JP2000100743A - 基板処理装置および基板温度計測方法 - Google Patents

基板処理装置および基板温度計測方法

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JP2000100743A
JP2000100743A JP10272935A JP27293598A JP2000100743A JP 2000100743 A JP2000100743 A JP 2000100743A JP 10272935 A JP10272935 A JP 10272935A JP 27293598 A JP27293598 A JP 27293598A JP 2000100743 A JP2000100743 A JP 2000100743A
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健一 横内
Takatoshi Chiba
隆俊 千葉
Toshihiro Nakajima
敏博 中島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板を汚染することなく基板の温度管理を正
確に行うこと。 【解決手段】 基板Wの一の面に対向する反射面21E
には開口部21Hが設けられており、この開口部21H
に放射温度計10が挿設される。放射温度計10の内部
には光源11と検出器12と導光管13とが設けられて
いる。光源切り換え部5bの制御によって点灯/消灯を
行う。導光管13は、光源11からの照射光が基板Wの
裏面によって反射される反射光や基板Wの放射光が多重
反射する多重反射光を適切に検出器12に導くように配
置されている。この構成により、多重反射効果を利用す
ることができる。そして、光源の点灯時に検出器12に
よって検出される多重反射光と反射光との和となる光強
度と、光源の消灯時に検出器12によって検出される多
重反射光の光強度とに基づいて演算部5aが所定の演算
を行うことにより、測定誤差の少ない基板Wの温度を求
めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体ウエハ、
フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、光
ディスク用基板等の基板(以下、単に「基板」とい
う。)に加熱を伴う処理を施す基板処理装置および基板
処理装置における基板温度計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造においては基板に対し
て様々な処理が施される。これらの処理の中には基板に
酸化膜、窒化膜等を形成したり、アニール処理を施すこ
とを目的として基板を所定の雰囲気中(真空を含む)で
加熱する処理がある。また、このような基板の加熱を伴
う処理では半導体装置の品質を一定に保つために適切な
温度管理が要求される。
【0003】そのような温度管理を伴うために基板の温
度を計測する手法として、従来から熱電対等を基板に取
り付けて、それにより基板温度を計測するといった、い
わば接触式の温度計測を行いつつ基板処理を行う方法が
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な接触式温度計では基板に熱伝対等を直接取り付けるた
め、基板に汚染物質が付着し易く、基板の品質劣化を招
いていた。また、基板に熱伝対等が直接取り付けられる
ため、基板の温度不均一を生じさせたり、処理中のプロ
セスガス流が不均一となるという問題がある。
【0005】この発明は、従来技術における上述の問題
の克服を意図しており、基板を汚染することなく、基板
の温度分布やプロセスガス流を均一に保った状態で、基
板の温度を計測し、より正確な温度管理を行える基板処
理装置および基板処理装置における基板温度計測方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、基板に加熱を伴う処理を
施す基板処理装置であって、(a) 開口部が形成されると
ともに前記基板の一の面に対向する反射面と、(b) 前記
開口部を介して所定波長の光を前記基板の一の面に照射
する光源と、(c) 前記光源からの照射光が前記基板の一
の面によって反射される反射光を前記開口部を介して検
出するとともに、前記基板からの放射光が前記基板の一
の面と前記反射面とによって多重反射された多重反射光
を前記開口部を介して検出する検出手段とを備えてい
る。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の基板処理装置において、(d) 前記光源の点灯状態と消
灯状態とを切り換える光源切り換え手段と、(e) 前記光
源の点灯時に前記検出手段によって検出される前記多重
反射光と前記反射光との第1の光強度と、前記光源の消
灯時に前記検出手段によって検出される前記多重反射光
の第2の光強度とに基づいて所定の演算を行うことによ
り、前記基板の温度を算出する演算手段とをさらに備え
ている。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の基板処理装置において、前記演算手段は、(e-1) 前記
第1の光強度と前記第2の光強度とより、前記基板の反
射率を求める反射率算出手段と、(e-2) 前記反射率から
前記基板の放射率を求める放射率算出手段と、(e-3) 前
記放射率と、前記光源の消灯時に前記検出手段によって
検出される前記多重反射光の第2の光強度とに基づいて
前記基板の温度を算出する温度算出手段とを備えてい
る。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
3のいずれかに記載の基板処理装置において、前記反射
面と前記基板の一の面とは、4mmから12mmの間隔
で配置されている。
【0010】請求項5に記載の発明は、開口部が形成さ
れるとともに基板の一の面に対向する反射面と、前記開
口部を介して所定波長の光を基板の一の面に照射する光
源と、前記光源からの照射光が前記基板の一の面によっ
て反射される反射光を前記開口部を介して検出するとと
もに、前記基板からの放射光が前記基板の一の面と前記
反射面とによって多重反射された多重反射光を前記開口
部を介して検出する検出手段とを備える基板処理装置に
おける基板温度計測方法であって、(a) 前記光源を点灯
させた状態で、前記検出手段によって前記多重反射光と
前記反射光との第1の光強度を検出する工程と、(b) 前
