JPH09229936A - 磁性粒子を用いる被検物質の測定方法並びに該方法に使用する担体及び測定器具 - Google Patents

磁性粒子を用いる被検物質の測定方法並びに該方法に使用する担体及び測定器具

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JPH09229936A
JPH09229936A JP6373396A JP6373396A JPH09229936A JP H09229936 A JPH09229936 A JP H09229936A JP 6373396 A JP6373396 A JP 6373396A JP 6373396 A JP6373396 A JP 6373396A JP H09229936 A JPH09229936 A JP H09229936A
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正宏 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】被検物質濃度が低い場合でも試料中の被検物質
の有無の判定を容易に行え、従って高感度で試料中の被
検物質の測定をすることができる試料中の被検物質の測
定方法並びに該方法に使用する担体及び測定器具を提供
する。 【構成】試料中の被検物質に対する特異的結合物質が固
定されて該特異的結合物質により被覆された面を有する
担体の該面に、試料と、被検物質に対する特異的結合物
質であって前記担体に固定された特異的結合物質と同一
又は異なる特異的結合物質が固定された磁性粒子とを接
触させる工程、及び前記磁性粒子が前記面に沿って移動
するように磁石を作用させる工程を含んでなり、前記面
における磁性粒子の分布状態から被検物質の有無を判定
することを特徴とする、試料中の被検物質の測定方法並
びに該方法に使用する担体及び測定器具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検物質に対する
特異的結合物質を固定した磁性粒子を用いて試料中の被
検物質を測定する方法及び該方法に使用する測定器具に
関し、特に試料中に含まれる微量の被検物質までも妨害
物質の影響を受けずに短時間且つ簡便に測定を行うこと
が可能な被検物質測定方法及び該方法に使用する測定器
具に関する。本発明は、臨床検査分野等の生命科学分野
において有用である。
【0002】
【従来の技術】抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチ
ド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドとレセ
プター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用
した試料中に含まれる微量の被検物質の測定方法又は測
定器具は種々のものが知られている。
【0003】中でも、抗原と抗体の間の抗原抗体反応
(免疫反応)を利用した免疫学的測定方法は広く実施さ
れている。この免疫学的測定方法のうち間接凝集反応測
定法は簡易かつ安価な方法であることから汎用されてい
る。
【0004】この間接凝集反応測定法は、被検物質に対
する抗体(被検物質が抗体の場合は抗原を使用すること
も可能)を結合した粒子(ラテックス粒子若しくはゼラ
チン粒子等の高分子粒子又は赤血球等)と被検物質を含
むと推定される試料を、マイクロタイタープレート等の
底面がU字状又はV字状になった測定容器内で混合し、
反応させて、生じた被検物質を介した粒子間の凝集像を
観察することにより、試料中の被検物質の存在の有無を
判定するものである。
【0005】図9は、この間接凝集反応測定法により試
料中の被検物質の測定を行なった場合の凝集像を示した
ものである。試料中に被検物質が存在しない(陰性)場
合、抗体(又は抗原)を結合した粒子は凝集を起こさな
いので重力によりそのまま沈降し、U字状又はV字状等
の測定容器の内壁面に沿って転がり落ちて(滑り落ち
て)測定容器の底面中央部に集まる。従って、陰性の場
合、測定容器の上方から見ると、測定容器の底面中央部
に粒子が収束した像が観察される(図9のA)。一方、
試料中に被検物質が存在する(陽性)場合、抗体(又は
抗原)が結合した粒子は被検物質を介して三次元的な凝
集を起こして凝集塊を生成する。この凝集塊は、凝集を
起こしていない粒子に比べると測定容器の内壁面上を転
がり難く(滑り落ち難く)、転がり速度(滑り落ち速
度)が小さいので、測定容器の内壁面に広がった状態で
止まる。従って、陽性の場合、測定容器の上方から見る
と、粒子が測定容器底面に広がった状態、即ち「ボタ
ン」状の凝集像が観察でき(図9のB)、試料中に被検
物質が存在することが確認できる。
【0006】しかしながら、この間接凝集反応測定法
は、試料中の被検物質の存在の有無、つまり陽性又は陰
性かを測定容器底面の粒子による円形の像の大小によっ
て判定するものである。したがって、被検物質の濃度が
低い試料の場合、測定容器底面中央部には被検物質を介
して凝集した粒子と被検物質とは結合していない粒子の
両方が混在していて、且つ凝集像の円が小さいので、陰
性の場合との判別が困難であった。そして、この被検物
質の濃度が低い試料の場合の判定の困難さゆえ、低濃度
の被検物質を測定することができず、また時間をかけて
凝集像を十分形成させてから判定しようとするため測定
に要する時間が長くなり、通常測定時間は1時間以上で
あった。
【0007】また、間接凝集反応測定法では、被検物質
以外の試料中の成分を介して、抗体(又は抗原)を結合
した粒子が凝集したり、或いは抗体(又は抗原)を結合
した粒子が測定容器の内壁面に結合して、試料中に被検
物質が存在しない(陰性)にもかかわらずあたかも被検
物質が存在する(陽性)ような凝集像を示す場合があっ
た(非特異的凝集反応)。このように陰性の試料を陽性
と誤って判定する可能性があるということは、臨床検査
による疾病の診断においては重大な問題となっていた。
【0008】これに対し、特開昭64-69954号公報には、
検体試料中の被検物質である抗原又は抗体に対応する抗
体又は抗原を内壁に固定させた測定容器に検体試料を加
え、同時に又は次いでこの検体試料を洗浄することなく
測定容器に固定させたものと同一の抗体又は抗原或いは
特異的結合の類縁体を固定させた不溶性担体粒子を測定
容器に加え、発現する凝集反応の有無により検体試料中
の被検物質である抗原又は抗体の有無を判定する免疫学
的測定方法が開示されている。この測定方法において検
体試料中に被検物質である抗原(又は抗体)が存在しな
い(陰性)場合の測定容器内の状態を上方から見ると、
図9のAに示した凝集像と同様の像が観察される。ま
た、検体試料中に被検物質である抗原(又は抗体)が存
在する(陽性)場合に測定容器内の状態を上方から見る
と、図9のBに示した凝集像と同様の像が観察される。
【0009】上記特開昭64-69954号公報に記載の測定方
法は、低濃度の被検物質を測定することができ、地帯現
象を抑制でき、かつ短時間で明瞭な凝集像が得られる方
法であるが、試料中の被検物質の存在の有無を測定容器
底面の粒子による円形の像の大小によって判定するもの
であるので、被検物質の濃度が著しく低い試料の場合に
は陰性の場合との判別が困難であるとの問題は避け得な
いものであった。
【0010】また、特開平2-124464号公報には、被測定
物質(被検物質)に特異的に結合するか又はこれと競合
する物質(抗体又は抗原等)を磁性粒子に固定化した磁
性マーカー粒子とサンプル溶液(試料)とを混合し、こ
の反応溶液に対し測定容器の所定の壁面領域の外側に配
置した磁石を作用させ、これにより所定の壁面領域に集
められた磁性マーカー粒子の分布状態に基づいてサンプ
ル中の被測定物質を測定する免疫学的測定方法が開示さ
れている。この測定方法においてサンプル中に被測定物
質が存在しない(陰性)場合に測定容器内の状態を上方
