JP2000097941A - 免疫クロマトグラフィーのためのキット - Google Patents

免疫クロマトグラフィーのためのキット

Info

Publication number
JP2000097941A
JP2000097941A JP10265541A JP26554198A JP2000097941A JP 2000097941 A JP2000097941 A JP 2000097941A JP 10265541 A JP10265541 A JP 10265541A JP 26554198 A JP26554198 A JP 26554198A JP 2000097941 A JP2000097941 A JP 2000097941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
antibody
antigen
mobile phase
immunochromatography
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10265541A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikazu Oka
美和 岡
Osayuki Shigefuji
修行 重藤
Kimimasa Miyazaki
仁誠 宮▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP10265541A priority Critical patent/JP2000097941A/ja
Publication of JP2000097941A publication Critical patent/JP2000097941A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の方法では検出が極めて困難であった希
薄な試料からの検出対象の検出を可能とする、免疫クロ
マトグラフィーのためのキットを提供すること。 【解決手段】 抗原・抗体の特異的結合反応に基づいて
水性試料中の抗原を検出する免疫クロマトグラフィーの
ためのキット。このキットは、少なくとも試料導入部と
判定部とを有する試料泳動体と、検出対象である抗原に
それぞれ結合し得る第1および第2の抗体とを包含す
る。第1の抗体すなわち固定相抗体は、試料の移動に伴
う位置の変化が実質的に起きない強度で判定部に固定化
される。第2の抗体すなわち移動相抗体は、試料導入部
に導入された試料と共に該判定部を移動し得る状態にあ
る。移動相抗体は磁性標識物に結合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗原・抗体の特異
的結合反応に基づいて水性試料中の抗原を検出する免疫
クロマトグラフィーのためのキットに関する。本発明は
特に、試料から極微量の抗原物質を簡便かつ迅速に検出
し得る、大規模な自動分析設備を有さない小規模医院お
よび飲食店での使用に適したキットに関する。
【0002】
【従来の技術】免疫クロマトグラフィー技術は、抗体の
持つ反応特異性を利用しており、簡便な体外診断検査器
(例えば、妊娠検査器など)に広く用いられている。検
査器に試料を添加すると、通常約3分後に陽性・陰性の
結果が得られ、素人でも簡単にその判定をし得る。この
ような免疫クロマトグラフィー装置の代表的な構造は、
例えば、オランダのユニリーバ・パテントホールディン
グス、ビー、ブイの米国特許第5,602,040号に記載され
ている。
【0003】従来の典型的な免疫クロマトグラフィー装
置の構造を、図1に示す。
【0004】試料導入部102は、試料が導入される部分
であり、導入された試料を迅速に吸収し、かつ速やかに
標識部103へと通過させる性質の多孔質担体(例えば、
ガラス繊維ろ紙など)で構成されている。中空のケース
に収納された免疫クロマトグラフィー装置の場合は、試
料導入部102を比較的長い構成とし、その一部をケース
から露出することによって、試料導入部102に試料を直
接導入することを可能にし得る。免疫クロマトグラフィ
ー装置全体がケース内に収納されている場合は、試料導
入部と接するケース位置に穴を空けることにより、その
穴から試料導入部に試料を添加することを可能にし得
る。
【0005】標識部103は、標識抗体を担持した多孔質
担体から構成される。例えば、金コロイドまたは着色ラ
テックスに吸着した抗体(標識抗体)を含む水溶液を多
孔質担体(例えば、ガラス繊維ろ紙)に含浸させた後、
凍結乾燥させることにより、これらの抗体を均一に担持
させ得る。
【0006】判定部104の多孔質担体としては、抗体を
