JP2011084028A - 液体吐出方法、及び、液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出方法、及び、液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高粘度液体を利用して吐出特性を安定させつつより幅広い階調表現を実現することが可能な液体吐出方法、及び、液体吐出装置を提供する。
【解決手段】吐出パルスPSは、基準電位から動作電位まで一定勾配で電位が変化して圧力室内を減圧すべくアクチュエーターを動作させる第1波形部と、動作電位を一定時間維持する第2波形部と、動作電位から基準電位まで一定勾配で電位が変化して圧力室内を加圧すべくアクチュエーターを動作させる第3波形部と、を有し、単位周期T内の先の吐出パルスPS1と、当該先の吐出パルスに続いて発生される次の吐出パルスPS2との間隔Δtが、圧力室内のインクに生じる固有振動周期Tcに基づき設定される。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット式プリンター等の液体吐出装置の液体吐出方法、及び、液体吐出装置に関するものである。
液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象)に対して吐出・着弾させてドットを形成することで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
例えば、上記プリンターには、複数のノズルを列設して成るノズル列(ノズル群)を有し、吐出パルスを圧力発生部(例えば、圧電振動子、発熱素子、又は静電式アクチュエーター等)に印加してこれを駆動することにより圧力室内の液体に圧力変化を与え、この圧力変化を利用して圧力室に連通したノズルから液体を吐出させるように構成されたものがある。圧力発生部として静電式アクチュエーターを採用するプリンターでは、圧力室(インク室)の一部を形成している振動板電極と、これに対向配置されている個別電極(固定電極)とを備え、これらの間に電圧を印加すると静電気力によって振動板電極が個別電極に吸引され、電圧の印加を解除すると静電気力が解除されることで振動板電極が個別電極から開放されて弾性復帰する。即ち、吐出パルスの電位変化に応じた振動板電極の変位によって圧力室内のインクの圧力が変動して、振動板電極が個別電極から開放されて弾性復帰する過程で、圧力室に連通しているノズルからインクが吐出される。上記の吐出パルスは、例えば、基準電位から膨張電位まで一定勾配で電位が上昇する膨張要素と、膨張電位を一定時間維持するホールド要素と、膨張電位から基準電位まで膨張要素の電位勾配よりも急峻な電位勾配で電位が降下する収縮要素と、から略台形状の波形で構成される。
ところで、インク吐出後には、圧力室内におけるインクの残留振動が問題となる。即ち、この残留振動によってメニスカスの挙動が乱れ、これにより次に行うインク滴の吐出動作に悪影響を及ぼす虞がある。特に、記録速度の高速化や記録画像の高解像度化に伴って、ごく微小(例えば、数pl)なインク滴を非常に短い時間(例えば、数μs)で連続的に吐出する場合、上記の残留振動を可及的に抑制することが望まれる。このため、例えば、圧力発生部として圧電振動子を採用するプリンターでは、駆動信号中においてインク滴を吐出するための波形要素(吐出要素)の後に制振要素を含ませ、この制振要素によって残留振動を低減するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、圧力発生部として上記の静電式アクチュエーターを採用するプリンターでは、吐出パルスに制振要素を入れたとしても、中間電位(最低電位から最高電位までの途中の電位)で一時的にホールドする等の電位の細かい変化に振動板電極が追従できないため、このようなプリンターで使用される吐出パルスは、上記したように略台形型の波形であり、制振要素を有さないものが一般的である。
そして、上記の静電式アクチュエーターを採用するプリンターにおいて、1回の印刷単位周期内で吐出するインク滴の数に応じて記録媒体に形成する画素の階調表現を行う構成の場合、即ち、多ショット/画素印字の場合、上記の残留振動の影響を受けて、インク滴を連続して吐出した際に各吐出時のインク吐出特性が変動する。すなわち、単位周期において先にインク滴を吐出した後に続いて次にインク滴を吐出する場合、圧力室内に生じる圧力振動は、振動板電極の駆動によって生じる圧力振動と、先のインク滴の吐出時に生じた残留振動との重ね合わせになる。したがって、残留振動に起因して、振動板電極の駆動を開始する時点におけるメニスカスの変位状態が、1回の駆動のみでインク滴を1滴だけ吐出する場合と多ショットでインク滴を複数滴吐出する場合とで相違することがある。
そこで、従来においては、連続したインク滴の吐出により1画素分の印字を行う場合に、2回目以降の吐出パルスを印加し終わった時点から次の吐出パルスを印加するまでの駆動間隔を、インク液滴吐出後の振動板電極の残留振動波形に基づき決定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。即ち、この特許文献2の構成では、各インク液滴の吐出のために印加される第1〜第n番目までの各吐出パルスの各パルス間隔が、インク液滴吐出後の振動板電極の残留振動波形に基づき個別に設定されることにより、所望の吐出特性が得られるようになっている。より具体的には、インク滴吐出後の振動板電極の残留振動が中立位置(ゼロクロス点)となるタイミングで次のパルスによる振動板電極の駆動が開始されるように設定されている。これにより、インク滴の吐出の安定化を計っている。
