JP2000102289A - 電圧制御装置 - Google Patents

電圧制御装置

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JP2000102289A
JP2000102289A JP10265345A JP26534598A JP2000102289A JP 2000102289 A JP2000102289 A JP 2000102289A JP 10265345 A JP10265345 A JP 10265345A JP 26534598 A JP26534598 A JP 26534598A JP 2000102289 A JP2000102289 A JP 2000102289A
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    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
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    • H02P27/04Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage using variable-frequency supply voltage, e.g. inverter or converter supply voltage
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損と銅損を一致させるように制御して、電
動機の省エネ運転を可能とした電圧制御装置を提供す
る。 【解決手段】 電動機の励磁コンダクタンス及び励磁サ
セプタンスに合わせて設定される可変コンダクタンス1
3と可変サセプタンス14と、電動機の1次巻線と2次
巻線の抵抗値に合わせて設定される可変抵抗15を備え
ている。電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例した
信号eを前記可変コンダクタンスに基づいて処理するこ
とにより銅損を算出する手段と、電動機に供給される基
本波瞬時電圧に比例した信号eと、電動機電流の瞬時値
iとを前記可変コンダクタンス、可変サセプタンス及び
可変抵抗値に基づいて処理することにより鉄損を算出す
る手段を備えている。得られた銅損値と鉄損値とを比較
し、その結果に従い両者の値が一致するように電動機供
給電圧を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電動機(以下
電動機と呼ぶ)の省電力(以下省エネルギーと呼ぶ)運
転を目的とした電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動機はその性質から、負荷の大きさに
よらずほぼ一定量発生する電力損失である鉄損と、負荷
の大きさによって変化する電力損失である銅損が発生す
るが、鉄損と銅損がほぼ同じ値になったときに、その電
動機の効率が最高となることが知られている。すなわ
ち、一定負荷時における電動機への印加電圧に対する鉄
損と銅損の関係は、図6に示すようになる。この図から
明らかなように、鉄損と銅損が等しくなる電圧V0 のと
きが損失が最小になる。この場合、負荷が変化すれば、
銅損も変化することから、最適電圧V0も変化する。
【0003】そのため、従来から、省エネルギー制御イ
ンバータとして、図7に示すような装置が提案されてい
た。この従来技術では、交流電源50からの交流電力は
コンバータ51により直流電力に変換された後、平滑コ
ンデンサ52により脈動分を除去される。この平滑され
た直流電力はトランジスタまたはGTOなどの半導体ス
イッチで構成されているPWMインバータ53に与えら
れる。PWMインバータ53はPWM発生器54からの
パルス幅変調信号によって制御される。
【0004】PWM発生器54は、周波数指令fおよび
制御電圧Vr に基づいてPWMインバータ53を駆動
し、直流入力を可変電圧・可変周波数の交流出力に変換
して、電動機55を所望速度で運転させる。この場合、
PWM発生器54は、その制御部に電力計算部56およ
び電圧演算部57を備えており、電力計算部56におい
て出力電圧V1 と出力電流I1 から電力Pを計算し、電
圧演算部57においてこの電力Pと周波数fから最大効
率になるVr を演算する。PWM発生器54は、PWM
インバータ53を制御して、電動機55にこの周波数f
と最適電圧Vr を供給する。これによって、従来技術で
は、供給周波数や負荷にかかわりなく、電動機55を最
大効率で運転することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、現在、
電動機の運転電力を検出し、その電力において銅損と鉄
損がほぼ同じになるような供給電圧を供給する装置は存
在し、このような従来技術は電力を検出して電圧を制御
するものであるが、その原理上さまざまの欠点を有す
る。まず、図10に電動機の簡易等価回路から求めたハ
イランドの円線図を示す。これは線分OP1が無負荷
時、線分OP3が軸拘束時の電流ベクトルとなり、無負
荷から拘束時までの電流ベクトルの先端の軌跡を描いた
ものである。縦軸は供給電圧のベクトルの向きと同じで
ある。つまり縦軸の量は電動機供給電力に比例する。こ
の図10おいて、円線図の半径は供給電圧により決定す
る。
【0006】仮に、従来技術において、電動機の最も効
率のよくなる点P1で運転していたとする。次に負荷ト
ルクの急増がありPM以上の電力が必要になったとき
は、供給電圧を速やかに上昇させ円線図の半径を増せば
よいのであるが、実際の装置では、ハンチングと呼ばれ
る異常発振を抑えるため、供給電圧の変化に遅れ時間要
素を持たせており、急激な負荷トルク増加に応じた適正
電圧を瞬時に供給することができず、P1からPMの点
を超えてP2の点に向かっていく。そのため電動機は滑
りが大きくなり、ついにP3の点での運転に陥ってしま
う。本来負荷トルクが増加してP1の点での供給電圧よ
り高い供給電圧が必要なのであるが、電動機の入力電力
がP1より小さくなってしまうため、P1での供給電圧
より低い電圧を供給するべく動作してしまい、省エネ運
転ができなくなり、しかも電動機は失速停止してしま
う。
【0007】これを防止するために、従来技術では、定
格トルクより大きなトルク時の入力電力よりPMが大き
くなるように、円線図の半径の最小、つまり供給電圧の
下限を決定している。そのため軽負荷時でも下限電圧の
制約のため、最適な供給電圧を供給できず、理想的な省
エネ効果を経ることができなかった。
【0008】しかしながら、実際に電動機を運転する場
合に、運転中の電動機に発生する銅損は負荷電流の二乗
に比例して変化し、電圧変動率に依存して変動するもの
であり、また、鉄損は同一電圧では周波数に反比例する
ことから、負荷電流や電圧変動率あるいは周波数を常時
検出して、鉄損および銅損を常に等しくなるように電動
機の供給電圧を制御することは難しかった。
【0009】また、鉄損および銅損の大きさは、電動機
の1次巻線と2次巻線の抵抗、励磁コンダクタンスや励
磁サセプタンス、漏れリアクタンスによって左右される
が、これらは電動機の容量、定格、種類によって異なる
ものであるから、すでに設置されている電動機に対し
て、鉄損と銅損が同一の値となるように制御することが
できる装置を設けることは困難であった。特に、従来技
術では、接続される電動機が変わるごとに電動機容量な
どの定数設定を必ず行わねばならなかった。
【0010】本発明は、前記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであって、その目的
は、供給電圧を変化させて電動機を制御するに当たっ
て、どの様な運転状態においても鉄損と銅損を常に一致
させて駆動することができ、電動機の高効率運転が可能
で、電動機の省エネルギー運転に貢献することのできる
電圧制御装置を提供することにある。特に、本発明は、
従来技術で問題となっていた失速停止の防止のための下
限電圧の制限をなくし、理想的な省エネ効果を経ること
と、電動機ごとに必要であった定数設定をなくすことを
特徴とする。
【0011】本発明の他の目的は、マイクロコンピュー
タ等の電子計算機を使用することにより、より簡単な構
成で、前記のような鉄損と銅損を常に一致させて電動機
を駆動するを可能とした電圧制御装置を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、電動機の励磁コンダクタンス
及び励磁サセプタンスに合わせて設定される可変コンダ
クタンス13と可変サセプタンス14と、電動機の1次
巻線と2次巻線の抵抗値に合わせて設定される可変抵抗
15を備えている。また、電動機に供給される基本波瞬
時電圧に比例した信号eを前記可変コンダクタンスに基
づいて処理することにより銅損を算出する手段と、電動
機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号eと、電
動機電流の瞬時値iとを前記可変コンダクタンス、可変
サセプタンス及び可変抵抗値に基づいて処理することに
より鉄損を算出する手段と、前記銅損算出手段によって
得られた銅損値と鉄損算出手段によって得られた鉄損値
とを比較する手段を備えている。更に、前記比較手段の
比較結果に従い両者の値が一致するように電動機供給電
圧を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0013】このような構成を有する請求項1の発明の
作用は次の通りである。すなわち、図8に電動機の簡易
等価回路を示す。図8において、Iは1次電流、ILは
負荷電流、I0 は励磁電流、Eは電動機の1次電圧、R
1は1次巻線抵抗、R2は2次巻線抵抗、Xは漏れリア
クタンス、Sは電動機の滑り、g0 は励磁コンダクタン
ス、b0 は励磁サセプタンスである。鉄損は励磁コンダ
クタンスg0 によって生じ、銅損は1次巻線抵抗および
2次巻線抵抗R1+R2によって生じる。鉄損をPiと
すると、
【数1】Pi=E2 g0 ………(1) であり、銅損をPcとすると、
【数2】 Pc=(IL)2 (R1+R2)………式(2) である。
【0014】励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタン
スb0 、1次巻線抵抗R1、2次巻線抵抗R2は一定の
値を持ち、電動機容量により違った値をとるが、g0 ,
b0を抵抗、リアクタンスと考えると各々の定数の比率
は電動機容量によらずほぼ一定であり、一般的な値も知
られている。従って、前記式(1)より鉄損を求めるこ
とができる。また、負荷電流ILを求めるためには、1
次電流Iと励磁電流I0 が解れば可能であり、前記のよ
うにg0 ,b0 は測定により求めることができるか、ま
たは一般的な値が知られているため、励磁電流I0 は1
次電圧Eにより簡単に求めることができる。図9の各電
流のベクトル図の関係をみる通り、負荷電流ILを求め
ることは可能であり、前記式(2)により銅損Pcを求
めることができる。
【0015】本発明は、このようにして求めた鉄損と銅
損を比較器によって比較し、電圧制御信号を得て、これ
をPWM発生器によって駆動されるインバータ装置等の
制御手段に入力し、この制御手段によって電動機の供給
電圧を制御する。すなわち、銅損Pcが鉄損Piよりも
大きい場合には、電圧制御信号が上昇し、これに伴い電
動機供給電圧が上昇する。一方、銅損Pcが鉄損Piよ
りも小さい場合には、電圧制御信号が下降し、これに伴
い電動機供給電圧も下降する。その結果、銅損と鉄損が
一致する最適電圧が電動機への供給されることになり、
電動機の損失が最小になり、省エネルギー運転が可能に
なる。
【0016】すなわち、図9において、P1点での銅損
Pcは線分P0P1の長さの2乗に比例し、P2での銅
損は線分P0P2,P3での銅損は線分P0P3の長さ
の2乗に比例し、P0P1での銅損よりも多いのは明ら
かである。また、鉄損はPfであり、P1で運転してい
るときにPf=Pcなので、もしもP2やP3での運転
状態に陥ったとしても、必ずPf<Pcとなる。本発明
は、Pf<Pcの時に供給電圧を上昇させるように動作
するので、電動機が失速停止することはなく、下限電圧
の制限は0でない限りの電圧でよく、理想的な省エネ運
転を実現できる。
【0017】請求項2の発明は、電動機に供給される基
本波瞬時電圧に比例した信号eを出力する手段と、電動
機電流の瞬時値iを検出する電流検出器4とを備えてい
る。また、前記信号eを入力する入力端子bと、可変コ
ンダクタンス13を介して前記信号eが入力される入力
端子aとを備えたを備えた乗算器7と、前記乗算器7の
出力側に接続された平均値回路9を備えている。また、
前記信号eを入力する積分回路8と、一方の入力端子
が、前記積分回路8の出力側に可変サセプタンス14を
介して接続され、他方の入力端子が前記可変コンダクタ
ンス13の出力側に接続された第1の加算器16と、マ
イナス側の入力端子に第1の加算器16の出力が接続さ
れ、プラス側の入力端子には電動機電流を検出する電流
検出器4が接続された第2の加算器と、第2の加算器の
出力側に順次接続された2乗算器11、平均値回路10
および可変抵抗15とを備えている。さらに、前記平均
値回路9の出力側が接続された鉄損側の入力端子aと、
前記可変抵抗の出力側が接続された銅損側の入力端子b
を有し、鉄損側入力端子aから入力された鉄損値と銅損
側入力端子bから入力された銅損値とを比較する比較器
12と、前記比較器12からの出力に従い、電動機供給
電圧を制御する制御手段を備えている。
【0018】このような構成を有する請求項2の発明に
おいては、前記信号eと、この信号eを可変コンダクタ
ンス13で分圧した信号ig0 とを乗算器によって乗算
しig0 ・eを得た後、このig0 ・eを平均化して銅
損Pcを求め、この銅損Pcを前記比較器12の銅損側
の入力端子に入力する。また、積分回路によって得られ
た前記信号eの90°位相の遅れた信号e′を可変サセ
プタンス14によって分圧して得られた信号ib0 と、
前記可変コンダクタンス13によって得られた信号ig
0 とを加算器16で加算してi0 を得て、この信号i0
と電流検出器で得られた電動機電流iを第2の加算器1
7でi−i0 の加算を行い、得られた信号iLを2乗算
器11で2乗してiL2 を得た後、平均値回路10で平
均化し、更に可変抵抗値を乗算することにより銅損Pc
を得る。
【0019】請求項3の発明は、前記請求項1の発明の
主要な部分をマイクロコンピュータなどの電子計算機の
プログラムによって実現するものであり、電動機の励磁
コンダクタンス、励磁サセプタンス及び1次巻線と2次
巻線の抵抗値を記憶する手段と、電動機に供給される基
