JP2000097082A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2000097082A
JP2000097082A JP10265226A JP26522698A JP2000097082A JP 2000097082 A JP2000097082 A JP 2000097082A JP 10265226 A JP10265226 A JP 10265226A JP 26522698 A JP26522698 A JP 26522698A JP 2000097082 A JP2000097082 A JP 2000097082A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空燃比フィードバック制御に係る制御波形の
最適化を図り、ひいてはトルク変動の更なる抑制や排気
特性の更なる向上を図る。 【解決手段】 電子制御装置(ECU)30は、酸素セ
ンサ11からの検出信号(センサ電圧)VOをもとに、
スキップ補正と積分補正とを行うための空燃比フィード
バック補正係数を算出し、この補正係数を用いて燃料噴
射量(時間)を補正する。スキップ補正時には、通常の
スキップ量に見込みスキップ量を加味し、一方、積分補
正時には所定時間一定値を保持させた後、徐変を行うこ
とにより、同補正係数の制御波形に係る振幅の抑制、周
波数の増大を図る。見込みスキップ量の導入の仕方によ
っては、同制御波形の振幅や周波数に係る特性を維持し
つつ空燃比フィードバック補正係数の制御中心をリッチ
側、或いはリーン側に偏在させることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関に供給さ
れる可燃混合気の空燃比を最適化すべくフィードバック
制御を行う内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車載用内燃機関(エンジン)の運転状態
を制御する装置の一つとして、エンジンの燃焼室に供給
される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置があ
る。一般に、エンジンに要求される空燃比はエンジンの
回転速度、負荷状態及び暖機状態等に応じて変化する。
そこでこの空燃比制御装置では、電子制御装置を通じて
燃料噴射装置(燃料噴射弁)を制御することにより、燃
焼室に供給される燃料量を補正して、混合気の空燃比を
調整する。この調整により、エンジンの各種の運転条件
に対応してエンジンの出力安定性やドライバビリティ等
の向上が図られるとともに、排気特性が最適化される。
【0003】ここで、この空燃比制御装置による空燃比
のフィードバック制御は、具体的には以下のようなメカ
ニズムに基づいて実行される。すなわち、空燃比フィー
ドバック制御に際しては先ず、エンジン回転数や吸気量
等の運転状態パラメータに基づいて基本となる燃料噴射
量(時間)が算出され、その基本燃料噴射量に、空燃比
フィードバック補正係数、空燃比学習値、及びその他の
各種運転状態に基づく補正係数を加味した目標燃料噴射
量(時間)が決定される。空燃比フィードバック補正係
数は、前回の燃料噴射に係る空燃比の理論空燃比(若し
くは目標とする空燃比)に対するずれ量に対応するもの
であり、今回の燃料噴射に係る空燃比を理論空燃比によ
り近づけるための補正係数である。
【0004】そして、エンジンの排気系に設けられた空
燃比センサ(酸素センサ)からの検出信号に基づいて算
出される空燃比が理論空燃比より高ければ、燃料噴射量
を増大し、低ければ減少させるという態様で燃料噴射量
の補正を周期的に繰り返す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうしたメ
カニズムに基づき空燃比を制御する装置にあっては、フ
ィードバック制御によって補正量の増減を行うにあた
り、燃焼室から酸素センサまでのガス輸送時間や酸素セ
ンサの応答時間に起因する応答遅れが生じる。そこで通
常、燃料噴射量の補正態様を増大から減少、若しくは減
少から増大に反転させる際には、この応答遅れを見込ん
で所定量スキップさせるスキップ制御、及びこのスキッ
プさせた補正量を徐変させる積分制御を行うことによ
り、制御系の応答性を高めるようにしている。ただし、
積分制御時の補正量徐変に係る変化率は、大きすぎれば
制御波形の振幅を大きくしてしまい、小さすぎればリッ
チ側へのスキップとリーン側へのスキップとのインター
バルを遅延させ制御波形の周波数を低下させてしまう。
そしていずれの場合も、トルク変動の増大やドライバビ
リティの低下を促し、排気特性を悪化させてしまうこと
となる。このため、前記スキップ制御に係るスキップ量
や積分制御時の補正量徐変に係る変化率を常に最適な数
値に設定することが緻密な空燃比フィードバック制御に
は不可欠となっている。
【0006】なお従来、例えば特開昭58−53661
号公報にみられるように、制御空燃比が排気浄化性の上
で最適な空燃比となるよう、スキップ補正量や積分補正
量を空燃比補正量の増大側と減少側とで非対称化するこ
ともなされているが、この場合であれ、上記応答遅れに
起因する制御波形の振幅の増大化や周波数の低下は免れ
ない。
【0007】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、空燃比フィード
バック制御に係る制御波形の最適化を図り、ひいてはト
ルク変動の更なる抑制や排気特性の更なる向上を図るこ
とのできる内燃機関の空燃比制御装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気系に設
けられて当該内燃機関の排気空燃比を検出する空燃比セ
ンサを有し、その検出される排気空燃比がリッチとリー
ンとの間で反転したときにスキップ制御されるととも
に、その後積分制御されて更新される空燃比補正量に基
づいて内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィード
バック制御する内燃機関の空燃比制御装置において、前
記スキップ制御に際し、そのスキップ量を所定量増大さ
せるとともに、前記積分制御により算出される空燃比補
正量が該増大したスキップ量をもって更新された空燃比
補正量になるまでは、同増大したスキップ量をもって更
新された空燃比補正量に基づき前記空燃比を補正する補
正手段を備えることを要旨とする。
【0009】同構成によれば、制御波形の振幅は抑制し
つつ、スキップ制御による補正量の変動範囲のみを拡大
することとなり、制御波形の周波数も増大することとな
る。この結果、空燃比フィードバック制御の精度が増
し、排気特性も一層向上するようになる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の内
燃機関の空燃比制御装置において、前記補正手段は、前
記積分制御により算出される空燃比補正量が前記増大し
たスキップ量をもって更新された空燃比補正量になるま
での期間に前記検出される排気空燃比が反転したときに
は、前記更新された空燃比補正量を基準量として前記所
定量のスキップ制御をおこなうことを要旨とする。
【0011】同構成によれば、空燃比センサからの検出
信号のばらつきにより空燃比補正量の制御波形の中心が
不安定となることを好適に抑制することができるように
なる。 請求項3記載の発明は、請求項1記載の内燃機
関の空燃比制御装置において、前記補正手段は、前記積
分制御により算出される空燃比補正量が前記増大したス
キップ量をもって更新された空燃比補正量になるまでの