特開2002−127418号公報 特開2005−305866号公報
連続してインク滴を吐出する場合における2回目以降のインクの吐出特性、即ち、ノズルから吐出されるインクの量(重量・体積)や飛翔速度の変動は、特に圧力室内のインクに生じるヘルムホルツ周期Tc(以下、適宜、固有振動周期Tcとも言う。)の振動に基づく残留振動の影響を受ける。そして、例えば、一般的に家庭用のプリンターで用いられている水性インクのように、粘度が8ミリパスカル秒(mPa・s)未満の比較的低粘度(例えば、1ミリパスカル秒)のインクでは、上記の残留振動に起因するメニスカスの変位が大きくなりやすいため、インク吐出特性が大幅に変動してしまう。かかる特性変動は、2回目以降のインクを吐出する動作を開始する時点での残留振動の振幅が大きいほど顕著になり、印字品質が大幅に劣化するおそれがある。そして、圧力室内のインクに生じる固有振動周期Tcは、記録ヘッドの製造誤差などに起因して記録ヘッド毎に所定のばらつきがある。したがって、例えば、基準となるヘッドで、上記多ショット/画素印字の際に所望のインク重量が得られるように吐出パルスが設計されたものを、この基準ヘッドとは異なる他の記録ヘッドに適用してインクを吐出させた場合、所望のインク重量が得られない可能性があった。したがって、従来の水性インクを対象としたプリンターでは、先の吐出パルスによってインクが吐出された後の残留振動が中立位置或いはその近傍となるタイミングで次の吐出パルスによる吐出動作の駆動が開始されるようにパルス同士の間隔を設定せざるを得なかった。その結果、パルス間隔の設定自由度が狭くなり、また、多ショット/画素印字による画素の階調表現の幅が制限されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高粘度液体を用いて吐出特性を安定させつつより幅広い階調表現を実現することが可能な液体吐出方法、及び、液体吐出装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体供給源からの液体が供給部を通じて供給される圧力室と、当該圧力室に連通し、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う圧力発生部と、を有する液体吐出ヘッド、及び、前記ノズルから液体を吐出させるべく前記圧力発生部を動作させる吐出パルスを単位周期内に複数発生するパルス発生部を備えた液体吐出装置における液体吐出方法であって、
前記液体の粘度は、8ミリパスカル秒以上であり、
前記吐出パルスは、基準電位から動作電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を減圧すべく前記圧力発生部を動作させる第1波形部と、前記動作電位を一定時間維持する第2波形部と、動作電位から基準電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を加圧すべく前記圧力発生部を動作させる第3波形部と、を有し、
前記単位周期内の先の吐出パルスと、当該先の吐出パルスに続いて発生される次の吐出パルスとの間隔を、前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期Tcに基づき設定することで、前記次の吐出パルスが前記圧力発生部に印加される時点で、前記先の吐出パルスを用いて液体を吐出した後の残留振動の位相が一定に揃うようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、単位周期内における次の吐出パルスが圧力発生部に印加される時点で、先の吐出パルスを用いて液体を吐出した後の残留振動の位相が一定に揃うように、先の吐出パルスと次の吐出パルスとの間隔を圧力室内の液体に生じる固有振動周期Tcに基づき設定するので、単位周期内で複数の吐出パルスを圧力発生部に連続的に印加することで液体を複数回吐出したときの液体の総量を、液体吐出ヘッドの個体差によらず一定に揃えることができる。特に、8ミリパスカル秒以上の高粘度の液体を吐出する場合、当該液体自体が残留振動を抑えるダンパー効果を発揮するため、例えば、残留振動を強め合うタイミングで次の吐出パルスによる液体の吐出動作が行われるようにパルス間隔を設定しても、メニスカスの動きが過大になることが抑制され、液体の吐出を安定化させることができる。これにより、残留振動の位相に対する次の吐出パルスによる液体の吐出動作が行われるタイミング、即ち、先の吐出パルスと次の吐出パルスとの間隔を比較的広い範囲で設定することができ、設定自由度が広がる。その結果、単位周期内で複数の吐出パルスを用いて液体を複数回吐出したときの液体の総量を従来よりも幅広く定めることができる。したがって、多ショット/画素印字による画素の階調表現の幅を広げることが可能となる。
また、本発明は、液体供給源からの液体が供給部を通じて供給される圧力室と、当該圧力室に連通し、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う圧力発生部と、を有する液体吐出ヘッド、及び、前記ノズルから液体を吐出させるべく前記圧力発生部を動作させる吐出パルスを単位周期内に複数発生するパルス発生部を備えた液体吐出装置であって、
前記吐出パルスは、基準電位から動作電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を減圧すべく前記圧力発生部を動作させる第1波形部と、前記動作電位を一定時間維持する第2波形部と、動作電位から基準電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を加圧すべく前記圧力発生部を動作させる第3波形部と、を有し、