記光源を消灯させた状態で、前記検出手段によって前記
多重反射光の第2の光強度を検出する工程と、(c) 前記
第1の光強度と前記第2の光強度とに基づいて所定の演
算を行うことにより、前記基板の温度を算出する工程と
を有している。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の基板温度計測方法において、前記(a) 工程から前記
(c) 工程を繰り返し行うことを特徴としている。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6に記載の基板温度計測方法において、前記 (c) 工程
は、(c-1) 前記第1の光強度と前記第2の光強度とよ
り、前記基板の反射率を求める工程と、(c-2) 前記反射
率から前記基板の放射率を求める工程と、(c-3) 前記放
射率と前記第2の光強度とに基づいて前記基板の温度を
算出する工程とを有している。
【0013】
【発明の実施の形態】<1.発明の技術背景>従来のよ
うな基板の温度計測に接触式温度計を使用することによ
る弊害を防止するためには、非接触式温度計である放射
温度計を用いることが適当であると考えられる。
【0014】一般に、黒体の温度Tと黒体の放射光強度
(放射エネルギー強度)Iとの間には、
【0015】
【数1】
【0016】の関係がある。数1はプランクの輻射公式
と呼ばれ、C1,C2は放射定数であり、λは着目する
波長である。温度があまり高くないとき、物体の放射率
をεとすると、数1は、
【0017】
【数2】
【0018】と変形することができる。数2をさらに変
形すると、放射光強度Iより物体の温度Tを求める式
は、
【0019】
【数3】
【0020】となる。ここで、物体の放射率εを予め設
定しておき、数3の関係に基づいて物体の温度Tを求め
るのが放射温度計である。
【0021】数3により基板の温度計測を行うために
は、基板の放射率εを知ることが必要となる。一般に、
物体に特定の波長の光を照射した際に透過がない場合、
すなわち、その波長の光に対して不透明となる場合、そ
の波長に関して物体の放射率εと反射率ρとの間には、
【0022】
【数4】
【0023】の関係が成立する。このことは基板につい
ても成立する。例えば、基板がシリコンウエハの場合は
波長が1μm以下となる波長域において不透明となるこ
とが知られており、その波長域に着目することにより数
4の関係が成立する。従って、基板の反射率ρを計測す
ることができれば放射率εを求めることができ、その結
果数3に基づいて基板の温度を求めることが可能とな
る。
【0024】ここで、実際に基板の温度計測を考えた場
合、図1に示すような構成の放射温度計を適用すること
が考えられる。図1の放射温度計は、光源11と検出器
12と導光管13とを備えている。光源11は基板Wが
不透明となる所定の波長λの光を発生させる光源であ
り、検出器12は所定の波長λの光強度を検出する検出
器である。導光管13は、光源11からの照射光を基板
Wに導き、光源11からの照射光が基板Wによって反射
される反射光を検出器12に導く。また、導光管13
は、基板Wが基板温度に応じて放射する放射光を検出器
12に導く。
【0025】図1のような放射温度計を使用して基板W
の温度を求める手法について説明する。
【0026】まず、光源11を点灯させ、基板Wからの
放射光と光源11からの照射光が基板Wによって反射し
た反射光との和を検出器12で検出する。このとき、検
出器12で検出される光強度をI1 とする。
【0027】次に、光源11を消灯させ、基板Wからの
放射光のみを検出器12で検出する。このとき、検出器
12で検出される光強度をI2 とする。
【0028】ここで、光源11の点灯時と消灯時におけ
る基板Wの温度変化と放射率変化が微小で無視できる程
度であるとすると、光強度I1 とI2 との差、つまり
(I1−I2 )は、光源11からの照射光が基板Wによ
って反射された反射光の強度になる。そして、予め光源
11の照射光の強度を測定しておけば、反射光の強度よ
り基板Wの反射率ρを求めることができる。
【0029】そして、数4より基板Wの放射率εを求
め、その放射率εと光強度I2 とを数3に代入すること
により、基板Wの温度Tを求めることができる。
【0030】このように図1のような構成の放射温度計
を使用した場合、基板Wから検出器12に直接導かれる
放射光と、光源11からの照射光が基板Wによって1回
だけ反射されて検出器12に導かれる反射光のみが検出
器12に入射すると仮定するならば、基板Wの温度を正
確に求めることができる。
【0031】しかし、図1のような構成の放射温度計で
は、非接触で基板温度を計測するという観点から基板W
と導光管13とを間隔dだけ隔離している。このため、
基板Wから検出器12に直接導かれる放射光と、光源1
1からの照射光が基板Wによって1回だけ反射されて検
出器12に導かれる反射光以外のノイズとなる光成分
(例えば、多重反射光)が検出器12に入射することと
なり、正確な基板Wの反射率ρを求めることができな
い。この結果、基板Wの放射率εも正確なものではな
く、基板Wの温度Tも正確な温度ではなくなる。
【0032】図1のような放射温度計による基板Wの温
度Tの計測誤差について検証する。実際の基板Wの温度
をTw、実際の基板Wの放射率をεwとすると、基板W
が放射している放射光強度Iは、これらの値を数2に代
入したものとなる。この実際に基板Wが放射している放
射光強度Iを数3に代入するとともに、上記のような手
順で放射温度計において求めた基板Wの放射率(設定放
射率)εsを数3に代入すると、数3は、
【0033】
【数5】
【0034】と変形される。数5において、放射温度計
によって得られる設定放射率εsを例えば0.7で固定
とし、実際の温度Tw=1000℃である基板Wの実際
の放射率εwが0.5〜0.9で変動したときの温度計
測誤差を図2に示す。
【0035】図2に示すように、設定放射率εsと実際
の放射率εwとが0.7で一致している場合は温度計測
誤差は生じていないが、実際の放射率εwと設定放射率
εsとの差が大きくなるにつれて、ほぼ直線的に温度計
測誤差が大きくなっている。また、着目する波長λが長
波長側になるにつれて設定放射率εsの誤差による温度
計測誤差が大きくなっている。例えば、波長λ=0.9
μmに着目して温度計測を行ったとしても、図1のよう
な構成の放射温度計を使用すれば、実際の基板Wの放射
率εw=0.5のときでも約30℃の計測誤差を生じる