から見ると、図9のAに示した凝集像と同様の像が観察
され、サンプル中に被測定物質が存在する(陽性)場合
に測定容器内の状態を上方から見ると図9のBに示した
凝集像と同様の像が観察される。
【0011】この特開平2-124464号公報に記載の測定方
法によれば、磁性粒子を磁石により測定容器底面に引き
寄せて磁性粒子の沈降速度を増大させることにより、測
定容器底面の凝集像の形成を短時間で行わせ、判定に要
する時間を短縮することができる。しかし、やはり試料
中の被検物質の存在の有無を測定容器底面の粒子による
円形の像の大小によって判定するものであるので、被検
物質の濃度が低い試料の場合には陰性の場合との判別が
困難であるとの点では変わりのないものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、特異的結合反応を利用して試料中の被検物質を目視
又は機器を用いて測定する際に、試料中の被検物質の濃
度の大小にかかわらず短時間に被検物質の存在の有無の
判定を行うことが可能であり、しかもその判定の信頼性
が高い測定方法並びに該方法に使用する担体及び測定器
具を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料中の被検
物質に対する特異的結合物質が固定されて該特異的結合
物質により被覆された面を有する担体の該面に、試料
と、被検物質に対する特異的結合物質であって前記担体
に固定された特異的結合物質と同一又は異なる特異的結
合物質が固定された磁性粒子とを接触させる工程、及び
前記磁性粒子が前記面に沿って移動するように磁石を作
用させる工程を含んでなり、前記面における磁性粒子の
分布状態から被検物質の有無を判定することを特徴とす
る、試料中の被検物質の測定方法(第1の測定方法)で
ある。また、本発明は、試料中の被検物質に対する特異
的結合物質が固定されて該特異的結合物質により被覆さ
れた面を有する担体の該面に、被検物質及び/又はその
類縁体を接触させて前記面に固定された特異的結合物質
に該被検物質及び/又はその類縁体を結合させる工程、
前記面に試料と、被検物質に対する特異的結合物質であ
って前記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異
なる特異的結合物質が固定された磁性粒子とを接触させ
る工程、及び前記磁性粒子が前記面に沿って移動するよ
うに磁石を作用させる工程を含んでなり、前記面におけ
る磁性粒子の分布状態から被検物質の有無を判定するこ
とを特徴とする、試料中の被検物質の測定方法(第2の
測定方法)である。更に、本発明は、試料中の被検物質
の測定に用いる担体であって、該被検物質に対する特異
的結合物質が固定されて部分的に該特異的結合物質によ
り被覆されている面を有する担体である。更に、本発明
は、上記担体と、被検物質に対する特異的結合物質であ
って前記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異
なる特異的結合物質が固定された磁性粒子とを含む、試
料中の被検物質の測定器具(第1の測定器具)である。
更に、本発明は、上記担体と、被検物質及び/又はその
類縁体と、被検物質に対する特異的結合物質であって前
記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異なる特
異的結合物質が固定された磁性粒子とを含む、試料中の
被検物質の測定器具(第2の測定器具)である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において測定を行う被検物
質としては、タンパク質、糖質、脂質、核酸のような有
機物質、無機物質等の生体関連物質であればいずれのも
のでもよい。具体的には、HBs抗原、抗HBs抗体、
HBe抗原、抗HBe抗体、抗HBc抗体、抗HCV抗
体、抗HIV抗体、抗ATLV抗体等のウイルス関連の
抗原又は抗体;抗トレポネーマ・パリダム(TP)抗
体、抗マイコプラズマ抗体、抗ストレプトリジンO抗体
(ASO)等の細菌関連の抗原又は抗体;免疫グロブリ
ンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA) 、免疫グロブリン
M(IgM) 、若しくは免疫グロブリンE(IgE) 等の免疫グ
ロブリン;C反応性タンパク質(CRP)、α1-酸性糖タン
パク質、ハプトグロビン、補体C3 、補体C4 、リウマ
トイド因子等の炎症マーカー;α−フェトプロテイン、
CEA、CA19-9等の腫瘍マーカー;ヒト胎盤絨毛性ゴ
ナドトロピン等のホルモン;アレルゲン、アレルゲン特
異IgE 抗体等のアレルギー関連の抗原又は抗体;抗トロ
ンビン (AT ) 等の血液凝固系関連物質;フィブリン
体分解物(FDP) 、Dダイマー等の線溶系関連物質;AB
O式血液型抗体、不規則抗体等の血液型関連の抗原又は
抗体;ウイルスのDNA又はRNA;細菌のDNA又は
RNA;ヒト等の動物若しくは植物のDNA又はRN
A;リポタンパク質(a) 等の他の疾病に関連した物質又
は薬物等を例示することができる。
【0015】本発明において、試料とは、前記の被検物
質が存在する可能性があり、且つその被検物質の存在の
有無の確認又は場合によっては定量を行おうとする液状
のものをいう。例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血
漿、尿、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水等の体
液;ヒト又は動物の脳等の臓器、毛髪、皮膚、爪、筋
肉、神経組織等の抽出液;ヒト又は動物の糞便の抽出
液;細胞或いは菌体の抽出液;植物の抽出液等が挙げら
れる。
【0016】本発明において、被検物質に対する特異的
結合物質(以下、単に特異的結合物質という。)とは被
検物質に対し親和性を有する物質をいい、被検物質との
特異的な相互作用により該被検物質に非共有結合的に安
定に結合する物質をいう。例えば、特異的結合物質は、
被検物質が抗原の場合にはその抗体であり、被検物質が
抗体の場合にはその抗原であり、被検物質がヌクレオチ
ド鎖の場合にはそれと相補的なヌクレオチド鎖である。
また、被検物質がリガンドの場合にはそのレセプターで
ある。磁性粒子に固定する特異的結合物質と、担体に固
定する特異的結合物質は、被検物質を介しての結合が可
能であれば、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0017】本発明において、磁性粒子とは、少なくと
も外部から磁石を作用させている間は磁化する粒子であ
ればよい。この磁性粒子としては、例えば、鉄、コバル
ト、ニッケル等の強磁性金属、これらの強磁性金属を含
む合金、非磁性体中に強磁性金属又は強磁性金属を含む
合金を含有するもの、強磁性金属中又は強磁性金属を含
む合金中に非磁性体を含有するもの等の強磁性体を単独
で粒子状に成形した粒子、強磁性体を核としてその表面
をポリスチレン、シリカゲル、ゼラチン、ポリアクリル
アミド等の高分子物質で被覆した粒子、ポリスチレン、
シリカゲル、ゼラチン、アクリルアミド等の高分子物質
の粒子を核として強磁性体を被覆した粒子、赤血球、リ
ポソーム又はマイクロカプセル等の閉じた袋状の物質に
強磁性体を封入した粒子等を挙げることができる。ま
た、この磁性粒子は、外部から磁石を作用させている間
は磁化し、外部からの磁石の遮断により速やかに減磁す
る性質を持つものであることが特に好ましく、そのよう
な磁性粒子としては、例えば、強磁性体である酸化鉄(I
II) (Fe2O3)を粒子内に分散させた磁性粒子である、Dyn
abeads M-450 uncoated(商品名、ダイナル社製)が挙
げられる。更に、磁性粒子としては、色素を被覆するか
又は色素を粒子中に分散若しくは封入させることにより
着色したものを使用してもよい。