前記単位周期内の先の吐出パルスと、当該先の吐出パルスに続いて発生される次の吐出パルスとの間隔が、前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期Tcに基づき設定されたことを特徴とする。
印刷システムの構成を説明するブロック図である。 記録ヘッドの断面図である。 駆動信号生成回路等の構成を説明するブロック図である。 (a)駆動信号の一例を説明するための波形図、(b)は先の吐出パルスによるインク吐出後の残留振動を説明する模式図である。 吐出パルスについて説明する波形図である。 他のヘッドを説明する断面図である。 他のヘッド用の吐出パルスを説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1に例示したプリンター1は、記録用紙、布、フィルム等の記録媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。記録媒体は、液体が吐出されて着弾する対象となる着弾対象である。外部装置としてのコンピューターCPは、プリンター1と通信可能に接続されている。プリンター1に画像を印刷させるため、コンピューターCPは、その画像に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
プリンター1は、用紙搬送機構2、キャリッジ移動機構3、駆動信号生成回路4、ヘッドユニット5、検出器群6、及び、プリンターコントローラー7を有する。用紙搬送機構2は、用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構3は、ヘッドユニット5が取り付けられたキャリッジを所定の移動方向(例えば紙幅方向。)に移動させる。駆動信号生成回路4は、駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、記録用紙(記録媒体)への印刷時に記録ヘッド8のアクチュエーター10(図2(a)参照。)へ印加されるものであり、図4に一例を示すように、単位周期T内に吐出パルスPSを複数含む一連の信号である。ここで、吐出パルスPSとは、記録ヘッド8から液滴状のインクを吐出させるために、アクチュエーター10に所定の動作を行わせるものである。本実施形態における駆動信号COMには、合計2つの吐出パルスPS1,PS2が含まれるが、3つ以上の吐出パルスを含むものであっても良い。駆動信号COMが複数の吐出パルスPSを含むことから、駆動信号生成回路4は、パルス発生部に相当する。なお、駆動信号生成回路4の構成や吐出パルスPSの詳細については後述する。
ヘッドユニット5は、記録ヘッド8とヘッド制御部11とを有する。記録ヘッド8は液体吐出ヘッドの一種であり、インクを記録媒体に向けて吐出させて、当該記録媒体に着弾させる。ヘッド制御部11は、プリンターコントローラー7からのヘッド制御信号に基づき、記録ヘッド8を制御する。なお、記録ヘッド8については後で説明する。検出器群6は、プリンター1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンターコントローラー7に出力される。プリンターコントローラー7は、プリンター1における全体的な制御を行う。このプリンターコントローラー7についても後で説明する。
図2は、本実施形態の記録ヘッド8の構成を示す圧力室長手方向の要部断面図である。この記録ヘッド8は、シリコン製の流路基板15の一方の面に、同じくシリコン製のノズル基板16を、流路基板15の他方の面に、ガラス製の電極基板17を各々配置して積層し、各部材間を接着剤によって接合することで3層構造となっている。
上記ノズル基板16は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル14を列状に開設した板材である。上記流路基板15には、その表面から異方性エッチングを施すことにより、インク流路となる溝部が形成されており、この溝部の開口部分がノズル基板16によって塞がれることにより、各ノズル14に対応して設けられた複数の圧力室19、各圧力室共通のインクが導入されるリザーバー20、及び、リザーバー20と各圧力室19との間を連通するインク供給路21から成る一連のインク流路が区画される。リザーバー20は、インクカートリッジ(液体供給源の一種。図示せず。)から供給されたインクを一旦貯留する部分であり、ノズル列を構成する各ノズル14に共通の液体貯留室に相当する。インク供給路21は、本発明における供給部に相当する。
流路基板15において、リザーバー20となる溝部の底面には、基板厚さ方向に貫通したインク導入口22が開設されている。また、各圧力室19となる溝部の底面(一方の面)には、ヘッド積層方向(図2において上下方向)に弾性変位可能な弾性面として機能する薄肉部23が形成されている。そして、流路基板15には共通電極端子18が形成されており、この流路基板15は導電性を有するので、上記薄肉部23は、共通電極(可撓性電極であり、本発明における変形部に相当。)としても機能するようになっている。
上記電極基板17は、例えば、ホウ珪酸ガラスによって作製されている。このホウ珪酸ガラスは、熱膨張率がシリコンと同程度である。このため、温度変化によるヘッド構成部材間の剥離が生じ難くなっている。この電極基板17の流路基板15に接合される面において、圧力室19の薄肉部23に対向する位置には、トレイ状に浅くエッチングされた凹部24が、各圧力室19に対応して形成されている。この凹部24の底面には、インジウムスズ酸化物(ITO)などの薄膜を積層して形成された個別電極(固定電極)25がそれぞれ敷設されている。各個別電極25は、各圧力室19に対応して延在するセグメント電極25aと、外部に露出している電極端子部25(b)とから構成されている。そして、電極基板17を流路基板15に接合すると、各圧力室19の薄肉部23と各個別電極25のセグメント電極25aとが、狭小な隙間を形成した状態でそれぞれ対向する。
