JP2000114045A - 薄膜インダクタ及び薄膜インダクタの製造方法 - Google Patents

薄膜インダクタ及び薄膜インダクタの製造方法

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JP2000114045A
JP2000114045A JP10281825A JP28182598A JP2000114045A JP 2000114045 A JP2000114045 A JP 2000114045A JP 10281825 A JP10281825 A JP 10281825A JP 28182598 A JP28182598 A JP 28182598A JP 2000114045 A JP2000114045 A JP 2000114045A
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conductor
film
soft magnetic
thin
insulating film
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JP10281825A
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Akira Nakabayashi
亮 中林
Yoshito Sasaki
義人 佐々木
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で実装密度を高くすることが可能であ
り、特性も良好な薄膜インダクタを提供する。 【解決手段】 基体2の外面に2つの電極3、4が取り
付けられ、基体2の内部に自己インダクタンスとして作
用する導体5が設けられ、基体2の一面22と導体5と
の間及び/または導体5と基体2の他面23との間に位
置して導体5と離間かつ対向する1つまたは2つの磁性
膜6、7が設けられ、基体2の内部に導体5の両端5
a、5bと2つの電極3、4をそれぞれ接続する接続導
体8、9が設けられてなることを特徴とする薄膜インダ
クタ1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜インダクタ及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、軽量化の要請
に対応するために、回路素子の小型化、回路基板に対す
る各種回路素子の実装密度の高密度化が進められてい
る。例えば、チップ型と呼ばれる抵抗またはコンデンサ
は、外部電極と抵抗素子またはコンデンサ素子とが直接
接続されてなるものであり、外部電極が回路基板上に直
接半田付けされて実装されるので、回路素子1個当たり
の実装面積を小さくして実装密度を高めることが可能で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、磁気素子につい
ても、薄膜インダクタの開発が精力的に進められてお
り、磁気素子自体の小型化、軽量化が進んでいる。しか
し、従来の薄膜インダクタは、回路基板にリード線を介
して実装されており、実装密度を高くすることが困難で
あるという課題があった。
【0004】また、薄膜インダクタの小型化の要請に伴
い、薄膜インダクタに用いる軟磁性膜として数100M
Hz以上の周波数における透磁率が高い軟磁性膜が求め
られている。透磁率を高めるには軟磁性膜の渦電流損失
の抑制が有効であり、具体的には軟磁性膜の薄膜化、高
比抵抗化といった手段が有効である。しかし、軟磁性膜
の軟磁気特性を保ちつつ比抵抗を高くすることは困難で
あり、また、軟磁性膜を薄くすると磁歪の影響が大きく
なって良好な軟磁気特性を得ることが困難となり、特性
が良好な薄膜インダクタを得ることができないという課
題があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、小型で実装密度を高くすることが
可能であり、特性も良好な薄膜インダクタを提供し、小
型で特性が良好な薄膜インダクタの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の薄膜イ
ンダクタは、基体の外面に2つの電極が取り付けられ、
該基体の内部に自己インダクタンスとして作用する導体
が設けられ、前記基体の一面と前記導体との間及び/ま
たは前記導体と前記基体の他面との間に位置して前記導
体と離間かつ対向する1つまたは2つの磁性膜が設けら
れ、前記基体の内部に前記導体の両端と前記の2つの電
極をそれぞれ接続する接続導体が設けられてなることを
特徴とする。また、本発明の薄膜インダクタは、先に記
載の薄膜インダクタであって、前記基体は、基板と複数
の絶縁膜とが少なくとも積層されてなり、前記軟磁性膜
の1つが、前記基板上に形成され、前記絶縁膜の少なく
とも1つが、前記軟磁性膜と前記導体との間に配置され
て前記軟磁性膜と前記導体が離間されたことを特徴とす
る。
【0007】また、本発明の薄膜インダクタは、先に記
載の薄膜インダクタであって、前記基体は、基板と複数
の絶縁膜と接着層とが少なくとも積層されてなり、前記
軟磁性膜の1つが、前記基板上に形成され、前記絶縁膜
の少なくとも1つが、前記軟磁性膜と前記導体との間に
配置されて前記軟磁性膜と前記導体が離間され、前記接
着層が、前記軟磁性膜と前記導体との間に配置されるよ
うに構成されたことを特徴とする。更に、本発明の薄膜
インダクタは、先に記載の薄膜インダクタであって、前
記基体は、2つの基板に複数の絶縁膜と接着層とが挟ま
れてなり、前記軟磁性膜の1つが前記一方の基板上に形
成され、前記絶縁膜の少なくとも1つが、前記軟磁性膜
と前記導体との間に配置されて前記軟磁性膜が前記導体
と離間して設けられ、前記接着層が、前記軟磁性膜と前
記導体との間に配置されるように構成されたことを特徴
とする。
【0008】本発明の薄膜インダクタは、先に記載の薄
膜インダクタであって、前記2つの電極が前記基体の一
面に取り付けられたことを特徴とする。この場合、電極
は、基体の一面に露出する接続導体の先端に接続されて
いることが好ましい。また、本発明の薄膜インダクタ
は、先に記載の薄膜インダクタであって、前記2つの電
極が前記基体の少なくとも1以上の側壁面に取り付けら
れたことを特徴とする。この場合、電極は、基体の側壁
面に露出する接続導体の先端に接続されていることが好
ましい。更に、本発明の薄膜インダクタは、先に記載の
薄膜インダクタであって、前記2つの電極が前記基体の
一面から側壁面に向けて延在するように取り付けられた
ことを特徴とする。この場合、電極は、基体の一面に露
出する接続導体の先端に接続されていることが好まし
い。
【0009】本発明の薄膜インダクタは、先に記載の薄
膜インダクタであって、前記2つの電極にバンプ状の半
田メッキが形成されたことを特徴とする。また、本発明
の薄膜インダクタは、先に記載の薄膜インダクタであっ
て、前記導体が、前記基体の一面と平行に渦巻き状に巻
回されてなることを特徴とする。更に、本発明の薄膜イ
ンダクタは、先に記載の薄膜インダクタであって、前記
導体が、前記基体の一面と平行につづら折れ状に形成さ
れてなることを特徴とする。
【0010】前記軟磁性膜は、微細結晶質相と非晶質相
とが混在した組織を有する合金であり、前記微細結晶質
相は、平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造、hc
p構造、fcc構造のうちの1種または2種以上の混成
構造から構成されてFe若しくはCoを主体としてな
り、前記非晶質相は、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及
び希土類元素のうちの少なくとも1種または2種以上か
らなる元素M及び酸素を主体としてなることを特徴とす
る。
【0011】また、前記軟磁性膜は、下記の組成式で表
されるものであることを特徴とする。(Fe1-aCoa
100-y-z-wyzw但しMは、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Mo、W、Al、Si、Cr、P、C、B、G
a、Ge及び希土類元素のうちの少なくとも1種または
2種以上の元素を表し、Lは、Pt、Ru、Rh、P
d、Ir、Os、Sn、Ti、Au、Ag、Cuのうち
の少なくとも1種または2種以上の元素を表し、Oは酸
素を表し、組成比を示すa、y、z、wは、0≦a≦
0.5、5原子%≦y≦30原子%、0原子%≦z≦2
0原子%、5原子%≦y+z≦40原子%、10原子%
≦w≦40原子%である。
【0012】また、前記組成比を示すa、y、z、w
は、0≦a≦0.3、7原子%≦y≦15原子%、0原
子%≦z≦5原子%、20原子%≦w≦35原子%であ
るとより好ましい。また、前記元素Mは、Zr、Hfの
うちの1種または2種であることがより好ましい。更
に、組成比を示すaが0であり、zが0原子%であると
より好ましい。
【0013】また、前記軟磁性膜は、下記の組成式で表
されるものであっても良い。 (Co1-cc100-x-v-uxvu 但しTは、Fe、Niのうちのいずれか一方または両方
を含む元素であり、Eは、Ti、Zr、Hf、Nb、T
a、Mo、W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、
Ge及び希土類元素のうちの少なくとも1種または2種
以上の元素を表し、Gは、Pt、Ru、Rh、Pd、I
r、Os、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
示すc、x、v、uは、0≦c≦0.7、3原子%≦x
≦30原子%、7原子%≦u≦40原子%、0原子%≦
v≦20原子%、20原子%≦x+u+v≦60原子%
である。
【0014】また、前記組成比を示すc、x、v、u
は、0≦c≦0.3、7原子%≦x≦15原子%、20
原子%≦u≦35原子%、0原子%≦v≦19原子%、
50原子%≦v≦70原子%であるとより好ましい。ま
た、前記元素Tは、Feであることがより好ましい。元
素TがFeである場合、0.2≦c≦0.7であるとよ
り好ましい。更に、前記軟磁性膜を構成する元素とし
て、Oの代わりにNが、あるいはOと共にNが含有され
るとより好ましい。前記軟磁性膜の比抵抗は、1000
〜3000μΩ・cmであることが好ましい。
【0015】また、本発明の薄膜インダクタは、先に記
載の薄膜インダクタであって、前記軟磁性膜と前記基板
との間に下地層が形成され、前記下地層は、Si、Si
2、Al23、Si34のうちの少なくとも1種また
は2種以上からなることを特徴とする。また、前記下地
層は、前記磁性膜がFeを主体としてなる場合には、A
23、Si34のうちの1種または2種からなること
が好ましい。更に、前記下地層は、前記磁性膜がCoを
主体としてなる場合には、Si、SiO2のうちの1種
または2種からなることが好ましい。
【0016】本発明の薄膜インダクタは、前記軟磁性膜
あるいは前記絶縁膜が形成される前記基板の少なくとも
上面が、絶縁材料からなることを特徴とする。また、本
発明の薄膜インダクタは、前記基板が絶縁材料からなる
ことを特徴とする。前記絶縁材料は、ポリイミド系樹脂
またはノボラック系樹脂あるいはオレフィン樹脂である
ことが好ましい。
【0017】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、基
体の外面に2つの電極が取り付けられ、該基体の内部
に、自己インダクタンスとして作用する導体と、該導体
と離間する2つの軟磁性膜と、前記導体の両端と前記の
2つの電極をそれぞれ接続する接続導体とが設けられて
なる薄膜インダクタを製造する際に、基板上に、軟磁性
膜と下部絶縁膜と自己インダクタンスとして作用する導
体と中間絶縁膜と軟磁性膜と上部絶縁膜とを積層すると
共に、前記中間絶縁膜と前記上部絶縁膜に孔を形成する
ことにより前記導体の両端を露出させ、該孔に前記導体
の両端と接続する接続導体を形成し、該接続導体に電極
を取り付けることを特徴とする。また、本発明の薄膜イ
ンダクタの製造方法は、基体の外面に2つの電極が取り
付けられ、該基体の内部に、自己インダクタンスとして
作用する導体と、該導体と離間する1つの軟磁性膜と、
前記導体の両端と前記の2つの電極をそれぞれ接続する
接続導体とが設けられてなる薄膜インダクタを製造する
際に、基板上に、軟磁性膜と下部絶縁膜と自己インダク
タンスとして作用する導体と上部絶縁膜とを積層し、前
記上部絶縁膜に2つの孔を形成することにより前記導体
の両端を露出させ、前記導体の両端と接続する接続導体
を前記孔に形成し、該接続導体に電極を取り付けること
を特徴とする。
【0018】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、基
体の外面に2つの電極が取り付けられ、該基体の内部に
自己インダクタンスとして作用する導体と、該導体と離
