JP2000103061A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JP2000103061A
JP2000103061A JP11187429A JP18742999A JP2000103061A JP 2000103061 A JP2000103061 A JP 2000103061A JP 11187429 A JP11187429 A JP 11187429A JP 18742999 A JP18742999 A JP 18742999A JP 2000103061 A JP2000103061 A JP 2000103061A
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ink
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jet recording
viscosity
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JP11187429A
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Takuya Iwamura
卓哉 岩村
Shinichi Okuda
真一 奥田
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NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した微小滴を吐出し、高品質の印刷出力
を行う。 【解決手段】 インクタンク11に蓄えられたインク
は、供給路12から供給口13を通って圧力室14に満
たされる。ピエゾアクチュエータ15は、駆動電圧制御
部16から駆動電圧が加えられて振動板17を振動させ
る。振動板17の振動により圧力室14の体積が変化し
て圧力室14内のインクがノズル18から用紙2に向か
って吐出する。ノズル18の径を20〜40μmの範囲
内、インク粘度を2〜6mPa・sの範囲内に設定す
る。これにより、総滴径25μm以下の微小滴を安定し
て吐出でき、高い画品質が得られる。更に、温度検出部
19により検出した環境温度に応じて駆動波形電圧を補
正し、インク粘度を2〜15mPa・sの範囲内に設定
することにより高い画品質を保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
ヘッドおよびインクジェット記録装置に関し、特に、イ
ンクを満たした圧力室に圧力発生手段により圧力変化を
発生させ、吐出直前にノズル口のインク液面を示すメニ
スカスをノズル奥に引き込ませる動作を付加することで
メニスカス形状を凹とした後に圧力室のノズルからイン
ク滴を吐出させて、用紙に文字や画像を記録するインク
ジェット記録ヘッド、およびこのインクジェット記録ヘ
ッドを備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のインクジェット記録ヘッドは、
プリンタ、プロッタ、複写機、ファクシミリ装置等とし
て使用されるインクジェット記録装置に用いられる。
【0003】記録方式としては、インクを吐出させるノ
ズルを設けた圧力室に液体インクを満たし、ピエゾアク
チュエータ等の圧力発生手段を駆動して圧力室に圧力変
化を発生させる。この圧力変化によりインクをノズルか
ら用紙等の記録媒体に吐出させて所望の文字や画像の印
刷を行う。
【0004】近年、印刷出力の品質に対する要求が高ま
り、これに応じるために、径の小さいインク滴を安定し
て吐出する必要が生じてきた。吐出インク滴径を小さく
するためにノズル径を小さくすることは有効ではある
が、ノズル製造上の困難性等の問題が発生する。
【0005】駆動波形に「引き」のプロセスを付加し、
吐出直前にメニスカス形状を凹とすることにより、ノズ
ル径よりも径の小さな微小滴を吐出する方法が特開昭5
5−17589号公報に開示されている。このメニスカ
ス制御による吐出過程を図14に示す。吐出が不必要な
ときは図14(a)の状態にしておく。吐出が必要にな
ると、まず圧力室の内容積が増加するようにピエゾアク
チュエータに電気パルスを印加して、図14(b)に示
すようにメニスカス形状を凹形状にする。その後、圧力
室の内容積を減少させるようにピエゾアクチュエータに
電気パルスを印加して、図14(c)に示すようにイン
ク滴を吐出させる。
【0006】また、「引き」の強度やタイミングを変化
させることにより吐出インク滴径を変化させる方法が特
公平3−30507号公報に開示されている。
【0007】この公報によると、主パルス電圧が印加さ
れる前にこの主パルス電圧とは反対の極性であってノズ
ル内の液の先端位置を決める付加パルス電圧を加圧手段
に印加する付加パルス電圧印加手段と、付加パルス電圧
の高さまたはパルス幅を調整するための付加パルス電圧
調整手段とを有する。また、付加パルス電圧の印加終了