また、この電極基板17には、基板厚さ方向を貫通したインク導入路17′が形成されており、このインク導入路17′は、流路基板15との接合状態でインク導入口22と連通するようになっている。このインク導入路17′とインク導入口22を通じて、例えばプリンター本体側に設けられたインクカートリッジからのインクがリザーバー20内に導入されるようになっている。そして、リザーバー20のインクは、このリザーバー20から分岐したインク供給路21を通って各圧力室19に分配供給される。
流路基板15の共通電極端子18と、電極基板17の個別電極25との間には、プリンターコントローラー7側からの駆動信号(吐出パルスPS)が印加される。駆動電圧が基準電位(又は接地電位)よりも+側に変化することにより、可撓性電極或いは変形部として機能する薄肉部23と個別電極25との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、薄肉部23が弾性変形して個別電極25側に撓み、セグメント電極25aの表面に密着する。この結果、圧力室19の容積が増加して、インク供給路21を通じてリザーバー20側からインクが圧力室19内に流入する。そして、駆動電圧が−側(接地電位側)に急激に変化して静電気力が急激に減少すると、薄肉部23はその弾性力によってセグメント電極25aの表面から離れて圧力室19側に変位する。その結果、圧力室19の容積が急激に減少する。これにより、圧力室19内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によってノズル14からインクが吐出(噴射)される。即ち、薄肉部23、共通電極端子18、個別電極25、及び薄肉部23は、アクチュエーター10(本発明における圧力発生部)として機能する。アクチュエーター10は、印加された吐出パルスPSにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、薄肉部23(変形部)を変形させる手段といえる。そして、圧力室19内のインクに対する加圧度合いや減圧度合いは、個別電極25における単位時間あたりの電位変化量等によって大凡定めることができる。
上記のように記録ヘッド8には、リザーバー20からノズル14に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル14の数に応じて複数設けられている。このインク流路では、太い流路の圧力室19に対して、細い流路のノズル14及びインク供給路21がそれぞれ連通している。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。即ち、このようなインク流路では、圧力室19内のインクに圧力変化を与えることで、ノズル14からインクを吐出させる。このとき、圧力室19、インク供給路21、及び、ノズル14は、ヘルムホルツの共鳴器のように機能する。このため、圧力室19内のインクに圧力が加わると、この圧力の大きさはヘルムホルツ周期と呼ばれる固有の周期Tcで変化する。すなわち、インクには圧力振動が生じる。
ここで、ヘルムホルツ周期(インクの固有振動周期)Tcは、一般的には次式(1)で表すことができる。
Tc=2π√〔(Mn+Ms)/(Mn×Ms×(Cc+Ci))〕・・・(1)
式(1)において、Mnはノズル14のイナータンス(単位断面積あたりのインクの質量、後述する。)、Msはインク供給路21のイナータンス、Ccは圧力室19のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)、Ciはインクのコンプライアンス(Ci=体積V/〔密度ρ×音速c〕)である。
この圧力振動の振幅は、インク流路をインクが流れることで次第に小さくなる。例えば、ノズル14やインク供給路21における損失、及び、圧力室19を区画する壁部等における損失により、圧力振動は減衰する。
なお、このヘルムホルツ周期は、隣り合う圧力室19同士を区画する壁部の厚さ、薄肉部23の厚さやコンプライアンス、流路基板15やノズル基板16の素材によっても変化する。したがって、同種の記録ヘッドであっても、製造時の寸法誤差等によってヘルムホルツ周期がヘッド毎に異なる場合がある。この点の詳細については後述する。
プリンターコントローラー7は、プリンター1における全体的な制御を行う。例えば、コンピューターCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1に示すように、プリンターコントローラー7は、インターフェース部28と、CPU29と、メモリー30とを有する。インターフェース部28は、コンピューターCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU29は、プリンター1の全体的な制御を行う。メモリー30は、コンピュータープログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU29は、メモリー30に記憶されているコンピュータープログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU29は、用紙搬送機構2やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU29は、記録ヘッド8の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部11に送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路4に送信したりする。
