JP2000103854A - 熱安定性の良好な溶融成形用結晶性ポリイミド - Google Patents

熱安定性の良好な溶融成形用結晶性ポリイミド

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JP2000103854A JP13307699A JP13307699A JP2000103854A JP 2000103854 A JP2000103854 A JP 2000103854A JP 13307699 A JP13307699 A JP 13307699A JP 13307699 A JP13307699 A JP 13307699A JP 2000103854 A JP2000103854 A JP 2000103854A
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知美 奥村
Atsushi Shibuya
篤 渋谷
Yuichi Okawa
祐一 大川
Hideaki Oikawa
英明 及川
Kayako Yanagihara
香弥子 柳原
Ikunori Yoshida
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Masaji Yoshimura
正司 吉村
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Masaji Tamai
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 1.溶融時の熱安定性に優れる、すなわち、
溶融時の流動性の経時的な低下が小さく、通常の溶融成
形用途に供する事ができる、2.高い耐熱性を有する、
3.生産性に優れる、4.寸法精度に優れる、熱可塑性
ポリイミドの提供。 【解決手段】 本発明により、化学式(1)(化1)で
表される繰り返し単位を有し、分子末端が化学式(2)
(化1)、及び/又は、化学式(3)で構成されるポリ
イミドにおいて、数式(1)[数1]及び/又は数式
(3)[数3]により計算される溶融粘度比が、数式
(2)[数2]及び/又は数式(4)[数4]に示され
る数値範囲にあることを特徴とする、熱安定性の良好な
熱可塑性ポリイミド、および、アゾ化合物の含有量が、
0.0〜0.2%であることを特徴とする、前記ポリイ
ミド製造用の化学式(3)で表される1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼンが提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリイミ
ドおよび該ポリイミドの製造に用いる芳香族ジアミン化
合物に関する本発明の熱可塑性ポリイミドは、少なくと
も以下の1〜4の優れた特性を有する。 1. 溶融時の熱安定性に優れる。すなわち、溶融時の
流動性の経時的な低下が小さい。この特性は、従来の技
術においては実現することが困難であった。 2. 高い耐熱性を有する。すなわち、高い結晶性を有
するので、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において
も優れた機械強度を有する。 3. 生産性に優れる。すなわち、結晶化が速いため、
成形加工時に金型内で徐冷する操作や、成形後に熱処理
を加える操作等の、特別な熱処理操作を施すことなく、
通常の短い成形サイクルにおいて結晶化する。 4. 寸法精度に優れる。すなわち、結晶化が速く、成
形加工時に金型内で結晶化するため、加工後の収縮が小
さい。
【0002】本発明の芳香族ジアミン化合物は、少なく
とも以下の5〜6の優れた特性を有する。 5. アゾ化合物の含有量がきわめて小さい。 6. 溶融時の熱安定性に優れたポリイミド樹脂が得ら
れる。
【0003】
【従来の技術】[技術的背景] 1. ポリイミドの特性と用途 ポリイミドは、その優れた耐熱性に加え、機械物性、耐
薬品性、難燃性、電気特性等において優れた特性を有す
るため、成形材料、複合材料、電気・電子部品等の分野
において幅広く用いられている。 2. 『Vespel』(デュポン社製)・『Upim
ol』(宇部興産社製) 成形材料、複合材料用ポリイミドとしては、商品名『V
espel』(デュポン社製)、商品名『Upimo
l』(宇部興産社製)等が知られているが、いずれのポ
リイミドも不溶不融であるため成形加工性に問題があっ
た。すなわち、これらポリイミドの成形体を得るために
は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を経由して、
焼結成形等の特殊な手段により成形する必要があった。
焼結成形によったのでは、複雑な形状を有する加工品を
得ることが困難であるという点も問題であった。複雑な
形状を有する加工品を得るためには、NC旋盤等の切削
機械を使用して、ポリイミドのブロックから、目的の形
状を削り出す必要があり、複雑・煩雑な加工工程や成形
加工に要するコスト等に問題があった。
【0004】3. 『Ultem』(ゼネラルエレクト
リック社製) 成形加工性が改善された射出成形可能な熱可塑性ポリイ
ミドとしては、商品名『Ultem』(ゼネラルエレク
トリック社製)が知られている(米国特許第3,84
7,867号、同3,847,869号)。しかしなが
ら、このポリイミドは完全非晶性であり、ガラス転移温
度(Tg)が215℃であることから、高温領域での使
用と想定すると、必ずしも、十分な耐熱性を有している
とはいえない。すなわち、実質的な使用限界温度を示す
荷重撓み温度(DTUL)で評価すると、ニートの『U
ltem』は200℃であり、炭素繊維30重量%含有
(CF30)『Ultem』は212℃であるので、ど
ちらも、高温領域での使用と想定すると、必ずしも、ス
ーパーエンプラとして高い数値であるとはいえない。
【0005】4. 『AURUM』(三井化学社製) さらに新しくは、成形加工性が改善された射出成形可能
な熱可塑性ポリイミドとして、商品名『AURUM』
(三井化学社製)が、開発された(特開昭62−688
17号等)。このポリイミドは、溶融時の熱安定性に優
れ、押出成形や射出成形等の溶融成形に好適に供されて
いる。なお、『AURUM』は、数式(1)(数1)に
より計算される溶融粘度比MVRが、数式(2)(数
2)に示される数値範囲内にある。このポリイミドのガ
ラス転移温度(Tg)は、245℃であり、荷重撓み温
度(DTUL)で評価すると、ニート『AURUM』は
238℃であり、炭素繊維30重量%含有(CF30)
『AURUM』は、248℃であるので、『Ulte
m』と比較すると、耐熱性に優れる。また、『AURU
M』は本質的に結晶性であり、成形後に熱処理(アニー
ル処理、アニーリング)を施すことにより結晶化させる
ことができる。結晶化させた場合、『AURUM』のD
UTLは、ニート『AURUM』で260℃であり、炭
素繊維30重量%含有(CF30)『AURUM』で3
49℃であり、結晶化していない場合と比較して、顕著
に高い耐熱性を有している。このように、『AURU
M』は、結晶性であり、ガラス転移点、融点は、ともに
高く、熱可塑性樹脂の中では、トップクラスの耐熱性を
有する。しかしながら、このポリイミドは、結晶化が遅
く、すなわち結晶化に要する時間が長く、一般的な成形
サイクル、例えば、30〜60秒程度の射出成形サイク
ルで得られる成形品は、非晶質である。そのために、こ
のようにして得られた成形品は、ガラス転移点以下の温
度で使用する限りにおいては、寸法精度と曲げ弾性率に
優れるという特徴を有する。一方、このようにして得ら
れた成形品を、ガラス転移点以上の温度条件下で使用す
ると、弾性率が著しく低下し、成形品の形状を維持でき
ず、継続的な使用が困難となる。この『AURUM』か
らなる成形品を、ガラス転移点以上の温度条件下で継続
的に使用しようとする場合は、非晶質な成形品に熱処理
を施して結晶化させればよい。しかし、長い時間を要す
る熱処理操作は、生産性を著しく低下させ、さらには、
結晶化に伴う収縮により、寸法変化、変形、表面粗化等
の問題を生じる。『AURUM』を成形することにより
得られた成形加工品が、特別な熱処理(金型内での徐
冷、成形後熱処理等)を必要とせずに、十分に結晶化す
れば、これらの問題は生じない。そのため、『AURU
M』に有機低分子量化合物や耐熱性の低い結晶性樹脂を
添加し、結晶化を促進する技術が開発された(特開平9
−104756号、特開平9−188813号等)。し
かしながら、これらの方法では、低分子量化合物や耐熱
性の低い樹脂を添加するため、耐熱性や耐薬品性が低下
するという問題を有する。
【0006】5. 化学式(1)で表される繰り返し単
位を有するポリイミド 化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミ
ドは、特開昭61−143433号、特開昭62−11
727号、特開昭63−172735号等に開示され、
結晶性かつ結晶化が速いことが示されている。
【0007】従って、このポリイミドが、射出成形に供
することが可能であり、さらに通常の成形サイクルにお
いて金型内で結晶化することが可能であれば、得られる
成形体は高い耐熱性と寸法精度を有することが予想され
る。
【0008】しかしながら、これらの開示に従って製造
されたポリイミドは、その分子末端が不活性化されてい
ないため、溶融時の熱安定性が顕著に低く、その流動性
が短時間で急激に低下してしまう。そのため、該ポリイ
ミドを押出成形や射出成形等の溶融成形に供することは
現実的ではなかった。
【0009】6. 化学式(1)で表される繰り返し
単位を有し、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化
学式(3)で構成されるポリイミド Macromolecules,29巻・135〜14
2頁(1996年)、及び、Macromolecul
es誌30巻1012〜1022頁(1997年)等に
は、該ポリイミドの分子末端を芳香族ジカルボン酸無水
物と反応させ、不活性化することにより、ポリイミドの
溶融時の熱安定性を向上させる技術が開示されている。
しかしながら、本開示によれば、該ポリイミドは、分子
末端を不活性化してもなお、420℃で30分間保持し
た際に、溶融粘度が初期粘度の1.65倍またはそれ以
上に増加することが示されている。
【0010】このような、溶融粘度が経時的に増加する
樹脂を一定の成形条件下で射出成形した場合、成形開始
後時間と共に樹脂の流動性が低下し、金型の隅々まで樹
脂が到達しない、得られる製品の物性が一定とならない
等の問題を生じることが知られている。そのため、該ポ
リイミドを射出成形に供する事は、従来為されていなか
った。
【0011】実際、本願比較例に示すように、これらの
開示に従って製造されたポリイミドは、溶融時に粘度の
上昇を示し、射出成形に供することは可能であったが、
色調や物性の安定した成形体を製造することは不可能で
あった。
【0012】[従来の技術における問題点]ポリイミド
の技術分野において、ポリイミド特有の優れた耐熱性や
耐薬品性のみならず、高い結晶化速度をも併有する、溶
融成形用の結晶性ポリイミドが希求されているにもかか
わらず、このようなポリイミドが存在しなかったことが
実状であった。
【0013】すなわち、従来の技術により得られた、化
学式(1)で表される繰り返し単位を有し、分子末端
が、化学式(2)、及び/又は、化学式(3)で構成さ
れる結晶性ポリイミドは、溶融時の熱安定性に劣り、数
式(1)[数1]により計算される溶融粘度比MVR
が、1.5を超えている点で問題であった。
【0014】溶融粘度比MVRが1.5を越えるポリイ
ミドは、溶融時に時間と共にその流動性が低下する。そ
のため、例えば射出成形の時には、成形開始後時間と共
に射出圧が上昇したり、樹脂の流動性が低下し、安定し
た成形ができないばかりか、色調や物性の安定した製品
を得ることができなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記の
従来の技術における問題点に鑑み、少なくとも以下の1
〜4の優れた特性を有する、溶融成形用結晶性ポリイミ
ドを提供することを、発明が解決しようとする課題とし
た。特に、以下の1に示す特性は、従来の技術により実
現することは困難であった。 1. 溶融時の熱安定性に優れる。すなわち、溶融時の
流動性の経時的な低下が小さい。この特性は、従来の技
術においては実現することが困難であった。 2. 高い耐熱性を有する。すなわち、高い結晶性を有
するので、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において
も優れた機械強度を有する。 3. 生産性に優れる。すなわち、結晶化が速いため、
成形加工時に金型内で徐冷する操作や、成形後に熱処理
を加える操作等の、特別な熱処理操作を施すことなく、
通常の短い成形サイクルにおいて結晶化する。 4. 寸法精度に優れる。すなわち、結晶化が速く、成
形加工時に金型内で結晶化するため、加工後の収縮が小
さい。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決すべく、鋭意検討を推進した結果、原料モノマー
としてアゾ化合物の含有のない1,3−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンを使用した場合にのみ、得られ
る樹脂が顕著に高い熱安定性を発揮すること、この樹脂
を用いた場合にのみ、安定した溶融成形が可能であり、
得られる製品の色調や物性が安定していることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0017】すなわち本発明の第1の発明は、化学式
(1)で表される繰り返し単位を有し、分子末端が化学
式(2)、及び/又は、化学式(3)で構成されるポリ
イミドにおいて、数式(1)[数1]により計算される
溶融粘度比MVRが、数式(2)[数2]に示される数
値範囲にあることを特徴とする、熱安定性の良好な熱可
塑性ポリイミドに関する。
【0018】本発明の第2の発明は、上記ポリマーの原
料として用いる、アゾ化合物の含有量が0.0〜0.2
%であることを特徴とする、化学式(4)で表される
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンに関す
る。
【0019】従来の技術においては、定法により得られ
る1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン中
に、不純物であるアゾ化合物が存在することは認識され
ていなかった。また、定法により得られる1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いて得られるポ
リイミドは、数式(1)[数1]により計算される溶融
粘度比MVRが、1.5を超えていた。
【0020】熱可塑性ポリイミドの数式(1)[数1]
により計算される溶融粘度比MVRと、原料として用い
る1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン中の
アゾ化合物量が関連していることは、本発明者らにより
初めて見い出されたのである。
【0021】本発明に係る熱可塑性ポリイミドは、溶融
時の熱安定性に優れ、安定した溶融成形が可能で、得ら
れる成形品が、安定した色調、物性を有することが特徴
的である。
【0022】本発明は、以下の1〜13に記載した事項
により特定される。
【0023】1. 化学式(1)で表される繰り返し単
位を有し、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化学
式(3)で構成されるポリイミドにおいて、数式(1)
[数1]により計算される溶融粘度比MVRが、数式
(2)[数2]に示される数値範囲にあることを特徴と
する、熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド。
【0024】
【化7】 (化学式(2)において、Vは、1価の芳香族基であ
り、化学式(3)において、Tは、2価の芳香族基であ
る。) [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、30〜500[sec−1]の
範囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・se
c])であり、MV30は、試料を420℃で30分間保
持して溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の
剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])であ
る。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
算される溶融粘度比である。) 2. 化学式(1)で表される繰り返し単位を有し、分
子末端が化学式(2)、及び/又は、化学式(3)で構
成されるポリイミドにおいて、数式(3)[数3]によ
り計算されるメルトフローインデックスの保持率MIR
が、数式(4)[数4]に示される数値範囲にあること
