JP2000110887A - 免震装置 - Google Patents

免震装置

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JP2000110887A
JP2000110887A JP10278249A JP27824998A JP2000110887A JP 2000110887 A JP2000110887 A JP 2000110887A JP 10278249 A JP10278249 A JP 10278249A JP 27824998 A JP27824998 A JP 27824998A JP 2000110887 A JP2000110887 A JP 2000110887A
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JP
Japan
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buckling
vertical
seismic isolation
isolation device
plates
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JP10278249A
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English (en)
Inventor
Eizaburo Tachibana
英三郎 橘
Takashi Zen
隆史 膳
Tatsuji Matsumoto
達治 松本
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Ataka Construction and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Ataka Construction and Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上下方向の瞬間的な初期衝撃を吸収緩和する
とともに、この吸収緩和をトリガ的に作動せしめ、しか
も作動加重の高精度の設定を可能としかつそのコントロ
ール性を向上できる。又荷重の差異を吸収し、下方の水
平ゴム支承体にかかる荷重を均一化させることができ
る。又上下動吸収具が小型軽量となるため、地震後の上
下動吸収具の交換作業性、保守作業性等を向上させう
る。 【解決手段】 硬質板5と弾性板6との積層体7を有す
る水平免震ゴム支承体2と、座屈筒22の中心孔22H
に粘弾性体23を装填した複数個の上下動吸収具15
を、挟持板13U、13L間に配置した上下動緩衝体3
とからなる。座屈筒22は、耐座屈性を低下した座屈発
生部20を管状基体21に設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水平方向の衝撃に
加え上下方向の衝撃も緩和しうる免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、通常の地震では、周期が1秒以
下の短周期成分が卓越している場合が多いが、非免震の
中低層ビルでは、この地震波の周期に近い固有振動数を
有しているため、大きな地震力を受けやすい。従って、
建物の固有周期を超高層並に延ばして、地震力を低減す
ることが必要であり、そのために、例えば鋼板などの硬
質板とゴム状の弾性板とを交互に重ね合わせて加硫接着
した免震ゴム支承体が提案されている。
【0003】このものは、弾性板によって水平方向に軟
らかいバネ性を有するため、水平方向に周期が長く、地
震時の水平方向の応答加速度を低減するのに有効であ
る。又鉛直荷重に対しては、それと直角に広がろうとす
るのを硬質板が拘束するため剛性が高く、従って、建物
の重量を長期間安定して支える特性を備える反面、上下
方向に対しては非免震の場合と略同じ挙動をとることに
なる。
【0004】しかし、近年の報告によれば、水平動だけ
でなく上下動も極めて大きい地震も観測されており、例
えば先の阪神大震災等においては、最大加速度が上下で
最大507Gal(水平では833Gal)と大きく、
又10〜15秒程度と短時間で水平動、上下動とも略同
時に発生したと報告されている。即ち、瞬間的に大きな
力が水平方向、上下方向の双方からかかったと考えられ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このような都
市直下型地震に対する対応手段が強く望まれており、そ
のために、本出願人は特開平10−140874号公報
に、積層ゴム支承と同心に配する例えばリング状の弾塑
性材(軟鋼等)を、板材間に狭持させた上下衝撃吸収型
の積層ゴム支承を提案している。
【0006】このものは、常時は、前記弾塑性材によっ
て建築物の重量を支持させ、ある所定の荷重をこえて上
下方向の衝撃荷重が作用したとき、弾塑性材に圧縮の塑
性変形を起こさせ衝撃エネルギーを吸収させる。
【0007】しかし塑性変形では、その開始点が比較不
明瞭でありため、弾塑性材をトリガ的に作動させること
ができず、かつ作動の開始荷重を高精度で設定しかつコ
