため、反応性の高い酸素プラズマ
によって、基板上のSiおよびTiが酸化されて、予備
混合膜45が酸化Siおよび酸化Tiからなる混合膜4
7となる。この混合膜47の厚さは、予備混合膜45と
ほとんど同じ厚さであった(図2(C))。
【0104】その後、基板ホルダ13が回転して、再び
第1成膜室19に移動する。
【0105】以上のように、基板ホルダ13が一回転す
ることによって、SiとTiとの予備混合膜45が形成
され、この予備混合膜45が酸化されて酸化Siと酸化
Tiとの混合膜47が形成される。
【0106】この後、防曇および防汚効果が得られる程
度の厚さになるまで、上記混合膜47を積層させて、防
曇防汚膜49を形成する(図2(D))。
【0107】本実施例では、基板ホルダの回転時間を、
約2分にして、約1000Åの厚さの防曇防汚膜49を
形成した。
【0108】また、回転時間を、約3分、4分、および
5分にそれぞれ設定して、膜厚が1500Å、2000
Åおよび3000Åの防曇防汚膜を、材質が同じの、異
なるプラスチック基板15上にそれぞれ形成した。
【0109】次に、形成された防曇防汚膜の水に対する
接触角を測定した。
【0110】この測定には、協和界面科学社製の接触角
測定装置(型番CA−D)を用いて行った。
【0111】その結果、第1の実施例の防曇防汚膜の水
に対する静止接触角は、膜厚の異なる4つのサンプルに
おいて、いずれも測定限界値以下であり、非常に静止接
触角が小さいことが分かった。これは、防曇防汚膜の親
水性が従来の防曇膜よりも格段に向上していることを示
している。そして、膜の表面に付着している水滴は、膜
の表面全面に広がっていることが目視により確認され
た。
【0112】また、この防曇防汚膜を眼鏡レンズに設け
ることを想定して、実質的な防曇効果を調べる実験を行
った。本実施例では、防曇防汚膜を具えた基板を、沸騰
させた水の水面から約15cm離れた位置に固定して、
水面からの蒸気に曝し、このときのレンズの透明性を目
視により観察した。
【0113】その結果、水の膜が防曇防汚膜の表面の全
体に広がって形成されていた。また、レンズを通して見
た像は、蒸気に曝す前と後と比較しても変化が見られ
ず、どちらも明瞭な像を見ることができた。
【0114】また、このような接触角測定および防曇効
果を調べる実験を、基板に防曇防汚膜を形成してから3
ヶ月後に、全く同様にして行った。
【0115】その結果、3ヶ月経過しても、防曇防汚膜
の水に対する接触角は、測定限界値以下であった。ま
た、蒸気に曝したレンズを通して見た像は、3ヶ月前と
変わらず明瞭な像であった。
【0116】このため、この実施例の防曇防汚膜は、従
来の防曇膜よりも優れた防曇効果を奏する。また、防曇
効果の持続性を向上させることができる。さらに、防曇
防汚膜の表面に水の膜が形成されても、下地であるプラ
スチックレンズ基材の光学特性を維持することができ
る。
【0117】また、防曇防汚膜の防汚性を調べた。
【0118】本実施例では、本実施例の防曇防汚膜を具
えたプラスチックレンズ基材を、太陽光が照射される屋
外に一週間放置して、膜の表面の状態を観察した。
【0119】その結果、大気中の塵埃による汚れは、膜
の表面からは見られなかった。これは、この膜に含まれ
る酸化チタンの光触媒作用によって、膜の表面に発生し
た活性酸素が汚れの成分である有機物を分解することに
起因すると考えられる。また、この結果は、上記光触媒
作用によって、膜の表面の親水性が高くなっているため
に、汚れが付着しにくくなっていることにもよると考え
られる。
【0120】また、防曇防汚膜を成膜してから3ヶ月後
に、再びこの膜の防汚性を、上述したと同様にして調べ
た。
【0121】その結果、3ヶ月前と変わらず、膜の表面
に汚れは見られなかった。
【0122】よって、本実施例の防曇防汚膜によって、
良好な防汚効果が得られ、しかもこの防汚効果は持続性
を有することが分かった。
