JP2000109852A - 重質油の水素化処理方法 - Google Patents

重質油の水素化処理方法

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JP2000109852A JP10284085A JP28408598A JP2000109852A JP 2000109852 A JP2000109852 A JP 2000109852A JP 10284085 A JP10284085 A JP 10284085A JP 28408598 A JP28408598 A JP 28408598A JP 2000109852 A JP2000109852 A JP 2000109852A
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Takao Nozaki
隆生 野崎
Ryuichiro Iwamoto
隆一郎 岩本
Hiroshi Uchikawa
啓 内川
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重質油の水素化処理計画に対応した水素
化処理触媒を用いた重質油の水素化処理方法の提供。 【解決手段】 水素化処理触媒の細孔構造、粒子形状、
バナジウム堆積量等から算出されるメタル許容量を重質
油の水素化処理計画から計算される触媒へのメタル堆積
量以上とする重質油の水素化処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は触媒を用いた重質油
の水素化処理方法に関するものであり、詳しくは該触媒
の細孔容積、細孔直径、既バナジウム堆積量、体積当た
りの外表面積等から算出されるメタル許容量が、重質油
の水素化処理におけるバナジウム堆積量以上となるよう
な水素化処理触媒を用いた重質油の水素化処理方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】石油精製においては各種の留分を水素化
処理により精製する工程は多数あり、そのための触媒も
各種開発されている。ナフサ、灯油、軽油等の脱硫脱窒
素触媒や、重質軽油の脱硫脱窒素触媒、分解触媒、さら
には残油、重油の脱硫脱窒素触媒などが代表的である。
そのうちでも、比較的沸点が低く、バナジウム等の金属
不純物含有量のほとんどないナフサや灯油、軽油を処理
する水素化処理工程に用いられる触媒は使用による劣化
の度合いが少ない。すなわち、これらの触媒は使用によ
りバナジウム等による劣化はなく、ほとんどは少量の炭
素質の蓄積または熱により劣化してしまう。
【0003】しかし、残渣油のようなさらに沸点の高
い、あるいは蒸留できない留分を含む重質油の水素化処
理においては、原料油中に含まれる金属不純物やアスフ
ァルテン分等の炭素質化し易い成分が多く、これらが使
用中や使用済み触媒上に多量の金属分や炭素質を堆積さ
せる。また、質的にも金属分と炭素質が同時に蓄積した
使用済み触媒は簡単には炭素質の燃焼除去ができなく、
燃焼により除去をしても厳しい燃焼条件のため、触媒担
体の細孔構造や活性金属相の担持状態等の変化もが大き
く触媒としての機能が望めなかった(Catal.To
day vol.17 No.4 P539(199
3),Catal.Rev.Sci.Eng.33(3
&4)P281(1991))。このため、これらのバ
ナジウムがある程度付着した使用済み触媒は再利用され
ることはなく処分されていた。
【0004】特開平5−123586号にはメタル蓄積
量1〜2%の使用済み触媒の再生利用法について記載さ
れているが、その評価の方法や寿命の予測方法について
は開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水素化処理
触媒を用いた重質油の処理において、物性および使用経
歴ならびに重質油の水素化処理計画から触媒のバナジウ
ム被毒による失活を防止する重質油の水素化処理方法を
提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、重質油水素化処理において触媒のバナジウム堆積
による失活を、その細孔容積、細孔直径、バナジウム堆
積量、体積当たりの外表面積等から算出されるメタル許
容量が重質油の水素化処理計画から予測されるバナジウ
ム堆積量以上となる触媒を用いれば好適に重質油の水素
化処理ができることを見い出し本発明を完成したもので
ある。
【0007】すなわち、本発明の要旨は下記のとおりで
ある。(1) 下記の式〔1〕で表されるメタル許容量
MPrが、重質油の水素化処理計画に基づく計画バナジ
ウム堆積量VAp(下記の式〔2〕で表す)以上である
水素化処理触媒を反応器に充填して、使用する重質油の
水素化処理方法。 メタル許容量 MPr= (PV/2Vv)×{8×105 ×(PD)1.3 }×(Sp/Vp)−VA ・・・〔1〕 ここで PV :新触媒時の細孔容積(m3 /kg) Vv :1kgの新触媒上にバナジウムが1重量%堆積
したときの硫化 バナジウムとして換算したときの体積= 3.8×10
-6(m2 /%kg) PD :新触媒時の平均細孔直径(m) Sp :新触媒時の1粒の平均外表面積(m2 ) Vp :新触媒時の1粒の平均体積(m3 ) VA :既バナジウム堆積量(%)(新触媒基準)
【0008】
【数2】
【0009】ここで VAp:計画バナジウム堆積量(重量%)(新触媒基
準) i :1回の触媒充填期間中でi番目の水素化処理条
件での運転 n :1回の触媒充填期間中で最後( n番目)の水素
化処理条件での運転 RCi :i番目の水素化処理条件での運転中の計画累積
原料油通油量(kg) Vci :i番目の水素化処理条件での原料油中のバナジ
ウム含有率(バナジウムkg/原料油kg) DVi :i番目の水素化処理条件での計画脱バナジウム
率(重量%) CW :充填触媒量(新触媒基準)(kg) (2) 計画脱バナジウム率DVを下記の式〔3〕に
より推定する(1)記載の重質油の水素化処理方法。
【0010】 計画脱バナジウム率DV=a×DS+b ・・・〔3〕 ここで DV :計画脱硫率 (重量%) a :係数 1.8≦a≦2.2 b :係数 −105≦b≦−95 (3) 水素化処理触媒の比表面積が60〜220m2/g
である(1)または(2)に記載の重質油の水素化処理
方法。
【0011】(4) 水素化処理触媒の細孔容積が0.