固定しやすいことから、ニトロセルロースが最も広く用
いられる。判定部104は、固定化部105を含む。判定部は
また、コンロトール部106を含み得る。固定化部105に
は、検出対象と特異的に結合する抗体(検出抗体)が固
定されている。検出抗体(固定相抗体ともいう)は、判
定部104上の任意の領域に水溶液として滴下した後、乾
燥および洗浄することにより固定化される。コントロー
ル部106には、検出対象とは結合しないが標識抗体と結
合するコントロール抗体が固定化される。コントロール
抗体は、検出対象を認識する抗体と同様の方法で固定化
される。コントロール抗体と標識抗体との反応が確認さ
れれば、固定化部で確認された検出対象の判定が正確で
あることを示す。
【0007】吸水部107は、過剰の試料を迅速に吸収す
るために、優れた吸水力および給水容量を有する多孔質
担体(例えば、ガラス繊維ろ紙)から構成される。
【0008】試料導入部102、標識部103、判定部104、
および吸水部107を図1に示す配置で組み合わせて、試
料泳動のための試料泳動体110が構成される。試料泳動
体110は、各部が全て同じ多孔質担体から構成される場
合もあるが、通常、少なくとも一部が他の部分とは異な
る材料から構成される。例えば、抗体を固定化したニト
ロセルロース片、すなわち判定部と、ガラス繊維ろ紙か
ら構成される試料導入部および吸水部とを試料が通過し
得るように接続させて、試料泳動体を構成する。試料泳
動体は、両面テープ108に貼り付けられ、両面テープの
裏面に貼り付けられた支持体101によって一体として保
持される。試料泳動体110、両面テープ108、および支持
体101から、免疫クロマトグラフィー装置111が構成され
る。
【0009】このような免疫クロマトグラフィー装置
を、以下のように用いて、検出対象の検出が行われる。
まず、所定量の試料(通常約0.1〜2ml)を、クロマトグ
ラフィー装置の試料導入部に添加する。試料は、試料導
入部から、標識部および判定部を通過して、吸水部に向
かって移動する。標識部を試料が通過する際には、標識
部に担持されていた標識抗体が試料の水分により溶出
し、試料とともに判定部へと移動する。試料中に検出対
象(抗原)が存在する場合、標識抗体は検出対象と結合
する。標識抗体が結合した検出対象は、さらに移動して
固定化部105に到達した際に、抗原・抗体の特異的結合
反応に基づき、固定化抗体と結合する。通常、添加され
る試料の容量は、担持されている標識抗体の量に比較し
て大過剰であるので、検出対象と結合しなかった標識抗
体は過剰の試料により洗い流されて、固定化部から除か
れる。
【0010】以上の結果、検出対象を含む試料を導入し
た場合のみにおいて、固定化部で標識抗体による着色が
確認され、陽性と判定される。一方、検出対象を含まな
い試料では、標識抗体は固定化部に結合されず、判定部
を通過して吸水部に吸収される。そのため、固定化部に
着色は認められず、陰性と判定される。判定部がコント
ロール部を含む場合、標識抗体がコントロール部に達す
ると結合するので、コントロール部に標識抗体による着
色が認められる。コントロール部の着色により、試料の
泳動の終了が確認される。このようにして、試料中に検
出対象(抗原)が存在するか否かが判定され得る。
【0011】上述のような従来の免疫クロマトグラフィ
ー装置は、比較的簡便に使用し得るとはいえ、検出感度
が低く、希薄な試料からの検出対象の検出が極めて困難
であるという問題を有している。免疫クロマトグラフィ
ーは、分析技術である以上、通常、検出感度は高いほど
望ましい。免疫クロマトグラフィーで感度を向上させる
ためには、アフィニティー、すなわち抗原に対する結合
能力のより高い抗体を使用する必要がある。しかし、抗
体のアフィニティーには事実上限界があるため、抗体の
改良だけでは、検出感度の向上に限界がある。以上のこ
とから、より検出感度の高い免疫クロマトグラフィーを
可能にする手段が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
の解決を意図するものであり、従来の方法では検出が極
めて困難であった希薄な試料からの検出対象の検出を可
能とする、免疫クロマトグラフィーのためのキットを提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のキットは、抗原
・抗体の特異的結合反応に基づいて水性試料中の抗原を
検出する免疫クロマトグラフィーのためのキットであっ
て、少なくとも試料導入部と判定部とを有する試料泳動
体と、検出対象である抗原にそれぞれ結合し得る第1お
よび第2の抗体とを包含し、該第1の抗体すなわち固定
相抗体は試料の移動に伴う位置の変化が実質的に起きな