【0123】<第2の実施例>第2の実施例として、図
3を参照して、本発明の防曇防汚膜を、反射防止膜を構
成する層として形成する例について説明する。図3は、
本実施例の反射防止膜の構成を説明するための概略的な
断面図である。
【0124】以下、第1の実施例と相違する点について
説明し、第1の実施例と同様の点についてはその詳細な
説明を省略する。
【0125】本実施例では、第1の実施例と同様の眼鏡
用プラスチック基板を用い、この基板上に、スパッタリ
ングにより反射防止膜を形成する。反射防止膜50は、
高屈折率の酸化Ti膜と低屈折率の酸化Si膜(二酸化
ケイ素膜)とで形成する。そして、この膜50の構成
は、反射特性を考慮して、基板15側から順に、光学的
膜厚が0.05λ(λは設計中心波長であり、ここで
は、λ=485nmとする。)の第1酸化Ti膜51、
光学的膜厚が0.081λの酸化Si膜53、光学的膜
厚が0.5λの第2酸化Ti膜55および光学的膜厚が
0.248λの、酸化Tiおよび酸化Siの混合膜57
とする。なお、反射防止膜50の最表層である酸化Ti
および酸化Siの混合膜57は、本発明の防曇防汚膜で
ある(図3)。
【0126】また、スパッタリングに用いる装置は、第
1の実施例で用いたものと同様の装置10とする。ま
た、第1金属ターゲット23の材料として多結晶Ti、
第2金属ターゲット25の材料として多結晶Siを用い
る。また、スパッタリングガスをアルゴンガスとする。
このアルゴンガスは、第1および第2成膜室19,21
に、それぞれ390sccmのガス流量で導入され、イ
オン化される。また、反応室31には、反応ガスとして
酸素が導入され酸素プラズマを発生させる。この酸素プ
ラズマは、酸素ガスを高周波放電によってプラズマ化し
たものである。酸素ガスの流量は120sccmとし、
プラズマ化するための電力(プラズマ電力)を1.2k
Wとする。また、スパッタリング装置10内の圧力は
3.2×10-3Torrとする。
【0127】まず、基板15上に第1酸化Ti膜51を
形成する。
【0128】ここでは、基板15を基板ホルダ13にセ
ットして、この基板ホルダ13を100回転/分の回転
速度で回転させ、第1成膜室19に基板15を露出させ
る。第1成膜室19において、グロー放電によってこの
第1成膜室19のみにイオン化されたアルゴンガス(ア
ルゴンイオン)を発生させる。アルゴンイオンは第1金
属ターゲット23に入射し、これによりターゲット23
から飛び出したTi原子が基板15へ付着する。本実施
例では、Ti原子が基板15へ付着しているときの基板
温度を室温程度にし、第1金属ターゲット23のスパッ
タ電力を3.20kWとする。この結果、基板15が第
1成膜室19を1回通過することによって、Tiが約
1.6Åの厚さに成膜された。
【0129】その後、基板ホルダ13が回転して、基板
15が第1成膜室19から第2成膜室21を通り、反応
室31へ移動する。このとき、第2成膜室21ではアル
ゴンイオンは発生させない。このため、第2成膜室21
を基板15が通っても、基板15上にSiは付着しな
い。反応室31では、基板15上のTi膜が酸素プラズ
マによって酸化され、酸化Ti薄膜となる。この酸化T
i薄膜の厚さは、上記Ti膜と実質的に同じ約1.6Å
であった。よって、基板ホルダが1回転することによっ
て、基板15上に酸化Ti薄膜が形成される。
【0130】その後、第1成膜室19においてのみスパ
ッタリングを行わせるようにして、基板ホルダ13の回
転を続けて、酸化Ti薄膜を成膜することにより、所望
の厚さ(光学膜厚0.05λ)の第1酸化Ti膜51が
得られる。
【0131】ここでは、約48秒間基板ホルダ13を回
転させることによって、機械的膜厚が約130Åの膜厚
の第1酸化Ti膜51が得られた。
【0132】次に、基板ホルダ13の回転速度は変えず
に、第1酸化Ti膜51上に酸化Si膜53を形成す
る。