ントロールすることが難しい。又弾塑性材がリング状を
なし周方向に連続するため、弾塑性材の各部に作用する
荷重に差異が生じた場合の、この差異に対する各部の塑
性変形量の追従性に劣り、従って、荷重の差異が下方の
積層ゴム支承にある程度伝わり、水平方向の免震性を阻
害する恐れを招く。しかも地震後において、塑性変形し
た弾塑性材を交換する際、この大型の弾塑性材の全体
を、一度に交換しなければならないなど、交換作業性、
保守作業性等に劣るという問題もある。
【0008】そこで、本発明は、塑性変形に代えて座屈
変形に着目してなされたものであり、その目的は、上下
方向の瞬間的な初期衝撃を吸収緩和し、かつ初期衝撃以
後の上下振動に対して固有振動周期をのばして上下振動
を低減させるとともに、この初期衝撃の吸収緩和をトリ
ガ的に作動せしめ、しかも作動加重の高精度の設定を可
能としかつそのコントロール性を向上させることにあ
る。
【0009】又さらなる目的は、荷重の差異を吸収し、
下方の積層ゴム支承にかかる荷重を均一化させることに
より水平方向の免震効果を高めるとともに、地震後の部
材(上下動吸収具)の交換作業性、保守作業性等を向上
させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願の請求項1の免震装置の発明は、硬質板と弾性
板とを交互に上下に積層し水平動を免震する積層体を有
する水平免震ゴム支承体、及び耐座屈性を低下した座屈
発生部を管状基体に設けてなる座屈筒の中心孔に粘弾性
体を装填した複数個の上下動吸収具を、硬質の2枚の挟
持板間かつ中心周りに配置した上下動緩衝体からなり、
前記水平免震ゴム支承体と上下動緩衝体とを略同心に配
したことを特徴としている。
【0011】又請求項2の発明では、前記2枚の狭持板
は、上下動にのみ相対運動が許容される案内部を介して
係合するとともに、前記水平免震ゴム支承体は、前記積
層体の上下に固定される支持板を具え、一方の狭持板を
一方の支持板に固定したことを特徴としている。
【0012】又請求項3の発明では、前記座屈発生部
は、前記管状基体の外周面又は内周面を周方向に連続し
て凹ませ、かつ管状基体の高さHの30〜70%の巾を
有する溝状凹部であることを特徴としている。
【0013】又請求項4の発明では、前記座屈発生部
は、前記管状基体を軸方向にのび、かつ管状基体の高さ
Hの30〜70%の高さhを有する複数のスリットであ
ることを特徴としている。
【0014】又請求項5の発明では、前記座屈発生部
は、前記溝状凹部と前記スリットとからなることを特徴
としている。
【0015】又請求項6の発明では、前記粘弾性体は、
前記中心孔に充填される前の体積VAを、中心孔の容積
VBの0.8〜1.2倍としたことを特徴としている。
【0016】又請求項7の発明では、前記座屈発生部
は、この座屈発生部での直径Dと肉厚Tとの比D/Tを
20〜40としたことを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。図1は、本発明の免震装置の中
心線に沿った縦断面図(図2のA−A断面図)であり、
図2は、横断面図(図1のB−B断面図)である。
【0018】図において、免震装置1は、水平免震ゴム
支承体2と、この水平免震ゴム支承体2に略同心に連結
される上下動緩衝体3とから形成される。
【0019】前記水平免震ゴム支承体2は、複数の硬質
板5とゴム状の弾性板6とを交互に積層しかつ接合した
積層体7と、この積層体7の上下に例えばボルト等によ
って固定される支持板9U、9Lとを具え、本例では、
この上下の支持板9U、9Lを介して前記上下動緩衝体
3及び例えば建物の基礎である構造体10と一体に連結
する。
【0020】又前記積層体7は、互いに積層する硬質板
5と弾性板6とのうち、弾性板6のゴム弾性により水平
方向に軟らかいバネ性を有し、水平方向に周期が長く、
水平方向の応答加速度を効果的に低減する。又上下方向
の鉛直荷重に対しては、弾性板6に接着する硬質板5が
圧縮によるゴムの広がりを拘束するため剛性が高く、従
って、建物の重量を長期間安定して支持しえる。
【0021】なお前記硬質板5は、剛性を有する例えば
鋼板などの金属製板体からなり、最上段及び最下段に配
される上下の硬質板5U、5Lは、中間の硬質板5Mよ
り厚肉、例えば前記支持板9U、9Lと略同程度の厚さ
で形成している。なお金属製板体と同程度の剛性及び強
度を有するものであるならば、例えばセラミックス、合
成樹脂等の種々の材料の板体が使用できる。又硬質板5
は、種々な方向の揺れにも対応できるように、その外周
面の形状、すなわち外縁の輪郭形状を、方向性のない円
形形状とすることが好ましいが、要求により、四角形、
五角形等の多角形状で形成することもできる。
【0022】又前記弾性板6としては、各種のゴム組成
物が使用できるが、機械的強度、弾性率の長期安定性、
変形能力の長期安定性、耐クリープ性などに優れること
が必要であり、例えば天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム
(CR)などが好ましく使用できる。この弾性板6の厚さ
は、通常、前記中間の硬質板5Mの厚さの1.0〜2.