間する1つまたは2つの軟磁性膜と、前記導体の両端と
前記の2つの電極をそれぞれ接続する接続導体とが設け
られてなる薄膜インダクタを製造する際に、基板上に少
なくとも軟磁性膜と下部絶縁膜と自己インダクタンスと
して作用する導体と上部絶縁膜とを積層して導体部品を
形成し、仮基板上に少なくとも絶縁膜を積層して絶縁膜
部品を形成し、前記導体部品の前記上部絶縁膜及び/ま
たは前記絶縁膜部品の前記絶縁膜に接着層を積層し、該
接着層を介して前記上部絶縁膜と前記絶縁膜が向き合う
ように前記導体部品と前記絶縁膜部品とを接合し、前記
仮基板を除去することを特徴とする。また、本発明の薄
膜インダクタの製造方法は、先に記載の薄膜インダクタ
の製造方法であって、前記仮基板上に軟磁性膜を積層
し、更に前記絶縁膜を積層して前記絶縁膜部品を形成す
ることを特徴とする。
【0019】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、先
に記載の薄膜インダクタの製造方法であって、前記導体
部品に前記上部絶縁膜を貫通して前記導体の両端を露出
させる2つの第2連通孔を設け、前記絶縁膜部品に前記
絶縁膜を貫通して前記仮基板を露出させる2つの第1連
通孔を設け、前記2つの第1連通孔と前記2つの第2連
通孔とをそれぞれ連通させるように前記導体部品と前記
絶縁膜部品を接合し、前記仮基板を除去し、前記第1連
通孔と前記第2連通孔が連通して形成された2つの孔に
前記導体の両端にそれぞれ接続する接続導体を形成し、
該接続導体に電極をそれぞれ取り付けることを特徴とす
る。
【0020】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、基
体の外面に2つの電極が取り付けられ、該基体の内部に
自己インダクタンスとして作用する導体と、1つまたは
2つの軟磁性膜と、前記導体の両端と前記の2つの電極
をそれぞれ接続する接続導体とが設けられてなる薄膜イ
ンダクタを製造する際に、仮基板上に少なくとも軟磁性
膜と下部絶縁膜と自己インダクタンスとして作用する導
体と上部絶縁膜を積層して下層部品を形成し、他の基板
上に少なくとも絶縁膜を積層して上層部品を形成し、前
記下層部品の前記上部絶縁膜及び/または前記上層部品
の前記絶縁膜に接着層を積層し、該接着層を介して前記
上部絶縁膜と前記絶縁膜が向き合うように前記下層部品
と前記上層部品とを接合することを特徴とする。また、
本発明の薄膜インダクタの製造方法は、先に記載の薄膜
インダクタの製造方法であって、前記他の基板上に軟磁
性膜を積層し、更に前記絶縁膜を積層して前記上層部品
を形成することを特徴とする。
【0021】また、本発明の薄膜インダクタの製造方法
は、先に記載の薄膜インダクタの製造方法であって、前
記導体を、前記基板の上面と平行に渦巻き状に形成する
ことを特徴とする。更に、本発明の薄膜インダクタの製
造方法は、先に記載の薄膜インダクタの製造方法であっ
て、前記導体を、前記基板の上面と平行につづら折れ状
に形成することを特徴とする。
【0022】先に記載の薄膜インダクタの製造方法にお
いて、前記軟磁性膜は、微細結晶質相と非晶質相とが混
在した組織を有する合金であり、前記微細結晶質相は、
平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造、hcp構
造、fcc構造のうちの1種または2種以上の混成構造
から構成されてFe若しくはCoを主体としてなり、前
記非晶質相は、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希
土類元素のうちの少なくとも1種または2種以上からな
る元素M及び酸素を主体としてなることを特徴とする。
【0023】先に記載の薄膜インダクタの製造方法にお
いて、前記軟磁性膜は、下記の組成式で表されるもので
あることを特徴とする。 (Fe1-aCoa100-y-z-wyzw 但しMは、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、A
l、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希土類元
素のうちの少なくとも1種または2種以上の元素を表
し、Lは、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、S
n、Ti、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
示すa、y、z、wは、0≦a≦0.5、5原子%≦y
≦30原子%、0原子%≦z≦20原子%、5原子%≦
y+z≦40原子%、10原子%≦w≦40原子%であ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態である薄
膜インダクタを図面を参照して説明する。図1〜図3に
示す本発明の薄膜インダクタ1は、基体2と、基体2の
一面21に備えられた2つの電極3、4と、基体2の内
部に埋め込まれて自己インダクタンスとして作用する導
体5と、軟磁性膜6、7と、接続導体8、9とを主体と
して構成されている。
【0025】基体2は、基板2aと、基板2aに積層さ
れた絶縁膜2b〜2eからなる。基板2aは、少なくと
も絶縁膜2b、軟磁性膜7等が形成される上面が絶縁材
料からなるものであればよく、例えば、金属板上に絶縁
材料からなる膜を積層したものであってもよい。また、
基板2aの全体が絶縁材料からなるものであってもよ
い。上記の絶縁材料としては、例えば、ポリイミド系樹
脂、ノボラック系樹脂、オレフィン樹脂、Si、アルミ
ナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウ
ム、ステアタイト、ムライト、コージライト、フォルス
テライト等を例示できる。また絶縁膜2b〜2eは、ポ
リイミド系樹脂、ノボラック系樹脂、オレフィン樹脂、
SiO2、ガラス、硬質炭素膜等からなることが好まし
い。電極3、4には、バンプ状にされた半田メッキ1
1、12が形成されている。半田メッキ11、12は、
通常の半導体素子の実装に用いられる半田材料が用いら
れる。導体5は、絶縁膜2cに埋め込まれて、その一端
5aから他端5bに向けて渦巻き状に巻回されている。
また導体5は、基体2の一面21と平行になるように巻
回されている。導体5の材質は、良好な導電性のある金
属材料、例えばCu、Al、Ag、Auあるいはこれら
の合金等を例示できる。接続導体8は、電極3と導体5
の一端5aを接続するものであって、絶縁膜2c、2
d、2eを貫通するスルーホールとされている。また、
接続導体9は、電極4と導体5の他端5bとを接続する
ものであって、絶縁膜2c、2d、2eを貫通するスル
ーホールとされている。
【0026】この薄膜インダクタ1においては、電極
3、4が、基体2の一面21から露出する接続導体8、
9の先端に取り付けられるので、電極3、4と接続導体
8、9の接続部分における接触面積を大きくすることが
可能になって、電極3、4と接続導体8、9の間の接触
抵抗が低減される。
【0027】軟磁性膜6、7は、微細結晶質相と非晶質
相とが混在した組織を有するものであってFeまたはC
oを主体とする合金であり、高い比抵抗と高い透磁率を
有するものである。軟磁性膜6は、基体2の一面21と
導体5の間に位置して、絶縁膜2d、2eの間に挟まれ
ており、導体5と対向するように設けられている。ま
た、軟磁性膜6は、絶縁膜2dにより導体5から離間さ
れている。更に、軟磁性膜6には、接続導体8が貫通す
るための穴部6aが形成されている。軟磁性膜7は、導
体5と基体2の他面22との間に位置して、基板2aと
絶縁膜2bとの間に挟まれており、導体5と対向するよ
うに設けられている。また、軟磁性膜7は、絶縁膜2b
を介して導体5から離間されている。このようにして、
軟磁性膜6、7は、導体5を挟み、かつ導体5を覆うよ
うに形成されている。薄膜インダクタ1の作動時におい
ては、導体5に交流電流が流れて導体5から発生する磁
束の方向が逐次変化する。軟磁性膜6、7は透磁率が高
いので、この磁束の方向の変化に十分に追従することが
可能であり、導体5のインダクタンスを高く保つことが
可能となる。また、この軟磁性膜6、7により、導体5
から発生する磁束の薄膜インダクタ1外部への漏出が防
がれる。また、軟磁性膜6、7は、絶縁膜2b、2dに
より導体5から離間されて互いに絶縁されているので、
導体5に通電しても導体5と軟磁性膜6、7とが短絡す
ることがない。また、図3に示す薄膜インダクタ1に
は、2つの軟磁性膜6、7が形成されているが、いずれ
か一方の軟磁性膜を省略しても良く、省略する場合に
は、軟磁性膜6を省略するのが好ましい。
【0028】また、基体2には、接着層10が設けられ
ている。接着層10は絶縁膜2c、2dの間に設けられ
て、絶縁膜2c、2d同士を接着している。接着層10
の材質は、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド
等が好ましい。軟磁性膜7と基板2aとの間には、下地
層23が形成されている。下地層23は、Si、SiO
2、Al23、Si34のうちの少なくとも1種または
2種以上からなるものであり、軟磁性膜7がFeを主体
とする合金の場合には、Al23、Si34のうちの1
種または2種からなることが好ましく、軟磁性膜7がC
oを主体とする合金の場合には、Si、SiO2のうち
の1種または2種からなることが好ましい。また、下地
層23は省略されても良い。
【0029】軟磁性膜6、7は、前述したように、微細
結晶質相と非晶質相とが混在した組織を有するFe若し
くはCoを主体とする合金である。微細結晶質相は、平
均結晶粒径が30nm以下のbcc構造、hcp構造、
fcc構造のうちの1種または2種以上の混成構造から
なるものである。また、非晶質相は、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Mo、W、Al、Si、Cr、P、C、
B、Ga、Ge及び希土類元素のうちの少なくとも1種
または2種以上からなる元素M及び酸素を主体としてな
るものである。
【0030】合金組織中における微細結晶質相の割合が
増加し、微細結晶質相の平均結晶粒径が30nmを越え
ると、軟磁性膜の比抵抗が小さくなってしまうので好ま
しくない。酸素を多量に含む非晶質相が合金組織の大半
を占めると、軟磁性膜の比抵抗が大きくなる傾向にあ
る。
【0031】また軟磁性膜6、7は、下記の組成式で表
されるものであることが好ましい。 (Fe1-aCoa100-y-z-wyzw 但しMは、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、A
l、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希土類元
素のうちの少なくとも1種または2種以上の元素を表
し、Lは、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、S
n、Ti、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
示すa、y、z、wは、0≦a≦0.5、5原子%≦y
≦30原子%、0原子%≦z≦20原子%、5原子%≦
y+z≦40原子%、10原子%≦w≦40原子%であ
る。ここで希土類元素とは、周期表の3A族に属するS
c、YあるいはLa、CePr,Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Td、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu
などのランタノイドを指す。
【0032】Feは、軟磁性膜の主成分であり、磁性を
担う元素であり、主として微細結晶質相に含まれる。高
い飽和磁束密度を得るためには、Feの含有量は多いほ
ど好ましいが、Feの含有量が過剰であると軟磁性膜の
組織に占める微細結晶相の割合が大きくなって軟磁性膜
の比抵抗が低下する。一方、Feの含有量が少なすぎる
と微細結晶相の占める割合が少なくなって軟磁性膜の比
抵抗が高くなるが、飽和磁束密度が小さくなるので好ま
しくない。Coは、Feと同様に磁性を担う元素であ
り、主として微細結晶質相に含まれてFeの一部と置換
する。軟磁性膜が良好の軟磁気特性を得るためには、F
eとの組成比を示すaが0.5以下であるのが好まし
く、0.3以下であるとより好ましい。
【0033】元素Mは、軟磁性膜の軟磁気特性を向上さ
せ、かつ比抵抗を高くするために必要な元素である。元
素Mは、酸素と結合しやすいものであって酸化物を形成
し、主に非晶質相中に分布して軟磁性膜の比抵抗を向上
させる。このような効果を得るために元素Mは、少なく
とも5原子%以上含まれるのが好ましく、7原子%以上
含まれるのがより好ましい。但し、元素Mの含有量が過
剰であると、軟磁性膜の軟磁気特性が低下し、更にFe