本波瞬時電圧に比例した信号eを前記記憶手段から読み
込んだ可変コンダクタンスに基づいて処理することによ
り銅損を算出する手段と、電動機に供給される基本波瞬
時電圧に比例した信号eと電動機電流の瞬時値iとを、
前記記憶手段から読み込んだ可変コンダクタンス、可変
サセプタンス及び可変抵抗値に基づいて処理することに
より鉄損を算出する手段と、前記銅損算出手段によって
得られた銅損値と鉄損算出手段によって得られた鉄損値
とを比較する手段とを備えている。そして、これら銅損
算出手段、鉄損算出手段及び銅損値と鉄損値の比較手段
がコンピュータの演算処理によって実現される。
【0020】すなわち、表1は市販の電動機について確
定数を測定したものを示す。この表ではR1+R2を1
としたときの各定数を比率で表したものであり、電動機
はその容量や極数により若干の違いはあるが、この表の
値と大差なく作られている。この表のデータをマイクロ
コンピューターのメモリー内部に記憶させておけば、電
動機容量などがわからなくともPfやPcの比率に関し
ては分かり、電動機容量に関係なく一律のデータにおい
てPc=Pfとなるように動作する。これは実際の電動
機でもほぼPc=Pfとなる特徴を持っており、電動機
容量が変わるごとに必ず定数設定をしなければならない
従来技術のわずらわしさを解消している。このように本
発明では、汎用電動機の各定数比率を用い、ボタンが変
わるごとに定数の設定をし直す必要のない利点もある。
【0021】
【表1】 請求項4の発明は、前記請求項3の発明において、前記
鉄損算出手段が、電動機の鉄損が供給電圧の1.6乗か
ら1.8乗に比例することを利用して、算出した鉄損を
供給電圧により補償するための補償テーブルを設けたこ
とを特徴とする。この請求項4の発明によれば、算出し
た鉄損値が電動機の供給電圧に従って補正されることに
なるので、より精度の高い制御が可能になる。
【0022】請求項5の発明は、比較器の比較結果にし
たがって電動機供給電圧を制御する手段が、インバータ
装置であることを特徴とする。また、請求項6の発明
は、前記インバータ装置が、PWM発生器によって制御
される逆変換装置3を有することを特徴とする。このよ
うな請求項5及び請求項6の発明によれば、電動機に対
する供給電圧並びに周波数の制御が簡単に実施でき、実
用性が高い利点がある。
【0023】なお、本発明のインバータ装置としては、
交流電力を入力して交流電力を出力するもの以外に、直
流電力を入力して交流電力を出力するものも採用するこ
とができる。さらに、PWMインバータに限らず、他の
インバータを使用した電圧制御装置や、インバータを使
用しない電源電圧制御方式による電動機の制御装置にも
適用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】(1)第1の実施形態 (1−1)第1実施形態の構成 図1に本発明をインバータ装置に応用した例を示す。図
1において、1は交流電力を直流電力に変換する整流
器、2は直流平滑用のコンデンサ、3は直流電力をスイ
ッチ制御し交流電力に変換する逆変換装置であり、整流
器1から逆変換装置3でインバータ装置の主回路を横成
している。逆変換装置3はPWM発生器6で駆動され、
電動機5に供給される電圧Eは、直流平滑用コンデンサ
2に充電されている電圧とPWM発生器6で発生する信
号PWMで決定される。
【0025】PWM発生器6は、周波数設定信号FRQ
および電圧設定信号VLEVELによって決定されるP
WM信号PWMと、電動機に供給される基本波瞬時電圧
に比例した信号eとを発生する。ここで電動機供給電圧
Eは電圧設定信号VLEVELに比例し、周波数fは周
波数設定信号FRQに比例する構成になっている。すな
わち、電圧設定信号VLEVELが上昇するとこれに比
例して電動機供給電圧Eは上昇し、またPWM発生器6
からの出力信号eの振幅も比例して大きくなる。
【0026】PWM発生器6の電圧出力信号eの出力側
には、入力端子a,bを備えた乗算器7と、積分回路8
とが接続されている。乗算器7の入力端子b側には前記
電圧信号eが直接入力され、入力端子a側には可変コン
ダクタンス13を介して前記電圧信号eが入力されてい
る。乗算器7の出力側には平均値回路9が接続されて、
この平均値回路9の出力側が比較器12の鉄損側の入力
端子aに接続されている。
【0027】前記積分回路8の出力側は、可変サセプタ
ンス14を介して第1の加算器16の入力側に接続され
ている。第1の加算器16のもう一方の入力側には、前
記可変コンダクタンス13の出力側が接続されている。
第1の加算器16の出力は、第2の加算器のマイナス側
の入力端子に接続されている。第2の加算器17のプラ
ス側の入力端子には、逆変換装置3の出力電流を検出す
る電流検出器4が接続されている。この第2の加算器の
出力側には、2乗算器11、平均値回路10および可変
抵抗15が順次接続され、この可変抵抗15の出力側が
前記比較器12の銅損側の入力端子bに接続されてい
る。
【0028】(1−2)第1実施形態の作用 前記のような構成を有する本実施形態の作用を具体的に
説明する。
【0029】(a) 基本的な動作 本実施形態の装置においては、交流電源から供給された
交流電力は整流器1によって直流電力に変換され、平滑
用コンデンサ2によって平滑化された直流電力は逆変換
装置3に供給され交流電力に変換される。この場合、逆
変換装置3はこれに接続された制御用のPWM発生器6
からの周波数指令FRQおよび電圧設定信号VLEVE
Lに基づいて、電動機5に対して所定の周波数fならび
に電圧Eを供給する。この場合、本実施例形態において
は、電圧設定信号VLEVELは電動機の銅損Pcと鉄
損Piとが一致するように決定される。
【0030】(b) 設定値の決定 すなわち、電動機の銅損Pcと鉄損Piとを決定する要
因となる励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb
0 および1次巻線と2次巻線の抵抗値R1,R2につい
ては、本装置を取り付ける電動機に合わせて所定の値に
設定しておく。この場合、前記のように励磁コンダクタ
ンスg0 および励磁サセプタンスb0 については一般的
な値が知られているので、その値を入力するか、取り付
ける対象となる電動機についてこれらの値を計測して、
その計測値に合わせて可変コンダクタンス13および可
変サセプタンス14の値を設定する。また、可変抵抗1
5の抵抗値R1+R2は、本装置を取り付ける電動機を
実際に計測して求めても良いし、電動機の設計値に合わ
せて設定しても良い。
【0031】(c) 鉄損の検出 前記のようにして、本装置を取り付ける電動機に合わせ
て、励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb0 、
巻線抵抗R1+R2が設定された状態において、PWM
発生器6から電圧信号eを取り出して、乗算器7のb端
子、可変コンダクタンス13および積分回路8印加す
る。また、電流検出器4により検出した逆変換装置3の
出力電流(電動機電流)を第2の加算器のプラス側の端
子に印加する。すると、図1中に示すように、本装置の
各部にはi0 ,ig0 ,ib0 ,i,iLが流れること
になるが、これらはI0 ,Ig0 ,Ib0 ,I,ILの
瞬時値である。可変コンダクタンス13を流れる電流i
g0 は信号eと同じ波形であり、その振幅はg0 により
決まるため、可変コンダクタンス13の設定ポイントを
g0 の定数とみなすと、信号eから可変コンダクタンス
13で分圧した結果ig0 が得られる。そこで、このi
g0 を乗算器7のb端子に入力し、同じくa端子に入力
された信号eと乗算して、e・ig0 を求める。
【0032】このようにして得られたe・ig0 は鉄損
Piの瞬時値piであるため、平均値回路9を通し、e
・ig0 AVEつまり鉄損Piが求められる。
【0033】(d) 銅損の検出 一方、ib0 はインダクタンス成分(可変サセプタンス
14)に流れる電流であり、信号eから90°位相が遅
れるため、まず信号eの位相を90°遅らせる積分回路
8を通し、可変サセプタンス14の設定ポイントをb0
の定数とみなすと、可変サセプタンス14で分圧した結
果ib0 が得られる。第1の加算器16では、可変コン
ダクタンス13からのig0 と、可変サセプタンス14
からのib0 が加算され、i0 が求められる。同時に電
流検出器4で検出した出力電流Iの瞬時値iと第1の加
算器16で得られた−i0 を第2の加算器17で加算
し、ILの瞬時値iLを求める。
【0034】銅損Pcを求めるためには、前記のように
して得られたiLに基づき、2乗算器11により、まず
(iL)2 を求め、平均値回路10により(iL)2
VE、つまり(IL)2 を求める。前記のようにして設
定した可変抵抗15の設定値から、可変抵抗15の設定
ポイントをR1+R2の定数とみなすと、(IL)2
ら(IL)2 (R1+R2)、つまり銅損Pcが求めら
れる。
【0035】(e) 鉄損と銅損の比較 求められた銅損Pcと鉄損Piを比較器12で比較し、
電圧調整レベルVLEVELを得てPWM発生器6に入
力する。すなわち、Pc>Piのとき電圧調整レベルV
LEVELが上昇し、電動機供給電圧が上昇する。Pc
<Piの時は逆に電動機供給電圧が下降する。なお、本
実施形態では、比較器12は動作安定のため遅れ要素1
2aを付加してある。
【0036】(1−3)第1実施形態の効果 以上の通り、第1実施形態によれば、電動機の負荷条件
によらず、電動機供給電圧が上昇すると銅損Pcが減
少、鉄損Piが増加し、逆に電動機供給電圧が下降する
と銅損Pcが増加、鉄損Piが減少するため、電動機の
負荷条件によらず常にPc=Piとなる電圧を電動機に
供給できる。
【0037】(2)第2の実施の形態 図2に、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形
態は、前記第1実施例において使用した積分回路、加算
器、乗算器などの素子に変えて、マイクロコンピュータ
等を使用してデータ処理を行うことにより、鉄損と銅損
が同一となるようにPWMインバータを制御するもので
ある。
【0038】なお、この第2実施形態はコンピュータ上
に実現され、実施形態の各機能は、所定の手順(プログ
ラム)がこのコンピュータを制御することで実現され
る。
【0039】本明細書における各「手段」あるいは
「部」は、実施形態の各機能に対応する概念的なもの
で、必ずしも特定のハードウェアやソフトウェア・ルー
チンに1対1には対応しない。同一のハードウェア要素
が、場合によって異なった部を構成する。例えば、コン
ピュータは、ある命令を実行するときにある部となり、
別の命令を実行するときは別の部となりうる。また、一
つの部が、わずか1命令によって実現される場合もあれ
ば、多数の命令によって実現される場合もある。したが
って、本明細書では、以下、実施形態の各機能を有する
仮想的回路ブロック(部)を想定して実施形態を説明す
る。また、本実施形態における各手順の各ステップは、
その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時
に実行し、また異なった順序で実行してもよい。
【0040】また、本発明をコンピュータのソフトウェ
アとして実現した場合には、そのソフトウェアを磁気あ
るいは光などの記録媒体に記録しておき、これを個々の
設計者が読み出して自己のコンピュータによって実行す
ることも、本発明の実施形態の一つである。
【0041】(2−1)第2実施形態の構成 この第2実施例において、交流電源に接続された整流器
1、平滑用コンデンサ2、逆変換装置3、電流検出手段
4、電動機5およびPWM発生器6の部分は、前記第1
実施形態と同様である。このPWM発生器6には、マイ
クロコンピュータ20によって実現される最適電圧演算
手段30が接続されている。すなわち、マイクロコンピ
ュータは、CPU21、メインメモリ22、RAMやR
OMなどの記憶装置23、データやコマンド入力用のキ
ーボード、マウス、タッチセンサー等の入力装置24、
ディスプレイやプリンタなどの出力装置25、PWM発
生器6や逆変換装置3などのハードウェアとの間でデー
タを授受するI/O部26を備えており、前記最適電圧
演算手段30は、このマイクロコンピュータ上で実行さ
れるプログラムとして実現されている。
【0042】最適電圧演算手段30は、銅損演算部3
1、鉄損演算部32、これらによって算出された銅損値
Pcと鉄損値Piとを比較して、その結果に従いPWM
発生器6に電圧設定信号VLEVELを出力する損失比
較部33を備えている。前記銅損演算部31は、瞬時値
電流iLの算出部31a、瞬時値電流iLの2乗積算部
31b、平均化処理部31c、および抵抗乗算部31d
を備えている。一方、鉄損演算部32は、鉄損の瞬時電
力の算出部32a、瞬時電力の積算部32b、平均化処
理部32c、およびデータ参照部32dを備えている。
また、最適電圧演算手段30は、銅損演算部31と鉄損
演算部32とが、交流の1サイクル分の瞬時値を算出
し、積算したことを判定するサンプリングカウント部3
4を備えている。
【0043】前記記憶装置23には、一般の電動機等で
あらかじめ値の判っている励磁コンダクタンスg0 と励
磁サセプタンスb0 、および鉄損補償データを記憶して
おく。ここで、鉄損補償データは、電動機供給電圧Eと
供給電圧による鉄損Piの変化の様子をテーブルにした
ものであり、電圧Eの1.6乗〜1.8乗に比例したカ
ーブをもつテーブルである。図5はこのテーブルの一例
を示すグラフで、1.6乗〜1.8乗の平均をとって、
1.7乗としたとしたカーブである。この供給電圧と補
償値のデータは、コンピュータのROM内に記憶させて
おいたり、アナログ回路の折れ線回路によって作成する
ことができる。また、本装置を電動機に取り付けるに当
たり、その電動機の1次巻線と2次巻線の抵抗値R1+
R2を入力装置24から入力し、記憶装置23に記憶さ
せる。なお、前記励磁コンダクタンスg0 と励磁サセプ
タンスb0 についても、ROMなどで構成された記憶装
置23に一般的な値をあらかじめ記憶させておく以外
に、本装置を取り付ける電動機に特有の値を入力装置2
4から入力することもできる。
【0044】(2−2)第2実施形態の作用 前記のような構成を有する第2実施形態の作用を、図3
および図4のフローチャートに従って説明する。なお、
図示のフローチャートでは、図に記載したように、鉄損
算出用のステップと銅損算出用のステップが入り混じっ
ているが、両者の演算の順序はこれに限定されるもので
はない。
【0045】(ステップ1)…電圧制御信号eの読み込
み マイクロコンピュータは、まず、電動機5に供給されて
いる瞬時電圧iを例えばPWM発生器6の出力としてI
/O部26を通じて入力し、これを電圧制御信号eとす
る。
【0046】(ステップ2)…電圧制御信号e′の読み