【0133】第2成膜室21に基板15上の第1酸化T
i膜51の表面を露出させる。第2成膜室21のみにア
ルゴンイオンを発生させて、スパッタリングを行う。こ
れにより、第2金属ターゲット23からSi原子が飛び
出して第1酸化Ti膜51上に付着する。このときの基
板温度は室温程度であり、スパッタ電力を3.75kW
とする。この結果、基板15が第2成膜室21を1回通
過することによって、Siが約4Åの厚さに成膜され
た。
【0134】その後、基板ホルダ13が回転して、反応
室31に基板15が移動する。反応室31において、上
記酸化Ti薄膜の形成と同様に、Siが酸化され、酸化
Si薄膜が形成される。
【0135】その後、第2成膜室21においてのみスパ
ッタリングを行わせるようにして、基板ホルダ31の回
転を続けて、酸化Si薄膜を成膜することにより、ここ
では、光学膜厚が0.081λの厚さの酸化Si膜53
が得られる。
【0136】ここでは、約27秒間基板ホルダ13を回
転させることによって、機械的膜厚が約180Åの膜厚
の酸化Si膜53が得られた。
【0137】次に、第1酸化Ti膜51の形成と同様に
して、酸化Si膜53上に、光学膜厚が0.5λの第2
酸化Ti膜55を形成する。
【0138】ここでは、基板ホルダ13の回転時間を約
180秒間にして、機械的膜厚が約1280Åの厚さの
第2酸化Ti膜55が得られた。
【0139】次に、第2酸化Ti膜55上に酸化Tiお
よび酸化Siの混合膜57を形成する。
【0140】この混合膜57は、第1の実施例の防曇防
汚膜の形成と同様にして形成する。基板ホルダ13を1
00回転/分の回転速度で回転させることにより、ま
ず、第1成膜室19で、第2酸化Ti膜55上にTi原
子を付着させ、続いて第2成膜室21でSi原子を付着
させる。これにより、Ti原子とSi原子が混合して付
着した数原子層の厚さ(5〜6Å)の予備混合膜が形成
される。
【0141】本実施例では、最初にTiをスパッタリン
グし、次いでSiをスパッタリングしたが、スパッタリ
ングを行う順序はどちらが先でも構わない。
【0142】次いで、基板ホルダ13の回転に伴い、こ
の予備混合膜が設けられた基板15は反応室31に移動
して、反応室31内で酸素プラズマ雰囲気に曝される。
これにより、予備混合膜は酸化されて酸化Tiおよび酸
化Siの混合薄膜となる。このときのスパッタリング条
件は、反射防止膜を構成する酸化Ti膜および酸化Si
膜の形成のときと同じ条件とする。そして、基板ホルダ
13をさらに回転させることによって、上記混合薄膜が
積層されて、光学膜厚が0.248λの混合膜57が得
られる。
【0143】ここでは、基板ホルダ13を約95秒間回
転させることによって、機械的膜厚が870Åの厚さの
混合膜57が得られた。
【0144】以上により、基板15上に、第1酸化Ti
膜51、酸化Si膜53、第2酸化Ti膜55および酸
化Tiと酸化Siとの混合膜57をこの順に具えてなる
防曇防汚性を兼ね備えた反射防止膜50を形成すること
ができる(図3)。
【0145】次に、この実施例の反射防止膜50に対し
て、第1の実施例と同様の、防曇性および防汚性を調べ
る試験を行う。
【0146】まず、防曇性について、形成した反射防止
膜の水に対する接触角を、第1の実施例と同様にして測
定したところ、測定限界値以下であった。反射防止膜の
表面、すなわち酸化Tiと酸化Siとの混合膜の表面に
滴下された水滴は、膜の表面全体に広がっている。この
ため、従来の防曇膜よりも親水性が高くなり、防曇効果
が向上していることが分かった。
【0147】また、この反射防止膜を具えた基板を、沸
騰させた水の水面上15cmの位置に固定し、蒸気に曝
してレンズの透明性を調べた。その結果、蒸気は反射防
止膜の表面全体に水の膜として広がっており、この状態
のレンズを通して見た像は、蒸気に曝す前のレンズを通
して見た像と何ら変化しておらず、明瞭な像として見る
