JP2000110031A - 分割型複合繊維およびそれからなる不織布 - Google Patents

分割型複合繊維およびそれからなる不織布

Info

Publication number
JP2000110031A
JP2000110031A JP27733598A JP27733598A JP2000110031A JP 2000110031 A JP2000110031 A JP 2000110031A JP 27733598 A JP27733598 A JP 27733598A JP 27733598 A JP27733598 A JP 27733598A JP 2000110031 A JP2000110031 A JP 2000110031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conjugate fiber
polyester
nonwoven fabric
polyolefin
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27733598A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Kamimura
徹 上村
Tomoyasu Nakada
智康 中田
Hiroyuki Watanabe
博之 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP27733598A priority Critical patent/JP2000110031A/ja
Publication of JP2000110031A publication Critical patent/JP2000110031A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割型複合繊維の繊維断面を均一で安定した
形態とすることにより、容易に分割できる分割型複合繊
維およびこの複合繊維からなる優れた柔軟性と風合いを
有する不織布を提供する。 【解決手段】 溶融粘度比が下式(1)を満足するポリ
エステルとポリオレフィンとからなる分割型複合繊維で
あって、ポリエステルとポリオレフィンとが繊維横断面
において放射状に合計8以上のセグメントに交互配列
し、各セグメントの繊度が0.4デニール以下であるこ
とを特徴とする分割型複合繊維。 (1)0.5≦A/B≦12 但し、AおよびBは、それぞれポリエステル、ポリオレ
フィンの溶融粘度(dPa・sec)で、温度280
℃、剪断速度1000sec-1における値を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一な繊維断面形
態を有し、分割性に優れる複合繊維、およびこの分割型
複合繊維からなり、柔軟な風合い、嵩高性を有し、医療
衛生材用、または拭取用に好適に使用することができる
不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、分割型複合繊維を集積した
後、この繊維を分割させた極細繊維からなる柔軟性、お
よび風合いが良好な不織布が種々提案されている。
【0003】特開平9−111536号公報には、弾性
収縮率の異なる3成分の熱可塑性樹脂からなる分割型複
合繊維であって、スパイラル捲縮を発現し、分割後の繊
度が0.5デニール以下の極細繊維からなる不織布が開
示され、特開平7−26454号公報には、分割型複合
繊維の繊維横断面に関して、互いに非相溶性の成分を偏
って分布させることにより、弛緩熱処理で5個/25m
m以上のスパイラル捲縮を発現する分割型複合繊維を用
いた不織布が開示されている。
【0004】しかしながら、これらのスパイラル捲縮を
発現する分割型複合繊維を用いた不織布ではカード通過
性においては、機械捲縮を付与した繊維より改善される
が、3成分複合繊維、および成分を偏らせる繊維構造と
することにより、曳糸性が不安定となり、紡糸調子が悪
くなりやすい。また、繊維がスパイラル捲縮を有してい
るため、分割性能が低く、不織布中に部分的に分割され
ていない繊維が比較的多く残存するため、極細繊維の量
が少なくなり、柔軟性、感触性に乏しい不織布になると
いう問題があった。
【0005】また、近年、さらに高い柔軟性が求められ
ている中、これらの分割型複合繊維の分割数を多くする
ことによって、また、分割型複合繊維の単糸繊度を小さ
くすることによって、分割型複合繊維の分割により発現
する極細繊維の単糸繊度を小さくして、柔軟性をさらに
向上させることは容易に考えられる。しかし、この方法
では、製糸性が悪化する、紡糸装置としてより煩雑なも