を特徴とする、熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド。 [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
溶融させ測定したMI([g/10min])であ
る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
算されるメルトインデックスの保持率である。) 3. アゾ化合物の含有量が、0.0〜0.2%である
ことを特徴とする、化学式(4)で表される1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン。
【0025】
【化8】 4. アゾ化合物が、化学式(5)〜(7)からなる化
合物群から選択される少なくとも1つであることを特徴
とする3記載の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン。
【0026】
【化9】 5. 熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド製造用であ
る、3又は4に記載した1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン。
【0027】6. 化学式(8)で表される1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、化学式(9)で
表される3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、化学式(10)で表されるモノアミン、
及び/又は化学式(11)で表されるジカルボン酸無水
物を使用するポリイミドの製造方法において、化学式
(8)で表される1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼンのアゾ化合物の含有量が、0.0〜0.2
%であることを特徴とする、熱安定性の良好な熱可塑性
ポリイミドの製造方法。
【0028】
【化10】 (化学式(10)において、Vは、1価の芳香族基であ
り、化学式(11)において、Tは、2価の芳香族基で
ある。) 7. アゾ化合物が、化学式(5)〜(7)からなる化
合物群から選択される少なくとも1つであることを特徴
とする6記載の熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミドの
製造方法。
【0029】8. 6.又は7.に記載した製造方法に
より得られる熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド。
【0030】9. 反応溶媒及び触媒を予め装入し、水
素を導入した反応器中に、化学式(12)で表される
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンを添加
しつつ、前記1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベ
ンゼンを接触還元することを特徴とする、アゾ化合物の
含有量が、0.0〜0.2%である、化学式(13)で
表される1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ンの製造方法。
【0031】10. アゾ化合物が、化学式(5)〜
(7)からなる化合物群から選択される少なくとも1つ
であることを特徴とする9記載の熱安定性の良好な熱可
塑性ポリイミドの製造方法。
【0032】11. 9又は10に記載した製造方法に
より得られる、アゾ化合物の含有量が、0.0〜0.2
%である、化学式(13)で表される1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼン。
【0033】12. 化学式(1)で表される繰り返し
単位を有し、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化
学式(3)で構成される熱可塑性ポリイミドを含んでな
る成形体であって、前記成形体を溶融したときに、数式
(1)[数1]により計算される溶融粘度比MVRが、
数式(2)[数2]に示される数値範囲にあることを特
徴とする成形体。 [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、30〜500[sec−1]の
範囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・se
c])であり、MV30は、試料を420℃で30分間保
持して溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の
剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])であ
る。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
算される溶融粘度比である。) 13. 化学式(1)で表される繰り返し単位を有し、
分子末端が化学式(2)、及び/又は、化学式(3)で
構成される熱可塑性ポリイミドを含んでなる成形体であ
って、前記成形体を溶融したときに、数式(3)[数
3]により計算されるメルトフローインデックスの保持
率MIRが、数式(4)[数4]に示される数値範囲に
あることを特徴とする成形体。 [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
溶融させ測定したMI([g/10min])であ
る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
算されるメルトインデックスの保持率である。)
【0034】
【発明の実施の形態】[1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン]本発明に係る1,3−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼンは、アゾ化合物の含有量が
0.0〜0.2%、好ましくは0.0〜0.1%である
ことを特徴とする、化学式(4)で表される1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンである。アゾ化合
物の含有量が0.2%より多い場合には、得られるポリ
イミドは溶融時に粘度が経時的に増加し、成形性及び得
られる製品の物性の安定性が著しく低下するため好まし
くない。
【0035】なお、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン中のアゾ化合物の含有量は、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーあるいはFD−MSにより
定量できる。
【0036】1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼンは工業的に製造されており、和歌山精化社(US
A代理店名:KEN−Seika社),DuPont
社、及び各種試薬業者より入手できる。しかしながら、
これらの1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ンは0.5%以上ものアゾ化合物を含有しているため、
本発明のポリイミド用原料として用いることはできな
い。
【0037】1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼンは、通常、塩基の存在下、レゾルシンとp−ニト
ロクロロベンゼンを非プロトン性極性溶剤中で反応さ
せ、得られた1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベ
ンゼンを水素により還元することにより製造される。
【0038】本発明者らは、このような方法により製造
された1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
中に、不純物であるアゾ化合物が存在することを見いだ
した。この不純物は、その化学的性状が1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼンに極めて近く、塩酸
塩再結晶法等の通常の精製方法で除去することが困難で
あるばかりか、シリカゲルカラムあるいはオクタデシル
基を有する逆相カラム等を用いても、1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼンと分離することは困難で
ある。そのため、従来の技術においては、定法により得
られる1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
中に、不純物であるアゾ化合物が存在することは認識さ
れていなかった。
【0039】すなわち、1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン中にアゾ化合物が存在することは、本
発明者らにより初めて見い出された知見である。さら
に、本発明者は、上記考察に基づき、1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼンの精製方法、及び、製造
方法について、詳細に検討した結果、初めて、アゾ化合
物を含有しない1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンを得ることができたのである。また、本発明者
らは、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
中のアゾ化合物の含有量と得られるポリイミドの物性に
ついて詳細に検討し、アゾ化合物の含有量が0.0〜
0.2%の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼンを用いた場合にのみ、特異的に、得られるポリイミ
ドの熱安定性が顕著に良好であることを見い出したので
ある。
【0040】なお、特開平4−69369号公報に、ビ
ス(3−アミノフェノキシ)化合物中にアゾ化合物が存
在することが開示されている。しかしながら、1,3−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの如きビス(4
−アミノフェノキシ)化合物中のアゾ化合物に関する開
示はなく、また、0.5%程度の微量のアゾ化合物が、
得られる樹脂の溶融熱安定性を著しく低下させることは
見いだされていなかった。 [アゾ化合物]本発明における1,3−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン中のアゾ化合物とは、化学式
(5)〜(7)からなる化合物群から選択される少なく
とも1つである。
【0041】上記のアゾ化合物は、2つのアミノ基を有
するため、ポリイミドの製造時に通常の芳香族ジアミノ
化合物と同様に反応して、ポリイミドの分子鎖中に取り
込まれることが予想される。この分子鎖中に取り込まれ
たアゾ化合物は、樹脂の溶融成形時にラジカル、アミノ
基等を生成し、分子鎖の架橋を引き起こすものと推測さ
れる。
【0042】上記のアゾ化合物は、1,3−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼンの製造工程における、1,
3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンの水素によ
る還元時に生成する。具体的には、還元反応時に、ニト
ロ化合物の還元中間体であるニトロソ化合物、ヒドロキ
シルアミン等が縮合する事により生成する。なお、本発
明において、アゾ化合物とは、上記還元時の縮合反応に
おいて生成するアゾ基を有する化合物のみならず、該化
合物の還元物であるヒドラゾ基を有する化合物、及び、
該化合物の酸化物であるアゾキシ基を有する化合物も包
含する。
【0043】上記のアゾ化合物は、その化学的性状が
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンに極め
て近く、塩酸塩再結晶法等の通常の精製方法で除去する
ことが困難であるばかりか、シリカゲルカラムあるいは
オクタデシル基を有する逆相カラム等を用いても、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンと分離する
ことは困難である。そのため、従来の技術においては、
定法により得られる1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン中に、不純物であるアゾ化合物が存在する
ことは認識されていなかった。
【0044】すなわち、1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン中にアゾ化合物が存在することは、本
発明者らにより初めて見いだされた知見である。さら
に、本発明者は、上記考察に基づき、1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼンの精製方法、及び、製造
方法について、詳細に検討した結果、初めて、アゾ化合
物を含有しない1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンを得ることができたのである。また、本発明者
らは、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
中のアゾ化合物の含有量と得られるポリイミドの物性に
ついて詳細に検討し、アゾ化合物の含有量が0.0〜
0.2%の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼンを用いた場合にのみ、特異的に、得られるポリイミ
ドの熱安定性が顕著に良好であることを見い出したので
ある。 [アゾ化合物の含有量が0.0〜0.2%である1,3
−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの製造方法]
本発明に係るアゾ化合物の含有量が0.0〜0.2%で
ある1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
は、反応溶媒及び触媒を予め装入し、水素を導入した反
応器中に、化学式(12)で表される1,3−ビス(4
−ニトロフェノキシ)ベンゼンを添加しつつ、前記1,
3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンを接触還元
することにより製造することができる。
【0045】反応溶媒及び触媒を予め装入し、水素を導
入した反応器中に、1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼンを添加しつつ、接触還元を行うことによ
り、ニトロ化合物からアミノ化合物への還元中間体であ
る、ニトロソ化合物及びヒドロキシルアミン化合物の反
応系中における濃度を顕著に抑制することができ、その
結果、ニトロソ化合物、ヒドロキシルアミン化合物等の
縮合により生じるアゾ化合物を抑制することができる。
【0046】また、本発明に係るアゾ化合物の含有量が
0.0〜0.2%である1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼンは、通常の方法により得られるアゾ化
合物を含有する1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンを蒸留精製することによっても得ることができ
る。蒸留精製は、高沸点不純物を除去することが可能で
あれば、蒸留塔を用いる精密蒸留や分子蒸留はもちろ
ん、薄膜蒸発機を用いた単蒸発蒸留でも良い。しかしな
がら、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
の蒸留は、例えば、240℃13.3Paあるいは27
0℃40Paといった高温高真空下で行う必要があり、
工業的には困難である。
【0047】[1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンの好ましい製造方法]本発明に係る1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの好ましい製造方
法を以下に示す。1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼンを、還元反応の反応溶媒に溶解した溶液を
調製する。水素ガス導入装置、排気装置、滴下装置、水
銀シール式攪拌機、温度計を備えた反応器に、還元触媒
及び所定量の反応溶媒を装入し、反応系内を水素ガス雰
囲気下に置換した後、攪拌しながら反応液を所定の温度
まで昇温する。昇温後、滴下装置より所定の滴下速度で
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン溶液の
滴下を開始する。この間、水素ガスは、反応による水素
吸収に応じて適宜水素ガス溜に追加する。水素吸収が止
まった後、30分間ないし1時間そのままの状態で攪拌