こととなる。
【0036】このような誤差を小さくするためには、図
1に示した基板Wと導光管13との間隔dをできるだけ
小さくすればよいと考えられるが、そうすると基板Wの
温度分布やプロセスガス流を均一に保つことが困難とな
る。
【0037】換言すれば、図1に示した放射温度計は設
定放射率εsの誤差に対する温度計測誤差が大きいとと
もに、基板Wに対する不均一要因となることから、この
放射温度計をそのまま基板処理装置に適用することは好
ましいことではなく、設定放射率εsの誤差による温度
計測誤差を小さくするとともに、基板Wの温度分布やプ
ロセスガス流の不均一要因を取り除くことが必要とな
る。
【0038】<2.発明の原理>次に、この発明の基板
温度計測の原理について説明する。
【0039】図3は、この発明における基板の温度計測
の原理を示す概略図である。図3に示すように基板Wの
一の面に対向するように反射面21Eを配置する。この
反射面21Eと基板Wとは所定間隔隔てて配置すること
により、基板Wと反射面21Eとの間で基板Wからの放
射光が多重反射するように構成する。
【0040】反射面21Eには導光管13が埋設されて
おり、光源11からの波長λの照射光を基板Wに導き、
光源11からの照射光が基板Wによって反射される反射
光を検出器12に導く。また、導光管13は、基板Wが
基板温度に応じて放射する放射光が基板Wの一の面と反
射面21Eとの間を複数回反射した多重反射光を検出器
12に導く。
【0041】基板Wから放射される放射光は、反射面2
1Eで反射されて基板Wに向かうこととなる。そして、
その光は基板Wによって再び反射されて反射面21Eに
向かう。このように基板Wの一の面と反射面21Eとの
間において複数回の反射が生じて多重反射光が発生す
る。
【0042】ここで、図4は、基板Wが放射する放射光
の多重反射を説明する図である。基板Wの放射率をεと
し、基板Wが黒体であった場合の放射光強度をIb とす
ると、基板Wが放射する放射光の強度はI0 =εIb と
なる。また、基板Wの反射率をρとし、反射板21Eの
反射率をrとすると、多重反射の各反射の段階における
光の強度は図4に示すようになる。従って、図3に示す
検出器12が検出する多重反射光の強度Iは、
【0043】
【数6】
【0044】のようになる。なお、数6においては、数
4の関係を利用して変形を行っている。
【0045】従って、検出器12からみた基板Wのみか
けの放射率をεaとすると、このみかけの放射率εaは
数6より、
【0046】
【数7】
【0047】となる。この数7の関係より、基板Wの放
射率εとみかけの放射率εaとの関係を示すと図5のよ
うになる。図5より、反射面21Eの反射率rを大きく
するほどみかけの放射率εaは大きくなり、1に近づ
く。一般的に基板Wの放射率εの変動は約0.3〜0.
9の範囲であり、この範囲内に着目すれば、反射面21
Eの反射率rを大きくすることにより、基板Wの放射率
εの変化に対するみかけの放射率εaの変化は小さくな
る。
【0048】多重反射を用いた温度計測においては反射
面21Eの形状などにより多重反射の度合いが異なる。
数7における反射面21Eの反射率rの代わりに、この
多重反射の度合いを示すパラメータとして反射面21E
の実効的な反射率である実効反射率Rを用いると、数7
は、
【0049】
【数8】
【0050】のようになる。
【0051】数8において、実効反射率Rを事前に求め
ておけば、光源11を点灯させている際に検出器12か
ら得られる光強度と、光源11を消灯させている際に検
出器12から得られる光強度との差に基づいて基板Wの
放射率εを求めることができるので、みかけの放射率ε
aを算出することができる。
【0052】また、みかけの放射率εaは、
【0053】
【数9】
【0054】としても表される。ここで、Ib は、基板
Wが黒体であった場合の放射光強度であり、Iは、光源
11の消灯時において検出器12で検出される光強度で
ある。
【0055】そして、数8と数9とより、
【0056】
【数10】
【0057】が得られる。すなわち、事前に求めておく
実効反射率Rと、光源11を点灯させている際に検出器
12から得られる光強度と光源11を消灯させている際
に検出器12から得られる光強度との差に基づいて求め
ることができる基板Wの放射率εとを数10に代入すれ
ば、基板Wが黒体であった場合の放射光強度Ib を求め
ることができる。
【0058】そして、この基板Wに関する放射光強度I
b を、数1を変形して得られる
【0059】
【数11】
【0060】に代入することにより、基板Wの温度Tを
求めることができる。
【0061】このようにみかけの放射率εaを用いて基
板Wの温度Tを計測した場合の計測誤差について検証す
る。数7における放射率εを例えば0.7で固定とし、
反射面21Eの実効反射率Rを0.9とすると、みかけ
の放射率εa=0.959となる。この場合において、
実際の温度Tw=1000℃である基板Wの放射率εw
が0.5〜0.9で変動したときの数5によって得られ
る温度計測誤差を図6に示す。
【0062】図6に示すように、設定した放射率と実際
の放射率εとが0.7で一致している場合は温度計測誤
差は生じていないが、実際の放射率εと設定した放射率
との差が大きくなるにつれて温度計測誤差が大きくなっ
てる。また、着目する波長λが長波長側になるにつれて
設定した放射率の誤差による温度計測誤差が大きくなっ
ている。
【0063】ところが、この多重反射効果を利用した場
合の温度計測誤差は、図2に示した多重反射効果を利用
しない場合の温度計測誤差に比べて小さくなっている。
例えば、波長λ=0.9μmに着目すると、実際の基板
Wの放射率が0.5のときは、多重反射効果を利用しな
い場合は約30℃の計測誤差を生じているが(図2参
照)、多重反射効果を利用する場合は約4℃となってい
る。また、多重反射効果を利用する場合は実際の基板W
の放射率が0.3となっても、温度測定誤差が20℃以
下となっている。
【0064】すなわち、多重反射効果を利用すれば、温
度測定誤差を小さくすることができる。また、導光管1
3と基板Wとの距離を近接させる必要がないため、導光
管13が基板Wの温度分布やプロセスガス流の不均一要
因となることを回避することができる。
【0065】以下においては、このような原理を適用し
た基板処理装置について説明する。
【0066】<3.発明の実施形態>図7はこの発明の
一の実施の形態である基板処理装置1の構成を示す縦断
面図であり、図8は図7に示す基板処理装置1を矢印Z