【0018】磁性粒子の粒子径は、好ましくは0.01〜10
0 μmであり、特に好ましくは 0.5〜10μmである。ま
た、磁性粒子は、比重が1〜10のものが好ましい。
【0019】尚、本発明における磁性粒子としては、前
記したものであれば、EIA、RIA、FIA、化学発
光免疫測定法等で既に免疫磁気分離用担体として使用さ
れている粒子又は細胞磁気分離用担体として使用されて
いる粒子等を何ら制限なく用いることができる。
【0020】本発明においては、特異的結合物質を固定
した磁性粒子を用いるが、特異的結合物質を磁性粒子に
固定するには、特異的結合物質を前記の磁性粒子の表面
に疎水結合、親水吸着等の物理的吸着法、共有結合等の
化学的結合法又はこれらの方法の併用などにより行うこ
とができる。
【0021】特異的結合物質の磁性粒子への固定を物理
的吸着法により行う場合は、公知の方法に従って、該特
異的結合物質と磁性粒子とを緩衝液等の溶液中で混合し
接触させることにより行うことができる。例えば、特異
的結合物質と磁性粒子を緩衝液等の溶液中で混合し撹拌
することにより接触させ、約2℃〜約40℃で約10分〜約
1日間吸着反応を行わせた後、得られた磁性粒子を緩衝
液等で洗浄すればよい。
【0022】また、特異的結合物質の磁性粒子への固定
を架橋試薬による化学的結合法によって行う場合は、日
本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床
検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」, 臨床病
理刊行会, 1983年、日本生化学会編「新生化学実験講座
1 タンパク質IV」, 東京化学同人, 1991年等に記載の
公知の方法に従い、特異的結合物質と磁性粒子をグルタ
ルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル、マレ
イミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、特異的
結合物質と磁性粒子のそれぞれのアミノ基、カルボキシ
ル基、チオール基、アルデヒド基、水酸基等の官能基を
架橋試薬と反応させることにより固定することができ
る。例えば、磁性粒子を含む緩衝液等にグルタルアルデ
ヒド、カルボジイミド、イミドエステル、マレイミド等
の二価性の架橋試薬を加え、撹拌し反応させる。次にこ
れに特異的結合物質を加え、撹拌して反応させる。場合
によっては、その後これに透析、ゲルろ過などの処理に
より架橋試薬を除くか若しくは架橋反応の反応停止剤を
添加すること等により反応を停止させる。そして、得ら
れた磁性粒子を緩衝液等で洗浄すればよい。
【0023】また、特異的結合物質の磁性粒子への固定
量を変更することにより、試料中の被検物質の濃度の高
低に応じて容易に感度を変更することができる。例え
ば、磁性粒子に特異的結合物質を固定する際に、高濃度
の特異的結合物質を用いれば固定量が多くなって感度を
高めることができる。
【0024】必要があれば非特異的反応を抑制するた
め、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイ
ン又はその塩などの各種タンパク質、脱脂粉乳等を特異
的結合物質を固定した磁性粒子に接触させること等の公
知の方法により、該磁性粒子をマスキングしてもよい。
例えば、マスキングは特異的結合物質を固定した磁性粒
子をウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイ
ン又はその塩などの各種タンパク質などを含む緩衝液等
に加え静置し、該磁性粒子の表面を各種タンパク質等で
コーティングすることにより行うことができる。
【0025】本発明において、担体としては、特異的結
合物質を固定することにより該特異的結合物質により被
覆された面を有する担体を使用する。担体としては特異
的結合物質により被覆された面を有しており、該面に試
料等の溶液を接触させることができる限りいずれの形
状、構造でもよく、例えば、容器や、板状体などが挙げ
られる。担体として容器を用いる場合、溶液収納部分で
ある凹部の形状は半球状、円筒形状、直方体形状等いず
れの形状でもよく、その凹部の内壁面を特異的結合物質
により被覆すればよい。凹部の形状が円筒形状、直方体
形状等の平底面を有する形状である場合には、その平底
面を特異的結合物質により被覆するのが好ましい。容器
は凹部が複数存在していてもよい。容器としては、平底
面を有する凹部を少なくとも一つ備えた容器であって、
その平底面が特異的結合物質により被覆されているのが
好ましい。平底面を有する凹部を少なくとも一つ備えた
容器としては、例えば、平底マイクロプレート、トレイ
等が挙げられる。担体として板状体を使用する場合、板
状体の表面形状は円形、長方形、正方形等いずれの形状
であってもよく、その表面を特異的結合物質により被覆
すればよい。また、板状体の表面に溝を作って該溝に試
料等の溶液を導入することにより溶液が表面から流れ落
ちるのを防ぐこともできる。
【0026】担体の材質は、特異的結合物質を物理的又
は化学的に固定できるものであれば何ら制限されず、例
えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリア
クリレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等が挙げら
れる。
【0027】本発明においては、担体の面に特異的結合
物質を固定する場合、該面が部分的に該特異的結合物質
により被覆されるように固定するのが好ましい。これ
は、試料中に特異的結合物質が存在する場合、即ち陽性
の場合に特異的結合物質で被覆した部分と被覆していな
い部分の像の比較によって陽性であることの判断がより
明確となり、陽性と陰性の判別、つまり試料中の被検物
質の有無の判別が容易になるからである。ここで、「部
分的」とは、特異的結合物質が偏在しており、面全体に
わたって特異的結合物質により被覆されていないことを
いう。特異的結合物質により被覆された部分の形状及び
面積は、試料中の被検物質の存在の有無を判定すること
ができる限り特に制限はない。部分的被覆の例として
は、担体の面の片側半分を被覆したり、担体の面に帯状
に被覆したりする場合が挙げられる。
【0028】また、担体の面を特異的結合物質により部
分的に被覆する場合、その被覆部分は複数存在していて
もよく、例えば、試料中の複数の被検物質を測定するた
めに、担体の面にそれぞれの被検物質に対する特異的結
合物質による被覆部分を設けることができる。
【0029】図1は、本発明において担体として用いる
平底マイクロプレートであって、各ウェルの平底面の片
側半分が特異的結合物質により被覆されているものを示
したものである。図1のAは平底マイクロプレートの斜
視図であり(斜線部は前記特異的結合物質により被覆さ
れた部分である。)、図1のBは平底マイクロプレート
の平面図である(斜線部は前記特異的結合物質により被
覆された部分である。)。
【0030】図2は、底面が長方形の直方体型透明容器
であって、特異的結合物質により帯状に被覆されている
部分(以下、帯状被覆部分という。)を有する底面を有
するものを示したものである。図2のAは該容器の斜視
図であり(斜線部は前記特異的結合物質により被覆され
た部分である。)、図2のBは該容器の平面図である
(斜線部は前記特異的結合物質により被覆された部分で
ある。)。
【0031】図3は、表面形状が長方形の板状体であっ
て、異なる2種類の特異的結合物質による帯状被覆部分
を有する表面を有するものを示したものである。図3の
Aは、該板状体の斜視図(斜線部は、それぞれ異なる特
異的結合物質により被覆された部分である。)であり、
図3のBは該板状体の平面図である(斜線部は、それぞ
れ異なる特異的結合物質により被覆された部分であ
る。)。
【0032】図4は、表面形状が長方形の板状体であっ