期間に前記検出される排気空燃比がリーンからリッチま
たはリッチからリーンに反転したときには、前記積分制
御により算出される空燃比補正量を基準量として前記所
定量のスキップ制御をおこなうことを要旨とする。
【0012】同構成によれば、酸素センサからの検出信
号がリッチからリーンに反転する周期が短い場合には空
燃比がリッチずれすることを好適に抑制し、逆にリーン
からリッチに反転する周期が短い場合には空燃比がリー
ンずれすることを好適に抑制することにより、空燃比フ
ィードバック制御に係る制御中心の安定性を向上させる
ことができるようになる。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項3記載の内
燃機関の空燃比制御装置において、前記補正手段は、前
記積分制御により算出される空燃比補正量が前記増大し
たスキップ量をもって更新された空燃比補正量になるま
での期間に前記検出される排気空燃比がリッチからリー
ンに反転したときには、前記更新された空燃比補正量を
基準量として前記スキップ制御をおこなうことを要旨と
する。
【0014】同構成によれば、酸素センサからの検出信
号がリッチ及びリーン間で反転する周期が短い場合、空
燃比のリッチずれの抑制と空燃比フィードバック制御に
係る制御中心の安定化が確実に行われるようになる。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何
れかに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記
補正手段は、前記検出される排気空燃比の反転周期が所
定時間以下であるときには、リッチからリーンへのスキ
ップ制御に係るスキップ量と、リーンからリッチへのス
キップ制御に係るスキップ量とを等量とすることを要旨
とする。
【0016】同構成によれば、インジェクタの流動特性
や吸気系内での空気分配、パージ分配の不具合に起因し
て空燃比補正量の制御波形にチャタリングが生じたとき
に、このチャタリング発生時に空燃比補正量の制御波形
が非対称形である場合であれ、制御波形の中心がずれて
しまうことを好適に抑制することができるようになる。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1〜4の何
れかに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記
補正手段は、前記空燃比をリッチ側に補正するときにの
み、前記態様で設定される空燃比補正量に基づく補正を
行うことを要旨とする。
【0018】空燃比フィードバック制御系の応答遅れを
生じさせる要因の一つである酸素センサの応答時間は、
実際の空燃比がリーンからリッチに反転するときに比
べ、リッチからリーンに反転するときの方が長いことが
知られている。この酸素センサの応答時間においてみら
れる偏り、すなわちリッチからリーンへの反転とリーン
からリッチへの反転に係る偏差を考量しなければ、空燃
比の制御中心はリーン側に偏る。
【0019】そこで、上記請求項6に記載した発明の構
成によれば、空燃比フィードバック制御の制御波形に係
る振幅の増大や周波数の低下を伴うことなく、空燃比補
正量の制御中心をリッチ側へ偏在させることができ、空
燃比センサの応答遅れに起因するリーンずれを好適に修
正することができるようになる。
【0020】請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何
れかに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記
補正手段は、前記更新される空燃比補正量に基づく補正
時間に応じて前記スキップ量の増大量を変更することを
要旨とする。
【0021】同構成によれば、空燃比フィードバック制
御に係る制御波形について、振幅の縮減及び周波数の増
大という面で、運転状態に応じた最適な波形を形成する
ことができるようになり、ひいては一層緻密な空燃比制
御を行うことができるようになる。
【0022】請求項8記載の発明は、請求項1〜6の何
れかに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記
空燃比センサの下流に設けられた触媒の更に下流にあっ
て同触媒下流の排気空燃比を検出するリア空燃比センサ
を更に有し、前記補正手段は、前記リア空燃比センサに
て検出される触媒下流の排気空燃比に応じて前記スキッ
プ量の増大量を変更することを要旨とする。
【0023】同構成によれば、前記触媒上流に設けられ
た空燃比センサからの検出信号のばらつきを好適に修正
して、一層緻密性の高い空燃比フィードバック制御を実
行することができるようになる。
【0024】請求項9記載の発明は、請求項1〜8の何
れかに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記
空燃比センサの下流に設けられた触媒の温度を検出する
触媒温度検出手段を更に備え、前記補正手段は、前記検
出される触媒の温度が所定温以上であるとき、空燃比を
リッチ側に補正するときのスキップ量を所定量増大させ
るとともに、該増大したスキップ量をもって更新された
空燃比補正量を所定時間一定に保持することを要旨とす
る。
【0025】排気中の一酸化炭素、炭化水素及び窒化物
を浄化するための排気浄化用触媒は、排気系途中に設け
られた触媒コンバータ中に搭載される。この排気浄化用
触媒は、酸素濃度が高く(リーン)、触媒の温度が高い
状態では、貴金属の凝集が起こりやすい等の原因より、
劣化を早めてしまうことが周知である。このように、排
気浄化用触媒の温度が過度に上昇した場合には、空燃比
フィードバック制御を停止して燃料噴射量を増大させ、
酸素濃度を低下させる等の処置をとるのが通常である。
ところが、このような態様で燃料噴射量を増大させる
と、空燃比フィードバック制御の停止中は空燃比を緻密
にコントロールすることができない。このため、空燃比
フィードバック制御が再開されるまで排気特性が安定し
ない等の問題があった。この点、上記請求項9に記載し
た発明の構成によれば、空燃比フィードバック制御の制
御条件からはずれることなく、しかも当該制御に係る制
御波形の振幅を増大することもなく酸素濃度を低下さ
せ、排気浄化用触媒の劣化を好適に抑制することができ
る。また、酸化還元反応が抑制される為、触媒の温度も
低下するようになる。
【0026】請求項10記載の発明は、請求項9に記載
の内燃機関の空燃比制御装置において、空燃比をリッチ
側に補正すべく空燃比補正量がスキップされた後、前記
検出される排気空燃比がリーンからリッチに戻るまでの
時間を機関運転状態に基づき推定する時間推定手段を更
に備え、前記補正手段は、前記空燃比補正量をスキップ
させた後、前記推定される時間経過後も前記検出される
排気空燃比がリーンからリッチに戻らないとき、前記増
大させた空燃比補正量を更に増大させることを要旨とす
る。
【0027】請求項11記載の発明は、請求項10に記
載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記補正手段
は、前記推定される時間と前記検出される排気空燃比が
実際にリーンからリッチに戻るまでの時間とに基づき前
記空燃比補正量を保持する所定時間を変更することを要
旨とする。
【0028】上記請求項10又は11に記載した発明の
構成によれば、請求項9に記載した発明の実施に際して
制御波形の周波数低下を好適に抑制し、空燃比フィード
バック制御の緻密性を好適に保持することができるよう
になる。