を続ける。反応終了後、反応器内を窒素ガスで置換し、
反応液を濾過して触媒を濾別した後、この濾液に対して
水を添加して結晶を析出させる。析出物を濾別すること
により、目的とする1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼンを得る。ここで、接触還元に使用される還
元触媒に特に制限はなく、一般に接触還元に用いられて
いる金属触媒、例えばニッケル、パラジウム、白金、ロ
ジウム、ルテニウム、コバルト、銅などを使用すること
ができる。これらの触媒は、金属の状態でも使用できる
が、通常はカーボン、硫酸バリウム、シリカゲル、アル
ミナ、セライトなどの担体に担持させて用いたり、ま
た、ニッケル、コバルト、銅などはラネー触媒としても
用いられる。触媒の使用量は特に制限はないが、ビス
(4−ニトロフェノキシ)化合物に対し、通常、金属と
して0.01〜10重量%用いれば十分である。
【0048】還元反応の溶媒は、反応に不活性なもので
あれば特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリ
コール、プロピレングリコール等のグリコール類、エー
テル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソ
ルブ等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂
肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類及びN,N−ジメチルホルムアミド等が使用できる。
なお、工業的には、縮合反応と還元反応は同一の溶媒を
用いることが好ましい。
【0049】還元反応時の溶媒の全使用量に、特に制限
はなく、通常、1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼンに対し、0.5〜10重量倍で十分である。ま
た、水と混和しない反応溶媒を使用した際には、四級ア
ルキルアンモニウム塩、四級アルキルホスニウム塩等の
一般に使用されている相間移動触媒を加えることによ
り、反応を促進させることもできる。還元反応時の反応
温度に特に制限はないが、通常50〜100℃程度で実
施することができる。また、反応中の水素圧について
も、特に制限はなく、常圧(大気圧)〜0.2MPa程
度の微加圧下で実施することができる。さらに反応速度
を上げたい場合は、5MPa程度の加圧下で反応を行う
こともできる。
【0050】還元反応の実施に際しては、あらかじめ反
応溶媒及び還元触媒を装入し、水素ガス雰囲気下にガス
置換された反応系に、攪拌下、1,3−ビス(4−ニト
ロフェノキシ)ベンゼンを徐々に添加しながら反応を行
う。1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンを
添加する際の態様は特に限定されるものではないが、
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンを反応
溶媒に溶解させた溶液を滴下する方法が、操作上容易で
あり、好ましい形態である。
【0051】還元反応時に1,3−ビス(4−ニトロフ
ェノキシ)ベンゼンを添加する速度は、反応速度に見合
った量だけが系内に添加される必要がある。添加速度が
速すぎる場合、系内のニトロソ及びヒドロキシルアミン
の濃度を十分に制御できず、アゾ化合物の副生を抑制で
きない。最適添加速度は、還元反応の条件によっても異
なるが、常圧ないし0.2MPa程度の微加圧下、反応
温度90℃で接触還元する場合、全量を2時間以上かけ
て添加することが望ましい。
【0052】還元反応終了後に、濾過等により反応液か
ら触媒を除去した後、濾液に対して水等の貧溶媒を添加
することにより、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼンを析出させることができる。濾過により回
収した1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
はこのままで高い純度を有するが、更に再結晶あるいは
活性炭処理を施すことも可能である。 [本発明に係る溶融時の熱安定性に優れた溶融成形用結
晶性ポリイミド]本発明に係るポリイミドは、化学式
(1)(化1)で表される繰り返し単位を有し、分子末
端が化学式(2))、及び/又は、化学式(3)で構成
されるポリイミドにおいて、(化学式(2)において、
Vは、1価の芳香族基であり、化学式(3)において、
Tは、2価の芳香族基である。) 数式(1)[数1]により計算される溶融粘度比MVR
が、数式(2)[数2]に示される数値範囲にあるこ
と、 [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、30〜500[sec−1]の
範囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・se
c])であり、MV30は、試料を420℃で30分間保
持して溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の
剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])であ
る。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
算される溶融粘度比である。)及び/又は、数式(3)
[数3]により計算されるメルトフローインデックスの
保持率MIRが、数式(4)[数4]に示される数値範
囲にあること [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
溶融させ測定したMI([g/10min])であ
る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
算されるメルトインデックスの保持率である。)を特徴
とする熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミドである。
【0053】[化学式(1)で表される繰り返し単位] [化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイ
ミド]本発明に係るポリイミドは、化学式(1)で表さ
れる繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドである。
ここで、化学式(1)で表される繰り返し単位を有する
ポリイミドが、熱可塑性及び結晶性を示すことは、従来
より知られている。
【0054】本発明に係るポリイミドは、化学式(1)
で表される繰り返し単位を有するが、その良好な物性を
損なわない範囲で、化学式(1)で表される繰り返し単
位と異なる繰り返し単位を有していても問題ない。異な
る繰り返し単位の具体例としては、例えば、一般式
(a)
【0055】
【化11】 で示される繰り返し単位等が挙げられる。(ここで、X
は2価の芳香族基を示し、Yは4価の芳香族基を示す。
Xの具体例としては、例えば以下の(e)〜(h)等が
挙げられる。Yの具体例としては、例えば以下の(r)
〜(x)等が挙げられる。)
【0056】
【化12】 (ここで、Rは、それぞれ独立して、式(i)〜(q)
からなる群より選択される少なくとも1つで表され
る。)
【0057】
【化13】 この一般式(a)で示される繰り返し単位の芳香環の水
素原子は、アミノ基やカルボニル基と反応性を有しない
置換基で置換されていてもよい。このような芳香環の水
素原子の置換基の具体例としては、例えば、化学式(1
9)〜(33)に示すものが挙げられる。
【0058】
【化14】 なお、異なる繰り返し単位の量は、化学式(1)で表さ
れる繰り返し単位に対し、0〜10モル%の範囲である
ことが好ましい。異なる繰り返し単位の量が、10モル
%を越えると、ポリイミドの結晶化速度が著しく低下
し、射出成形時に金型内で結晶化させることが困難とな
る。
【0059】[分子末端が化学式(2)及び/又は化学
式(3)で構成されるポリイミド]本発明に係るポリイ
ミドは、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化学式
(3)で構成されるポリイミドである。化学式(1)で
表される繰り返し単位を有するポリイミドの分子末端を
化学式(2)、及び/又は、化学式(3)で表される構
造とすることにより、ポリイミドの溶融時の熱安定性が
向上することは従来より知られている。
【0060】本発明に係るポリイミドにおいて、化学式
(2)における1価の芳香族基Vの具体例としては、例
えば以下の(14)〜(15)等が挙げられる。
【0061】
【化15】 ここで、1価の芳香族基Vの芳香環の水素原子は、アミ
ノ基やカルボニル基と反応性を有しない置換基で置換さ
れてもよい。このような芳香環の水素原子の置換基の具
体例としては、例えば、化学式(19)〜(33)に示
すものが挙げられる。
【0062】本発明に係るポリイミドにおいて、化学式
(3)における2価の芳香族基Tの具体例としては、例
えば以下の(16)〜(18)等が挙げられる。
【0063】
【化16】 ここで、2価の芳香族基Tの芳香環の水素原子は、アミ
ノ基やカルボニル基と反応性を有しない置換基で置換さ
れてもよい。このような芳香環の水素原子の置換基の具
体例としては、例えば、化学式(19)〜(33)に示
すものが挙げられる。
【0064】本発明に係るポリイミドにおいて、その分
子末端は、化学式(b)で表される構造であることが特
に好ましい。
【0065】
【化17】 [ポリイミドの分子量]ポリイミドの分子量は、対数粘
度及び溶融粘度により評価することができる。
【0066】本発明に係るポリイミドの対数粘度ηinh
[dl/g]に特に制限はないが、好ましくは0.6〜
1.3[dl/g]、より好ましくは0.8〜1.2d
l/g[dl/g]である。ここで、対数粘度ηinh
[dl/g]は、p−クロロフェノール90重量%/フ
ェノール10重量%混合溶媒に、試料を0.5重量%で
溶解し、35℃で測定したときの対数粘度である。
【0067】本発明に係るポリイミドの溶融粘度MV5
[Pa・sec]に特に制限はないが、好ましくは、2
×102〜 5×103[Pa・sec]、より好ましく
は、4×102 〜3×103 [Pa・sec]である。
ここで、溶融粘度MV5[Pa・sec]は、試料を4
20℃で5分間保持して溶融させ、30〜500[se
c−1]の範囲の剪断速度で測定した溶融粘度である。
【0068】[対数粘度ηinh]本発明に係るポリイミ
ドにおいて、その対数粘度ηinh[dl/g]に制限は
ないが、好ましくは0.6〜1.3[dl/g]、より
好ましくは0.8〜1.2dl/g[dl/g]であ
る。ここで、対数粘度ηinh[dl/g]は、p−クロ
ロフェノール90重量%/フェノール10重量%混合溶
媒に、試料を0.5重量%で溶解し、35℃で測定した
ときの対数粘度である。対数粘度ηinhが0.6[dl
/g]未満の場合、ポリイミドは、極めて脆く、成形品
としての使用が困難である。また、対数粘度ηinhが
1.3[dl/g]を超える場合、ポリイミドの溶融流
動性が極めて低いため射出成形が困難である。
【0069】[溶融粘度MV5]本発明に係るポリイミ
ドにおいて、その溶融粘度MV5[Pa・sec]に制
限はないが、好ましくは、2×102 〜 5×103
[Pa・sec]、より好ましくは、4×102 〜3×
103 [Pa・sec]である。ここで、溶融粘度MV
5[Pa・sec]は、試料を420℃で5分間保持し
て溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の剪断
速度で測定した溶融粘度である。溶融粘度MV5が20
0[Pa・sec]未満の場合、ポリイミドは、極めて
脆く、成形品としての使用が困難である。また、溶融粘
度MV5が5000[Pa・sec]を超える場合、ポ
リイミドの溶融流動性が極めて低いため射出成形が困難
である。
【0070】[溶融粘度比MVR]本発明に係るポリイ
ミドにおいて、数式(1)により計算される溶融粘度比
MVRは、数式(2)に示される範囲、すなわち、1.
0〜1.5の範囲であり、好ましくは1.0〜1.3、
より好ましくは1.0〜1.2の範囲である。 [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1)[数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) 数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5分
間保持して溶融させ、30〜500[sec−1]の範
囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])
であり、MV30は、試料を420℃で30分間保持して
溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の剪断速
度で測定した溶融粘度([Pa・sec])である。
【0071】溶融粘度比MVRは、MV30を、MV5で
割った比率であり、樹脂を溶融状態に保持した際の、溶
融粘度の経時的な変化の程度を示す尺度である。
【0072】溶融状態に保持した際に、樹脂の分解が起
こると、樹脂の分子量が低下するため、溶融粘度比MV
Rは、1.0未満の数値となる。
【0073】溶融状態に保持した際に、樹脂の架橋が起
こると、樹脂の分子量が増加するため、溶融粘度比MV
Rは、1.0を越える数値、一般的には1.5を越える
数値となる。
【0074】すなわち、この溶融粘度比MVRが、1.
0に近いほど、溶融時の熱安定性に優れていることを示
す。
【0075】ここで、溶融時の熱安定性とは、樹脂を溶
融状態に保持した際に、分子量が低下しにくく、分子量
が上昇しにくい性質をいう。
【0076】本発明に係るポリイミドは、その溶融粘度
比MVRが、数式(2)[数2]にも示したとおり、
1.0〜1.5であるという特徴を有する。
【0077】このような顕著に熱安定性に優れるという
特徴を有するポリイミドは、本発明に係るポリイミドの
製造方法を用いた場合にのみ、特異的に得ることができ
る。すなわち、従来の技術により得られた、化学式
(1)で表される繰り返し単位を有し、分子末端が、化
学式(2)、及び/又は、化学式(3)で構成されるポ
リイミドは、溶融時の熱安定性に劣り、数式(1)によ
り計算される溶融粘度比MVRが、1.5を超えてい
る。
【0078】溶融粘度比MVRが、1.5を越えるポリ
イミドは、溶融時に時間と共にその流動性が低下しす
る。そのため、射出成形の時には、成形開始後時間と共
に射出圧が上昇したり、樹脂の流動性が低下し、安定し
た成形ができないばかりか、色調や物性の安定した製品
を得ることができない。
【0079】[メルトフローインデックスMI5]本発
明に係るポリイミドにおいて、そのメルトフローインデ
ックスMI5[g/10min]に制限はないが、好ま
しくは、0.2〜100[g/10min]、より好ま
しくは、1.0〜30[g/10min]である。ここ
で、メルトフローインデックスMI5は、樹脂の溶融流
動性の指標であり、試料を420℃で5分間保持して溶
融させ、ASTM D−1238により加重10.3N
で測定した値である。MI5が0.2[g/10mi
n]未満の場合、ポリイミドの溶融流動性が極めて低い
ため射出成形が困難である。また、MI5が100[g
/10min]を超える場合、ポリイミドは、極めて脆
く、成形品としての使用が困難である。
【0080】[メルトフローインデックスの保持率MI
R]本発明に係るポリイミドにおいて、数式(3)によ
り計算されるメルトフローインデックスの保持率MIR
は、数式(4)に示される範囲、すなわち0.7〜1.
0の範囲であり、好ましくは0.8〜1.0、より好ま
しくは0.9〜1.0の範囲である。 [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3)[数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) 数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5分
間保持して溶融させ、ASTM D−1238により加
重10.3Nで測定したMI([g/10min])で
あり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して溶
融させ測定したMI([g/10min])である。
【0081】メルトフローインデックスの保持率MIR
は、MI30を、MI5で割った比率であり、樹脂を溶融
状態に保持した際の、樹脂流動性の経時的な変化の程度
を示す尺度である。
【0082】溶融状態に保持した際に、樹脂の分解が起
こると、樹脂の分子量が低下し、流動しやすくなるた
め、MIRは、1.0を越える数値となる。
【0083】溶融状態に保持した際に、樹脂の架橋が起
こると、樹脂の分子量が増加し、流動性が低下するた
め、MIRは、1.0未満の数値、一般的には0.7未
満の数値となる。
【0084】すなわち、この溶融粘度比MIRが、1.