て該表面に断面形状が矩形の溝が設けられており、該溝
の底面に異なる2種類の特異的結合物質による帯状被覆
部分を形成したものを示したものである。図4のAは、
そのような板状体の斜視図(斜線部は、それぞれ異なる
特異的結合物質により被覆された部分である。)であ
り、図4のBはそのような板状体の平面図である(斜線
部は、それぞれ異なる特異的結合物質により被覆された
部分である。)。また、溝の帯状被覆部分側に板を載せ
ること等によりカバーすると(図4のA参照)、カバー
されていない側の溝に滴下された試料は毛細管現象で帯
状被覆部分の方向に移動するので好ましい。
【0033】特異的結合物質の担体の面への固定化は、
物理的吸着法又は架橋試薬による化学的結合法によって
行うことができる。物理的吸着法による場合は、公知の
方法に従い、緩衝液等に溶解した特異的結合物質と担体
の面とを接触させることにより行うことができる。例え
ば、担体が容器の場合、緩衝液等に溶解した特異的結合
物質を該容器の凹部に入れて静置することにより接触さ
せ、約2℃〜約40℃で約10分〜約1日間吸着反応を行わ
せた後、凹部の液を吸引除去し、緩衝液等で洗浄すれば
よい。
【0034】また、架橋試薬による化学的結合法により
行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特
集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応
用−」, 臨床病理刊行会, 1983年、日本生化学会編「新
生化学実験講座1 タンパク質IV」, 東京化学同人, 19
91年等に記載の公知の方法に従い、被検物質に対する特
異的結合物質と担体をグルタルアルデヒド、カルボジイ
ミド、イミドエステル、マレイミド等の二価性の架橋試
薬と混合、接触させ、特異的結合物質と担体のそれぞれ
のアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド
基、水酸基等と反応させることにより固定することがで
きる。例えば、担体が容器の場合、該容器の凹部にグル
タルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル、マ
レイミド等の二価性の架橋試薬を加え、静置して反応さ
せる。次いでこれに特異的結合物質を加えて静置するこ
とにより反応させる。場合によっては、その後これに架
橋反応の反応停止剤を添加すること等により反応を停止
させる。そして、緩衝液等で洗浄を行う。
【0035】また、本発明において、担体の面を部分的
に被覆する方法としては、例えば、面の特異的結合物質
により被覆したい部分にのみ特異的結合物質及び/又は
架橋試薬を滴下して上記方法により固定化を行なう方
法、面の特異的結合物質により被覆したい部分の周囲を
プラスチック板等で囲ってこの囲まれた部分に特異的結
合物質及び/又は架橋試薬を滴下して上記固定化を行な
う方法、或いはスポンジ等の吸収体に特異的結合物質及
び/又は架橋試薬を吸収させ、面の特異的結合物質によ
り被覆したい部分に置いて接触させたり又は塗布して上
記固定化を行なう方法などが挙げられる。
【0036】また、特異的結合物質の担体の面への固定
量を変更することにより、試料中の被検物質の濃度の高
低に応じて容易に感度を変更することができる。例え
ば、担体に特異的結合物質を固定する際に、高濃度の特
異的結合物質を用いれば固定量が多くなって感度を高め
ることができる。
【0037】更に、必要があれば非特異的反応を抑制す
るため、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カ
ゼイン若しくはその塩などの各種タンパク質、脱脂粉乳
等を特異的結合物質を固定した担体に接触させること等
の公知の方法により、特異的結合物質を固定した担体を
マスキングしてもよい。例えば、担体が容器である場合
には、特異的結合物質を固定した該容器の凹部にウシ血
清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイン又はその
塩などの各種タンパク質などを含む緩衝液等を加えて静
置し、特異的結合物質を固定した容器の凹部の表面を各
種タンパク質等でコーティングした後、凹部の液を吸引
除去することにより行うことができる。
【0038】本発明による第1の測定方法においては、
まず、上記のように特異的結合物質を固定して該特異的
結合物質により被覆した面を有する担体の該面に、被検
物質の存在が疑われる試料と、特異的結合物質を固定し
た磁性粒子を接触させる。尚、試料中の複数の被検物質
を測定する場合には、それぞれの被検物質に対する特異
的結合物質を固定した磁性粒子を接触させる。試料は、
例えば希釈液により希釈して担体に接触させることがで
きる。また、磁性粒子は、例えば適当な分散媒に分散し
て担体に接触させることができる。上記使用の希釈液及
び磁性粒子の分散媒としては、それぞれ、トリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、リ
ン酸緩衝生理食塩水等の各種緩衝液又は生理食塩水等を
用いることができる。尚、この緩衝液のpHについては、
pH4〜12の範囲内にあることが好ましい。
【0039】また、試料の希釈液及び磁性粒子の分散媒
には、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼ
イン、又はその塩などの各種タンパク質、塩化ナトリウ
ムなどの各種塩類、各種糖類、脱脂粉乳、正常ウサギ血
清などの各種動物血清、アジ化ナトリウムなどの各種防
腐剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、
陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の添加剤
を適宜加えて用いることができる。そして、これらの添
加剤を加える際の濃度は特に限定されるものではない
が、0.001 〜10%(w/v) が好ましく、特に0.01〜5%(w
/v) が好ましい。また、界面活性剤としては、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリ
ン等の非イオン性界面活性剤、酢酸ベタインなどの両性
界面活性剤又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸
塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができ
る。
【0040】担体が例えば上記したような容器の場合に
は、該容器の凹部に試料及び磁性粒子を添加することに
より容器の内壁面と試料及び磁性粒子とを接触させるこ
とができる。この場合、容器の凹部には、試料を添加し
た後磁性粒子を添加してもよく、逆に磁性粒子を添加し
た後試料を添加してもよい。更に、試料と磁性粒子とを
予め混合した後その混合物を容器の凹部に添加してもよ
い。また、担体が例えば上記したような板状体の場合に
は、該板状体の表面に磁性粒子を分散させた後試料を滴
下したり、また、試料を滴下した後磁性粒子を分散させ
たり、試料と磁性粒子を予め混合した後その混合物を滴
下したりすることにより接触させればよい。
【0041】上記のように、担体の面に試料と磁性粒子
とを接触させた後、磁性粒子が特異的結合物質により被
覆された面に沿って移動するように磁石を作用させる。
尚、担体の面上の磁性粒子の分布状態により陽性又は陰
性の判定を行なうことができる限り、担体の面に試料と
磁性粒子とを接触させる前又は接触させている間に磁石
を作用させていてもよい。担体の面全体が特異的結合物
質により被覆されている場合には、磁性粒子をその面に
沿って移動させることができれる位置であれば、どこに
磁石を配置してもよく、例えば、面が平面である場合に
は、その同一平面上に磁石を配置すればよい。また、担