【0029】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
に係る内燃機関の空燃比制御装置を具体化した第1の実
施の形態について、図面を参照して説明する。
【0030】図1は、本実施の形態に係る空燃比制御装
置を備えた自動車のエンジンシステムを示す概略構成図
である。このシステムにあって、エンジン1は、吸気系
2と、燃焼室3と、排気系4とに大別される。
【0031】このうち吸気系2は、その上流より、エア
クリーナ(図示せず)、スロットルバルブ5、及びサー
ジタンク6を有して構成され、またその各部には、吸気
量センサ7、スロットルポジションセンサ(開度セン
サ)8、及び吸気温センサ9等がそれぞれ設けられてい
る。
【0032】これらセンサのうち、吸気量センサ7は、
スロットルバルブ5の上流側に配されて吸入空気の流量
(吸気量)Gaを検出するセンサであり、スロットルポ
ジションセンサ(開度センサ)8は、図示しないアクセ
ルペダルの踏み込み操作に基づき開閉されるスロットル
バルブ5の開度情報を出力する。また、吸気温センサ9
は、エンジン1に吸入される空気の温度(吸気温)TH
Aを検出するセンサである。
【0033】また、この吸気系2には、燃料噴射弁10
が設けられている。図示しない燃料タンクから圧送され
る燃料は、該燃料噴射弁10の操作に応じてエンジン1
内に噴射供給され、同吸気系2を通じて吸入される空気
と混合される。
【0034】他方、排気系4は、触媒(三元触媒)2
0、及び酸素センサ11を備えて構成される。触媒20
は、燃焼室3から排出される排気中に含まれる一酸化炭
素(CO)、炭化水素(HC)、及び酸化窒素(NO
x)を浄化するために設けられる。酸素センサ11はこ
の触媒20の上流に設けられ、触媒通過前における排気
中の酸素濃度を検出する。
【0035】その他、同エンジン1には、点火装置であ
るイグナイタ12、分配器であるディストリビュータ1
3が設けられ、その分配された点火電圧が、各気筒の燃
焼室3に設けられた点火プラグ14に印加されるように
なっている。
【0036】また、上記ディストリビュータ13には回
転数センサ15及び気筒判別センサ16が設けられ、こ
れらセンサ15及び16を通じて、当該エンジン1のエ
ンジン回転数NEが検出され、また燃焼気筒が判別され
る。
【0037】また、同エンジン1は、そのシリンダブロ
ック1a内を循環する冷却水によって冷却されるように
なっており、その冷却水の水温が、同シリンダブロック
1aに設けられた水温センサ17によって検出されるよ
うになる。
【0038】こうしたエンジンシステムにおいて、上述
した各センサの出力は、エンジン1の制御系としての役
割を司どる電子制御装置(以下、ECUという)30に
対し入力される。
【0039】図2は、このECU30のハードウエア構
成についてその概要を示したものであり、次に、この図
2を併せ参照して、同ECU30の内部構成を説明す
る。同図2に示すように、ECU30は、CPU31
a、ROM31b、RAM31c、及びバックアップR
AM31d等を内蔵したマイクロコンピュータ31を中
心に構成される。
【0040】このマイクロコンピュータ31の入力ポー
トには、回転数センサ15、気筒判別センサ16、をは
じめ、A/D変換回路34を介して、吸気量センサ7、
吸気温センサ9、水温センサ17、スロットルポジショ
ンセンサ(開度センサ)8、及び酸素センサ11等のア
ナログ信号を出力するセンサが接続されている。また、
同マイクロコンピュータ31の出力ポートには、イグナ
イタ12や燃料噴射弁10を駆動する駆動回路35等が
接続されている。ECU30は、こうしてマイクロコン
ピュータ31に取り込まれる各センサの出力に基づい
て、エンジン1の燃料噴射や点火にかかる各種制御を実
行する。
【0041】次に、上記ECU30が実行する各種制御
のうち、空燃比制御についてその概要を説明する。EC
U30は、エンジン1の燃焼に関わる混合気中の空燃比
(以下、単に空燃比という)A/Fが同エンジン1の運
転状態に適した目標空燃比となるように、燃料噴射弁1
0から噴射される燃料量を制御制御するための空燃比制
御を実行する。この空燃比制御において、ECU30
は、吸気量Gaとエンジン回転数NEとに基づき求まる
基本燃料噴射量(時間)TAUbsに対し、空燃比フィ
ードバック補正係数FAF及びその他各種制御(例え
ば、暖機運転時の増量制御や加減速時の増量又は減量制
御)によって得られた各種補正係数を加味することによ
り、最終的な目標燃料噴射量(時間)TAUfを決定す
る。
【0042】ここで、本実施形態において採用される空
燃比フィードバック補正係数FAFの特性について、酸
素センサ11からの検出信号をもとに説明する。本実施
形態では、基本燃料噴射量(時間)TAUbsの補正に
用いる空燃比フィードバック補正係数FAFの算出に際
し、いわゆる周知の空燃比フィードバック補正係数(本
実施形態では基本空燃比フィードバック補正係数とい
う)FAFbsと、見込み空燃比フィードバック補正係
数FAFmkという2つの補正係数を併用することとな
る。
【0043】より具体的には、ECU30による毎回の
ルーチン処理で両補正係数FAFbs及びFAFmkを
各々別途に算出しつつ、これら両補正係数のうち何れか
一方を各回のルーチン毎に選択して、これを空燃比フィ
ードバック補正係数FAFとして用いることとする。
【0044】例えば、図3は、酸素センサ11からの検
出信号(センサ電圧)VO、該センサ電圧VOに基づい
て算出される基本空燃比フィードバック補正係数FAF
bs、見込み空燃比フィードバック補正係数FAFm
k、及び空燃比フィードバック補正係数FAFに係るそ
れぞれの信号波形若しくは制御波形を示すタイムチャー
トである。なお、同図3(a)〜(e)において、時間
軸としての横軸は全て同一スケールとなっている。
【0045】先ず、図3(a)には、酸素センサ11か
らの検出信号であるセンサ電圧VOの信号波形を示す。
酸素センサ11は、エンジン1の空燃比A/Fが理論空
燃比に合致する際にはそのセンサ電圧VOが基準電圧K
OXR(例えば0.45ボルト(V))となるよう設定
されている。そして、空燃比A/Fが理論空燃比より小
さいとき(リッチ側)にはセンサ電圧VOが同基準電圧
を上回り、理論空燃比より大きいとき(リーン側)には
センサ電圧VOが同基準電圧以下となる。そこでECU
30は、当該電圧VOが基準電圧KOXRを上回り、所
定の遅延時間(TDL)が経過した後、空燃比A/Fが
リッチ側にあると判断し、基準電圧KOXR以下とな
り、所定の遅延時間(TDR)が経過した後、空燃比A
/Fがリーン側にあると判断する。空燃比フィードバッ
ク制御中においては、空燃比A/Fを理論空燃比に収束
させるべく、後述する空燃比フィードバック補正係数F
AFを変更して目標燃料噴射量(時間)TAUfの増量
補正と減量補正とを繰り返す。このため、同図3(a)
に示すように、センサ電圧VOもまた、基準電圧KOX
Rの上下に変動を繰り返すこととなる。
【0046】次に、図3(b)には、基本空燃比フィー
ドバック補正係数FAFbsの波形(破線)を示す。こ
の基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsは、燃
料噴射量(時間)TAUbsを補正すべく、前記センサ
電圧VOに基づくECU30の判断(リッチ側又はリー
ン側)を逐次フィードバックするとともに、吸気量Ga
等の運転状態を合わせ参照して算出される補正量であ
る。基本的には、空燃比A/Fがリッチ側にあるとEC
U30が判断している期間中は、目標燃料噴射量(時