から主パルス電圧を印加するまでの時間を調整するため
の主パルス電圧印加時期調整手段を有する。
【0008】また、環境温度に応じて「引き」の強度を
変化させることによりインク滴の吐出状態を安定化させ
る方法が特開平2−253960号公報に開示されてい
る。この公報によると、インクの温度を測定する温度測
定手段と、測定された温度に応じて付加パルス電圧の高
さまたはパルス幅を調整するための付加パルス電圧調整
手段とを有する。
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のインク
ジェット記録ヘッドは、使用するインク粘度によって
は、十分に小さなインク滴吐出ができなかったり、また
は、滴の形成が非常に不安定になったり、吐出不良が発
生するなどの問題点があった。
【0009】本発明の目的は、安定した微小滴を吐出
し、高品質の印刷出力を行うインクジェット記録ヘッ
ド、およびこのインクジェット記録ヘッドを備えたイン
クジェット記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク
を満たした圧力室に圧力発生手段により圧力変化を発生
させ、吐出直前にメニスカスをノズル奥に引き込ませる
動作を付加することでメニスカス形状を凹とした後に前
記圧力室のノズルからインク滴を吐出させるインクジェ
ット記録ヘッドであって、装置使用温度範囲内における
前記インクの粘度が2mPa・s以上であることを特徴
とする。
【0011】本発明のインクジェット記録ヘッドは、装
置使用温度範囲内における前記インクの粘度が6mPa
・s以下であることを特徴としてもよい。
【0012】本発明のインクジェット記録ヘッドは、環
境温度を検知する手段を備え、環境温度変化に応じて前
記圧力発生手段の駆動電圧補正を行い、装置使用温度範
囲内における前記インクの粘度が15mPa・s以下で
あることを特徴としてもよい。
【0013】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記インク滴の最小総滴径が25μm以下であることを特
徴としてもよい。
【0014】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記ノズルの径が20〜40μmの範囲内であることを特
徴としてもよい。
【0015】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆
動電圧を、環境温度変化による前記インクの粘度変化に
応じて補正することを特徴としてもよい。
【0016】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆
動電圧と、前記インクを吐出させるための押し部の駆動
電圧とを、環境温度変化による前記インクの粘度変化に
応じて補正することを特徴としてもよい。
【0017】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆
動電圧と、前記インクを吐出させるための押し部の駆動
電圧とを、環境温度変化による前記インクの粘度変化に
応じて同じ倍率で補正することを特徴としてもよい。
【0018】本発明のインクジェット記録ヘッドは、前
記引き部の駆動電圧が、駆動波形のオフセット電圧を越
えないことを特徴としてもよい。
【0019】本発明のインクジェット記録装置は、イン
クを満たした圧力室に圧力発生手段により圧力変化を発
生させ、吐出直前にメニスカスをノズル奥に引き込ませ
る動作を付加することでメニスカス形状を凹とした後に
前記圧力室のノズルからインク滴を吐出させて印刷を行
うインクジェット記録装置であって、装置使用温度範囲
内における前記インクの粘度が2mPa・s以上である
ことを特徴とする。
【0020】本発明のインクジェット記録装置は、装置
使用温度範囲内における前記インクの粘度が6mPa・
s以下であることを特徴としてもよい。
【0021】本発明のインクジェット記録装置は、環境
温度を検知する手段を備え、環境温度変化に応じて前記
圧力発生手段の駆動電圧補正を行い、装置使用温度範囲
内における前記インクの粘度が15mPa・s以下であ
ることを特徴としてもよい。
【0022】本発明のインクジェット記録装置は、前記
インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆動
電圧を、環境温度変化による前記インクの粘度変化に応
じて補正することを特徴としてもよい。
【0023】本発明のインクジェット記録装置は、前記
インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆動
電圧と、前記インクを吐出させるための押し部の駆動電
圧とを、環境温度変化による前記インクの粘度変化に応
じて補正することを特徴としてもよい。
【0024】本発明のインクジェット記録装置は、前記