体の面が部分的に特異的結合物質により被覆されている
場合には、磁性粒子を移動させたい方向に移動させるこ
とができる位置であればどこに磁石を配置してもよく、
例えば、移動させたい方向やその周辺に配置すればよ
い。より具体的には、例えば、面の片側半分を特異的結
合物質により被覆した担体を用いた場合、面の特異的結
合物質により被覆されていない部分から被覆されている
部分の方向(図1の矢印方向)に磁性粒子が移動するよ
うに磁石を配置するのが好ましい。また、面が特異的結
合物質により帯状に被覆されている担体を用いた場合
は、面の特異的結合物質により被覆されていない部分か
らその帯状被覆部分を通って特異的結合物質により被覆
されていない部分の方向(図2〜4の矢印方向)に磁性
粒子が移動するように磁石を配置するのが好ましい。
【0042】磁石としては、磁場を発生して磁性粒子を
磁化するものであればいずれのものでもよく、永久磁
石、電磁石等を用いればよい。また、磁束密度は、用い
る磁性粒子と担体の面との相互作用に依存するが、通
常、5〜100 ガウスである。
【0043】試料に被検物質が存在する場合、該被検物
質は磁性粒子に固定された特異的結合物質に結合する。
この場合にその被検物質が結合した磁性粒子に磁石を作
用させると、該磁性粒子は磁石に吸引されて担体の面に
沿って該磁石の方向に移動するが、その過程で面に固定
された特異的結合物質に出会うと、該磁性粒子は被検物
質を介してその面に固定された特異的結合物質に結合し
て移動を停止するか又は移動が著しく遅くなる。面の特
異的結合物質が固定されていない領域では、磁性粒子の
移動は該粒子と面との相互作用及び磁場の強さに依存し
て磁石の方向にすみやかに移動する。一方、面の特異的
結合物質が固定されている領域では、該磁性粒子に被検
物質が結合している場合と結合していない場合とではそ
の磁性粒子の移動速度に大きな差を生じる。即ち、試料
中に被検物質が存在しない場合、磁性粒子は被検物質を
結合しないので、面に固定された特異的結合物質とは親
和性を示さず、特異的結合物質が固定されていない領域
と同様にすみやかに磁石の方向に移動する。従って、試
料中に被検物質が存在しない場合、磁性粒子は磁石に近
い位置、即ち担体の面の端部に集まる。一方、試料中に
被検物質が存在する場合、磁性粒子は被検物質を結合す
るので、該磁性粒子は面に固定された特異的結合物質と
被検物質を介して結合して移動が停止又は著しく遅くな
る。従って、試料中に被検物質が存在する場合、磁性粒
子はその面の特異的結合物質で被覆された部分に集ま
る。
【0044】担体の面上の磁性粒子の分布状態、即ち像
は、容易に肉眼により、あるいは吸光度測定やパターン
認識によるマイクロプレートリーダー等の光学的読み取
り装置により確認することができる。
【0045】図1のCは、平底マイクロプレートを用い
て被検物質が存在する試料(陽性の試料)について測定
を行なった場合のウェルを上方からみた図であり、図1
のDは、平底マイクロプレートを用いて被検物質が存在
しない試料(陰性の試料)について測定を行なった場合
のウェルを上方からみた図である。陽性の場合、ウェル
の平底面の特異的結合物質で被覆されていない部分から
移動してきた磁性粒子は特異的結合物質被覆部分にトラ
ップされる。
【0046】図2のCは、底面が長方形の直方体型の透
明容器を用いて被検物質が存在する試料(陽性の試料)
について測定を行なった場合の該容器を上方からみた図
であり、図2のDは、底面が長方形の直方体型の透明容
器を用いて被検物質が存在しない試料(陰性の試料)に
ついて測定を行なった場合の該容器を上方からみた図で
ある。陽性の場合、底面の特異的結合物質で被覆されて
いない部分から移動してきた磁性粒子は帯状被覆部分に
トラップされる。
【0047】図3のCは、長方形の板状体を用いて2種
類の被検物質が存在する試料(それぞれの被検物質が陽
性の試料)について測定を行なった場合の該板状体を上
方からみた図であり、図3のDは、長方形の板状体を用
いて被検物質が存在しない試料(陰性の試料)について
測定を行なった場合の該板状体を上方からみた図であ
る。陽性の場合、表面の特異的結合物質で被覆されてい
ない部分から移動してきた磁性粒子はそれぞれの被検物
質に対応する帯状被覆部分にトラップされる。
【0048】図4のCは、表面に溝が設けられた長方形
の板状体を用いて2種類の被検物質が存在する試料(陽
性の試料)について測定を行なった場合の該板状体を上
方からみた図であり、図4のDは、かかる板状体を用い
て被検物質が存在しない試料(陰性の試料)について測
定を行なった場合の該板状体を上方からみた図である。
陽性の場合、溝の底面の特異的結合物質で被覆されてい
ない部分から移動してきた磁性粒子はそれぞれの被検物
質に対応する帯状被覆部分にトラップされる。
【0049】また、担体として容器を使用した場合、試
料と混合された磁性粒子はその比重により容器の凹部の
下方に沈降する。この際、容器の上部から底面方向に磁
石を作用させることにより磁性粒子の沈降を促進しても
よい。
【0050】担体の特異的結合物質被覆面に沿って移動
するように磁性粒子に磁石を作用させる場合、被検物質
が結合していない磁性粒子と該面との相互作用は弱く、
その移動速度はほぼ磁石に依存する。従って、大きな移
動速度を必要とする場合、すなわち短時間で測定結果を
求めるときには強い磁場を発生する磁石を使用すればよ
い。また、電磁石を用いて磁場の強さを調節しながら測
定を行うことも可能である。
【0051】本発明による第2の測定方法においては、
特異的結合物質を固定して該特異的結合物質により被覆
した面を有する担体の該面に、被検物質の存在が疑われ
る試料及び特異的結合物質を固定した磁性粒子を接触さ
せる前に、被検物質及び/又はその類縁体を接触させて
面に固定された特異的結合物質に被検物質及び/又はそ
の類縁体を予め結合しておく。この第2の測定方法によ
れば、試料中に被検物質が存在しない、即ち陰性の場合
においては、磁性粒子は被検物質を結合しないので、面
に固定された特異的結合物質に予め固定されていた被検
物質及び/又はその類縁体を介して面に固定された特異
的結合物質と結合して移動が停止又は著しく遅くなり、
磁性粒子はその面の特異的結合物質で被覆された部分に
集まることとなる。一方、試料中に被検物質が存在す
る、即ち陽性の場合においては、磁性粒子は試料中の被
検物質と結合するので、磁性粒子は面に固定された特異
的結合物質に予め結合した被検物質の影響を受けずにす
みやかに磁石の方向に移動して磁石に近い位置、即ち担
体の面の端部に集まることとなる。従って、この第2の
測定方法によれば、第1の測定方法により得られる陽性
又は陰性の磁性粒子の分布状態と逆の結果が得られる。
【0052】ここで、被検物質の類縁体とは、被検物質
の一部分、被検物質に別の物質が結合したもの、被検物
質の構造の一部分が置換されたもの等であって被検物質
の特異的結合物質と結合する部分の構造を有し、特異的
結合物質に結合することができる物質のことである。例
えば、被検物質が抗原の場合、この抗原の抗原決定基を
含む物質をこの被検物質の類縁体として挙げることがで
きる。
【0053】担体の面に固定された特異的結合物質に被
検物質及び/又はその類縁体を結合するには、被検物質
及び/又はその類縁体をトリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩
水等の各種緩衝液又は生理食塩水等に分散ないし溶解し
て該面に接触させればよい。尚、この緩衝液のpHについ
ては、pH4〜12の範囲内にあることが好ましい。
【0054】また、試料が血液(全血試料)である場
合、その血液試料中の被検物質の測定を行なうと、その
試料中に含まれる赤血球により遮られて磁性粒子の分布
状態が確認できず、陽性、陰性の判定が困難になる。こ
れに対し、担体の面における特異的結合物質による被覆