い強度で該判定部に固定化され、該第2の抗体すなわち
移動相抗体は該試料導入部に導入された試料と共に該判
定部を移動し得る状態にあり、ここで、該移動相抗体は
磁性標識物に結合している。
【0014】上記試料泳動体と移動相担体とは、それぞ
れ個別の容器に収容されて提供され得る。かかる態様に
おいて、本発明のキットは、上記移動相抗体を可逆的に
局在化し得る磁場印加手段、および上記移動相抗体を保
持するための前処理容器の少なくとも一方をさらに包含
し得る。
【0015】一方、本発明のキットにおいて、移動相抗
体は、上記試料泳動体上に保持され得る。このとき、移
動相抗体と試料泳動体とは、一体となって免疫クロマト
グラフィー装置を構成する。
【0016】上記移動相抗体の磁性標識物は、Fe、Mn、
Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cd、Gd、Tbおよびそれらの酸化物
ならびにそれらの混合物からなる群より選ばれた少なく
とも1種を含み得る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明においては、他に特定されない限
り、当該分野で公知である、タンパク質の分離および分
析法、ならびに免疫学的手法が採用され得る。これらの
手法は、市販のキット、抗体、標識物質などを使用して
行い得る。
【0019】本発明のキットは、抗原・抗体の特異的結
合反応に基づいて水性試料中の抗原を検出する免疫クロ
マトグラフィーのために提供される。水性試料は、水を
溶媒として含む任意の試料であり得る。水性試料の例と
しては、尿、血液、血漿、血清、唾液、乳、汗などの体
液およびそれらの分画物のような生体由来の試料;井戸
水、地下水、水道水、果汁のような天然由来の試料;な
らびに食料品、野菜、肉、卵などの粉砕物を水に懸濁し
た試料であり得る。
【0020】検出対象とされる抗原の例としては、絨毛
性ゴナドトロピン、C反応性タンパク質、黄体形成ホル
モン、成長ホルモン、ガン胎児性抗原、αフェトプロテ
イン、濾胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、黄体形
成ホルモン放出ホルモン、低密度リポタンパク質(LD
L)、高密度リポタンパク質(HDL)のような哺乳動物由
来のペプチドまたはタンパク質;サルモネラ菌、大腸
菌、赤痢菌、結核菌のような微生物由来のタンパク質ま
たは微生物菌体自体;ならびにHIVウイルス、A型肝炎
ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型
肝炎ウイルスのようなウイルス由来のタンパク質または
ウイルス粒子自体が挙げられる。
【0021】本発明のキットは、少なくとも試料導入部
と判定部とを有する試料泳動体と、検出対象である抗原
にそれぞれ結合し得る第1および第2の抗体とを構成要
素として含む。試料泳動体の材料としては、検出対象の
抗原に対する非特異的な吸着を実質的に示すことがな
く、かつ水性試料の移動を可能にする、任意の多孔質担
体を用い得る。多孔質担体の例としては、セルロース、
ニトロセルロース、ガラス繊維ろ紙、スチロール樹脂、
ビニル系樹脂などが挙げられる。多孔質担体の水に対す
る親和性が低い場合は界面活性剤を用いてもよい。試料
泳動体の形状は特に限定されないが、シート状に形成さ
れていることが好ましい。試料泳動体の試料導入部と判
定部とには、連続した同一の多孔質担体を用いてもよい
し、異なる材料を用いてもよい。試料導入部は、好まし
くは、ガラス繊維ろ紙、セルロースである。判定部は、
好ましくは、ニトロセルロース、ガラス繊維ろ紙であ
る。試料導入部と判定部とを、共にニトロセルロースで
構成すると、試料の流速が著しく低くなるので、判定部
だけをニトロセルロースで構成し、試料導入部には、試
料の流速がより早いガラス繊維ろ紙などを用いることが
好ましい。
【0022】試料泳動体の判定部には、試料の移動に伴
う位置の変化が実質的に起きない強度で、第1の抗体、
すなわち固定相抗体が固定化されている。この抗体は、
検出対象の抗原に結合し得る任意の抗体であり得る。
【0023】固定相抗体は、当該分野で公知の方法によ
り、適切な量で試料泳動体に固定化され得る。例えば、
判定部がニトロセルロースである場合、抗体を含む溶液
をニトロセルロース上に滴下した後、乾燥、および洗浄
することにより、抗体を非特異的に吸着させ得る。他の
固定化法として、例えば、特願平8-283297号公報に記載
のような糖コンジュゲートを用いて、抗体をガラス濾紙
などに固定化してもよい。判定部の表面は、検出反応の
際の非特異的吸着によるバックグラウンドの発色を防止
するため、抗体の固定化の後、例えば、ウシ血清アルブ