込み 同様にして、電圧制御信号eに対して90°遅れの瞬時
波形e′を読み込む。この90°遅れの瞬時波形e′
は、図1に示した積分回路8などによって得ることがで
きる。このようにして得られた電圧制御信号e,e′を
使用し、図2の瞬時値電流iLの算出部31aによって
ステップ3〜7の銅損算出ステップが実行される。
【0047】(ステップ3,4)…銅損算出ステップ 一般の電動機等であらかじめ値の解っている励磁コンダ
クタンスg0 と励磁サセプタンスb0 を記憶装置23か
ら読み込む。読み込んだg0 とb0 を前記電圧制御信号
e,e′と乗算することにより、e・g0 とe′・b0
を求める。この値は励磁コンダクタンスg0 に流れる電
流の瞬時値ig0 および励磁サセプタンスb0 に流れる
電流の瞬時値ib0 である。
【0048】(ステップ5)…銅損算ステップ これらの電流の瞬時値ig0 とib0 を加算して、励磁
電流の瞬時値i0 を求める。
【0049】(ステップ6,7)…銅損算ステップ 電流検出器4より電動機電流の瞬時値iを検出し、先の
励磁電流の瞬時値i0に基づいて、i−i0 を算出し、
瞬時値電流iLとする。
【0050】(ステップ8)…鉄損算出ステップ 一方、鉄損演算部32における瞬時電力算出部32aに
おいては、まず、ステップ1で読み込んだ電圧制御信号
eと、記憶装置23から読み込んだ励磁コンダクタンス
g0 からe2 ・g0 を算出し、これを鉄損の瞬時電力と
し、PiAに加算する。PiAは鉄損の瞬時電力の積算
値であり、後に交流1サイクルが終了した時点で平均化
し、鉄損Piを求める目的のデータである。
【0051】(ステップ9)…銅損算出ステップ 瞬時値電流の2乗積算部31bにより、前記ステップ7
で得られた瞬時値電流iLに基づいて(iL)2 を算出
し、IL2 Aに加算する。IL2 Aは瞬時値電流iLの
2乗の積算値であり、後に交流1サイクルが終了した時
点で平均化し(IL)2 を求める目的のデータである。
【0052】(ステップ10,11)…サンプリング処
理のカウント 以上のサンプリング処理を、交流1サイクルに対して少
なくとも10回以上の充分な回数行う。また、交流1サ
イクル間に行ったサンプリング数はNとしてカウントし
ておく。この場合、交流1サイクル分のサンプリングが
終了したか否かの判定(ステップ10のYESまたはN
Oの判定)およびサンプリング回数Nのカウント処理
は、サンプリングカウント部34が行い、交流1サイク
ル分が終了していない場合には、ステップ1に戻り、鉄
損の瞬時電力PiAおよび瞬時値電流の2乗値(iL)
2 を算出し、積算値に加算する処理を繰り返す。一方、
交流1サイクル分が終了した後は、図4に示すステップ
12に進む。
【0053】(ステップ12)…鉄損算出ステップ サンプリングが交流1サイクル間終了したなら、次に、
鉄損演算部32の平均化処理部32cにおいて、鉄損の
瞬時電力の積算値をカウント数によって平均化したPi
A/Nを算出する。ところで、実際の鉄損は電動機の供
給電圧によって変化するものであるから、前記のような
演算によって得られた鉄損の瞬時電力の平均値をそのま
ま採用することはできない。そこで、本実施形態におい
ては、データ参照部32dにより記憶装置23に格納さ
れていた電動機供給電圧Eに対応した鉄損補償データを
読み込み、この補償データとPiA/Nとを乗算し、P
iA/Nを実際の電動機の鉄損に近似させたデータPi
を求める。
【0054】(ステップ13)…銅損算出ステップ 次に、銅損演算部31の平均化処理部31cにおいて、
前記のようにして得られたIL2 Aをサンプリングカウ
ント数Nで除算することにより、IL2 A/Nを算出
し、平均化された(IL)2 を得る。
【0055】(ステップ14)…銅損算出ステップ 前記のようにして得られた(IL)2 に基づいて、抵抗
乗算部31dにより、(IL)2 ・(Rl+R2)を算
出する。これは銅損Pcである。
【0056】(ステップ15)…銅損と鉄損の比較処理 次に、損失比較部23において、銅損Pc−鉄損Piを
演算し、値が正ならば電圧設定信号VLEVELの出力
電圧レベルを上昇させる信号をPWM発生器6に出力
し、値が負ならば電圧設定信号VLELELの出力電圧
レベルを下降させる信号を出力する。ここで、出力出力
電圧レベルの上昇・下降の速度は、ある一定の速度かま
たは、Pc−Piの関数としてもよい。その結果、前記
第1実施形態と同様に、PWM発生器6によって逆変換
装置3による電動機供給電圧を最適電圧に制御すること
ができる。
【0057】(ステップ16)前記のようにして、PW
M発生器6に電圧設定信号を出力した後は、1サイクル
に渡り積算した値PiIA,IL2 A,Nを0クリアし
て、次の交流1サイクルのサンプリングを行う。
【0058】(2−3)第2実施形態の作用 以上の通り、第2実施形態によれば、銅損と鉄損の算出
をコンピュータのプログラムを利用して行うことができ
るので、システムの単純化や信頼性の向上が可能とな
る。また、本装置を取り付ける電動機の種類に応じた励
磁コンダクタンス、励磁サセプタンスあるいは巻線抵抗
などの定数を記憶装置内に格納しておくことにより、例
えば、電動機の型式などを指定するだけの作業で適切な
値を設定することができ、より精度が高く、しかも取扱
の簡単な電圧制御装置を得ることができる。また、鉄損
補償テーブルを記憶しておき、これに従って算出された
鉄損を補償することにより、より精度の高い鉄損値を得
ることができ、最適電圧を確実に算出できる利点もあ
る。
【0059】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、鉄損と銅
損とを常時一定となるように、PWMインバータの出力
電圧を制御することが可能になるので、電動機の省エネ
ルギー運転に優れた効果を発揮する電圧制御装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧制御装置の第1実施の形態を
示す回路図。
【図2】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態を
示すブロック図。
【図3】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の前半部分を示すフローチャート。
【図4】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の後半部分を示すフローチャート。
【図5】鉄損の電圧補償テーブルの一例を示すグラフ。
【図6】供給電圧と損失特性を示すグラフ。
【図7】従来の電動機の省エネルギー制御を示す回路
図。
【図8】誘導電動機の簡易等価回路図。
【図9】電動機の電流ベクトル図。
【図10】電動機のハイランドの円線図。
【符号の説明】
1…整流器 2…平滑用コンデンサ 3…逆変換装置 4…電流検出器 5…電動機 6…PWM発生器 7…乗算器 8…積分回路 9…平均値回路 10…平均値回路 11…2乗算器 12…比較器 13…可変コンダクタンス 14…可変サセプタンス 15…可変抵抗 20…マイクロコンピュータ 30…最適電圧演算手段 31…銅損演算部 32…鉄損演算部 33…損失比較部 34…サンプリングカウント部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年8月23日(1999.8.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電圧制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電動機(以下
電動機と呼ぶ)の省電力(以下省エネルギーと呼ぶ)運
転を目的とした電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動機はその性質から、負荷の大きさに
よらずほぼ一定量発生する電力損失である鉄損と、負荷
の大きさによって変化する電力損失である銅損が発生す
るが、鉄損と銅損がほぼ同じ値になったときに、その電
動機の効率が最高となることが知られている。すなわ
ち、一定負荷時における電動機への印加電圧に対する鉄
損と銅損の関係は、図6に示すようになる。この図から
明らかなように、鉄損と銅損が等しくなる電圧V0 のと
きが損失が最小になる。この場合、負荷が変化すれば、
銅損も変化することから、最適電圧V0 も変化する。
【0003】そのため、従来から、省エネルギー制御イ
ンバータとして、図7に示すような装置が提案されてい
た。この従来技術では、交流電源50からの交流電力は
コンバータ51により直流電力に変換された後、平滑コ
ンデンサ52により脈動分を除去される。この平滑され
た直流電力はトランジスタまたはGTOなどの半導体ス
イッチで構成されているPWMインバータ53に与えら
れる。PWMインバータ53はPWM発生器54からの
パルス幅変調信号によって制御される。
【0004】PWM発生器54は、周波数指令fおよび
制御電圧Vr に基づいてPWMインバータ53を駆動
し、直流入力を可変電圧・可変周波数の交流出力に変換
して、電動機55を所望速度で運転させる。この場合、
PWM発生器54は、その制御部に電力計算部56およ
び電圧演算部57を備えており、電力計算部56におい
て出力電圧V1 と出力電流I1 から電力Pを計算し、電
圧演算部57においてこの電力Pと周波数fから最大効
率になるVr を演算する。PWM発生器54は、PWM
インバータ53を制御して、電動機55にこの周波数f
と最適電圧Vr を供給する。これによって、従来技術で
は、供給周波数や負荷にかかわりなく、電動機55を最
大効率で運転することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、現在、
電動機の運転電力を検出し、その電力において銅損と鉄
損がほぼ同じになるような供給電圧を供給する装置は存
在し、このような従来技術は電力を検出して電圧を制御
するものであるが、その原理上さまざまの欠点を有す
る。まず、図10に電動機の簡易等価回路から求めたハ
イランドの円線図を示す。これは線分OP1が無負荷
時、線分OP3が軸拘束時の電流ベクトルとなり、無負
荷から拘束時までの電流ベクトルの先端の軌跡を描いた
ものである。縦軸は供給電圧のベクトルの向きと同じで
ある。つまり縦軸の量は電動機供給電力に比例する。こ
の図10おいて、円線図の半径は供給電圧により決定す
る。
【0006】仮に、従来技術において、電動機の最も効
率のよくなる点P1で運転していたとする。次に負荷ト
ルクの急増がありPM以上の電力が必要になったとき
は、供給電圧を速やかに上昇させ円線図の半径を増せば
よいのであるが、実際の装置では、ハンチングと呼ばれ
る異常発振を抑えるため、供給電圧の変化に遅れ時間要
素を持たせており、急激な負荷トルク増加に応じた適正
電圧を瞬時に供給することができず、P1からPMの点
を超えてP2の点に向かっていく。そのため電動機は滑
りが大きくなり、ついにP3の点での運転に陥ってしま
う。本来負荷トルクが増加してP1の点での供給電圧よ
り高い供給電圧が必要なのであるが、電動機の入力電力
がP1より小さくなってしまうため、P1での供給電圧
より低い電圧を供給するべく動作してしまい、省エネ運
転ができなくなり、しかも電動機は失速停止してしま
う。
【0007】これを防止するために、従来技術では、定
格トルクより大きなトルク時の入力電力よりPMが大き
くなるように、円線図の半径の最小、つまり供給電圧の
下限を決定している。そのため軽負荷時でも下限電圧の
制約のため、最適な供給電圧を供給できず、理想的な省
エネ効果を経ることができなかった。
【0008】しかしながら、実際に電動機を運転する場
合に、運転中の電動機に発生する銅損は負荷電流の二乗
に比例して変化し、電圧変動率に依存して変動するもの
であり、また、鉄損は同一電圧では周波数に反比例する
ことから、負荷電流や電圧変動率あるいは周波数を常時
検出して、鉄損および銅損を常に等しくなるように電動
機の供給電圧を制御することは難しかった。
【0009】また、鉄損および銅損の大きさは、電動機
の1次巻線と2次巻線の抵抗、励磁コンダクタンスや励
磁サセプタンス、漏れリアクタンスによって左右される
が、これらは電動機の容量、定格、種類によって異なる
ものであるから、すでに設置されている電動機に対し
て、鉄損と銅損が同一の値となるように制御することが
できる装置を設けることは困難であった。
【0010】本発明は、 前記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであって、 その目的
は、 供給電圧を変化させて電動機を制御するに当たっ
て、鉄損と銅損を可能な限り一致させて駆動することに
より、電動機の高効率運転が可能で、電動機の省エネル
ギー運転に貢献することのできる電圧制御装置を提供す
ることにある。特に、本発明は、従来技術で問題となっ
ていた失速停止の防止に必要とされていた下限電圧の制
限をなくし、理想的な省エネ効果を得ることを目的とす
る。
【0011】本発明の他の目的は、マイクロコンピュー
タ等の電子計算機を使用することにより、より簡単な構
成で、前記のような鉄損と銅損を常に一致させて電動機
を駆動することを可能とした電圧制御装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、 請求項1の発明は、電動機の励磁コンダクタンス
及び励磁サセプタンスに合わせて設定される可変コンダ
クタンス13と可変サセプタンス14と、電動機の1次
巻線と2次巻線の抵抗値に合わせて設定される可変抵抗
15を備えている。また、電動機に供給される基本波瞬
時電圧に比例した信号eを前記可変コンダクタンスに基
づいて処理することにより銅損を算出する手段と、電動
機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号eと、電
動機電流の瞬時値iとを前記可変コンダクタンス、可変
サセプタンス及び可変抵抗値に基づいて処理することに
より鉄損を算出する手段と、前記銅損算出手段によって
得られた銅損値と鉄損算出手段によって得られた鉄損値
とを比較する手段を備えている。更に、前記比較手段の
比較結果に従い両者の値が一致するように電動機供給電
圧を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0013】このような構成を有する請求項1の発明の
作用は次の通りである。すなわち、図8に電動機の簡易
等価回路を示す。図8において、Iは1次電流、ILは
負荷電流、I0 は励磁電流、Eは電動機の1次電圧、R
1は1次巻線抵抗、R2は2次巻線抵抗、Xは漏れリア
クタンス、Sは電動機の滑り、g0 は励磁コンダクタン
ス、b0 は励磁サセプタンスである。鉄損は励磁コンダ
クタンスg0 によって生じ、銅損は1次巻線抵抗および