部分上の試料及び磁性粒子を含む液の高さを小さくする
と、その被覆部分上の赤血球の数が減るため赤血球に遮
られずに磁性粒子の分布状態を確認することができる。
【0055】試料として血液を用いる場合、担体の面に
おける特異的結合物質による被覆部分上の試料及び磁性
粒子を含む液の高さは、1mm以下であるのが好ましい。
担体の面における特異的結合物質による被覆部分上の試
料及び磁性粒子を含む液の高さを小さくするには、例え
ば、図1又は図2に示したような容器を担体として用い
た場合にはその深さを小さくすればよく、図4に示した
ような表面に溝が設けられた板状体を担体として用いた
場合にはその溝の深さを小さくすればよい。
【0056】試料中の被検物質の濃度が低い場合、試料
を多量に用いる必要がある。それは、被検物質が一定数
以上存在しないと測定において像が形成されないからで
ある。従って、血液試料中の被検物質の濃度が低い場合
には、担体として、特異的結合物質による被覆部分上の
高さは十分小さいが収容できる液の容量は大きい担体を
用いるのが好ましい。特異的結合物質による被覆部分上
の高さは十分小さいが収容できる液の容量は大きい担体
とするには、例えば、特異的結合物質により被覆されて
いない部分を被覆されている部分よりも高さを高くした
り、また、高さとは別に幅、奥行きを大きくしたりして
もよい。具体的には、これらに限定されるものでない
が、図5〜8に例示したような担体が被検物質の濃度が
低い血液試料中の該被検物質の測定を行なう場合に適し
ている。図5及び図6は、それぞれ特異的結合物質によ
る被覆部分上の高さが小さく、且つ特異的結合物質によ
り被覆されていない部分の高さは前記被覆部分上の高さ
よりも大きい容器の斜視図である。また、図7は、特異
的結合物質による被覆部分上の高さが小さく、且つ特異
的結合物質により被覆されていない部分の高さは小さい
がその幅及び奥行きが大きい容器の斜視図である。更
に、図8は、特異的結合物質による被覆部分上の高さが
小さく、且つ特異的結合物質により被覆されていない部
分の高さは小さいがその幅及び奥行きが大きい溝が表面
に設けられた板状体の斜視図である。
【0057】尚、このように、担体として、特異的結合
物質による被覆部分上の高さは十分小さいが収容できる
液の容量は大きい担体を用いる場合、該部分上の被検物
質の数も赤血球と同様に減るが、被検物質は磁性粒子に
結合して磁石の作用により他の部分から上記被覆部分に
移動してくるので測定に支障はない。
【0058】
〔実施例1〕
(HBs抗原の測定) (1) 抗HBs抗体固定マイクロプレートの作製 図1に示すように、平底マイクロプレート(ヌンク社
製、ウェルの直径:7mm、ウェルの深さ:8mm)のウェ
ルの平底面の片側半分に、抗HBs抗体溶液(シノテス
ト社製、5μg/mlの濃度でpH7の10mMリン酸緩衝液に
溶解したもの)25μl をピペットを用いて載せて接触さ
せ、37℃で3時間静置した。次いで、ウェル内の溶液を
吸引除去後、 0.5%(w/v) カゼインを含むトリス緩衝液
(pH7.5 、50mM)(以下、これを希釈液Aという。)を
0.3ml加えて、4℃で一晩放置し、これを吸引除去し
た。このようにして、抗HBs抗体をウェルの平底面の
左半分に固定したマイクロプレートを作製した。
【0059】(2) 抗HBs抗体固定磁性粒子の作製 磁性粒子(Dynabeads M-450 uncoated、ダイナル社製、
粒径:4.5 μm、3%(w/v) )1mlと抗HBs抗体溶液
(シノテスト社製、pH7.0 の10mMリン酸緩衝液に濃度
0.1mg/mlで溶解したもの)1mlを混合し、37℃で30分
間反応させた。ここに希釈液Aを約20倍量加えてマスキ
ングを行なった。次いで、得られた磁性粒子を希釈液A
にて洗浄し、磁性粒子を濃度が約 0.1%(w/v) となるよ
うに希釈液Aに再分散させた。このようにして、抗HB
s抗体固定磁性粒子分散液を調製した。
【0060】(3) HBs抗原の測定 上記(1) で作製した抗HBs抗体固定マイクロプレ
ートのウェルに、試料であるHBs抗原陽性血清25μl
を加え、次いで上記(2) で作製した抗HBs抗体固定磁
性粒子分散液25μl を加えて1分間撹拌した。これを静
置し、マイクロプレートの側面方向に磁石を設置するこ
とによりウェルの平底面の抗HBs抗体が固定されてい
ない部分から平底面の抗HBs抗体が固定されている部
分方向(図1の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁
場を発生させた。磁場を発生させてから2分間以内に図
1のCに示すような磁性粒子の像が認められた。 上記(1) で作製した抗HBs抗体固定マイクロプレ
ートの各ウェルに、試料である各種濃度のHBs抗原液
(明治乳業社製、 0.5%(w/v) カゼイン及び 0.1M塩化
ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0) にそれ
ぞれ0、1、2、10、100 、1000ng/mlの濃度で溶解し
たもの)をそれぞれ25μl ずつ加え、更に上記(2) で作
製した抗HBs抗体固定磁性粒子分散液をそれぞれ25μ
l 加えて1分間撹拌した。これを静置し、マイクロプレ
ートの側面方向に磁石を設置することによりウェルの平
底面の抗HBs抗体が固定されていない部分から平底面
の抗HBs抗体が固定されている部分方向(図1の矢印
方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁場を発生させた。3
分間以内に抗原濃度0ng/mlのもの以外の全てについて
図1のCに示すような磁性粒子の像が認められた。
【0061】〔実施例2〕 (抗HBs抗体の測定) (1) HBs抗原固定マイクロプレートの作製 図1に示すように、平底マイクロプレート(ヌンク社
製、ウェルの直径:7mm、ウェルの深さ:8mm)のウェ
ルの平底面の片側半分に、HBs抗原溶液(明治乳業社
製、5μg/mlの濃度でpH7の10mMリン酸緩衝液に溶解
したもの)25μlをピペットを用いて載せて接触させ、3
7℃で3時間静置した。次いで、ウェル内の溶液を吸引
除去後、前記の希釈液Aを 0.3ml加えて、4℃で一晩放
置し、これを吸引除去した。このようにして、HBs抗
原をウェルの平底面の左半分に固定したマイクロプレー
トを作製した。
【0062】(2) HBs抗原固定磁性粒子の作製 磁性粒子(Dynabeads M-450 uncoated 、ダイナル社製、
粒径:4.5 μm、3%(w/v) )1mlとHBs抗原溶液
(明治乳業社製、pH7.2 の10mMリン酸緩衝液に40μg/
mlの濃度で溶解したもの)1mlを混合し、37℃で30分間
反応させた。ここに希釈液Aを加えてマスキングを行な
った。次いで、得られた磁性粒子を希釈液Aにて洗浄
し、磁性粒子を濃度が約 0.1%(w/v) となるように希釈
液Aに再分散させた。このようにして、HBs抗原固定
磁性粒子分散液を調製した。
【0063】(3) 抗HBs抗体の測定 上記(1) で作製したHBs抗原固定マイクロプレートの
ウェルに、試料である抗HBs抗体を含む血清を25μl
加え、次いで上記(2) で作製したHBs抗原固定磁性粒
子分散液を25μl 加えて1分間撹拌した。これを静置
し、マイクロプレートの側面方向に磁石を設置すること
によりウェルの平底面のHBs抗原が固定されていない
部分から平底面のHBs抗原が固定されている部分方向
(図1の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁場を発
生させた。磁場を発生させてから2分間以内に図1のC
に示すような磁性粒子の像が認められた。
【0064】〔実施例3〕 (抗HBc抗体の測定) (1) HBc抗原固定マイクロプレートの作製 図1に示すように、平底マイクロプレート(ヌンク社
製、ウェルの直径:7mm、ウェルの深さ:8mm)のウェ