ミン(BSA)などで処理され得る。この操作はブロッ
キングと呼ばれ、その方法は当該分野で公知である。
【0024】本発明における第2の抗体、すなわち移動
相抗体は、試料と共に試料泳動体を移動し得る状態にあ
る。この抗体は、検出対象の抗原に結合し得、かつその
結合が同じ抗原と固定相抗体との結合を妨げない限り、
任意の抗体であり得る。
【0025】移動相抗体は、磁性標識物に結合すること
により標識されている。磁性標識物の例としては、Fe、
Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cd、Gd、Tbまたはそれらの酸
化物もしくはそれらの混合物が挙げられる。磁性標識物
の形状は特に制限されないが、クロマトグラフィーでの
移動が容易であるように、微粒子であることが好まし
い。微粒子は、通常、抗体との結合を容易にするため
に、その表面が高分子化合物(例えば、シラン)などで
コーティングされ得る。存在し得るコーティング部分も
含めた微粒子の粒径は、通常、約0.01μm〜10μm、好ま
しくは約0.05μm〜0.5μm程度であり得る。微粒子の粒
径は、より定量的な測定のためには、ほぼ均一であるこ
とが好ましい。磁性標識物は、例えば、滋賀県工業技術
センター研究報告(「機能性微粒子の利用技術に関する
研究」1995年VOL.9)に示された方法で合成し得る。磁
性標識物による抗体の標識は、例えば、化学技術誌
(「磁性細菌粒子の機能とその応用」昭和62年7月号)
に示された方法で実施し得る。
【0026】移動相抗体は、試料を試料導入部に添加す
る前に、試料と混合するために、免疫クロマトグラフィ
ー装置とは別に、適切な形態、例えば、溶液として提供
され得る。この場合、移動相抗体が検出対象の抗原と結
合した状態で試料の溶媒の大部分を除去することによ
り、試料中の抗原を濃縮する工程(前処理工程)を実施
し得る。
【0027】一方、移動相抗体は、試料泳動体上に移動
可能な状態で担持されていてもよい。この場合、水性試
料は、試料導入部に直接添加され得る。移動相抗体を担
持する部分は、標識部を構成し、これは、試料導入部ま
たは判定部と同じかまたは異なる多孔質担体であり得
る。試料泳動体への移動相抗体の担持方法は当該分野で
公知である。例えば、抗体を含む溶液を試料泳動体に含
浸させ、その後凍結乾燥することにより、抗体を試料泳
動体に担持させ得る。
【0028】上記第1の抗体および第2の抗体は、好ま
しくはその少なくとも一方が、より好ましくは両方が、
検出対象の抗原に特異的に結合するものである。これら
の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクロー
ナル抗体であってもよく、キメラ抗体、Fab抗体、(Fab)
2抗体などの形態でもあり得る。抗体のクラスは特に限
定されないが、好ましくは、IgGである。当業者は、検
出対象の抗原に対応して適切な抗体を選択し得る。一定
の抗原に結合するポリクローナル抗体またはモノクロー
ナル抗体などは、当該分野で公知であり、容易に入手し
得る。抗体はまた、当該分野で公知の免疫学的方法など
に従って作製し得る。
【0029】上記前処理工程を伴う免疫クロマトグラフ
ィーのために、本発明のキットは、移動相抗体を可逆的
に局在化し得る磁場印加手段を含み得る。磁場印加手段
は、磁性標識物を磁力で吸引し得る任意の手段であり
得、その材料および形状は、特に限定されない。磁場印
加手段を用いることにより、上記前処理工程において、
磁性標識物と結合した抗原を出発試料から選択的に濃縮
し得、結果として、抗原の検出感度が著しく向上する。
【0030】従って、本発明のキットは、移動相抗体を
保持する前処理容器をさらに含み得る。前処理容器は、
外部から印加される磁場を実質的に遮断しない限り任意
の容器であり得、その例として、ビーカー、フラスコ、
チューブ、セル、バイアルなどが挙げられる。前処理容
器の形状は、特に限定されないが、大容量の出発試料か
ら濃縮された極少容量の濃縮試料を取り出しやすい形状
であることが好ましい。前処理容器の材質は、特に限定
されないが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートのようなプラスチッ
ク;ガラス;シリコン樹脂が挙げられる。前処理容器の
容量は、通常、約10mL〜約100L、好ましくは約100m
L〜約10L、より好ましくは約500mL〜約5Lであり
得る。また、この前処理容器は、家庭用のジューサーあ
るいはミキサーのように、試料の水分を抽出するか、あ
るいは試料を粉砕し、水を混合する機能を有していても
よい。
【0031】本発明のキットは、上記試料泳動体におい