方向(下方)からみたときの様子を示す底面図である。
【0067】基板処理装置1は基板Wを収容する容器で
あるチャンバ2、基板Wを加熱する光を出射するランプ
31、および基板Wの温度を測定する放射温度計10を
備えている。そして、真空中やプロセスガス流が形成さ
れた所定の雰囲気中にてランプ31からの光を基板Wの
上面に照射することにより基板Wに加熱を伴う処理を施
すとともに基板Wの温度が放射温度計10により測定さ
れて管理されるようになっている。
【0068】放射温度計10は温度算出部5に接続され
ており、温度算出部5において基板Wの温度Tが求めら
れる。そして、温度算出部5には制御部6が接続されて
いる。さらに、制御部6は後述するランプ制御部32、
モータ725および図示しないプロセスガス供給手段等
に接続されており、それらを制御する。
【0069】また、ランプ31は上方を蓋部61により
覆われ、ランプ制御部32により点灯制御されるように
なっている。さらに、容器本体部21には基板Wを支持
する支持部71が設けられており、容器本体部21下部
には基板Wを昇降するリフト部8、および、基板Wをチ
ャンバ2内部にて回転させる回転駆動部72が設けられ
ている。
【0070】これらの構成について順に説明するととも
に放射温度計10の内部構造について説明する。
【0071】ランプ31は複数の棒状のランプがチャン
バ2外部で蓋部61に覆われるように設けられており、
ランプ31はランプ制御部32から電力供給される。ま
た、蓋部61はランプ31からの光により高温とならな
いように内部に冷却用の水路611が形成されており、
さらに、ランプ31からの光を反射して基板Wを効率よ
く加熱することができるように内壁が鏡面に加工されて
いる。
【0072】チャンバ2は基板Wの下方および側方周囲
を覆う容器本体部21に基板Wの上方を覆う石英窓22
を取り付けて構成されている。石英窓22はチャンバ2
内に載置される基板Wとランプ31との間に位置してラ
ンプ31からの光を透過する窓としての役割を果たして
いる。また、容器本体部21には基板Wの搬出入のため
の搬出入口21Aが形成されており、この搬出入口21
Aには扉23が開閉自在に設けられている。さらに、容
器本体部21には二酸化窒素(NO2)、アンモニア
(NH3)等の様々なガスをチャンバ2内に供給する供
給口21Bおよびチャンバ2内のガスを排気する排気口
21Dが設けられている。
【0073】容器本体部21にも蓋部61と同様に冷却
用の水路211が形成されており、また、容器本体部2
1のチャンバ2内部に面する部分は光を反射して基板W
を効率よく加熱することができるよう加工されていると
ともに、基板Wに対向する面は基板Wからの放射光を効
率よく反射することができるように反射面21Eを形成
する。なお、反射面21Eは基板Wの直径よりも大きい
寸法となるように設定することが好ましい。
【0074】次に、チャンバ2内部において基板Wを支
持しながら基板Wを回転させる構成について説明する。
【0075】支持部71は、基板Wの外周を支持する支
持リング711が支持柱712に支えられる構成となっ
ている。支持リング711は測定波長において不透明材
料、例えば多結晶炭化ケイ素(SiC)で主に形成され
ており基板の温度分布を均一にする役割を兼ねている。
また、支持柱712も支持リング711と同様に、測定
波長において不透明材料、例えば多結晶炭化ケイ素(S
iC)で主に形成されている。この支持部71は、回転
駆動部72により駆動されて、支持される基板Wの中心
となる軸21Cを中心に回転運動を行うようになってい
る。これにより処理中の基板Wが外周に沿って回転され
る。
【0076】回転駆動部72は容器本体部21の下部に
設けられており、支持部71に接続されてチャンバ2内
に配置された磁石721、チャンバ2外に配置された磁
石722、これらの磁石721,722をそれぞれ軸2
1Cを中心として案内する軸受723,724、および
チャンバ2外の磁石722の移動の駆動源となるモータ
725を有している。また、磁石721および磁石72
2は容器本体部21の一部をチャンバ2の内と外から挟
むように対をなして軸21Cを中心とする円周上に複数
配置されており、軸受723,724は軸21Cを中心
とする円状となっている。なお、図8ではこれらの構成
の図示を省略している。
【0077】モータ725が駆動されると磁石722が
軸21Cを中心として回転し、磁石722と作用し合う
チャンバ2内の磁石721も軸21Cを中心として回転
する。磁石722は支持柱712と接続されており、磁
石722が軸21Cを中心に回転すると支持柱712お
よび支持リング711が軸21Cを中心に回転する。こ
れにより、基板Wが外周に沿って回転されるようになっ
ている。
【0078】このように基板Wを回転させることによ
り、基板Wに加熱を伴った処理を施す際に基板Wの温度
分布を均一にすることができる。
【0079】次に、基板Wを昇降させるリフト部8の構
成を説明するとともにチャンバ2への基板Wの搬出入の
動作について説明する。
【0080】容器本体部21下部には基板Wを昇降させ
るリフト部8が図8に示すように軸21Cを中心とする
円周上に3つ設けられている。リフト部8は図7に示す
ように昇降移動するリフトピン81を内部に有してお
り、リフトピン81を上昇させると基板Wが支持リング
711から持ち上げられるようになっている。基板Wを
チャンバ2内部へ搬入する際には、まずリフトピン81
が上昇して待機し、基板Wを保持したハンド91が基板
処理装置1外部から進入して下降することにより、リフ
トピン81上に基板Wが載置される。そしてハンド91
をチャンバ2外部へ退避させた後、リフトピン81を下
降させることで基板Wが支持リング711上に載置され
る。また、基板Wをチャンバ2外部へと搬出する際には
搬入動作と逆の動作が行われる。
【0081】なお、図8中に2点鎖線にて示している2
つの大小の円は大型の基板Wと小型の基板Wの大きさを
示しており、この装置はこれら2種類の大きさの基板W
に対して処理を行うことができる装置となっている。
【0082】次に、基板Wの温度を測定する放射温度計
10等の構成について説明する。
【0083】図9は、この実施の形態における放射温度
計10および温度算出部5の内部構成を示す概念図であ
る。基板Wの一の面である基板裏面に対向する容器本体
部21の反射面21Eには開口部21Hが設けられてお
り、この開口部21Hの下方側より放射温度計10が挿