のが必要である等の問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解消し、繊維断面形態を均一で安定化させることによ
り、容易に分割が可能で、優れた柔軟性と風合いを有す
る不織布を得ることのできる分割型複合繊維およびそれ
からなる不織布を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果、ポリエステル
とポリオレフィンの溶融粘度比が特定の範囲を満たし、
セグメント数を規制して分割後の繊度を細くすることに
より目的が達成されることを見出し、本発明に到達し
た。
【0008】すなわち、本発明は、溶融粘度比が下式
(1)を満足するポリエステルとポリオレフィンとから
なる分割型複合繊維であって、ポリエステルとポリオレ
フィンとが繊維横断面において放射状に合計8以上のセ
グメントに交互配列し、各セグメントの繊度が0.4デ
ニール以下であることを特徴とする分割型複合繊維を要
旨とするものである。 (1)0.5≦A/B≦12 但し、AおよびBは、それぞれポリエステル、ポリオレ
フィンの溶融粘度(dPa・sec)で、温度280
℃、剪断速度1000sec-1における値を示す。
【0009】また、本発明は、前記分割型複合繊維の分
割により発現した0.4デニール以下のポリエステルお
よび/またはポリオレフィンからなる極細繊維で構成し
ていることを特徴とする不織布を要旨とするものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分割型複合繊維は、特定粘度比を有するポリエ
ステルとポリオレフィンからなる。すなわち、ポリエス
テルの溶融粘度とポリオレフィンの溶融粘度との関係
は、ポリエステルの溶融粘度をAとし、ポリオレフィン
の溶融粘度をBとしたとき、0.5≦A/B≦12を満
足するものを用いる必要がある。ここでいう溶融粘度と
は、温度280℃、剪断速度1000sec-1の時の値
をいう。
【0011】ポリエステルの溶融粘度(A)とポリオレ
フィンの溶融粘度(B)との粘度比(A/B)が、0.
5未満であると、繊維横断面において、ポリオレフィン
が繊維断面の外側に多く露出し、ポリエステルが繊維断
面の中央部で集結して島を形成するため、本発明が目的
とする断面形状のものが得られず、また、後工程におけ
る物理的な処理で分割し難くなり、目的とする柔軟性、
感触性に優れた不織布が得られないため好ましくない。
一方、粘度比(A/B)が12を超えると、ポリオレフ
ィンが繊維断面の中央部で集結して島を形成し、ポリエ
ステルが繊維表面を覆うため、上記と同じ理由で好まし
くない。
【0012】本発明で用いるポリエステルは、主たる繰
り返し単位をエチレンテレフタレートとするものが好ま
しいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、1,
4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジ
オール成分、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加
体などの芳香族ジオール成分、アジピン酸、セバシン酸
などの脂肪族ジカルボン酸成分、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸成分等を共重合したものでもよく、ま
た、安定剤、蛍光剤、顔料、強化剤等を添加したもので
もよい。
【0013】本発明で用いるポリオレフィンは、炭素原
子の数が2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えば
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,3
−メチルブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ド
デセン−1、オクタデセン−1のホモポリオレフィン又
は共重合ポリオレフィンがある。脂肪族αモノオレフィ
ンは他のオレフィン、または少量(重合体重量の約10
重量%)の他のエチレン系不飽和ポリマー、例えばブタ
ジエン、イソプレン、ペンタジエン−1,3、スチレ
ン、α−メチルスチレンの如き類似のエチレン系不飽和
モノマーが共重合されていても良い。特にポリエチレン
の場合、重合体重量の約10重量%までのプロピレン、
ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1又は類似の高
級α−オレフィンと共重合させたものが好ましい。
【0014】また、触媒の中和剤およびポリマーと金属
の滑剤とする目的で、ポリオレフィン中に炭素数12〜
20の高級脂肪酸の脂肪族アルカリ土類金属塩を含有さ
せることが好ましいが、その含有量は1500ppmま