の含有量が相対的に減少して飽和磁束密度が低下するの
で、元素Mの含有量を30原子%以下とするのが好まし
く、15原子%以下とするとより好ましい。また、元素
Mが、Zr、Hfの一方または両方とすると、軟磁性膜
の磁歪を抑制して軟磁性膜の薄膜化が容易になる。
【0034】元素Lは、軟磁性膜の耐食性、周波数特性
及び磁歪を調整する元素である。但し、元素Lの添加量
が過剰であると、軟磁気特性が低下し、飽和磁束密度が
低下する。従って、元素Lの含有量は、20原子%以下
とするのが好ましく、5原子%以下とするとより好まし
い。また、元素Mと同時に添加する場合には、元素Mと
元素Lとの合計量が5原子%以上40原子%以下とする
のが好ましい。
【0035】酸素は、主として非晶質相中に存在して元
素Mと結合して元素Mの酸化物を形成し、軟磁性膜の軟
磁気特性を向上させ、飽和磁束密度を高めて、周波数特
性を向上させる。この様な効果を得るためには、酸素の
含有量が10原子%以上40原子%以下であることが好
ましく、20原子%以上35原子%以下であるとより好
ましい。
【0036】また、軟磁性膜は、下記の組成式で表され
るものであっても良い。 (Co1-cc100-x-v-uxvu 但しTは、Fe、Niのうちのいずれか一方または両方
を含む元素であり、Eは、Ti、Zr、Hf、Nb、T
a、Mo、W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、
Ge及び希土類元素のうちの少なくとも1種または2種
以上の元素を表し、Gは、Pt、Ru、Rh、Pd、I
r、Os、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
示すc、x、v、uは、0≦c≦0.7、3原子%≦x
≦30原子%、7原子%≦u≦40原子%、0原子%≦
v≦20原子%、20原子%≦x+u+v≦60原子%
である。ここで希土類元素とは、前述と同様に、周期表
の3A族に属するSc、YあるいはLa、CePr,N
d、Pm、Sm、Eu、Gd、Td、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Luなどのランタノイドを指す。
【0037】Coと元素Tは、軟磁性膜の主成分であ
り、主として微細結晶質相に含まれるものであり、軟磁
性膜の磁性を担う元素である。軟磁性膜が高い飽和磁束
密度を得るにはCoと元素Tの含有量が高い程良いが、
Coと元素Tの含有量が過剰であると軟磁性膜の比抵抗
が小さくなる。また、Coと元素Tの含有量が少ないと
飽和磁束密度が低下する。更に、Coは軟磁性膜に一軸
磁気異方性を高める効果がある。また、元素TはFeで
あるとより好ましい。Coと元素Tとの組成比を示すc
は、0.7以下であることが好ましく、元素TがFeで
ある場合には、0.2以上0.7以下とするのが好まし
い。
【0038】元素Eは、軟磁性膜の軟磁気特性を向上さ
せ、かつ比抵抗を高くするために必要な元素である。元
素Eは、酸素と結合しやすいものであって酸化物を形成
し、主に非晶質相中に分布して軟磁性膜の比抵抗を向上
させる。例えば、元素MがHfである場合、HfO2
生成する。このような効果を得るために元素Eは、少な
くとも3原子%以上含まれると好ましく、7原子%以上
含まれるとより好ましい。但し、元素Eの含有量が過剰
であると、軟磁性膜の軟磁気特性が低下し、更にCo及
び元素Tの含有量が相対的に減少して飽和磁束密度が低
下するので、30原子%以下とするのが好ましく、15
原子%以下とするとより好ましい。また、元素Mが、Z
r、Hfの一方または両方とすると、軟磁性膜の磁歪を
抑制して軟磁性膜を薄膜化する効果が得られる。
【0039】酸素は、主として非晶質相中に存在して元
素Eと結合して元素Eの酸化物を形成し、軟磁性膜の軟
磁気特性を向上させ、飽和磁束密度を高めて、周波数特
性を向上させる。従って酸素の含有量は、7原子%以上
40原子%以下とするのが好ましく、20原子%以上3
5原子%以下とするのがより好ましい。更に、軟磁性膜
を構成する元素として、Oの代わりにNが、あるいはO
と共にNが含有されても良い。
【0040】元素Gは、軟磁性膜の耐食性、周波数特性
及び磁歪を調整する元素である。但し、元素Gの添加量
が過剰であると、軟磁気特性が低下し、飽和磁束密度が
低下する。従って、元素Gの含有量は、20原子%以下
とするのが好ましく、19原子%以下とするとより好ま
しい。また、元素Eと同時に添加する場合には、元素E
と元素Lと酸素との合計量が20原子%以上60原子%
以下とするのが好ましい。軟磁性膜の組成を上述の通り
とした場合、その比抵抗は、1000〜3000μΩ・
cmの範囲となる。
【0041】次に、上述の薄膜インダクタ1の製造方法
を、図10〜図23を参照して説明する。この製造方法
は、図10に示すように、仮基板2f上に少なくとも絶
縁膜2d等を積層して複数の絶縁膜部品111を製造
し、基板2a上に軟磁性膜、下部絶縁膜、導体、上部絶
縁膜等を積層して複数の導体部品110を製造し、これ
ら基板2aと仮基板2fを積層することにより絶縁膜部
品111と導体部品110を接合し、仮基板2fを除去
して絶縁膜2dを露出させ、更に絶縁膜2eを積層して
絶縁膜2e上に電極3、4を取り付け、最後に薄膜イン
ダクタ1を切り出す工程を含むものである。
【0042】まず、導体部品110の製造方法を図11
〜図14を参照して説明する。図11において、基板2
aの上面をCMP等の手段により十分に平坦化し、更に
十分に洗浄する。次に、基板2a上に軟磁性膜7を形成
する。軟磁性膜7は、予め軟磁性層を基板2aの全面に
スパッタリング、蒸着等の手段により形成し、フォトレ
ジストを塗布し、更にマスクを載置して露光し、フォト
レジストが残存した部分以外の軟磁性層を除去し、最後
に残存したフォトレジストを除去する工程を含むいわゆ
るリソグラフィ技術により、所定の形状に形成する。ま
た、軟磁性膜7の形成は、軟磁性膜7に十分な酸素を含
有させるために、酸素を含む雰囲気中で行うことが好ま
しく、例えばアルゴン−酸素混合ガス中で行うことが好
ましい。このようにして平坦な基板2aに軟磁性膜7を
形成するので、軟磁性膜7の平坦性が高くなる。
【0043】次に図12において、基板2aと軟磁性膜
7を覆う絶縁膜2b(下部絶縁膜)を形成する。絶縁膜
2bは、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、絶縁樹
脂の塗膜等の手段により形成する。更に、CMP等の手
段により絶縁膜2bの表面を研磨して、絶縁膜2bの表
面を平坦化することが好ましい。次に図13において、
絶縁膜2b(下部絶縁膜)上に導体5を形成する。導体
5は、一端5aから他端5bに向けて渦巻き状に形成さ
れる。導体5は、軟磁性膜7と同様に、フォトリソグラ
フィ技術によって所定の線幅、所定の巻回回数を有する
ように形成する。また、導体5は、導体5の他端5b以
外の部分が軟磁性膜7が形成されている部分からはみ出
さないように形成する。
【0044】次に、図14において、導体5を埋めて絶
縁膜2b(下部絶縁膜)を覆う絶縁膜2c(上部絶縁
膜)を形成する。更に、絶縁膜2cに2つの第2連通孔
19a、20aを形成する。第2連通孔19aは、導体
5の一端5aを露出させるように設けられ、第2連通孔
20aは、導体5の他端5bを露出させるように設けら
れる。第2連通孔19a、20aもフォトリソグラフィ
技術により設けられる。このようにして、導体部品11
0を製造する。
【0045】次に、絶縁膜部品111の製造方法を図1
5〜図17を参照して説明する。図15において、仮基
板2fの表面をCMP等の手段により十分に平坦化し、
更に十分に洗浄する。次に、仮基板2f上に軟磁性膜6
を形成する。軟磁性膜6は、フォトリソグラフィ技術に
より、軟磁性膜6のほぼ中央に穴部6aを有して該穴部
6aから仮基板2fが露出するように略環状に形成され
る。このようにして平坦な仮基板2fに軟磁性膜6を形
成するので、軟磁性膜6の平坦性が高くなる。また、軟
磁性膜6は、軟磁性膜7と同様に、十分な酸素を含有さ
せるために、酸素を含む雰囲気中で成膜することが好ま
しい。尚、仮基板2fの材質は、Al、Cr、Ti、M
o、Cu、Si等の金属を例示できる。
【0046】次に図16において、仮基板2fと軟磁性
膜6とを覆う絶縁膜2dをスパッタリング法、CVD
法、蒸着法、絶縁樹脂塗膜等の手段により形成する。こ
のとき絶縁膜2dは、軟磁性膜6の穴部6aを完全に埋
めるように形成する。更に絶縁膜2dに、2つの第1連
通孔19b、20bを設ける。これらの第1連通孔もフ
ォトリソグラフィ技術により設けられる。第1連通孔1
9bは、軟磁性膜6の穴部6aを貫通して仮基板2fを
露出させるように設けられる。また第1連通孔20b
は、絶縁膜2dの軟磁性膜6が形成されていない部分に
位置して仮基板2fを露出させるように設けられる。こ
のようにして絶縁膜部品111を製造する。更に図17
において、絶縁膜2dの全面に接着層10を積層する。
また、接着層10は、導体部品110の絶縁膜2c(上
部絶縁膜)に積層しても良いし、これら絶縁膜2c、2
dの両方に積層しても良い。
【0047】次に、導体部品110と絶縁膜部品111
を接合し、仮基板2fを除去し、最後に電極3、4を取
り付けて薄膜インダクタ1を完成する方法を図18〜図
23を参照して説明する。まず、図18に示すように、
導体部品110と絶縁膜部品111を、接着層10を介
して絶縁膜2c(上部絶縁膜)と絶縁膜2dとが互いに
向き合うように接合する。このとき、絶縁膜部品111
の第1連通孔19b、20bの位置と導体部品110の
第2連通孔19a、20aの位置とが一致させるように
して絶縁膜部品111と導体部品110を接合する。こ
のようにして、第2連通孔19aと第1連通孔19bと
が連通して孔19を形成し、第2連通孔20aと第1連
通孔20bとが連通して孔20を形成する。孔19は、
絶縁膜2c、2dを貫通して仮基板2fから導体5の一
端5aに至るものであり、孔20は、絶縁膜2c、2d
を貫通して仮基板2fから導体5の他端5bに至るもの
である。次に図19に示すように、仮基板2fをエッチ
ング等の手段により除去して、軟磁性膜6及び絶縁膜2
dを露出させる。また、同時に孔19、20を露出させ
る。更に、導体部品110と絶縁膜部品111の接合の
際に、接着層10の一部が孔19、20を塞ぐ場合があ
り、このときは有機溶剤等により接着層の一部を除去し
て孔19、20を露出させる。
【0048】次に図20に示すように、軟磁性膜6及び
絶縁膜2dを覆う絶縁膜2eをスパッタリング、蒸着、
絶縁樹脂塗膜等により形成する。絶縁膜2eを形成する
際には、孔19、20を絶縁膜2eで塞がないように、
絶縁膜2eを形成した後に絶縁膜2eをエッチングして
孔19、20を開口する。次に図21に示すように、孔
19、20に、導電性の金属をスパッタリング、蒸着ま
たはメッキ等の手段により埋めて、接続導体8、9を形
成する。接続導体8は、軟磁性膜6の穴部6aを貫通し
て導体5の一端5aと接続し、接続導体9は、導体5の
他端5bと接続する。次に図22に示すように、絶縁膜
2e上に電極3、4を取り付ける。電極3は接続導体8
と接続し、電極4は接続導体9と接続する。このように
して薄膜インダクタ1を得る。最後に図23において、
得られた薄膜インダクタ1を切り出す。尚、必要に応じ
て基板2aと軟磁性膜7との間に前述の下地層を形成し
ても良い。また、電極3、4にバンプ状の半田メッキを
設けても良い。更に、絶縁膜部品111の軟磁性膜6を
省略しても良い。
【0049】上述の薄膜インダクタ1は、基体2の内部
に導体5と軟磁性膜6、7が設けられているので、薄膜
インダクタ1の形状を小型化することができる。また、
軟磁性膜6、7が導体5に対向するように設けられてい
るので、導体5のインダクタンスを高くすることができ
ると共に、導体5から発生する磁束が薄膜インダクタ1
の外部に漏れることがない。更に、基体2の一面21に
電極3、4が取り付けられているので、薄膜インダクタ
1を回路基板等に実装する際に、電極3、4を回路基板
の端子等に直接接触させて実装することが可能となり、
薄膜インダクタ1の実装を容易に行うことができると共
に、回路基板に対する実装面積を小さくすることができ
る。更にまた、電極3、4は、接続導体8、9を介して
導体5に接合されているので、導体5と電極3、4の間
の電気抵抗が小さくなって薄膜インダクタ1の電力損失
を小さくすることができる。特に、この薄膜インダクタ
1においては、電極3、4が、基体2の一面21から露
出する接続導体8、9の先端に取り付けられているの
で、電極3、4と接続導体8、9の接続部分における接
触面積を大きくすることが可能になって、電極3、4と
接続導体8、9の間の接触抵抗を低減できる。
【0050】上述の薄膜インダクタ1は、電極3、4に
バンプ状の半田メッキ11、12が設けられているの
で、薄膜インダクタ1を回路基板等の所定に位置に配置