0に近いほど、溶融時の熱安定性に優れていることを示
す。
【0085】ここで、溶融時の熱安定性とは、樹脂を溶
融状態に保持した際に、分子量が低下しにくく、分子量
が上昇しにくい性質をいう。
【0086】本発明に係るポリイミドは、その溶融粘度
比MIRが、数式(4)にも示したとおり、0.7〜
1.0であるという特徴を有する。
【0087】このような顕著に熱安定性に優れるという
特徴を有するポリイミドは、本発明に係るポリイミドの
製造方法を用いた場合にのみ、特異的に得ることができ
る。すなわち、従来の技術により得られた、化学式
(1)で表される繰り返し単位を有し、分子末端が、化
学式(2)、及び/又は、化学式(3)で構成されるポ
リイミドは、溶融時の熱安定性に劣り、数式(3)によ
り計算されるMIRが0.7未満である。
【0088】MIRが、0.7未満のポリイミドは、溶
融時に時間と共にその流動性が低下しする。そのため、
射出成形の時には、成形開始後時間と共に射出圧が上昇
したり、樹脂の流動性が低下し、安定した成形ができな
いばかりか、色調や物性の安定した製品を得ることがで
きない。
【0089】[本発明に係るポリイミドの結晶性]本発
明に係るポリイミドは、冷却速度50℃/分で、溶融状
態430℃から固体状態の50℃まで冷却したときに、
結晶化が発現する機能を有する。このような冷却条件に
おいて結晶化が発現する樹脂、すなわち、結晶化速度の
大きい樹脂は、通常の成形サイクルによる溶融成形で
も、十分に結晶化した成形加工品を得ることができる。
対照的に、溶融状態の430℃から固体状態の50℃ま
で、冷却速度50℃/分で冷却した際に結晶化が発現し
ない樹脂は、通常の成形サイクルによる溶融成形では、
十分に結晶化した成形加工品を得ることができない。そ
のため、成形時に金型内で徐冷するという結晶化処理の
操作や、通常の成形サイクルによる溶融成形で得られた
非晶性の成形加工品をオーブン中で熱処理(アニール処
理、アニーリング)して結晶化させる操作が必要となる
ため、生産性が著しく低下する。なお、結晶化の発現
は、例えば、DSC(示差走査型熱量計)測定により、
溶融状態にある試料を、50[℃/分]の冷却速度で冷
却した際の結晶化に伴う発熱ピークの存在により確認で
きる。
【0090】[本発明に係る熱安定性の良好な熱可塑性
ポリイミドの製造方法]本発明に係る熱安定性の良好な
熱可塑性ポリイミドの製造方法は、化学式(8)で表さ
れる1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
化学式(9)で表される3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、化学式(10)で表され
るモノアミン、及び/又は化学式(11)で表されるジ
カルボン酸無水物を使用するポリイミドの製造方法にお
いて、化学式(8)で表される1,3−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼンのアゾ化合物の含有量が、0.
0〜0.2%であることを特徴とする、熱安定性の良好
な熱可塑性ポリイミドの製造方法である。(化学式(1
0)において、Vは、1価の芳香族基であり、化学式
(11)において、Tは、2価の芳香族基である。) [化学式(8)で表される1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン]本発明に係るポリイミドの製造方
法において、化学式(8)で表されるジアミンは、本発
明に係る、アゾ化合物の含有量が0.0〜0.2%、好
ましくは0.0〜0.1%である、1,3−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼンである。アゾ化合物の含有
量が0.2%より多い場合には、得られるポリイミドは
溶融時に粘度が経時的に変化し、成形性及び得られる製
品の物性の安定性が著しく低下するため好ましくない。
【0091】本発明において、化学式(8)で表される
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの使用
量は、用いるテトラカルボン酸二無水物の合計モル数を
基準として、90〜110モル%の範囲である。
【0092】[化学式(9)で表されるテトラカルボン
酸二無水物]本発明に係るポリイミドの製造方法におい
て、化学式(9)で表されるテトラカルボン酸二無水物
は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物である。この3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物は、市販されており、工業的
に容易に使用することができる。3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、例えば、商品
名『UPILEX』(宇部興産社製)の原料としても知
られている。
【0093】化学式(9)で表される3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量
は、用いるジアミンの合計モル数を基準として90〜1
10モル%の範囲である。
【0094】[その他の原料]本発明に係る熱安定性の
良好な熱可塑性ポリイミドの製造方法は、化学式(8)
で表される1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、化学式(9)で表される3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物を、必須の原料とし
て用いるが、得られるポリイミドの物性を損なわない範
囲で、上記1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物の一部を異なるジアミン及び/又は
テトラカルボン酸二無水物に代えても問題ない。
【0095】用いることのできるジアミンの具体例とし
ては、例えば、一般式(c)で示されるジアミンが挙げ
られる。また、用いることのできるテトラカルボン酸二
無水物の具体例としては、例えば、一般式(d)で示さ
れるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0096】
【化18】 (ここで、Xは2価の芳香族基を示し、Yは4価の芳香
族基を示す。Xの具体例としては、例えば前記の(e)
〜(h)等が挙げられる。Yの具体例としては、例えば
前記の(r)〜(x)等が挙げられる。)(ここで、R
は、それぞれ独立して、式(i)〜(q)からなる群よ
り選択される少なくとも1つで表される。) この一般式(c)で示されるジアミン、及び/又は、一
般式(d)で示されるテトラカルボン酸二無水物の芳香
環の水素原子は、アミノ基やカルボニル基と反応性を有
しない置換基で置換されていてもよい。このような芳香
環の水素原子の置換基の具体例としては、例えば、化学
式(19)〜(33)に示すものが挙げられる。 水素原子の置換基 なお、一般式(c)で示されるジアミンの使用量は、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの使用
量に対し、0〜10モル%の範囲であることが好まし
い。一般式(c)で示されるジアミンの使用量が、10
モル%を越えると、得られるポリイミドの結晶化速度が
著しく低下し、射出成形時に金型内で結晶化させること
が困難となる。また、一般式(d)で示されるテトラカ
ルボン酸二無水物の使用量は、3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物の使用量に対し、0
〜10モル%の範囲であることが好ましい。一般式
(d)で示されるテトラカルボン酸二無水物の使用量
が、10モル%を越えると、得られるポリイミドの結晶
化速度が著しく低下し、射出成形時に金型内で結晶化さ
せることが困難となる。
【0097】以下に示す一般式(c)で表されるジアミ
ンの具体例は、単独で、又は、二種類以上を組み合わせ
て使用することができる。p−フェニレンジアミン、m
−フェニレンジアミン。3,3’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジ
アミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフ
ェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスル
フィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,
4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェ
ノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−
ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−ア
ミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェ
ニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−
(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−ア
ミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2
−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニル
エタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェ
ニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−
アミノフェニル)−1−フェニルエタン。1,3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベン
ゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)
ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベン
ゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベ
ンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α
−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−ア
ミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−
ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼ
ン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオ
ロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミ
ノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオ
ロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミ
ノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼ
ン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニト
リル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジ
ン。4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケ
トン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]
ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン。
【0098】以下に示す一般式(d)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物の具体例は、単独で、又は、二種類
以上を組み合わせて使用することができる。ピロメリッ
ト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二
無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェ
ニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシベ
ンゾイル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−
ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,3−
ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無
水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビ
ス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−
ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水
物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フ
ェニル〕エーテル二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカ
ルボキシフェノキシ)フェニル〕エーテル二無水物、ビ
ス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕ケトン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル〕ケトン二無水物、ビス〔4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホ
ン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノ
キシ)フェニル〕スルホン二無水物、ビス〔4−(3,
4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕スルフィド二
無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル〕スルフィド二無水物、2,2−ビス〔4
−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無
水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェ
ノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物。
【0099】[化学式(10)で表されるモノアミン]
化学式(10)で表されるモノアミンは、芳香族モノア
ミンである。化学式(10)において、Vは、1価の芳
香族基である。1価の芳香族基Vの具体例としては、例
えば、前記化学式(14)〜(15)からなる1価芳香
族基群が挙げられる。このモノアミンの芳香環の水素原
子は、アミノ基やカルボニル基と反応性を有しない置換
基で置換されていてもよい。このような芳香環の水素原
子の置換基の具体例としては、例えば、化学式(19)
〜(33)に示すものが挙げられる。化学式(10)で
表されるモノアミンの使用量は、用いるテトラカルボン
酸二無水物の合計モル数を基準として、0.1〜100
モル%、好ましくは1〜50モル%となる範囲である。
【0100】[化学式(10)で表されるモノアミンの
具体例]化学式(10)で表されるモノアミンの具体例
としては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−ト
ルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,
6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリ
ジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−
クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニ
リン、p−ブロモアニリン、o−フルオロアニリン、m
−フルオロアニリン、p−フルオロアニリン、o−アニ
シジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネ
ジン、m−フェネジン、p−フェネジン、2−アミノビ
フェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニ
ル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノ
フェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニ
ルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベ
ンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノ
フェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェ
ニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィ
ド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノ
フェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニ
ルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミ
ン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナ
フトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−
1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−ア
ミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、
8−アミノ−2−ナフトール等が挙げられる。これら
は、単独で、又は、二種類以上を組み合わせて使用する
ことができる。
【0101】[化学式(11)で表されるジカルボン酸
無水物]化学式(11)で表されるジカルボン酸無水物
は、芳香族ジカルボン酸無水物である。化学式(11)
において、Tは、2価の芳香族基である。2価の芳香族
基Tの具体例としては、例えば、前記化学式(16)〜
(18)からなる2価芳香族基群が挙げられる。このジ
カルボン酸無水物の芳香環の水素原子は、アミノ基やカ
ルボニル基と反応性を有しない置換基で置換されていて
もよい。このような芳香環の水素原子の置換基の具体例
としては、例えば、前記化学式(19)〜(33)に示
すものが挙げられる。化学式(11)で表されるジカル
ボン酸無水物の使用量は、用いるジアミンの合計モル数
を基準として、0.1〜100モル%、好ましくは1〜
50モル%となる範囲である。
【0102】[化学式(11)で表されるジカルボン酸
無水物の具体例]化学式(11)で表されるジカルボン
酸無水物の具体例としては、例えば、無水フタル酸、ク
ロロ無水フタル酸、ブロモ無水フタル酸、フルオロ無水
フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水
物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,
3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、
3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水
物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−
ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシ
フェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボ
キシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−
ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジ
カルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無
水物等が挙げられる。これらは、単独で、又は、二種類
以上を組み合わせて使用することができる。
【0103】[ポリイミドの分子量の設定]本発明に係
るポリイミドは、原料として使用する、化学式(8)で
表される1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、化学式(9)で表される3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、化学式(10)で表
されるモノアミン、及び、化学式(11)で表されるジ
カルボン酸無水物の仕込み比率を、適宜調節することに
より、所望の分子量、対数粘度、又は、溶融粘度とする
ことができる。
【0104】[原料の仕込み比率の調整例] 1. ジアミン仕込量が過剰である場合 ジアミンの仕込量を過剰とする場合、すなわち、化学式
(8)で表される1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼンの仕込量を過剰とする場合、ジアミンの仕
込モル数を基準として、化学式(9)で表される3,
3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水
物の仕込量は、90〜100モル%であり、末端封止剤
である、化学式(11)で表されるジカルボン酸無水物
の仕込量は、0.1〜100モル%、好ましくは、1〜
50モル%である。
【0105】2. テトラカルボン酸二無水物仕込量が
過剰である場合 テトラカルボン酸二無水物の仕込量を過剰とする場合、
すなわち、化学式(9)で表される3,3’,4,4’
−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物の仕込量を過
剰とする場合、テトラカルボン酸二無水物の仕込モル数
を基準として、化学式(8)で表される1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの仕込量は、90〜
100モル%であり、末端封止剤である、化学式(1
0)で表されるモノアミンの仕込量は、0.1〜100
モル%、好ましくは、1〜50モル%である。
【0106】[反応方法]本発明の係るポリイミドの製
造方法において、上記原料類を反応させる方法は、何ら
制限されるものではなく、ポリイミドを製造可能な反応
方法が公知の方法を含め全て適用できる。中でも、有機
溶媒中で反応を行うことが特に好ましい。このような反
応において使用できる溶媒としては、例えばN,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピ
ロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、
N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタ
ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビ
ス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−
メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフ
ラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロ
リン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスル
ホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、フェノール、o−クレゾール、mークレゾール、p
−クレゾール、3,5−キシレノール、2,3−キシレ
ノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノー
ル、3,4−キシレノール、o−クロロフェノール、p
−クロロフェノール、スルホラン、o−ジクロロベンゼ
ン、ジフェニルエーテル、アニソール、ベンゼン、トル
エン、キシレン等が挙げられる。特に好ましくは、フェ
ノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾ
ール、p−クロロフェノールである。また、これらの有
機溶媒は単独でも2種類以上混合して用いても差し支え
ない。
【0107】本発明において、有機溶媒にジアミン類、
テトラカルボン酸二無水物類、芳香族ジカルボン酸無水
物および/または芳香族モノアミンを添加、反応させる
方法としては、例えば、以下の1〜4等が挙げられ、い
ずれの添加方法を採用してもよい。 1. テトラカルボン酸二無水物類とジアミン類を反応
させた後に、芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モ
ノアミンを添加して反応を続ける方法。 2. ジアミン類に芳香族ジカルボン酸無水物類を加え
て反応させた後、テトラカルボン酸二無水物類を添加
し、更に反応を続ける方法、 3. テトラカルボン酸二無水物類に芳香族モノアミン
を加えて反応させた後、ジアミン類を添加し、さらに反
応を続ける方法。 4. テトラカルボン酸二無水物類、ジアミン類、芳香
族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンを同時に
添加し、反応させる方法。
【0108】[反応温度]本発明に係るポリイミドの製
造方法において、ポリイミドを製造する際の反応温度
は、130℃以上、有機溶媒の還流温度以下の温度範囲
であることが好ましい。ここで、反応温度が130℃未
満であると、長時間反応してもイミド化は完全に進行せ
ず、残存したアミド酸が溶融成形時にイミド化するた
め、溶融時の粘度が変化し、好ましくない。
【0109】[反応生成物の回収]本発明に係るポリイ
ミドの製造方法において、反応終了後に、反応系の溶
液、又は、スラリー液から、反応生成物を、公知・公用
の方法により回収することができる。回収方法は、特に
制限されるものではないが、その具体例としては、例え
ば、反応溶液にトルエン等の貧溶媒を滴下し、析出した
ポリイミドを濾別乾燥する方法や、激しく撹拌したメタ
ノール等に反応溶液を滴下して、析出したポリイミドを
濾別乾燥する方法等を挙げることができる。
【0110】[ポリイミドの成形加工]本発明に係るポ
リイミドは、優れた溶融流動性と、溶融状態での高い熱
安定性を有しており、押出成形、射出成形、圧縮成形、
トランスファー成形などの公知の溶融成形法により成形
することにより得ることができる。
【0111】本発明に係るポリイミドは、結晶化速度が
大きいため、適切な条件下で成形を行うことにより、十
分に結晶化した成形体を得ることができる。成形条件に
よっては、得られた成形体の結晶化が十分に進行してい
ない場合もあるが、このような場合には、成形体に熱処
理(アニール処理)を施すことによりさらに結晶化させ
ることも可能である。
【0112】本発明に係るポリイミドは高い結晶性を有
するので、得られる成形体はガラス転移温度以上の温度
においても高い弾性率を維持しており、高い温度での使
用が可能である。
【0113】[樹脂組成物]本発明に係るポリイミド
は、得られる成形体の物性の改良のために、充填材や、
樹脂を配合した樹脂組成物とすることが可能であり、配
合する充填材や樹脂の種類、量及びその配合方法は何ら
制限されるものではない。充填材の具体例としては、例
えば、耐摩耗性向上剤、補強剤、難燃性向上剤、電気的
特性向上剤、耐トラッキング向上剤、耐酸性向上剤、熱
伝導度向上剤、その他の充填材を挙げることができる。
耐摩耗性向上剤の具体例としては、例えば、グラファイ
ト、カーボランダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フ
ッ素系樹脂等を挙げることができる。補強剤の具体例と
しては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等を挙げる
ことができる。難燃性向上剤の具体例としては、例え
ば、三酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム等を挙げることができる。電気特性向上剤の具体例
としては、例えば、クレー、マイカ等を挙げることがで
きる。耐トラッキング向上剤の具体例としては、例え
ば、アスベスト、シリカ、グラファイト等を挙げること
ができる。耐酸性向上剤の具体例としては、例えば、硫
酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム等を挙げる
ことができる。熱伝導度向上剤の具体例としては、例え
ば、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等を挙げるこ
とができる。その他の充填材としては、例えば、ガラス
ビーズ、ガラス球、タルク、ケイ藻度、アルミナ、シラ
スバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料、顔料等
を挙げることができる。
【0114】これらの充填材は、一種、または、複数の
ものを選択して用いることができ、ポリイミド100重
量部に対して1〜100重量部、好ましくは3〜85重
量部、より好ましくは5〜70重量部を添加して用いる
ことができる。1重量部未満では、物性の向上効果を発
揮しない場合があり、100重量部を超えると成形時の
流動性を害する場合がある。
【0115】樹脂の具体例としては、例えば、熱可塑性
樹脂を挙げることができる。配合することができる熱可
塑性樹脂としては、ポリオレフィン類、ポリスチレン
類、ポリカーボネート、ポリエステル類、ポリアミド
類、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリ
アセタール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリスルホン類、ポリケトン類、ポリエーテルニト
リル、液晶ポリマー、本発明のポリイミドと異なる構造
を有するポリイミドなどが挙げられる。
【0116】また、熱可塑性ではないが、ポリテトラフ
ルオロエチレンなどのフッ素系樹脂やシリコーン樹脂類
は組成物の離型性や摺動性を改善する上で効果が大き
い。また、芳香族ポリアミド繊維なども機械的特性を向
上する上で好ましい。これらは一種または複数のものを
選択し用いることができる。
【0117】着色料、離型剤、各種安定剤、可塑剤、オ
イル類なども添加可能である。
【0118】[ポリイミド成形体]本発明に係る成形体
は、化学式(1)で表される繰り返し単位を有し、分子
末端が化学式(2)、及び/又は、化学式(3)で構成
される熱可塑性ポリイミドを含んでなる成形体であっ
て、前記成形体を溶融したときに、数式(1)[数1]
により計算される溶融粘度比MVRが、数式(2)[数
2]に示される数値範囲にあること、 [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、30〜500[sec−1]の
範囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・se
c])であり、MV30は、試料を420℃で30分間保
持して溶融させ、30〜500[sec−1]の範囲の
剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])であ
る。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
算される溶融粘度比である。)及び/又は、数式(3)
[数3]により計算されるメルトフローインデックスの
保持率MIRが、数式(4)[数4]に示される数値範
囲にあること [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
溶融させ測定したMI([g/10min])であ
る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
算されるメルトインデックスの保持率である。)を特徴
とする成形体である。
【0119】本発明に係る成形体は、本発明に係るポリ
イミド、及び/又は、本発明に係るポリイミドを含んで
なる樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、ト
ランスファー成形などの公知の溶融成形法により成形す
ることにより得ることができる。
【0120】[用途]本発明に係るポリイミド、及び、
本発明に係る成形体は、優れた物性を有し、様々な用途
において有用であり、その用途は、何ら制限されるもの
ではないが、中でも、広い温度範囲での弾性率に優れ、
寸法の変動が少ないといった特徴を活かした、230℃
以上の高温下で使用される用途、寸法精度の要求される
用途等に有用である。
【0121】本発明に係るポリイミド、及び、本発明に
係る成形体は、特に以下の用途において有用である。
【0122】半導体容器の分野では、IC包装用トレ
ー、IC製造工程用トレー、ICソケット、ウェハーキ
ャリア等。
【0123】電気・電子部品の分野では、コネクター、
ソケット、ボビンなどのほか、ハードディスクキャリ
ア、液晶ディスプレイキャリア、水晶発振器製造用トレ
ーなどの製造用治具等。
【0124】事務機器部品の分野では、コピー機用分離
爪、コピー機用断熱軸受け、コピー機用ギア等。
【0125】自動車部品の分野では、スラストワッシャ
ー、トランスミッションリング、ピストンリング、オイ
ルシールリング等。産業機器部品の分野では、ベアリン
グリテーナー、ポンプギア、コンベアチェーン、ストレ
ッチマシン用スライドブッシュ等。
【0126】フィルムや繊維等。
【0127】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれにより何ら制限されるものではな
い。なお、ポリイミドの物性は以下の方法により測定し
た。 1. 対数粘度(ηinh) 対数粘度(ηinh)は、p−クロロフェノール90重量
%/フェノール10重量%混合溶媒に、ポリイミド粉を
0.5g/100gの濃度で溶解した後、35℃におい
て、ウベローデ粘度計で測定した。 2. 溶融粘度(MV) 溶融粘度(MV)は、日本工業規格(JIS) K72
10〔流れ試験方法(参考試験)〕に準拠し、フローテ
スター(島津製作所製・高化式フローテスターCFT5
00A)により、荷重100kg(圧力9.8MPa)
で、以下に示すMV5とMV30を測定し、MVRを計算
した。 MV5 ; 試料を420℃で5分間保持して溶融さ
せ、30〜500[sec-1]の範囲の剪断速度で測定
したときの溶融粘度([Pa・sec])。 MV30 ; 試料を420℃で30分間保持して溶融さ
せ、30〜500[sec-1]の範囲の剪断速度で測定
したときの溶融粘度([Pa・sec]。 MVR; 溶融粘度比 MVR = MV30 ÷ MV
5 3. メルトフローインデックス(MI) メルトフローインデックス(MI)は、ASTM D−
1238に準拠し、加重10.3Nで、以下に示すMI
5とMI30を測定し、MIRを計算した。 MI5 ; 試料を420℃で5分間保持して溶融させ
測定したMI([g/10min])。 MI30 ; 試料を420℃で30分間保持して溶融さ
せ測定したMI([g/10min])。 MIR; メルトフローインデックスの保持率 MIR
= MI30 ÷ MI5 4. 溶融粘度(η*)の経時変化 溶融粘度(η*)の経時変化は Macromolecules 1997,3
0,1012-1022 記載の方法に準拠し、レオメトリックス社
製溶融粘弾性測定装置 ARES-2KFRTN1-F10-STD を用い、
窒素雰囲気下、測定温度420℃、周波数0.1Hz、
ジオメトリー25mmΦパラレルプレート、ギャップ
1.0mm、歪み2%で測定した。なお、サンプルは、
錠剤成形器により錠剤状に成形し、測定部にセットして
から2分後に観測を開始した。 5. ストランドの形態 溶融粘度測定時に、フローテスターから押し出されたス
トランドの透明性を目視で観察した。ここで、経験的
に、不透明なものは、結晶化が十分であり、透明なもの
は、結晶化が不十分であると判断することができる。 6. 5%重量減少温度 5%重量減少温度は、空気中にてDTG(示差走査型熱
量・熱重量同時測定装置、島津製作所製・DT−40シ
リーズ、DTG−40M)により測定した。 7. 融点(Tm) 融点(Tm)は、DSC(示差走査型熱量計、セイコー
電子工業社製・EXSTAR6200)により、25℃
から430℃まで、昇温速度10[℃/分]で測定し
た。 8. 結晶化挙動 結晶化挙動は、DSC(示差走査型熱量計、セイコー電
子工業社製・EXSTAR6200)により、降温過程
の結晶化温度(Tc)、結晶化エネルギー(ΔHc)、
及び、2回目の昇温過程の結晶化温度(Tc)、結晶化
エネルギー(ΔHc)、融点(Tm)、融解エネルギー
(ΔHm)を測定した。DSC測定時の加熱冷却パター
ンは以下(1) 〜(3) の3段階によった。 (1) 第1段階(昇温過程(第1回目)) 25℃ → 430℃ (昇温速度10[℃/分]) (2) 第2段階(降温過程) 430℃ → 50℃ (冷却速度50[℃/分]) (3) 第3段階(昇温過程(第2回目)) 50℃ → 430℃ (昇温速度10[℃/分]) なお、降温過程の結晶化エネルギー(ΔHc)が大きい
ほど、冷却後のポリイミドの結晶化度が高いことを意味
する。1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
は、以下の方法により評価した。
【0128】9. HPLC測定 見かけの純度は、サンプルの500重量ppmメタノー
ル溶液を調整し、高速液体クロマトグラフィー(カラ
ム;JASCO社製ODS系カラム CrestPak
C18T−5 4.6×250mm、移動層;メタノ
ール/水=75/25、流速0.7ml/min、打ち
込み量20μl)を用い、測定波長254nmにおける
吸収エリアパーセントより求めた。ただし、この条件で
は不純物であるアゾ化合物は検出できない。
【0129】10. アゾ化合物の含有量 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン中のア
ゾ化合物の定量は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC、カラム;Shodex社製 GPC−
KF801 8.0×300mm×2本、移動層;テト
ラヒドロフラン、流速;0.75ml/min、打ち込
み量20μl)を用い、測定波長254nmで行なっ
た。
【0130】11. FD−MS測定 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンのFD
−MS測定は、日本電子社製SX−102Aを用い、以
下の条件で行った。
【0131】Scan Range:10-2000 , Scane Speed:10sec
, Cyclic Time:10secAccel Volt:8kV , Ion Multi:2.0
kV , Solvent:DMFEmitter Current:〜42mA(2.0mA/min)
, Calibration:Ultramark 以下の実施例及び比較例においては、1,3−ビス(4
−ニトロフェノキシ)ベンゼンの製造では、特に言及が
ない限り、反応器として、攪拌機、分離器を備えた還流
冷却器、温度計、及び、ヒーター付滴下装置を備えたフ
ラスコを使用した。また、1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼンの製造では、特に言及がない限り、
反応器として、水素ガス導入装置、排気装置、滴下装
置、水銀シール式攪拌機、温度計を備えたフラスコを使
用した。なお、N,N−ジメチルホルムアミドについて
は、以下、DMFと略称する。
【0132】以下の実施例及び比較例においては、ポリ
イミドの製造では、特に言及がない限り、反応器とし
て、攪拌機、還流冷却器、及び、窒素導入装置を備えた
フラスコを使用した。
【0133】以下の実施例及び比較例においては、射出
成形に用いるペレットは、得られたポリイミド粉を、直
径25mm単軸押出機により、420℃で溶融押出しす
ることにより調製した。
【0134】以下の実施例及び比較例においては、スパ