ここで、駆動信号COMを生成させるための制御信号はDACデータとも呼ばれ、例えば複数ビットのデジタルデータである。このDACデータは、生成される駆動信号COMの電位の変化パターンを定める。従って、このDACデータは、駆動信号COMや吐出パルスPSの電位を示すデータともいえる。このDACデータは、メモリー30の所定領域に記憶されており、駆動信号COMの生成時に読み出されて駆動信号生成回路4へ出力される。
駆動信号生成回路4は、パルス発生部として機能し、DACデータに基づき、吐出パルスPSを有する駆動信号COMを生成する。図3に示すように、駆動信号生成回路4は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、アクチュエーターを駆動できるレベルまで増幅する。このプリンター1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
ヘッド制御部11は、駆動信号生成回路4で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、アクチュエーター10へ印加する。このため、図3に示すように、ヘッド制御部11は、駆動信号COMの供給線の途中に、アクチュエーター10毎に設けられた複数のスイッチ34を有する。そして、ヘッド制御部11は、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ34を制御することで、駆動信号COMの必要部分(例えば吐出パルスPS)がアクチュエーター10へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル14からのインクの吐出を制御できる。
次に、駆動信号生成回路4によって生成される駆動信号COMについて説明する。図4(a)に示すように、駆動信号COMには、繰り返し生成される複数の吐出パルスPSが含まれている。本実施形態において、LAT信号などのタイミング信号によって区切られる駆動信号COMの繰り返し周期であり、記録媒体上に画像を構成する単位である画素を形成するための周期である単位周期T内に、合計2つの吐出パルスPS1及びPS2が含まれる。これらの吐出パルスPSは、いずれも同じ波形をしている。すなわち、電位の変化パターンが同じである。前述したように、この駆動信号COMは、アクチュエーター10の個別電極25に印加される。これにより、固定電位とされた薄肉部23との間に、吐出パルスPSの電位の変化パターンに応じた電位差が生じる。その結果、アクチュエーター10は、電位の変化パターンに応じて薄肉部23を静電気力によって変位させることで圧力室19の容積を変化させる。
図5は、上記吐出パルスPS1の構成を説明する波形図である。なお、吐出パルスPS2については、吐出パルスPS1と同一の波形であるので、その説明を省略する。また、図5において、縦軸は駆動信号の電位であり、基準電位としての基準電位VBを0Vにしている。また、横軸は時間である。
吐出パルスPS1は、第1波形部P1と、第2波形部P2と、第3波形部P3とからなる略台形状の波形である。第1波形部P1は、タイミングt0aからタイミングt1aに亘って生成される部分である。この第1波形部P1は、タイミングt0aにおける電位(始端電位に相当する)が基準電位VBであり、タイミングt1aにおける電位(終端電位に相当する)が最高電位(動作電位の一種)VHである。このため、第1波形部P1がアクチュエーター10に印加されると、圧力室19は、基準容積から最大容積まで、第1波形部P1の生成期間に亘って膨張する。この第1波形部P1は、インクを吐出させるための準備動作として圧力室19を膨張させている。
この吐出パルスPS1における基準電位VBは、吐出パルスPS1における基準電位VBよりも、吐出パルスPS1における最高電位VHから基準電位VBまでの差(以下、駆動電圧Vhともいう。)は数十Vである。この駆動電圧Vhの設定については、例えば、駆動電圧が異なる2つの評価用パルスを用いて、アクチュエーター10を駆動してノズル14から吐出されるインクの量をそれぞれ取得し、これらの駆動電圧とインク量とに基づき、目標とする吐出量が得られる駆動電圧を設定する。具体的には、吐出量の変化量が電圧の変化量に比例するものとして、プリンターの仕様上目標とするインク量に対応する駆動電圧を取得し、この値を吐出パルスPS1,PS2の駆動電圧Vhとして設定する。
第2波形部P2は、タイミングt1aからタイミングt2aに亘って生成される部分である。この第2波形部P2は、最高電位VHで一定な波形部である。このため、第2波形部P2がアクチュエーター10に印加されると、圧力室19は、第2波形部P2の生成期間に亘って最大容積が維持される。第3波形部P3は、タイミングt2aからタイミングt3aに亘って生成される部分である。この第3波形部P3は、始端電位が最高電位VHであり、終端電位が基準電位VBである。このため、第3波形部P3がアクチュエーター10に印加されると、圧力室19は、最大容積から基準容積(或いは慣性力によって基準容積を越える程度)まで第3波形部P3の生成期間に亘って収縮する。この圧力室19の収縮に伴ってインクが吐出されるので、第3波形部P3はインク滴を吐出させるための部分に相当する。この吐出パルスPS1には、インク滴を吐出した後の残留振動を抑制するための制振部分が含まれないので、インク吐出後には、残留振動が生じる。
