JP2000100485A - 電解質および光電気化学電池 - Google Patents

電解質および光電気化学電池

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JP2000100485A
JP2000100485A JP10285947A JP28594798A JP2000100485A JP 2000100485 A JP2000100485 A JP 2000100485A JP 10285947 A JP10285947 A JP 10285947A JP 28594798 A JP28594798 A JP 28594798A JP 2000100485 A JP2000100485 A JP 2000100485A
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Hiroo Takizawa
裕雄 滝沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な電解質を提供し、光電変換特性に優
れ、特に耐久性に優れた光電気化学電池を提供する。 【解決手段】 窒素を含有するヘテロ環の4級塩または
4級アンモニウム塩を含む置換基を側鎖にもつ特定構造
のビニルポリマーである非架橋高分子化合物を含有させ
た電解質とし、これを電荷移動層に用いた光電気化学電
池とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の電解質、さ
らにはこれを用いた光電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光エネルギーを電気エネルギーに変換す
る太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコ
ン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化
カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池
が実用化、もしくは研究開発の対象となっているが、普
及させる上で製造コスト、原材料の確保、エネルギーペ
イバックタイムの長さなどの問題点を克服する必要があ
る。一方、大面積化や低価格化を指向した有機材料を用
いた太陽電池もこれまでにも多く提案されているが、変
換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0003】こうした状況の中で、Nature(第353巻、
第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等
に、色素によって増感された酸化物半導体を用いた光電
変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)および
これを用いた光電気化学電池の技術が開示された。この
電池は負極として機能する光電変換素子、電荷移動層お
よび対向電極からなる。光電変換素子は導電性支持体お
よび感光層からなり、感光層は表面に色素が吸着した半
導体を含む。電荷移動層は酸化還元体からなり、負極と
対向電極(正極)との間で電荷輸送を担う。上記特許で
提案された光電気化学電池は、電荷移動層としてヨウ化
カリウム等の塩を電解質とする水溶液(電解液)を用い
た電池である。この方式は安価で、比較的高いエネルギ
ー変換効率(光電変換効率)が得られる点で有望である
が、電荷移動層にヨウ化カリウム水溶液といったような
低沸点溶媒を多く含む電解液を用いているため、長期に
わたって使用すると電解液の蒸散、枯渇により光電変換
効率が著しく低下したり、電池として機能しなくなるこ
とが問題であった。
【0004】この問題に対し、電解液の枯渇防止方法と
して、WO95/18456号に低融点化合物であるイ
ミダゾリウム塩を電解質とする方法が記載されている。
この方法によれば、従来、電解質の溶媒として用いてい
た水や有機溶剤が不要、あるいは少量で済むため、耐久
性の改善は見られたが、未だ耐久性は不十分であり、ま
た光電変換効率が低いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光電
変換特性および耐久性に優れた電池の電解質、特に光電
気化学電池の電解質を提供することである。さらには光
電変換効率および耐久性に優れた光電気化学電池を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の本発
明を特定する事項および好ましい事項に解決された。 (1) 下記式(I)で表される非架橋高分子化合物を
含むことを特徴とする電解質。
【0007】
【化4】
【0008】[式(I)中、R1およびR3はそれぞれ独
立に水素、アルキル基またはアリール基を表す。R2
窒素を含有するヘテロ環の4級塩または4級アンモニウ
ム塩を含む置換基を表す。R4は窒素を含有するヘテロ
環または3級アミンを含む置換基を表す。DおよびEは
それぞれ独立に連結基を表し、dおよびeはそれぞれ独
立に0または1である。Aはエチレン性不飽和基を含有
する化合物から誘導される繰り返し単位を表す。a、b
およびcはそれぞれ独立に各繰り返し単位の重量組成比
を表し、aは1重量%以上100重量%以下であり、b
は0重量%以上99重量%以下であり、cは0重量%以
上80重量%以下である。] (2) 式(I)中のR1およびR3がそれぞれ独立に水
素またはメチル基である上記(1)の電解質。 (3) 式(I)中のR2が窒素を含有する芳香族5ま
たは6員のヘテロ環の4級塩を含む置換基である上記
(1)または(2)の電解質。 (4) 式(I)のR2がピリジンまたはイミダゾール
の4級塩を含む置換基である上記(3)の電解質。 (5) 式(I)中のR4が窒素を含有する芳香族5ま
たは6員のヘテロ環を含む置換基である上記(1)〜
(4)のいずれかの電解質。 (6) 式(I)中のR4がピリジンまたはイミダゾー
ルを含む置換基である上記(5)の電解質。 (7) 式(I)中のdおよびeがともに1であり、D
およびEがともに−COO−D1−または−CONR5
2−(ここで、R5は水素またはアルキル基を表し、D
1およびD2はそれぞれアルキレン基またはオキシアルキ
レン基を表す。)を表す上記(1)〜(6)のいずれか
の電解質。 (8) 式(I)中のdおよびeがともに0である上記
(1)〜(6)のいずれかの電解質。 (9) 式(I)中のaが30重量%以上である上記
(1)〜(8)のいずれかの電解質。 (10) 式(I)中のR2で表される置換基に含まれ
る窒素を含有するヘテロ環の4級塩および4級アンモニ
ウム塩が、それぞれ独立にヨウ素イオンまたは臭素イオ
ンを含む上記(1)〜(9)のいずれかの電解質。 (11) 式(I)中のR2で表される置換基に含まれ
る置換基を含有するヘテロ環の4級塩および4級アンモ
ニウム塩が、それぞれ独立にヨウ素イオンを含む上記
(10)の電解質。 (12) 式(I)で表される非架橋高分子化合物を1
〜30重量%含有する上記(1)〜(11)のいずれか
の電解質。 (13) 非架橋高分子化合物以外の成分の50重量%
以上が下記式(II)で表される化合物である上記(1)
〜(12)のいずれかの電解質。
【0009】
【化5】
【0010】[式(II)中、Z1は窒素とともに、芳香族
5または6員環のカチオンを形成しうる原子団を表し、
51はアルキル基またはアルケニル基を表し、fは1ま
たは3である。] (14) 式(II)で表される化合物が式(III)また
は(IV)で表される化合物である上記(13)の電解
質。
【0011】
【化6】
【0012】[式(III)中、R51はアルキル基または
アルケニル基を表し、fは1または3である。R52は置
換基を表し、gは0〜5の整数である。但し、gが2以
上の場合、R52は同じ置換基でも異なる置換基でもよ
い。式(IV)中、R51はアルキル基またはアルケニル基
を表し、fは1または3である。Gは酸素、硫黄または
−NR54−を表し、ここで、R54は置換基を表す。R53
は置換基を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上
の場合、R53は同じ置換基でも異なる置換基でもよ
い。] (15) 非架橋高分子化合物以外の成分の80重量%
以上が式(II)で表される化合物である上記(13)ま
たは(15)の電解質。 (16) 25℃にて液体状態である式(II)で表され
る化合物を含む上記(13)〜(15)のいずれかの電
解質。 (17) 25℃にて固体であり、かつ融点が100℃
以下である式(II)で表される化合物を含む上記(1
3)〜(15)のいずれかの電解質。 (18) 光電気化学電池に用いられる上記(1)〜
(17)のいずれかの電解質。 (19) 上記(18)の電解質を含む電荷移動層を有
し、さらに輻射線に感応する半導体と対向電極とを有す
る光電気化学電池。 (20) 半導体が色素で増感された微粒子半導体であ
る上記(19)の光電気化学電池。 (21) 微粒子半導体が金属カルコゲニドである上記
(20)の光電気化学電池。 (22) 金属カルコゲニドが酸化チタンを含む上記
(21)の光でき化学電池。 (23) 色素が金属錯体色素および/またはポリメチ
ン色素である上記(19)〜(22)のいずれかの光電
気化学電池。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
式(I)で表される非架橋高分子を含む本発明の電解質
について詳しく説明する。
【0014】本発明の電解質は種々の電池またはCCD
(電荷結合素子)カメラ等に代表される光電変換素子等
に用いることができるが、好ましくはリチウムイオン二
次電池または下記の半導体を用いた光電変換素子もしく