イラル流動長の測定は、調製したペレットを用い、以下
の成形条件により測定した。また、1ショット目と10
ショット目の流動長の比率を溶融時の流動長保持率と
し、流動安定性の指標とした。 〈スパイラル流動長測定試験〉 シリンダー温度 420℃ 金型温度 200℃ 射出圧力 147MPa 流動肉厚 1mm 成形サイクル 120秒 以下の実施例及び比較例においては、ポリイミドの機械
物性評価用試験片は、ペレットを通常の射出成形機で、
以下の成形条件で成形した。 〈射出成形条件〉 シリンダー温度 420℃ 金型温度 210℃ 射出圧力 147MPa 金型内保持時間 30秒 [実施例1] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に、原料1を装入し、130〜135℃に温度を
維持した。ヒーター付滴下装置に、原料2を装入し、7
0〜80℃に維持し、溶液状態を維持した。反応系を攪
拌しながら、ヒーター付滴下装置内の原料2を6時間か
けて滴下した。
【0135】この間、生成する水をトルエンと共沸させ
て、還流冷却器にて凝縮させた後、分離器から分離し
た。滴下終了後、さらにこの温度範囲を保ったまま3時
間攪拌を続けた。 原料1 反応器に装入した原料(130〜135℃に維持) 炭酸カリウム 829.3g( 6.0mol) DMF 2000.0g トルエン 300.0g 原料2 ヒーター付滴下装置に装入した原料(70〜80℃に維持) レゾルシン 550.6g( 5.0mol) p−クロロニトロベンゼン 1622.9g(10.3mol) DMF 1000.0g 反応終了後、反応マスを100℃まで冷却し、100℃
で熱濾過することにより固形物を濾別し、濾紙上の固形
物を100℃のDMF300gで洗浄した。得られた濾
液及び洗浄液計4707g(純度93.8%)を、撹拌
機付きのフラスコ内で90℃に保持したまま、純水12
00gを装入した。3時間かけ30℃まで冷却した後、
析出した1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼ
ンの結晶を濾別し、濾紙上でDMF990gと純水36
0gの混合液で洗浄した。
【0136】この1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼン(未乾燥品、純度99.9%)1857g
を、DMF2743gに溶解し、1,3−ビス(4−ニ
トロフェノキシ)ベンゼン/DMF溶液4600gを調
製した。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3を、滴下装置に原料4を装入し、反応系
内を水素ガスで置換した後、攪拌しながら90℃まで昇
温した。 原料3 反応器に装入した原料 DMF 400.0g 5%パラジウム/アルミナ触媒 (エヌイーケムキャット社製) 6.5g 原料4 滴下装置に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン/DMF溶液1150.0
g なお、原料4の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼン/DMF溶液は、前記の1,3−ビス(4−ニ
トロフェノキシ)ベンゼン製造工程で得られたものであ
る。
【0137】滴下装置より、原料4を滴下しながら、
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンの接触
還元反応を行った。この間、水素吸収に応じて水素を反
応系内に導入した。
【0138】滴下開始より4時間後に、原料4の滴下が
終了し、ほぼ同時に水素の吸収が停止した。
【0139】滴下終了後1時間、そのままの状態で撹拌
を続け、その後、反応系内を窒素置換、反応液を室温ま
で冷却し、反応液より触媒を濾別した。
【0140】濾液に純水1600gを加え、析出した結
晶を濾過、窒素微通風下、90℃で8時間減圧乾燥し、
淡黄色の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン290.0g(収率79.4%)を得た。
【0141】 純度 99.4% アゾ化合物の含有量 0.07% [実施例2] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 実施例1と全く同様に、1,3−ビス(4−ニトロフェ
ノキシ)ベンゼンの製造を行なった。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3を、滴下装置に原料4を装入し、反応系
内を水素ガスで置換した後、攪拌しながら90℃まで昇
温した。 原料3 反応器に装入した原料 DMF 40.0g 5%パラジウム/アルミナ触媒 (エヌイーケムキャット社製) 0.65g 原料4 滴下装置に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン/DMF溶液115.0g なお、原料4の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼン/DMF溶液は、前記の1,3−ビス(4−ニ
トロフェノキシ)ベンゼン製造工程で得られたものであ
る。
【0142】滴下装置より、原料4を滴下しながら、
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンの接触
還元反応を行った。この間、水素吸収に応じて水素を反
応系内に導入した。
【0143】滴下開始より8時間後に、原料4の滴下が
終了し、ほぼ同時に水素の吸収が停止した。
【0144】滴下終了後1時間、そのままの状態で撹拌
を続け、その後、反応系内を窒素置換、反応液を室温ま
で冷却し、反応液より触媒を濾別した。
【0145】濾液に純水160gを加え、析出した結晶
を濾過、窒素微通風下、90℃で8時間減圧乾燥し、白
色の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン2
9.2g(収率79.9%)を得た。
【0146】 純度 99.6% アゾ化合物の含有量 0.05% [比較例1] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 実施例1と全く同様に、1,3−ビス(4−ニトロフェ
ノキシ)ベンゼンの製造を行なった。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3および原料4を装入し、反応系内を水素
ガスで置換した後、攪拌しながら90℃で5時間接触還
元反応を行った。この間、水素吸収に応じて水素を反応
系内に導入した。なお、反応開始後3時間で水素の吸収
が停止した。 原料3 反応器に装入した原料 DMF 40.0g 5%パラジウム/アルミナ触媒 (エヌイーケムキャット社製) 0.65g 原料4 反応器に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン/DMF溶液115.0g なお、原料4の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼン/DMF溶液は、前記の1,3−ビス(4−ニ
トロフェノキシ)ベンゼン製造工程で得られたものであ
る。
【0147】反応終了後、実施例2と同様にして淡褐色
の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン2
9.4g(収率80.4%)を得た。
【0148】 純度 99.6% アゾ化合物の含有量 0.75% [実施例3] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に、原料1および原料2を装入し、135〜14
0℃で8時間反応した。この間、生成する水をトルエン
と共沸させて、還流冷却器にて凝縮させた後、分離器か
ら分離した。 原料1 反応器に装入した原料 炭酸カリウム 82.93g(0.60mol) DMF 200.0g トルエン 30.0g 原料2 反応器に装入した原料 レゾルシン 55.06g(0.5mol) p−クロロニトロベンゼン 173.32g(1.10mol) DMF 100.0g 反応終了後、冷却、濾過して固形物を除去した。得られ
た濾液および純水122.0gを撹拌機付きのフラスコ
内に装入し、窒素雰囲気下、90℃で1時間撹拌した
後、30℃まで3時間かけて徐冷した。析出物を濾過、
DMF30.0gと純水12.2gの混合液で洗浄し、
橙色の粗1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼ
ンを得た。この粗1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼンをメタノール162.9gで室温下30分
スラッジ後濾過、再びメタノール169.2gで室温下
30分スラッジ後濾過し、窒素微通風下80℃8時間減
圧乾燥し、黄色粉末状の1,3−ビス(4−ニトロフェ
ノキシ)ベンゼン141.7g(収率80.4%、純度
99.7%)を得た。
【0149】この1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼン70.5g(0.2mol)をDMF12
5.3gに溶解し、1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼン/DMF溶液195.8gを調整した。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3を、滴下装置に原料4を装入し、反応系
内を水素ガスで置換した後、攪拌しながら90℃まで昇
温した。 原料3 反応器に装入した原料 DMF 40.0g 5%パラジウム/アルミナ触媒 (エヌイーケムキャット社製) 0.65g 原料4 滴下装置に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン/DMF溶液115.0g なお、原料4の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼン/DMF溶液は、前記の1,3−ビス(4−ニ
トロフェノキシ)ベンゼン製造工程で得られたものであ
る。
【0150】滴下装置より、原料4を滴下しながら、
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンの接触
還元反応を行った。この間、水素吸収に応じて水素を反
応系内に導入した。
【0151】滴下開始より4時間後に、原料4の滴下が
終了し、ほぼ同時に水素の吸収が停止した。
【0152】滴下終了後1時間、そのままの状態で撹拌
を続け、その後、反応系内を窒素置換、反応液を室温ま
で冷却し、反応液より触媒を濾別した。
【0153】濾液に純水160gを加え、析出した結晶
を濾過、窒素微通風下、90℃で8時間減圧乾燥し、白
色の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン2
8.7g(還元反応の収率83.6%)を得た。
【0154】 純度 99.5% アゾ化合物の含有量 0.08% [比較例2] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 実施例3と全く同様に、1,3−ビス(4−ニトロフェ
ノキシ)ベンゼンの製造を行なった。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3を装入し、反応系内を水素ガスで置換し
た後、攪拌しながら70〜80℃で5時間接触還元反応
を行った。この間、水素吸収に応じて水素を反応系内に
導入した。なお、反応開始後4時間で水素の吸収が停止
した。 原料3 反応器に装入した原料 5%パラジウム/アルミナ触媒 (エヌイーケムキャット社製) 1.33g 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 52.85g(0.15mol) DMF 130.00g なお、原料3の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼンは、前記の1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼン製造工程で得られたものである。
【0155】反応終了後、触媒を濾別し、活性炭(武田
薬品工業社製特級白鷺)1.5gを添加し、90℃で1
時間撹拌した。窒素雰囲気下、90℃で濾過することに
より活性炭を除去した後、純水205gを加え、窒素雰
囲気下、90℃で1時間撹拌した後、30℃まで3時間
かけて徐冷した。析出物を濾過、メタノール100gで
室温下30分スラッジ後濾過し、窒素微通風下80℃8
時間減圧乾燥し、白色の1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン31.2g(収率71.2%)を得
た。
【0156】 純度 99.6% アゾ化合物の含有量 0.82% [比較例3] A.1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼン製
造工程 実施例3と全く同様に、1,3−ビス(4−ニトロフェ
ノキシ)ベンゼンの製造を行なった。 B.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン製
造工程 反応器に原料3を装入し、反応系内を水素ガスで置換し
た後、攪拌しながら50℃で3時間接触還元反応を行っ
た。この間、水素吸収に応じて水素を反応系内に導入し
た。なお、反応開始後2時間で水素の吸収が停止した。 原料3 反応器に装入した原料 5%パラジウム/カーボン触媒(50%含水品) (エヌイーケムキャット社製) 1.60g 1,3-ヒ゛ス(4-ニトロフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 52.85g(0.15mol) 2-メトキシエタノール 130.00g なお、原料3の1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)
ベンゼンは、前記の1,3−ビス(4−ニトロフェノキ
シ)ベンゼン製造工程で得られたものである。
【0157】反応終了後、触媒を濾別し、純水140g
を加え、窒素雰囲気下、90℃で1時間撹拌した後、3
0℃まで3時間かけて徐冷した。析出物を濾過、メタノ
ール100gで室温下30分スラッジ後濾過し、窒素微
通風下80℃8時間減圧乾燥し、白色の1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン33.7g(収率7
7.0%)を得た。
【0158】 純度 99.6% アゾ化合物の含有量 0.75% [比較例4] C.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを和歌
山精化社より購入した。購入した1,3−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼンは淡茶色であった。 純度 99.7% アゾ化合物の含有量 0.94% FD−MS測定 図−1[図1]参照 図において 〔TIC〕はトータルイオンクロ
マトグラムマススペクトラム(1)は〔TIC〕の
(1)の部分の分析結果 マスステクトラム(2)は〔TIC〕の(2)の部分の
分析結果 [比較例5] C.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(試薬
特級)を和光純薬社より購入した。購入した1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンは淡茶色であっ
た。
【0159】 純度 99.9% アゾ化合物の含有量 0.82% [比較例6] D.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの
精製工程 反応器に原料5を装入し、窒素雰囲気下90℃1時間加
熱溶解したのち、4時間かけ、30℃まで冷却した。な
お、溶解時の反応液は真っ黒であった。 原料5 反応器に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 29.24g(0.1mol) 純水 292.4g 35%塩酸水 26.0g (0.26mol) 食塩 5.8g なお、原料5の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンは、和歌山精化社より購入したものを用いた。
【0160】析出した灰色の1,3−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼン塩酸塩を濾別回収した。
【0161】反応器に原料6を、滴下装置に原料7を装
入した。原料6を、窒素雰囲気下90℃1時間加熱溶解
したのち、原料7を30分かけて滴下した。なお、滴下
前の水層は真っ黒、トルエン層は無色であり、滴下後の
水層は無色透明、トルエン層は真っ黒であった。 原料6 反応器に装入した原料 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン塩酸塩 トルエン 117.0g 純水 117.0g 原料7 滴下装置に装入した原料 28%アンモニア水 13.4g(0.22mol) なお、原料5の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン塩酸塩は前記の反応により得られたものであ
る。
【0162】反応液を静置分液し、水層を除去した後、
純水117.0gを加え、90℃1時間攪拌した。再び
静置分液し、水層を除去した後、活性炭(武田薬品工業
社製特級白鷺)1.5gを添加し、90℃1時間攪拌し
た。90℃で熱濾過し、活性炭を除去した後、濾液を3
0℃まで4時間かけて徐冷した。析出した1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを濾別回収し、トル
エンで洗浄した後、窒素微通風下、80℃6時間減圧乾
燥し、淡茶色の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン17.3g(収率57.7%)を得た。
【0163】 純度 99.9% アゾ化合物の含有量 0.65% [実施例4] D.1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの
精製工程 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの単蒸
発蒸留を行った。 原料5 蒸発機に供給した原料(140℃溶融状態で保
持) 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 10130g なお、原料5の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼンは、和歌山精化社より購入したものを用いた。
【0164】蒸発機 (スミス型薄膜蒸発機) 神鋼パンテック社製2−03型薄膜蒸留装置 加熱伝熱面積 0.034m2 ローター回転数 450rpm 蒸留条件 伝熱面温度 270℃ 真空度 17.3Pa(0.13Torr) 原料供給速度 4.2g/分 留出物として1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン9700gを得た。なお、得られた1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼンは溶融時は薄黄色透
明、冷却固化後は薄く橙がかった白色であった。蒸留残
渣426gは黒褐色タール状で流動性はほとんどなかっ
た。
【0165】 純度 99.2% アゾ化合物の含有量 0.09% [実施例5] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、ポリイミドを製造した。
【0166】容量0.1m3の反応器に、原料8を装入
し、窒素雰囲気下において撹拌しながら、200℃まで
加熱昇温し、その後、200℃で8時間反応を行った。
8時間経過後、原料9を添加して、さらに、4時間反応
を行った。その間に、約110mlの水の留出が確認さ
れた。なお、反応中、マスは薄黄色透明であった。
【0167】反応終了後、反応系を室温まで冷却し、ト
ルエン37.5kgを約2時間かけて滴下し、ポリイミ
ドを析出させた。このスラリー液を濾過、得られたポリ
イミドケーキをトルエンで洗浄した後、窒素中300℃