ことができた。よって、レンズに付着した水に起因し
て、レンズの光学特性が変化してしまうおそれはない。
【0148】次に、この反射防止膜の防汚性を調べる。
【0149】本実施例では、第1の実施例と同様にし
て、反射防止膜を具えた基板を屋外に1週間放置して、
膜の表面の状態を観察した。その結果、大気中の塵埃に
よる汚れは膜の表面には見られなかった。よって、この
実施例の反射防止膜は、良好な防汚性を有していること
が分かる。
【0150】また、基板に反射防止膜を成膜してから3
ヶ月後に、上述した防曇性および防汚性の試験を全く同
様にして行った。この結果、防曇性および防汚性は劣化
していなかった。よって、この反射防止膜の防曇および
防汚効果は、持続性があることが分かる。
【0151】次に、この反射防止膜の反射特性を図4に
示す。図4では、横軸に波長(nm)および縦軸に反射
率(%)をとって示してある。
【0152】本実施例では、可視光領域の中心波長であ
る520nmに反射のピークがくるように反射防止膜を
設計し、この波長での反射防止効果を確認することにし
た。
【0153】図4によれば、520nmの波長付近にあ
る反射率のピークが1.5%より低く、これは、反射防
止膜をつける前の基板の反射率のピークよりも低い値で
ある。このため、良好な反射防止特性を有している。
【0154】<第3の実施例>第3の実施例として、図
1で示したスパッタリング装置10の金属ターゲット2
3,25のスパッタ電力をそれぞれ変化させることによ
って、形成される酸化Tiおよび酸化Siの混合膜の屈
折率を制御する例について説明する。
【0155】本実施例では、Siをスパッタリングする
ときのスパッタ電力を制御したが、Tiをスパッタリン
グする場合のスパッタ電力を制御してもよい。また、両
者を制御してスパッタリングを行うことも可能であり、
屈折率を高くしたい場合には、膜中の高屈折率物質の存
在比が高くなるように高屈折率物質を多くスパッタリン
グすればよい。
【0156】本実施例では、第1の実施例で用いたもの
と同様のスパッタリング装置10を用いる。そして、第
1金属ターゲット23の材料として多結晶Siを用い、
第2金属ターゲット25の材料として多結晶Tiを用い
る。また、装置10内の圧力は5.0×10-3Torr
とする。また、スパッタリングガスをアルゴンガスとす
る。
【0157】第1成膜室19では、導入口27から流量
200sccmでアルゴンガスが第1成膜室19内に導
入された後、グロー放電によってアルゴンガスがアルゴ
ンイオンとなり、このイオンが第1金属ターゲット23
に入射する。これにより、スパッタリングが行われる。
このスパッタリングは、第1成膜室19でのスパッタ電
力を0〜1.5kWの範囲内で変化させて行われる。
【0158】一方、第2成膜室21では、導入口29か
ら流量300sccmでアルゴンガスが第2成膜室21
内に導入される。その後グロー放電により、アルゴンガ
スがイオン化される。アルゴンイオンは第2金属ターゲ
ット25に入射され、スパッタリングが行われる。この
スパッタリングは、第2成膜室21でのスパッタ電力を
0〜2.8kWの範囲内で変化させて行われる。
【0159】また、反応室31には第1の実施例と同様
に、反応ガスである酸素が導入口33から導入されてお
り、酸素プラズマ雰囲気が形成されている。
【0160】本実施例では、第1の実施例の基板と同様
の基板15上に、酸化Tiおよび酸化Siの混合膜を形
成する。
【0161】基板ホルダ13に基板15をセットして、
この基板ホルダ13を100回転/分の回転速度で回転
させる。基板ホルダ13が1回転することによって、基
板15が第1成膜室19、第2成膜室21および反応室
31を、この順に通過する(図1参照。)。これによ
り、第1成膜室19で基板15の表面にSi原子が付着
し(図2(A))、続いて第2成膜室21で、基板15
上のSi原子41の上側からTi原子43が付着して、