間)TAUfを減量補正すべく基本空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFbsを1より小さくし(以下、減量と
いう)、空燃比A/Fがリーン側にあると判断している
期間中は、燃料噴射量(時間)TAUfを増量補正すべ
く当該補正係数FAFbsを1より大きくする(以下、
増量という)。
【0047】ここで、例えば、前記ECU30の判断が
リーン側からリッチ側に反転した場合、基本空燃比フィ
ードバック補正係数FAFbsは増量から減量に所定の
比例定数RSLをもってスキップ(リーンスキップ)
し、その後、ECU30の判断がリッチ側からリーン側
に反転するまでは、更に減量側に向かい徐変される。す
なわち積分制御が実行される。一方、ECU30の判断
がリッチ側からリーン側に反転した場合には、同補正係
数FAFbsは減量から増量に所定量RSR分スキップ
(リッチスキップ)した後、ECU30の判断が反転す
るまでは、更に増量側に向かって徐変されることとな
る。
【0048】図3(c)には、見込み空燃比フィードバ
ック補正係数FAFmkの波形(一点鎖線)を示す。見
込み空燃比フィードバック補正係数FAFmkは、前記
基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsがスキッ
プを行う毎に、当該補正係数FAFbsを基準値として
更新されることを前提とする。その算出に際しては、同
図3(c)に示すように、スキップ時の基本空燃比フィ
ードバック補正係数FAFに対し、見込みスキップ量R
SRmk又は見込みスキップ量RSLmkを加味する。
そしてその更新値(FAFmk)は、次回のスキップま
で保持されることとなる。
【0049】図3(d)には、前記基本空燃比フィード
バック補正係数FAFbsの波形(破線)と、見込み空
燃比フィードバック補正係数FAFmkの波形(一点鎖
線)を、同一スケールの時間軸(横軸)及び制御量(縦
軸)上に重ね合わせて示したものである。
【0050】同図3(d)に示すように、両補正係数F
AFbs及びFAFmkは、同一タイミングでリッチス
キップ及びリーンスキップを行うこととなる。そして、
例えばリッチスキップ時には、見込み空燃比フィードバ
ック補正係数FAFmkの方が、見込みスキップ量RS
Rmkの分だけ基本空燃比フィードバック補正係数FA
Fbsを上回っている。その後の積分制御期間におい
て、基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsは徐
々に増大するが、見込み空燃比フィードバック補正係数
FAFmkは一定の値を保持する。このため、所定時間
経過後、点A以降は、基本空燃比フィードバック補正係
数FAFbsが見込み空燃比フィードバック補正係数F
AFmkを上回ることとなる。
【0051】一方、リーンスキップ時においては、見込
み空燃比フィードバック補正係数FAFmkが見込みス
キップ量RSLmkの分だけ基本空燃比フィードバック
補正係数FAFbsを下回っている。その後の積分制御
期間においては、基本空燃比フィードバック補正係数F
AFbsは徐々に減少するが、見込み空燃比フィードバ
ック補正係数FAFmkは一定の値を保持することとな
る。このため、所定時間経過後、点B以降は、基本空燃
比フィードバック補正係数FAFbsが見込み空燃比フ
ィードバック補正係数FAFmkを下回ることとなる。
【0052】ここで、ECU30は、基本空燃比フィー
ドバック補正係数FAFbs及び見込み空燃比フィード
バック補正係数FAFmkのうち、リッチスキップから
リーンスキップまでの期間には両補正係数FAFbs及
びFAFmkのうち数値の大きな方を選択し、リーンス
キップからリッチスキップまでの期間には数値の小さな
方を選択して、これを空燃比フィードバック補正係数F
AFとして燃料噴射量(時間)TAUbsの補正を実行
する。すなわち、ECU30の決定する空燃比フィード
バック補正係数FAFは、結果的に図3(e)に示すよ
うな制御波形を形成することとなる。
【0053】なお、基本燃料噴射量(時間)TAUbs
を補正して目標燃料噴射量(時間)TAUfを算出する
際、空燃比フィードバック補正係数FAFは、例えば以
下に示すような演算中で用いられる。 TAUf = TAUbs×FAF×k1×k2×…×kn…(1) ただし、k1〜knは、例えば暖機増量、加減速、出力
増量等の各種運転状態を考量した補正係数であり、図示
しない処理ルーチンにおいて別途算出されるものであ
る。
【0054】以下、上述したフィードバック補正係数F
AFを用いて行う本実施形態に係る空燃比制御について
詳述する 先ず、本実施形態に係る一連の空燃比制御について、そ
の概要を説明する。
【0055】図4に示すフローチャートは、本実施形態
に係る空燃比制御を実行するメインルーチンであって、
特にフィードバック補正係数FAFの算出に関わる制御
手順を総括的に示したものである。本ルーチンは、EC
U30により所定時間毎に実行される。
【0056】同図に示すように、本実施形態にあって、
空燃比フィードバック補正係数の算出に係る制御は、大
きくは、ステップ001の条件設定ルーチン、ステップ
002及びステップ005の触媒床温判定ステップ、ス
テップ003の空燃比フィードバック補正係数算出ルー
チン、ステップ004の応答遅れ及びスキップ量学習ル
ーチン、ステップ006のホールド制御ルーチン、並び
にステップ007のオープン制御ルーチンを通じて行わ
れる。
【0057】本ルーチンに処理が移行すると、ECU3
0は、先ずステップ001の条件設定ルーチンにおい
て、酸素センサ11からのセンサ電圧VOに基づき現在
の空燃比に係る情報を後述するリッチ判定フラグXOX
R、スキップタイミングフラグXRQSKPのフラグ状
態(設定又は設定解除)として記憶する。これらの情報
は、続く各制御ルーチンにおいて参照されることとな
る。
【0058】次に、ECU30はステップ002におい
て、触媒20の温度を模擬床温として推定し、この推定
温度が所定温度Tcより下回っていればステップ003
〜004に係る空燃比フィードバック制御を実行する。
一方当該推定温度が所定温度Tc以上であれば、さらに
ステップ005において、同推定温度が所定温度td
(但し、td>tc)以上であるか否かを判断する。ス
テップ005における判断が否定であればステップ00
6に係るホールド制御を実行し、同ステップ005にお
ける判断が肯定であれば、フィードバック制御を停止
し、オープン制御(燃料噴射量の増大)を行う。なお、
触媒20の模擬床温推定にあたっては、エンジン回転数
NE等のエンジン負荷に関わるパラメータや車速等に基
づき昇温速度を推定して行う。
【0059】ステップ003〜004に係る一連の空燃
比フィードバック制御においては、基本的には図3で説
明した波形を採用した空燃比フィードバック補正係数F
AFの算出(ステップ003)を行い、続いて同空燃比
フィードバック制御に係る応答遅れ量及びスキップ量の
学習制御(ステップ004)を行って、当該メインルー
チンに係る一連の処理を一旦終了する。
【0060】次に、上記各ステップ001〜005での
具体的な処理内容について順次説明する。図5には、前
記メインルーチン(図4参照)を構成する各制御ルーチ
ンのうち、現在の運転状態が空燃比フィードバック制御
に適合した状態にあるか否かを判断するとともに、酸素
センサ11からのセンサ電圧に基づいて、空燃比制御に
必要な情報を記憶・更新するための「条件設定ルーチ
ン」(図4中ではステップ001)の処理内容を示す。
【0061】処理がこのルーチンに移行すると、ECU
30は先ずステップ101において、空燃比フィードバ