設される。放射温度計10の内部には上述したように光
源11と検出器12と導光管13とが設けられており、
これらはホルダ14の内部に固定されている。光源11
は例えばLEDやレーザダイオードなどによって構成さ
れ、後述する光源切り換え部5bの制御によって点灯し
たり消灯したりする。導光管13は、サファイアや石英
などの材料で形成されており、光源11からの照射光が
基板Wの裏面によって反射される反射光や多重反射光を
適切に検出器12に導くように配置されている。なお、
導光管13の上端部は反射面21Eと略同一の高さ位置
にあり、基板温度やプロセスガス流の不均一要因となら
ないように設けられている。
【0084】ここで、光源11は基板Wが不透明となる
所定の波長λの光を照射するものであり、また、検出器
12は所定の波長λの光を検出するものである。
【0085】そして、光源11を点灯させた際には、光
源11からの照射光が基板Wによって反射した反射光
と、基板Wからの放射光が反射面と基板Wの裏面との間
で多重反射した多重反射光とが検出器12に導かれる。
一方、光源11を消灯させた際には、基板Wからの放射
光が多重反射した多重反射光のみが検出器12に導かれ
る。
【0086】温度算出部5は内部にCPUとメモリとを
備えており、そのCPUは演算部5aおよび光源切り換
え部5bとして機能する。光源切り換え部5bは、放射
温度計10の光源11の点灯/消灯を制御する。また、
演算部5aは、検出器12から得られる光強度、予めメ
モリに格納しておく実効反射率Rなどのデータを基に上
述したような演算を行い、基板Wの温度Tを求める。こ
の基板Wの温度Tを求める手順の詳細については後述す
る。
【0087】なお、正確に基板Wの温度Tを求めるため
には検出器12にランプ31の光を入射させないことが
必要となる。このため、この実施の形態において放射温
度計10は、図8に示すように基板Wによってランプ3
1の照射する光が遮光されるような位置に配置されてい
る。また、基板Wの温度Tをマルチポイントで計測する
ようにするためには、上記のような放射温度計10およ
び温度算出部5を複数箇所に設けるように構成すればよ
い。マルチポイント計測を行えば基板Wの温度分布を知
ることが可能となる。
【0088】次に、上記のように構成された本実施形態
の基板処理装置1の処理手順について説明する。図10
ないし図12は、この実施の形態の基板処理装置1の処
理手順を示すフローチャートである。
【0089】実際の基板処理に先だって、実効反射率R
を算出して記憶しておくことと、基板の反射率ρと光源
11からの照射光が基板Wによって反射される反射光の
強度との関係を求めて記憶しておくことが行われる(ス
テップS1,S2)。
【0090】まず、ステップS1の処理について説明す
る。予め放射率εが測定された測定用基板を準備する。
この測定用基板には熱電対が埋設されている。この測定
用基板をチャンバ2内の支持リング711に載置する。
【0091】そして、測定用基板に埋設された熱電対に
より測定用基板の温度を計測しながら、ランプ31によ
る加熱を行う。熱電対によって示される測定用基板の温
度が所定の温度Ttcに達したときに、放射温度計10の
検出器12によって得られる光強度に基づいて温度Tを
算出し、この温度Tを
【0092】
【数12】
【0093】に代入することにより、測定用基板が放射
している放射光の多重反射光強度Iを求める。また、放
射温度計10の検出器12によって得られる光強度に比
例した値を多重反射光強度Iとしてもよい。
【0094】そして、温度Ttcにおいて測定用基板が実
際に放射している放射光強度Ib を
【0095】
【数13】
【0096】により求める。また、黒体測定時における
放射温度計10の検出器12によって得られる光強度に
比例した値を放射光強度Ib としてもよい。
【0097】このようにして得られた多重反射光強度I
と放射光強度Ib とを、数8の式と数9の式とより得ら
れる
【0098】
【数14】
【0099】に代入すると、実効反射率Rを求めること
ができる。そして、求められた実効反射率Rを温度算出
部5の内部にあるメモリに記憶しておく。
【0100】そして、チャンバ2内から測定用基板を取
り出してステップS2に進む。なお、ステップS1にお
いては放射温度計10の光源11は点灯しない。
【0101】次に、ステップS2の処理について説明す
る。
【0102】この実施の形態の基板処理装置1では、基
板Wの一の面(図7の場合は裏面)に対向するように反
射面21Eを配置し、基板Wと反射面21Eとの間に一
定の距離を設けることにより、基板Wの一の面と反射面
21Eとの間に多重反射光が発生するように構成されて
いる。このため、多重反射光を良好に検出器12に導く
ためには、導光管13を基板Wの一の面に対して近接さ
せることができない。
【0103】そこで、基板Wの放射率εを求めるために
基板Wの反射率ρを計測するのであるが、基板Wと導光
管13との距離が離れるに従って、光源11から照射さ
れる照射光が基板Wの一の面によって反射された反射光
のうち再び導光管13に入射する光量が小さくなる。こ
のことは、基板Wの放射率εが同一である場合であって
も、基板Wと導光管13との距離によって、反射光の強
度が異なることを意味している。
【0104】従って、実際に基板Wが処理される際の基
板Wと導光管13との距離に基づいて、基板Wの反射率
ρと光源11からの照射光が検出器12によって検出さ
れる反射光強度との関係を事前に求めておくことが重要
となる。
【0105】ステップS2では、まず反射率ρ(放射率
εでも可)が異なる複数の基準基板を準備する。なお、
それぞれの反射率ρは予め測定されていることが必要で
ある。そして、複数の基準基板のそれぞれをチャンバ2
内の支持リング711に載置した際に、放射温度計10
の光源11を点灯させて照射光を基準基板の一の面に照
射させ、再び導光管13を介して検出器12に入射する
反射光強度を求める。但し、この場合、基準基板から放
射される放射光の強度が検出器12で検出される反射光
強度に対して無視できる程度であることが必要である。
このため、ステップS2においては、ランプ31による
加熱を行わずに基準基板の温度を十分に低い温度となる
ようにする。
【0106】このようにして、基板の反射率ρと検出器
12で検出される反射光強度との関係を求めることがで
きる。図13は、基準基板によって得られる基板の反射
率ρと検出器12で検出される反射光強度との関係の一
例を示す図である。なお、図13では、反射率ρ=0.