3×10-3〜1.2×10-33 /kgである(1)〜
(3)のいずれかに記載の重質油の水素化処理方法。 (5) 水素化処理触媒の最大長の平均が1.6〜1
0.0mm、最大長1.5mm以下のものが10重量%
以下、最大長1.0mm以下のものが5重量%以下であ
る(1)〜(4)のいずれかに記載の重質油の水素化処
理方法。
【0012】(6) 水素化処理触媒の形状が実質的に
柱状であり、その軸方向の長さの平均が1.6〜10.
0mmで、長さ1.5mm以下のものが10重量%以
下、長さ1.0mm以下のものが5重量%以下である
(1)〜(5)のいずれかに記載の重質油の水素化処理
方法。 (7) 水素化処理触媒が無機酸化物担体にモリブデ
ン、タングステン、ニッケル、コバルトのうち少なくと
も1種の金属種を担持した触媒である(1)〜(6)の
いずれかに記載の重質油の水素化処理方法。
【0013】(8) 重質油の水素化処理に使用した
後、酸化を含む再生処理をした触媒を用いる(1)〜
(7)のいずれかに記載の重質油の水素化処理方法。 (9) 重質油の水素化処理が重質油の水素化脱硫処理
または水素化脱硫脱メタル処理である(1)〜(8)の
いずれかに記載の重質油の水素化処理方法 (10) 重質油の水素化処理期間中、水素化処理触媒
のメタル許容量MPrからその重質油の水素化処理によ
り堆積した計算メタル堆積量VAcを差し引いた値よ
り、残りの水素化処理処理計画に基づく残余計画バナジ
ウム堆積量VAp2の値が小さくなるように保つ運転管
理をする重質油の水素化処理方法。
【0014】ここで VAc :既に運転をした期間中に触媒上に堆積しバナ
ジウムの堆積量(重量%)(新触媒基準) VAp2:残りの水素化処理期間中に対する、計画バナ
ジウム堆積量VAp(重量%)(新触媒基準) (11) 重質油の水素化処理が重質油の水素化脱硫処
理、脱メタル処理または水素化脱硫脱メタル処理である
(10)記載の重質油の水素化処理方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につき
説明する。本発明は、重質油の水素化処理において特定
の物性、組成の触媒を使用して特定の水素化処理計画に
もとずいて水素化処理をする方法を提供するものであ
る。重質油の水素化処理はいろいろな目的で行われてい
るが、主目的としては脱硫、分解などが多い。これらの
場合でも、通常は生成油の金属分や窒素分を除去するこ
とを兼ねており、重油製造のための脱硫プロセスでは、
製品重油の硫黄含有量のほか、窒素含有量、金属分含有
量は製品の重要な品質管理項目となっている。たとえ
ば、重質油脱硫プロセスはガソリン製造用の接触分解プ
ロセスの前処理用に利用されることがあるが、接触分解
用の原料としては硫黄分だけでなく窒素分、金属分の低
減や芳香族炭化水素類への水素付加が必要となる場合が
ある。さらに、これらの水素化処理プロセスにおいては
付加価値の高い軽油留分を多く得るために分解機能をも
要求される場合もある。また、水素化分解プロセスのよ
うに分解触媒の触媒毒となる原料油中の窒素化合物を予
備的に水素化脱窒素反応により除去する場合もある。
【0016】ここでは、重質油の水素化処理とは、上記
のような重質油に対する各種の水素化処理を言い、主目
的の水素化処理反応のみの場合はもちろん、他の水素化
処理反応と同時に行わせたり、他の反応の前処理や後処
理のための水素化処理をも含む。つぎに、触媒について
説明する。本発明の触媒は、通常用いられる重質油の水
素化処理触媒(硫化処理済みの触媒を含む)であれば良
い。これらは重質油等の水素化処理に使用し終えた使用
済み触媒や、それを再生処理した再生水素化処理触媒で
もよい。通常は、使用により触媒上に原料油に起因する
炭素、バナジウム等が付着したものを一旦反応器から排
出した触媒(使用済み触媒)やそれを再生したものであ
る。
【0017】本発明では、使用中に触媒上へのバナジウ
ム堆積により失活しそれ以上使用できなくなる触媒と、
水素化処理を計画通り最後まで活性を保って実施できる
触媒を選別でき、使用できる触媒を特定することができ
る。本発明では、単に触媒上へのバナジウム堆積量で判
断するのではなく、個々の触媒の耐バナジウム性(バナ
ジウム許容量)と使用による触媒上へのバナジウム堆積
量に特定の関係を持つ触媒により重質油を水素化処理す
る必要がある。すなわち、本発明の触媒は下記の式
〔1〕に示すメタル許容量MPrが、下記の式〔2〕に
示す計画バナジウム堆積量VAp以上である。
【0018】 メタル許容量 MPr= (PV/2Vv)×{8×105 ×(PD)1.3 }×(Sp/Vp)−VA ・・・〔1〕 ここで PV :新触媒時の細孔容積(m3 /kg) Vv :1kgの触媒上にバナジウムが1重量%堆積し
た時のそれを 硫化バナジウムとみなしたときの体積= 3.8×10
-6(m3 /%kg) PD :新触媒時の平均細孔直径(m) Sp :新触媒時の1粒の平均外表面積(m2 ) Vp :新触媒時の1粒の平均体積(m3 ) VA :既バナジウム堆積量(重量%)(新触媒基準)
【0019】