Si原子41とTi原子43が混合した予備混合膜45
が形成される(図2(B))。続いて、反応室31にお
いて、基板15上の予備混合膜45が酸素プラズマによ
って酸化されて、酸化Siおよび酸化Tiの混合膜47
となる(図2(C))。基板ホルダ13が1回転するこ
とによって、得られる混合膜47の膜厚は数原子層、す
なわち10Å以下である。この後、基板ホルダ13をさ
らに回転させることによって、酸化Tiおよび酸化Si
の混合膜47を堆積させて、所望の厚さに成膜する(図
2(D))。
【0162】本実施例では、第1成膜室19および第2
成膜室21でのスパッタリングを行う際、第1金属ター
ゲット23のスパッタ電力を0〜1.5kWの範囲内で
変化させる。同じように、第2金属ターゲット25のス
パッタ電力を0〜2.8kWの範囲内で変化させる。こ
のとき、第1金属ターゲット23のスパッタ電力を高く
する場合には、第2金属ターゲット25のスパッタ電力
を低くするように変化させる。これにより、得られる混
合膜中に含まれる酸化Si(若しくは酸化Ti)の割合
を変化させることができる。図5は、混合膜中の酸化S
iの割合の変化に伴う、膜の屈折率の変化を示す特性曲
線図である。なお、混合膜中の酸化Siの割合の変化
は、スパッタ電力を変化させることによって得られる。
横軸に混合膜中の酸化Siの含まれている割合を示し、
縦軸に波長550nmにおける屈折率を示す。例えば、
第1金属ターゲット(多結晶Siのターゲット)のスパ
ッタ電力を1.5kWにする場合は、第2金属ターゲッ
ト(多結晶Tiのターゲット)のスパッタ電力を0kW
にする。このようにすると、得られる混合膜には、実質
的には酸化Tiは含まれない(酸化Siの割合が1とな
る)。このため、膜の屈折率は約1.45となる。ま
た、例えば、第1金属ターゲットのスパッタ電力を0k
Wとする場合には、第2金属ターゲットのスパッタ電力
を2.8kWにする。これにより、得られる膜中には実
質的に酸化Siが含まれない(酸化Siの割合が0とな
る)。よって、膜の屈折率は約2.35となる(図5参
照。)。
【0163】このように、第1および第2金属ターゲッ
トのスパッタ電力を調節することによって、図5に示さ
れているように、混合膜の屈折率を約1.45〜2.3
5の範囲内で任意に制御することが可能となる。
【0164】これにより、所望の屈折率の値を有する膜
を形成することができるため、眼鏡レンズなどの光学部
材に用いられる、反射防止膜やミラーを構成する膜とし
て、好適な膜を容易に形成することができる。
【0165】また、混合膜の屈折率の値は、スパッタリ
ングガスの流量を変化させることによっても制御するこ
とができる。さらに、スパッタリングのターゲットとし
て、SiとTiとが混合した状態で含まれているターゲ
ットを用いれば、ターゲット中に含まれるSiとTiと
の混合比を調整することによって、得られる混合膜の屈
折率を変化させることができる。
【0166】<比較例>ここでは、真空蒸着法を用い
て、基板上に酸化Siおよび酸化Tiの混合膜を形成す
る例について説明する。
【0167】基板は、上述した実施例で用いられている
基板と同様の、ジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネート製の眼鏡用プラスチックレンズ基板を用いる。
【0168】基板上に、電子線加熱蒸着法によりTiO
2 を250Å/分の蒸着速度で蒸着する。これと同時
に、SiO2 を電子線加熱蒸着法により600Å/分の
蒸着速度で蒸着させる。この蒸着膜の厚さが、光学的膜
厚nd(ただし、nは蒸着膜の屈折率であり、dは蒸着
膜の厚さである。)が0.75λ(λ=550nm)と
なるように蒸着して、TiO2 とSiO2 との混合膜を
形成する。
【0169】このようにして得られた混合膜の水に対す
る静止接触角を、第1の実施例と同様にして測定する。