は光電気化学電池に用いることが好ましく、下記の半導
体を用いた光電気化学電池に用いることがより好まし
い。
【0015】式(I)で表される本発明の非架橋高分子
化合物は、電解質の構成成分であり、自身が酸化還元物
質であってもそうでなくてもよいが、自身が酸化還元物
質である方がより好ましい。
【0016】式(I)で表される非架橋高分子化合物を
電解質に含有させることによって、これを含有させない
場合に比べて、光電変換特性の経時劣化を防止する効果
が格段と向上する。
【0017】式(I)で表される非架橋高分子化合物に
ついて説明するが、式(I)中にアルキル基、アルケニ
ル基が含まれるとき、特に断らない限り、これらは直鎖
状でも分岐鎖状であってもよく、置換していてもよい。
また、アリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基を含
むとき、これらは単環でも縮環していてもよく、置換し
ていてもよい。
【0018】式(I)にて、R1、R3はそれぞれ独立に
水素、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数と
いう)1〜20、例えばメチル、エチル、i−プロピ
ル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシ
ル、ドデシル、ベンジル、トリフルオロメチル、2−エ
トキシエチル)、アリール基(好ましくはC数6〜2
0、例えばフェニル、2−ナフチル、4−メトキシフェ
ニル、3−メチルフェニル、2−クロロフェニル)であ
り、好ましくは水素またはアルキル基であり、より好ま
しくは水素またはメチル基である。
【0019】式(I)にてR2は窒素を含有するヘテロ
環の4級塩(好ましくはC数2〜30)または4級アン
モニウム塩(好ましくはアミノ基部分のC数3〜30)
を含む置換基を表す。ヘテロ環としては5または6員環
の芳香環が好ましく、例えばピリジン環、ピリミジン
環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサ
ゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、トリアゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾ
ール環、オキサジアゾール環であり、より好ましくは、
ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾ
ール環を表し、さらに好ましくはピリジン環またはイミ
ダゾール環を表し、最も好ましくはピリジン環を表す。
【0020】ヘテロ環4級塩はヘテロ環窒素上にアルキ
ル基またはアルケニル基が置換して形成されることが好
ましい。4級アンモニウム塩は窒素上にアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基が置換して形成されることが好
ましいが、アルキル基が置換することが好ましい。
【0021】R2で表される置換基は、窒素を含有する
ヘテロ環の4級塩、あるいは4級アンモニウム塩そのも
ので構成されていてもよく、またこれらを有するアルキ
ル基、アリール基等の他の置換基であってもよく、他の
置換基である場合はアルキル基であることが好ましく、
その総C数は1〜20であることが好ましい。
【0022】R2が窒素を含有するヘテロ環の4級塩で
あるとき、ヘテロ環におけるDへの結合手はヘテロ環か
ら出ても、窒素上のアルキル基またはアルケニル基から
出てもよい。
【0023】式(I)にてR4は窒素を有するヘテロ環
(好ましくはC数1〜30)または3級アミン(好まし
くはアミン基部分のC数2〜30)を含む置換基を表
す。
【0024】窒素を有するヘテロ環の好ましい例として
はR2に挙げた例と同じである。また、ヘテロ環として
はR2と同じものが用いられることが好ましい。3級ア
ミンは窒素上にアルキル基、アルケニル基、アリール基
が置換して形成されることが好ましいが、アルキル基が
置換することが好ましい。このほかの好ましい構成もR
2の場合に準じる。
【0025】式(I)にてD、Eは独立に連結基を表
す。D、Eは好ましくはともに−COO−D1−または
−CONR5−D2−で表されることが好ましい。ここ
で、R5は水素またはアルキル基(好ましい例はR1と同
じ)を表す。D1、D2はアルキレン基(好ましくはC数
1〜20、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、
ブチレン、メチルエチレン)、オキシアルキレン基(好
ましくはC数1〜20、例えばオキシエチレン、オキシ
プロピレン、オキシメチルメチレンやこれらを繰り返し
含むもの)を表す。また、アルキレン基と、オキシアル
キレン基との組み合わせであってもよい。D、Eは共に
−COO−D1−であることが好ましい。
【0026】式(I)にてd、eは独立に0または1を
表す。d、eはともに0であることが好ましく、また、
d、eがともに1であるときは上記の好ましいD、Eと
の組み合わせが好ましい。
【0027】式(I)において、Aはエチレン性不飽和
基を含有する化合物から誘導される繰り返し単位を表わ
す。Aで表わされる繰り返し単位を誘導するエチレン性
不飽和基を有する化合物の好ましい例としては、アクリ
ル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル
酸など)類から誘導されるエステル類もしくはアミド類
(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−
ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタ
クリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチルア
クリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルア
クリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピル
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチ
ルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メト
キシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレ
ート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,
2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジ
メチルブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリ
レート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシ
エチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−
ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリ
レート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアク
リレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル
−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフル
オロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ
エチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタク
リレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−
ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、
メトキシエトキシエトキシメチルメタクリレート、2−
メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメ
タクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフ
ルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタク
リレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノル
ボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2
−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボ
ルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメ
タクリレートなど)、アクリル酸またはα−アルキルア
クリル酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル)、マ
レイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(例
えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマ
ル酸ジエチル)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレン
スルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、ジエン類(例えば、ブタジエン、シクロ
ペンタジエン,イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例
えば、スチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチ
レン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルーN−メ
チルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニ
ル−N−メチルアセトアミド、ビニルスルホン酸、ビニ
ルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウ
ム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオ
ライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテ
ル類(例えば、メチルビニルエーテル)、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン、N−フェニルマレ
イミド等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を
有する化合物は組み合わせて使用してもよい。これら以
外のエチレン性不飽和基を有する化合物はリサーチディ
スクロージャーNo.1955(1980年、7月)に記
載されているものを使用することができる。
【0028】a、b、cは各繰り返し単位の重量組成比
を表す。aは1重量以上100重量%以下を表し、好ま
しくは20重量以上を表し、より好ましくは30重量%
以上を表す。bは0重量%以上99重量%以下を表し、
好ましくは90重量%以下を表す。cは0重量%以上8
0重量%以下を表し、好ましくは50重量%以下を表
す。
【0029】式(I)にて、R2におけるヘテロ環4級
塩または4級アンモニウム塩の対アニオンは好ましくは
Cl-、Br-、I-、F-、CH3COO-、CF3CO
-、C37COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、BF
4 -、PO4 3-、NO3 -、(CF3SO22-、PF6 -
ClO4 -、SO4 2-、OH-、OCH3 -、SCH3 -、(C
3O)2P(O)O-等が挙げられるが、好ましくはC
-、Br-、I-、CH3COO-、CF3COO-、CO3
SO3 -、BF4 -、(CF3SO22-であり、より好ま
しくはBr-、I-である。
【0030】その際、式(I)で表される非架橋高分子
化合物自身が電解質における酸化還元物質となりうるこ
とが好ましく。対アニオンはI-であることがより好ま
しい。式(I)で表される化合物の分子量は重量平均分
子量で好ましくは1000以上であり、より好ましくは
2000以上である。
【0031】以下に本発明の式(I)で表される非架橋
高分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定
されるものでもよい。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】本発明の高分子化合物は、大津隆行・木下
雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆
行:講座重合反応論1ラジカル重合(1)(化学同人)
に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合
によって合成することができる。本発明の高分子化合物
は、光、電子線、また電気化学的にラジカル重合するこ
とができるが、特に加熱によってラジカル重合させるこ
とが好ましい。本発明の高分子化合物が加熱により形成
される場合に好ましく使用される重合開始剤は、例え
ば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメ
チル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなど
のアゾ系開始剤、ラウリルパーオキシド、ペンゾイルパ
ーオキシド、tert−ブチルパーオクトエートなどの過酸
化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は
モノマー総量に対し0.01重量%以上20重量%以下
であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%
以下である。
【0037】式(I)で表される化合物は単独で用いて
も混合してもよい。
【0038】式(I)で表される本発明の非架橋高分子
化合物は電解層中に0.1〜100重量%含有すること
が好ましく、1〜50重量%含有することがより好まし
く、1〜30重量%含有することがさらに好ましい。
【0039】次に本発明の電解質を構成する式(I)で
表される非架橋高分子化合物以外の成分、すなわち支持
電解質、溶媒について説明する。本発明の支持電解質
は、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物、テ
トラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨ
ーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2
とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、あ
るいはBr2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、
ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の
臭素塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロ
セン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化
ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド
などのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−
キノンなどを用いることができる。この中でも本発明の
支持電解質は、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨ
ウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリ
ジニウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ
素塩が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上
併用してもよい。好ましい支持電解質濃度は、0.1モ
ル/リットル以上0.8モル/リットル以下である。ま
た、本発明の支持電解質にヨウ素を添加して酸化還元対
を予め生成させておくこともできるが、その場合の好ま
しい添加濃度は0.01モル/リットル以上0.2モル
/リットル以下である。
【0040】本発明の電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、または誘電率が高く有
効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導
性を発現できる化合物であることが望ましい。このよう
な溶媒ととしては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレン
グリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコール
ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエー
テルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
モノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多
価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、カルボン酸エステ
ル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等のエステル
類、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロ
トン極性物質、水などを用いることができる。この中で
も、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートな
どのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリ
ジノンなどの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロ
ジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリ
ル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エステル類
が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併
用してもよい。
【0041】溶媒として好ましい例を以下に具体的に記