して加熱することにより半田が溶解されて、薄膜インダ
クタ1を回路基板に容易に実装することができる。ま
た、上述の薄膜インダクタ1は、導体5が渦巻き状に形
成されているので、薄膜インダクタ1の総高を小さくす
ると共に導体5の占める面積を小さくして、薄膜インダ
クタ1を小型化することができる。
【0051】上述の薄膜インダクタ1は、基体2が基板
2aと絶縁膜2b〜2eからなるので、薄膜インダクタ
1の総高を小さくすることができる。また、上述の薄膜
インダクタ1は、軟磁性膜7が基板2a上に形成されて
いるので、軟磁性膜7の平坦性を高くすることが可能と
なり、軟磁性膜7の比抵抗が高くなって透磁率が大きく
なり、薄膜インダクタ1のインダクタンスを高くするこ
とができる。更に、軟磁性膜7と基板2aとの間には、
Si、SiO2、Al23、Si3 4のうちの少なくと
も1種または2種以上からなる下地層23が設けられて
いるので、樹脂からなる基板2a上の軟磁性膜7の特性
劣化を抑えることができる。
【0052】上述の薄膜インダクタ1においては、軟磁
性膜6、7が微細結晶質相と非晶質相とが混在した組織
を有するFe若しくはCoを主体とする合金からなり、
軟磁性膜6、7の飽和磁束密度を高くし、かつ比抵抗を
高くすることができるので、渦電流の発生を抑えて高周
波数帯域における透磁率の低下を防止して導体5のイン
ダクタンスを高めることが可能となり、薄膜インダクタ
1のインダクタンスを向上することができる。
【0053】上述の薄膜インダクタの製造方法は、基板
2aに軟磁性膜7、下部絶縁膜2b、導体5、上部絶縁
膜2cを積層してなる導体部品110と、仮基板2fに
軟磁性膜6、絶縁膜2dを積層してなる絶縁膜部品11
1とを予め製造し、これら導体部品110と絶縁膜部品
111を接合するので、軟磁性膜、絶縁膜、導体の平坦
性が高くなり、1つの基板上に多数積層することによる
各絶縁膜の平坦性の低下という問題が生じないので、薄
膜インダクタ1の不良発生を低減することができる。ま
た、導体部品110の形成時には、導体5上には上部絶
縁膜2cを形成するのみなので、絶縁膜の積層による導
体5への応力の印加が小さくなって製造中に導体5が切
断されることがなく、薄膜インダクタ1の不良発生を低
減することができる。更に、導体部品110と絶縁膜部
品111を接合した後に絶縁膜部品111の仮基板2f
を除去するので、薄膜インダクタ1の総高を小さくする
ことができる。
【0054】上述の薄膜インダクタの製造方法において
は、基板2a及び仮基板2f上に軟磁性膜7及び軟磁性
膜6を形成しているので、軟磁性膜6、7の平坦性を高
くすることが可能となり、薄膜インダクタ1の特性を向
上させることができる。また、軟磁性膜6、7は基板2
a、仮基板2f上に直接形成されるので、軟磁性膜の成
膜の工程において基板2a、仮基板2fが加熱されても
基板2a及び仮基板2fから揮発成分が生じることな
く、軟磁性膜6、7が揮発成分によって変質することが
ないので、軟磁性膜6、7の透磁率及び比抵抗が変動す
ることがなく、インダクタンスが高い薄膜インダクタを
製造することができる。
【0055】更に、上述の薄膜インダクタの製造方法に
おいては、導体部品110に導体5の一端5aと他端5
bを露出させる第2連通孔19a、20aを設け、絶縁
膜部品111に第1連通孔19b、20bを設け、これ
ら第1連通孔と第2連通孔の位置を合わせて導体部品1
10と絶縁膜部品111を接合して孔19、20とし、
これら孔19、20に導体5の一端5aと他端5bに接
続する接続導体8、9を形成し、更に電極3、4を取り
付けるので、導体5と電極3、4との間の電気抵抗を小
さくして電力損失が小さい薄膜インダクタ1を製造する
ことができる。
【0056】また、上述の薄膜インダクタ1の製造方法
においては、複数の導体部品110と複数の絶縁膜部品
111とを接合し、電極3、4を取り付けて複数の薄膜
インダクタ1を得た後に薄膜インダクタ1を切り出すの
で、切り出し後の工程が不要になって薄膜インダクタ1
の製造工程を簡略にできる。
【0057】次に、本発明の第2の実施形態である薄膜
インダクタを図56を参照して説明する。尚、これらの
図において、図1〜図3に示す構成要素と同一の構成要
素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】図56に示す薄膜インダクタ301には、
基体2の一面21から側壁面343、344を経て他面
22に向けて延在する断面が略コ字状の電極103、1
04が設けられている。電極103は、基体2の上面2
1から露出する接続導体8に接続され、電極104は、
上面21から露出する接続導体9に接続されている。
【0059】この薄膜インダクタ301は、断面が略コ
字状の電極103、104を取り付けること以外は、前
述の薄膜インダクタ1と同様の製造方法により得られ
る。即ち、図11〜図21の各工程を経た後に、図21
に示す積層物を切り出し、電極103、104を取り付
けることにより製造される。
【0060】上述の薄膜インダクタ301は、前述した
薄膜インダクタ1の効果と同様な効果に加えて、以下の
効果が得られる。即ち、上述の薄膜インダクタ301に
は、基体2の一面21から側壁面343、344を経て
他面22に向けて延在する断面が略コ字状の電極10
3、104が設けられているので、薄膜インダクタ30
1を回路基板等に実装する際に、電極103、104を
回路基板の端子等に直接接触させて実装することが可能
となり、薄膜インダクタ301の回路基板に対する実装
面積を小さくすることができる。従って、上述の薄膜イ
ンダクタ301は、従来のチップ型回路素子の実装技術
をそのまま用いて回路基板等に実装することができる。
また、電極103、104は、接続導体8、9を介して
導体5に接続されているので、接触面積を大きくするこ
とが可能となり、導体5と電極103、104の間の電
気抵抗を小さくして薄膜インダクタ301の電力損失を
小さくすることができる。
【0061】次に、本発明の第3の実施形態である薄膜
インダクタを図4〜図6を参照して説明する。尚、これ
らの図において、図1〜図3に示す構成要素と同一の構
成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】図4〜図6に示す薄膜インダクタ31に
は、つづら折れ状に形成された導体51が設けられてい
る。導体51の一端51aは、接続導体8を介して電極
32に接続されている。また、導体51の他端51b
は、接続導体9を介して電極4に接続されている。軟磁
性膜61は、基体2の一面21と導体51との間に位置
して、絶縁膜2d、2eとの間に挟まれており、導体5
1と対向するように設けられている。また、軟磁性膜6
1は、絶縁膜2dを介して導体51と離間されている。
更に、軟磁性膜61には、接続導体8が貫通するための
穴部61aが形成されている。
【0063】この薄膜インダクタ51は、つづら折れ状
の導体51を形成すること以外は、前述の薄膜インダク
タ1と同様の製造方法により得られる。
【0064】上述の薄膜インダクタ51は、前述した薄
膜インダクタ1と同様の効果が得られる。
【0065】次に、本発明の第4の実施形態である薄膜
インダクタを図7〜図9を参照して説明する。図7〜図
9に示す薄膜インダクタ41は、基体42と、基体42
の対向する2つの側壁面43、44にそれぞれ取り付け
られた2つの電極45、46と、基体41の内部に埋め
込まれて自己インダクタンスとして作用する導体47
と、軟磁性膜48、49と、接続導体161、162と
を主体として構成されている。
【0066】基体42は、2つの基板42a、42b
と、基板42a、42bに挟まれて積層された絶縁膜4
2c〜2fからなる。基板42a、42bは、前述の基
板2aと同様の構成とされる。絶縁膜42c〜42f
は、前述の絶縁膜2b〜2eと同等の材料からなる。導
体47は、絶縁膜42cと絶縁膜42dとの間に位置し
て、その一端47aから他端47bに向けて渦巻き状に
巻回されている。導体47は、前述の導体5と同等の材
料からなる。また、導体47は、つづら折れ状に形成さ
れたものであっても良い。
【0067】接続導体161は、導体47の一端47a
と電極45を接続するものであって、基部導体161a
と連結導体161bとからなる。基部導体161aは、
基板42aと絶縁膜42fとの間に挟まれており、その
一端161cは連結導体161bと接合し、他端161
dは側壁面43から露出して電極45と接合している。
連結導体161bは、基部導体161aの一端161c
から導体47の一端47aに向けて絶縁膜42d、42
e、42fを貫通するスルーホールとされる。このよう
にして、導体47と電極45は、接続導体161により
電気的に接続されている。接続導体162は、導体47
の他端47bと電極46を接続するものであって、導体
47と共に絶縁膜42cと絶縁膜42dに挟まれてい
る。接続導体162の一端162aは導体47の他端4
7bに接続され、接続導体162の他端162bは側壁
面44から露出して電極46と接合している。
【0068】電極45、46は、基体42の側壁面4
3、44に取り付けられ、その一部が基体42の一面6
3と他面64に向けて折曲して延在しており、断面が略
コ字状とされている。
【0069】軟磁性膜48、49は、上述した軟磁性膜
6、7と同等の材料からなるものであって、微細結晶質
相と非晶質相とが混在した組織を有するものであってF
eまたはCoを主体とする合金からなる。軟磁性膜48
は、基体42の一面63と導体47との間、具体的には
絶縁膜42e、42fの間に挟まれており、導体47と
対向するように設けられている。また、軟磁性膜48
は、絶縁膜42eを介して導体5から離間され、絶縁膜
42fを介して基部導体161aから離間されている。
更に、軟磁性膜48には、連結導体161bが貫通する
ための孔48aが形成されている。軟磁性膜49は、導
体47と基体42の他面64との間、具体的には基板4
2bと絶縁膜42cとの間に挟まれており、導体47と
対向するように設けられている。また、軟磁性膜49
は、絶縁膜42cを介して導体47から離間されてい
る。
【0070】このようにして、軟磁性膜48、49は、
導体47を挟み、かつ導体47を覆うように形成されて
いる。薄膜インダクタ41の作動時においては、前述と
同様に導体47に交流電流が流れて導体47から発生す
る磁束の方向が逐次変化する。軟磁性膜48、49は透
磁率が高く、この磁束の方向の変化に十分に追従するこ
とが可能であり、導体47のインダクタンスを高く保つ
ことが可能となる。また、この軟磁性膜48、49によ
り、導体47から発生する磁束の薄膜インダクタ41外
部への漏出が防がれる。また、軟磁性膜48、49は、
絶縁膜42c、42eにより導体47から離間されて絶
縁されているので、導体47に通電しても導体47と軟
磁性膜48、49とが短絡することがない。また、図9
に示す薄膜インダクタ41には、2つの軟磁性膜48、
49が形成されているが、いずれか一方の軟磁性膜を省
略しても良く、省略する場合には、軟磁性膜48を省略
するのが好ましい。
【0071】絶縁膜42d、42eの間には、絶縁膜4
2d、42e同士を接着する接着層10が設けられてい
る。また、軟磁性膜49と基板42bとの間に下地層を
形成しても良い。下地層は、前述した下地層23と同等
の材料からなるものであって、軟磁性膜48、49がF
eを主体とする合金である場合にはAl23、Si34
のうちの1種または2種からなることが好ましく、軟磁
性膜48、49がCoを主体とする合金である場合には
Si、SiO2のうちの1種または2種からなることが
好ましい。
【0072】次に、上述の薄膜インダクタ41の製造方
法を、図24〜図38を参照して説明する。この薄膜イ
ンダクタ41の製造方法は、図24に示すように、基板
42b上に軟磁性膜、下部絶縁膜、導体、上部絶縁膜を
積層して複数の下層部品210を製造し、他の基板42
a上に少なくとも絶縁膜を積層して上層部品211を製
造し、これら基板42a、42bを積層することにより
上層部品211と下層部品210を接合して薄膜インダ
クタ素子41aを形成し、薄膜インダクタ素子41aを
切り出し、最後に電極45、46を取り付けて薄膜イン
ダクタ41を得るというものである。
【0073】まず、下層部品210の製造方法を図25
〜図29を参照して説明する。図25において、基板4
2bの上面をCMP法等の手段により十分に平坦化し、
更に十分に洗浄する。次に、基板42b上に軟磁性膜4
9を形成する。軟磁性膜49は、前述した軟磁性膜7と
同様に、フォトリソグラフィ技術により所定の形状に形
成する。軟磁性膜49の形成は、前述の軟磁性膜7と同
様に、軟磁性膜49に十分な酸素を含有させるために、
酸素を含む雰囲気中で行うことが好ましく、例えばアル
ゴン−酸素混合ガス中で行うことが好ましい。
【0074】次に図26において、基板42bと軟磁性