この結果、混合膜の成膜直後では、測定装置の測定限界
値以下であった。よって、この膜の親水性は高く、この
ため優れた防曇効果を示す。
【0170】次に、混合膜を成膜してから1日後に、も
う一度接触角を測定する。この結果、接触角は約30度
であり、親水性が劣化していることが確認された。これ
により、この例の混合膜の防曇効果は、本発明の混合膜
と比べて持続性がないことが分かった。
【0171】また、この混合膜に起因する光学特性の変
化を、第1の実施例と同様の方法で調べる。このため、
沸騰した水の水面から15cm離間している位置に、混
合膜が設けられた基板を固定して、水からの蒸気に曝
す。この結果、蒸気の水分は混合膜の表面で、島状の水
膜として広がるため、この水膜に光が照射されると乱反
射してしまうことが分かった。よって、蒸気に曝した後
の混合膜および基板の透明性は、曝す前よりも劣化して
しまう。従って、本比較例の混合膜を基板に設けると光
学特性が劣化してしまう。
【0172】また、本比較例の混合膜の防汚性を、第1
の実施例と同様にして調べる。
【0173】TiO2 およびSiO2 の混合膜が設けら
れた基板を、屋外へ放置して太陽光を照射させた。この
結果、屋外へ放置して数日後には、混合膜の表面に大気
中の塵埃が付着してしているのが確認された。よって、
この混合膜の防汚性は、実施例の防曇防汚膜と比べて劣
っていることが分かった。
【0174】
【発明の効果】本発明の防曇防汚膜は、従来の防曇膜よ
りも親水性が向上しており、防曇性を向上させることが
できる。また、この防曇防汚膜によって汚れを防ぐこと
ができる。さらに、この防曇防汚膜の防曇および防汚効
果は持続性を有することが、上記実施例の実験により確
認された。また、この防曇防汚膜に付着する水分は膜全
体に水膜として広がり、静止接触角は略0°である。こ
のため、水滴が島状となって膜の表面に残ることはない
ので、光が島状の水滴に照射されて散乱が生じるのを防
ぐことが出来る。よって防曇防汚膜が設けられている下
地の光学特性を劣化させることはない。
【0175】本発明の防曇防汚膜の製造には、スパッタ
リング法が用いられている。下地上にスパッタされるス
パッタ原子の運動エネルギーは高く、形成される予備混
合膜の下地に対する吸着力が強くなる。従って、得られ
る防曇防汚膜の耐久性を、従来のスピン法やディッピン
グ法等の塗布法を用いて形成される膜よりも向上させる
ことができる。
【0176】また、本発明の混合膜を最上層とした反射
防止膜を形成することが可能であり、防曇防汚効果を兼
ね備えた反射防止膜を容易に得ることができる。
【0177】また、防曇防汚膜の屈折率を任意に制御す
ることができるので、従来の4〜8層の多層で構成され
ていた反射防止膜の層数を減らすことができる。例え
ば、スパッタリングする物質の量を徐々に変化させるこ
とにより、従来、複数層から成っていた反射防止膜を、
層中で徐々に屈折率が変化していく1層の薄膜からなる
反射防止膜とすることができる。また、本発明のよう
に、各々屈折率が異なる2つの物質を主成分とするター
ゲットを用いれば、2種類の材料のみで、従来の4〜8
層の多層構造の反射防止膜と同じ性能を有する反射防止
膜を形成することができる。従って、反射防止膜の形成
に必要な材料の数を減らすことができ、製造コストおよ
び製造効率を向上させることができる。
【0178】また、反射防止膜を構成する一部の層とし
て、この防曇防汚膜を用いることが出来る。よって、防
曇防汚膜が設けられた下地の反射防止特性を劣化させる
おそれはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタリング装置の構成を示す概略的な断面
図であり、装置の底面に対して平行な線で切った断面の
図である。
【図2】(A)〜(D)は、この発明の防曇防汚膜の形
成工程図である。
【図3】第2の実施例の反射防止膜の構成説明図であ
る。