2次巻線抵抗R1+R2によって生じる。鉄損をPiと
すると、
【数1】Pi=E2 g0 ………(1) であり、銅損をPcとすると、
【数2】 Pc=(IL)2 (R1+R2)………式(2) である。
【0014】図8の電動機の簡易等価回路に従えば、励
磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb0 、1次巻
線抵抗R1、2次巻線抵抗R2は一定の値を持ち、電動
機容量により違った値をとるが、g0 ,b0 を抵抗、リ
アクタンスと考えると各々の定数の比率は電動機容量に
よらずほぼ一定であり、一般的な値も知られている。従
って、前記式(1)より鉄損を求めることができる。ま
た、負荷電流ILを求めるためには、1次電流Iと励磁
電流I0 が解れば可能であり、前記のようにg0 ,b0
は測定により求めることができるか、または一般的な値
が知られているため、励磁電流I0 は1次電圧Eにより
簡単に求めることができる。図9の各電流のベクトル図
の関係をみる通り、負荷電流ILを求めることは可能で
あり、前記式(2)により銅損Pcを求めることができ
る。
【0015】本発明は、このようにして求めた鉄損と銅
損を比較器によって比較し、電圧制御信号を得て、これ
をPWM発生器によって駆動されるインバータ装置等の
制御手段に入力し、この制御手段によって電動機の供給
電圧を制御する。すなわち、銅損Pcが鉄損Piよりも
大きい場合には、電圧制御信号が上昇し、これに伴い電
動機供給電圧が上昇する。一方、銅損Pcが鉄損Piよ
りも小さい場合には、電圧制御信号が下降し、これに伴
い電動機供給電圧も下降する。その結果、銅損と鉄損が
一致する最適電圧が電動機への供給されることになり、
電動機の損失が最小になり、省エネルギー運転が可能に
なる。
【0016】すなわち、図10において、P1点での銅
損Pcは線分P0P1の長さの2乗に比例し、P2での
銅損は線分P0P2,P3での銅損は線分P0P3の長
さの2乗に比例し、P0P1での銅損よりも多いのは明
らかである。また、鉄損はPfであり、P1で運転して
いるときにPf=Pcなので、もしもP2やP3での運
転状態に陥ったとしても、必ずPf<Pcとなる。本発
明は、Pf<Pcの時に供給電圧を上昇させるように動
作するので、電動機が失速停止することはなく、下限電
圧の制限は0でない限りの電圧でよく、理想的な省エネ
運転を実現できる。
【0017】請求項2の発明は、電動機に供給される基
本波瞬時電圧に比例した信号eを出力する手段と、電動
機電流の瞬時値iを検出する電流検出器4とを備えてい
る。また、前記信号eを入力する入力端子bと、電動機
の励磁コンダクタンスに合わせて設定される可変コンダ
クタンス13を介して前記信号eが入力される入力端子
aとを備えた乗算器7と、前記乗算器7の出力側に接続
された平均値回路9を備えている。また、前記信号eを
入力する積分回路8と、一方の入力端子が、前記積分回
路8の出力側に電動機の励磁サセプタンスに合わせて設
定される可変サセプタンス14を介して接続され、他方
の入力端子が前記可変コンダクタンス13の出力側に接
続された第1の加算器16と、マイナス側の入力端子に
第1の加算器16の出力が接続され、プラス側の入力端
子には電動機電流を検出する電流検出器4が接続された
第2の加算器と、第2の加算器の出力側に順次接続され
た2乗算器11、平均値回路10および電動機の1次巻
線と2次巻線の抵抗値に合わせて設定される可変抵抗1
5とを備えている。さらに、前記平均値回路9の出力側
が接続された鉄損側の入力端子aと、前記可変抵抗の出
力側が接続された銅損側の入力端子bを有し、鉄損側入
力端子aから入力された鉄損値と銅損側入力端子bから
入力された銅損値とを比較する比較器12と、前記比較
器12からの出力に従い、電動機供給電圧を制御する制
御手段を備えている。
【0018】このような構成を有する請求項2の発明に
おいては、前記信号eと、この信号eを可変コンダクタ
ンス13で分圧した信号ig0 とを乗算器によって乗算
しig0 ・eを得た後、このig0 ・eを平均化して
損Piを求め、この鉄損Piを前記比較器12の鉄損側
の入力端子に入力する。また、積分回路によって得られ
た前記信号eの90°位相の遅れた信号e′を可変サセ
プタンス14によって分圧して得られた信号ib0 と、
前記可変コンダクタンス13によって得られた信号ig
0 とを加算器16で加算してi0 を得て、この信号i0
と電流検出器で得られた電動機電流iを第2の加算器1
7でi−i0 の加算を行い、得られた信号iLを2乗算
器11で2乗してiL2 を得た後、平均値回路10で平
均化し、更に可変抵抗値を乗算することにより銅損Pc
を得る。
【0019】請求項3の発明は、前記請求項1の発明の
主要な部分をマイクロコンピュータなどの電子計算機の
プログラムによって実現するものであり、電動機の励磁
コンダクタンス、励磁サセプタンス及び1次巻線と2次
巻線の抵抗値を記憶する手段と、電動機に供給される基
本波瞬時電圧に比例した信号eを前記記憶手段から読み
込んだコンダクタンスに基づいて処理することにより
を算出する手段と、電動機に供給される基本波瞬時電
圧に比例した信号eと電動機電流の瞬時値iとを、前記
記憶手段から読み込んだコンダクタンス、サセプタンス
及び抵抗値に基づいて処理することにより銅損を算出す
る手段と、前記銅損算出手段によって得られた銅損値と
鉄損算出手段によって得られた鉄損値とを比較する手段
とを備えている。そして、これら銅損算出手段、鉄損算
出手段及び銅損値と鉄損値の比較手段がコンピュータの
演算処理によって実現される。
【0020】すなわち、表1は市販の電動機について確
定数を測定したものを示す。この表ではR1+R2を1
としたときの各定数を比率で表したものであり、電動機
はその容量や極数により若干の違いはあるが、この表の
値と大差なく作られている。この表のデータをマイクロ
コンピューターのメモリー内部に記憶させておけば、電
動機容量などがわからなくともPfやPcの比率に関し
ては分かり、電動機容量に関係なく一律のデータにおい
てPc=Pfとなるように動作する。これは実際の電動
機でもほぼPc=Pfとなる特徴を持っており、電動機
容量が変わるごとに必ず定数設定をしなければならない
従来技術のわずらわしさを解消している。このように本
発明では、汎用電動機の各定数比率を用い、電動機の容
が変わるごとに定数の設定をし直す必要のない利点も
ある。
【0021】
【表1】 請求項4の発明は、前記請求項3の発明において、前記
鉄損算出手段が、電動機に供給される基本波瞬時電圧に
比例した信号eを前記記憶手段から読み込んだコンダク
タンスに基づいて処理することにより補償前の鉄損を算
出する手段と、電動機の鉄損が供給電圧の1.6乗から
1.8乗に比例することを利用して、算出した鉄損を供
給電圧により補償するための鉄損補償データを記録した
補償テーブルと、前記補償前の鉄損算出手段から出力さ
れた鉄損と前記補償テーブルとのデータに基づいて供給
電圧により補償された鉄損を算出するための手段とを備
えていることを特徴とする。すなわち、鉄損=銅損の動
作はあくまでも簡易等価回路に基づき行うのが普通の手
段であり、励磁コンダクタンスg0 が一定の値と考えて
よいが、実際の電動機では供給電圧を高くしていたと
き、磁束の飽和現象が確認され始めたころから励磁電流
の増加が目立つようになる。そのため鉄損は供給電圧の
2乗に比例した値より増加傾向になり、この現象を簡易
等価回路では表現できない。しかし、この請求項4の発
明によれば、算出した鉄損値が電動機の供給電圧に従っ
て補正されることになるので、より精度の高い制御が可
能になる。
【0022】請求項5の発明は、比較器の比較結果にし
たがつて電動機供給電圧を制御する手段が、インバータ
装置であることを特徴とする。このような請求項5の発
明によれば、電動機に対する供給電圧並びに周波数の制
御が簡単に実施でき、実用性が高い利点がある。
【0023】なお、本発明のインバータ装置としては、
交流電力を入力して交流電力を出力するもの以外に、直
流電力を入力して交流電力を出力するものも採用するこ
とができる。さらに、PWMインバータに限らず、他の
インバータを使用した電圧制御装置や、インバータを使
用しない電源電圧制御方式による電動機の制御装置にも
適用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】(1)第1の実施形態 (1−1)第1実施形態の構成 図1に本発明をインバータ装置に応用した例を示す。図
1において、1は交流電力を直流電力に変換する整流
器、2は直流平滑用のコンデンサ、3は直流電力をスイ
ッチ制御し交流電力に変換する逆変換装置であり、整流
器1から逆変換装置3でインバータ装置の主回路を横成
している。逆変換装置3はPWM発生器6で駆動され、
電動機5に供給される電圧Eは、直流平滑用コンデンサ
2に充電されている電圧とPWM発生器6で発生する信
号PWMで決定される。
【0025】PWM発生器6は、周波数設定信号FRQ
および電圧設定信号VLEVELによって決定されるP
WM信号PWMと、電動機に供給される基本波瞬時電圧
に比例した信号eとを発生する。ここで電動機供給電圧
Eは電圧設定信号VLEVELに比例し、周波数fは周
波数設定信号FRQに比例する構成になっている。すな
わち、電圧設定信号VLEVELが上昇するとこれに比
例して電動機供給電圧Eは上昇し、またPWM発生器6
からの出力信号eの振幅も比例して大きくなる。
【0026】また、電動機に供給される基本波瞬時電圧
に比例した信号eについては、理論的には基本波瞬時電
圧波形などの実データを用いることが望ましいが、実際
の機器において200Vや400Vの電圧を直接演算す
る部品がなく、電圧信号や電流信号は演算結果がオーバ
ーフローしないように、いったん任意の1/mの倍率で
レベルを調整してから演算するのが普通である。こうし
た場合は後の処理で電圧の瞬時値に1/mが乗じてある
ことを加味し、演算値をm倍などしてから処理するのが
一般的である。そこで、本発明においては、この任意の
倍率1/mを乗じた信号と同一の波形(または任意の倍
率1/mを乗じた信号と等しい信号を得られる部分の信
号)のことを電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例
した信号eと呼ぶ。
【0027】PWM発生器6の電圧出力信号eの出力側
には、入力端子a,bを備えた乗算器7と、積分回路8
とが接続されている。乗算器7の入力端子b側には前記
電圧信号eが直接入力され、入力端子a側には可変コン
ダクタンス13を介して前記電圧信号eが入力されてい
る。乗算器7の出力側には平均値回路9が接続されて、
この平均値回路9の出力側が比較器12の鉄損側の入力
端子aに接続されている。
【0028】前記積分回路8の出力側は、可変サセプタ
ンス14を介して第1の加算器16の入力側に接続され
ている。第1の加算器16のもう一方の入力側には、前
記可変コンダクタンス13の出力側が接続されている。
第1の加算器16の出力は、第2の加算器のマイナス側
の入力端子に接続されている。第2の加算器17のプラ
ス側の入力端子には、逆変換装置3の出力電流を検出す
る電流検出器4が接続されている。この第2の加算器の
出力側には、2乗算器11、平均値回路10および可変
抵抗15が順次接続され、この可変抵抗15の出力側が
前記比較器12の銅損側の入力端子bに接続されてい
る。
【0029】(1−2)第1実施形態の作用 前記のような構成を有する本実施形態の作用を具体的に
説明する。
【0030】(a) 基本的な動作 本実施形態の装置においては、交流電源から供給された
交流電力は整流器1によって直流電力に変換され、平滑
用コンデンサ2によって平滑化された直流電力は逆変換
装置3に供給され交流電力に変換される。この場合、逆
変換装置3はこれに接続された制御用のPWM発生器6
からの周波数指令FRQおよび電圧設定信号VLEVE
Lに基づいて、電動機5に対して所定の周波数fならび
に電圧Eを供給する。この場合、本実施例形態において
は、電圧設定信号VLEVELは電動機の銅損Pcと鉄
損Piとが一致するように決定される。
【0031】(b) 設定値の決定 すなわち、電動機の銅損Pcと鉄損Piとを決定する要
因となる励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb
0 および1次巻線と2次巻線の抵抗値R1,R2につい
ては、本装置を取り付ける電動機に合わせて所定の値に
設定しておく。この場合、前記のように励磁コンダクタ
ンスg0 および励磁サセプタンスb0 については一般的
な値が知られているので、その値を入力するか、取り付
ける対象となる電動機についてこれらの値を計測して、
その計測値に合わせて可変コンダクタンス13および可
変サセプタンス14の値を設定する。また、可変抵抗1
5の抵抗値R1+R2は、本装置を取り付ける電動機を
実際に計測して求めても良いし、電動機の設計値に合わ
せて設定しても良い。
【0032】(c) 鉄損の検出 前記のようにして、本装置を取り付ける電動機に合わせ
て、励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb0 、
巻線抵抗R1+R2が設定された状態において、PWM
発生器6から電圧信号eを取り出して、乗算器7のb端
子、可変コンダクタンス13および積分回路8印加す
る。また、電流検出器4により検出した逆変換装置3の
出力電流(電動機電流)を第2の加算器のプラス側の端
子に印加する。すると、図1中に示すように、本装置の
各部にはi0 ,ig0 ,ib0 ,i,iLが流れること
になるが、これらはI0 ,Ig0 ,Ib0 ,I,ILの
瞬時値である。可変コンダクタンス13を流れる電流i
g0 は信号eと同じ波形であり、その振幅はg0 により
決まるため、可変コンダクタンス13の設定ポイントを
g0 の定数とみなすと、信号eから可変コンダクタンス
13で分圧した結果ig0 が得られる。そこで、このi
g0 を乗算器7のb端子に入力し、同じくa端子に入力
された信号eと乗算して、e・ig0 を求める。
【0033】このようにして得られたe・ig0 は鉄損
Piの瞬時値piであるため、平均値回路9を通し、e
・ig0 AVEつまり鉄損Piが求められる。
【0034】(d) 銅損の検出 一方、ib0 はインダクタンス成分(可変サセプタンス
14)に流れる電流であり、信号eから90°位相が遅
れるため、まず信号eの位相を90°遅らせる積分回路
8を通し、可変サセプタンス14の設定ポイントをb0
の定数とみなすと、可変サセプタンス14で分圧した結
果ib0 が得られる。第1の加算器16では、可変コン
ダクタンス13からのig0 と、可変サセプタンス14
からのib0 が加算され、i0 が求められる。同時に電