ック制御を実行するための諸条件(a1)〜(a5)が
満たされているか否かを判断する。 (a1)始動時でないこと。 (a2)燃料カット中ではないこと。 (a3)冷却水温THWが所定温度以上であること。 (a4)酸素センサ11が活性化状態であること。 (a5)エンジンが高負荷又は高回転状態でないこと。 (a6)触媒床温が所定温度td未満であること。 そして、上記諸条件(a1)〜(a6)が全て満たされ
ているときには、現在の運転状態が空燃比フィードバッ
ク制御を行うための条件に適合していると判断して、処
理をステップ102aに移行する。一方、上記条件のう
ち何れか一つでも満たされていなければ、現在の運転状
態は空燃比フィードバック制御を行うための条件に適合
していないと判断し、処理をステップ102bに移行す
る。
【0062】ステップ102aにおいては、空燃比フィ
ードバック制御許可フラグ(以下、F/B許可フラグと
いう)XFAFを「オン(ON)」に設定し、処理をス
テップ103に移行する。一方、ステップ102bにお
いては、F/B許可フラグを「オフ(OFF)」に設定
し、本ルーチンを一旦抜ける。
【0063】ステップ103においては、今回読み込ま
れた酸素センサ11からのセンサ電圧VOiが、基準電
圧KOXRを上回っているか否かを判断する。そして、
その判断が肯定であれば処理をステップ104に移行
し、その判断が否定であれば処理をステップ114に移
行する。
【0064】一連のステップ104〜108において
は、センサ電圧VOが基準電圧KOXR以下であるとの
判断が先のステップ103にて連続してなされることを
条件に、その連続回数を計測して、その回数が所定回数
以上に達したときにリッチ判定フラグXOXRを「O
N」に設定する処理、すなわちセンサ電圧VOのノイズ
による誤検出を減らして空燃比フィードバック補正係数
FAFの制御波形の安定化を図るための遅延処理を行
う。ここでリッチ判定フラグXOXRとは、空燃比フィ
ードバック補正係数FAFを更新する際、同補正係数F
AFを増量するのか、或いは減量するのかを選択するた
めの基準として用いるフラグであって、空燃比A/Fは
現在リッチ側にあると判断されたときには「ON」に設
定され、リーン側にあると判断されたときには「OF
F」に設定解除されるものである。
【0065】すなわちECU30は、先ずステップ10
4において、回数計測用ディレイカウンタのカウント値
(以下、単にディレイカウンタという)CDLYをディ
クリメントする。
【0066】続くステップ105においては、ディレイ
カウンタが基準値「0」以下であるか否かを判断する。
そしてその判断が肯定であれば、処理をステップ106
に移行し、その判断が否定であれば処理をステップ12
0に移行する。
【0067】ステップ106においては、ディレイカウ
ンタCDLYが基準値「0」であるか否かを判断する。
そしてその判断が肯定であれば処理をステップ107に
移行し、同ステップ107においては、スキップ制御を
実行すべきタイミングであることを認識するためのスキ
ップタイミングフラグXRQSKPを「ON」に設定
し、処理をステップ108に移行する。また、先のステ
ップ106での判断が否定であれば処理をステップ10
8にジャンプする。
【0068】ステップ108においては、ディレイカウ
ンタCDLYに所定のリーン側遅延処理値TDLに負の
符号を付した値「−TDL」を設定し、処理をステップ
120に移行する。
【0069】一方、先のステップ103を経た後、処理
をステップ110に移行した場合には、続く一連のステ
ップ114〜118を実行する。これらステップ114
〜118においては、センサ電圧VOが基準電圧KOX
R以下であるという判断が先のステップ103にて連続
してなされることを条件に、その連続回数を計測して、
その回数が所定回数以上に達したときにリッチ判定フラ
グXOXRを「ON」に設定する処理、すなわちセンサ
電圧VOのノイズによる誤検出を減らして空燃比フィー
ドバック補正係数FAFの制御波形の安定化を図るため
の遅延処理を行う。
【0070】すなわちECU30は、先ずステップ11
4において、回数計測用ディレイカウンタのカウント値
(以下、単にディレイカウンタという)CDLYをイン
クリメントする。
【0071】続くステップ115においては、ディレイ
カウンタが基準値「0」以上であるか否かを判断する。
そしてその判断が肯定であれば、処理をステップ116
に移行し、その判断が否定であれば処理をステップ12
0に移行する。
【0072】ステップ116においては、ディレイカウ
ンタCDLYが基準値「0」であるか否かを判断する。
そしてその判断が肯定であれば処理をステップ117に
移行し、同ステップ117においては、スキップ制御を
実行すべきタイミングであることを認識するためのスキ
ップタイミングフラグXRQSKPを「ON」に設定
し、処理をステップ118に移行する。また、先のステ
ップ116での判断が否定であれば処理をステップ11
8にジャンプする。
【0073】ステップ118においては、ディレイカウ
ンタCDLYに所定のリッチ側遅延処理値TDRを設定
し、処理をステップ120(図5)に移行する。ステッ
プ120においては、ディレイカウンタCDLYが基準
値「0」を下回っているか否かを判断する。そしてその
判断が肯定であれば処理をステップ121に移行し、そ
の判断が否定であれば処理をステップ122に移行す
る。
【0074】ステップ121においてはリッチ判定フラ
グXOXRを「ON」に設定する。また、ステップ12
2においては同リッチ判定フラグXOXRを「OFF]
に設定解除する。
【0075】そして、上記ステップ121又はステップ
122のうち何れかを経た後、ECU30はその後の処
理を一旦終了する。ちなみに、前記スキップタイミング
フラグXRQSKPのクリア(「OFF」)は、後述す
る「フィードバック補正係数算出ルーチン」にて行う。
【0076】次に、図4において説明した空燃比制御に
係る一連のサブルーチンのうち、空燃比フィードバック
補正係数FAFを算出すべく実行されるステップ003
の空燃比フィードバック補正係数算出ルーチンについて
その処理内容の詳細を説明する。
【0077】図7及び図8には、上記空燃比フィードバ
ック補正係数算出ルーチンに係る処理手順のフローチャ
ートを示す。処理がこのルーチンに移行すると、ECU
30は先ずステップ201において、図5のステップ1
01及びステップ102a,102bで説明したF/B
許可フラグXFAFが「ON」に設定されているか否か
を判断する。そして、F/B許可フラグXFAFが「O
N」に設定されていれば処理をステップ202aに移行
し、F/B許可フラグが「OFF」に設定解除されてい
れば、その処理をステップ202bに移行する。ステッ
プ202bにおいては、以下の(b1)〜(b3)に示
す態様で、基本空燃比フィードバック補正係数FAFb
s及び見込み空燃比フィードバック補正係数FAFm
k、並びに空燃比フィードバック補正係数FAFの初期
化を行う。 (b1)FAFbs=1 (b2)FAFmk=1 (b3)FAF =1 そしてECU30は、その後の処理を一旦終了する。
【0078】一方、ステップ202aにおいては、リッ
チ側見込みスキップ量RSRmk及びリーン側見込みス
キップ量RSLmkを算出する。両見込みスキップ量の
算出に際しては、ECU30は、先ずアイドル認識フラ
グXIDLEの設定状態を認識する。アイドル認識フラ
グXIDLEは、前記エンジン1がアイドル状態にある
ときには「ON」に設定され、通常の運転状態にあると
きには「OFF」に設定解除される。そこでECU30