て、吸水部として用いられる部分をさらに含み得る。吸
水部は、過剰の試料を迅速に吸収するために、優れた吸
水力および給水容量を有する多孔質物質から構成され
る。多孔質担体の吸水部の多孔質物質の例としては、ガ
ラス繊維ろ紙、セルロースが挙げられる。
【0032】本発明のキットは、上記試料泳動体におい
て、コントロール抗体をさらに含み得る。コントロール
抗体は、検出対象の抗原とは結合せず移動相抗体と結合
する任意の抗体であり得る。コントロール抗体によっ
て、抗原と結合していない移動相抗体の存在を検出する
ことにより、試料が判定部を通過したことを容易に判断
し得る。コントロール抗体は、試料泳動体の判定部にお
いて、固定相抗体とは異なる任意の位置に固定化され得
る。好ましくは、固定相抗体が固定化された位置よりも
吸水部に近い側の位置である。コントロール抗体の固定
化は、固定相抗体の固定化と同様の方法により行われ得
る。
【0033】本発明のキットによる免疫クロマトグラフ
ィー装置211の構成を、図2に例示する。試料導入部20
2、判定部204、および吸水部207を、図2に示すように
順次配置して、試料泳動体210が組立てられる。上述の
ように、試料導入部202と判定部204との間に、標識部を
設けることも可能である。判定部204は、第1の抗体
(固定相抗体)が固定化された固定化部205を含む。判
定部204はまた、コントロール抗体が固定化されたコン
ロトール部を含み得る。試料泳動体は、両面テープ208
に貼り付けられ、そして両面テープを介して、支持体20
1上に保持される。
【0034】上記磁場印加手段および前処理容器を用い
て免疫クロマトグラフィーを行う場合、出発試料は、試
料導入部への添加の前に、予め前処理容器中で移動相抗
体と混合される。試料中の検出対象抗原を移動相抗体と
結合させた後、前処理容器の外部より磁場印加手段を適
用することにより、抗原・磁性標識抗体結合物が前処理
容器の内壁に吸着される。試料の溶媒(上清)の大部分
を除去し、磁場を取り除いた後、必要に応じて微少量の
分散媒(例えば、バッファー)を加えることにより、抗
原が高度に濃縮された試料を得ることができる。この前
処理工程で得られた濃縮率に応じて、免疫クロマトグラ
フィーの検出感度の向上が図れる。
【0035】得られた濃縮試料は、免疫クロマトグラフ
ィー装置の試料導入部に添加されると、試料導入部から
判定部を通過して移動する。ここで、検出対象の抗原は
移動相抗体と結合した状態で移動する。判定部中の固定
化部に到達した抗原は、さらに固定相抗体と結合して固
定化される。抗原と結合していない移動相抗体は、過剰
の試料が固定化部を通過して流れることにより洗い流さ
れる。その結果、検出対象を含む試料では、固定化部で
移動相抗体の磁性標識による着色が確認され、陽性と判
定される。一方、検出対象を含まない試料では、移動相
抗体は固定化部に結合されないため、固定化部における
着色は認められず、陰性と判定される。このようにし
て、試料中に検出対象の抗原が存在するか否かが確認さ
れ得る。
【0036】以上のように、試料中の抗原は、磁性標識
物による固定化部の着色に基づいて、目視または吸光光
度計での測定により検出し得る。つまり、磁性標識物は
有色であるため、従来技術における標識物としての金コ
ロイドまたはラテックス粒子に対応する役割を果たし得
る。また、試料中の抗原は、固定化部における磁性標識
物の磁束密度の測定によっても検出し得る。磁気的な測
定が可能であることは、特に抗原検出の定量化および自
動化を容易にする点で有益である。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0038】<実施例> [免疫クロマトグラフィー装置の作製]約0.7cm×約1.2
cmのニトロセルロース(ミリポア社製)の短辺の端から
0.5cmの上に、抗サルモネラポリクローナル抗体5mg/mL
を含有するPBS溶液1.0μLを、ニトロセルロースの長辺
に対して垂直方向に端から端まで幅約1.0mmのライン状
に滴下し、その後、40℃4時間遮光状態で乾燥すること
により、抗サルモネラポリクローナル抗体を固定化し
た。得られた固定化ニトロセルロースを、1%スキムミ
ルクを含有する0.1Mトリス溶液(pH8.2)に浸潤し、30
℃30分間シェイカーにて振盪することにより、ブロッキ
ングした。ブロッキング後、ニトロセルロースを、0.1M
トリス溶液(pH8.2)で30℃30分間にて3回洗浄した
後、デシケータ内にて一晩乾燥させた。乾燥後の抗体固
定化ニトロセルロースを、判定部の多孔質担体として用
いた。
【0039】試料導入部および吸水部の多孔質担体とし
ては、それぞれ、約0.7cm×約2.5cmのガラス繊維ろ紙を