でとする。含有量が1500ppmを超えると、紡糸口
金の吐出孔周辺に異物が蓄積し、ポリマーの流動方向を
阻害して、均一な繊維断面形状のものが得られず、分割
性能が低下する傾向となる。炭素数12〜20の高級脂
肪酸の脂肪族アルカリ土類金属塩としては、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられ
る。
【0015】分割型複合繊維の横断面は、ポリエステル
とポリオレフィンとが放射状に合計8以上のセグメント
に交互配列したものである。図1は、本発明に用いる分
割型複合繊維の一例を示す断面図であり、ポリエステル
とポリオレフィンとが放射状に交互配列しており、セグ
メント数の合計が20の例である。セグメント数が8未
満の複合繊維であると、分割後に発現する極細繊維の繊
度を小さくするために分割型複合繊維の繊度を小さくし
なければならず、これを小さくすると、目的とする断面
形態が得られにくく、また、紡糸操業上、問題が発生し
やすいため好ましくない。セグメント数の上限に関して
は、多ければ多いほど分割後の繊度が小さくなるという
利点があるが、繊維製造上の容易さから、セグメント合
計は8〜30セグメント程度とすることが好ましい。
【0016】分割型複合繊維を構成するポリエステルお
よびポリオレフィンからなる各セグメントの繊度は、
0.4デニール以下、好ましくは0.3デニール以下とす
る。分割型複合繊維は衝撃により各ポリマーからなるセ
グメントの境界面で分割し、各セグメントからなる極細
繊維を少なくとも発現するが、このセグメントの繊度が
0.4デニールを超えると、本発明の分割型複合繊維の
分割により発現する極細繊維で構成される不織布に本発
明が目的とする柔軟性、風合いを付与することができな
いため好ましくない。
【0017】分割型複合繊維の単糸繊度は、1〜12デ
ニールであることが好ましい。単糸繊度が1デニール未
満では、目的とする断面形態が得られにくく、また、溶
融紡糸する際の紡糸口金の単孔当たりの吐出量が低下
し、生産量が低下する傾向にあり、一方、生産量を向上
させるために、紡糸口金の孔数を増加させると、紡糸工
程が不安定になる。単糸繊度が12デニールを超える
と、溶融紡糸された糸条の冷却やエアーサッカーによる
引き取りが困難になる傾向にあり、また、糸条の冷却を
促進させるため、紡糸口金の孔数を減らすと、生産量が
低下する。さらには、30を超えるセグメントを有する
断面形態にしなければならないため、煩雑な紡糸装置が
必要となる。
【0018】本発明の分割型複合繊維は、一般に以下の
如き方法で製造される。すなわち、従来公知の溶融複合
紡糸法で紡糸され、横吹付や環状吹付等の従来公知の冷
却装置を用いて、吹付風により冷却された後、油剤を付
与し引き取りロ−ラ−を介して未延伸糸として巻取機に
巻取られる。引き取りロ−ラ−速度は500m/分〜2
000m/分である。巻取られた未延伸糸を複数本引き
揃え、公知の延伸機にて周速の異なるロ−ラ−群間で延
伸される。次いで、前記延伸トウを押し込み式捲縮付与
装置にて捲縮を付与した後、所定の繊維長に切断して短
繊維を得ることができる。尚、要求される用途により延
伸トウを構成ポリマーの融点以下の温度で熱セットを行
ってもよい。
【0019】次に、本発明の分割型複合繊維を用いて得
られる不織布について説明する。まず、分割型複合繊維
をカード工程で開繊して、ウエブを形成する。得られた
ウエブに分割割繊処理を施して、分割型複合繊維を構成
するセグメント同士の境界面で分割させ、0.4デニー
ル以下のポリエステルおよび/またはポリオレフィンか
らなる極細繊維を発現させる。
【0020】分割型複合繊維からなるウエブに衝撃を与
えて極細繊維を発現させる方法としては、ウエブを機械
的に加工処理して分割割繊する方法、ウエブに高圧液体
流処理を施し衝撃を与えて分割割繊する方法、ウエブに
ニードルパンチ処理を施して衝撃を与えて分割割繊する
方法が適用される。
【0021】機械的な加工処理にて割繊する方法として
は、例えば、座屈加工機すなわち一対のロールを通じて
ウエブを押し込み式クリンパー内へ押し込み、ウエブを
座屈させて分割割繊する方法、ウエブを一対のギアロー
ルに通して屈曲させることにより分割割繊する方法、ウ
エブを複数のガイド間に通し擦過屈曲させて分割割繊す
る方法、ウエブを液体中に浸漬して液流により分割割繊
する方法等が挙げられる。なお、機械的な加工処理にて
割繊する場合は、ウエブに部分的熱圧着処理等を施すこ
とにより構成繊維同士を一体化させて布帛化しておく。
【0022】高圧液体流処理を施し衝撃を与えて分割割
繊する方法とは、水を噴射孔から高圧力で噴射させて得
られる水流(高圧液体流)により分割割繊することをい
う。具体的には、孔径0.05〜2.0mmの噴射孔