ルの平底面の片側半分に、HBc抗原溶液(明治乳業社
製、5μg/mlの濃度でpH7の10mMリン酸緩衝液に溶解
したもの)25μlをピペットを用いて載せて接触させ、3
7℃で3時間静置した。次いで、ウェル内の溶液を吸引
除去後、 0.5%(w/v) カゼインを含むグリシン緩衝液
(pH9、100mM )(以下、これを希釈液Bという。)を
0.3ml加えて、37℃で一晩放置し、これを吸引除去し
た。このようにして、HBc抗原をウェルの平底面の左
半分に固定したマイクロプレートを作製した。
【0065】(2) HBc抗原固定磁性粒子の作製 磁性粒子(Dynabeads M-450 uncoated 、ダイナル社製、
粒径:4.5 μm、3%(w/v) )1mlとHBc抗原溶液
(明治乳業社製、pH7.2 の10mMリン酸緩衝液に40μg/
mlの濃度で溶解したもの)1mlを混合し、37℃で30分間
反応させた。ここに希釈液Bを加えて37℃で3日間マス
キングを行なった。次いで、得られた磁性粒子を希釈液
Bにて洗浄し、磁性粒子を濃度が約 0.1%(w/v) となる
ように希釈液Bに再分散させた。このようにして、HB
c抗原固定磁性粒子分散液を調製した。
【0066】(3) 抗HBc抗体の測定 上記(1) で作製したHBc抗原固定マイクロプレートの
ウェルに、上記(2) で作製したHBc抗原固定磁性粒子
分散液を37.5μl 加え、次いで試料である抗HBc抗体
を含む血清を12.5μl 加えて1分間撹拌した。これを静
置し、マイクロプレートの側面方向に磁石を設置するこ
とによりウェルの平底面のHBc抗原が固定されていな
い部分から平底面のHBc抗原が固定されている部分方
向(図1の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁場を
発生させた。磁場を発生させてから2分間以内に図1の
Cに示すような磁性粒子の像が認められた。
【0067】〔実施例4〕 (HBs抗原及びヘモグロビンの同時測定) (1) 抗HBs抗体・抗ヘモグロビン抗体固定板状体の作
製 アクリル押し出し板(幅25mm、奥行き40mm、厚
さ1mm)〔アクリルサンデー社製〕の上に2枚のアク
リル押し出し板(幅10mm、奥行き40mm、厚さ
0.5mm)〔アクリルサンデー社製〕を5mmの間隔
をおいて溶剤で貼り合わせて、図4に示された表面に溝
(幅5mm、奥行き40mm、高さ0.5mm)が設け
られた板状体を作製した。この板状体の溝の底面の左端
から5mmより10mmの部分に抗HBs抗体溶液(シ
ノテスト社製、5μg/mlの濃度でpH7の10mMリン酸緩
衝液に溶解したもの)20μl をピペットを用いて載せて
接触させた。更に、この板状体の溝の底面の左端から1
5mmより20mmの部分に抗ヘモグロビン抗体溶液
(日本バイオテスト研究所社製、5μg/mlの濃度でpH
7の10mMリン酸緩衝液に溶解したもの)20μl をピペッ
トを用いて載せて接触させて、37℃で3時間静置した。
次いで、これらの溶液を吸引除去後、前記の希釈液A
0.3mlをここに加えて、4℃で一晩放置し、これを吸引
除去した。そして、この板状体の左端の上にアクリル押
し出し板(幅25mm、奥行き25mm、厚さ1mm)
〔アクリルサンデー社製〕を溶剤で貼り合わせることに
より、図4に示したように板状体にカバーをした。この
ようにして、溝の底面に異なる2種類の特異的結合物質
(抗HBs抗体及び抗ヘモグロビン抗体)による帯状被
覆部分が形成された板状体を作製した。
【0068】(2) 抗ヘモグロビン抗体固定磁性粒子の作
製 磁性粒子(Dynabeads M-450 uncoated、ダイナル社製、
粒径:4.5 μm、3%(w/v) )1mlと抗ヘモグロビン抗
体溶液(日本バイオテスト研究所社製、pH7.0の10mMリ
ン酸緩衝液に濃度 0.1mg/mlで溶解したもの)1mlを混
合し、37℃で30分間反応させた。ここに希釈液Aを約20
倍量加えてマスキングを行なった。次いで、得られた磁
性粒子を希釈液Aにて洗浄し、磁性粒子を濃度が約 0.1
%(w/v) となるように希釈液Aに再分散させた。このよ
うにして、抗ヘモグロビン抗体固定磁性粒子分散液を調
製した。
【0069】(3) HBs抗原及びヘモグロビンの同時測
定 試料であるHBs抗原溶液(明治乳業社製、pH7.2 の10
mMリン酸緩衝液に100ng/ml の濃度で溶解したもの)
50μl と1μg/mlのヒトヘモグロビン(シノテスト社
製)50μl を試験管中にて混合攪拌し、次いで上記(2)
で作製した抗ヘモグロビン抗体固定磁性粒子分散液50μ
l 及び実施例1の(2) で作製した抗HBs抗体固定磁性
粒子分散液50μl をここに加えて撹拌した。この混合液
の150μl を上記(1) で作製した抗HBs抗体・抗ヘモ
グロビン抗体固定板状体の溝のカバーされた部分とカバ
ーされていない部分の境目付近にピペットを用いて載せ
て帯状被覆部分に接触させた。これを静置し、板状体の
帯状被覆部分が形成された側面方向に磁石を設置するこ
とにより、板状体の溝の底面の抗HBs抗体及び抗ヘモ
グロビン抗体が固定されていない部分から溝の底面の抗
HBs抗体及び抗ヘモグロビン抗体が固定されている部
分方向(図4の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁
場を発生させた。磁場を発生させてから3分間以内に図
4のCに示すような2本の磁性粒子の像が認められた。
【0070】〔実施例5〕 (血液中のHBs抗原の測定)実施例1の(1) で作製し
た抗HBs抗体固定平底マイクロプレートに、HBs抗
原陽性血液を10μl 加え、次いで 0.5%(w/v) カゼイン
及び 0.1M塩化ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0) を5μl 加え、更に実施例1の(2) で作製した
抗HBs抗体固定磁性粒子分散液を25μl 加えて1分間
撹拌した後、静置した。このマイクロプレートのウェル
に、直径5mmのガラス棒を底面から1mm浮かせるように
入れて、特異的結合物質(抗HBs抗体)による被覆部
分上の試料及び磁性粒子を含む液の高さを1mmとした。
マイクロプレートの側面方向に磁石を設置することによ
りウェルの平底面の抗HBs抗体が固定されていない部
分から平底面の抗HBs抗体が固定されている部分方向
(図1の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁場を発
生させた。磁場を発生させてから2分間以内に図1のC
に示すような磁性粒子の像が赤血球に遮られることなく
認められた。陰性血液を用いた場合には磁性粒子の像は
認められなかった。
【0071】〔実施例6〕 (血液中の抗HBs抗体の測定)実施例2の(1) で作製
したHBs抗原固定平底マイクロプレートに、抗HBs
抗体陽性血液を10μl 加え、次いで 0.5%(w/v) カゼイ
ン及び 0.1M塩化ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0) 5μl を加え、更に実施例2の(2)で作製し
たHBs抗原固定磁性粒子分散液を25μl 加えて1分間
撹拌した後、静置した。このマイクロプレートのウェル
に、直径5mmのガラス棒を底面から1mm浮かせるように
入れて、特異的結合物質(HBs抗原)による被覆部分
上の試料及び磁性粒子を含む液の高さを1mmとした。マ
イクロプレートの側面方向に磁石を設置することにより
ウェルの平底面のHBs抗原が固定されていない部分か
ら平底面のHBs抗原が固定されている部分方向(図1
の矢印方向)に磁束密度40〜60ガウスの磁場を発生させ
た。磁場を発生させてから2分間以内に図1のCに示す
ような磁性粒子の像が赤血球に遮られることなく認めら
れた。陰性血液を用いた場合には磁性粒子の像は認めら
れなかった。
【0072】
【発明の効果】本発明の第1の測定方法及び第2の測定