1,0.3,0.55,0.8の4つの基準基板を用い
ることにより得られた関係であるが、これら以外の反射
率ρについては直線補間や最小2乗法を適用することに
より求めることができる。
【0107】そして、最終的に得られる基板の反射率ρ
と検出器12で検出される反射光強度との関係を温度算
出部5の内部にあるメモリに記憶する。そして、チャン
バ2内から基準基板を取り出してステップS3に進む。
【0108】なお、ステップS1とS2とは、オペレー
タがマニュアル操作で行う前処理である。これに対して
ステップS3は、基板処理装置1が自動で行う実際の基
板処理である。
【0109】ステップS3では、実際の基板Wに対する
加熱を伴った処理が行われる。そして、基板Wの処理中
には基板Wの温度Tの算出を継続的に行いながら、熱源
であるランプ31に対するフィードバック制御が行われ
る。このステップS3の処理の詳細を図11のフローチ
ャートに示している。
【0110】まず、ステップS31において、図示しな
い外部搬送装置により基板Wが基板処理装置1に搬入さ
れ、チャンバ2内の支持リング711に載置される。
【0111】そして、ステップS32において、制御部
6はランプ制御部32に対して加熱開始の命令を送出す
る。この結果、熱源であるランプ31が点灯し、基板W
に対する加熱が開始される。なお、制御部6は、ランプ
制御部32に対する加熱開始命令を送出するとともに、
基板Wを回転させるべく回転駆動部72に対して回転駆
動命令を送出し、さらに、必要に応じてプロセスガス供
給手段にプロセスガスの供給命令を送出する。
【0112】次に、ステップS33において、放射温度
計10の出力に基づいて基板Wの温度Tを求める温度計
測が行われる。このステップS33の温度計測処理の詳
細を図12のフローチャートに示している。なお、図1
2に示す処理は、放射温度計10と温度算出部5とにお
ける処理である。
【0113】まず、ステップS331において温度算出
部5が光源切り換え部5bとして機能し、放射温度計1
0の光源11を点灯させる。この結果、検出器12に
は、光源11からの照射光が基板Wの裏面によって反射
された反射光と、基板Wが放射する放射光の多重反射光
とが入射する。
【0114】そして、ステップS332において温度算
出部5は演算部5aとして機能し、検出器12から得ら
れる光強度I1 を読み取り、一時的にメモり内に格納し
ておく。
【0115】次に、ステップS333において温度算出
部5が再び光源切り換え部5bとして機能し、放射温度
計10の光源11を消灯させる。この結果、検出器12
には、基板Wが放射する放射光の多重反射光のみが入射
する。
【0116】そして、ステップS334において温度算
出部5は演算部5aとして機能し、検出器12から得ら
れる光強度I2 を読み取り、一時的にメモり内に格納し
ておく。
【0117】なお、ステップS332とS334との時
間間隔は微少時間であるため、光強度I1 を読み取った
ときと光強度I2 を読み取ったときとの基板Wの温度T
と放射率εとの変化は無視できるものとなる。
【0118】次に、ステップS335において演算部5
aは、メモリ内から光強度I1 とI2 とを読み出して多
重反射光成分を除去した基板Wの反射光強度(I1−I
2)を求める。
【0119】そして、ステップS336において演算部
5aは、上述のステップS2において予め求めておいた
基板Wの反射率ρと反射光強度との関係(図13参照)
より、反射光強度(I1−I2)に対する基板Wの反射率
ρを求める。なお、このとき演算部5aは反射率算出手
段として機能することとなる。
【0120】ステップS337では、演算部5aは数4
の関係より、ステップS336で得られた反射率ρに基
づいて基板Wの放射率εを求める。なお、このとき演算
部5aは放射率算出手段として機能することとなる。
【0121】次に、ステップS338において演算部5
aは、ステップS337で得られた基板Wの放射率ε、
ステップS1において事前に求めておいた実効反射率
R、および光源11の消灯時に検出器12で得られた多
重反射光の光強度I2 を数10の式に代入して演算を行
うことにより、基板Wが黒体である場合の放射光強度I
b を求めることができる。そして、演算部5aは数10
によって得られた放射光強度Ib を数11の式に代入し
て演算を行うことにより、基板Wの温度Tを求めること
ができる。また、別の演算方法として、みかけの放射率
εaを数8によって求め、このみかけの放射率εaを数
3の放射率εに代入することによっても基板Wの温度T
を求めることができる。なお、このとき演算部5aは温
度算出手段として機能することとなる。
【0122】そして、ステップS339において演算部
5aは、導出した基板Wの温度Tを制御部6に対して出
力する。
【0123】以上で、図12に示した基板Wの温度計測
の処理が終了し、次に図11に示すステップS34に進
む。
【0124】ステップS34において制御部6は、温度
算出部5から得られる基板Wの温度Tに基づいてランプ
制御部32に対するフィードバック制御を行う。そし
て、制御部6は、ステップS35において基板Wに対す
る処理時間が終了したか否かの判定を行い、設定されて
いた処理時間が経過するまで基板Wの温度Tを計測して
フィードバック制御を行う処理(ステップS33〜S3
4)を繰り返し行う。そして、処理時間が経過すると、
外部搬送装置がその基板Wを基板処理装置1から搬出す
る(ステップS36)。
【0125】つぎに、制御部6は図示しない外部の基板
給排機構からの信号により準備されていた全ての基板に
対する加熱処理が終了したか否かの判定を行い(ステッ
プS37)、全ての基板の加熱処理が終了していなけれ
ばステップS31に戻って次の基板Wに対する処理を開
始する一方、全ての基板の加熱処理が終了していれば一
連の加熱を伴う基板処理を終了する。
【0126】以上説明したように、この実施の形態の基
板処理装置1では、基板Wが放射する放射光の多重反射
効果を利用して基板Wの温度計測を行うように構成して
いるため、温度測定誤差を小さくすることができる。
【0127】図14は、基板Wの実際の放射率εに対し
て上記ステップS337で導出した放射率に−10%又
は+10%の誤差を発生させた場合の基板Wの温度Tの
測定誤差を示したものである。なお、図14には、多重
反射効果によって温度測定誤差が低減されることを理解