で4時間乾燥して黄色のポリイミド粉を得た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 877.1g(3.000mol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 857.9g(2.916mol) 無水フタル酸 24.9g(0.168mol) m−クレゾール 15.0kg 原料9 無水フタル酸 24.9g(0.168mol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性は、以下のとおりであった。
【0168】 収量 1580[g] 収率 95.6[%] 対数粘度 1.00[dl/g] MV5 960[Pa・sec] MV30 1120[Pa・sec] MVR 1.16 ストランドの形態 黄色不透明(十分に結晶化) MI5 23.6[g/10min] MI30 20.3[g/10min] MIR 0.86 融点(Tm) 398[℃] 5%重量減少温度 571[℃] G.成形試験 得られたポリイミド粉を420℃で溶融押出し、黄色不
透明のペレットを調製した。なお、溶融状態で押し出さ
れた透明の樹脂はダイスを出た直後に結晶化し不透明に
なった。
【0169】上記のペレットを使用して、スパイラル流
動長および流動長の保持率を求めた。 上記のペレットを射出成形し、各種試験片を成形した。
なお、得られた試験片は金型内で結晶化していた。
【0170】1〜5ショット目で得られた試験片及び2
0〜25ショット目で得られた試験片を用い、ASTM
D−638に準じて引張強度を、D−790に準じて
曲げ強度を、D−256に準じてアイゾット衝撃強度
(ノッチ付き)を測定した。結果を表−1[表1]に示
す。
【0171】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、成形時の樹脂流動性の変化や物性の変化がな
く、安定した成形や物性の安定した製品を製造すること
ができた。
【0172】
【表1】 [実施例6] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、原料8及び原料9を以下に記載の
量に変更した他は、実施例5に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 877.1g(3.000mol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 861.5g(2.928mol) 無水フタル酸 21.3g(0.144mol) m−クレゾール 15.0kg 原料9 無水フタル酸 21.3g(0.144mol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性は、以下のとおりであった。
【0173】 収量 1585[g] 収率 96.0[%] 対数粘度 1.11[dl/g] MV5 1560[Pa・sec] MV30 1890[Pa・sec] MVR 1.21 ストランドの形態 黄色不透明(十分に結晶化) MI5 14.8[g/10min] MI30 12.1[g/10min] MIR 0.82 融点(Tm) 399[℃] 5%重量減少温度 574[℃] G.成形試験 実施例5と同様にしてペレットを調製した。なお、溶融
状態で押し出された透明の樹脂はダイスを出た直後に結
晶化し不透明になった。
【0174】上記のペレットを使用して、スパイラル流
動長および流動長の保持率を求めた。 実施例5と同様にして各種試験片を成形し、機械物性を
測定した。結果を表−2[表2]に示す。なお、得られ
た試験片は金型内で結晶化していた。
【0175】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、成形時の樹脂流動性の変化や物性の変化がな
く、安定した成形や物性の安定した製品を製造すること
ができた。
【0176】
【表2】 [比較例7] E.ポリイミドの製造工程 比較例4の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(純度99.7%、アゾ化合物の含有量0.94
%)を用いた他は、実施例5に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 877.1g(3.000mol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 857.9g(2.916mol) 無水フタル酸 24.9g(0.168mol) m−クレゾール 15.0kg 原料9 無水フタル酸 24.9g(0.168mol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性は、以下のとおりであった。
【0177】 収量 1556[g] 収率 94.2[%] 対数粘度 1.11[dl/g] MV5 1820[Pa・sec] MV30 3240[Pa・sec] MVR 1.78 ストランドの形態 黄色不透明(十分に結晶化) MI5 10.2[g/10min] MI30 流動せず[g/10min] MIR − 融点(Tm) 397[℃] 5%重量減少温度 568[℃] G.成形試験 実施例5と同様にしてペレットを調製した。なお、溶融
状態で押し出された透明の樹脂はダイスを出た直後に結
晶化し不透明になった。
【0178】上記のペレットを使用して、スパイラル流
動長および流動長の保持率を求めた。 実施例5と同様にして各種試験片を成形し、機械物性を
測定した。結果を表−3[表3]に示す。なお、1〜5
ショット目で得られた試験片は黄色であったが、20〜
25ショット目で得られた試験片は緑黄色であった。
【0179】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、成形時に時間の経過と共に樹脂の流動性が低下
し、また、得られた試験片の色調、物性も変化した。す
なわち、本例のポリイミドは、安定した成形が困難であ
り、また、物性の安定した製品を製造することは不可能
であった。
【0180】
【表3】 [比較例8] E.ポリイミドの製造工程 比較例4の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(純度99.7%、アゾ化合物の含有量0.94
%)を用い、原料8及び原料9を以下に記載の量に変更
した他は、実施例5に従いポリイミドを製造した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 877.1g(3.000mol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 865.0g(2.940mol) 無水フタル酸 17.8g(0.120mol) m−クレゾール 15.0kg 原料9 無水フタル酸 17.8g(0.120mol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性は、以下のとおりであった。
【0181】 収量 1587[g] 収率 96.1[%] 対数粘度 1.31[dl/g] MV5 15200[Pa・sec] MV30 35000[Pa・sec] MVR 2.30 ストランドの形態 黄色不透明(十分に結晶化) MI5 流動せず[g/10min] MI30 流動せず[g/10min] MIR − 融点(Tm) 397[℃] 5%重量減少温度 568[℃] G.成形試験 得られたポリイミド粉を450℃で溶融押出し、黄色不
透明のペレットを調製した。なお、420℃においては
樹脂圧が極めて高いため押出しできなかった。得られた
ペレットを用い、シリンダー温度450℃、金型温度2
00℃、射出圧147MPaで成形を試みたが、試験片
は得られなかった。
【0182】[実施例7〜10] H.組成物の成形試験 実施例5で得られたポリイミド粉とガラス繊維(日東紡
績社製:CS−3PE−476S)または炭素繊維(東
邦レーヨン社製:HTA−C6−TX)を表4に示した
割合で混合した後、実施例3と同様にしてペレットを調
製した。上記のペレットを用い、実施例5と同様にして
各種試験片を成形し、引張強度(ASTM D−63
8)及び荷重たわみ温度(ASTM D−648)を測
定した。結果を表−4[表4]に示す。
【0183】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドからなる組成物より得られた成形体は、優れた耐
熱性と高い強度を有している。
【0184】
【表4】 樹脂:実施例5で得られたポリイミド粉 ガラス繊維:日東紡績社製:CS−3PE−476S 炭素繊維:東邦レーヨン社製:HTA−C6−TX [実施例11] H.成形体の熱安定性試験 実施例5で得られた試験片を凍結粉砕し、ポリイミド粉
を得、420℃における溶融粘度(MV)及びメルトフ
ローインデックス(MI)を測定した。結果を表−5
[表5]に示す。
【0185】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドからなる成形体は、再び加熱溶融した場合にも優
れた溶融流動性と、高い溶融粘度の安定性を有してい
る。
【0186】[比較例9] H.成形体の熱安定性試験 比較例7で得られた試験片を凍結粉砕し、ポリイミド粉
を得、420℃における溶融粘度(MV)及びメルトフ
ローインデックス(MI)を測定した。結果を表−5
[表5]に示す。
【0187】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドからなる成形体は、再び加熱溶融した場合、溶融流
動性が低下しており、さらには、成型時に時間の経過と
共に樹脂の流動性が低下した。
【0188】
【表5】 [実施例12] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、ポリイミドを製造した。
【0189】反応器に、原料8を装入し、窒素雰囲気下
において撹拌しながら、200℃まで加熱昇温し、その
後、200℃で8時間反応を行った。8時間経過後、原
料9を添加して、さらに、4時間反応を行った。その間
に、約1.1mlの水の留出が確認された。なお、反応
中、マスは薄黄色透明であった。
【0190】反応終了後、反応系を室温まで冷却し、ト
ルエン313gを約1時間かけて滴下し、ポリイミドを
析出させた。このスラリー液を濾過、得られたポリイミ
ドケーキをトルエンで洗浄した後、窒素中300℃で4
時間乾燥して黄色のポリイミド粉を得た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 156.4g 原料9 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性は、以下のとおりであった。
【0191】 収量 15.5[g] 収率 93.9[%] 対数粘度 1.09[dl/g] MV5 1450[Pa・sec] MV30 1790[Pa・sec] MVR 1.24 融点(Tm) 398[℃] 5%重量減少温度 572[℃] なお、溶融粘度測定により得られたストランドは黄色不
透明であった。また、得られたストランドの熱物性をD
SCにより測定したところ、398℃に融点(Tm)が
確認され、ガラス転移温度(Tg)及び結晶化温度(T
c)は確認されなかった。このことから、このストラン
ドは十分に結晶化していることが判った。
【0192】得られたポリイミドの溶融粘度(η*)の
経時変化を図−2[図2]に示す。
【0193】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0194】[実施例13] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、原料8及び原料9を以下に記載の
量に変更した他は、実施例12に従いポリイミドを製造
した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.650g(29.4mmol) 無水フタル酸 0.177g( 1.2mmol) m−クレゾール 156.4g 原料9 無水フタル酸 0.177g( 1.2mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0195】得られたポリイミドの溶融粘度(η*)の
経時変化を図−2[図2]に示す。
【0196】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0197】[実施例14] E.ポリイミドの製造工程 実施例2で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.6%、アゾ化合物の含有量
0.05%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0198】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0199】[実施例15] E.ポリイミドの製造工程 実施例3で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.5%、アゾ化合物の含有量
0.08%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0200】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0201】[比較例10] E.ポリイミドの製造工程 比較例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.6%、アゾ化合物の含有量
0.75%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0202】得られたポリイミドの溶融粘度(η*)の
経時変化を図−2[図2]に示す。
【0203】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0204】[比較例11] E.ポリイミドの製造工程 比較例2で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.6%、アゾ化合物の含有量
0.82%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0205】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0206】[比較例12] E.ポリイミドの製造工程 比較例3で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.7%、アゾ化合物の含有量
0.75%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0207】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0208】[比較例13] E.ポリイミドの製造工程 比較例4の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(純度99.7%、アゾ化合物の含有量0.94
%)を用い、原料8及び原料9を以下に記載の量に変更
した他は、実施例12に従いポリイミドを製造した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.562g(29.1mmol) 無水フタル酸 0.267g( 1.8mmol) m−クレゾール 156.4g 原料9 無水フタル酸 0.267g( 1.8mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0209】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0210】[比較例14] E.ポリイミドの製造工程 比較例5の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(純度99.9%、アゾ化合物の含有量0.82
%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミドを製造
した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0211】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0212】[比較例15] E.ポリイミドの製造工程 比較例6で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.9%、アゾ化合物の含有量
0.65%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−6[表6]に示す。
【0213】本結果より明らかなように、本例のポリイ
ミドは、溶融状態における熱安定性に劣っていた。
【0214】
【表6】 [表−6の凡例] 10 アゾ含有量:1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン中のアゾ化合物の含有量 ηinh:対数粘度 MV:溶融粘度 MV5 ;試料を420℃で5分間保持して溶融させたと
きの溶融粘度。
【0215】 MV30;試料を420℃で30分間保持して溶融させた
ときの溶融粘度。 MVR;溶融粘度比 MVR = MV30 ÷ MV5 Tm:融点 Td5:5%重量減少温度 [実施例16] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用いた他は、実施例12に従いポリイミ
ドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0216】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0217】[実施例17] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、以下に記載の原料8及び原料9を
用いて、180℃、o−ジクロロベンゼン還流下に反応
を行った他は、実施例12に従いポリイミドを製造し
た。なお、重合開始1時間後より、黄色粉が析出、スラ
リー状になった。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) N−メチル−2−ピロリドン 156.4g o−ジクロロベンゼン 31.3g 原料9 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0218】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0219】[実施例18] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、以下に記載の原料8及び原料9を
用いて、180℃、o−ジクロロベンゼン還流下に反応
を行った他は、実施例12に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 156.4g o−ジクロロベンゼン 31.3g 原料9 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0220】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0221】[実施例19] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、以下に記載の原料8及び原料9を
用いて反応を行った他は、実施例12に従いポリイミド
を製造した。なお、混合クレゾールとしては三井化学社
製、合成m−,p−クレゾールを用いた。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) 混合クレゾール 156.4g 原料9 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0222】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0223】[実施例20] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、150℃で24時間反応を行った
後、原料9を添加してさらに12時間反応を行った他
は、実施例12に従いポリイミドを製造した。 F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0224】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0225】[実施例21] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、原料9を以下に記載の量に変更し