【数3】
【0020】ここで VAp:計画バナジウム堆積量(重量%)(新触媒基
準) i :1回の触媒充填期間中でi番目の水素化処理条
件での運転 n :1回の触媒充填期間中で最後( n番目)の水素
化処理条件での運転 RCi :i番目の水素化処理条件での運転中の計画累積
原料油通油量(kg) Vci :i番目の水素化処理条件での原料油中のバナジ
ウム含有率(バナジウムkg/原料油kg) DVi :i番目の水素化処理条件での計画脱バナジウム
率(重量%) CW :充填触媒量(新触媒基準)(kg) 式〔1〕のメタル許容量MPrは触媒がバナジウム堆積
により失活し寿命が来るまでに、さらに許容できるバナ
ジウム堆積量の指標である。この値が大きいほど多量の
バナジウム堆積を許容できることとなる。MPrは3以
上、好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上である
ことが望ましい。処理する原料油のバナジウム含有量が
多い場合や、厳しい水素化処理条件により脱バナジウム
率の高い場合などはMPrは高めのものが適している。
なお、市販の新触媒(バナジウム堆積量VAが0%の場
合)のMPrの値は通常は50以下であり、脱メタル触
媒では20〜35、脱硫触媒では10〜25のものが多
い。
【0021】式〔1〕の第1項は新触媒時のバナジウム
堆積許容量を表し、新触媒の細孔容積等の初期物性によ
り決まるものであり、触媒の使用や再生処理により変化
するものではない。PVは新触媒時の細孔容積である。
Vvは1kgの新触媒上にバナジウムが1重量%堆積し
たときのそれを硫化バナジウムとみなしたときの体積で
あり、定数3.8×10-6(m3 /%kg)である。な
お、通常の水素化処理ではバナジウムは硫化バナジウム
として堆積すると考えられる。PDは新触媒時の平均細
孔直径である。なお、PVおよびPDは触媒を測定前に
500℃で焼成したものを基準とし窒素吸着法により測
定した値を用いる。
【0022】式〔1〕の第1項中の{8×105 ×(P
D)1.3 }で表現される部分は、検討をした各種の触媒
の解析結果より得られたもので、触媒の細孔中へのバナ
ジウムの拡散深さである。拡散深さは通常、(拡散係数
/反応速度定数)-0.5に比例し、拡散係数は触媒細孔直
径に比例するとされている(参照 化学工学便覧第27
章)。しかし、本発明者等の研究によれば、本発明に係
る触媒においては上記のように(触媒細孔直径PD)
1.3 に比例することが見いだされた。
【0023】Spは新触媒時の1粒の外表面積であり、
平均値としての値である。また、Vpは新触媒時の1粒
の体積であり、Spと同様平均値である。(Sp/V
p)は平均としての個々の触媒の体積当たりの外表面積
であり、新触媒製造時の形状により特定される。また、
式〔1〕の第2項VAは新触媒基準の既バナジウム堆積
量(重量%)であり、使用により触媒上に堆積したバナ
ジウムの量である。この第2項の既バナジウム堆積量V
Aは一般に少なくとも一度は水素化処理に使用された触
媒の場合に現れるものである。一度も水素化処理に使用
されていない触媒は0であるからである。なお、VAは
触媒上に堆積したバナジウムと表現しているが、かなら
ずしも触媒上に堆積していなくともよい、触媒の細孔中
や触媒の中に進入したり、触媒成分等と反応しているも
のも含んだものを意味している。VAは0.1%以上の
値であることが好ましい。使用済み触媒では通常、この
値は0.1%〜70%を示す場合が多いからである。
【0024】式〔2〕の計画バナジウム堆積量VApは
本発明を実施するにあたり、水素化処理触媒を充填して
使用し始めてから終了するまでの間に予定している水素
化処理の全期間における触媒上へのバナジウムの堆積量
(新触媒基準の重量%)である。すなわち、予定してい
る水素化処理の全期間における水素化処理条件がn回あ
るとして、i番目の処理条件での計画バナジウム堆積量
VApi を算出し、その総和を計画バナジウム堆積量V
Apとする(記号に添字iが付いているものはi番目の
水素化処理条件下でのその記号の意味を表す、以下同
じ。)。計画累積原料油通油量RCi (i番目の処理条
件での累積の原料油通油量(kg))と計画原料油中の
バナジウム含有率Vci (i番目の処理条件でのバナジ
ウム含有率(バナジウムkg/原料油kg))と計画脱
バナジウム率DVi (重量%)の積の総和を充填触媒量
CW(kg)で除したものである。すなわち、水素化処
理の全期間中に予測される触媒上へのバナジウムの堆積
量を百分率で表したものである。
【0025】この計画バナジウム堆積量VApは、計画
脱硫率DSから推定してもよい。すなわち、通油原料油
に対する脱硫率の予定値から DV=a×DS+b ・・・〔3〕 として算出すればよい。ここでaおよびb係数であり、 1.8≦a≦2.2 −105≦b≦−95 である。
【0026】水素化処理条件が複数あれば、それぞれに
つき上記〔3〕式から計画バナジウム堆積量VApを求
め、たとえばi番目の計画バナジウム堆積量VApi