インクのメニスカス形状を凹にするための引き部の駆動
電圧と、前記インクを吐出させるための押し部の駆動電
圧とを、環境温度変化による前記インクの粘度変化に応
じて同じ倍率で補正することを特徴としてもよい。
【0025】本発明のインクジェット記録装置は、前記
引き部の駆動電圧が、駆動波形のオフセット電圧を越え
ないことを特徴としてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明のインクジェット記録
装置の第1の実施の形態の構成を示す断面図である。イ
ンクジェット記録装置はプリンタ、プロッタ、複写機、
ファクシミリ装置等として使用される。図1に示すイン
クジェット記録装置はプリンタの例であり、用紙ホッパ
1、インクジェット記録ヘッド3、用紙スタッカ4、制
御部5、インタフェース部6を含む。
【0027】インクジェット記録ヘッド3は図示しない
キャリアに取り付けられて、用紙2の搬送方向と直角方
向に走査を行う。用紙ホッパ1から供給された用紙2
は、インクジェット記録ヘッド3で所望の文字や画像が
印刷され、用紙スタッカ4に排出される。制御部5は、
これらの制御を行う。インタフェース部6は、パーソナ
ルコンピュータ等の上位装置に接続され、上位装置から
の信号を受ける。
【0028】インクジェット記録装置がファクシミリ装
置であれば、インタフェース部6は通信回線に接続され
る。また、送信する画像を入力するためのスキャナを備
える。
【0029】インクジェット記録装置が複写機であれ
ば、複写する画像を入力するためのスキャナを備える。
インタフェース部6はなくてもよい。
【0030】図2はインクジェット記録ヘッド3の構成
を示すブロック図である。インクタンク11に蓄えられ
たインクは、供給路12から供給口13を通って圧力室
14に満たされる。ピエゾアクチュエータ15は、駆動
電圧制御部16から電圧を加えられて振動板17を振動
させる。振動板17が振動すると圧力室14の体積が変
化して、圧力室14内のインクがノズル18から用紙2
に向かって吐出する。
【0031】実際の印刷で高い画品質を得るためには、
ノズルから吐出するインク滴の径を小さくする必要があ
る。そこで発明者らは、吐出インク滴の径を変えながら
記録実験を行い、約50人に対して画品質に関する主観
評価を行った。この結果、粒状感が最も顕著に感じられ
るハイライト(低濃度)部においてもザラツキが目立た
ない滑らかな画品質にするためには、吐出インク滴の総
滴径を25μm以下に抑える必要があるとの結論を得
た。これは、人間の目が粒状感を感じないようになるポ
イントが吐出インク滴の総滴径で25μm付近にあると
いうことを表しており、インクジェット記録ヘッドもし
くはインクジェット記録装置を設計する際の指標の一つ
になるといえる。なお、本明細書において、吐出インク
滴の総滴径とは、主滴とサテライト(主滴の周囲に発生
する微小粒子)を合わせた体積を球であると見なしたと
きの換算径を示している。
【0032】ノズル径を小さくすれば、実現できる最小
インク滴の総滴径も小さく抑えることができるが、イン
クの乾燥やゴミの混入などによるノズルの目詰まりが発
生しやすくなり、インクジェット記録ヘッドの信頼性の
点で問題となる。また、製造上の困難性が増すため、ノ
ズル間の製造上のばらつきからインク滴の吐出速度や滴
径(主滴径およびサテライト径)がノズル間もしくはイ
ンクジェット記録ヘッド間によってまちまちになる可能
性及び割合が増大することになる。加えて、最大インク
滴だけに注目してノズル径を小さくしていくと、所望の
解像度に見合う最大インク滴が吐出困難になるという問
題も発生する。従って、ノズル径には実用上の下限値が
存在する。
【0033】ところで、駆動波形に「引き」のプロセス
を加えず、「押し」のプロセスのみで吐出を行った場
合、実現できる最小インク滴の総滴径は、せいぜいノズ
ル径と同等の大きさまでしか下げられない。そこで、ノ
ズル滴よりも径の小さなインク滴を吐出させるために、
駆動波形に「引き」のプロセスを付加する必要性が出て
くる。
【0034】図3はピエゾアクチュエータに入力される
駆動波形電圧を示す図である。の引き部でメニスカス
形状を凹にし、所定のタイミングでの押し部に示す吐
出エネルギーを与えてインク滴を吐出させる。この「引
き」と「押し」のプロセスを行うメニスカス制御によ
り、ノズル径より小さい微小滴を吐出させることができ
る。
【0035】これにより、特にドット階調記録(滴径変
調)を行う場合においては、より幅広い吐出インク滴径
可変範囲を持たせることができるようになり、必要に応
じて「引き」のプロセスを付加した駆動波形を併用する
ことで、ノズル径よりも径の小さな微小滴からベタ印字
の際にもドット間にすき間を生じさせない大滴までドッ
ト径を多段階に変調させ、幅広い濃度レンジを持つ階調
記録が実現できるようになる。ただし、この「引き」の
プロセスを付加した駆動においても、総滴径25μm以