た他は、実施例12に従いポリイミドを製造した。 原料9 無水フタル酸 0.000g( 0.0mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0226】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0227】[実施例22] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、原料8を以下に記載の量に変更し
た他は、実施例12に従いポリイミドを製造した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.000g( 0.0mmol) m−クレゾール 156.4g F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0228】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0229】[実施例23] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、以下に記載の原料8及び原料9を
用いて反応を行った他は、実施例12に従いポリイミド
を製造した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.508g(29.1mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.827g(30.0mmol) アニリン 0.168g( 1.8mmol) m−クレゾール 156.4g 原料9 無水フタル酸 0.168g( 1.8mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0230】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0231】[実施例24] E.ポリイミドの製造工程 実施例4で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.2%、アゾ化合物の含有量
0.09%)を用い、以下に記載の原料8及び原料9を
用いて反応を行った他は、実施例12に従いポリイミド
を製造した。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) クロロ無水フタル酸 0.274g( 1.5mmol) m−クレゾール 156.4g 原料9 クロロ無水フタル酸 0.274g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−7[表7]に示す。
【0232】本結果より明らかなように、本発明のポリ
イミドは、溶融状態における熱安定性に優れていた。
【0233】
【表7】 [表−7の凡例] ηinh:対数粘度 MV:溶融粘度 MV5 ;試料を420℃で5分間保持して溶融させたと
きの溶融粘度。
【0234】 MV30;試料を420℃で30分間保持して溶融させた
ときの溶融粘度。 MVR;溶融粘度比 MVR = MV30 ÷ MV5 Tm:融点 Td5:5%重量減少温度 [実施例25] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、ポリイミドを製造した。
【0235】反応器に、原料8を装入し、窒素雰囲気下
において撹拌しながら、200℃まで加熱昇温し、その
後、200℃で8時間反応を行った。8時間経過後、原
料9を添加して、さらに、4時間反応を行った。その間
に、約1.1mlの水の留出が確認された。なお、反応
中、マスは薄黄色透明であった。
【0236】反応終了後、反応系を室温まで冷却し、ト
ルエン313gを約1時間かけて滴下し、ポリイミドを
析出させた。このスラリー液を濾過、得られたポリイミ
ドケーキをトルエンで洗浄した後、窒素中300℃で4
時間乾燥して黄色のポリイミド粉を得た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 7.745g(26.3mmol) ピロメリット酸二無水物 0.638g( 2.9mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 158.8g 原料9 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−8[表8]に、結晶化
挙動を表−9[表9]に示す。
【0237】[実施例26] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、以下に記載の原料8を用いて反応
を行った他は、実施例25に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 8.771g(30.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 2,2-ヒ゛ス(4-(3,4-シ゛カルホ゛キシフェノキシ)フェニル)フ゜ロハ゜ン二無水物 1.522g( 2.9mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 158.8g F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−8[表8]に、結晶化
挙動を表−9[表9]に示す。
【0238】[実施例27] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、以下に記載の原料8を用いて反応
を行った他は、実施例25に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 7.894g(27.0mmol) 4,4-ヒ゛ス(3-アミノフェノキシ)ヒ゛フェニル 1.105g( 3.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 158.8g F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−8[表8]に、結晶化
挙動を表−9[表9]に示す。
【0239】[実施例28] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、以下に記載の原料8を用いて反応
を行った他は、実施例25に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 7.894g(27.0mmol) 1,3-ヒ゛ス(3-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 0.877g( 3.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 158.8g F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−8[表8]に、結晶化
挙動を表−9[表9]に示す。
【0240】[実施例29] E.ポリイミドの製造工程 実施例1で得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(純度99.4%、アゾ化合物の含有量
0.07%)を用い、以下に記載の原料8を用いて反応
を行った他は、実施例25に従いポリイミドを製造し
た。 原料8 1,3-ヒ゛ス(4-アミノフェノキシ)ヘ゛ンセ゛ン 7.894g(27.0mmol) 4,4'-シ゛アミノシ゛フェニルエーテル 0.601g( 3.0mmol) 3,3',4,4'-ヒ゛フェニルテトラカルホ゛ン酸二無水物 8.606g(29.3mmol) 無水フタル酸 0.222g( 1.5mmol) m−クレゾール 158.8g F.ポリイミドの物性 得られたポリイミドの物性を表−8[表8]に、結晶化
挙動を表−9[表9]に示す。
【0241】
【表8】 [表−8の凡例] ηinh:対数粘度 MV:溶融粘度 MV5 ;試料を420℃で5分間保持して溶融させたと
きの溶融粘度。
【0242】 MV30;試料を420℃で30分間保持して溶融させた
ときの溶融粘度。 MVR;溶融粘度比 MVR = MV30 ÷ MV5 Tm:融点 Td5:5%重量減少温度
【0243】
【表9】 [表−9の凡例] 8 結晶化挙動:DSCにより以下のパターンで測定。
【0244】第1段階(昇温過程(第1回目)) 25℃ → 430℃ (昇温速度10[℃/分]) 第2段階(降温過程) 430℃ → 50℃ (冷却速度50[℃/分]) 第3段階(昇温過程(第2回目)) 50℃ → 430℃ (昇温速度10[℃/分]) Tc ; 結晶化温度([℃]) ΔHc ; 結晶化エネルギー([J/g]) Tm ; 融点([℃]) ΔHm ; 融解エネルギー([J/g]) ND ; 検出されず
【0245】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリイミドは、少なく
とも以下の1〜4の優れた特性を有する。 1. 溶融時の熱安定性に優れる。すなわち、溶融時の
流動性の経時的な低下が小さい。この特性は、従来の技
術においては実現することが困難であった。 2. 高い耐熱性を有する。すなわち、高い結晶性を有
するので、ガラス転移温度(Tg)以上の温度において
も優れた機械強度を有する。 3. 生産性に優れる。すなわち、結晶化が速いため、
成形加工時に金型内で徐冷する操作や、成形後に熱処理
を加える操作等の、特別な熱処理操作を施すことなく、
通常の短い成形サイクルにおいて結晶化する。 4. 寸法精度に優れる。すなわち、結晶化が速く、成
形加工時に金型内で結晶化するため、加工後の収縮が小
さい。
【0246】本発明の芳香族ジアミン化合物は、少なく
とも以下の5〜6の優れた特性を有する。 5. アゾ化合物の含有量が極めて小さい。 6. 溶融時の熱安定性に優れたポリイミド樹脂を得る
ことができる。
【0247】本発明に係る熱可塑性ポリイミドは、溶融
時の熱安定性が良好であるという特徴を有する。すなわ
ち、溶融時の流動性の経時的な低下が小さく、通常の溶
融成形用途に供する事ができる。
【0248】この特徴は、本発明に係る、アゾ化合物の
含有量の小さい芳香族ジアミンを用いた場合にのみ得ら
れるものであり、当業者により、容易に想到できるもの
ではなく、本発明者らが、初めて到達し得た知見であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例4の1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼンのFD−MSスペクトルチャート。
【図2】 実施例12,13及び比較例10で得られた
ポリイミドの420℃における溶融粘度の経時変化。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平10−217981 (32)優先日 平成10年7月31日(1998.7.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 奥村 知美 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 渋谷 篤 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 大川 祐一 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 及川 英明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 柳原 香弥子 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 吉田 育紀 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 吉村 正司 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 木戸 敬恭 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 玉井 正司 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(1)で表される繰り返し単位を
    有し、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化学式
    (3)で構成されるポリイミドにおいて、 数式(1)[数1]により計算される溶融粘度比MVR
    が、数式(2)[数2]に示される数値範囲にあること
    を特徴とする、熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド。 【化1】 (化学式(2)において、Vは、1価の芳香族基であ
    り、化学式(3)において、Tは、2価の芳香族基であ
    る。) [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
    分間保持して溶融させ、30〜500[sec-1]の範
    囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])
    であり、MV30は、試料を420℃で30分間保持して
    溶融させ、30〜500[sec-1]の範囲の剪断速度
    で測定した溶融粘度([Pa・sec])である。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
    算される溶融粘度比である。)
  2. 【請求項2】 化学式(1)で表される繰り返し単位を
    有し、分子末端が化学式(2)、及び/又は、化学式
    (3)で構成されるポリイミドにおいて、数式(3)
    [数3]により計算されるメルトフローインデックスの
    保持率MIRが、数式(4)[数4]に示される数値範
    囲にあることを特徴とする、熱安定性の良好な熱可塑性
    ポリイミド。 [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
    分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
    加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
    であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
    溶融させ測定したMI([g/10min])であ
    る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
    算されるメルトインデックスの保持率である。)
  3. 【請求項3】 アゾ化合物の含有量が、0.0〜0.2
    %であることを特徴とする、化学式(4)で表される
    1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン。 【化2】
  4. 【請求項4】 アゾ化合物が、化学式(5)〜(7)か
    らなる化合物群から選択される少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項3記載の1,3−ビス(4−アミ
    ノフェノキシ)ベンゼン。 【化3】
  5. 【請求項5】 熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド製
    造用である、請求項3又は4に記載した1,3−ビス
    (4−アミノフェノキシ)ベンゼン。
  6. 【請求項6】 化学式(8)で表される1,3−ビス
    (4−アミノフェノキシ)ベンゼン、化学式(9)で表
    される3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
    酸二無水物、化学式(10)で表されるモノアミン、及
    び/又は化学式(11)で表されるジカルボン酸無水物
    を使用するポリイミドの製造方法において、化学式
    (8)で表される1,3−ビス(4−アミノフェノキ
    シ)ベンゼンのアゾ化合物の含有量が、0.0〜0.2
    %であることを特徴とする、熱安定性の良好な熱可塑性
    ポリイミドの製造方法。 【化4】 (化学式(10)において、Vは、1価の芳香族基であ
    り、化学式(11)において、Tは、2価の芳香族基で
    ある。)
  7. 【請求項7】 アゾ化合物が、化学式(5)〜(7)か
    らなる化合物群から選択される少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項6記載の熱安定性の良好な熱可塑
    性ポリイミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載した製造方法によ
    り得られる熱安定性の良好な熱可塑性ポリイミド。
  9. 【請求項9】 反応溶媒及び触媒を予め装入し、水素を
    導入した反応器中に、化学式(12)で表される1,3
    −ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼンを添加しつ
    つ、前記1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)ベンゼ
    ンを接触還元することを特徴とする、アゾ化合物の含有
    量が、0.0〜0.2%である、化学式(13)で表さ
    れる1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの
    製造方法。 【化5】 【化6】
  10. 【請求項10】 アゾ化合物が、化学式(5)〜(7)
    からなる化合物群から選択される少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項9記載の熱安定性の良好な熱可
    塑性ポリイミドの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載した製造方法
    により得られる、アゾ化合物の含有量が、0.0〜0.
    2%である、化学式(13)で表される1,3−ビス
    (4−アミノフェノキシ)ベンゼン。
  12. 【請求項12】 化学式(1)(化1)で表される繰り
    返し単位を有し、分子末端が化学式(2)(化1)、及
    び/又は、化学式(3)で構成される熱可塑性ポリイミ
    ドを含んでなる成形体であって、前記成形体を溶融した
    ときに、数式(1)[数1]により計算される溶融粘度
    比MVRが、数式(2)[数2]に示される数値範囲に
    あることを特徴とする成形体。。 [数1] MVR = MV30 ÷ MV5 (1) (数式(1)において、MV5は、試料を420℃で5
    分間保持して溶融させ、30〜500[sec-1]の範
    囲の剪断速度で測定した溶融粘度([Pa・sec])
    であり、MV30は、試料を420℃で30分間保持して
    溶融させ、30〜500[sec-1]の範囲の剪断速度
    で測定した溶融粘度([Pa・sec])である。) [数2] 1.0 ≦ MVR ≦ 1.5 (2) (数式(2)において、MVRは、数式(1)により計
    算される溶融粘度比である。)
  13. 【請求項13】 化学式(1)(化1)で表される繰り
    返し単位を有し、分子末端が化学式(2)(化1)、及
    び/又は、化学式(3)で構成される熱可塑性ポリイミ
    ドを含んでなる成形体であって、前記成形体を溶融した
    ときに、数式(3)[数3]により計算されるメルトフ
    ローインデックスの保持率MIRが、数式(4)[数
    4]に示される数値範囲にあることを特徴とする成形
    体。 [数3] MIR = MI30 ÷ MI5 (3) (数式(3)において、MI5は、試料を420℃で5
    分間保持して溶融させ、ASTM D−1238により
    加重10.3Nで測定したMI([g/10min])
    であり、MI30は、試料を420℃で30分間保持して
    溶融させ測定したMI([g/10min])であ
    る。) [数4] 0.7 ≦ MIR ≦ 1.0 (4) (数式(4)において、MIRは、数式(3)により計
    算されるメルトインデックスの保持率である。)
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