すが、これらに限定されない。
【0042】
【化11】
【0043】溶媒としては、耐揮発性による耐久性向上
の観点にて常圧(1気圧)における沸点は200℃以上
が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以
上がさらに好ましい。したがって、S−5、S−6が好
ましい。
【0044】本発明の式(I)で表される化合物を含む
電解質において、式(I)で表される化合物を除く電解
質の50重量%以上が、式(II)で表される化合物であ
ることが効率、耐久性の点で好ましく、70重量%以上
であることがより好ましく、80重量%以上がさらに好
ましく、90重量%以上が最も好ましい。
【0045】式(II)の化合物は25℃にて液体または
低融点の固体である塩、すなわちいわゆる溶融塩と呼ば
れるものであることが好ましい。このような場合は式
(II)の化合物単独で電解質とできることが多く、溶媒
をほとんど用いる必要がないことが多い。式(II)の化
合物は一般的な溶媒に比べて沸点が極めて高く揮発性が
低いため、したがってそれから得られる電解質は揮発に
よる素子の性能劣化が防止でき好ましい。こうした耐久
性だけでなく、さらに短絡電流密度も高いため、光電変
換特性にも優れ、製造適性にも優れた光電気化学電池を
得ることができる。
【0046】なお、式(II)の化合物としては融点が1
00℃以下であることが好ましく、80℃以下がより好
ましく、60℃以下がさらに好ましい。前述のように、
このような化合物には25℃で液体である化合物が含ま
れる。式(II)の化合物の沸点(標準沸点)は、好まし
くは300℃以上であり、より好ましくは400℃以上
である。
【0047】また、式(II)の化合物において、25℃
にて液体の化合物、例えば後述の化合物例におけるF−
1、F−4、F−5、F−15等は短絡電流等の初期性
能にてより好ましく、逆に式(II)の化合物において2
5℃にて固体の化合物、例えば後述の化合物例における
F−6、F−9、F−13、F−41等は、耐久性等の
点でより好ましい。
【0048】なお、25℃にて固体であっても溶媒、
水、その他の添加剤等の添加によって液体状態となって
電解質としての性能を満たすことができることが多い。
また、場合によっては、何も添加しなくても加熱溶解し
て電極に浸透させるか、低沸点溶媒(例えばメタノー
ル、アセトニトリル、塩化メチレン)等を用いて電極に
浸透させ、その後溶媒を加熱により除去する方法等に
て、光電気化学電池の電極中に電解質として組み込む方
法もできうる。
【0049】なお、式(II)で表される化合物は、多少
の吸湿性を有するものが多いが、0.1〜15重量%程
度の水分を含んだまま用いてもよい。
【0050】次に、式(II)について説明する。式(I
I)中、Z1は窒素とともに芳香族5または6員環のカチ
オンを形成しうる原子団を表し、好ましくは炭素、水
素、窒素、酸素、硫黄が構成原子となりうる。
【0051】Z1で完成される芳香族6員環として、好
ましくはピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジ
ン、トリアジンであり、より好ましくはピリジンであ
る。
【0052】Z1で完成される芳香族5員環として、好
ましくは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、
ピラゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、オキ
サジアゾール、トリアゾールであり、より好ましくはオ
キサゾール、チアゾール、イミダゾールである。特には
オキサゾール、イミダゾールが好ましい。
【0053】これらの環はアルキル基、アシルオキシ
基、複素環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ハ
ロゲン、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基等の
置換基を有していてもよい。
【0054】式(II)について説明すると、式(II)
中、R51は置換もしくは無置換のアルキル基(好ましく
は炭素原子数(以下C数)が1〜24であり、直鎖状で
あっても分岐鎖状であってもよく、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、i−プロピル、ペンチル、ヘキ
シル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、
デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシ
ル、オクタデシル、ベンジル、2−エトキシエチル、2
−ブトキシエチル、ヘプタフルオロプロピル、シアノメ
チル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニル
メチル、イミダゾリウムヘキシル、エトキシカルボニル
プロピル、ピリジニウムドデシル)、置換もしくは無置
換のアルケニル基(好ましくはC数が2〜24であり、
直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばビニ
ル、アリル)を表し、好ましくはC数3〜18のアルキ
ル基またはC数2〜18のアルケニル基を表し、より好
ましくはC数4〜12の無置換のアルキル基またはビニ
ル基、アリル基を表し、さらに好ましくはC数4〜12
の無置換のアルキル基を表す。
【0055】式(II)にてfは1または3を表す。fが
1のときはI-、すなわち電解質における還元物質を表
し、fが3のときはI3 -、すなわち酸化物質を表す。
【0056】なお、式(II)において、Z1で完成され
る芳香族5または6員環の置換基あるいはR51が、式
(II)中と同じ含窒素芳香族5または6員環の4級塩を
有していてもよい。
【0057】式(II)で表される本発明の化合物は式
(III)または(IV)で表される化合物がより好まし
い。
【0058】式(III)、(IV)中、R51、fはそれぞ
れ式(II)のものと同義である。
【0059】式(IV)中、Gは酸素、硫黄、−NR54
を表し、好ましくは酸素、−NR54−を表す。
【0060】式(III)、(IV)中、R52、R53、R54
はそれぞれ独立に、置換基を表し、好ましくは置換して
いても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基(好まし
くはC数1〜24、例えばメチル、エチル、i−プロピ
ル、ブチル、t−ブチル、オクチル、2−メトキシエチ
ル、ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エ
トキシカルボニルメチル、6−(3−オクチルイミダゾ
リウム−1−イル)ヘキシル、3−(1−オクチルピリ
ジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル−3
−メチルピリジニウム−4−イル)プロピル)、置換し
ていても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルケニル基(好
ましくはC数2〜24、例えばビニル、アリル)、置換
していても縮環していてもよいアリール基(好ましくは
C数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、
3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチ
ル)、置換していても縮環していてもよい複素環基(含
窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよ
い。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2
−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イル、2
−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、
アルコキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばメトキ
シ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ)、アシルオ
キシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキ
シ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好
ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エ
トキシカルボニル)、シアノ基、ハロゲン(例えば塩
素、臭素)を表し、より好ましくはアルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シア
ノ基、ハロゲンを表す。
【0061】R52として、さらに好ましくはアルキル
基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基
を表し、最も好ましくはメチル基、エチル基、シアノメ
チル基、アルコキシカルボニルメチル基、ビニル基、ア
ルコキシカルボニル基を表す。そのなかでもメチル基が
特に好ましい。
【0062】R53として、さらに好ましくはC数1〜1
2の無置換のアルキル基、またはC数2〜12のアルケ
ニル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0063】R54として、さらに好ましくはアルキル
基、アルケニル基を表し、より好ましくはC数1〜12