用いた。
【0040】約0.7cm×約6.0cmの両面テープを、約0.7c
m×約6.0cmの白色硬質エンビ板の支持体の表面に張っ
た。両面テープの反対側に、上記の試料導入部、判定
部、および吸水部を、図2の斜視図に示すように貼り付
けることによって試料泳動体を構成し、免疫クロマトグ
ラフィー装置を作製した。
【0041】[前処理容器でのサルモネラ菌の濃縮]サ
ルモネラ菌を、1×101〜1×109 cells/mLの範囲の
各種濃度でリン酸緩衝食塩水(PBS)に分散した分散液
を用意した。これらの分散液を、水性試料として用い
た。サルモネラ菌を含まないPBSを、コントロールの水
性試料として用いた。
【0042】磁気微粒子としてBio-Mag4100(Advanced
Magnetics, Boston)を使用した。Bio-Mag4100は、粒径
が約1.0μmであり、中心部が酸化鉄でできており、その
表面は高分子化合物のシラン(silane)でコーティング
してあり、複合体を作製するのに十分な多数のアミノ基
を有している。このBio-Mag4100 100mgに、1%グルタ
ルアルデヒドPBS溶液5mLを混合し、1時間撹拌した。
上清を除去し、このグルタルアルデヒド処理したBio-Ma
g4100を、抗サルモネラポリクローナル抗体0.2mg/mL 5m
Lに分散し、一晩撹拌した。上清を除去し、PBS溶液を添
加し、20mg/mLPBS分散液の免疫磁気微粒子を得た。
【0043】1L用ガラス製ビーカー中で水性試料1L
に対して、免疫磁気微粒子の分散液4mLを添加した。サ
ルモネラ菌と免疫磁気微粒子との十分な結合のために、
水性試料と免疫磁気微粒子分散液との混合液を、緩やか
に混和しながら室温(23℃)で1時間インキュベートし
た。インキュベートの後、永久磁石(表面磁束密度1800
Gauss、残留磁束密度11000Gauss、外径φ15mm×高さ1
50mm)を前処理容器の外壁から適用し、免疫磁気微粒子
とサルモネラ菌との結合物を前処理容器の内壁面に吸引
した。これにより、前処理容器の内壁面に、免疫磁気微
粒子が濃縮されたドットペレットが得られた。濃縮され
た免疫磁気微粒子を吸引しないように注意しながら上清
を除去した。次いで、永久磁石をはずした。ドットペレ
ット(免疫磁気微粒子とサルモネラ菌との結合物)にPB
S溶液1mLを添加し、ボルテックスをかけることによ
り、結合物が懸濁した濃縮試料を得た。
【0044】[濃縮試料の泳動と検出]上記の懸濁試料
1mLを、上記の免疫クロマトグラフィー装置の試料導入
部に添加し、10分間放置した。この間に、添加された懸
濁試料は、試料導入部から、判定部を通過して吸水部へ
と泳動した。検出終了は、黒色を帯びた磁性標識された
移動相抗体が、固定化部を通過し、吸水部に完全に吸収
されて、黒色が判定部上を通過しなくなったときであ
る。時間にして約3〜10分間以内で泳動終了が目視で確
認可能である。クロマトグラフィーの終了30分後、反射
吸光度測定器(島津製作所製CS9300)により、入射光に
対する固定化部の反射光の強度を測定した。ブランク
は、未使用のニトロセルロース表面とした。
【0045】<比較例>試料導入部の担体の大きさが約
0.7cm×約1.5cmであること、試料導入部と判定部との間
に標識部を設けたこと以外は、実施例と同様にして、免
疫クロマトグラフィー装置を作製した(図1を参照のこ
と)。約0.7cm×約1.0cmのガラス繊維ろ紙の短辺から約
0.5cmの位置に、抗サルモネラポリクローナル抗体5mg/
mLを含有するPBS溶液1.0μLを、その長辺に対して垂直
方向に端から端まで約1.0mmの幅に滴下した。このPBS溶
液を含浸したガラス繊維ろ紙を凍結乾燥することによ
り、標識部を作製した。
【0046】実施例と同様に調製したサルモネラ菌の各
種濃度の分散液1mLを、比較例の免疫クロマトグラフィ
ー装置に添加して泳動し、実施例と同様に、反射光強度
を測定した。
【0047】[測定結果の比較]実施例および比較例で
得られた結果を、図3に示す。
【0048】比較例の免疫クロマトグラフィーでは、良
好な感度が得られた範囲は1×105〜1×106cells/mLで
あった。一方、本実施例による磁性免疫クロマトグラフ
ィーの場合は、1×103〜1×106cells/mLであった。本
発明により、従来技術と比較して、約100倍以上の検出
限界の向上が可能であることが示された。
【0049】
【発明の効果】本発明により、抗原・抗体の特異的結合
反応に基づいて水性試料中の抗原を検出する免疫クロマ
トグラフィーのためのキットが提供される。本発明のキ
ットを用いる免疫クロマトグラフィーによれば、微生物
および微生物由来タンパク質などの検出において、出発