すればよい。また、具体的にはaおよびbは触媒の種類
および反応条件によりきまるものである。それぞれの触
媒、反応条件に対し実績値を求めておきその値を使うこ
とが好ましい。一般的な重質油の水素化処理触媒のaお
よびbは上記範囲にあり、実績値が求められていないと
きはそれぞれの上限値を使えば無難であるが、a=2、
b=−100としてもほぼ満足できる結果が得られる。
【0027】バナジウムは通常、触媒の活性成分として
は含まれていないが、水素化処理される原料油中に含ま
れる微量不純物に起因するものであり、使用済み触媒や
再生触媒から本発明の触媒を得るためには、まず概略選
別するために使用済み触媒等のバナジウム堆積量を指標
とすると便利である。バナジウム堆積量は使用済み触媒
もそれを再生した再生触媒もほとんど同じ値であるので
再生前に好ましくない使用済み触媒は選別除去しておく
のがよい。本発明の触媒のバナジウム含有量は35%以
下、好ましくは20%以下であることが望ましい(触媒
中の金属分含有量は400℃以上で酸化処理して減量し
なくなったものを基準重量として、測定対象金属の酸化
物の重量を重量%として表わすものとする、以下金属含
有量については同じ)。
【0028】同様に使用済み触媒や再生触媒から本発明
の触媒を得るためには、炭素含有量については、0.3
〜15%の範囲、好ましくは0.3〜10%の範囲とす
ることが望ましい(触媒中の炭素分含有量は400℃以
上で酸化処理し減量しなくなったものの重量を基準とし
て、対象触媒中の炭素の重量%で表わすものとする、以
下同じ)。炭素含有量は使用済み段階では10〜70%
程度であることが多いが、再生処理により炭素分を触媒
上から除去しその含有量を低減できる。炭素分が多すぎ
るとこれが触媒表面を覆い触媒活性を低下させるが、再
生処理により炭素含有量を適度に減少させれば活性を回
復させることができる。過度の酸化処理が行われ触媒上
の炭素含有量が0.3より少なくなると、触媒上の活性
成分を変質させ不活性にしてしまうことがあるので注意
が必要である。
【0029】厳しい水素化処理条件で使用した触媒や、
再生処理のため酸化処理とくに燃焼処理をした触媒は、
触媒表面が過熱して触媒の細孔構造や担持金属の担持状
態が変化し、触媒活性が低下してしまうことがある。こ
れらを評価する指標として、触媒の比表面積や細孔容量
がある。これらは水素化処理反応での使用中にも不純物
の付着や反応中の熱による劣化等により徐々に減少する
が、再生処理でも減少し易い。本発明の触媒としては、
比表面積は60〜220m2/g、好ましくは100〜20
0m2/gが望ましい。また、細孔容積は0.3〜1.2cc
/g好ましくは0.4〜0.8cc/g、であることが望まし
い。なお、通常の水素化処理ではバナジウムは硫化バナ
ジウムとして堆積すると考えられる。なお、比表面積お
よび細孔容積は触媒を測定前に500℃で焼成したもの
を基準とし窒素吸着法により測定した値を用いる。
【0030】つぎに、触媒の形状、大きさについて説明
する。重質油の水素化処理に使用される触媒は、通常押
出成形で製造されるものが多く、その形状は実質的に柱
状をしている。その断面は円形のものが多いが、三葉
型、四葉型など外表面を多くする工夫のあるものもあ
る。また、球状触媒もよく用いられる。球状触媒は圧縮
強度や耐磨耗性が特に要求される場合に使用される。
【0031】これらの触媒は一旦重質油等の水素化処理
に使用すると破砕や固着により、もとの形状とは異なっ
たものとなる。しかし、概ねもとの形状のものが多く、
これらを中心に使用することが好ましい。たとえば、塊
状に固着したものや、粉化した触媒はふるい分け(選別
処理)により除去することが好ましい。このような除去
操作を行わない触媒を反応器に充填して使用すると、原
料油および水素ガスを流通させて水素化処理をする段階
で触媒層の圧力損失を大きくしたり、偏流を起こしたり
して通常の水素化処理ができなくなることがある。
【0032】使用し易い触媒としては、形状は触媒の製
造時とは多少変化していてもよいが、大きさは制御する
ことが望ましい。実質的に柱状のもの(触媒製造時に押
出成形成形等で成形され、大部分の触媒の形状が柱状ま
たはそれに近いもの)は、その軸方向の長さの平均が
1.6〜10mm、好ましくは2〜5mm、さらに長さ
1.5mm以下のものが10重量%以下、長さ1.0m
m以下のものが5重量%以下であることが望ましい。球
状の触媒や、全体として柱状と見れない触媒の場合は、
その最大長(触媒の最も長い部分の距離を最大長とす
る)の平均が、1.6〜10mm、好ましくは2〜5m
m、さらに最大長1.5mm以下のものが10重量%以
下、最大長1.0mm以下のものが5重量%以下である
ことが望ましい。
【0033】本発明は、新触媒、使用済み触媒および再
生触媒のどの触媒を用いても実施する事が出来る。ま
ず、新触媒とは触媒としては製造され一度も水素化処理
に使用されていないものはもちろん、一旦水素化処理に
使用されたが装置上のトラブル等のため短期間で使用を
中断し、再度そのまま使用するものも含める。すなわ