方法によれば、試料中の被検物質の有無を、従来のよう
に容器底面に集まった粒子の円形の像の大小ではなく、
磁性粒子が磁石に近い位置、即ち面の端部に集まるか或
いは担体の面の特異的結合物質で被覆された部分に集ま
るかにより判定することから判定が容易であり、被検物
質濃度が低い場合であってもその判定が容易である。し
たがって高感度で試料中の被検物質の測定をすることが
できる。しかも非特異的凝集反応が生じた場合において
も誤った判定を与えることはない。また、本発明の第1
の測定方法によれば、磁性粒子及び/又は担体の面への
特異的結合物質の固定量を変更することにより感度を容
易に変更することができるので効率がよい。従って、被
検物質の濃度が低い場合においても被検物質の有無を容
易に判定することができる。更に、本発明の第1の測定
方法及び第2の測定方法によれば、短時間で、具体的に
は被検物質の種類にもよるが、通常、20秒〜10分程度で
試料中の被検物質の有無の判定を行なうことができ、例
えば、HBs抗原の場合、1ng/ml程度の濃度であって
も3分間以内で測定が可能である。更に、本発明によれ
ば、試料中の複数の被検物質の測定を同時に行なうこと
ができる。また、本発明による第1の測定器具及び第2
の測定器具は、それぞれ第1の測定方法及び第2の測定
方法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各ウェルの平底面の片側半分が特異的結合物質
により被覆された平底マイクロプレートを示す図であ
る。
【図2】底面が特異的結合物質により帯状に被覆されて
いる直方体型の透明容器を示す図である。
【図3】表面が特異的結合物質により帯状に被覆されて
いる板状体を示す図である。
【図4】表面に溝が設けられ、該溝の底面が特異的結合
物質により帯状に被覆されている板状体を示す図であ
る。
【図5】特異的結合物質による被覆部分上の高さが小さ
く、且つ特異的結合物質により被覆されていない部分の
高さは前記被覆部分上の高さよりも大きい容器の斜視図
である。
【図6】特異的結合物質による被覆部分上の高さが小さ
く、且つ特異的結合物質により被覆されていない部分の
高さは前記被覆部分上の高さよりも大きい容器の斜視図
である。
【図7】特異的結合物質による被覆部分上は高さが小さ
く、且つ特異的結合物質により被覆されていない部分の
高さは小さいがその幅及び奥行きが大きい容器の斜視図
である。
【図8】特異的結合物質による被覆部分上の高さが小さ
く、且つ特異的結合物質により被覆されていない部分の
高さは小さいがその幅及び奥行きが大きい溝が表面に設
けられた板状体の斜視図である。
【図9】間接凝集反応測定法により試料中の被検物質の
測定を行なった場合の凝集像を示す図である。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の被検物質に対する特異的結合物
    質が固定されて該特異的結合物質により被覆された面を
    有する担体の該面に、試料と、被検物質に対する特異的
    結合物質であって前記担体に固定された特異的結合物質
    と同一又は異なる特異的結合物質が固定された磁性粒子
    とを接触させる工程、及び前記磁性粒子が前記面に沿っ
    て移動するように磁石を作用させる工程を含んでなり、
    前記面における磁性粒子の分布状態から被検物質の有無
    を判定することを特徴とする、試料中の被検物質の測定
    方法。
  2. 【請求項2】 試料中の被検物質に対する特異的結合物
    質が固定されて該特異的結合物質により被覆された面を
    有する担体の該面に、被検物質及び/又はその類縁体を
    接触させて前記面に固定された特異的結合物質に該被検
    物質及び/又はその類縁体を結合させる工程、前記面に
    試料と、被検物質に対する特異的結合物質であって前記
    担体に固定された特異的結合物質と同一又は異なる特異
    的結合物質が固定された磁性粒子とを接触させる工程、
    及び前記磁性粒子が前記面に沿って移動するように磁石
    を作用させる工程を含んでなり、前記面における磁性粒
    子の分布状態から被検物質の有無を判定することを特徴
    とする、試料中の被検物質の測定方法。
  3. 【請求項3】 面が該特異的結合物質により部分的に被
    覆されている、請求項1又は2に記載の試料中の被検物
    質の測定方法。
  4. 【請求項4】 担体が平底面を有する凹部を少なくとも
    一つ備えた容器であって、該平底面が特異的結合物質に
    より被覆されている、請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の試料中の被検物質の測定方法。
  5. 【請求項5】 担体が板状体であって、その表面が特異
    的結合物質により被覆されている、請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の試料中の被検物質の測定方法。
  6. 【請求項6】 前記被検物質が抗原であり、前記特異的
    結合物質が抗体である、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の試料中の被検物質の測定方法。
  7. 【請求項7】 前記被検物質が抗体であり、前記特異的
    結合物質が抗原である、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の試料中の被検物質の測定方法。
  8. 【請求項8】 試料中の被検物質の測定に用いる担体で
    あって、該被検物質に対する特異的結合物質が固定され
    て部分的に該特異的結合物質により被覆されている面を
    有する担体。
  9. 【請求項9】 担体が平底面を有する凹部を少なくとも
    1つ備えた容器であって、該平底面が特異的結合物質に
    より部分的に被覆されている、請求項8に記載の試料中
    の被検物質の測定に用いる担体。
  10. 【請求項10】 担体が板状体であって、その表面が特
    異的結合物質により部分的に被覆されている、請求項8
    に記載の試料中の被検物質の測定に用いる担体。
  11. 【請求項11】 前記被検物質が抗原であり、前記特異
    的結合物質が抗体である、請求項8〜10のいずれか1
    項に記載の試料中の被検物質の測定に用いる担体。
  12. 【請求項12】 前記被検物質が抗体であり、前記特異
    的結合物質が抗原である、請求項8〜10のいずれか1
    項に記載の試料中の被検物質の測定に用いる担体。
  13. 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか1項に記載
    の担体と、被検物質に対する特異的結合物質であって前
    記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異なる特
    異的結合物質が固定された磁性粒子とを含む、試料中の
    被検物質の測定器具。
  14. 【請求項14】 請求項8〜12のいずれか1項に記載
    の担体と、被検物質及び/又はその類縁体と、被検物質
    に対する特異的結合物質であって前記担体に固定された
    特異的結合物質と同一又は異なる特異的結合物質が固定
    された磁性粒子とを含む、試料中の被検物質の測定器
    具。
  15. 【請求項15】 前記被検物質が抗原であり、前記特異
    的結合物質が抗体である、請求項13又は14に記載の
    試料中の被検物質の測定器具。
  16. 【請求項16】 前記被検物質が抗体であり、前記特異
    的結合物質が抗原である、請求項13又は14に記載の
    試料中の被検物質の測定器具。
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