下という最小インク滴設定上の制約を満足させるために
は、用いるノズルの径に上限値が存在する。
【0036】そこで発明者らは、ノズルの径を10μm
〜60μmの間で変化させた記録ヘッドを製作し、イン
ク滴の吐出実験を行った。そして、前述の製造上の信頼
性及びそれに付随したインクジェット記録ヘッドの性能
の安定性、さらに前述の最小インク滴径の制約という両
面から検討を行った結果、両者を満足する適正なノズル
径が20μm〜40μmの範囲にあることが明らかにな
った。
【0037】このメニスカス制御においては、吐出直前
のメニスカスのへこみ具合によって吐出特性(滴径およ
び滴速)が変化する。従って、メニスカス制御を行った
場合には、「引き」を用いない通常の吐出に比べ、諸々
の変動要因に対して敏感になってしまう。また、インク
滴吐出のための「押し」のプロセスを付加する前からメ
ニスカスが振動しているため、同じノズルにおいても、
前ドットの吐出履歴やクロストーク、使用環境などの影
響でメニスカスのへこみ具合が定まりにくく、結果とし
て吐出インク滴も変動を受けやすくなってしまう。
【0038】そこで発明者らは、このメニスカスのへこ
み具合にとって大きな変動要因の一つと考えられるイン
ク粘度変化に着目した。インク粘度は特に装置設置雰囲
気内温度や装置内温度などの環境温度に対して大きく変
動し、例えば図13のように、インク温度が5゜Cから
40゜Cに上昇した場合、インク粘度は5.5mPa・
sから1.5mPa・sへと減少する。
【0039】発明者らはまず、ノズル付近で発生してい
る諸々の現象がインク粘度変化に対してどのような影響
を受けるのかを調査した。インク粘度を下げていくと、
それに伴いインクの流動性が高くなることで、徐々にメ
ニスカス表面の挙動が不安定になっていくことが明らか
になった。特にインク粘度が2mPa・sを下回ると滴
形成に及ぼす影響が顕著になり、主滴やサテライトの径
や速度が不安定になるばかりか、正常に吐出できなかっ
たサテライトがノズルプレートに付着し吐出不良を引き
起こし、場合によっては吐出停止を招くという現象も見
られた。加えて、このインク粘度2mPa・s以下の範
囲では、ノズルの細かな製造誤差を拾いやすくなること
によって吐出インク滴の出来方のノズル間格差が許容で
きないほど広がってしまうことが確認された。また、イ
ンクがノズルの縁に残りやすくなることによるインク滴
吐出方向の悪化や、インク滴吐出後のノズル内部への気
泡巻き込みも顕著になることが明らかになった。
【0040】さらに発明者らは、インク粘度変化に対す
る吐出特性への影響についても調査を行った。図4はイ
ンク粘度を変化させたときの吐出インク滴の総滴径変化
を示す図である。図5は同じくインク粘度を変化させた
ときの吐出インク滴の滴速変化を示す図である。図4、
図5を参照すると、インク粘度の増加に伴って総滴径が
減少すると共に、主滴速は減少しサテライト速は増加す
る。主滴速とサテライト速の大きさが交差するポイント
はインク粘度が2mPa・sのところにあり、インク粘
度がこの値以下になると、吐出した主滴とサテライトと
が用紙に着弾するまでに合体することなく分離したまま
になるため、結果として画品質の低下を招いてしまうこ
とになる。以上に述べた理由から、使用するインクの粘
度には2mPa・sという下限値を設ける必要がある。
【0041】一方、インク粘度が高くなると、前述のよ
うに総滴径や主滴速が減少し、色調のバランスが崩れた
り、ドット列の直線性が低下することで、画品質の低下
を招いてしまうことが前述の調査で明らかになってい
る。発明者らが別に行った吐出特性と着弾精度との関係
に対する実験結果によると、微小滴吐出において十分な
着弾精度を得るためには、主滴速は最低でも4m/sが
必要となることが分かっており、これに加え均一なドッ
ト径を得て画品質を維持するためにも、図5に示される
ように、使用するインク粘度には6mPa・sという上
限を設ける必要がある。
【0042】以上により、装置使用温度範囲内における
インク粘度を2〜6mPa・sの範囲内に設定すること
により、総滴径25μm以下のような微小滴でも安定に
吐出できるようになることが分かった。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と
比較して、インクジェット記録ヘッドの構成と駆動電圧
制御方式が異なる。図6は第2の実施の形態のインクジ
ェット記録ヘッドの構成を示すブロック図である。図2
で説明した第1の実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドの構成に加えて、環境温度を検知する温度検出部19
を備える。
【0044】図7はピエゾアクチュエータに入力する駆
動波形電圧を示す図である。吐出動作時以外にはピエゾ
アクチュエータにオフセット電圧V0 を加えておく。
「引き」の電圧をV1 、「押し」の電圧をV2 とする。
t1 〜t6 は時間を示す。なおV0 の値に加えV1 の値