5倍程度であって、本例では3.0〜10.0mm程度
のゴムを用いている。
【0023】又本例では、前記積層体7には、例えば鉛
プラグ、高減衰ゴムなど減衰性能を有するエネルギ吸収
体11を充填するための中空部12が上下に貫通して設
けられ、この中空部12両端のキャップによって前記エ
ネルギ吸収体11が封止される。
【0024】次に、前記上下動緩衝体3は、鋼板等の硬
質の上下の挟持板13U、13Lと、この挟持板13
U、13L間で狭持される複数個の上下動吸収具15と
を具える。本例では、一方(例えば下)の狭持板13L
を一方(例えば上)の支持板9Uに、ボルト等によって
固定する場合を例示しているが、この狭持板13Lと支
持板9Uとを一体化した一つの共通の板材で構成するこ
ともできる。
【0025】又前記上下の狭持板13U、13Lは、上
下方向にのみ相対運動が許容される案内部16を介して
係合している。この案内部16は、本例では、下の狭持
板13Lの上面かつ中心位置に凹設される案内穴部16
Aと、上の狭持板13Uの下面かつ中心位置で突出し前
記案内穴部16Aにはまり合う突起部16Bとから形成
される。従って案内部16は、地震の際のロッキング現
象や水平方向の剪断変形を強固に阻止し、前記上の狭持
板13Uを、水平方向へ位置ズレすることなく上下方向
にのみ移動可能に案内保持できる。
【0026】なお本例では、上下の狭持板13U、13
Lとして、例えば平板状の基板13aの中央に、案内穴
部16A又は突起部16Bを設けた補助板13bを夫々
ボルトなどによって接合した場合を例示しているが、も
ちろん基板13aと補助板13bとを一体に形成するこ
とも可能である。
【0027】又この上下の狭持板13U、13L間に
は、その中心周りに、例えば6〜10個程度、本例で
は、8個の上下動吸収具15が、略ピッチ間隔で配置さ
れる。なお、狭持板13U、13Lの向き合う面には、
各上下動吸収具15の端部を受けて着座させる比較的浅
底の位置決め用の凹部17を形成している。
【0028】前記上下動吸収具15は、図3、4に示す
ように、耐座屈性を低下した座屈発生部20を管状基体
21の周囲に設けてなる座屈筒22と、この座屈筒22
の中心孔22Hに装填される粘弾性体23とから形成さ
れる。
【0029】前記座屈筒22の管状基体21としては、
例えば構造用等として用いる種々の材質の円管状の鋼管
材が使用でき、その高さHと外径D0との比H/D0が
0.8〜1.2程度のものが好適に用いられる。
【0030】又前記座屈発生部20としては、本例で
は、前記管状基体21の外周面又は内周面、好ましくは
外周面を周方向に連続して凹ませた溝状凹部25と、こ
の溝状凹部25に穿設され管状基体21を軸方向にのび
る複数のスリット26とによって形成している。
【0031】このような座屈筒22は、前記座屈発生部
20の形成により、座屈強度を、座屈発生部20を有さ
ない場合の例えば70%以下に減じることが可能であ
り、座屈強度よりも小な荷重を安定して支持するととと
もに、図5に示すように、座屈強度を越えた荷重に対し
て座屈変形を所定の位置で確実に発生させることができ
る。
【0032】又前記粘弾性体23は、本例では円柱状を
なす比較的軟質のゴム組成物からなる。
【0033】然して、中心周りで円周上に配列する複数
の前記上下動吸収具15は、互いに協同して、座屈強度
よりも小な常時の長期鉛直荷重(建築物の重量等)を、
座屈筒22によって安定して支持する。従って、この長
期鉛直荷重は、粘弾性体23に実質的に負荷されず、疲
労劣化を招くことなく粘弾性特性を長期に亘って維持す
ることができる。
【0034】又座屈荷重を越える上下の衝撃が加わった
場合には、座屈筒22は座屈変形しその衝撃エネルギー
を吸収することができる。このとき、粘弾性体23は、
衝撃緩和に有効であり、又初期衝撃緩和後においては、
上下方向の固有振動周期をのばし、短周期の上下振動を
低減させる。