膜49を覆う絶縁膜42c(下部絶縁膜)を形成する。
絶縁膜42cは、スパッタリング法、CVD法、蒸着
法、絶縁樹脂塗膜等の手段により形成する。更に、絶縁
膜42cの上面を平坦化しておくことが好ましい。次に
図27において、絶縁膜42c(下部絶縁膜)上に導体
47を形成する。導体47は、その一端47aから他端
47bに向けて渦巻き状に形成する。導体47は、軟磁
性膜49と同様に、フォトリソグラフィ技術によって所
定の線幅、所定の巻回回数を有するように形成する。ま
た、導体47は、導体47の他端47b以外の部分が軟
磁性膜49が成膜されている部分からはみ出さないよう
に形成する。更に、絶縁膜42c(下部絶縁膜)上に接
続導体162を形成する。接続導体162は、フォトリ
ソグラフィ技術により略竿状となるように形成され、ま
たその一端が導体47の他端47bと接続するように形
成する。
【0075】次に、図28において、導体47及び接続
導体162を埋めて絶縁膜2c(下部絶縁膜)を覆う絶
縁膜42d(上部絶縁膜)をスパッタリング法、CVD
法、蒸着法、絶縁樹脂塗膜等の手段により形成する。更
に絶縁膜42dに孔70を設ける。孔70は、導体47
の一端47aを露出させるように設ける。次に図29に
おいて、孔70に導電性の金属を埋めて補助導体161
eを形成する。補助導体161eは絶縁膜42dから露
出するように形成する。この様にして、下層部品210
を製造する。
【0076】次に、上層部品211の製造方法を図30
〜図38を参照して説明する。図30において、基板4
2aの表面を十分に平坦化し、更に十分に洗浄する。次
に、基板42a上に基部導体161aを形成する。基部
導体161aは、フォトリソグラフィ技術により略竿状
に形成する。次に図31において、基板42aと基部導
体161aとを覆う絶縁膜42fをスパッタリング法、
CVD、蒸着、絶縁樹脂塗膜等の手段により形成する。
絶縁膜42fの上面は十分に平坦化しておくことが好ま
しい。
【0077】次に図32において、絶縁膜42f上に軟
磁性膜48を形成する。軟磁性膜48は、その中央に穴
部48aを有して絶縁膜42fの一部が露出するように
形成する。穴部48aは、前述のフォトリソグラフィ技
術によって形成される。軟磁性膜48は、軟磁性膜49
と同様に、十分な酸素を含有させるために、酸素を含む
雰囲気中で成膜することが好ましい。次に図33におい
て、絶縁膜42fと軟磁性膜48とを覆う絶縁膜42e
をスパッタリング、CVD、蒸着、絶縁樹脂塗膜等の手
段により形成する。このとき絶縁膜42eは、軟磁性膜
48の穴部48aを完全に埋めるように形成される。更
に、絶縁膜42e、42fを貫通する孔71を形成す
る。孔71は軟磁性膜48の穴部48aを貫通して基部
導体161aの一端161cを露出させるように形成す
る。
【0078】次に図34において、孔71を金属で埋め
て連結導体161bを形成する。連結導体161bは、
その先端が絶縁膜42eより若干突出するように形成す
る。また、連結導体161bは、基部導体161aの一
端161cと接続するように形成する。このようにして
上層部品211を製造する。更に図35において、絶縁
膜42eに接着層10を積層する。このとき、連結導体
161bの突出部の先端を接着層に埋めないために、接
着層10の厚さを連結導体161bの突出部の高さと同
等にしておくことが好ましい。接着層10は、前述の下
層部品210の絶縁膜42dに積層してもよいし、絶縁
膜42d、42eのいずれかに積層しても良い。
【0079】次に、上層部品210と下層部品211を
接合して薄膜インダクタ素子41aを形成し、薄膜イン
ダクタ素子41aを切り出して電極45、46を取り付
けて薄膜インダクタ41を完成する方法を説明する。ま
ず、図36に示すように、下層部品210と上層部品2
11を、接着層10を介して絶縁膜42dと絶縁膜42
eとが向かい合うように接合する。このとき、下層部品
210の補助導体161eと上層部品211の連結導体
161bとが接するように下層部品210と上層部品2
11を接合する。このようにして、基部導体161a、
連結導体161b及び補助導体161eにより接続導体
161が形成される。このようにして薄膜インダクタ素
子41aが形成される。次に、図37に示すように、薄
膜インダクタ素子41aを切り出す。このとき、基部導
体161aと接続導体162が薄膜インダクタ素子41
aの側壁面43、44からそれぞれ露出するように薄膜
インダクタ素子41aを切り出す。最後に図38に示す
ように、接続導体162及び基部導体161aに電極4
6、45をそれぞれ取り付ける。このようにして、薄膜
インダクタ41を製造する。
【0080】上述の薄膜インダクタ41は、前述した薄
膜インダクタ1の効果に加えて、以下の効果が得られ
る。即ち上述の薄膜インダクタ41は、基体2の側壁面
43、44に電極45、46が取り付けられているの
で、薄膜インダクタ41を回路基板等に実装する際に、
電極45、46を回路基板の端子等に直接接触させて実
装することが可能となり、薄膜インダクタ41の回路基
板に対する実装面積を小さくすることができる。従っ
て、上述の薄膜インダクタ41は、従来のチップ型回路
素子の実装技術をそのまま用いて回路基板等に実装する
ことができる。また、電極45、46は、接続導体16
1、162を介して導体47に接続されているので、導
体47と電極45、46の間の電気抵抗を小さくして薄
膜インダクタ41の電力損失を小さくすることができ
る。
【0081】上述の薄膜インダクタの製造方法は、下層
部品210と上層部品211をあらかじめ製造し、これ
ら下層部品210と上層部品211を接合して薄膜イン
ダクタ41を製造するので、多数の絶縁膜を一度に形成
する必要がなく、各絶縁膜の平坦性が向上して軟磁性膜
の特性劣化が防止されると共に薄膜インダクタの製造工
程における不良率を低減することができる。
【0082】次に、本発明の第5の実施形態である薄膜
インダクタを、図39、図40を参照して説明する。図
39、図40に示す薄膜インダクタ201は、基体20
2と、基体202の一面121に備えられた電極20
3、204と、基体202の内部に埋め込まれて自己イ
ンダクタンスとして作用する導体205と、軟磁性膜2
06、207と、接続導体208、209とを主体とし
て構成されている。
【0083】基体202は、基板202aと、基板20
2aに積層された絶縁膜202b〜202dからなる。
基板202aは、前述の基板2aと同様の構成からな
る。絶縁膜202b〜202dは、前述の絶縁膜2b〜
2eと同等の材料からなる。電極203、204には、
バンプ状にされた半田メッキ211、212が形成され
ている。半田メッキ211、212は、通常の半導体素
子の実装に用いられる半田材料が用いられる。導体20
5は、絶縁膜202cに埋め込まれて、その一端205
aから他端205bに向けて渦巻き状に巻回されてい
る。導体205は、前述の導体5と同等の材料からな
る。また、導体205は、つづら折れ状に形成されたも
のであっても良い。接続導体208は、電極203と導
体205の一端205aとを接続するものであって、絶
縁膜202c、202dを貫通するスルーホールとされ
ている。また、接続導体209は、電極204と導体2
05の他端205bとを接続するものであって、絶縁膜
202c、202dを貫通するスルーホールとされてい
る。
【0084】この薄膜インダクタ201においては、電
極203、204が、基体202の一面221から露出
する接続導体208、209の先端に取り付けられるの
で、電極203、204と接続導体208、209の接
続部分における接触面積を大きくすることが可能になっ
て、電極203、204と接続導体208、209の間
の接触抵抗が低減される。
【0085】軟磁性膜206、207は、上述した軟磁
性膜6、7と同等の材料からなるものであって、微細結
晶質相と非晶質相とが混在した組織を有するものであっ
てFeまたはCoを主体とする合金からなる。軟磁性膜
206は、基体202の一面221と導体205との間
に位置して、絶縁膜202c、202の間に挟まれてお
り、導体205と対向するように設けられている。ま
た、軟磁性膜206は、絶縁膜202cにより導体20
55から離間されている。更に、軟磁性膜206には、
接続導体208が貫通するための孔206aが形成され
ている。軟磁性膜207は、導体205と基体202の
他面222との間に位置して、基板202aと絶縁膜2
02bとの間に挟まれており、導体205と対向するよ
うに設けられている。また、軟磁性膜207は、絶縁膜
202bを介して導体205から離間されている。この
ようにして、軟磁性膜206、207は、導体205を
挟み、かつ導体205を覆うように形成されている。薄
膜インダクタ201の作動時においては、前述と同様
に、導体205に交流電流が流れて導体205から発生
する磁束の方向が逐次変化する。軟磁性膜206、20
7は透磁率が高いので、この磁束の方向の変化に十分に
追従することが可能であり、導体205のインダクタン
スを高く保つことが可能となる。また、この軟磁性膜2
06、207により、導体205から発生する磁束の薄
膜インダクタ201外部への漏出が防がれる。また、軟
磁性膜206、207は、絶縁膜202b、202cに
より導体205から離間されて互いに絶縁しているの
で、導体205に通電しても導体205と軟磁性膜20
6、207とが短絡することがない。また、図40に示
す薄膜インダクタ1には、2つの軟磁性膜206、20
7が形成されているが、いずれか一方の軟磁性膜を省略
しても良く、省略する場合には、軟磁性膜206を省略
するのが好ましい。
【0086】また、軟磁性膜207と基板202aとの
間には、下地層223が形成されている。下地層223
は、前述の下地層22と同様の材料からなるものであっ
て、軟磁性膜206、207がFeを主体とする合金で
ある場合にはAl23、Si 34のうちの1種または2
種からなることが好ましく、軟磁性膜206、207が
Coを主体とする合金である場合にはSi、SiO2
うちの1種または2種からなることが好ましい。また、
下地層223は省略されても良い。
【0087】次に、上述の薄膜インダクタ201の製造
方法を、図42〜図50を参照して説明する。この製造
方法は、基板202a上に、軟磁性膜207、絶縁膜2
02b(下部絶縁膜)、複数の導体205…、絶縁膜2
02c(中間絶縁膜)、軟磁性膜206、絶縁膜202
d(上部絶縁膜)を順に積層すると共に、絶縁膜202
cと絶縁膜202dに孔を形成することにより導体20
5の両端205a、205bを露出させ、この孔に導体
205の両端に接続する接続導体208、209を形成
し、接続導体208、209に電極203、204を取
り付け、最後に薄膜インダクタ201を切り出す工程を
含むものである。
【0088】まず、図42において、基板202aの上
面をCMP等の手段により十分に平坦化し、更に十分に
洗浄する。次に、基板202a上に下地層223及び軟
磁性膜207を形成する。下地層223及び軟磁性膜2
07は、予め下地層、軟磁性層を基板202aの全面に
スパッタリング、蒸着等の手段により形成し、フォトレ
ジストを塗布し、更にマスクを載置して露光し、フォト
レジストが残存した部分以外の軟磁性層を除去し、最後
に残存したフォトレジストを除去する工程を含むいわゆ
るリソグラフィ技術により、所定の形状に形成する。ま
た、軟磁性膜207の形成は、軟磁性膜207に十分な
酸素を含有させるために、酸素を含む雰囲気中で行うこ
とが好ましく、例えばアルゴン−酸素混合ガス中で行う
ことが好ましい。このようにして平坦な基板202aに
軟磁性膜207を形成するので、軟磁性膜207の平坦
性が高くなる。
【0089】次に図43において、基板202aと軟磁
性膜207を覆う絶縁膜202b(下部絶縁膜)を形成
する。絶縁膜202bは、スパッタリング法、CVD
法、蒸着法、絶縁樹脂の塗膜等の手段により形成する。
更に、CMP等の手段により絶縁膜202bの表面を研
磨して、絶縁膜202bの表面を平坦化することが好ま
しい。次に図44において、絶縁膜202b(下部絶縁
膜)上に導体205を形成する。導体205は、一端2
05aから他端205bに向けて渦巻き状に形成され
る。導体205は、軟磁性膜207と同様に、フォトリ
ソグラフィ技術によって所定の線幅、所定の巻回回数を
有するように形成する。また、導体205は、導体20
5の他端205b以外の部分が軟磁性膜207が形成さ
れている部分からはみ出さないように形成する。
【0090】次に、図45において、導体205を埋め
て絶縁膜202b(下部絶縁膜)を覆う絶縁膜202c
(上部絶縁膜)を形成する。更に、絶縁膜202cに2
つの第1孔219a、220aを形成する。第1孔21
9aは、導体205の一端205aを露出させるように
設けられ、第1孔20aは、導体205の他端205b
を露出させるように設けられる。第1孔219a、22