を大きく設定した場合、駆動波形電圧が正から負へと移
行する部分が生じることになる。このような条件でピエ
ゾアクチュエータを駆動すると、ピエゾアクチュエータ
の分極状態が反転し、その後の駆動においてピエゾアク
チュエータの変位が著しく低下する現象が発生すること
がある。また、正と負の両方の電圧が必要になることで
インクジェット記録ヘッドを駆動する電源のコストが増
加してしまうという問題も生じる。従って、V1 の値が
V0 の値を越えないように設定するのが望ましい。
【0045】ここで、インク粘度3.5mPa・sにお
いて、V0 =10V、V1 =6V、V2 =8V、t1 =
3μs、t2 =5μs、t3 =2μs、t4 =2μs、
t5=2μs、t6 =2μs、とすることにより、第1
の実施の形態と比べ更に小さい総滴径20μm以下の微
小滴を安定に吐出でき、更に高い画品質が得られた。
【0046】第1の実施の形態で図4と図5を用いて説
明したように、環境温度変化に伴ってインク粘度が変化
すると吐出特性が変化する。この変化を抑制するため
に、温度検出部19により検知された環境温度の変化に
応じて、図8に示すように駆動電圧V1 とV2 を同時に
拡大または縮小することにより補正を行った。発明者ら
の実験において、主滴速が一定となるような補正率を求
めた結果、インク粘度変化に対して図9に示すような補
正率が得られた。また、図9に示した補正率カーブに従
ってV1 、V2 とも同じ倍率で補正を行ったところ、総
滴径は図10に示すようにほぼ一定またはそれ以下、主
滴速は図11に示すように一定となるような吐出特性が
得られた。なお、インク粘度変化に対して主滴速とサテ
ライト速との大小関係が逆転するポイントは、図5と図
11の比較で明らかなように、駆動波形電圧補正後も変
わらずインク粘度2mPa・sのところにあることが分
かった。これにより、駆動波形電圧補正後においても、
使用するインク粘度の下限値は2mPa・sであるとい
える。
【0047】一方、インク粘度が高い部分についても調
査を行ったところ、主滴速が一定となるように補正率を
変えながらインク粘度を上げていった場合、図12に示
すように総滴径はわずかに減少する傾向にあることが分
かった。これは、インク粘度の上昇に伴い、メニスカス
中央部の曲率が増加することで、より細いインク液柱が
生成されるようになるためであると考えられる。
【0048】その後、さらにインク粘度を高めていく
と、インク粘度が15mPa・sのポイントで総滴径が
不連続に増加し、それ以降のインク粘度においては、イ
ンク粘度が高まるにつれて総滴径も増加していくという
現象が見られた。これは、インク粘度の増加に伴う補正
率の増加、すなわち駆動波形電圧の増加により、第2サ
テライトがノズルから吐出するのに十分なエネルギを得
てしまうことによるものである。この第2サテライト
は、主に圧力波の反動によって引き起こされるものであ
り、主滴や第1サテライトに比べ滴速が非常に遅く、か
つ滴径が大きいため、第2サテライトが発生すると画品
質を大きく低下させてしまうことになる。従って、使用
するインク粘度は15mPa・sが上限となる。
【0049】以上により、駆動波形電圧に補正を行う場
合には、装置使用温度範囲内におけるインク粘度を2〜
15mPa・sの範囲内に設定することにより、総滴径
25μm以下のような微小滴でも主滴速一定、総滴径一
定またはそれ以下で安定に吐出できるようになることが
わかった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、装
置使用温度範囲内におけるインク粘度を2〜6mPa・
sの範囲内、或いは環境温度に応じて駆動波形電圧を補
正する場合には装置使用温度範囲内でのインク粘度を2
〜15mPa・sの範囲内に設定することにより、総滴
径25μm以下の微小滴を安定に吐出させることがで
き、高品質の印刷結果が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェット記録装置の断面
を模式的に示す図である。
【図2】 インクジェット記録装置を構成するインクジ
ェット記録ヘッドの第1の実施の形態を示すブロック図
である。
【図3】 第1の実施の形態の記録ヘッドの駆動波形電
圧を示す図である。
【図4】 インク粘度を変化させたときの吐出インク滴
の総滴径の変化を示す図である。
【図5】 インク粘度を変化させたときの吐出インク滴
の滴速の変化を示す図である。
【図6】 インクジェット記録装置を構成するインクジ
ェット記録ヘッドの第2の実施の形態を示すブロック図
である。
【図7】 第2の実施の形態の記録ヘッドの駆動波形電
圧を示す図である。
【図8】 第2の実施の形態の記録ヘッドの駆動波形電
圧補正方法を示す図である。
【図9】 インク粘度に対する駆動波形電圧補正率を示
す図である。
【図10】 駆動波形電圧補正後の吐出インク滴の総滴
径の変化を示す図である。
【図11】 駆動波形電圧補正後の吐出インク滴の滴速