は、アイドル認識フラグXIDLEの設定状態に対応し
て予め設定されたマップ等を参照し、見込みスキップ量
RSRmk及びRSLmkをそれぞれ吸気量Gaに基づ
いて算出する。ちなみに、両見込みスキップ量RSRm
k及びRSLmkは、アイドル認識フラグXIDLEが
「OFF」である場合に比し、「ON」である場合によ
り大きな値となる傾向にある。また、吸気量Gaが増大
した場合にも、より大きな値として算出される傾向にあ
る。
【0079】続くステップ203においては、図5及び
図6において説明したスキップタイミングフラグXRQ
SKPが「ON」に設定されているか否かを判断する。
そして、スキップタイミングフラグXRQSKPが「O
N」に設定解除されていると判断した場合には、処理を
ステップ204に移行し、スキップタイミングフラグX
RQSKPが「OFF」に設定されている場合には処理
をステップ205に移行する。
【0080】ステップ204においては、現在「ON」
に設定されているスキップタイミングフラグXRQSK
Pを「OFF」に設定解除する。続くステップ206以
降は、スキップ制御に係る処理を行う。すなわち、先ず
ステップ206においては、リッチ判定フラグXOXR
の設定状態についての判断を行う。そして、その設定状
態が「ON」であれば処理をステップ230に移行し、
設定状態が「OFF」であれば処理をステップ240に
移行する。
【0081】ステップ230においては、リッチ判定フ
ラグXOXR及びアイドル認識フラグXIDLEの設定
状態に対応して予め設定されたマップを参照し、吸気量
Gaに基づいて、リーン側スキップ量RSLを算出す
る。さらに、こうして算出されたリーン側スキップ量R
SLに負の符号を付して、空燃比フィードバック補正係
数FAFの今回の更新量RSKiとして一時記憶する。
【0082】続くステップ231においては、前回の基
本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1に更新
量RSKiを加算し、さらにリーン側見込みスキップ量
RSLmkを減算して今回の見込み空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFmkとする。
【0083】さらに続くステップ232においては、前
回の基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1
に更新量RSKiを加算して今回の基本空燃比フィード
バック補正係数FAFbsとする。
【0084】一方、先のステップ206における判断が
否定であり、処理をステップ240に移行した場合に
は、同ステップ240(図8)において、リッチ判定フ
ラグXOXR及びアイドル認識フラグXIDLEの設定
状態に対応して予め設定されたマップを参照し、吸気量
Gaに基づいて、リッチ側スキップ量RSRを算出す
る。さらに、こうして算出されたリッチ側スキップ量R
SRを空燃比フィードバック補正係数FAFの今回の更
新量RSKiとして一時記憶する。
【0085】続くステップ241においては、前回の基
本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1に更新
量RSKiを加算し、さらにリッチ側見込みスキップ量
RSRmkを加算して今回の見込み空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFmkとする。
【0086】さらに続くステップ242においては、前
回の基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1
に更新量RSKiを加算して今回の基本空燃比フィード
バック補正係数FAFbsとする。
【0087】ステップ205以降では、空燃比フィード
バック補正係数FAFを徐変させるための積分制御に係
る処理を行う。すなわち、先ずステップ205において
は、リッチ判定フラグXOXRの設定状態についての判
断を行う。そして、その設定状態が「ON」であれば処
理をステップ210に移行し、その設定状態が「OF
F」であれば処理をステップ220(図8)に移行す
る。
【0088】ステップ210においては、リッチ判定フ
ラグXOXR及びアイドル認識フラグXIDLEの設定
状態に対応して予め設定されたマップを参照し、吸気量
Gaに基づいて、リーン側積分量KiLを算出する。さ
らに、こうして算出されたリーン側積分量KiLに負の
符号を付して、空燃比フィードバック補正係数FAFの
今回の更新量RSKiとして一時記憶する。
【0089】続くステップ211においては、前回の基
本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1に更新
量RSKiを加算して今回の基本空燃比フィードバック
補正係数FAFbsとする。
【0090】一方、先のステップ205における判断が
否定であり処理をステップ2220に移行した場合に
は、同ステップ220において、リッチ判定フラグXO
XR及びアイドル認識フラグXIDLEの設定状態に対
応して予め設定されたマップを参照し、吸気量Gaに基
づいて、リッチ側積分量KiRを算出する。さらに、こ
うして算出されたリッチ側積分量KiRを、空燃比フィ
ードバック補正係数FAFの今回の更新量RSKiとし
て一時記憶する。
【0091】続くステップ221においては、前回の基
本空燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1に更新
量RSKiを加算して今回の基本空燃比フィードバック
補正係数FAFbsとする。
【0092】上記ステップ211(図7)、221(図
8)、232(図7)、242(図8)のうち、ステッ
プ221又はステップ242を経た後は、処理をステッ
プ250(図8)に移行する。他方、ステップ211又
はステップ232を経た後は、処理をステップ260
(図8)に移行する。
【0093】ところで、上記ステップ230→231→
232(以下、処理手順1という)、及びステップ24
0→241→242(以下、処理手順2という)に係る
スキップ制御のための一連の処理のうち、ステップ23
1及びステップ242で算出される見込み空燃比フィー
ドバック補正係数FAFmkは、それぞれ前回の基本空
燃比フィードバック補正係数FAFbsi-1を基準値と
して、更新量RSKi及び見込みスキップ量RSRm
k,RSLmkを加味して求めることとしている。
【0094】また、処理手順1で算出される見込み空燃
比フィードバック補正係数FAFmkは、同処理手順1
で算出される基本空燃比フィードバック補正係数FAF
bsより小さな値をとる一方、処理手順2で算出される
見込み空燃比フィードバック補正係数FAFmkは、同
処理手順2で算出される基本空燃比フィードバック補正
係数FAFbsより大きな値をとることがフローチャー
トから明らかである。
【0095】そして、後続のステップ250及びステッ
プ260(図8)のうち何れのステップでの判断を経た
後も、処理をステップ251に移行することとなる。結
局、スキップ後の空燃比フィードバック補正係数FAF
としては見込み空燃比フィードバック補正係数FAFm
kが常時適用されることとなる。すなわち実質的には、
スキップ制御後の空燃比フィードバック補正係数FAF
は、スキップタイミング直前にある基本空燃比フィー祖
バック補正係数FAFbsに対し、更新量RSKi(R
SR又は−RSL)を加算し、更にリッチ側見込みスキ
ップ量RSRmkを加算、或いはリーン側見込みスキッ
プ量RSLmkを減算して求めることとなる。
【0096】例えば、図9(a)及び(b)には、本実