が、噴射孔間隔0.05〜10mmで一列ないし複数列
に配置した装置を用い、噴射孔から液体を20〜200
kg/cm2Gの圧力で噴射して、支持板に載置したウ
エブに衝突させる。水流の圧力、噴射孔の列数、処理速
度、処理回数等の処理条件は、不織布の用途等に応じて
適宜選択すればよい。支持板としては、ウエブと支持板
とを高圧液体流が貫通する構成のものであればよく、メ
ッシュスクリーンや有孔板を用いるとよい。メッシュス
クリーンの組織やメッシュの大きさ等を適宜選択するこ
とによって、不織布の表面形態を平滑とする他、孔形状
や模様等を付与することができる。また、高圧液体流の
作用により、分割型複合繊維を分割すると同時に、分割
により発現した極細繊維同士が緻密に三次元的に交絡一
体化するため、不織布化も同時に行うことができる。
【0023】高圧液体流処理を施した不織布において、
メッシュスクリーンとして細かい目のもの(100メッ
シュ程度)を用いて得られたものは、表面平滑なもので
あり、0.4デニール以下の極細繊維が緻密に交絡した
嵩密で、通気度が低く、フィルター性能の高いものが得
られる。このような不織布において、通気度が40cm
3/cm2・sec以下、さらには30cm3/cm2・s
ec以下のものを得ることができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、測定法等は次のとおりである。 (1)溶融粘度(dPa・sec) 島津製作所製のフローテスターCFT−500を用い
て、温度280℃、プレヒート時間180秒で、荷重の
重さを種々変えて溶融粘度を測定し、剪断速度1000
sec-1の時の値を溶融粘度を測定した。 (2)単糸繊度(デニール) JIS L−1015の方法により測定した。 (3)ポリエステルまたはポリオレフィンからなるセグ
メントの繊度(デニール) JIS L−1015の方法により単糸繊度を測定し、
セグメント数と繊維を構成するポリエステルとポリオレ
フィンの密度と比率より各セグメントの繊度を算出し
た。 (4)分割率(%) 高圧液体流処理後の不織布の断面を電子顕微鏡で観察
し、次式で算出した。なお、分割率が80%以上を合格
とした。 分割率(%)=(a/b)×100 a:セグメント数の約90%以上が分割した繊維の本数 b:分割前の繊維の本数 (5)不織布の目付(g/m2) JIS P−8142の方法により測定した。 (6)不織布の通気度(cm3/cm2・sec) カトーテック社製、通気性測定装置KESF−8型を用
い、JIS L−1096の方法により測定した。 (7)不織布の嵩密度(g/cm3) 作成した不織布に5g/cm2の荷重をかけた時の厚み
をノギスを用いて測定し、測定した厚みと目付値から算
出した。 (8)不織布の剛軟度(g) JIS L−1096の試料幅10cm、試料長10c
mの試料片を3枚準備し、DAIEI KEIKI製風
合メータ(MODEL FM−2)を使用した。15m
m幅のスリット上に試料片を置いて、アームが試料をス
リット間に押し込む時に、最高何gの力が必要かを試料
の表裏について、縦横方向、4箇所で測定し、その合計
値を求めた。試料片3枚の平均値を不織布の剛軟度とし
て表した。剛軟度が60g未満を合格とした。 (9)不織布の風合い 10人のパネラーが手触り評価を行い、一人につき10
点を満点として採点し、その合計点で評価した。なお、
合計点評価は、60点以上を合格とした。 10点評価 10〜8点 : 非常に肌触りがよく柔らかい。 6〜7点 : 肌触りがよく柔らかい。 4〜6点 : やや硬い。 3点未満 : 硬い。
【0025】実施例1 分割型複合繊維を構成するポリマーとして、溶融粘度1
800dPa・secのポリエチレンテレフタレート
と、溶融粘度1250dPa・secのポリプロピレン
を使用した。そして、繊維断面形状が図1に示す如き形
態でセグメント数が20個になる複合紡糸口金を用い、
ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンの溶融容
積比を50:50の割合で溶融紡糸し、延伸、捲縮付与
を行い、裁断し、単糸繊度3デニール(ポリエチレンテ
レフタレートのセグメント繊度が0.19デニール、ポ
リプロピレンのセグメント繊度が0.11デニール)、
繊維長51mmの分割型複合繊維を得た。得られた分割
型複合繊維をカード工程で開繊し、目付80g/m2
ウエブを形成した。
【0026】このウエブを100メッシュのメッシュス
クリーンからなるネットコンベアー上に供給し、孔径
0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する
噴射ノズルを3段階に設け、前段20kg/cm2、中
段40kg/cm2、後段100kg/cm2の水圧でウ