ち、一時的に使用されても特別の賦活処理をしたり、反
応器から抜き出して選別、洗浄、酸化等の再生処理をし
たりしなくとも、当初から想定されている水素化活性が
まだ十分にありそのまま使用できる触媒を言う(この場
合は既バナジウム堆積量VAは0ではない)。新触媒は
市販されている通常のものでもよく、特別に調製した触
媒でもよい。また、水素化処理に使用するための前処理
として硫化処理を施したものでもよい。
【0034】使用済み触媒は、上記新触媒等を使用して
重質油等の水素化処理をした後の触媒であり、重質油中
のバナジウムが触媒上に付着している。このバナジウム
は水素化機能は低く、むしろ担持金属の活性を弱めた
り、触媒の細孔を塞いでしまい水素化活性を低下させる
場合が多い。本発明で使用済み触媒と考えているのは重
質油の水素化処理により、ある程度バナジウム付着によ
り汚染された触媒である。なお、使用済み触媒には一旦
再生処理した触媒を再度使用した後のものを含んでい
る。
【0035】再生触媒とは一旦水素化処理に使用され、
そのままでは必要な水素化活性が得られなくなった使用
済み触媒を再生処理により賦活したものである。ここで
重質油等の水素化処理は脱硫処理が一般的であるが、脱
金属、脱窒素、脱芳香族、分解などの水素化処理でもよ
い。また、重質油の処理が一般的だが重質軽油等の留出
油の処理に使用された使用済み触媒を再生処理したもの
でもよい。再生触媒が重質油の水素化処理に利用できれ
ばよい。
【0036】再生処理には溶剤洗浄による油分等の除
去、炭素質や硫黄分、窒素分等の燃焼による除去、塊状
化したり細粒化した触媒の除去による正常な形状の触媒
の選別などがある。本発明の使用済み触媒の再生処理と
しては、酸化による処理、好ましくは反応器外での酸化
処理による再生処理が望ましい。大量の炭素質が付着し
た使用済み触媒の好ましい再生処理方法としては、使用
済み触媒をまず溶剤洗浄する。溶剤としてはトルエン、
アセトン、アルコールや、ナフサ、灯油、軽油などの石
油類が好ましい。その他でも、使用済み触媒上に付着し
た有機物を溶かし易い溶剤であれば良い。この洗浄処理
は触媒が水素化処理反応器中にあるうちに軽油を循環さ
せて洗浄し、その後50〜300℃程度の窒素ガス等を
流通させて乾燥させることでも達成できる。あるいは、
軽油を循環させて洗浄した後そのまま抜き出し、発熱や
自然発火を防ぐため軽油で濡れた状態にしておき必要な
時に乾燥してもよい。また、反応器から抜き出した使用
済み触媒から塊状物の粉砕や粉化触媒、スケール等を除
去し、これを軽油で洗浄しさらにナフサで洗浄して乾燥
し易くする方法もある。少量の場合は、トルエンで洗浄
する方法が油分を完全に除去するのに適している。
【0037】洗浄により油分および不純物を除去した触
媒に十分な活性を発揮させるには、さらに酸化処理によ
り炭素質を除去することが必要である。酸化処理は一般
には雰囲気温度および酸素濃度を制御した燃焼処理によ
り行う。雰囲気温度が高すぎたり、酸素濃度が高すぎる
と触媒表面が高温になり、担持金属の結晶形や担持状態
が変化したり、担体の細孔が減少し触媒活性が低下して
しまう。また、雰囲気温度が低すぎたり、酸素濃度が低
すぎると燃焼による炭素質の除去が不十分となり十分な
活性回復が望めない。望ましい雰囲気温度としては20
0〜800℃特に望ましくは300〜600℃である。
【0038】酸素濃度は1〜21%の範囲で制御するこ
とが望ましいが、燃焼方法、特に燃焼ガスと触媒との接
触状態に対応して制御することが好ましい。雰囲気温
度、酸素濃度、雰囲気ガスの流速などを調製して触媒の
表面温度を制御し、再生後の触媒中の水素化活性金属で
あるニッケルやモリブデンなどの結晶構造や結晶粒子の
担持状態の変化を抑えたり、触媒の比表面積や細孔容量
の低下を防ぐことが重要である。
【0039】燃焼処理した触媒は粉化したもの等を除去
し正常な形状のもののみを再生触媒として使用すること
が望ましい。この操作をしないと初期活性は十分望める
場合もあるが、触媒層で詰まりや偏流を起こしたり反応
器中での流体の圧力損失を大きくし正常な運転が継続で
きなくなることがある。本発明の触媒は重質油等の水素
化脱硫等に使用する触媒であり、もともと水素化処理能
力を持つ触媒である必要がある。その基本的な触媒構成
として無機酸化物担体に担持金属としてモリブデン、タ
ングステン、ニッケルおよびコバルトのうち少なくとも
1種を含むものが好適である。無機酸化物担体として
は、たとえばアルミナ担体やアルミナーりん、アルミナ
ーほう素、アルミナーけい素担体など(りん、ほう素な
どはその酸化物を意味している)が好適である。なお、
りんやほう素などは便宜上担体成分としているが担持成
分として作用する場合を排除するものではない。担持金
属としてはモリブデンおよび/またはタングステン、並
びにコバルトおよび/またはニッケルの酸化物を担持し
たものが好適に使用される。この中でも、アルミナ担体
/ニッケルーモリブデン担持触媒、アルミナーりん担体
/ニッケルーモリブデン担持触媒、アルミナーほう素担
体/ニッケルーモリブデン担持触媒やアルミナーけい素