の変化を示す図である。
【図12】 駆動波形電圧補正後のインク粘度が大きい
ときの吐出インク滴の総滴径の変化を示す図である。
【図13】 インク温度に対するインク粘度の変化を示
す図である。
【図14】 メニスカス制御による吐出過程を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…用紙ホッパ、2…用紙、3…インクジェット記録ヘ
ッド、4…用紙スタッカ、5… 制御部、6…インタフ
ェース部、11…インクタンク、12…供給路、13…
供給口、14…圧力室、15…ピエゾアクチュエータ、
16…駆動電圧制御部、17…振動板、18…ノズル、
19…温度検出部。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルを備えるとともにインクを満たし
    た圧力室に対し圧力発生手段により圧力変化を発生さ
    せ、吐出直前にノズル口のインク液面を示すメニスカス
    をノズル奥に引き込ませる動作を付加することによりメ
    ニスカス形状を凹とした後に前記圧力室の前記ノズルか
    らインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドであ
    って、装置使用温度範囲内における前記インクの粘度は
    2mPa・s以上であることを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 装置使用温度範囲内における前記インクの粘度は6mP
    a・s以下であることを特徴とするインクジェット記録
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 環境温度を検知する温度検知手段を備え、前記温度検知
    手段により検知された環境温度の変化に応じ、前記圧力
    室に対し前記圧力変化を発生させるための前記圧力発生
    手段の駆動電圧を補正するとともに、装置使用温度範囲
    内における前記インクの粘度は15mPa・s以下であ
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3の何れかの請求
    項において、 前記インク滴の最小総滴径は25μm以下であることを
    特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れかの請求
    項において、 前記ノズルの径は20〜40μmの範囲内であることを
    特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5の何れかの請求
    項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧を、環境温度変化による前記インク
    の粘度変化に応じて補正することを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5の何れかの請求
    項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐出させるための
    前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境温度変化による
    前記インクの粘度変化に応じて補正することを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 ノズルを備えるとともにインクを満たし
    た圧力室に対し圧力発生手段により圧力変化を発生さ
    せ、吐出直前にノズル口のインク液面を示すメニスカス
    をノズル奥に引き込ませる動作を付加することによりメ
    ニスカス形状を凹とした後に前記圧力室の前記ノズルか
    らインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドであ
    って、前記インクのメニスカス形状を凹にするための前
    記圧力発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐出させる
    ための前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境温度変化
    による前記インクの粘度変化に応じて補正することを特
    徴とするインクジェット記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐出させるための
    前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境温度変化による
    前記インクの粘度変化に応じて同じ倍率で補正すること
    を特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項6ないし請求項9の何れかの請