流検出器4で検出した出力電流Iの瞬時値iと第1の加
算器16で得られた−i0 を第2の加算器17で加算
し、ILの瞬時値iLを求める。
【0035】銅損Pcを求めるためには、前記のように
して得られたiLに基づき、2乗算器11により、まず
(iL)2 を求め、平均値回路10により(iL)2 A
VE、つまり(IL)2 を求める。前記のようにして設
定した可変抵抗15の設定値から、可変抵抗15の設定
ポイントをR1+R2の定数とみなすと、(IL)2か
ら(IL)2 (R1+R2)、つまり銅損Pcが求めら
れる。
【0036】(e) 鉄損と銅損の比較 求められた銅損Pcと鉄損Piを比較器12で比較し、
電圧調整レベルVLEVELを得てPWM発生器6に入
力する。すなわち、Pc>Piのとき電圧調整レベルV
LEVELが上昇し、電動機供給電圧が上昇する。Pc
<Piの時は逆に電動機供給電圧が下降する。なお、本
実施形態では、比較器12は動作安定のため遅れ要素1
2aを付加してある。
【0037】(1−3)第1実施形態の効果 以上の通り、第1実施形態によれば、電動機の負荷条件
によらず、電動機供給電圧が上昇すると銅損Pcが減
少、鉄損Piが増加し、逆に電動機供給電圧が下降する
と銅損Pcが増加、鉄損Piが減少するため、電動機の
負荷条件によらず常にPc=Piとなる電圧を電動機に
供給できる。
【0038】(2)第2の実施の形態 図2に、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形
態は、前記第1実施例において使用した積分回路、加算
器、乗算器などの素子に変えて、マイクロコンピュータ
等を使用してデータ処理を行うことにより、鉄損と銅損
が同一となるようにPWMインバータを制御するもので
ある。
【0039】なお、この第2実施形態はコンピュータ上
に実現され、実施形態の各機能は、所定の手順(プログ
ラム)がこのコンピュータを制御することで実現され
る。
【0040】本明細書における各「手段」あるいは
「部」は、実施形態の各機能に対応する概念的なもの
で、必ずしも特定のハードウェアやソフトウェア・ルー
チンに1対1には対応しない。同一のハードウェア要素
が、場合によって異なった部を構成する。例えば、コン
ピュータは、ある命令を実行するときにある部となり、
別の命令を実行するときは別の部となりうる。また、一
つの部が、わずか1命令によって実現される場合もあれ
ば、多数の命令によって実現される場合もある。したが
って、本明細書では、以下、実施形態の各機能を有する
仮想的回路ブロック(部)を想定して実施形態を説明す
る。また、本実施形態における各手順の各ステップは、
その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時
に実行し、また異なった順序で実行してもよい。
【0041】また、本発明をコンピュータのソフトウェ
アとして実現した場合には、そのソフトウェアを磁気あ
るいは光などの記録媒体に記録しておき、これを個々の
設計者が読み出して自己のコンピュータによって実行す
ることも、本発明の実施形態の一つである。
【0042】(2−1)第2実施形態の構成 この第2実施例において、交流電源に接続された整流器
1、平滑用コンデンサ2、逆変換装置3、電流検出手段
4、電動機5およびPWM発生器6の部分は、前記第1
実施形態と同様である。このPWM発生器6には、マイ
クロコンピュータ20によって実現される最適電圧演算
手段30が接続されている。すなわち、マイクロコンピ
ュータは、CPU21、メインメモリ22、RAMやR
OMなどの記憶装置23、データやコマンド入力用のキ
ーボード、マウス、タッチセンサー等の入力装置24、
ディスプレイやプリンタなどの出力装置25、PWM発
生器6や逆変換装置3などのハードウェアとの間でデー
タを授受するI/O部26を備えており、前記最適電圧
演算手段30は、このマイクロコンピュータ上で実行さ
れるプログラムとして実現されている。
【0043】最適電圧演算手段30は、銅損演算部3
1、鉄損演算部32、これらによって算出された銅損値
Pcと鉄損値Piとを比較して、その結果に従いPWM
発生器6に電圧設定信号VLEVELを出力する損失比
較部33を備えている。前記銅損演算部31は、瞬時値
電流iLの算出部31a、瞬時値電流iLの2乗積算部
31b、平均化処理部31c、および抵抗乗算部31d
を備えている。一方、鉄損演算部32は、鉄損の瞬時電
力の算出部32a、瞬時電力の積算部32b、平均化処
理部32c、およびデータ参照部32dを備えている。
また、最適電圧演算手段30は、銅損演算部31と鉄損
演算部32とが、交流の1サイクル分の瞬時値を算出
し、積算したことを判定するサンプリングカウント部3
4を備えている。
【0044】前記記憶装置23には、一般の電動機等で
あらかじめ値の判っている励磁コンダクタンスg0 と励
磁サセプタンスb0 、および鉄損補償データを記憶して
おく。ここで、鉄損補償データは、鉄損補償データは、
電動機供給電圧Eと供給電圧による鉄損Piの変化の様
子をテーブルにしたものであり、電圧Eの1.6乗〜
1.8乗に比例したカーブをもつテーブルである。図5
はこのテーブルの一例を示すグラフで、1.6乗〜1.
8乗の平均をとって、1.7乗としたとしたカーブであ
る。この供給電圧と補償値のデータは、コンピュータの
ROM内に記憶させておいたり、アナログ回路の折れ線
回路によって作成することができる。また、本装置を電
動機に取り付けるに当たり、その電動機の1次巻線と2
次巻線の抵抗値R1+R2を入力装置24から入力し、
記憶装置23に記憶させる。なお、前記励磁コンダクタ
ンスg0 と励磁サセプタンスb0 についても、ROMな
どで構成された記憶装置23に一般的な値をあらかじめ
記憶させておく以外に、本装置を取り付ける電動機に特
有の値を入力装置24から入力することもできる。
【0045】(2−2)第2実施形態の作用 前記のような構成を有する第2実施形態の作用を、図3
および図4のフローチャートに従って説明する。なお、
図示のフローチャートでは、図に記載したように、鉄損
算出用のステップと銅損算出用のステップが入り混じっ
ているが、両者の演算の順序はこれに限定されるもので
はない。
【0046】(ステップ1)…電圧制御信号eの読み込
み マイクロコンピュータは、まず、電動機5に供給されて
いる電圧の瞬時値を例えばPWM発生器6の出力として
I/O部26を通じて入力し、これを電圧制御信号eと
する。
【0047】(ステップ2)…電圧制御信号e′の読み
込み 同様にして、電圧制御信号eに対して90°遅れの瞬時
波形e′を読み込む。この90°遅れの瞬時波形e′
は、図1に示した積分回路8などによって得ることがで
きる。このようにして得られた電圧制御信号e,e′を
使用し、図2の瞬時値電流iLの算出部31aによって
ステップ3〜7の銅損算出ステップが実行される。
【0048】(ステップ3,4)…銅損算出ステップ 一般の電動機等であらかじめ値の解っている励磁コンダ
クタンスg0 と励磁サセプタンスb0 を記憶装置23か
ら読み込む。読み込んだg0 とb0 を前記電圧制御信号
e,e′と乗算することにより、e・g0 とe′・b0
を求める。この値は励磁コンダクタンスg0 に流れる電
流の瞬時値ig0 および励磁サセプタンスb0 に流れる
電流の瞬時値ib0 である。
【0049】(ステップ5)…銅損算出ステップ これらの電流の瞬時値ig0 とib0 を加算して、励磁
電流の瞬時値i0 を求める。
【0050】(ステップ6,7)…銅損算出ステップ 電流検出器4より電動機電流の瞬時値iを検出し、先の
励磁電流の瞬時値i0に基づいて、i−i0 を算出し、
瞬時値電流iLとする。
【0051】(ステップ8)…鉄損算出ステップ 一方、鉄損演算部32における瞬時電力算出部32aに
おいては、まず、ステップ1で読み込んだ電圧制御信号
eと、記憶装置23から読み込んだ励磁コンダクタンス
g0 からe2 ・g0 を算出し、これを鉄損の瞬時電力と
し、PiAに加算する。PiAは鉄損の瞬時電力の積算
値であり、後に交流1サイクルが終了した時点で平均化
し、鉄損Piを求める目的のデータである。
【0052】(ステップ9)…銅損算出ステップ 瞬時値電流の2乗積算部31bにより、前記ステップ7
で得られた瞬時値電流iLに基づいて(iL)2 を算出
し、IL2 Aに加算する。IL2 Aは瞬時値電流iLの
2乗の積算値であり、後に交流1サイクルが終了した時
点で平均化し(IL)2 を求める目的のデータである。
【0053】(ステップ10,11)…サンプリング処
理のカウント 以上のサンプリング処理を、交流1サイクルに対して少
なくとも10回以上の充分な回数行う。また、交流1サ
イクル間に行ったサンプリング数はNとしてカウントし
ておく。この場合、交流1サイクル分のサンプリングが
終了したか否かの判定(ステップ10のYESまたはN
Oの判定)およびサンプリング回数Nのカウント処理
は、サンプリングカウント部34が行い、交流1サイク
ル分が終了していない場合には、ステップ1に戻り、鉄
損の瞬時電力PiAおよび瞬時値電流の2乗値(iL)
2 を算出し、積算値に加算する処理を繰り返す。一方、
交流1サイクル分が終了した後は、図4に示すステップ
12に進む。
【0054】(ステップ12)…鉄損算出ステップ サンプリングが交流1サイクル間終了したなら、次に、
鉄損演算部32の平均化処理部32cにおいて、鉄損の
瞬時電力の積算値をカウント数によって平均化したPi
A/Nを算出する。ところで、実際の鉄損は電動機の供
給電圧によって変化するものであるから、前記のような
演算によって得られた鉄損の瞬時電力の平均値をそのま
ま採用するよりも、このような変化を加味した方がより
精度の高い制御が行える。すなわち、鉄損=銅損の動作
はあくまでも簡易等価回路に基づき行うのが普通の手段
であり、励磁コンダクタンスg0 が一定の値と考えても
差し支えない、この場合、供給電圧に比例して励磁電流
が変化すると考え、鉄損は供給電圧の2乗に比例する。
しかしながら、鉄損はヒステリシス損失と渦電流損失に
大分され、そのうちヒステリシス損失は、鉄心通過磁束
が大きくなると、より増加する傾向にある。そのため実
際の電動機では供給電圧を高くしていたとき、磁束の飽
和現象が確認され始めたころから励磁電流の増加が目立
つようになる。そのため鉄損は供給電圧の2乗に比例し
た値より増加傾向になり、この現象を簡易等価回路では
表現できない。この現象のため実際の電動機で鉄損=銅
損の制御を行う場合は、供給電圧に応じて鉄損の値を補
償するデータ群を持っている方が、省エネの性能がよく
なる。そこで、本実施形態においては、データ参照部3
2dにより記憶装置23に格納されていた電動機供給電
圧Eに対応した鉄損補償データを読み込み、この補償デ
ータとPiA/Nとを乗算し、PiA/Nを実際の電動
機の鉄損に近似させたデータPiを求める。
【0055】(ステップ13)…銅損算出ステップ 次に、銅損演算部31の平均化処理部31cにおいて、
前記のようにして得られたIL2 Aをサンプリングカウ
ント数Nで除算することにより、IL2 A/Nを算出
し、平均化された(IL)2 を得る。
【0056】(ステップ14)…銅損算出ステップ 前記のようにして得られた(IL)2 に基づいて、抵抗
乗算部31dにより、(IL)2 ・(Rl+R2)を算
出する。これは銅損Pcである。
【0057】(ステップ15)…銅損と鉄損の比較処理 次に、損失比較部23において、銅損Pc−鉄損Piを
演算し、値が正ならば電圧設定信号VLEVELの出力
電圧レベルを上昇させる信号をPWM発生器6に出力
し、値が負ならば電圧設定信号VLELELの出力電圧
レベルを下降させる信号を出力する。ここで、出力出力
電圧レベルの上昇・下降の速度は、ある一定の速度かま
たは、Pc−Piの関数としてもよい。その結果、前記
第1実施形態と同様に、PWM発生器6によって逆変換
装置3による電動機供給電圧を最適電圧に制御すること
ができる。
【0058】(ステップ16)前記のようにして、PW
M発生器6に電圧設定信号を出力した後は、1サイクル
に渡り積算した値PiIA,IL2 A,Nを0クリアし
て、次の交流1サイクルのサンプリングを行う。
【0059】(2−3)第2実施形態の作用 以上の通り、第2実施形態によれば、銅損と鉄損の算出
をコンピュータのプログラムを利用して行うことができ
るので、システムの単純化や信頼性の向上が可能とな
る。また、本装置を取り付ける電動機の種類に応じた励
磁コンダクタンス、励磁サセプタンスあるいは巻線抵抗
などの定数を記憶装置内に格納しておくことにより、例
えば、電動機の型式などを指定するだけの作業で適切な
値を設定することができ、より精度が高く、しかも取扱
の簡単な電圧制御装置を得ることができる。また、鉄損
補償テーブルを記憶しておき、これに従って算出された
鉄損を補償することにより、より精度の高い鉄損値を得
ることができ、最適電圧を確実に算出できる利点もあ
る。
【0060】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、鉄損と銅
損とを常時一定となるように、PWMインバータの出力
電圧を制御することが可能になるので、電動機の省エネ
ルギー運転に優れた効果を発揮する電圧制御装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧制御装置の第1実施の形態を
示す回路図。
【図2】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態を
示すブロック図。
【図3】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の前半部分を示すフローチャート。
【図4】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の後半部分を示すフローチャート。
【図5】鉄損の電圧補償テーブルの一例を示すグラフ。
【図6】供給電圧と損失特性を示すグラフ。
【図7】従来の電動機の省エネルギー制御を示す回路
図。
【図8】誘導電動機の簡易等価回路図。
【図9】電動機の電流ベクトル図。
【図10】電動機のハイランドの円線図。
【符号の説明】 1…整流器 2…平滑用コンデンサ 3…逆変換装置 4…電流検出器 5…電動機 6…PWM発生器 7…乗算器 8…積分回路 9…平均値回路 10…平均値回路 11…2乗算器 12…比較器 13…可変コンダクタンス 14…可変サセプタンス 15…可変抵抗 20…マイクロコンピュータ 30…最適電圧演算手段 31…銅損演算部 32…鉄損演算部 33…損失比較部 34…サンプリングカウント部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月28日(1999.12.