0aもフォトリソグラフィ技術により設けられる。
【0091】次に、図46において、絶縁膜202c上
に軟磁性膜206を形成する。軟磁性膜の形成は、前述
の軟磁性膜207の場合と同様に、フォトリソグラフィ
技術により、所定の形状に形成する。軟磁性膜206
は、軟磁性膜206のほぼ中央に穴部206aを有し
て、該穴部206aから絶縁膜202cの第1孔219
aが露出するように略環状に形成される。また、軟磁性
膜206は、軟磁性膜207と同様に、十分な酸素を含
有させるために、酸素を含む雰囲気中で成膜することが
好ましい。
【0092】次に、図47において、絶縁膜202cと
軟磁性膜206とを覆う絶縁膜202dをスパッタリン
グ法、CVD法、蒸着法、絶縁樹脂塗膜等の手段により
形成する。このとき絶縁膜202dは、軟磁性膜206
の穴部206aを完全に埋めるように形成する。更に絶
縁膜202dに、2つの第2孔219b、220bを設
ける。これらの第2孔もフォトリソグラフィ技術により
設けられる。第2孔219bは、軟磁性膜6の穴部6a
を貫通して第1孔219aと連通するように設けられ
る。また第2孔220bは、第1孔220aと連通する
ように設けられる。このようにして第1孔219a、2
20a及び第2孔219b、220bにより、孔21
9、220が形成される。孔219は、絶縁膜202d
(上部絶縁膜)及び絶縁膜202c(中間絶縁膜)を貫
通して導体205の一端205aを露出させるものであ
り、孔220は、絶縁膜202d(上部絶縁膜)及び絶
縁膜202c(中間絶縁膜)を貫通して導体205の他
端205bを露出させるものである。
【0093】次に図48に示すように、孔219、22
0に、導電性の金属をスパッタリング、蒸着またはメッ
キ等の手段により埋めて、接続導体208、209を形
成する。接続導体208は、軟磁性膜206の穴部20
6aを貫通して導体205の一端205aと接続し、接
続導体209は、導体205の他端205bと接続す
る。次に図49に示すように、絶縁膜2d(上部絶縁
膜)上に電極203、204を取り付ける。電極203
は接続導体208と接続し、電極204は接続導体20
9と接続する。このようにして薄膜インダクタ201を
得る。最後に図50において、得られた薄膜インダクタ
201を切り出す。尚、電極203、204にバンプ状
の半田メッキを設けても良い。また、軟磁性膜206の
形成を省略しても良い。
【0094】上述の薄膜インダクタ201は、前述した
薄膜インダクタ1の効果と同様な効果に加えて、次のよ
うな効果が得られる。上述の薄膜インダクタ1は、基体
202が基板202aと3層の絶縁膜202b〜202
dを積層してなるので、基体2が基板2aと4層の絶縁
膜2b〜2eを積層してなる薄膜インダクタ1と比較し
て、その総高をより小さくすることができる。また、上
述の薄膜インダクタ201は接着層がないので、総高を
更に小さくできる。
【0095】また、上述の薄膜インダクタの製造方法
は、基板202aに軟磁性膜207、下部絶縁膜202
b、導体205、中間絶縁膜202c、軟磁性膜206
及び上部絶縁膜202dを順に積層し、接続導体20
8、209を形成して電極203、204を取り付ける
ので、前述の薄膜インダクタ1のごとく2つの部品を張
り合わせる工程が不要となるため、薄膜インダクタの製
造工程をより簡略化することができる。
【0096】次に、本発明の第6の実施形態である薄膜
インダクタを図41を参照して説明する。尚、これらの
図において、図39、図40に示す構成要素と同一の構
成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0097】図41に示す薄膜インダクタ231には、
基体202の一面221から側壁面243、244を経
て他面222に向けて延在する断面が略コ字状の電極2
32、233が設けられている。電極232は、基体2
02の上面221から露出する接続導体208に接続さ
れ、電極233は、上面221から露出する接続導体2
09に接続されている。
【0098】この薄膜インダクタ231は、断面が略コ
字状の電極232、233を取り付けること以外は、前
述の薄膜インダクタ201と同様の製造方法により得ら
れる。即ち、図42〜図48の各工程を経た後に、図4
8に示す積層物を切り出し、電極232、233を取り
付けることにより製造される。
【0099】上述の薄膜インダクタ231は、前述した
薄膜インダクタ201の効果と同様な効果に加えて、以
下の効果が得られる。即ち、上述の薄膜インダクタ23
1には、基体202の一面221から側壁面243、2
44を経て他面222に向けて延在する断面が略コ字状
の電極232、233が設けられているので、薄膜イン
ダクタ231を回路基板等に実装する際に、電極23
2、233を回路基板の端子等に直接接触させて実装す
ることが可能となり、薄膜インダクタ231の回路基板
に対する実装面積を小さくすることができる。従って、
上述の薄膜インダクタ231は、従来のチップ型回路素
子の実装技術をそのまま用いて回路基板等に実装するこ
とができる。また、電極232、233は、接続導体2
08、209を介して導体205に接続されているの
で、接触面積を大きくすることが可能となり、導体20
5と電極232、233の間の電気抵抗を小さくして薄
膜インダクタ231の電力損失を小さくすることができ
る。
【0100】
【実施例】(実験例1)ガラス基板上に種々の組成の軟
磁性膜を成膜し、これらの軟磁性膜の飽和磁束密度、比
抵抗、保磁力及び透磁率を測定した。軟磁性膜の成膜
は、次のようにして行った。まず、RFマグネトロンス
パッタ装置を用いて、Feターゲット上に本発明におけ
る元素Mの各種ペレットを配置した複合ターゲットを用
い、Ar+O2(O2濃度0.1〜1.0%)の雰囲気中で
スパッタを行ない、膜厚が約2μmになるようにスパッ
タ時間を調整した。主なスパッタ条件を以下に示す。 予備排気:1×10-6Torr以下 高周波電力:400W Arガス圧:6〜8×10-3Torr 基板:結晶化ガラス基板(間接水冷) 電極間距離:72mm 成膜後、軟磁性膜の軟磁気特性を改善するため、真空加
熱炉中で、無磁場あるいは磁場中で300〜600℃の
温度範囲で60〜360分間保持し徐冷するアニール処
理を行なった。得られた軟磁性膜の組成は、不活性ガス
融解赤外線吸収法により求めた。また、軟磁性膜の飽和
磁束密度(Bs)と保磁力(Hc)をVSMにより測定
した。比抵抗(ρ)を4端子法により測定した。また、
10MHzにおける透磁率(μeff)を測定した。結果
を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】表1から、Feの含有量が少ないと比抵抗
が増加することがわかる。また、Feの含有量が多くと
も、例えばHfが5原子%未満のもの又は酸素が10原
子%未満のものは、比抵抗が小さくなることがわかる。
なお、表1に示したFe46.2Hf18.235.6の試料の比
抵抗の値は、熱処理前においては194000μΩ・c
mであり、組成、熱処理温度を最適化することにより
2.0×105μΩ・cm程度の比抵抗が得られることが
期待できる。
【0103】(実験例2)外部磁界の周波数を変化させ
て軟磁性膜の透磁率(μeff)を測定した。試験に供し
た軟磁性膜は、Fe54.9Hf1134.1、センダスト膜、
Co系アモルファスリボンを使用し、回転磁場中で40
0℃で6時間の熱処理を施した。なお、Fe54.9Hf11
34.1なる組成の軟磁性膜は、実験例1で得られたもの
を用いた。測定結果を図51に示す。尚、図51中、F
54.9Hf1134.1は実線、センダスト膜は点線、Co
系アモルファスリボンは一点鎖線で示した。図51か
ら、センダスト膜やCo系アモルファスリボンは高周波
帯域になるにつれて透磁率が低下してしまっている。し
かしながら、Fe54.9Hf1134.1なる組成の軟磁性合
金は、高周波帯域であっても高い透磁率を維持している
ことが明白であり、高周波用磁性材料として非常に優れ
ていることがわかる。
【0104】(実験例3)実験例1で得られたFe54.9
Hf1134.1 、Fe46.2Hf18.235.6なる組成の軟
磁性膜について、これらの軟磁性膜の金属組織を、透過
型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、金属組織の微小領
域の組成比をエネルギー分散型X線分析装置(EDS)
にて測定した。結果を図52〜図55に示す。
【0105】図52には、Fe54.9Hf1134.1なる組
成の軟磁性膜の成膜後における金属組織写真の模式図を
示す。この図において斜線を施した領域は、bcc構造
のFeの微結晶質相が析出し、他の非晶質組織と異なっ
た組織になっている。図52に示す斜線部分の面積を計
算したところ、総面積の約50%となり、この例の軟磁
性膜においては、Feの微結晶質相の割合が約50%、
非晶質相の割合が約50%になっていることが明らかに
なった。また、図52に示した5nmの大きさの目盛り
から判断すると、いずれの結晶粒子も充分に小さな結晶
粒径を示していることが判明し、平均結晶粒径を計算し
たところその値は7nmとなった。
【0106】図53は、Fe46.2Hf18.235.6なる組
成の軟磁性膜の成膜後における金属組織写真の模式図を
示す。この図において斜線を施した領域は、bcc構造
のFeの微結晶質相が析出し、他の非晶質組織と異なっ
た組織になっている。図53に示す斜線部分の面積を計
算したところ、総面積の約10%となり、この例の軟磁
性膜においては、Feの微結晶相の割合が約10%にな
っていることが明らかになった。また、図53に示した
5nmの大きさの目盛りから判断すると、いずれの結晶
粒子も更に小さな結晶粒径を示していることが判明し、
平均結晶粒径を計算したところその値は4nmとなっ
た。
【0107】次に、図54には、図53の模式図に示し
た軟磁性膜の結晶質相のEDSによる分析結果を示し、
図55に同じ軟磁性膜の非晶質相の分析結果を示す。こ
れらの結果から、結晶質相の部分は主にbcc構造のF
eが多く含まれ、非晶質相の部分はHfとOとが高濃度
に含まれていることがわかる。なお、図中において、C
uのピークが出ているのは、EDSの試料ホルダによる
ものである。
【0108】図52と図53から得られた結果と、先に
示した表1に示す特性値を対照してみると、図52に示
す金属組織の試料よりも図53に示す金属組織の試料の
方が非晶質相の割合が大きいが、この非晶質相の割合が
大きいことにより表1に示すように比抵抗の値が大幅に
増加し、保磁力は殆ど変化していない。よって、Fe微
結晶相の割合を減少させて非晶質相の割合を増やすこと
により保磁力を変化させることなく比抵抗を大幅に増加
できることが判明した。
【0109】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
薄膜インダクタは、基体の内部に導体と軟磁性膜が設け
られているので、薄膜インダクタの形状を小型化するこ
とができる。また、軟磁性膜が導体に対向するように形
成されているので、導体のインダクタンスを高くするこ
とができると共に、導体から発生する磁束が薄膜インダ
クタの外部に漏れることがない。更にまた、2つの電極
は、接続導体を介して導体に接続されているので、導体
と電極の間の電気抵抗が小さくなって電力損失を小さく
することができる。特に、本発明の薄膜インダクタにお
いて、電極が基板の一面に取り付けられた場合、電極
は、基体の一面から露出する接続導体の先端に接続され
るので、電極と接続導体の接続部分における接触面積を
大きくすることが可能になって、電極と接続導体の間の
接触抵抗を低減でき、薄膜インダクタの電力損失をより
低減できる。
【0110】本発明の薄膜インダクタは、基体が、少な
くとも基板と絶縁膜とからなるので、薄膜インダクタの
総高を小さくすることができる。また、基体に接着層が
含まれる場合であっても、接着層の厚さは基体に対して
極めて薄いので、前述と同様に薄膜インダクタの総高を
小さくすることができる。また、本発明の薄膜インダク
タにおいては、軟磁性膜が基板上に形成されているの
で、軟磁性膜の平坦性を高くすることが可能となり、軟
磁性膜の比抵抗が高くなって透磁率が大きくなり、薄膜
インダクタのインダクタンスを高くすることができる。
また絶縁膜が導体と軟磁性膜の間に位置しているので、
導体と軟磁性膜をそれぞれ絶縁することができる。また
接着層が導体と軟磁性膜の間に位置しているので、導体
と軟磁性膜の間の絶縁を更に高めることができる。
【0111】また、本発明の薄膜インダクタは、基体の
一面に2つの電極が取り付けられているので、薄膜イン
ダクタを回路基板等に実装する際に、電極を回路基板の
端子等に直接接触させて実装することが可能となり、薄
膜インダクタの実装を容易に行うことができると共に、
回路基板に対する実装面積を小さくすることができる。
また、本発明の薄膜インダクタは、基体の側壁面に電極