の無置換のアルキル基、ビニル基、アリル基を表す。式
(III)にて、gは0〜5の整数を表し、好ましくは0
〜2の整数を表し、好ましくは0または1である。
【0064】式(IV)にて、hは0〜3の整数を表し、
好ましくは0〜2の整数を表す。Gが酸素、硫黄のとき
hは1または2が好ましく、Gが−NR54−のときはh
は0が好ましい。
【0065】なお、式(III)において、R51、R52
式(III)中と同じピリジニウム塩を有していてもよ
く、式(IV)において、R51、R53、R54が、式(IV)
中と同じオキサゾリウム塩、チアゾリウム塩、イミダゾ
リウム塩を有していてもよい。
【0066】式(III)で表される化合物は式(IV)で
表される化合物よりもさらに融点が低く室温にて液体で
あるものが多く、本発明の目的としてはより好ましい。
【0067】以下に本発明の式(II)で表される化合物
の具体例を式(II)におけるカチオンとアニオンとの組
み合わせによって示すが、本発明はこれに限定されるわ
けではない。
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】
【化17】
【0074】
【化18】
【0075】
【化19】
【0076】
【化20】
【0077】
【化21】
【0078】式(II)で表される本発明の化合物は単独
でも混合して用いてもよいが、特に、同じカチオン種に
てI-とI3 -が任意の比で混合されて用いることが好ま
しく、その際I3 -はI-の0.1〜50モル%であるこ
とが好ましく、0.1〜20モル%であることがより好
ましく、0.5〜10モル%であることがさらに好まし
く、0.5〜5モル%であることが最も好ましい。
【0079】本発明の式(II)で表される化合物のう
ち、アニオンがI-の化合物は、にピリジン等の含窒素
芳香族5または6員環化合物にヨウ化アルキルまたはヨ
ウ化アルケニル等を加熱下反応させることにより容易に
合成しうる。アニオンがI3 -の化合物はI-の化合物に
2を加えることにより容易に合成しうる。
【0080】このようなことから、予めアニオンがI-
の化合物を合成しておき、電解質として使用するとき、
所定量のI2を加えて、アニオンがI-のものとI3 -のも
のとの混合物を得ることが好ましい。
【0081】本発明の電解質は以下に説明する半導体を
用いた光電気化学電池に用いることが好ましい。
【0082】以下に本発明の光電気化学電池について詳
しく述べる。本発明の光電気化学電池は、輻射線に感応
する半導体と電荷移動層と対向電極とを有するものであ
り、電荷移動層には本発明の電解質が含有されている。
電荷移動層の厚みは、0.001〜200μm が好まし
く0.1〜100μm であることがより好ましい。
【0083】本発明において半導体はいわゆる感光体で
あり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる
役割を担う。
【0084】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムの
ような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば
酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる
化合物半導体またはペロブスカイト等を使用することが
できる。金属のカルコゲニドとして好ましくはチタン、
スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニ
ウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イット
リウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタン
タルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモ
ン、ビスマス等の硫化物、カドミウム、鉛等のセレン化
物、カドミウムのテルル化物等が挙げられ、他の化合物
半導体としては亜鉛、カリウム、インジウム、カドミウ
ム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレ
ン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
【0085】また、ペロブスカイトとして好ましくはチ
タン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸
ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が
挙げられる。
【0086】本発明に用いられる半導体としてより好ま
しくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、Zn
O、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、GaP、InP、Ga
As、CdTe、CuInS2、CuInSe2等が挙げられ、さらに好ま
しくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、Pb
S、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2等である。
【0087】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好まし
いが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバック
タイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートル
からマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好まし
い。
【0088】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積
を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子
として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜1
00nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体
微粒子の平均粒径としては0.01〜100μmである
ことが好ましい。
【0089】さらに微粒子半導体としては色素により増
感されて用いられることが好ましく、その際は金属酸化
物が好ましく、具体的にはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO
3、Nb2O5が好ましく、TiO2がより好ましい。
【0090】以下に、色素で増感された半導体微粒子を
用いた本発明の光電気化学電池について詳しく述べる。
【0091】このような光電気化学電池は導電性支持
体、導電性支持体上に塗設される色素の吸着した半導体
微粒子の層(感光層)、本発明の式(I)で表される非
架橋高分子化合物を含む電解質を含有する電荷移動層お
よび対電極から構成されることが好ましい。この場合、
半導体含有層には電解質が含浸ないし浸透されていても
よい。
【0092】導電性支持体は、金属のように支持体その
ものに導電性があるものか、または表面に導電剤層を有
するガラスもしくはプラスチックの支持体を使用するこ
とができる。後者の場合好ましい導電剤としては金属
(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、
インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物
(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をド
ープしたもの等)が挙げられる。この中でもフッ素をド
ーピングした二酸化スズからなる導電剤層を、低コスト
のソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積
した導電性ガラスが特に好ましい。上記導電剤層の厚さ
は、0.02〜10μm程度であることが好ましい。
【0093】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であ
り、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下限
には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度であ
る。
【0094】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体と
してはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化
物を塗設したものが好ましい。このときの導電性の金属
酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体
1m2当たり0.01〜100gが好ましい。透明導電性
支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させること
が好ましい。
【0095】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する
方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶
液を導電性支持体上に塗布する方法、半導体微粒子の前
駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加
水分解して半導体微粒子膜を得る方法(ゾル-ゲル法)
などが挙げられる。半導体微粒子の分散液を作成する方
法としては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水
または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセト
ン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分
散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もし
くはキレート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0096】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積
は、投影面積に対して10倍以上であることが好まし
く、さらに100倍以上であることが好ましい。この上
限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0097】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子層には好ましい厚さが存在するが、典
型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池と
して用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、
3〜20μmであることがより好ましい。半導体微粒子
は支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクト
させ、塗膜強度の向上や基板との密着性を向上させるた
めに焼成することが好ましい。好ましい焼成温度の範囲
は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは40
℃以上650℃以下である。また焼成時間は10分〜1
0時間程度である。
【0098】また、焼成後、半導体粒子の表面積を増大
させたり、半導体粒子近傍の純度を高め色素から半導体
粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チ
タン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を
用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0099】なお、半導体微粒子の支持体1m2当たりの
塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ま
しい。
【0100】本発明に使用する色素は、錯体色素、特に
金属錯体色素および/またはポリメチン色素が好まし
い。こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な
結合基(interlocking group)を有していることが好ま
しい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H基、シア
ノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、または、オキシ
ム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレートお
よびα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレ
ート化基が挙げられる。この中でもCOOH基、-P(O)(OH)2
基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアル
カリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を
形成していてもよい。また、ポリメチン色素の場合、メ
チン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する
場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基
としてもよい。
【0101】本発明に使用する色素が金属錯体色素の場
合、ルテニウム錯体色素である場合が好ましく、さらに
下記式(V)で表される色素が好ましい。 式(V) (Y1)pRuBabc 式中、pは0〜2であり、好ましくは2である。Ruは
ルテニウムを表す。Y1はCl、SCN、H2O、Br、
I、CN、−NCO、およびSeCNから選択される配
位子である。Ba、Bb、Bcはそれぞれ独立に以下のB-
1〜B-8から選択される有機配位子である。
【0102】
【化22】
【0103】
【化23】
【0104】ここで、Raは水素、ハロゲン、炭素原子
数(以下C数という)1〜12個で置換もしくは無置換
のアルキル基、C数7〜12個で置換もしくは無置換の
アラルキル基、またはC数6〜12個で置換もしくは無
置換のアリール基を表す。上記のアルキル基、アラルキ
ル基のアルキル部分は直鎖状であっても分岐鎖状であっ
てもよく、アリール基、アラルキル基のアリール部分は
単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよ
い。
【0105】本発明に用いられるルテニウム錯体色素と
しては、例えば、米国特許4927721号、同4684537号、同
5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号お
よび特開平7-249790号明細書に記載の錯体色素が挙げら
れる。
【0106】以下に本発明に使用する錯体色素の好まし
い具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0107】
【化24】
【0108】
【化25】
【0109】
【化26】
【0110】本発明に使用する色素がポリメチン色素で
ある場合、下記式(VI)または一般式(VII)で表され
る色素が好ましい。
【0111】
【化27】
【0112】式中、RbおよびRfは各々水素、アルキ
ル基、アリール基、または複素環基を表し、Rc〜Re
は各々水素または置換基を表す。Rb〜Rfは互いに結
合して環を形成してもよい。X11およびX12は各々窒
素、酸素、硫黄、セレン、テルルを表す。n11およびn
13は各々0〜2の整数を表し、n12は1〜6の整数を表
す。式(VI)で表される化合物は分子全体の電荷に応じ
て対イオンを有してもよい。
【0113】上記におけるアルキル基、アリール基、複
素環基は、置換基を有していてもよい。アルキル基は直
鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、アリール基、
複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)であっ
てもよい。またRb〜Rfによって形成される環は、置
換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であっ
てもよい。
【0114】
【化28】
【0115】式中、Zaは含窒素複素環を形成するに必
要な非金属原子群を表す。Rgはアルキル基またはアリ
ール基である。Qは式(VII)で表される化合物がメチ
ン色素を形成するのに必要なメチン基またはポリメチン
基を表す。X13は電荷均衡対イオンを表し、n14は分子
の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表
す。
【0116】上記のZaで形成される含窒素複素環は置
換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であっ
てもよい。また、アルキル基、アリール基は置換基を有
していてもよく、アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖
状であってもよく、アリール基は単環であっても多環
(縮合環、環集合)であってもよい。
【0117】式(VII)で表される色素は、下記式(VII
I−a)〜(VIII−d)で表される色素であることが好
ましい。
【0118】
【化29】
【0119】式(VIII−a)〜(VIII−d)中、R11
15、R21〜R24、R31〜R33、およびR41〜R43はそ
れぞれ独立に水素、アルキル基、アリール基、または複
素環基を表し、Y11、Y12、Y21、Y22、Y31〜Y35
よびY41〜Y46はそれぞれ独立に酸素、硫黄、セレン、
テルル、−CR1617−、または−NR18−を表す。R
16〜R18はそれぞれ独立に水素、アルキル基、アリール
基、または複素環基を表す。Y23はO-、S-、Se-
Te-、または−NR- 18を表す。V11、V12、V21、V
22、V31およびV41はそれぞれ独立に置換基を表し、n
15、n31およびn41はそれぞれ独立に1〜6の整数を表
す。式(VIII−a)〜(VIII−d)で表される化合物は
分子全体の電荷に応じて対イオンを有していてもよい。
【0120】上記におけるアルキル基、アリール基、複
素環基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖
状であっても分岐鎖状であってもよく、アリール基、複
素環基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であっ
てもよい。
【0121】以上のようなポリメチン色素の具体例はM.