インクの最大吐出周波数は、単位周期Tにおいて生成される各吐出パルスPSの間隔によって定められる。例えば、図4の駆動信号COMでは、各吐出パルスPS1,PS2を順に連続的にアクチュエーター10に印加することで、インクが期間Δt毎に吐出される。そして、この吐出パルスPS1を1つだけアクチュエーター10に印加することでノズル14から1回だけ吐出されるインクの重量は、例えば約7ngである。即ち、単位周期Tにおいて、この吐出パルスPS1のみを選択してアクチュエーター10を駆動してインク滴を吐出させると、記録媒体上にはミドルドットに対応する大きさのドットが形成される。また、単位周期Tにおいて、吐出パルスPS1と吐出パルスPS2の両方を選択してアクチュエーター10に印加すると、ノズル14からはインク滴が2回連続して吐出されて、記録媒体上にはラージドットに対応する大きさのドットが形成される。
ところで、記録媒体に印刷される画像の画質を向上させるには、記録ヘッド8の個体差に拘わらず、一定の吐出特性が得られることが望まれる。
図4(b)は、単位周期T中で先に発生される吐出パルスPS1を用いてインクを吐出したときのノズル14におけるメニスカス(ノズル14で露出しているインクの自由表面)の振動状態を模式的に示すグラフである。なお、当該グラフにおいて横軸は時間を表し、縦軸はメニスカスの吐出方向(ノズル14の軸方向)の位置を表している。縦軸における0の位置はノズル面(詳しくは、基準電位VBに対応するメニスカスの定常位置)に対応しており、これによりも波形が上へ向かうほどノズル面よりも外側(吐出側)にメニスカスが移動し、逆に下へ向かうほど圧力室側にメニスカスが引き込まれることを意味する。また、グラフにおいてDaで示す時点が、インク滴の吐出タイミングである。また、Dbで示す時点が吐出パルスPS2の始端であり、当該吐出パルスPS2によってアクチュエーター10の駆動(吐出動作)が開始される時点である。
同図に示すように、本実施形態においては、インク滴の吐出後(時点Daの後)には上記のヘルムホルツ周期(固有振動周期Tc)の残留振動が生じることが判る。この固有振動周期Tcは、記録ヘッド毎に異なるので、残留振動の周期もヘッド毎に相違することになる。例えば、実線で示す残留振動の周期と比較して、破線で示す残留振動の周期が長くなっている。したがって、全ての記録ヘッドについて吐出パルス同士の間隔Δtを一定の値とした場合、単位周期内において先に発生される吐出パルスPS1の次に発生される吐出パルスPS2がアクチュエーター10に印加される時点Db(即ち、吐出パルスPS2によってアクチュエーター10の駆動が開始されるタイミング)の残留振動の位相が記録ヘッド毎に異なる。
即ち、図4(b)において実線で示す残留振動の場合、時点Dbでは吐出側から圧力室側に移動しているタイミングでアクチュエーター10の駆動が開始されてメニスカスが圧力室側に引き込まれるので、振動が強められる。これにより、吐出パルスPS2によって吐出されるインクの重量や飛翔速度が増加する。これに対し、破線で示す残留振動の場合、時点Dbでは圧力室側から吐出側に移動しているタイミングでアクチュエーター10の駆動が開始されるので、振動が弱められる。これにより、吐出パルスPS2によって吐出されるインクの重量や飛翔速度が低下する。このように、吐出パルスPS1,PS2を連続的にアクチュエーター10に印加して吐出されるインクの総量がヘッド毎に相違する可能性があった。
このため、本発明に係るプリンター1では、単位周期T内の駆動信号COMに含まれる先の吐出パルスPS1と、この次に発生される吐出パルスPS2との間隔Δtが、記録ヘッド毎のヘルムホルツ周期(固有振動周期Tc)に基づき設定される。これにより、吐出パルスPS2がアクチュエーター10に印加される時点Dbの、先に吐出パルスPS1を用いてインクを吐出した後の残留振動の位相が、記録ヘッドの個体差によらず一定に揃うように構成されている。なお、本実施形態においてはパルス同士の間隔Δtをパルス始端(即ち、第1波形部P1の始端)同士の間隔としているが、これには、限られず、例えば、パルス終端(第3波形部P3の終端)同士の間隔でも良いし、第3波形部P3の始端同士の間隔でも良い。このようにTcに基づきパルス同士の間隔Δtが定めるので、単位周期T内で複数の吐出パルスをアクチュエーター10に連続的に印加することでインク滴を複数回吐出させて所定の大きさのドットを記録媒体上に形成する構成(多ショット/画素印字)において、記録ヘッドの個体差に拘わらず、吐出されるインクの総量を一定に揃えることが可能となる。
記録ヘッド毎の固有振動周期Tcは、当該記録ヘッドの製造工程において測定される。Tcの測定方法としては、種々の方法が提案されているが、例えば、吐出パルスPSの第2波形部の発生時間Pwh(第2波形部の始端t1aから終端t2aまでの時間)を所定範囲で変化させつつ、当該吐出パルスPSでインクを吐出したときのインクの飛翔速度Vmやインク重量を測定して、その変化を観察し、変化カーブの隣り合う極大値同士或いは極小値同士の間隔をTcとして取得する方法等、既存の方法を採用することができる。
ここで、従来の水性インク等のように粘度が8ミリパスカル秒未満(例えば、約1ミリパスカル秒)の比較的低粘度のインクを対象とするプリンターでは、例えば、先の吐出パルスPS1によってインクが吐出された後の残留振動を強め合うタイミングで次の吐出パルスPS2によるインクの吐出動作が行われるようにパルスの間隔Δtを設定した場合、吐出パルスPS2によって吐出されるインクの量が、吐出パルスPS1によって吐出されるインクの量よりも増加する。しかしながら、この場合、低粘度(例えば、1ミリパスカル秒)のインクではメニスカスの挙動が大きくなりすぎる傾向がある。これにより、吐出パルスPS2によって吐出されるインクの飛翔方向が曲がったりする等、吐出が不安定になる可能性があった。