し易くするために、多重反射なしの場合(図1の構成に
よる測定の場合)と多重反射ありの場合(図3,図9の
構成による測定の場合)との2種類を示している。
【0128】図14からも判るように、基板Wと導光管
13との間隔を多重反射光を取り込むことができるよう
な所定間隔に設定することにより、±10%の放射率測
定誤差に対する温度測定誤差を小さくすることができ
る。すなわち、多重反射がない場合は放射率測定誤差が
そのまま温度測定誤差に繋がるのに対して、多重反射が
ある場合は放射率測定誤差が生じたとしてもみかけの放
射率εaの変化は小さいため(図5参照)、みかけの放
射率εaを使用した演算を行うことにより温度Tの測定
誤差を小さくすることができる。
【0129】また、この実施の形態では、導光管13と
基板Wとの距離を近接させる必要がないため、導光管1
3が基板Wの温度分布やプロセスガス流の不均一要因と
なることを回避することができる。
【0130】すなわち、この実施の形態の基板処理装置
1によれば、放射温度計10によって基板Wに対して非
接触で温度Tを計測することができるので基板に汚染物
質を付着させることがないとともに、より精度の高い適
切な温度管理を行うことができる。
【0131】また、基板Wの処理中は、光源切り換え部
5bが放射温度計10の光源11を一定の周期で連続的
に点滅させることにより、1回の点滅ごとに基板Wの放
射率εを導出して基板Wの温度Tを計測することができ
るので、基板Wの放射率εが変化する場合であっても変
化した放射率εに基づいて基板Wの温度Tを求めること
ができる。従って、常に適切な基板Wの温度管理を行う
ことができる。
【0132】なお、この実施の形態では、基板Wの反射
面21Eに対向する面と反射面21Eとの間で、基板W
が放射する放射光を多重反射させることが必要であるた
め、基板Wの反射面21Eに対向する面と反射面21E
との間隔は基板処理装置1における基板Wの温度計測に
適した間隔に設定することが好ましい。
【0133】例えば、基板Wの反射面21Eに対向する
面と反射面21Eとの間隔が接近するにつれて、多重反
射の回数が多くなる。しかし、近接しすぎた場合は、導
光管13の特性から多重反射された多重反射光を多く取
り込むことが困難となるとともに、基板Wに対する温度
不均一の要因にもなる。
【0134】一方、基板Wの反射面21Eに対向する面
と反射面21Eとの間隔が離れるにつれて、多重反射の
回数が少なくなる。多重反射の回数が少なくなると、こ
の発明の原理からズレを生じることとなるとともに、反
射光の検出も困難になり、適切な基板Wの温度Tを求め
ることが困難となる。
【0135】このような観点から、基板Wの反射面21
Eに対向する面と反射面21Eとの間隔は、4mm〜1
2mm程度の間隔にすることが好ましい。
【0136】<4.変形例>上記実施の形態において、
放射温度計10に設けられた一の導光管13が光源11
の照射光を基板Wの一の面に対して導くとともに、基板
Wによって照射光が反射された反射光と多重反射光とを
検出器12に導くように構成されている場合について説
明したがこのようなものに限定するものではなく、光源
11からの照射光を基板Wに導く導光管と、反射光およ
び多重反射光を検出器12に導く導光管とをそれぞれ別
個に備えるように構成してもよい。また、導光管13の
代わりに光ファイバなどを使用してもよい。
【0137】さらに、上記実施の形態では、放射温度計
10が導光管13を備えている場合について説明した
が、放射温度計10の検出器12が適切に反射光と多重
反射光とを検出することができるように配置構成されて
いれば、導光管13は必須のものではない。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、開口部が形成されるとともに基板の一の面に対
向する反射面と、開口部を介して所定波長の光を基板の
一の面に照射する光源と、光源からの照射光が基板の一
の面によって反射される反射光を開口部を介して検出す
るとともに、基板からの放射光が基板の一の面と反射面
とによって多重反射された多重反射光を開口部を介して
検出する検出手段とを備えるため、温度測定誤差が小さ
く精度の高い適切な温度管理を行うことができるととも
に、基板に汚染物質を付着させることがなく、また、基
板の温度分布やプロセスガス流が不均一となることもな
い。
【0139】請求項2の発明によれば、光源の点灯状態
と消灯状態とを切り換える光源切り換え手段と、光源の
点灯時に検出手段によって検出される多重反射光と反射
光との第1の光強度と、光源の消灯時に検出手段によっ
て検出される多重反射光の第2の光強度とに基づいて所
定の演算を行うことにより、基板の温度を算出する演算
手段とをさらに備えるため、温度測定誤差を小さくする
ことができる。
【0140】請求項3の発明によれば、演算手段は、第
1の光強度と第2の光強度とより、基板の反射率を求め
る反射率算出手段と、反射率から基板の放射率を求める
放射率算出手段と、放射率と光源の消灯時に検出手段に
よって検出される多重反射光の第2の光強度とに基づい
て基板の温度を算出する温度算出手段とを備えるため、
精度の高い適切な温度管理を行うことができる。
【0141】請求項4の発明によれば、反射面と前記基
板の一の面とは、4mmから12mmの間隔で配置され
るため、基板の温度計測に適した間隔となっている。
【0142】請求項5の発明によれば、光源を点灯させ
た状態で検出手段によって多重反射光と反射光との第1
の光強度を検出するとともに、光源を消灯させた状態で
検出手段によって多重反射光の第2の光強度を検出した
後、第1の光強度と第2の光強度とに基づいて所定の演
算を行うことにより基板の温度を算出するため、温度測
定誤差が小さい基板温度計測を行うことができる。
【0143】請求項6の発明によれば、第1および第2
の光強度の検出と所定の演算を行うことによる基板の温
度を算出とが繰り返し行われるため、常に正確な基板の
温度計測を行うことができる。
【0144】請求項7の発明によれば、第1の光強度と
第2の光強度とより基板の反射率を求め、反射率から基
板の放射率を求め、放射率と第2の光強度とに基づいて
基板の温度を算出するため、精度の高い適切な温度計測
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の技術背景となる放射温度計の概念図
である。