担体/ニッケルーモリブデン担持触媒がとくに好まし
い。
【0040】担体としてアルミナにりん、珪素、ほう素
を含有する場合はりん、珪素、ほう素の酸化物の少なく
とも1種の含有量が30%以下、好ましくは0.1〜1
0%、さらに好ましくは0.2〜5%であることが望ま
しい(触媒中のりん等の含有量は400℃以上で酸化処
理して減量しなくなったものを基準重量として、りん等
の重量を重量%として表わすものとする)。さらに、重
質油処理であるので担持金属であるモリブデンを0.1
〜25%、好ましくは0.2〜20%含有し、コバルト
またはニッケルを0.1〜10%、好ましくは0.2〜
8%含有することが望ましい(触媒中の金属分含有量は
400℃以上で酸化処理して減量しなくなったものを基
準重量として、測定対象金属の酸化物の重量を重量%と
して表わすものとする、以下金属含有量については同
じ)。
【0041】上記のような構成の新触媒は通常の方法、
たとえば重質油の水素化脱硫触媒の製造方法で製造でき
る。また、この触媒で常圧残油の水素化脱硫処理を一年
間実施し、これにより得られた使用済み触媒を反応器か
ら抜出し、上記の再生処理方法により再生したものが本
発明の再生触媒となり得る。なお、反応の最上流部や反
応器の最上部の触媒でも本発明の要件に適合する触媒な
ら使用可能ではあるが、これらは通常はスケールや金属
分が多く付着している場合があり選別除去したほうが好
ましい。
【0042】つぎに、本発明の触媒による重質油水素化
処理を具体的に説明する。上記要件を満足する触媒を用
いれば、反応条件はとくに制限されるものではないが一
般的な条件で説明する。水素化処理プロセスとは固定床
反応器を用いるものが一般的であるが、移動床や沸騰床
などの反応形式でもなんら支障はない。また、反応物の
流れとしては上昇流でも下降流でもよい。好ましい水素
化処理として重質油の脱硫処理、脱メタル処理、水素化
脱硫・脱メタル処理が挙げられる。
【0043】この固定床反応器による水素化脱硫・脱メ
タル処理を中心に説明する。本発明における、重質油と
は常圧残油、減圧残油などの残渣分を含むものを言い、
灯油、軽油、減圧軽油などの留出油のみからなるものは
含まない。通常、重質油中には硫黄分1重量%以上、窒
素分200重量ppm以上、残炭分5重量%以上、バナ
ジウム5ppm以上、アスファルテン分0.5%以上含
んでいる。たとえば、前記常圧残油等の他原油、アスフ
ァルト油、熱分解油、タールサンド油あるいはこれらを
含む混合油などがあげられる。原料重質油としては上記
のようなものであればどのようなものでよいが、常圧残
油、減圧残油、減圧残油またはアスファルト油と分解軽
油の混合油などが好適に使用される。
【0044】この場合の反応温度は300〜450℃好
ましくは350〜420℃さらに好ましくは370〜4
10℃、水素分圧7.0〜25.0Pa好ましくは1
0.0〜18.0Pa、液空間速度0.01〜10h-1
好ましくは0.1〜5h-1さらに好ましくは0.1〜1
-1、水素/原料油比500〜2500Nm3/kl好ましく
は700〜2000Nm3/klの範囲の条件が好適である。
これらの条件の中から所望の水素化処理計画を立て、そ
れに基づき計画脱バナジウム率を算出し、本発明の要件
を満たすメタル許容量MPrを持つ水素化処理触媒を選
択すれば好適な本発明の実施ができる。
【0045】また、本発明の実施の態様として水素化処
理計画が処理期間の途中で変更されたり、使用すべき触
媒が特定されている場合などの運転管理に係る重質油の
水素化処理方法がある。水素化処理運転の開始時または
運転途中に、その時点のメタル許容量MPrと既運転期
間中に堆積したバナジウムから残りの水素化処理計画中
に堆積させても運転可能なバナジウム堆積量を知り、水
素化処理計画を立てて運転をする方法である。すなわ
ち、重質油の水素化処理期間中、水素化処理触媒のメタ
ル許容量MPrからその重質油の水素化処理により堆積
した計算メタル堆積量VAcを差し引いた値より、残り
の水素化処理処理計画に基づく残余計画バナジウム堆積
量VAp2の値が小さくなるように保つ運転管理をする
重質油の水素化処理方法である。
【0046】ここで VAc :既に運転をした期間中に触媒上に堆積しバナ
ジウムの堆積量(重量%)(新触媒基準) VAp2:残りの水素化処理期間中に対する、計画バナ
ジウム堆積量VAp(重量%)(新触媒基準) 重質油の水素化処理期間中とは、開始時を含むものでそ
のときは計算メタル堆積量VAcは0である。VAcお
よびVAp2の具体的な算出方法はVApを算出する式
2と同様にすればよい。運転の番号iをVAcの場合は
運転開始からその運転が行われた時点まで運転に、VA
p2の場合はこれから行う予定の運転に当てはめればよ
い。
【0047】なお、重質油の水素化処理のうちでも重質
油の水素化脱硫処理、水素化脱メタル処理、水素化脱硫
脱メタル処理が好適に実施できる。生成油の硫黄含有
量、金属分含有量(ニッケル、バナジウム)等の調整は
上記の要件を満たすうちから必要な条件、たとえば反応