が備えられているので、薄膜インダクタを回路基板等に
実装する際に、電極を回路基板の端子等に直接接触させ
て実装することが可能となり、薄膜インダクタの回路基
板に対する実装面積を小さくすることができる。また、
従来のチップ型回路素子の実装技術をそのまま用いるこ
とができる。更に、本発明の薄膜インダクタは、基体の
一面から側壁面に向けて延在する電極が備えられてお
り、この電極は、基体の一面から露出する接続導体に取
り付けられているので、電極と接続導体の接続部分にお
ける接触面積を大きくすることが可能になって、電極と
接続導体の間の接触抵抗を低減でき、薄膜インダクタの
電力損失をより低減できると共に、電極を回路基板の端
子等に直接接触させて実装することが可能となり、薄膜
インダクタの回路基板に対する実装面積を小さくするこ
とができる。
【0112】本発明の薄膜インダクタは、バンプ状の半
田メッキが設けられているので、薄膜インダクタを回路
基板等の所定に位置に配置して加熱することにより半田
が溶解されて、薄膜インダクタを回路基板に容易に実装
することができる。また、本発明の薄膜インダクタは、
導体がスパイラル状若しくはつづら折れ状に形成されて
いるので、薄膜インダクタの総高を小さくすると共に導
体が形成される部分の面積を小さくして、薄膜インダク
タを小型化することができる。
【0113】本発明の薄膜インダクタにおいては、軟磁
性膜が微細結晶質相と非晶質相とが混在した組織を有す
るFe若しくはCoを主体とする合金からなり、軟磁性
膜の飽和磁束密度を高くし、かつ比抵抗を高くすること
ができるので、渦電流の発生抑えて高周波数帯域におけ
る透磁率の低下を防止して、導体のインダクタンスを高
めることが可能となり、薄膜インダクタのインダクタン
スを向上することができる。
【0114】また、軟磁性膜と基板との間には、Si、
SiO2、Al23、Si34のうちの少なくとも1種
または2種以上からなる下地層23が設けられているの
で、樹脂からなる基板上に形成した軟磁性膜の特性劣化
を防止することができる。
【0115】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、基
板に軟磁性膜、下部絶縁膜、導体、中間絶縁膜、軟磁性
膜及び上部絶縁膜を順に積層し、接続導体を形成して電
極を取り付けるので、薄膜インダクタの製造工程をより
簡略化することができる。また、本発明の薄膜インダク
タの製造方法は、基板に少なくとも軟磁性膜、下部絶縁
膜、導体、上部絶縁膜を積層してなる導体部品と、仮基
板に少なくとも軟磁性膜、絶縁膜を積層してなる絶縁膜
部品とを予め製造し、これら導体部品と絶縁膜部品を接
合するので、軟磁性膜、各絶縁膜及び導体の平坦性が高
くなり、1つの基板上に多数の絶縁膜を積層することに
よる各層の平坦性の低下という問題が生じないので、軟
磁性膜の特性劣化が防止されると共に、薄膜インダクタ
の不良発生を低減することができる。また、導体部品の
形成時には、導体上には上部絶縁膜を形成するだけなの
で、絶縁膜の積層によるコイルへの応力の印加を小さく
することが可能となって製造中に導体が切断されること
がなく、薄膜インダクタの製造工程における不良発生を
低減することができる。更に、導体部品と絶縁膜部品を
接合した後に絶縁膜部品の仮基板を除去するので、薄膜
インダクタの総高を小さくすることができる。
【0116】また、仮基板及び基板にそれぞれ軟磁性膜
を形成しているので、2つの軟磁性膜の平坦性を高くす
ることが可能となり、軟磁性膜の軟磁気特性が向上して
特性が良好な薄膜インダクタを製造できる。また、2つ
の軟磁性膜は仮基板、基板にそれぞれ形成されるので、
その後の工程において軟磁性膜、仮基板及び基板が加熱
されても仮基板及び基板から揮発成分が生じることな
く、軟磁性膜が変質することがないので、軟磁性膜の透
磁率及び比抵抗が変動することがなく、インダクタンス
が高い薄膜インダクタを製造することができる。
【0117】更に、本発明の薄膜インダクタの製造方法
においては、導体部品に導体の一端と他端を露出させる
2つの第2連通孔を設け、絶縁膜部品に2つの第1連通
孔を設け、これら第1連通孔と第2連通孔の位置を合わ
せて導体部品と絶縁膜部品を接合して2つの孔とし、こ
れら2つの孔に接続導体を形成し、更に2つの電極を取
り付けるので、導体と電極との間の電気抵抗を小さくし
て電力損失が小さい薄膜インダクタを製造することがで
きる。
【0118】本発明の薄膜インダクタの製造方法は、上
層部品と下層部品を形成し、これらを接合して電極を取
り付けることにより薄膜インダクタが得られるので、製
造工程が簡略化されて薄膜インダクタの生産効率を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態である薄膜インダク
タを示す図であって、図1におけるX−X’線の断面図
である。
【図4】 本発明の第3の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図5】 本発明の第3の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態である薄膜インダク
タを示す図であって、図1におけるY−Y’線の断面図
である。
【図7】 本発明の第4の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図8】 本発明の第4の実施形態である薄膜インダク
タの平面図である。
【図9】 本発明の第4の実施形態である薄膜インダク
タを示す図であって、図1におけるZ−Z’線の断面図
である。
【図10】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図11】 本発明の薄膜インダクタの導体部品の製造
方法を示す図である。
【図12】 本発明の薄膜インダクタの導体部品の製造
方法を示す図である。
【図13】 本発明の薄膜インダクタの導体部品の製造
方法を示す図である。
【図14】 本発明の薄膜インダクタの導体部品の製造
方法を示す図である。
【図15】 本発明の薄膜インダクタの絶縁膜部品の製
造方法を示す図である。
【図16】 本発明の薄膜インダクタの絶縁膜部品の製
造方法を示す図である。
【図17】 本発明の薄膜インダクタの絶縁膜部品の製
造方法を示す図である。
【図18】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図19】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図20】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図21】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図22】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図23】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図24】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図25】 本発明の薄膜インダクタの下層部品の製造
方法を示す図である。
【図26】 本発明の薄膜インダクタの下層部品の製造
方法を示す図である。
【図27】 本発明の薄膜インダクタの下層部品の製造
方法を示す図である。
【図28】 本発明の薄膜インダクタの下層部品の製造
方法を示す図である。
【図29】 本発明の薄膜インダクタの下層部品の製造
方法を示す図である。
【図30】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図31】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図32】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図33】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図34】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図35】 本発明の薄膜インダクタの上層部品の製造
方法を示す図である。
【図36】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図37】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図38】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図39】 本発明の第5の実施形態である薄膜インダ
クタの平面図である。
【図40】 本発明の第5の実施形態である薄膜インダ
クタを示す図であって、図39におけるX−X’線の断
面図である。
【図41】 本発明の第6の実施形態である薄膜インダ
クタの断面図である。
【図42】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図43】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図44】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図45】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図46】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図47】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図48】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図49】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図50】 本発明の薄膜インダクタの製造方法を示す
図である。
【図51】 本発明に係るFe54.9Hf1134.1なる組
成の軟磁性膜とセンダスト膜とCo系アモルファスリボ
ンの外部磁界の周波数と透磁率の関係を示すグラフであ
る。
【図52】 本発明に係るFe54.9Hf1134.1なる組
成の軟磁性膜の金属組織の模式図である。
【図53】 本発明に係るFe46.2Hf18.235.6なる
組成の軟磁性膜の金属組織の模式図である。
【図54】 本発明に係るFe46.2Hf18.235.6なる
組成の軟磁性膜の結晶質相におけるエネルギー分散型X
線分析装置(EDS)による分析結果を示す図である。
【図55】 本発明に係るFe46.2Hf18.235.6なる
組成の軟磁性膜の非晶質相におけるエネルギー分散型X
線分析装置(EDS)による分析結果を示す図である。
【図56】 本発明の第2の実施形態である薄膜インダ
クタを示す断面図である。
【符号の説明】
1 薄膜インダクタ 2 基体 3、4 電極 5 導体 6、7 軟磁性膜 8、9 接続導体 10 接着層 11、12 バンプメッキ 21 基体の一面 22 基体の他面 23 下地層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 5E049 AA01 AA04 AA09 AC05 BA30 5E070 AA01 AB02 BA11 CB04 CC10

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の外面に2つの電極が取り付けら
    れ、該基体の内部に自己インダクタンスとして作用する
    導体が設けられ、前記基体の一面と前記導体との間及び
    /または前記導体と前記基体の他面との間に位置して前
    記導体と離間かつ対向する1つまたは2つの軟磁性膜が
    設けられ、 前記基体の内部に前記導体の両端と前記の2つの電極を
    それぞれ接続する接続導体が設けられてなることを特徴
    とする薄膜インダクタ。
  2. 【請求項2】 前記基体は、基板と複数の絶縁膜とが少
    なくとも積層されてなり、 前記軟磁性膜の1つが、前記基板上に形成され、前記絶
    縁膜の少なくとも1つが、前記軟磁性膜と前記導体との
    間に配置されて前記軟磁性膜と前記導体が離間されたこ
    とを特徴とする請求項1記載の薄膜インダクタ。
  3. 【請求項3】 前記基体は、基板と複数の絶縁膜と接着
    層とが少なくとも積層されてなり、 前記軟磁性膜の1つが、前記基板上に形成され、前記絶
    縁膜の少なくとも1つが、前記軟磁性膜と前記導体との
    間に配置されて前記軟磁性膜と前記導体が離間され、前
    記接着層が、前記軟磁性膜と前記導体との間に配置され
    るように構成されたことを特徴とする請求項1記載の薄