【図2】多重反射効果を利用しない場合の温度計測誤差
を示す図である。
【図3】この発明における基板の温度計測の原理を示す
概略図である。
【図4】基板が放射する放射光の多重反射を説明する図
である。
【図5】多重反射効果を利用した場合の実際の基板の放
射率とみかけの放射率との関係を示す図である。
【図6】多重反射効果を利用する場合の温度計測誤差を
示す図である。
【図7】この発明の一の実施の形態である基板処理装置
の構成を示す縦断面図である。
【図8】この発明の一の実施の形態である基板処理装置
を矢印Z方向(下方)からみたときの様子を示す底面図
である。
【図9】この発明の実施形態の放射温度計および温度算
出部の内部構成を示す概念図である。
【図10】この発明の実施形態の基板処理装置における
処理手順を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態の基板処理装置における
処理手順を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態の基板処理装置における
処理手順を示すフローチャートである。
【図13】基準基板によって得られる基板の反射率ρと
検出器で検出される反射光強度との関係の一例を示す図
である。
【図14】多重反射効果を利用した場合と利用しない場
合との基板温度の測定誤差を対比させた図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置 2 チャンバ 5 温度算出部 5a 演算部(演算手段,反射率算出手段,放射率算出
手段,温度算出手段) 5b 光源切り換え部(光源切り換え手段) 6 制御部 10 放射温度計 11 光源 12 検出器(検出手段) 13 導光管 21E 反射面 21H 開口部 W 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 敏博 京都市伏見区羽束師古川町322番地 大日 本スクリーン製造株式会社洛西事業所内 Fターム(参考) 2F056 VF11 VF16 2G066 AB02 AC07 AC16 BA43 BB15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に加熱を伴う処理を施す基板処理装
    置であって、 (a) 開口部が形成されるとともに前記基板の一の面に対
    向する反射面と、 (b) 前記開口部を介して所定波長の光を前記基板の一の
    面に照射する光源と、 (c) 前記光源からの照射光が前記基板の一の面によって
    反射される反射光を前記開口部を介して検出するととも
    に、前記基板からの放射光が前記基板の一の面と前記反
    射面とによって多重反射された多重反射光を前記開口部
    を介して検出する検出手段と、を備えることを特徴とす
    る基板処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の基板処理装置におい
    て、 (d) 前記光源の点灯状態と消灯状態とを切り換える光源
    切り換え手段と、 (e) 前記光源の点灯時に前記検出手段によって検出され
    る前記多重反射光と前記反射光との第1の光強度と、前
    記光源の消灯時に前記検出手段によって検出される前記
    多重反射光の第2の光強度とに基づいて所定の演算を行
    うことにより、前記基板の温度を算出する演算手段と、
    をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の基板処理装置におい
    て、 前記演算手段は、 (e-1) 前記第1の光強度と前記第2の光強度とより、前
    記基板の反射率を求める反射率算出手段と、 (e-2) 前記反射率から前記基板の放射率を求める放射率
    算出手段と、 (e-3) 前記放射率と、前記光源の消灯時に前記検出手段
    によって検出される前記多重反射光の第2の光強度とに
    基づいて前記基板の温度を算出する温度算出手段と、を
    備えることを特徴とする基板処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の基
    板処理装置において、 前記反射面と前記基板の一の面とは、4mmから12m
    mの間隔で配置されていることを特徴とする基板処理装
    置。
  5. 【請求項5】 開口部が形成されるとともに基板の一の
    面に対向する反射面と、前記開口部を介して所定波長の
    光を基板の一の面に照射する光源と、前記光源からの照
    射光が前記基板の一の面によって反射される反射光を前
    記開口部を介して検出するとともに、前記基板からの放
    射光が前記基板の一の面と前記反射面とによって多重反
    射された多重反射光を前記開口部を介して検出する検出
    手段とを備える基板処理装置における基板温度計測方法
    であって、 (a) 前記光源を点灯させた状態で、前記検出手段によっ
    て前記多重反射光と前記反射光との第1の光強度を検出
    する工程と、 (b) 前記光源を消灯させた状態で、前記検出手段によっ
    て前記多重反射光の第2の光強度を検出する工程と、 (c) 前記第1の光強度と前記第2の光強度とに基づいて
    所定の演算を行うことにより、前記基板の温度を算出す
    る工程と、を有することを特徴とする基板温度計測方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の基板温度計測方法にお
    いて、 前記 (a) 工程から前記 (c) 工程を繰り返し行うことを
    特徴とする基板温度計測方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の基板温度計測
    方法において、 前記 (c) 工程は、 (c-1) 前記第1の光強度と前記第2の光強度とより、前
    記基板の反射率を求める工程と、 (c-2) 前記反射率から前記基板の放射率を求める工程
    と、 (c-3) 前記放射率と前記第2の光強度とに基づいて前記
    基板の温度を算出する工程と、を有することを特徴とす
    る基板温度計測方法。
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