【図4】第2の実施例の反射防止膜の反射特性図であ
る。
【図5】第3の実施例の説明に供する、混合膜中の酸化
Siの割合に対する、膜の屈折率の変化を示す特性曲線
図である。
【符号の説明】
10:スパッタリング装置 11:チャンバ 13:基板ホルダ 15:下地(基板) 17:マスク 19:第1成膜室 21:第2成膜室 23:第1金属ターゲット 25:第2金属ターゲット 27,29:スパッタリングガスの導入口 31:反応室 33:反応ガスの導入口 33a:反応室側とは反対の側 35:空間 41:Si原子(Siのスパッタ原子) 43:Ti原子(Tiのスパッタ原子) 45:予備混合膜 47:混合膜 49:防曇防汚膜 50:反射防止膜 51:第1酸化Ti膜 53:酸化Si膜 55:第2酸化Ti膜 57:酸化Tiおよび酸化Siの混合膜(防曇防汚膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 DA18 DB11 DC02 2K009 AA04 AA07 BB24 CC03 DD04 EE02 EE05 4F006 AA36 AB67 AB68 BA10 BA11 CA05 DA01 EA01 4K029 AA11 BA46 BA48 BB02 BC07 BD09 CA05 CA06 CA08 GA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンを主成分とする第1ターゲットお
    よびケイ素を主成分とする第2ターゲットを真空チャン
    バー内に設置する工程と、 スパッタリング法により、前記第1ターゲットおよび第
    2ターゲットのうちのいずれか一方のターゲットの物質
    を基材上に堆積させる第1スパッタリング工程と、 スパッタリング法により、前記第1ターゲットおよび第
    2ターゲットのうちの他方のターゲットの物質を前記基
    材上に堆積させる第2スパッタリング工程と、 前記第1および第2スパッタリング工程終了後に、前記
    基材上に堆積させた物質を酸化して、酸化ケイ素および
    酸化チタンを主成分とする混合物の薄膜を形成する混合
    物膜形成工程とを含むことを特徴とする薄膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 各々異なる屈折率を有する少なくとも2
    つのターゲットを真空チャンバー内に設置する工程と、 スパッタリング法により、前記ターゲットのうちの1つ
    のターゲットの物質を基材上に堆積させる第1スパッタ
    リング工程と、 スパッタリング法により、前記ターゲットのうちの前記
    第1スパッタリング工程とは異なるターゲットの物質を
    前記基材上に堆積させる第2スパッタリング工程と、 前記基材上に堆積させた物質を酸化して、異なる屈折率
    を有する酸化物の混合物の薄膜を形成する混合物膜形成
    工程とを含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記混合膜形成工程において、 前記基材上に堆積させた物質を酸化性雰囲気に暴露す
    る、 あるいは前記基材上に堆積させた物質に酸素イオンを照
    射することにより前記酸化を行うことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混合物の薄膜の膜厚が100Å以
    上、7500Å以下であることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基材が、眼鏡用プラスチックレンズ
    またはミラーであることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
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