エブの表裏に水流交絡処理を施し、ウエブの構成繊維の
分割化と交絡化を行い、不織布を得た。噴射ノズルとネ
ットコンベアーの間隔は50mmで、ネットコンベアー
の速度は100m/分とした。
【0027】実施例2〜5、比較例1〜2 ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンの溶融粘
度を表1に示すごとく変えた以外は、実施例1と同様の
方法で分割型複合繊維、および不織布を得た。得られた
実施例1〜5、比較例1〜2の不織布の物性を表1に示
す。
【0028】
【表1】 実施例1〜5は、分割型複合繊維の繊維断面における二
成分の中央部での集結が少なく、安定した断面形態を保
持することができ、その複合繊維より得られた不織布
は、分割率87%以上の高い分割率を有するものであっ
て、極細繊維同士が緻密に交絡し合い、通気度が40c
3/cm2・sec以下で、柔軟性に富み、表面平滑で
ソフトな風合いを有するものであった。
【0029】一方、比較例1、2は、ポリエステルとポ
リプロピレンの粘度比が0.5≦A/B≦12の範囲を
外れており、比較例1では、粘度比が高かったため、分
割型複合繊維の断面において、ポリエステルからなるセ
グメントとポリプロピレンからなるセグメントが均一に
交互配列せず、中央部にポリプロピレンの島が形成され
た。得られた不織布は、均一な繊度を有する極細繊維が
得られず、また分割率の低いものとなり、柔軟性に劣
り、風合いの硬いものとなった。
【0030】また、比較例2では、粘度比が低かったた
め、分割型複合繊維の断面において、ポリエステルから
なるセグメントとポリプロピレンからなるセグメントが
均一に交互配列せず、分割型複合繊維の断面中央部にポ
リエステルの島が形成された。得られた不織布は、均一
な繊度を有する極細繊維が得られず、また分割率の低い
ものとなり、柔軟性に劣り、風合いの硬いものとなっ
た。
【0031】実施例6〜8、比較例3〜4 分割型複合繊維のセグメント数と分割後の繊度を表2に
示すように変えた以外は、実施例1と同様の方法で分割
型複合繊維、および不織布を得た。得られた結果も併せ
て表2に示す。
【0032】
【表2】 実施例6〜8で得られた不織布は、分割型複合繊維の繊
維断面において二種のポリマーは中央部での集結がほと
んどなく、均一で安定した断面形態を保持することがで
きた。その複合繊維より得られた不織布は、分割率87
%以上の高い分割率を有するものであり、極細繊維同士
が緻密に交絡しあい、通気度が40cm 3/cm2・se
c以下で、柔軟性に富み、表面平滑でソフトな風合いを
有するものであった。
【0033】一方、比較例3、4は、分割型複合繊維の
セグメント数が少ないため、分割率は高いが、分割後の
繊度が大きいため、不織布は嵩密度が低くなり、不織布
の通気度が高くなった。
【0034】また、極細繊維の剛性が大きく、本発明が
目的とする柔軟性に富み、風合いの良好な不織布を得る
ことはできなかった。
【0035】比較例5 分割型複合繊維のセグメント数を図1に示す如き形態で
6に変更し、分割後の繊度を0.4デニール以下となる
ように単糸繊度を変えた以外は、実施例1と同様の方法
で分割型複合繊維を得ようとしたが、紡糸時に糸条切断
が多発し、操業性が著しく劣り、分割型複合繊維を連続
生産することができなかった。
【0036】実施例9、10 ポリプロピレン中に表3に示す量のステアリン酸カルシ
ウムを含有させた以外は、実施例1と同様の方法で分割
型複合繊維、および不織布を得た。得られた結果も併せ
て表3に示す。
【0037】
【表3】 実施例9、10は、ポリプロピレン中に含有されるステ
アリン酸カルシウムが1500ppm以下であるため、
紡糸工程における紡糸口金の吐出孔周辺に異物が蓄積せ
ず、均一で安定した繊維断面形態の分割型複合繊維とな
った。この複合繊維により得られた不織布は、分割率が
約90%である分割率を有するものであり、極細繊維同
士が緻密に交絡しあい、通気度が40cm3/cm2・s
ec以下で、柔軟性に富み、表面平滑でソフトな風合い
を有するものであった。分割性能が良好であり、嵩高で
柔軟性に優れた風合いを有するものであった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、ポリオレフィンとポリ
エステルとからなる分割型複合繊維において、ポリオレ
フィンとポリエステルの溶融粘度比を特定の範囲とする
ことによって、紡糸時の両ポリマーの溶融流れを均一と
することができ、繊維断面中央部での両ポリマーの集結
や操業調子の悪化を防ぐことができ、本発明のごとき、
分割数が多く、煩雑なノズル構成のものであっても、繊
維断面形態を均一で安定化することができたものであ
る。また、この分割型複合繊維は、不織布化の際の分割