28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電圧制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電動機(以下
電動機と呼ぶ)の省電力(以下省エネルギーと呼ぶ)運
転を目的とした電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動機はその性質から、負荷の大きさに
よらずほぼ一定量発生する電力損失である鉄損と、負荷
の大きさによって変化する電力損失である銅損が発生す
るが、鉄損と銅損がほぼ同じ値になったときに、その電
動機の効率が最高となることが知られている。すなわ
ち、一定負荷時における電動機への印加電圧に対する鉄
損と銅損の関係は、図6に示すようになる。この図から
明らかなように、鉄損と銅損が等しくなる電圧V0 のと
きが損失が最小になる。この場合、負荷が変化すれば、
銅損も変化することから、最適電圧V0も変化する。
【0003】そのため、従来から、省エネルギー制御イ
ンバータとして、図7に示すような装置が提案されてい
た。この従来技術では、交流電源50からの交流電力は
コンバータ51により直流電力に変換された後、平滑コ
ンデンサ52により脈動分を除去される。この平滑され
た直流電力はトランジスタまたはGTOなどの半導体ス
イッチで構成されているPWMインバータ53に与えら
れる。PWMインバータ53はPWM発生器54からの
パルス幅変調信号によって制御される。
【0004】PWM発生器54は、周波数指令fおよび
制御電圧Vrに基づいてPWMインバータ53を駆動
し、直流入力を可変電圧・可変周波数の交流出力に変換
して、電動機55を所望速度で運転させる。この場合、
PWM発生器54は、その制御部に電力計算部56およ
び電圧演算部57を備えており、電力計算部56におい
て出力電圧V1と出力電流I1から電力Pを計算し、電圧
演算部57においてこの電力Pと周波数fから最大効率
になるVrを演算する。PWM発生器54は、PWMイ
ンバータ53を制御して、電動機55にこの周波数fと
最適電圧Vrを供給する。これによって、従来技術で
は、供給周波数や負荷にかかわりなく、電動機55を最
大効率で運転することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、現在、
電動機の運転電力を検出し、その電力において銅損と鉄
損がほぼ同じになるような供給電圧を供給する装置は存
在し、このような従来技術は電力を検出して電圧を制御
するものであるが、その原理上さまざまの欠点を有す
る。まず、図10に電動機の簡易等価回路から求めたハ
イランドの円線図を示す。これは線分OP1が無負荷
時、線分OP3が軸拘束時の電流ベクトルとなり、無負
荷から拘束時までの電流ベクトルの先端の軌跡を描いた
ものである。縦軸は供給電圧のベクトルの向きと同じで
ある。つまり縦軸の量は電動機供給電力に比例する。こ
の図10おいて、円線図の半径は供給電圧により決定す
る。
【0006】仮に、従来技術において、電動機の最も効
率のよくなる点P1で運転していたとする。次に負荷ト
ルクの急増がありPM以上の電力が必要になったとき
は、供給電圧を速やかに上昇させ円線図の半径を増せば
よいのであるが、実際の装置では、ハンチングと呼ばれ
る異常発振を抑えるため、供給電圧の変化に遅れ時間要
素を持たせており、急激な負荷トルク増加に応じた適正
電圧を瞬時に供給することができず、P1からPMの点
を超えてP2の点に向かっていく。そのため電動機は滑
りが大きくなり、ついにP3の点での運転に陥ってしま
う。本来負荷トルクが増加してP1の点での供給電圧よ
り高い供給電圧が必要なのであるが、電動機の入力電力
がP1より小さくなってしまうため、P1での供給電圧
より低い電圧を供給するべく動作してしまい、省エネ運
転ができなくなり、しかも電動機は失速停止してしま
う。
【0007】これを防止するために、従来技術では、定
格トルクより大きなトルク時の入力電力よりPMが大き
くなるように、円線図の半径の最小、つまり供給電圧の
下限を決定している。そのため軽負荷時でも下限電圧の
制約のため、最適な供給電圧を供給できず、理想的な省
エネ効果を経ることができなかった。
【0008】しかしながら、実際に電動機を運転する場
合に、運転中の電動機に発生する銅損は負荷電流の二乗
に比例して変化し、電圧変動率に依存して変動するもの
であり、また、鉄損は同一電圧では周波数に反比例する
ことから、負荷電流や電圧変動率あるいは周波数を常時
検出して、鉄損および銅損を常に等しくなるように電動
機の供給電圧を制御することは難しかった。
【0009】また、鉄損および銅損の大きさは、電動機
の1次巻線と2次巻線の抵抗、励磁コンダクタンスや励
磁サセプタンス、漏れリアクタンスによって左右される
が、これらは電動機の容量、定格、種類によって異なる
ものであるから、すでに設置されている電動機に対し
て、鉄損と銅損が同一の値となるように制御することが
できる装置を設けることは困難であった。
【0010】本発明は、前記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであって、その目的は、
供給電圧を変化させて電動機を制御するに当たって、鉄
損と銅損を可能な限り一致させて駆動することにより、
電動機の高効率運転が可能で、電動機の省エネルギー運
転に貢献することのできる電圧制御装置を提供すること
にある。特に、本発明は、従来技術で問題となっていた
失速停止の防止に必要とされていた下限電圧の制限をな
くし、理想的な省エネ効果を経ることを特徴とする。
【0011】本発明の他の目的は、マイクロコンピュー
タ等の電子計算機を使用することにより、より簡単な構
成で、前記のような鉄損と銅損を常に一致させて電動機
を駆動することを可能とした電圧制御装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、電動機に供給される基本波瞬
時電圧に比例した信号eを出力する手段と、電動機電流
の瞬時値iを検出する電流検出器4と、前記信号eを入
力する入力端子bと、電動機の励磁コンダクタンスに合
わせて設定される可変コンダクタンス13を介して前記
信号eが入力される入力端子aとを備えた乗算器7と、
前記乗算器7の出力側に接続された平均値回路9と、前
記信号eを入力する積分回路8と、一方の入力端子が、
前記積分回路8の出力側に電動機の励磁サセプタンスに
合わせて設定される可変サセプタンス14を介して接続
され、他方の入力端子が前記可変コンダクタンス13の
出力側に接続された第1の加算器16と、マイナス側の
入力端子に第1の加算器16の出力が接続され、プラス
側の入力端子には、電動機電流を検出する電流検出器4
が接続された第2の加算器と、第2の加算器の出力側に
順次接続された2乗算器11、平均値回路10および電
動機の1次巻線と2次巻線の抵抗値に合わせて設定され
る可変抵抗15と、前記平均値回路9の出力側が接続さ
れた鉄損側の入力端子aと、前記可変抵抗の出力側が接
続された銅損側の入力端子bを有し、鉄損側入力端子a
から入力された鉄損値と銅損側入力端子bから入力され
た銅損値とを比較する比較器12と、前記比較器12か
らの出力に従い、電動機供給電圧を制御する制御手段を
備え、前記信号eと、この信号eを可変コンダクタンス
13で分圧した信号ig0 とを乗算器によって乗算しi
g0 ・eを得た後、このig0 ・eを平均化して鉄損P
iを求め、この鉄損Piを前記比較器12の鉄損側の入
力端子に入力し、積分回路によって得られた前記信号e
の90°位相の遅れた信号e′を可変サセプタンス14
によって分圧して得られた信号ib0 と、前記可変コン
ダクタンス13によって得られた信号ig0とを加算器
16で加算してi0 を得て、この信号i0 と電流検出器
で得られた電動機電流iを第2の加算器17でi−i0
の加算を行い、得られた信号iLを2乗算器11で2乗
してiL2 を得た後、平均値回路10で平均化し、更に
可変抵抗値を乗算することにより銅損Pcを得ることを
特徴とする。
【0013】このような構成を有する請求項1の発明の
作用は次の通りである。すなわち、図8に電動機の簡易
等価回路を示す。図8において、Iは1次電流、ILは
負荷電流、I0 は励磁電流、Eは電動機の1次電圧、R
1は1次巻線抵抗、R2は2次巻線抵抗、Xは漏れリア
クタンス、Sは電動機の滑り、g0 は励磁コンダクタン
ス、b0 は励磁サセプタンスである。鉄損は励磁コンダ
クタンスg0 によって生じ、銅損は1次巻線抵抗および
2次巻線抵抗R1+R2によって生じる。鉄損をPiと
すると、
【0014】
【数1】Pi=E2 g0 ………(1) であり、銅損をPcとすると、
【0015】
【数2】 Pc=(IL)2 (R1+R2)………式(2) である。
【0016】図8の電動機の簡易等価回路に従えば、励
磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb0 、1次巻
線抵抗R1、2次巻線抵抗R2は一定の値を持ち、電動
機容量により違った値をとるが、g0 ,b0 を抵抗、リ
アクタンスと考えると各々の定数の比率は電動機容量に
よらずほぼ一定であり、一般的な値も知られている。従
って、前記式(1)より鉄損を求めることができる。ま
た、負荷電流ILを求めるためには、1次電流Iと励磁
電流I0 が解れば可能であり、前記のようにg0 ,b0
は測定により求めることができるか、または一般的な値
が知られているため、励磁電流I0 は1次電圧Eにより
簡単に求めることができる。図9の各電流のベクトル図
の関係をみる通り、負荷電流ILを求めることは可能で
あり、前記式(2)により銅損Pcを求めることができ
る。
【0017】本発明は、このようにして求めた鉄損と銅
損を比較器によって比較し、電圧制御信号を得て、これ
をPWM発生器によって駆動されるインバータ装置等の
制御手段に入力し、この制御手段によって電動機の供給
電圧を制御する。すなわち、銅損Pcが鉄損Piよりも
大きい場合には、電圧制御信号が上昇し、これに伴い電
動機供給電圧が上昇する。一方、銅損Pcが鉄損Piよ
りも小さい場合には、電圧制御信号が下降し、これに伴
い電動機供給電圧も下降する。その結果、銅損と鉄損が
一致する最適電圧が電動機への供給されることになり、
電動機の損失が最小になり、省エネルギー運転が可能に
なる。
【0018】すなわち、図10において、P1点での銅
損Pcは線分P0P1の長さの2乗に比例し、P2での
銅損は線分P0P2,P3での銅損は線分P0P3の長
さの2乗に比例し、P0P1での銅損よりも多いのは明
らかである。また、鉄損はPfであり、P1で運転して
いるときにPf=Pcなので、もしもP2やP3での運
転状態に陥ったとしても、必ずPf<Pcとなる。本発
明は、Pf<Pcの時に供給電圧を上昇させるように動
作するので、電動機が失速停止することはなく、下限電
圧の制限は0でない限りの電圧でよく、理想的な省エネ
運転を実現できる。
【0019】また、請求項1の発明においては、前記信
号eと、この信号eを可変コンダクタンス13で分圧し
た信号ig0 とを乗算器によって乗算しig0 ・eを得
た後、このig0 ・eを平均化して鉄損Piを求め、こ
の鉄損Piを前記比較器12の鉄損側の入力端子に入力
する。また、積分回路によって得られた前記信号eの9
0°位相の遅れた信号e′を可変サセプタンス14によ
って分圧して得られた信号ib0 と、前記可変コンダク
タンス13によって得られた信号ig0とを加算器16
で加算してi0 を得て、この信号i0 と電流検出器で得
られた電動機電流iを第2の加算器17でi−i0 の加
算を行い、得られた信号iLを2乗算器11で2乗して
iL2 を得た後、平均値回路10で平均化し、更に可変
抵抗値を乗算することにより銅損Pcを得る。
【0020】請求項2の発明は、電動機の励磁コンダク
タンス、励磁サセプタンス及び1次巻線と2次巻線の抵
抗値を記憶する手段と、電動機に供給される基本波瞬時
電圧に比例した信号eを前記記憶手段から読み込んだコ
ンダクタンスに基づいて処理することにより鉄損を算出
する手段と、電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例
した信号eと電動機電流の瞬時値iとを、前記記憶手段
から読み込んだコンダクタンス、サセプタンス及び抵抗
値に基づいて処理することにより銅損を算出する手段
と、前記銅損算出手段によって得られた銅損値と鉄損算
出手段によって得られた鉄損値とを比較する手段とを備
え、これら銅損算出手段、鉄損算出手段及び銅損値と鉄
損値の比較手段がコンピュータの演算処理によって実現
され、前記比較手段の比較結果に従い両者の値が一致す
るように電動機供給電圧を制御する制御手段を備え、前