このため、低粘度のインクを扱うプリンターでは、残留振動の影響をなるべく小さくするべく、先の吐出パルスPS1によるインク吐出後のメニスカスの残留振動が可及的に中立位置に近いタイミングで次のパルスPS2によるインクの吐出動作が開始されるようにパルス間隔が設定される。つまり、パルス間隔の設定自由度が制限される。したがって、この構成では、吐出パルスPS1のみを用いてインクを吐出したときのインクの重量が7ngであるとすると、吐出パルスPS1と吐出パルスPS2の両方を用いて連続的にインクを吐出したときのインクの総量が、単体で吐出したときの重量の倍の14ng或いはそれに近い値しか得られず、画素における階調表現の自由度が制限されることになる。
これに対し、本発明に係るプリンター1では、一般的な水性インクの粘度よりも十分に高い粘度のインク、具体的には粘度が8ミリパスカル秒以上のインク(便宜上、高粘インクともいう。)を使用し、パルス同士の間隔Δtを変化させることで、多ショット/画素印字におけるインクの総量を任意に変えることができる。例えば、先の吐出パルスPS1によってインクが吐出された後の残留振動を強め合うタイミングで次の吐出パルスPS2によるインクの吐出動作が行われるようにパルスの間隔Δtを設定した場合、吐出パルスPS2によって吐出されるインクの量が、吐出パルスPS1によって吐出されるインクの量よりも増加する。また、高粘度のインクは、振動を抑えるダンパー効果を発揮するので、低粘度のインクを吐出する場合と比較してメニスカスの動きが過大になることを防止することができる。このため、残留振動を強め合うタイミングで吐出パルスPS2によりインクが吐出されるようにパルス間隔Δtを設定しても、インクの吐出が不安定になることが抑制される。その結果、パルスの間隔Δtの設定自由度が広がる。即ち、残留振動の振幅が大きい(極大又は極小に近い)位相で吐出パルスPS2によるインク吐出動作が開始されるようにパルス間隔Δtを設定することも可能となる。そして、単位周期内で吐出パルスPS1のみを選択してインクを吐出したときのインク重量が7ngであるとして、吐出パルスPS1と吐出パルスPS2の両方を選択してインクを吐出したときの総重量を、単体で吐出したときの重量の倍の14ngのみならず、倍の値よりも多く又は少なくすることも可能となる。これにより、残留振動の位相に対する次の吐出パルスによるインクの吐出動作が行われるタイミング、即ち先の吐出パルスと次の吐出パルスとの間隔Δtを比較的広い範囲で設定することができ、設定自由度が広がる。その結果、単位周期内で複数の吐出パルスを用いてインクを複数回吐出したときのインクの総量を従来よりも幅広く定めることができる。したがって、多ショット/画素印字による画素の階調表現の幅を広げることが可能となる。
また、例えば、複数の記録ヘッド8をキャリッジに取り付けてヘッドユニット5とする構成のプリンターでは、記録ヘッド8毎に上記のパルス同士の間隔Δtを個別に調整することで、各記録ヘッド8の吐出特性、即ち、各ノズル17から吐出されるインクの量や飛翔速度を揃えることが容易に可能となる。
ところで、前述した実施形態の記録ヘッド8では、アクチュエーター10として、吐出パルスPS1で与えられる電位が高いほど、静電気力を利用して圧力室19の容積を大きくするための動作をする静電式アクチュエータータイプのものを用いていたが、アクチュエーター10としては、他のタイプのものを用いてもよい。図6に示した他の記録ヘッド8´は、アクチュエーター10として、所謂撓み振動型の圧電素子(ピエゾ素子)37を採用している。そして、この圧電素子37として、吐出パルスPS′(図7を参照)で与えられる電位が高いほど、圧力室40の容積を小さくするための動作をするタイプのものを用いている。この圧電素子をアクチュエーターとして利用する記録ヘッド8′では、吐出パルスの細かい電位変化にも圧電素子が追従できるので、吐出パルスに吐出後の残留振動を抑制するための制振部分を設けることもできるが、図7に示す吐出パルスPS′のように、何らかの仕様上や設計上の事情で制振部分が設けられない場合も考えられる。このような場合においても本発明は好適である。
簡単に説明すると、記録ヘッド8´は、リザーバー38と、インク供給口39と、圧力室40と、ノズル41とを有する。そして、リザーバー38から圧力室40を通ってノズル41に至る一連のインク流路をノズル41に対応して複数有している。他の記録ヘッド8´でも圧力室40は、その容積が圧電素子37の動作によって変化される。すなわち、圧力室40の一部は振動板42によって区画され、圧力室40とは反対側となる振動板42の表面には圧電素子37が設けられている。
圧電素子37はそれぞれの圧力室40に対応して複数設けられている。各圧電素子37は、例えば圧電体を上電極と下電極とで挟んだ構成であり(何れも図示せず。)、これらの電極間に電位差を与えることにより変形する。この例では、上電極の電位を上昇させると圧電体が充電され、これに伴って圧電素子37は圧力室40側に凸となるように撓む。これにより圧力室40が収縮される。なお、他の記録ヘッド8´では、振動板42における圧力室40を区画している部分が変形部に相当する。
他の記録ヘッド8´用の吐出パルスPS′は、例えば図7に示す波形のものである。簡単に説明すると、この吐出パルスPS′は、前述した吐出パルスPS(PS1,PS2)を電位方向(高低方向)に反転させた波形をしている。従って、この吐出パルスPS′は、第1波形部P11と、第2波形部P12と、第3波形部P13とを有する。