施形態に係る空燃比フィードバック制御でのスキップ制
御に係る空燃比フィードバック補正係数FAFの変化態
様の一例をタイムチャート上に示す。
【0097】先ず同図9(a)に示すように、リーンス
キップ時には、空燃比フィードバック補正係数FAF
が、点L1から点L2、すなわちスキップ直前の基本空
燃比フィードバック補正係数FAFbsに対して所定量
(RSL+RSLmk)を減算した値まで移行する。
【0098】また同図9(b)に示すように、リッチス
キップ時には、空燃比フィードバック補正係数FAF
が、点R1から点R2、すなわちスキップ直前の基本空
燃比フィードバック補正係数FAFbsに対して所定量
(RSR+RSRmk)を加算した値まで移行する。
【0099】このようなスキップ制御時における空燃比
フィードバック補正係数FAFの移行態様は、以下の理
由により適用するものである。空燃比フィードバック制
御を行うに際し、酸素センサによるセンサ電圧VOの変
動周期、すなわちセンサ電圧VOがリーンからリッチに
反転してから次回リーンからリッチに反転するまで、或
いはリッチからリーンに反転してから次回リッチからリ
ーンに反転するまでの長さは、排気の流速(吸気量G
a)、燃焼室から酸素センサまでの距離、排気通路の構
造、酸素センサ自身の応答性等によって異なる。
【0100】他方、実際の空燃比A/FとECUに認識
されるセンサ電圧VOとの間には、条件設定ルーチン
(図5及び図6)で説明した遅延処理時間も含めて、酸
素センサの応答遅れ等により生じる時間遅れ(変動周期
の位相差)が存在することが広く知られている。
【0101】例えば、図10(a)及び(b)には、そ
れぞれ実際の空燃比A/F及びセンサ電圧VOを同一時
間軸上に示すものである。同図10(a)及び(b)に
示すように、空燃比A/Fの挙動に対するセンサ電圧V
Oの時間遅れは、リーンからリッチへの反転に係るもの
(リッチ側時間遅れΔTLR)よりリッチからリーンへ
の反転に係るもの(リーン側時間遅れΔTRL)の方が
長いことが公知である。また、これら時間遅れΔTRL
及びΔTLRは、先述したセンサ電圧VOの変動周期が
短い場合ほど短く、同変動周期が長いほど長くなる傾向
が強い。
【0102】このため、センサ電圧VOの変動周期の長
い制御系では、リーン側時間遅れとリッチ側時間遅れと
の差(ΔTLR−ΔTRL)が拡大する。すなわち、実
際の空燃比A/Fの変動に対し、センサ電圧VOは速や
かにリッチ側へ反転する一方、リーン側への反転はもた
つく傾向が強まり、結果として空燃比A/Fがリーン側
に偏在する傾向が増す。これとは反対に、センサ電圧V
Oの変動周期の短い制御系では、空燃比A/Fが相対的
にリッチ側へ偏在する傾向が増す。
【0103】この点、上記図9(a)及び(b)に示し
た態様でスキップ制御を行うようにすれば、空燃比フィ
ードバック補正係数FAFの振幅が縮小し、制御周波数
が高まるとともに、当然上記のようなリーン側時間遅れ
とリッチ側時間遅れとの差(ΔTLR−ΔTRL)の拡
大も抑制できることとなり、空燃比A/Fを緻密に目標
値へ収束させることができるようになる。
【0104】すなわち本実施形態では、上記のような処
理手順を用いることにより、リーン側へのスキップ量
(RSL+RSLmk)の減算或いはリッチ側へのスキ
ップ量(RSR+RSRmk)の加算の基準点を変更す
ることにより、空燃比フィードバック補正係数FAFの
制御波形の振幅の減少と周波数の増大とを図り、センサ
電圧VOの変動周期に起因する空燃比のリッチずれ又は
リーンずれを好適に抑制する。
【0105】また、実際の目標空燃比とスキップ後のF
AFとの公差を一定に維持するという趣旨により、以下
に説明するような他の態様(第2の態様という)で、ス
キップ制御に係る空燃比フィードバック補正係数の算出
態様を構成してもよい。
【0106】すなわち、図9(c)及び(d)には、本
発明に係る空燃比フィードバック制御のうち、スキップ
制御に係る他の態様を空燃比フィードバック補正係数F
AFの変化態様としてタイムチャート上に示す。
【0107】先ず、同図9(c)に示すように、リーン
スキップ時に空燃比フィードバック補正係数FAFが点
L1から点L2、すなわちスキップ直前の基本空燃比フ
ィードバック補正係数FAFbsを基準値として、所定
量(RSL+RSLmk)を減算した値まで移行するこ
とは、図9(a)に示した態様と同様である。
【0108】ただし第2の態様では、リッチスキップ時
には、同図9(b)に示すように、空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFが点R1から点R2まで移行する際、
スキップ直前の空燃比フィードバック補正係数FAF
(FAFmk)を基準値として、所定量(RSR+RS
Rmk)を加算した値まで移行することとする。ただ
し、図9(d’)に示すように、リッチスキップ時にお
いて、基本空燃比フィードバック補正係数FAFbsが
見込み空燃比フィードバック補正係数FAFmkを横切
った後にスキップ制御を行う場合には、基本空燃比フィ
ードバック補正係数FAFbsを基準値として、所定量
(RSR+RSRmk)を加算した値まで、スキップ後
の空燃比フィードバック補正係数FAFを移行させる構
成とする。すなわち第2の態様では、リッチスキップ時
には、スキップ直前に適用されている空燃比フィードバ
ック補正係数FAFを基準値としてスキップ制御を行う
よう制御を構成する。
【0109】このような第2の態様によれば、図9
(c)の態様を適用することにより、センサ電圧VOの
反転周期が短い酸素センサを用いる場合ほど空燃比A/
Fがリッチずれし易いという傾向を抑制することとな
り、さらに図9(d)及び(d’)の態様を適用するこ
とにより、これもセンサ電圧VOの反転周期が短い酸素
センサを用いる場合ほど空燃比A/Fがリッチずれし易
いという傾向が十分抑制されることとなって、酸素セン
サからのセンサ電圧の反転周期がばらついても、目標空
燃比とスキップ後の空燃比フィードバック補正係数FA
Fとの公差ばらつきが好適に抑制される。
【0110】さて、図7及び図8に示す「フィードバッ
ク補正係数算出ルーチン」において、上記ステップ22
1(図8)又はステップ242(図8)を経てステップ
250(図8)に処理を移行した場合、同ステップ25
0においては、今回算出した基本空燃比フィードバック
補正係数FAFbsが、見込み空燃比フィードバック補
正係数FAFmkを下回っているか否かを判断する。そ
して、同ステップ250における判断が肯定である場合
には処理をステップ251に移行し、その判断が否定で
ある場合には処理をステップ261に移行する。
【0111】一方、先のステップ211(図7)又はス
テップ232(図7)を経て処理をステップ260(図
8)に移行した場合、同ステップ260においては、今
回算出した基本空燃比フィードバック補正係数FAFb
sが、見込みフィードバック補正係数FAFmk以上で
あるか否かを判断する。そして、同ステップ260にお
ける判断が肯定である場合には処理をステップ251に
移行し、その判断が否定である場合には処理をステップ
261に移行する。
【0112】最後にECU30は、処理をステップ25
1に移行した場合には、見込み空燃比フィードバック補
正係数FAFmkを今回の空燃比フィードバック補正係
数FAFとして採用する。一方、処理をステップ261
に移行した場合には、基本空燃比フィードバック補正係
数FAFbsを今回の空燃比フィードバック補正係数F
AFとして採用する。そして、いずれの場合にもその後
の処理を一旦終了する。
【0113】ECU30は、以上説明した「空燃比フィ