試料から検出対象を効率的に濃縮し得、検出速度の向
上、検出感度の増加、および検出感度のダイナミックレ
ンジの拡大を同時に達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の免疫クロマトグラフィー装置を示す斜
視図である。
【図2】 本発明の免疫クロマトグラフィーキットによ
る免疫クロマトグラフィー装置の構成例を示す斜視図で
ある。
【図3】 出発試料中のサルモネラ濃度と判定部におけ
る発色強度との関係を示すグラフである。○は従来の免
疫クロマトグラフィー装置を用いた場合であり、□は本
発明の免疫クロマトグラフィーキットを用いた場合であ
る。
【符号の説明】
101、201 支持体 102、202 試料導入部 103 標識部 104、204 判定部 105、205 固定化部 106 コントロール部 107、207 吸水部 108、208 両面テープ 110、210 試料泳動体 111、211 免疫クロマトグラフィー装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原・抗体の特異的結合反応に基づいて
    水性試料中の抗原を検出する免疫クロマトグラフィーの
    ためのキットであって、 少なくとも試料導入部と判定部とを有する試料泳動体
    と、検出対象である抗原にそれぞれ結合し得る第1およ
    び第2の抗体とを包含し、該第1の抗体すなわち固定相
    抗体は試料の移動に伴う位置の変化が実質的に起きない
    強度で該判定部に固定化され、該第2の抗体すなわち移
    動相抗体は該試料導入部に導入された試料と共に該判定
    部を移動し得る状態にあり、ここで、該移動相抗体は磁
    性標識物に結合している、免疫クロマトグラフィーのた
    めのキット。
  2. 【請求項2】 前記移動相抗体を可逆的に局在化し得る
    磁場印加手段をさらに包含する、請求項1に記載のキッ
    ト。
  3. 【請求項3】 前記移動相抗体を保持するための前処理
    容器をさらに包含する、請求項2に記載のキット。
  4. 【請求項4】 前記移動相抗体が前記試料泳動体上に保
    持された、請求項1に記載のキット。
  5. 【請求項5】 前記磁性標識物が、Fe、Mn、Co、Ni、C
    u、Zn、Mg、Cd、Gd、Tbおよびそれらの酸化物ならびに
    それらの混合物からなる群より選ばれた少なくとも1種
    を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のキット。
JP10265541A 1998-09-18 1998-09-18 免疫クロマトグラフィーのためのキット Withdrawn JP2000097941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10265541A JP2000097941A (ja) 1998-09-18 1998-09-18 免疫クロマトグラフィーのためのキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10265541A JP2000097941A (ja) 1998-09-18 1998-09-18 免疫クロマトグラフィーのためのキット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000097941A true JP2000097941A (ja) 2000-04-07

Family

ID=17418566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10265541A Withdrawn JP2000097941A (ja) 1998-09-18 1998-09-18 免疫クロマトグラフィーのためのキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000097941A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002103346A1 (en) * 2001-06-19 2002-12-27 Magnasense Oy Method and apparatus for qualitative and quantitative detection of analytes
JP2007187664A (ja) * 2006-01-14 2007-07-26 F Hoffmann La Roche Ag 改良された対照区画を有する免疫学的試験素子