第1波形部P11は、始端電位が最高電位VH、終端電位が基準電位VBであり、タイミングt0aからタイミングt1bに亘って生成される。第2波形部P12は、基準電位VBで一定であり、タイミングt1bからタイミングt2bに亘って生成される。第3波形部P13は、始端電位が基準電位VB、終端電位が最高電位VHであり、タイミングt2bからタイミングt3bに亘って生成される。他の記録ヘッド8´用の吐出パルスPS2が有する各部分P11〜P13の機能は、前述した吐出パルスPSが有する各部分P1〜P3の機能と同じである。
このような構成の他の記録ヘッド8´でも、インクの粘度が8ミリパスカル秒以上であれば、ノズル41の吐出側の開口面積をインク供給口39の圧力室40側の開口面積の1/9以下に定めることで、インク滴の吐出を安定化できる。
前述した各吐出パルスPS(PS1,PS2),PS′はあくまで一例である。吐出パルスの波形(電位の変化パターン)は、インクの吐出量やインクの粘度に応じて適宜定められる。
また、単位周期T内の駆動信号中に含まれる吐出パルスの数は例示したものには限られない。即ち、単位周期T内の駆動信号中に3つ以上の吐出パルスが含まれる構成を採用することもできる。この場合、時間軸上で隣り合う吐出パルス同士の間隔を上記の方法で設定すればよい。
このプリンター1では、インクを吐出させるための動作(吐出動作)をする素子として、アクチュエーター10,圧電素子37を用いている。ここで、吐出動作をする素子は、前述したアクチュエーター10,圧電素子37に限定されるものではない。例えば、所謂縦振動型の圧電素子であってもよいし、発熱素子であってもよいし、磁歪素子であってもよい。そして、この素子として、前述の実施形態のようにアクチュエーター10,圧電素子37を用いた場合には、圧力室19,40の容積を吐出パルスPSの電位に基づいて精度良く制御できる。
そして、本発明は、複数の駆動信号を用いて吐出制御が可能な液体吐出装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレー製造装置では、色材吐出ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置では、電極材吐出ヘッドから液状の電極材料を吐出する。チップ製造装置では、生体有機物吐出ヘッドから生体有機物の溶液を吐出する。
1…プリンター,4…駆動信号生成回路,10…アクチュエーター,14…ノズル,19…圧力室,20…リザーバー,21…インク供給路,23…薄肉部,25…個別電極,PS1…吐出パルス,PS2…吐出パルス,P1…第1波形部,P2…第2波形部,P3…第3波形部

Claims (2)

  1. 液体供給源からの液体が供給部を通じて供給される圧力室と、当該圧力室に連通し、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う圧力発生部と、を有する液体吐出ヘッド、及び、前記ノズルから液体を吐出させるべく前記圧力発生部を動作させる吐出パルスを単位周期内に複数発生するパルス発生部を備えた液体吐出装置における液体吐出方法であって、
    前記液体の粘度は、8ミリパスカル秒以上であり、
    前記吐出パルスは、基準電位から動作電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を減圧すべく前記圧力発生部を動作させる第1波形部と、前記動作電位を一定時間維持する第2波形部と、動作電位から基準電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を加圧すべく前記圧力発生部を動作させる第3波形部と、を有し、
    前記単位周期内の先の吐出パルスと、当該先の吐出パルスに続いて発生される次の吐出パルスとの間隔を、前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期Tcに基づき設定することで、前記次の吐出パルスが前記圧力発生部に印加される時点で、前記先の吐出パルスを用いて液体を吐出した後の残留振動の位相が一定に揃うようにしたことを特徴とする液体吐出方法。
  2. 液体供給源からの液体が供給部を通じて供給される圧力室と、当該圧力室に連通し、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記圧力室内の液体に圧力変化を与える動作を行う圧力発生部と、を有する液体吐出ヘッド、及び、前記ノズルから液体を吐出させるべく前記圧力発生部を動作させる吐出パルスを単位周期内に複数発生するパルス発生部を備えた液体吐出装置であって、
    前記吐出パルスは、基準電位から動作電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を減圧すべく前記圧力発生部を動作させる第1波形部と、前記動作電位を一定時間維持する第2波形部と、動作電位から基準電位まで一定勾配で電位が変化して前記圧力室内を加圧すべく前記圧力発生部を動作させる第3波形部と、を有し、
    前記単位周期内の先の吐出パルスと、当該先の吐出パルスに続いて発生される次の吐出パルスとの間隔が、前記圧力室内の液体に生じる固有振動周期Tcに基づき設定されたことを特徴とする液体吐出装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012236393A (ja) * 2011-05-13 2012-12-06 Fujifilm Corp インクジェットヘッドの駆動装置及び駆動方法並びにインクジェット記録装置
JP2013063525A (ja) * 2011-09-15 2013-04-11 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

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