率が高く、均一な極細繊維からなる優れた柔軟性と風合
いを有し、ワイピング性能の高い不織布を得ることがで
きる。
【0039】このように、柔軟性、風合い、肌触り等に
おいて優れる本発明の不織布は、化粧材料、衛生材料お
よび医療材料等の肌に接する用途に好適に用いることが
でき、また、ガラス、鏡、眼鏡、宝石、家具、OA機
器、車等のミクロの汚れを拭き取るワイパーとして、家
庭用や産業用のフィルターとして、おしぼりやお尻拭き
等の日用品等、その他様々な分野に好適に用いることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分割型複合繊維の一例を示す断面図であり、
セグメント数の合計が20の例を示す。
【符号の説明】 1 ポリオレフィンからなるセグメント 2 ポリエステルからなるセグメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 BA04 BA05 BA12 BA24 BA49 BA59 BC20 BD06 BD07 BD11 BD20 CA06 CA38 DD01 DD04 DD06 DD14 EE06 EE20 4L045 AA05 BA03 BA06 BA21 BA34 BA39 BA54 BA58 BA60 BB15 CA40 DA45 4L047 AA14 AA21 AA27 AB02 AB08 BA04 BA05 CA19 CC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融粘度比が下式(1)を満足するポリ
    エステルとポリオレフィンとからなる分割型複合繊維で
    あって、ポリエステルとポリオレフィンとが繊維横断面
    において放射状に合計8以上のセグメントに交互配列
    し、各セグメントの繊度が0.4デニール以下であるこ
    とを特徴とする分割型複合繊維。 (1)0.5≦A/B≦12 但し、AおよびBは、それぞれポリエステル、ポリオレ
    フィンの溶融粘度(dPa・sec)で、温度280
    ℃、剪断速度1000sec-1における値を示す。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィンが炭素数12〜20の高
    級脂肪酸の脂肪族アルカリ土類金属塩を1500ppm
    以下含有することを特徴とする請求項1記載の分割型複
    合繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の分割型複合繊維
    の分割により発現した0.4デニール以下のポリエステ
    ルおよび/またはポリオレフィンからなる極細繊維で構
    成されていることを特徴とする不織布。
  4. 【請求項4】 構成繊維同士が三次元的に交絡一体化
    し、通気度が40cm3/cm2・sec以下であること
    を特徴とする請求項3記載の不織布。
JP27733598A 1998-09-30 1998-09-30 分割型複合繊維およびそれからなる不織布 Pending JP2000110031A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27733598A JP2000110031A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 分割型複合繊維およびそれからなる不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27733598A JP2000110031A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 分割型複合繊維およびそれからなる不織布

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000110031A true JP2000110031A (ja) 2000-04-18

Family

ID=17582103

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27733598A Pending JP2000110031A (ja) 1998-09-30 1998-09-30 分割型複合繊維およびそれからなる不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000110031A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008146898A1 (en) 2007-05-24 2008-12-04 Es Fibervisions Co., Ltd. Splittable conjugate fiber, aggregate thereof, and fibrous form made from splittable conjugate fibers