    求項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧は、駆動波形のオフセット電圧を越
    えないことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 ノズルを備えるとともにインクを満た
    した圧力室に対し圧力発生手段により圧力変化を発生さ
    せ、吐出直前にノズル口のインク液面を示すメニスカス
    をノズル奥に引き込ませる動作を付加することによりメ
    ニスカス形状を凹とした後に前記圧力室の前記ノズルか
    らインク滴を吐出させて印刷を行うインクジェット記録
    装置であって、装置使用温度範囲内における前記インク
    の粘度は2mPa・s以上であることを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 請求項11において、 装置使用温度範囲内における前記インクの粘度は6mP
    a・s以下であることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  13. 【請求項13】 請求項11において、 環境温度を検知する温度検知手段を備え、前記温度検知
    手段により検知された環境温度の変化に応じ、前記圧力
    室に対し前記圧力変化を発生させるための前記圧力発生
    手段の駆動電圧を補正するとともに、装置使用温度範囲
    内における前記インクの粘度は15mPa・s以下であ
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】 請求項11ないし請求項13の何れか
    の請求項において、 前記インク滴の最小総滴径は25μm以下であることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 請求項11ないし請求項14の何れか
    の請求項において、 前記ノズルの径は20〜40μmの範囲内であることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 請求項11ないし請求項15の何れか
    の請求項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧を、環境温度変化による前記インク
    の粘度変化に応じて補正することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  17. 【請求項17】 請求項11ないし請求項15の何れか
    の請求項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐出させるための
    前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境温度変化による
    前記インクの粘度変化に応じて補正することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 ノズルを備えるとともにインクを満た
    した圧力室に対し圧力発生手段により圧力変化を発生さ
    せ、吐出直前にノズル口のインク液面を示すメニスカス
    をノズル奥に引き込ませる動作を付加することによりメ
    ニスカス形状を凹とした後に前記圧力室の前記ノズルか
    らインク滴を吐出させて印刷を行うインクジェット記録
    装置であって、前記インクのメニスカス形状を凹にする
    ための前記圧力発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐
    出させるための前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境
    温度変化による前記インクの粘度変化に応じて補正する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 請求項17または請求項18におい
    て、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧と、前記インクを吐出させるための
    前記圧力発生手段の駆動電圧とを、環境温度変化による
    前記インクの粘度変化に応じて同じ倍率で補正すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 請求項16ないし請求項19の何れか
    の請求項において、 前記インクのメニスカス形状を凹にするための前記圧力
    発生手段の駆動電圧は、駆動波形のオフセット電圧を越
    えないことを特徴とするインクジェット記録装置。
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