【0035】しかも座屈変形では、荷重に対する応答性
に優れ、かつ座屈開始点P0である座屈荷重(図9に示
す)がピーク的に明瞭に現れるため、各上下動吸収具1
5に、座屈変形を同時に発生させることができ、建物全
体をバランス良く保持しながら衝撃の吸収緩和をトリガ
的に精度良く作動させることができる。又座屈荷重の値
は、座屈発生部20の寸法によって設定、コントロール
できるなど、高精度を保ちながら座屈発生を容易に制御
することが可能となる。
【0036】さらに複数の上下動吸収具15が互いに独
立して配されるため、各上下動吸収具15は、荷重の大
小に応じた変形量で座屈変形し、この荷重の差異を吸収
しうる。言い換えると、免震装置1に不均一な衝撃荷重
が作用した場合にあっても、その差異を吸収して水平免
震ゴム支承体2側にかかる荷重を均等に再配分でき、水
平方向の免震効果に及ぼす悪影響を排除できる。しか
も、独立する上下動吸収具15の夫々は、小型軽量とな
るため、地震後の交換作業性等が容易となる。この交換
作業は、上の狭持板13Uのジャッキアップ等によって
行われる。
【0037】ここで、座屈変形における、前記粘弾性体
23及びスリット26の影響について説明する。図9
は、上下動吸収具が座屈する際の、「荷重−圧縮変位」
の関係を概念的に示す線図であり、例1(実線)は溝状
凹部25とスリット26とを設けかつ粘弾性体23を装
填した場合を示し、例2(一点鎖線)は例1からスリッ
ト26を排除した場合を示す。
【0038】図9のように、点P0で座屈変形が始ま
り、圧縮変位の増加とともに荷重(反力)は減少する
が、例2では、点P1から粘弾性体23の内圧の影響が
出始めて圧縮限界まで反力が大きく増加する特徴を有す
る。これに対して、例1では、粘弾性体23が内圧増加
に応じてスリット26から流出できるため、反力が安定
する特徴を有する。なお反力の安定する領域が広いほど
設計が容易であり、モデル化しやすくなる。
【0039】このとき、前記溝状凹部25は、その巾W
1を、管状基体21の前記高さHの30〜70%の範囲
とすることが好ましい。又スリット26は、例えば4〜
10本の範囲で均等に形成するのが良く、かつ各スリッ
ト26の開口面積Ssの総和ΣSsを、前記溝状凹部2
5の外周面積S0の0.01〜10%の範囲とするのが
良い。
【0040】もし前記溝状凹部25の巾W1が、前記高
さHの30%未満では、圧縮限界までの圧縮変位が小さ
く衝撃エネルギーの吸収効果に劣り、又特にスリットが
ない場合には、圧縮変位が小さい領域で反力を大きく増
大させてしまう恐れがある。逆に70%を越えると、座
屈による圧縮変位が大きくなって、安定した座屈変形が
得られなくなる恐れがある。従って、巾W1は高さHの
40〜60%がより好ましい。
【0041】又スリット26の開口面積Ssの総和ΣS
sが、前記外周面積S0の0.01%未満の時、粘弾性
体23がほとんど流出しなくなり、反力の増大を招く。
又粘弾性体23への拘束効果が過剰となり、座屈筒22
に座屈が発生し難くなる。逆に10%を越えると、粘弾
性体23の流出が過剰となり、反力が安定化せずに圧縮
変位の増加とともに減少するとともに、初期衝撃緩和後
における上下振動の低減を充分に発揮できなくなる。又
連続的な衝撃荷重によって反力に顕著な増加を招く。
【0042】又粘弾性体23の前記中心孔22Hに充填
される前の体積VAは、図3の如く、中心孔22Hの容
積VBの0.8〜1.2倍の範囲とするのが好ましく、
0.8倍未満では、初期の衝撃緩和に劣りかつ初期衝撃
緩和後における上下振動の低減を充分に発揮できなくな
る。又連続的な衝撃荷重によって反力に顕著な増加を招
く。逆に1.2倍を越えると、粘弾性体23への拘束効
果が過剰となり、座屈筒22が座屈すべき時に座屈し難
くなり、又反力が全体的に高くなる。
【0043】次に、座屈をより精度良く確実に発生させ
るためには、管状基体21の座屈発生部20以外での厚
さT0と、前記溝状凹部25の深さH1との比H1/T