JP2007327777A (ja) * 2006-06-06 2007-12-20 Sekisui Chem Co Ltd 生物学的測定方法
JP2012189453A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Toppan Printing Co Ltd 標識磁性粒子を用いた被検物質の検出方法、及び被検物質の検出システム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002103346A1 (en) * 2001-06-19 2002-12-27 Magnasense Oy Method and apparatus for qualitative and quantitative detection of analytes
US6995021B2 (en) 2001-06-19 2006-02-07 Magnasense Oy Method and apparatus for qualitative and quantitative detection of analytes
JP2007187664A (ja) * 2006-01-14 2007-07-26 F Hoffmann La Roche Ag 改良された対照区画を有する免疫学的試験素子
JP4619372B2 (ja) * 2006-01-14 2011-01-26 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 改良された対照区画を有する免疫学的試験素子
JP2007327777A (ja) * 2006-06-06 2007-12-20 Sekisui Chem Co Ltd 生物学的測定方法
JP2012189453A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Toppan Printing Co Ltd 標識磁性粒子を用いた被検物質の検出方法、及び被検物質の検出システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5424193A (en) Assays employing dyed microorganism labels
US5302532A (en) Chromatographic supports having an immobilized flocculating agent and their use in immunoassays
JP4237267B2 (ja) 磁気応答性試薬を使用する磁気補助結合アッセイ
EP1020726A1 (en) Immunologic test method and immunologic test kit
JP2000097944A (ja) 免疫クロマトグラフィーのためのキット
JP3609240B2 (ja) 免疫学的検査法および免疫学的検査用キット
GB2152664A (en) Magnetic assay reagents
JP2001221799A (ja) 判定部を複数有する被検物質の測定器具及び測定方法
JP2000097941A (ja) 免疫クロマトグラフィーのためのキット
JP2000097942A (ja) 免疫クロマトグラフィーのためのキット
KR102631862B1 (ko) 면역 크로마토그래피 검사의 감도 향상을 위한 방법
JPH0552849A (ja) 検体の特異的検出および特異的分離方法
JPH05504828A (ja) 毛管の流れ装置および二重捕捉アツセイ法
JP3930970B2 (ja) 免疫学的検査方法および免疫学的検査用キット
JP2000028614A (ja) 免疫学的検査方法および免疫学的検査キット
JPH1068730A (ja) イムノクロマト法用試験用具
JPH09229936A (ja) 磁性粒子を用いる被検物質の測定方法並びに該方法に使用する担体及び測定器具
JP2000131320A (ja) 特異的結合物質固定粒子を用いる被検物質の測定方法
JP4881077B2 (ja) 免疫クロマト法
JP3841558B2 (ja) 免疫学的検査方法および免疫学的検査キット
JP2000028612A (ja) 免疫学的検査方法および免疫学的検査キット
JP3841555B2 (ja) 免疫学的検査方法および免疫学的検査用キット
JP2001013146A (ja) 免疫クロマトグラフィー用試験片
JP2001033452A (ja) 免疫的検出方法および免疫的検出装置
JP2001133455A (ja) 免疫クロマトグラフィー用試験片

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060110