    膜インダクタ。
  4. 【請求項4】 前記基体は、2つの基板に複数の絶縁膜
    と接着層とが挟まれてなり、 前記軟磁性膜の1つが、前記一方の基板上に形成され、
    前記絶縁膜の少なくとも1つが、前記軟磁性膜と前記導
    体との間に配置されて前記軟磁性膜が前記導体と離間し
    て設けられ、前記接着層が、前記軟磁性膜と前記導体と
    の間に配置されるように構成されたことを特徴とする請
    求項1記載の薄膜インダクタ。
  5. 【請求項5】 前記2つの電極が前記基体の一面に取り
    付けられたことを特徴とする請求項1記載の薄膜インダ
    クタ。
  6. 【請求項6】 前記2つの電極が前記基体の少なくとも
    1以上の側壁面に取り付けられたことを特徴とする請求
    項1記載の薄膜インダクタ。
  7. 【請求項7】 前記2つの電極が前記基体の一面から側
    壁面に向けて延在するように取り付けられたことを特徴
    とする請求項1記載の薄膜インダクタ。
  8. 【請求項8】 前記2つの電極にバンプ状の半田メッキ
    が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項5
    記載の薄膜インダクタ。
  9. 【請求項9】 前記導体は、前記基体の一面と平行に渦
    巻き状に巻回されてなることを特徴とする請求項1ない
    し請求項4記載の薄膜インダクタ。
  10. 【請求項10】 前記導体は、前記基体の一面と平行に
    つづら折れ状に形成されてなることを特徴とする請求項
    1ないし請求項4記載の薄膜インダクタ。
  11. 【請求項11】 前記軟磁性膜は、微細結晶質相と非晶
    質相とが混在した組織を有する合金であり、 前記微細結晶質相は、平均結晶粒径が30nm以下のb
    cc構造、hcp構造、fcc構造のうちの1種または
    2種以上の混成構造から構成されてFe若しくはCoを
    主体としてなり、 前記非晶質相は、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
    W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希
    土類元素のうちの少なくとも1種または2種以上からな
    る元素M及び酸素を主体としてなることを特徴とする請
    求項1ないし請求項4記載の薄膜インダクタ。
  12. 【請求項12】 前記軟磁性膜は、下記の組成式で表さ
    れるものであることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、11のいずれかに記載の薄膜インダクタ。 (Fe1-aCoa100-y-z-wyzw 但しMは、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、A
    l、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希土類元
    素のうちの少なくとも1種または2種以上の元素を表
    し、Lは、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、S
    n、Ti、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
    たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
    示すa、y、z、wは、0≦a≦0.5、5原子%≦y
    ≦30原子%、0原子%≦z≦20原子%、5原子%≦
    y+z≦40原子%、10原子%≦w≦40原子%であ
    る。
  13. 【請求項13】 前記軟磁性膜と前記基板との間に下地
    層が形成され、前記下地層は、Si、SiO2、Al2
    3、Si34のうちの少なくとも1種または2種以上か
    らなることを特徴とする請求項2ないし請求項4記載の
    薄膜インダクタ。
  14. 【請求項14】 少なくとも前記軟磁性膜あるいは前記
    絶縁膜が積層される前記基板の上面が、絶縁材料からな
    ることを特徴とする請求項2ないし請求項4記載の薄膜
    インダクタ。
  15. 【請求項15】 前記基板が絶縁材料からなることを特
    徴とする請求項2ないし請求項4記載の薄膜インダク
    タ。
  16. 【請求項16】 前記絶縁材料は、ポリイミド系樹脂ま
    たはノボラック系樹脂あるいはオレフィン樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項14ないし請求項15記載の薄
    膜インダクタ。
  17. 【請求項17】 基体の外面に2つの電極が取り付けら
    れ、該基体の内部に、自己インダクタンスとして作用す
    る導体と、該導体と離間する2つの軟磁性膜と、前記導
    体の両端と前記の2つの電極をそれぞれ接続する接続導
    体とが設けられてなる薄膜インダクタを製造する際に、 基板上に、軟磁性膜と下部絶縁膜と自己インダクタンス
    として作用する導体と中間絶縁膜と軟磁性膜と上部絶縁
    膜とを積層すると共に、前記中間絶縁膜と前記上部絶縁
    膜に孔を形成することにより前記導体の両端を露出さ
    せ、 該孔に前記導体の両端と接続する接続導体を形成し、該
    接続導体に電極を取り付けることを特徴とする薄膜イン
    ダクタの製造方法。
  18. 【請求項18】 基体の外面に2つの電極が取り付けら
    れ、該基体の内部に、自己インダクタンスとして作用す
    る導体と、該導体と離間する1つの軟磁性膜と、前記導
    体の両端と前記の2つの電極をそれぞれ接続する接続導
    体とが設けられてなる薄膜インダクタを製造する際に、 基板上に、軟磁性膜と下部絶縁膜と自己インダクタンス
    として作用する導体と上部絶縁膜とを積層し、 前記上部絶縁膜に2つの孔を形成することにより前記導
    体の両端を露出させ、 前記導体の両端と接続する接続導体を前記孔に形成し、
    該接続導体に電極を取り付けることを特徴とする薄膜イ
    ンダクタの製造方法。
  19. 【請求項19】 基体の外面に2つの電極が取り付けら
    れ、該基体の内部に、自己インダクタンスとして作用す
    る導体と、該導体と離間する1つまたは2つの軟磁性膜
    と、前記導体の両端と前記の2つの電極をそれぞれ接続
    する接続導体とが設けられてなる薄膜インダクタを製造
    する際に、 基板上に少なくとも軟磁性膜と下部絶縁膜と自己インダ
    クタンスとして作用する導体と上部絶縁膜とを積層して
    導体部品を形成し、 仮基板上に少なくとも絶縁膜を積層して絶縁膜部品を形
    成し、 前記導体部品の前記上部絶縁膜及び/または前記絶縁膜
    部品の前記絶縁膜に接着層を積層し、該接着層を介して
    前記上部絶縁膜と前記絶縁膜が向き合うように前記導体
    部品と前記絶縁膜部品とを接合し、 前記仮基板を除去することを特徴とする薄膜インダクタ
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記仮基板上に軟磁性膜を積層し、更
    に前記絶縁膜を積層して前記絶縁膜部品を形成すること
    を特徴とする請求項19記載の薄膜インダクタの製造方
    法。
  21. 【請求項21】 前記導体部品に前記上部絶縁膜を貫通
    して前記導体の両端を露出させる2つの第1連通孔を設
    け、前記絶縁膜部品に前記絶縁膜を貫通して前記仮基板
    を露出させる2つの第2連通孔を設け、 前記2つの第1連通孔と前記2つの第2連通孔とをそれ
    ぞれ連通させるように前記導体部品と前記絶縁膜部品を
    接合し、 前記仮基板を除去し、前記第1連通孔と前記第2連通孔
    が連通して形成された2つの孔に前記導体の両端にそれ
    ぞれ接続する接続導体を形成し、該接続導体に電極をそ
    れぞれ取り付けることを特徴とする請求項19または請
    求項20記載の薄膜インダクタの製造方法。
  22. 【請求項22】 基体の外面に2つの電極が取り付けら
    れ、該基体の内部に、自己インダクタンスとして作用す
    る導体と、1つまたは2つの軟磁性膜と、前記導体の両
    端と前記の2つの電極をそれぞれ接続する接続導体とが
    設けられてなる薄膜インダクタを製造する際に、 仮基板上に少なくとも軟磁性膜と下部絶縁膜と自己イン
    ダクタンスとして作用する導体と上部絶縁膜を積層して
    下層部品を形成し、 他の基板上に少なくとも絶縁膜を積層して上層部品を形
    成し、 前記下層部品の前記上部絶縁膜及び/または前記上層部
    品の前記絶縁膜に接着層を積層し、該接着層を介して前
    記上部絶縁膜と前記絶縁膜が向き合うように前記下層部
    品と前記上層部品とを接合することを特徴とする薄膜イ
    ンダクタの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記他の基板上に軟磁性膜を積層し、
    更に前記絶縁膜を積層して前記上層部品を形成すること
    を特徴とする請求項22記載の薄膜インダクタの製造方
    法。
  24. 【請求項24】 前記導体は、前記基板の上面と平行に
    渦巻き状に形成することを特徴とする請求項17、1
    8、19、22のいずれかに記載の薄膜インダクタの製
    造方法。
  25. 【請求項25】 前記導体は、前記基板の上面と平行に
    つづら折れ状に形成することを特徴とする請求項17、
    18、19、22のいずれかに記載の薄膜インダクタの
    製造方法。
  26. 【請求項26】 前記軟磁性膜は、微細結晶質相と非晶
    質相とが混在した組織を有する合金であり、前記微細結
    晶質相は、平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造、
    hcp構造、fcc構造のうちの1種または2種以上の
    混成構造から構成されてFe若しくはCoを主体として
    なり、前記非晶質相は、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Mo、W、Al、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge
    及び希土類元素のうちの少なくとも1種または2種以上
    からなる元素M及び酸素を主体としてなることを特徴と
    する請求項17、18、19、20、22のいずれかに
    記載の薄膜インダクタの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記軟磁性膜は、下記の組成式で表さ
    れるものであることを特徴とする請求項17、18、1
    9、20、22、26のいずれかに記載の薄膜インダク
    タの製造方法。 (Fe1-aCoa100-y-z-wyzw 但しMは、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、A
    l、Si、Cr、P、C、B、Ga、Ge及び希土類元
    素のうちの少なくとも1種または2種以上の元素を表
    し、Lは、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、S
    n、Ti、Au、Ag、Cuのうちの少なくとも1種ま
    たは2種以上の元素を表し、Oは酸素を表し、組成比を
    示すa、y、z、wは、0≦a≦0.5、5原子%≦y
    ≦30原子%、0原子%≦z≦20原子%、5原子%≦
    y+z≦40原子%、10原子%≦w≦40原子%であ
    る。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7477127B2 (en) 2004-09-30 2009-01-13 Tdk Corporation Electronic device having organic material based insulating layer and method for fabricating the same
JP2015056628A (ja) * 2013-09-13 2015-03-23 新光電気工業株式会社 配線基板及びその製造方法
JP2015190017A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 三菱マテリアル株式会社 軟磁性薄膜形成用スパッタリングターゲット

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