0を0.5〜0.9の範囲、さらには0.6〜0.8の
範囲とするのが好ましい。比H1/T0が0.9を越え
ると肉厚Tが実質的に過小となるなど鉛直荷重支持能力
に劣り、必要な上下の衝撃で均等に座屈すべきところ
を、水平衝撃などの不必要な刺激で座屈したり、或いは
溝状凹部25との境界での応力集中により破断する恐れ
が生じるなど安定した座屈変形が得られなくなる。逆に
比H1/T0が0.5を下回ると、座屈発生位置が特定
できず、衝撃の吸収緩和効果が不足する。
【0044】又前記座屈発生部20での直径Dと、その
肉厚Tとの比D/Tは、20〜40の範囲とするのが良
く、20より小の時、粘弾性体23の弾性が有効に現れ
ず反力の低下が大きくなる。逆に40を越えると、同径
の管状基体21に対して座屈荷重が小さくなってしま
い、鉛直荷重支持能力に劣る。
【0045】図6〜8に、前記座屈発生部20の他の実
施例を説明する。図6において、座屈発生部20は、前
記スリット26を排除した溝状凹部25のみで形成され
る。このとき、前述と同様の理由により、前記溝状凹部
25の巾W1は、管状基体21の前記高さHの30〜7
0%、さらには40〜60%とするのが好ましい。
【0046】又図7、8において、座屈発生部20は、
前記溝状凹部25を排除した例えば4〜10本の複数の
スリット26のみで形成される。このとき、スリット2
6の高さhは、前記高さHの30〜70%、さらには4
0〜60%とするのが好ましく、30%未満では、圧縮
限界が小さく衝撃エネルギーの吸収効果に劣り、又70
%を越えると、座屈による圧縮変位が大きくなり安定し
た座屈変形が得られなくなる恐れがある。又スリット2
6の開口面積Ssの総和ΣSsも、前述と同様の理由に
より、前記座屈発生部20の外周面積S0の0.01〜
10%の範囲とするのが良い。
【0047】
【実施例】(1)表1の仕様に基づき、図4、6の構造
を有する上下動吸収具を試作するとともに、アムスラー
万能試験機を用いて、静的載荷試験を行い、各試供品の
荷重(反力)と圧縮変位との関係を測定し、その結果を
図10、11に示した。
【0048】
【表1】
【0049】図10、11の如く、一定の座屈荷重にお
いて座屈変形が安定して発生している。又スリットが無
い場合(図10)、「反力−圧縮変位」の下降曲線は略
同一線上を通るが、粘弾性体の充填率が高いほど、粘弾
性体の内部応力の影響が早期に現れ、反力の減少を阻止
し衝撃エネルギーの吸収量を大きく確保できる。その反
面、座屈限界に近づくにつれて反力が急増する傾向とな
り、設計が難しくなる。これに対して、スリットを有す
る場合(図11)、急激な反力の上昇がなく安全である
ことが確認できる。なお図10、11には図示していな
いが、充填率が80%、120%の場合も同様の曲率を
えがく。 (2)又実施例N2、S2のものについて、油圧サーボ
式構造物疲労・応用試験装置を用い、静的座屈荷重の
0.9〜1.2倍の上限荷重を連続的に作用して、動的
載荷試験を行った。その時の反力と圧縮変位との関係を
測定し、その結果を図12、13に示した。
【0050】図の如く、動的載荷試験においても静的載
荷試験と同様の変化を示すのが確認された。
【0051】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、
上下方向の瞬間的な初期衝撃を吸収緩和し、かつ初期衝
撃以後の上下振動に対して固有振動周期をのばして上下
振動を低減させるとともに、この初期衝撃の吸収緩和を
トリガ的に作動せしめ、しかも作動加重の高精度の設定
を可能としかつそのコントロール性を向上できる。
【0052】又荷重の差異を吸収し、下方の水平ゴム支
承体にかかる荷重を均一化させることができる。その結
果、水平ゴム支承体による水平方向の免震効果を高める
ことができる。又上下動吸収具が小型軽量となるため、
地震後の上下動吸収具の交換作業性、保守作業性等を向
上させうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の免震装置の縦断面図(図2
のA−A断面図)である。
【図2】その横断面図(図1のB−B断面図)である。
【図3】上下動吸収具の一例を示す縦断面図である。
【図4】その斜視図である。
【図5】その座屈変形の状態を示す断面図である。
【図6】上下動吸収具の他の例を示す斜視図である。
【図7】上下動吸収具のさらに他の例を示す斜視図であ
る。
【図8】その縦断面図である。
【図9】上下動吸収具が座屈する際の、「荷重−圧縮変
位」の関係を概念的に示す線図である。
【図10】静的載荷試験における実施例N1〜N4の
「荷重−圧縮変位」の関係を示す線図である。
【図11】静的載荷試験における実施例S1〜S4の
「荷重−圧縮変位」の関係を示す線図である。
【図12】動的載荷試験における実施例N2の「荷重−
圧縮変位」の関係を示す線図である。
【図13】動的載荷試験における実施例S2の「荷重−
圧縮変位」の関係を示す線図である。
【符号の説明】
2 水平免震ゴム支承体 3 上下動緩衝体 5 硬質板 6 弾性板 7 積層体 9U、9L 支持板 13U、13L 挟持板 15 上下動吸収具 16 案内部 20 座屈発生部 21 管状基体 22 座屈筒 22H 中心孔 23 粘弾性体 25 溝状凹部 26 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 達治 兵庫県神戸市西区王塚台7丁目14番 スカ イハイツ王塚台202号 Fターム(参考) 3J048 AA02 BA08 BA18 BD08 DA03 EA38

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬質板と弾性板とを交互に上下に積層し水
    平動を免震する積層体を有する水平免震ゴム支承体、及
    び耐座屈性を低下した座屈発生部を管状基体に設けてな
    る座屈筒の中心孔に粘弾性体を装填した複数個の上下動
    吸収具を、硬質の2枚の挟持板間かつ中心周りに配置し
    た上下動緩衝体からなり、 前記水平免震ゴム支承体と上下動緩衝体とを略同心に配
    したことを特徴とする免震装置。
  2. 【請求項2】前記2枚の狭持板は、上下動にのみ相対運
    動が許容される案内部を介して係合するとともに、前記
    水平免震ゴム支承体は、前記積層体の上下に固定される
    支持板を具え、一方の狭持板を一方の支持板に固定した
    ことを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 【請求項3】前記座屈発生部は、前記管状基体の外周面
    又は内周面を周方向に連続して凹ませ、かつ管状基体の
    高さHの30〜70%の巾を有する溝状凹部であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の免震装置。
  4. 【請求項4】前記座屈発生部は、前記管状基体を軸方向
    にのび、かつ管状基体の高さHの30〜70%の高さh
    を有する複数のスリットであることを特徴とする請求項
    1又は2記載の免震装置。
  5. 【請求項5】前記座屈発生部は、前記溝状凹部と前記ス
    リットとからなることを特徴とする請求項4記載の免震
    装置。
  6. 【請求項6】前記粘弾性体は、前記中心孔に充填される
    前の体積VAを、中心孔の容積VBの0.8〜1.2倍
    としたことを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  7. 【請求項7】前記座屈発生部は、この座屈発生部での直
    径Dと肉厚Tとの比D/Tを20〜40としたことを特
    徴とする請求項1記載の免震装置。
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