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008146898A1 (en) 2007-05-24 2008-12-04 Es Fibervisions Co., Ltd. Splittable conjugate fiber, aggregate thereof, and fibrous form made from splittable conjugate fibers
JP2010528194A (ja) * 2007-05-24 2010-08-19 Esファイバービジョンズ株式会社 分割型複合繊維、その集合体および該分割型複合繊維を用いた繊維成形体
KR101223951B1 (ko) * 2007-05-24 2013-01-18 이에스 화이바비젼즈 가부시키가이샤 분할형 복합 섬유, 그의 응집체, 및 분할형 복합 섬유로 제조된 섬유상 성형체
TWI393808B (zh) * 2007-05-24 2013-04-21 Es Fiber Visions Co Ltd 可分割共軛纖維、其集合體與由可分割共軛纖維製成的纖維成形體
US8541323B2 (en) 2007-05-24 2013-09-24 Es Fibervisions Co., Ltd. Splittable conjugate fiber, aggregate thereof, and fibrous form made from splittable conjugate fibers

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104520484B (zh) 制造短切微纤维的方法
JPH11217757A (ja) 短繊維不織布およびその製造方法
WO2000053831A1 (fr) Fibre conjuguee clivee, procede de production associe, et article forme a l'aide de cette fibre
JP4229115B2 (ja) ナノファイバー集合体
JP6241072B2 (ja) 海島型複合繊維
JP6090156B2 (ja) 複合繊維、人工皮革用基体および人工皮革
JP2909164B2 (ja) 吸水性能の優れた複合繊維および不織布
WO2020044911A1 (ja) 人工皮革基材、その製造方法及び立毛人工皮革
JP2000110031A (ja) 分割型複合繊維およびそれからなる不織布
JP3957355B2 (ja) 海島型繊維及びこれを用いた不織布
JP3113124B2 (ja) 極細繊維ウエブの製造方法
JP2000110030A (ja) 分割型複合繊維およびこれからなる不織布
JP2000129538A (ja) 分割型複合繊維およびこれからなる不織布
JP4728160B2 (ja) 分割型複合繊維、繊維集合物および不織布
JPH10280262A (ja) 不織布およびその製造方法
JP4453179B2 (ja) 分割繊維及びこれを用いた繊維成形体
JP2003089955A (ja) 極細繊維不織布およびその製造方法
JP4026279B2 (ja) 分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形体
JP2020056135A (ja) 分割型複合繊維、それを用いた短繊維不織布及びその製造方法
JP4026280B2 (ja) ポリオレフィン系分割型複合繊維、その製造方法及びその繊維を用いた繊維成形体
JP2001115337A (ja) 分割型複合繊維
KR100408541B1 (ko) 피브릴성 폴리에스테르 섬유의 제조방법 및 그 방사구금
JP2001115336A (ja) 分割型複合繊維
JP4791212B2 (ja) 分割型複合短繊維及び短繊維不織布
JPH0881832A (ja) ポリエステル系分割型複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050831

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070521

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070529

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071016