記鉄損算出手段が、電動機に供給される基本波瞬時電圧
に比例した信号eを前記記憶手段から読み込んだコンダ
クタンスに基づいて処理することにより補償前の鉄損を
算出する手段と、電動機の鉄損が供給電圧の1.6乗か
ら1.8乗に比例することを利用して、算出した鉄損を
供給電圧により補償するための鉄損補償データを記録し
た補償テーブルと、前記補償前の鉄損算出手段から出力
された鉄損と前記補償テーブルとのデータに基づいて供
給電圧により補償された鉄損を算出するための手段とを
備えていることを特徴とする。
【0021】すなわち、表1は市販の電動機について確
定数を測定したものを示す。この表ではR1+R2を1
としたときの各定数を比率で表したものであり、電動機
はその容量や極数により若干の違いはあるが、この表の
値と大差なく作られている。この表のデータをマイクロ
コンピューターのメモリー内部に記憶させておけば、電
動機容量などがわからなくともPfやPcの比率に関し
ては分かり、電動機容量に関係なく一律のデータにおい
てPc=Pfとなるように動作する。これは実際の電動
機でもほぼPc=Pfとなる特徴を持っており、電動機
容量が変わるごとに必ず定数設定をしなければならない
従来技術のわずらわしさを解消している。このように本
発明では、汎用電動機の各定数比率を用い、電動機の容
量が変わるごとに定数の設定をし直す必要のない利点も
ある。
【0022】
【表1】
【0023】請求項3の発明は、比較器の比較結果にし
たがつて電動機供給電圧を制御する手段が、インバータ
装置であることを特徴とする。このような請求項3の発
明によれば、電動機に対する供給電圧並びに周波数の制
御が簡単に実施でき、実用性が高い利点がある。なお、
本発明のインバータ装置としては、交流電力を入力して
交流電力を出力するもの以外に、直流電力を入力して交
流電力を出力するものも採用することができる。さら
に、PWMインバータに限らず、他のインバータを使用
した電圧制御装置や、インバータを使用しない電源電圧
制御方式による電動機の制御装置にも適用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】(1)第1の実施形態 (1−1)第1実施形態の構成 図1に本発明をインバータ装置に応用した例を示す。図
1において、1は交流電力を直流電力に変換する整流
器、2は直流平滑用のコンデンサ、3は直流電力をスイ
ッチ制御し交流電力に変換する逆変換装置であり、整流
器1から逆変換装置3でインバータ装置の主回路を横成
している。逆変換装置3はPWM発生器6で駆動され、
電動機5に供給される電圧Eは、直流平滑用コンデンサ
2に充電されている電圧とPWM発生器6で発生する信
号PWMで決定される。
【0025】PWM発生器6は、周波数設定信号FRQ
および電圧設定信号VLEVELによって決定されるP
WM信号PWMと、電動機に供給される基本波瞬時電圧
に比例した信号eとを発生する。ここで電動機供給電圧
Eは電圧設定信号VLEVELに比例し、周波数fは周
波数設定信号FRQに比例する構成になっている。すな
わち、電圧設定信号VLEVELが上昇するとこれに比
例して電動機供給電圧Eは上昇し、またPWM発生器6
からの出力信号eの振幅も比例して大きくなる。
【0026】PWM発生器6の電圧出力信号eの出力側
には、入力端子a,bを備えた乗算器7と、積分回路8
とが接続されている。乗算器7の入力端子b側には前記
電圧信号eが直接入力され、入力端子a側には可変コン
ダクタンス13を介して前記電圧信号eが入力されてい
る。乗算器7の出力側には平均値回路9が接続されて、
この平均値回路9の出力側が比較器12の鉄損側の入力
端子aに接続されている。
【0027】前記積分回路8の出力側は、可変サセプタ
ンス14を介して第1の加算器16の入力側に接続され
ている。第1の加算器16のもう一方の入力側には、前
記可変コンダクタンス13の出力側が接続されている。
第1の加算器16の出力は、第2の加算器のマイナス側
の入力端子に接続されている。第2の加算器17のプラ
ス側の入力端子には、逆変換装置3の出力電流を検出す
る電流検出器4が接続されている。この第2の加算器の
出力側には、2乗算器11、平均値回路10および可変
抵抗15が順次接続され、この可変抵抗15の出力側が
前記比較器12の銅損側の入力端子bに接続されてい
る。
【0028】(1−2)第1実施形態の作用 前記のような構成を有する本実施形態の作用を具体的に
説明する。 (a) 基本的な動作 本実施形態の装置においては、交流電源から供給された
交流電力は整流器1によって直流電力に変換され、平滑
用コンデンサ2によって平滑化された直流電力は逆変換
装置3に供給され交流電力に変換される。この場合、逆
変換装置3はこれに接続された制御用のPWM発生器6
からの周波数指令FRQおよび電圧設定信号VLEVE
Lに基づいて、電動機5に対して所定の周波数fならび
に電圧Eを供給する。この場合、本実施例形態において
は、電圧設定信号VLEVELは電動機の銅損Pcと鉄
損Piとが一致するように決定される。
【0029】(b) 設定値の決定 すなわち、電動機の銅損Pcと鉄損Piとを決定する要
因となる励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb
0 および1次巻線と2次巻線の抵抗値R1,R2につい
ては、本装置を取り付ける電動機に合わせて所定の値に
設定しておく。この場合、前記のように励磁コンダクタ
ンスg0 および励磁サセプタンスb0 については一般的
な値が知られているので、その値を入力するか、取り付
ける対象となる電動機についてこれらの値を計測して、
その計測値に合わせて可変コンダクタンス13および可
変サセプタンス14の値を設定する。また、可変抵抗1
5の抵抗値R1+R2は、本装置を取り付ける電動機を
実際に計測して求めても良いし、電動機の設計値に合わ
せて設定しても良い。
【0030】(c) 鉄損の検出 前記のようにして、本装置を取り付ける電動機に合わせ
て、励磁コンダクタンスg0 、励磁サセプタンスb0 、
巻線抵抗R1+R2が設定された状態において、PWM
発生器6から電圧信号eを取り出して、乗算器7のb端
子、可変コンダクタンス13および積分回路8印加す
る。また、電流検出器4により検出した逆変換装置3の
出力電流(電動機電流)を第2の加算器のプラス側の端
子に印加する。すると、図1中に示すように、本装置の
各部にはi0 ,ig0 ,ib0 ,i,iLが流れること
になるが、これらはI0 ,Ig0 ,Ib0 ,I,ILの
瞬時値である。可変コンダクタンス13を流れる電流i
g0 は信号eと同じ波形であり、その振幅はg0 により
決まるため、可変コンダクタンス13の設定ポイントを
g0 の定数とみなすと、信号eから可変コンダクタンス
13で分圧した結果ig0 が得られる。そこで、このi
g0 を乗算器7のb端子に入力し、同じくa端子に入力
された信号eと乗算して、e・ig0 を求める。このよ
うにして得られたe・ig0 は鉄損Piの瞬時値piで
あるため、平均値回路9を通し、e・ig0 AVEつま
り鉄損Piが求められる。
【0031】(d) 銅損の検出 一方、ib0 はインダクタンス成分(可変サセプタンス
14)に流れる電流であり、信号eから90°位相が遅
れるため、まず信号eの位相を90°遅らせる積分回路
8を通し、可変サセプタンス14の設定ポイントをb0
の定数とみなすと、可変サセプタンス14で分圧した結
果ib0 が得られる。第1の加算器16では、可変コン
ダクタンス13からのig0 と、可変サセプタンス14
からのib0 が加算され、i0 が求められる。同時に電
流検出器4で検出した出力電流Iの瞬時値iと第1の加
算器16で得られた−i0 を第2の加算器17で加算
し、ILの瞬時値iLを求める。銅損Pcを求めるため
には、前記のようにして得られたiLに基づき、2乗算
器11により、まず(iL)2 を求め、平均値回路10
により(iL)2 AVE、つまり(IL)2 を求める。
前記のようにして設定した可変抵抗15の設定値から、
可変抵抗15の設定ポイントをR1+R2の定数とみな
すと、(IL)2から(IL)2 (R1+R2)、つま
り銅損Pcが求められる。
【0032】(e) 鉄損と銅損の比較 求められた銅損Pcと鉄損Piを比較器12で比較し、
電圧調整レベルVLEVELを得てPWM発生器6に入
力する。すなわち、Pc>Piのとき電圧調整レベルV
LEVELが上昇し、電動機供給電圧が上昇する。Pc
<Piの時は逆に電動機供給電圧が下降する。なお、本
実施形態では、比較器12は動作安定のため遅れ要素1
2aを付加してある。
【0033】(1−3)第1実施形態の効果 以上の通り、第1実施形態によれば、電動機の負荷条件
によらず、電動機供給電圧が上昇すると銅損Pcが減
少、鉄損Piが増加し、逆に電動機供給電圧が下降する
と銅損Pcが増加、鉄損Piが減少するため、電動機の
負荷条件によらず常にPc=Piとなる電圧を電動機に
供給できる。
【0034】(2)第2の実施の形態 図2に、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形
態は、前記第1実施例において使用した積分回路、加算
器、乗算器などの素子に変えて、マイクロコンピュータ
等を使用してデータ処理を行うことにより、鉄損と銅損
が同一となるようにPWMインバータを制御するもので
ある。なお、この第2実施形態はコンピュータ上に実現
され、実施形態の各機能は、所定の手順(プログラム)
がこのコンピュータを制御することで実現される。
【0035】本明細書における各「手段」あるいは
「部」は、実施形態の各機能に対応する概念的なもの
で、必ずしも特定のハードウェアやソフトウェア・ルー
チンに1対1には対応しない。同一のハードウェア要素
が、場合によって異なった部を構成する。例えば、コン
ピュータは、ある命令を実行するときにある部となり、
別の命令を実行するときは別の部となりうる。また、一
つの部が、わずか1命令によって実現される場合もあれ
ば、多数の命令によって実現される場合もある。したが
って、本明細書では、以下、実施形態の各機能を有する
仮想的回路ブロック(部)を想定して実施形態を説明す
る。また、本実施形態における各手順の各ステップは、
その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時
に実行し、また異なった順序で実行してもよい。また、
本発明をコンピュータのソフトウェアとして実現した場
合には、そのソフトウェアを磁気あるいは光などの記録
媒体に記録しておき、これを個々の設計者が読み出して
自己のコンピュータによって実行することも、本発明の
実施形態の一つである。
【0036】(2−1)第2実施形態の構成 この第2実施例において、交流電源に接続された整流器
1、平滑用コンデンサ2、逆変換装置3、電流検出手段
4、電動機5およびPWM発生器6の部分は、前記第1
実施形態と同様である。このPWM発生器6には、マイ
クロコンピュータ20によって実現される最適電圧演算
手段30が接続されている。すなわち、マイクロコンピ
ュータは、CPU21、メインメモリ22、RAMやR
OMなどの記憶装置23、データやコマンド入力用のキ
ーボード、マウス、タッチセンサー等の入力装置24、
ディスプレイやプリンタなどの出力装置25、PWM発
生器6や逆変換装置3などのハードウェアとの間でデー
タを授受するI/O部26を備えており、前記最適電圧
演算手段30は、このマイクロコンピュータ上で実行さ
れるプログラムとして実現されている。
【0037】最適電圧演算手段30は、銅損演算部3
1、鉄損演算部32、これらによって算出された銅損値
Pcと鉄損値Piとを比較して、その結果に従いPWM
発生器6に電圧設定信号VLEVELを出力する損失比
較部33を備えている。前記銅損演算部31は、瞬時値
電流iLの算出部31a、瞬時値電流iLの2乗積算部
31b、平均化処理部31c、および抵抗乗算部31d
を備えている。一方、鉄損演算部32は、鉄損の瞬時電
力の算出部32a、瞬時電力の積算部32b、平均化処
理部32c、およびデータ参照部32dを備えている。
また、最適電圧演算手段30は、銅損演算部31と鉄損
演算部32とが、交流の1サイクル分の瞬時値を算出
し、積算したことを判定するサンプリングカウント部3
4を備えている。
【0038】前記記憶装置23には、一般の電動機等で
あらかじめ値の判っている励磁コンダクタンスg0 と励
磁サセプタンスb0 、および鉄損補償データを記憶して
おく。ここで、鉄損補償データは、鉄損補償データは、
電動機供給電圧Eと供給電圧による鉄損Piの変化の様
子をテーブルにしたものであり、電圧Eの1.6乗〜
1.8乗に比例したカーブをもつテーブルである。図5
はこのテーブルの一例を示すグラフで、1.6乗〜1.