温度を適宜選択して調整すればよい。以上のようにして
本発明の重質油水素化処理方法を用いれば、従来使用で
きないと考えられていた触媒を有効に活用し、残油等の
水素化処理が可能となる。あるいは、触媒をバナジウム
による失活が完全に起こるまでを予測しながら効率的に
使用することができる。
【0048】
〔実施例1〕
(1)触媒1の製造 酸化モリブデン630g、炭酸ニッケルをNiOとして
180gをイオン交換水に溶解し、全量を2000ml
とし含浸液とした。この含浸液を、下記担体の吸水量に
見合うように水分量を調製し、四葉型アルミナ担体(比
表面積230m 2 /g、平均細孔径120Å、細孔容量
0.69ml/g)4000gに含浸させた。これを1
20℃で3時間乾燥し、500℃で5時間焼成し、触媒
1とした。
【0049】(2)触媒1を用いた水素化処理 下降流型固定床反応器を4ベッド(体積基準で4等分)
に分割し、最上流部ベッドに市販の脱メタル触媒を、残
り3ベッドに上記触媒1を充填して、通常の予備硫化処
理を行った後、常圧残油の水素化脱硫・脱メタル処理を
360日間実施した。水素化処理は生成油中の主成分
(343℃以上の沸点留分)の硫黄分が一定(0.3重
量%)になるよう反応温度を調整しながら続けた。使用
した原料油(常圧残油1)の性状および360日目の生
成油の性状を測定法とともに表1に示す。水素化処理の
反応条件を表2に示す。触媒1の組成を表3に、形状、
物性等を表4に示す。
【0050】〔実施例2〕 (1)触媒2の製造 酸化モリブデン590g、塩基性炭酸ニッケルをNiO
として180gをイオン交換水に溶解し、全量を200
0mlとし含浸液とした。この含浸液を、下記担体の吸
水量に見合うように水分量を調製し、四葉型シリカアル
ミナ担体(比表面積185m2 /g、平均細孔径150
Å、細孔容量0.69ml/g)4000gに含浸させ
た。これを120℃で3時間乾燥し、500℃で5時間
焼成し、触媒2とした。触媒2の組成を表3に、形状、
物性等を表4に示す。
【0051】(2)触媒2を用いた水素化処理 下降流型固定床反応器を4ベッド(体積基準で4等分)
に分割し、最上流部ベッドに市販の脱メタル触媒を、残
り3ベッドに上記触媒2を充填して、通常の予備硫化処
理を行った後、常圧残油の水素化脱硫・脱メタル処理を
360日間実施した。水素化処理は生成油中の主成分
(343℃以上の沸点留分)の硫黄分が一定(0.4重
量%)になるよう反応温度を調整しながら続けた。使用
した原料油(常圧残油2)の性状および360日目の生
成油の性状を表6に示す。水素化処理の反応条件を表5
に示す。触媒2の組成を表3に、形状、物性等を表4に
示す。
【0052】〔実施例3〕 (1)触媒3の製造 実施例2の(2)と同様の条件で触媒2を用いて水素化
処理を始めた。360日は継続しないで触媒上に付着し
たバナジウムが4重量%となる時点を目安に処理を中断
し触媒を抜き出した。その抜出し触媒の一部を取り出し
焼成による再生処理をし、これを触媒3とした。触媒3
上に付着したバナジウムは4重量%であった。触媒3の
組成を表3に、形状、物性等を表4に示す。
【0053】(2)触媒3を用いた水素化処理 触媒1の替わりに触媒3を用いた以外は実施例1の
(2)と同様にして常圧残油1の水素化脱硫・脱メタル
処理を360日間実施した。360日目の生成油の性状
を表7に示す。 〔比較例〕触媒2の替わりに触媒1を用いた以外は実施
例2の(2)と同様にして常圧残油2の水素化脱硫・脱
メタル処理を実施した。水素化脱硫・脱メタル処理を3
00日間継続した時点で反応温度が装置設計上限値の4
00℃になったので、その後は反応温度を400℃に保
った以外は反応条件を変えずに360日まで水素化処理
を続けた(生成油中の343℃以上の留分の硫黄分含有
量は制御できない。)。360日目の生成油の性状を表
7に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】MPrがVApより大きい実施例1〜3に
ついては水素化処理計画の最後(360日)まで計画通
りの性状(硫黄分含有量)の生成油が得られたが、MP
rがVApより小さい比較例においては水素化処理の途
中(300日目)で装置の設計上限温度(400℃)と
なりその後は上限温度で水素化処理を続けたが目的とす
る生成油(硫黄含有量0.4%)は得られなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明の重質油の水素化処理方法にした
がって、触媒を選定し重質油の水素化処理計画を立てそ
れに従い処理を実施すれば、途中で触媒の失活によるト
ラブル等にみまわれることなく水素化処理を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素化処理時間に対する反応温度の変化を表す
グラフ
【符号の説明】
1: 実施例1の水素化処理の反応温度変化 2: 実施例2の水素化処理の反応温度変化 3: 実施例3の水素化処理の反応温度変化 4: 比較例の水素化処理の反応温度変化