Okawara,T.Kitao,T.Hirasima, M.Matuoka著Organic Col
orants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0122】以下に式(VI)および(VII)で表される
ポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0123】
【化30】
【0124】
【化31】
【0125】
【化32】
【0126】
【化33】
【0127】
【化34】
【0128】
【化35】
【0129】
【化36】
【0130】
【化37】
【0131】
【化38】
【0132】式(VI)および式(VII)で表される化合
物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「複素サイ
クリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リ
レィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cy
anine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィ
リー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニュー
ヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スター
マー(D.M.Sturmer)著「複素サイクリック・コンパウン
ズースペシャル・トピックス・イン・複素サイクリック
・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topi
cs in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14
節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド
・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロン
ドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・
カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon
Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15
章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・
パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Pu
blishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特許
第1,077,611号などに記載の方法に基づいて合成するこ
とができる。
【0133】半導体微粒子に色素を吸着させるには色素
溶液中によく乾燥した半導体微粒子を数時間浸漬する方
法が一般的である。色素の吸着は室温で行ってもよい
し、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流
して行ってもよい。色素の吸着は半導体微粒子の塗布前
に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子
と色素を同時に塗布して吸着させても良い。未吸着の色
素は洗浄によって除去することが望ましい。塗布膜を焼
成する場合の色素吸着は焼成後に行うことが好ましい。
焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色素を
吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は1種類で
もよいし、数種混合して用いてもよい。用途が光電気化
学電池である場合、光電変換の波長域をできるだけ広く
するように混合する色素が選ぶことができる。
【0134】色素の使用量は、全体で、支持体1m2当た
り0.01〜100mモルが好ましい。また、色素の半
導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して
0.01〜1mモルが好ましい。
【0135】このような色素量とすることによって、半
導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、
色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多
すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効
果を低減させる原因となる。
【0136】また、会合など色素同士の相互作用を低減
する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着
させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するス
テロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
【0137】色素を吸着した後にアミン類を用いて半導
体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類と
してはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニ
ルピリジン等が挙げられる。これらが液体の場合はその
まま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0138】本発明の電荷移動層は、あらかじめ合成し
た式(I)で表される非架橋高分子化合物を含む電解質
を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法などに
より色素を担持した電極上に形成してもよいし、前述の
非架橋高分子化合物を構成するモノマー類、重合開始
剤、電解質用化合物、溶媒から溶液を調製し、その後ラ
ジカル重合することによって電解質層を形成させる方法
によって製造してもよい。
【0139】塗布法によって本発明の電解質層を形成す
る場合、モノマー類、重合開始剤、溶媒、電解質用化合
物からなる塗布溶液にレベリング剤等の塗布性改良剤な
どの添加剤を添加し調製し、スピンコート法、ディップ
コート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、
ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコ
ート法、あるいは米国特許第2681294号記載のホッパー
を使用するエクストルージョンコート法、または米国特
許第2761418号、同3508947号、同2761791号記載の多層
同時塗布方法等の方法により塗布し、その後ラジカル重
合させて本発明の電解質を形成することができる。重合
温度は開始剤の半減温度や色素の耐熱温度等により適当
に選択されるが、好ましくは10℃以上150℃以下で
ある。その時間は温度等の条件によって適宜選択するこ
とができる。電解質にヨウ素など還元状態の化合物を導
入する場合、この化合物が重合禁止剤として働き、モノ
マーの重合が阻害される場合がある。電解質にヨウ素な
ど還元状態の化合物を導入する場合は、電解質の形成の
際に導入することができるほか、本発明の電解質の形成
後、例えば電解質を含むサンプルをヨウ素など還元状態
の化合物と共に密閉容器内に置き、電解質中に拡散させ
る手法等により導入することができる。また、ヨウ素な
ど還元状態の化合物は対向電極に塗布あるいは蒸着する
方法により素子中に導入することもできる。
【0140】対向電極は、光電気化学電池としたとき、
光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極
は通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分
に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でな
い。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利であ
る。
【0141】感光層に光が到達するためには、前述の導
電性支持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明
でなければならない。本発明の光電気化学電池において
は、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から
入射させるのが好ましい。この場合対向電極は光を反射
する性質を有することがさらに好ましい。
【0142】光電気化学電池の対向電極としては金属も
しくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラス
チックを使用でき、また、金属薄膜を5μm以下、好ま
しくは5nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着や
スパッタリングなどの方法により形成して作成すること
もできる。本発明では白金を蒸着したガラスもしくは蒸
着やスパッタリングによって形成した金属薄膜を対向電
極とすることが好ましい。
【0143】感光層は目的に応じて設計され単層横成で
も多層横成でもよい。一層の感光層中の色素は一種類で
も多種の混合でもよい。
【0144】また、本発明の光電気化学電池では構成物
の酸化劣化を防止するために電池の側面をポリマーや接
着剤等で密封してもよい。
【0145】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 実施例1 式(I)で表される本発明の化合物P−1、および式
(I)で表される化合物を合成する際の原料となりうる
モノマーM−1について合成例を示す。以下に、これら
の化合物の反応スキームを示す。
【0146】
【化39】
【0147】(1)P−1の合成 4−ビニルピリジン1;1.05g(10mmol)、ヨウ
化ブチル3.68g(20mmol)を100℃にて2時間
撹拌した。減圧留去後冷却し、酢酸エチルを加え結晶を
ろ別、洗浄しP−1の黄色結晶2.89g(収率100
%)を得た。構造はNMRスペクトルにて確認した。ピ
リジニウムを含む式(I)の化合物は同様にして合成で
きた。
【0148】(2)モノマーM−1の合成 ヨウ化ブタン58.9g(0.32mol)、ニトロベン
ゼン0.1gを撹拌し室温にてビニルイミダゾール2;
7.5g(80mmol)を20分かけて滴下し、80℃に
て2時間加熱した。減圧留去後冷却し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=
4:1(体積比))により精製し、M−1の黄色結晶1
5.8g(収率79%)を得た。構造はNMRスペクト
ルにて確認した。構造の類似した4級アンモニウム塩を
含有するモノマーも同様にして合成した。
【0149】実施例2 1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステ
ンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 D
egussa P-25)15g、水45g、分散剤(アルドリッ
チ社製、Triron X-100)1g、直径0.5mmのジルコニ
アビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラ
インダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rp
mにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズを
ろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径
は、2.5μm であった。このときの粒径はMALVERN社
製マスターサイザーにて測定したものである。
【0150】2.色素を吸着したTiO2電極(電極
A)の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性
ガラス(旭ガラス製TCOガラス−Uを20mm×20mm
の大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を
用いて上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部
(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、
粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8
枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で
1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科
学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて3
0分間焼成した。ガラスを取り出し冷却した後、表1に
示す色素のエタノール溶液(3×10-4モル/リット
ル)に3時間浸漬した。色素の染着したガラスを4−te
rt−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノール
で洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光
層の厚さは10μm であり、半導体微粒子の塗布量は2
0g/m2とした。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適
宜0.1〜10mモル/m2の範囲から選択した。なお、導
電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/cm2であった。
【0151】3.光電気化学電池の作成−(1)(セル
作成法A) 上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基
板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラス
と重ね合わせた(図1参照)。次に、両ガラスの隙間に
毛細管現象を利用して電解質(表1記載の有機溶媒に式
(I)で表される非架橋高分子化合物を有機溶媒に対し
て10重量%、支持電解質0.55モル/リットル、ヨ
ウ素0.05モル/リットルを加えたもの)をしみこま
せ、TiO2電極中に導入し、光電気化学電池を得た。
この工程を色素と電解質組成物の組み合わせを表1に記
載されているように変更して行った。
【0152】本実施例により、図1に示したとおり、導
電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたも
の)、TiO2電極3、色素層4、電解質層5、白金層
6およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作
成された。
【0153】4.光電気化学電池の作成−(2)(セル
作成法B) 式(I)で表される非架橋高分子化合物を構成するモノ
マーをその構成重量比(重量%)に応じて表1記載の有
機溶媒に溶解した。その際高分子化合物として有機溶媒
の10重量%となる濃度のモノマーを加えた。さらに支
持電解質0.55モル/リットル、ヨウ素0.05モル
/リットル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチ
ルプロピオネート)を有機溶媒の0.5重量%を加え均
一溶液とした。同溶液はアルゴンガスバブリングを5分
間行った後、白金を蒸着した対向電極とサンドイッチさ
れた色素担持TiO2電極中に浸透圧を用い導入した。
この電極はこの後アルゴン雰囲気下、85℃にて3時間
加熱して、光電気化学電池を得た。
【0154】上述の工程を色素と電解質の組み合わせを
表1に記載されているように変更して行った。
【0155】
【表1】
【0156】5.光電気化学電池の作成−(3)(セル
作成法A) 表2記載の本発明の式(II)で表される化合物(塩)と
有機溶媒を記載の重量比にて混合し、さらに式(II)で
表される化合物の2モル%のヨウ素と10重量%の式
(I)で表される非架橋高分子化合物を加えて電解質を
作成し、以下は3と同様に光電気化学電池を作成した。
【0157】6.光電気化学電池の作成−(4)(セル
作成法B) 非架橋高分子化合物のかわりに、それを構成するモノマ
ーを、その構成重量比に応じてその総計が式(II)で表
される化合物の10重量%となるように加え、さらにジ
メチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)を式(II)で表される化合物の0.5重量%、ヨウ
素2モル%を加えた溶液から4と同様に光電気化学電池
を得た。
【0158】なお、25℃で固体の式(II)の化合物を
用いた場合は、加熱溶解する方法や低沸点溶媒を用いて
浸透させた後に溶媒を加熱により除去する方法などによ
り溶媒を含まない電解質を得た。
【0159】
【表2】
【0160】7.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5
フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフ
ィルター(Kenko L−42)を通すことにより紫
外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度
は86mW/cm2であった。
【0161】前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白
金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模
擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置
(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより
求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流
密度(Jsc)、形状因子(FF)、および変換効率(η)と12
0時間(表1のサンプル)および480時間(表2のサ
ンプル)連続照射後の短絡電流密度および短絡電流密度
の低下率を一括して表3、表4に記載した。
【0162】
【表3】
【0163】
【表4】
【0164】表3より、本発明の式(I)で表される化
合物を電解質に用いることにより光電変換特性が改善さ
れ、また特に耐久性が向上することがわかる。その効果
は溶媒としてS−5、S−6を用いたときより大きくな
ることもわかる。
【0165】また、表4より、本発明の式(I)で表さ
れる化合物と、式(II)で表される化合物を用いた場合
は、さらに光電変換特性が改善され、また特に耐久性が
向上することがわかる。
【0166】このような効果はいずれの色素を用いたと
きにも見られる。
【0167】また、セル作成法A、Bいずれでも本発明
の効果は得られる。
【0168】
【発明の効果】本発明により、新規な電解質が得られ、
光電変換特性に優れ、特に経時での特性劣化が少ない光
電気化学電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2電極 4 色素層 5 電解質層 6 白金層 7 ガラス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で表される非架橋高分子化
    合物を含むことを特徴とする電解質。 【化1】 [式(I)中、R1およびR3はそれぞれ独立に水素、ア
    ルキル基またはアリール基を表す。R2は窒素を含有す
    るヘテロ環の4級塩または4級アンモニウム塩を含む置
    換基を表す。R4は窒素を含有するヘテロ環または3級
    アミンを含む置換基を表す。DおよびEはそれぞれ独立
    に連結基を表し、dおよびeはそれぞれ独立に0または
    1である。Aはエチレン性不飽和基を含有する化合物か
    ら誘導される繰り返し単位を表す。a、bおよびcはそ
    れぞれ独立に各繰り返し単位の重量組成比を表し、aは
    1重量%以上100重量%以下であり、bは0重量%以
    上99重量%以下であり、cは0重量%以上80重量%
    以下である。]
  2. 【請求項2】 式(I)中のR2で表される置換基に含
    まれる窒素を含有するヘテロ環の4級塩および4級アン
    モニウム塩が、それぞれ独立にヨウ素イオンまたは臭素
    イオンを含む請求項1の電解質。
  3. 【請求項3】 非架橋高分子化合物以外の成分の50重
    量%以上が下記式(II)で表される化合物である請求項
    1または2の電解質。 【化2】 [式(II)中、Z1は窒素とともに、芳香族5または6員
    環のカチオンを形成しうる原子団を表し、R51はアルキ
    ル基またはアルケニル基を表し、fは1または3であ
    る。]
  4. 【請求項4】 式(II)で表される化合物が式(III)
    または(IV)で表される化合物である請求項3の電解
    質。 【化3】 [式(III)中、R51はアルキル基またはアルケニル基
    を表し、fは1または3である。R52は置換基を表し、
    gは0〜5の整数である。但し、gが2以上の場合、R
    52は同じ置換基でも異なる置換基でもよい。式(IV)
    中、R51はアルキル基またはアルケニル基を表し、fは
    1または3である。Gは酸素、硫黄または−NR54−を
    表し、ここで、R54は置換基を表す。R53は置換基を表
    し、cは0〜3の整数である。cが2以上の場合、R53
    は同じ置換基でも異なる置換基でもよい。]
  5. 【請求項5】 光電気化学電池に用いられる請求項1〜
    4のいずれかの電解質。
  6. 【請求項6】 請求項5の電解質を含む電荷移動層を有
    し、さらに輻射線に感応する半導体と対向電極とを有す
    る光電気化学電池。
  7. 【請求項7】 半導体が色素で増感された微粒子半導体
    である請求項6の光電気化学電池。
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