8乗の平均をとって、1.7乗としたとしたカーブであ
る。この供給電圧と補償値のデータは、コンピュータの
ROM内に記憶させておいたり、アナログ回路の折れ線
回路によって作成することができる。また、本装置を電
動機に取り付けるに当たり、その電動機の1次巻線と2
次巻線の抵抗値R1+R2を入力装置24から入力し、
記憶装置23に記憶させる。なお、前記励磁コンダクタ
ンスg0 と励磁サセプタンスb0 についても、ROMな
どで構成された記憶装置23に一般的な値をあらかじめ
記憶させておく以外に、本装置を取り付ける電動機に特
有の値を入力装置24から入力することもできる。
【0039】(2−2)第2実施形態の作用 前記のような構成を有する第2実施形態の作用を、図3
および図4のフローチャートに従って説明する。なお、
図示のフローチャートでは、図に記載したように、鉄損
算出用のステップと銅損算出用のステップが入り混じっ
ているが、両者の演算の順序はこれに限定されるもので
はない。
【0040】(ステップ1)…電圧制御信号eの読み込
み マイクロコンピュータは、まず、電動機5に供給されて
いる電圧の瞬時値を例えばPWM発生器6の出力として
I/O部26を通じて入力し、これを電圧制御信号eと
する。
【0041】(ステップ2)…電圧制御信号e′の読み
込み 同様にして、電圧制御信号eに対して90°遅れの瞬時
波形e′を読み込む。この90°遅れの瞬時波形e′
は、図1に示した積分回路8などによって得ることがで
きる。このようにして得られた電圧制御信号e,e′を
使用し、図2の瞬時値電流iLの算出部31aによって
ステップ3〜7の銅損算出ステップが実行される。
【0042】(ステップ3,4)…銅損算出ステップ 一般の電動機等であらかじめ値の解っている励磁コンダ
クタンスg0 と励磁サセプタンスb0 を記憶装置23か
ら読み込む。読み込んだg0 とb0 を前記電圧制御信号
e,e′と乗算することにより、e・g0 とe′・b0
を求める。この値は励磁コンダクタンスg0 に流れる電
流の瞬時値ig0 および励磁サセプタンスb0 に流れる
電流の瞬時値ib0 である。
【0043】(ステップ5)…銅損算出ステップ これらの電流の瞬時値ig0 とib0 を加算して、励磁
電流の瞬時値i0 を求める。
【0044】(ステップ6,7)…銅損算出ステップ 電流検出器4より電動機電流の瞬時値iを検出し、先の
励磁電流の瞬時値i0に基づいて、i−i0 を算出し、
瞬時値電流iLとする。
【0045】(ステップ8)…鉄損算出ステップ 一方、鉄損演算部32における瞬時電力算出部32aに
おいては、まず、ステップ1で読み込んだ電圧制御信号
eと、記憶装置23から読み込んだ励磁コンダクタンス
g0 からe2 ・g0 を算出し、これを鉄損の瞬時電力と
し、PiAに加算する。PiAは鉄損の瞬時電力の積算
値であり、後に交流1サイクルが終了した時点で平均化
し、鉄損Piを求める目的のデータである。
【0046】(ステップ9)…銅損算出ステップ 瞬時値電流の2乗積算部31bにより、前記ステップ7
で得られた瞬時値電流iLに基づいて(iL)2 を算出
し、IL2 Aに加算する。IL2 Aは瞬時値電流iLの
2乗の積算値であり、後に交流1サイクルが終了した時
点で平均化し(IL)2 を求める目的のデータである。
【0047】(ステップ10,11)…サンプリング処
理のカウント 以上のサンプリング処理を、交流1サイクルに対して少
なくとも10回以上の充分な回数行う。また、交流1サ
イクル間に行ったサンプリング数はNとしてカウントし
ておく。この場合、交流1サイクル分のサンプリングが
終了したか否かの判定(ステップ10のYESまたはN
Oの判定)およびサンプリング回数Nのカウント処理
は、サンプリングカウント部34が行い、交流1サイク
ル分が終了していない場合には、ステップ1に戻り、鉄
損の瞬時電力PiAおよび瞬時値電流の2乗値(iL)
2 を算出し、積算値に加算する処理を繰り返す。一方、
交流1サイクル分が終了した後は、図4に示すステップ
12に進む。
【0048】(ステップ12)…鉄損算出ステップ サンプリングが交流1サイクル間終了したなら、次に、
鉄損演算部32の平均化処理部32cにおいて、鉄損の
瞬時電力の積算値をカウント数によって平均化したPi
A/Nを算出する。ところで、実際の鉄損は電動機の供
給電圧によって変化するものであるから、前記のような
演算によって得られた鉄損の瞬時電力の平均値をそのま
ま採用するよりも、このような変化を加味した方がより
精度の高い制御が行える。そこで、本実施形態において
は、データ参照部32dにより記憶装置23に格納され
ていた電動機供給電圧Eに対応した鉄損補償データを読
み込み、この補償データとPiA/Nとを乗算し、Pi
A/Nを実際の電動機の鉄損に近似させたデータPiを
求める。
【0049】(ステップ13)…銅損算出ステップ 次に、銅損演算部31の平均化処理部31cにおいて、
前記のようにして得られたIL2 Aをサンプリングカウ
ント数Nで除算することにより、IL2 A/Nを算出
し、平均化された(IL)2 を得る。
【0050】(ステップ14)…銅損算出ステップ 前記のようにして得られた(IL)2 に基づいて、抵抗
乗算部31dにより、(IL)2 ・(Rl+R2)を算
出する。これは銅損Pcである。
【0051】(ステップ15)…銅損と鉄損の比較処理 次に、損失比較部23において、銅損Pc−鉄損Piを
演算し、値が正ならば電圧設定信号VLEVELの出力
電圧レベルを上昇させる信号をPWM発生器6に出力
し、値が負ならば電圧設定信号VLELELの出力電圧
レベルを下降させる信号を出力する。ここで、出力出力
電圧レベルの上昇・下降の速度は、ある一定の速度かま
たは、Pc−Piの関数としてもよい。その結果、前記
第1実施形態と同様に、PWM発生器6によって逆変換
装置3による電動機供給電圧を最適電圧に制御すること
ができる。
【0052】(ステップ16)前記のようにして、PW
M発生器6に電圧設定信号を出力した後は、1サイクル
に渡り積算した値PiIA,IL2 A,Nを0クリアし
て、次の交流1サイクルのサンプリングを行う。
【0053】(2−3)第2実施形態の作用 以上の通り、第2実施形態によれば、銅損と鉄損の算出
をコンピュータのプログラムを利用して行うことができ
るので、システムの単純化や信頼性の向上が可能とな
る。また、本装置を取り付ける電動機の種類に応じた励
磁コンダクタンス、励磁サセプタンスあるいは巻線抵抗
などの定数を記憶装置内に格納しておくことにより、例
えば、電動機の型式などを指定するだけの作業で適切な
値を設定することができ、より精度が高く、しかも取扱
の簡単な電圧制御装置を得ることができる。また、鉄損
補償テーブルを記憶しておき、これに従って算出された
鉄損を補償することにより、より精度の高い鉄損値を得
ることができ、最適電圧を確実に算出できる利点もあ
る。
【0054】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、鉄損と銅
損とを常時一定となるように、PWMインバータの出力
電圧を制御することが可能になるので、電動機の省エネ
ルギー運転に優れた効果を発揮する電圧制御装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧制御装置の第1実施の形態を
示す回路図。
【図2】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態を
示すブロック図。
【図3】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の前半部分を示すフローチャート。
【図4】本発明による電圧制御装置の第2実施の形態の
作用の後半部分を示すフローチャート。
【図5】鉄損の電圧補償テーブルの一例を示すグラフ。
【図6】供給電圧と損失特性を示すグラフ。
【図7】従来の電動機の省エネルギー制御を示す回路
図。
【図8】誘導電動機の簡易等価回路図。
【図9】電動機の電流ベクトル図。
【図10】電動機のハイランドの円線図。
【符号の説明】 1…整流器 2…平滑用コンデンサ 3…逆変換装置 4…電流検出器 5…電動機 6…PWM発生器 7…乗算器 8…積分回路 9…平均値回路 10…平均値回路 11…2乗算器 12…比較器 13…可変コンダクタンス 14…可変サセプタンス 15…可変抵抗 20…マイクロコンピュータ 30…最適電圧演算手段 31…銅損演算部 32…鉄損演算部 33…損失比較部 34…サンプリングカウント部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機の励磁コンダクタンス及び励磁サ
    セプタンスに合わせて設定される可変コンダクタンス1
    3と可変サセプタンス14と、電動機の1次巻線と2次
    巻線の抵抗値に合わせて設定される可変抵抗15と、 電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号eを
    前記可変コンダクタンスに基づいて処理することにより
    銅損を算出する手段と、 電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号e
    と、電動機電流の瞬時値iとを前記可変コンダクタン
    ス、可変サセプタンス及び可変抵抗値に基づいて処理す
    ることにより鉄損を算出する手段と、 前記銅損算出手段によって得られた銅損値と鉄損算出手
    段によって得られた鉄損値とを比較する手段と、 前記比較手段の比較結果に従い両者の値が一致するよう
    に電動機供給電圧を制御する制御手段を備えた電圧制御
    装置。
  2. 【請求項2】 電動機に供給される基本波瞬時電圧に比
    例した信号eを出力する手段と、電動機電流の瞬時値i
    を検出する電流検出器4と、 前記信号eを入力する入力端子bと、可変コンダクタン
    ス13を介して前記信号eが入力される入力端子aとを
    備えたを備えた乗算器7と、 前記乗算器7の出力側に接続された平均値回路9と、 前記信号eを入力する積分回路8と、 一方の入力端子が、前記積分回路8の出力側に可変サセ
    プタンス14を介して接続され、他方の入力端子が前記
    可変コンダクタンス13の出力側に接続された第1の加
    算器16と、 マイナス側の入力端子に第1の加算器16の出力が接続
    され、プラス側の入力端子には、電動機電流を検出する
    電流検出器4が接続された第2の加算器と、 第2の加算器の出力側に順次接続された2乗算器11、
    平均値回路10および可変抵抗15と、 前記平均値回路9の出力側が接続された鉄損側の入力端
    子aと、前記可変抵抗の出力側が接続された銅損側の入
    力端子bを有し、鉄損側入力端子aから入力された鉄損
    値と銅損側入力端子bから入力された銅損値とを比較す
    る比較器12と、 前記比較器12からの出力に従い、電動機供給電圧を制
    御する制御手段を備え、 前記信号eと、この信号eを可変コンダクタンス13で
    分圧した信号ig0 とを乗算器によって乗算しig0 ・
    eを得た後、このig0 ・eを平均化して銅損Pcを求
    め、この銅損Pcを前記比較器12の銅損側の入力端子
    に入力し、 積分回路によって得られた前記信号eの90°位相の遅
    れた信号e′を可変サセプタンス14によって分圧して
    得られた信号ib0 と、前記可変コンダクタンス13に
    よって得られた信号ig0 とを加算器16で加算してi
    0 を得て、 この信号i0 と電流検出器で得られた電動機電流iを第
    2の加算器17でi−i0 の加算を行い、得られた信号
    iLを2乗算器11で2乗してiL2 を得た後、平均値
    回路10で平均化し、更に可変抵抗値を乗算することに
    より銅損Pcを得ることを特徴とする電圧制御装置。
  3. 【請求項3】 電動機の励磁コンダクタンス、励磁サセ
    プタンス及び1次巻線と2次巻線の抵抗値を記憶する手
    段と、 電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号eを
    前記記憶手段から読み込んだ可変コンダクタンスに基づ
    いて処理することにより銅損を算出する手段と、 電動機に供給される基本波瞬時電圧に比例した信号eと
    電動機電流の瞬時値iとを、前記記憶手段から読み込ん
    だ可変コンダクタンス、可変サセプタンス及び可変抵抗
    値に基づいて処理することにより鉄損を算出する手段
    と、 前記銅損算出手段によって得られた銅損値と鉄損算出手
    段によって得られた鉄損値とを比較する手段とを備え、 これら銅損算出手段、鉄損算出手段及び銅損値と鉄損値
    の比較手段がコンピュータの演算処理によって実現さ
    れ、 前記比較手段の比較結果に従い両者の値が一致するよう
    に電動機供給電圧を制御する制御手段を備えた電圧制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記鉄損算出手段が、電動機の鉄損が供
    給電圧の1.6乗から1.8乗に比例することを利用し
    て、算出した鉄損を供給電圧により補償するための補償
    テーブルを設けたものである請求項3に記載の電圧制御
    装置。
  5. 【請求項5】 比較器の比較結果にしたがって電動機供
    給電圧を制御する手段が、インバータ装置である請求項
    1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の電圧制
    御装置。
  6. 【請求項6】 前記インバータ装置が、PWM発生器に
    よって制御される逆変換装置3を有するものである請求
    項5の電圧制御装置。
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