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 35/10 301 B01J 35/10 301B Fターム(参考) 4G069 AA03 BA01A BA01B BA03A BA03B BB04A BC59A BC59B BC60A BC67A BC68A BC68B BD03A BD05A BD07A CC05 DA06 EC02X EC03X EC03Y EC06X EC07X EC07Y EC08X 4H029 CA00 DA00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式〔1〕で表されるメタル許容量
    MPrが、重質油の水素化処理計画に基づく計画バナジ
    ウム堆積量VAp(下記の式〔2〕で表す)以上である
    水素化処理触媒を反応器に充填して、使用する重質油の
    水素化処理方法。 メタル許容量 MPr= (PV/2Vv)×{8×105 ×(PD)1.3 }×(Sp/Vp)−VA ・・・〔1〕 ここで PV :新触媒時の細孔容積(m3 /kg) Vv :1kgの新触媒上にバナジウムが1重量%堆積
    したときの硫化 バナジウムとして換算したときの体積= 3.8×10
    -6(m2 /%kg) PD :新触媒時の平均細孔直径(m) Sp :新触媒時の1粒の平均外表面積(m2 ) Vp :新触媒時の1粒の平均体積(m3 ) VA :既バナジウム堆積量(%)(新触媒基準) 【数1】 ここで VAp:計画バナジウム堆積量(重量%)(新触媒基
    準) i :1回の触媒充填期間中でi番目の水素化処理条
    件での運転 n :1回の触媒充填期間中で最後( n番目)の水素
    化処理条件での運転 RCi :i番目の水素化処理条件での運転中の計画累積
    原料油通油量(kg) Vci :i番目の水素化処理条件での原料油中のバナジ
    ウム含有率(バナジウムkg/原料油kg) DVi :i番目の水素化処理条件での計画脱バナジウム
    率(重量%) CW :充填触媒量(新触媒基準)(kg)
  2. 【請求項2】 計画脱バナジウム率DVを下記の式
    〔3〕により推定する請求項1記載の重質油の水素化処
    理方法。 計画脱バナジウム率DV=a×DS+b ・・・〔3〕 ここで DV :脱硫率(重量%) a :係数 1.8≦a≦2.2 b :係数 −105≦b≦−95
  3. 【請求項3】 水素化処理触媒の比表面積が60〜22
    0m2/gである請求項1または2に記載の重質油の水素化
    処理方法。
  4. 【請求項4】 水素化処理触媒の細孔容積が0.3×1
    -3〜1.2×10 -33 /kgである請求項1〜3の
    いずれかに記載の重質油の水素化処理方法。
  5. 【請求項5】 水素化処理触媒の最大長の平均が1.6
    〜10.0mm、最大長1.5mm以下のものが10重
    量%以下、最大長1.0mm以下のものが5重量%以下
    である請求項1〜4のいずれかに記載の重質油の水素化
    処理方法。
  6. 【請求項6】 水素化処理触媒の形状が実質的に柱状で
    あり、その軸方向の長さの平均が1.6〜10.0mm
    で、長さ1.5mm以下のものが10重量%以下、長さ
    1.0mm以下のものが5重量%以下である請求項1〜
    5のいずれかに記載の重質油の水素化処理方法。
  7. 【請求項7】 水素化処理触媒が無機酸化物担体にモリ
    ブデン、タングステン、ニッケル、コバルトのうち少な
    くとも1種の金属種を担持した触媒である請求項1〜6
    のいずれかに記載の重質油の水素化処理方法。
  8. 【請求項8】 重質油の水素化処理に使用した後、酸化
    を含む再生処理をした触媒を用いる請求項1〜7のいず
    れかに記載の重質油の水素化処理方法。
  9. 【請求項9】 重質油の水素化処理が重質油の水素化脱
    硫処理または水素化脱硫脱メタル処理である請求項1〜
    8のいずれかに記載の重質油の水素化処理方法
  10. 【請求項10】 重質油の水素化処理期間中、水素化処
    理触媒のメタル許容量MPrからその重質油の水素化処
    理により堆積した計算メタル堆積量VAcを差し引いた
    値より、残りの水素化処理処理計画に基づく残余計画バ
    ナジウム堆積量VAp2の値が小さくなるように保つ運
    転管理をする重質油の水素化処理方法。ここで VAc :既に運転をした期間中に触媒上に堆積しバナ
    ジウムの堆積量(重量%)(新触媒基準) VAp2:残りの水素化処理期間中に対する、計画バナ
    ジウム堆積量VAp(重量%)(新触媒基準)
  11. 【請求項11】 重質油の水素化処理が重質油の水素化
    脱硫処理、脱メタル処理または水素化脱硫脱メタル処理
    である請求項10記載の重質油の水素化処理方法。
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