ードバック補正係数算出ルーチン」の処理手順に従い、
本実施形態において採用される空燃比フィードバック補
正係数FAFの算出を行う。
【0114】すなわち、ECU30が毎回の処理で算出
する基本空燃比フィードバック補正係数FAFbs及び
見込みフィードバック補正係数FAFmkは、いずれも
酸素センサ11からのセンサ電圧VOに基づく空燃比A
/F情報に対応してリッチスキップ、積分制御、リーン
スキップ、積分制御を繰り返すフィードバック制御量で
あり、上記処理ルーチン中では以下に示す式に基づいて
その値を更新していく。 ・リッチスキップ時のFAFbs=前回のFAFbs+
リッチ側スキップ量RSR (ステップ208b) ・リッチスキップ時のFAFmk=前回のFAFbs+
リッチ側スキップ量RSR+見込みスキップ量RSRm
k (ステップ206c) ・リッチスキップ後のFAFbs=前回のFAFbs+
リッチ側積分量KiR (ステップ208b) ・リッチスキップ後のFAFmk= 前回のFAFmk ・リーンスキップ時のFAFbs=前回のFAFbs−
リーン側スキップ量RSL (ステップ208a) ・リーンスキップ時のFAFmk=前回のFAFmk−
リーン側スキップ量RSL−見込みスキップ量RSLm
k (ステップ206a) ・リーンスキップ後のFAFbs=前回のFAFbs−
リーン側積分量KiL (ステップ208a) ・リーンスキップ後のFAFmk= 前回のFAFmk そこで、ステップ209a又はステップ209bにおけ
る判断では、FAFmk及びFAFbsのうち、リッチ
スキップからリーンスキップに至るまでの期間において
はより大きな数値を選択し、リーンスキップからリッチ
スキップに至るまでの期間においてはより小さな方を空
燃比フィードバック補正係数FAFとして採用する(図
3(e)参照)。
【0115】図11には、空燃比フィードバック制御に
係る空燃比フィードバック補正係数FAFの制御波形の
うち、リッチスキップからリーンスキップに至る一期間
にかかるものを一例として示す。なお、図11(a)に
は従来の空燃比フィードバック制御にかかる制御波形、
図11(b)には制御波形を矩形としたもの、そして図
11(c)には本実施形態で採用された制御波形を示
す。また、各図11(a)〜(c)に示す制御波形をも
って得られる面積(斜線部)は全て同一であり、このこ
とは、燃料噴射量TAUの総補正量(増量)はほぼ同等
であることを意味する。
【0116】各図11(a)〜(c)を比較して明らか
なように、従来の制御波形(図11(a))を採用する
空燃比フィードバック補正係数FAFの振幅が三者中最
も大きく、制御時間も最長となる。
【0117】そこで、空燃比フィードバック補正係数F
AFの振幅の最小化を図りつつ制御時間も最短とするた
めには、矩形の制御波形(図11(b))を採用するの
が最も好ましいとも考えられる。
【0118】ところが、矩形の制御波形を採用すると、
予め的確なスキップ量の設定が行われなければ、その周
波数に変動を生じやすいという問題がある。これは、積
分制御中に空燃比フィードバック補正係数FAFを徐変
させないため制御時間が容易に伸縮してしまうためであ
る。このような制御時間変動の生じ易さは、エンジン1
の吸気量Ga等の変化量が大きくなる過渡的な運転状態
においてとくに顕著となる。このように、FAFの制御
時間及びその変動は、それぞれ制御周波数及びその乱れ
を反映するようになる。さらに、矩形の制御波形を採用
した場合には、スキップ制御後の空燃比フィードバック
補正係数FAFがストイキを横切ることができなけれ
ば、フィードバック制御が停止してしまうこととなる。
【0119】この点、本実施形態における空燃比フィー
ドバック補正係数FAFの制御波形(図11(c))に
よれば、その周波数を高めつつ振幅も抑制することがで
き、ひいては緻密且つ応答性の高い空燃比フィードバッ
ク制御を行うことができるようになる。これにより、ト
ルク変動の抑制やドライバビリティも向上し、排気特性
もその最適化が図られる。
【0120】また、上記「空燃比フィードバック補正係
数算出ルーチン」についての説明から明らかなように、
空燃比フィードバック補正係数FAFの制御波形は、ス
キップ量RSR及びRSL、見込みスキップ量RSRm
k及びRSL、並びに積分量KiR及びKiLからなる
構成要素により決定されることとなる。すなわち、これ
ら制御量を各々変更することにより、制御波形を非対称
化したり、空燃比フィードバック補正係数FAFの制御
中心(基本的には「1」)をリッチ側やリーン側に修正
したりすること等も容易となる。
【0121】次に、図4において説明した空燃比フィー
ドバック制御に係る一連のルーチンのうち、ステップ0
04の応答遅れ及びスキップ量学習ルーチンについてそ
の処理内容の詳細を説明する。
【0122】図3(a)〜図3(e)において説明した
ように、本実施形態による空燃比フィードバック制御で
は、空燃比フィードバック補正係数FAFをリーンスキ
ップ、若しくはリッチスキップさせた後の積分制御期間
においては、所定時間一定量に保持し、その後更に徐変
することとしている。この結果として形成される空燃比
フィードバック補正係数FAFの制御波形は、同図3
(e)に示した通りである。
【0123】そこで、この応答遅れ及びスキップ量学習
ルーチンは、前記「空燃比フィードバック補正係数算出
ルーチン」において逐次算出される空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFの波形をさらに最適化するためのもの
であり、具体的には、当該波形に係る周波数の増大と振
幅の抑制とを併せ図るとともに、吸気量Gaに基づいて
区画した複数の運転領域毎に、当該波形に係る情報、す
なわち制御応答遅れdlRSR,dlRSL、スキップ
量RSR,RSL、及び見込みスキップ量RSRmk,
RSLmkを学習更新するためものである。
【0124】図12及び図13には、上記応答遅れ及び
スキップ量学習ルーチンに係る処理手順のフローチャー
トを示す。処理がこのルーチンに移行すると、ECU3
0は先ずステップ301において、F/B許可フラグX
FAFが「ON」に設定されているか否かを判断する。
そして、その判断が肯定であれば処理をステップ302
に移行し、その判断が否定であれば本ルーチンを一旦抜
ける。
【0125】ステップ302においては、リッチ判定フ
ラグXOXRが「ON」に設定されているか否かを判断
する。そして、その判断が肯定であれば処理をステップ
303aに移行し、その判断が否定であれば処理をステ
ップ303b(図13)に移行する。
【0126】ステップ303aにおいては、前回の処理
においてリッチ判定フラグXOXRが「OFF」に設定
解除されていたか否かを判断する。この判断が肯定であ
れば、前回のルーチンから今回のルーチンに処理が移行
する間に空燃比A/Fはリーンからリッチに反転したと
みなし、処理をステップ304aに移行する。一方、そ
の判断が否定であれば、ECU30は今回のルーチン処
理を一旦終了する。
【0127】ステップ304aにおいては、リーン側応
答遅れカウンタCFAFLを「0」にリセットする。こ
のリーン側応答遅れカウンタCFAFLは、リッチ側応
答遅れCFAFRとともに、本ルーチンとは別途のプロ
グラムとして構成される2種のタイマカウンタによっ
て、常時更新され続けるカウント値である。
【0128】ちなみに図14に示すように、リッチ側応
答遅れカウンタCFAFRは所定周期毎にカウントアッ
プしつつ空燃比フィードバック補正係数FAF(図14
(a))がリッチスキップする毎にリセットされ(図1
4(b))、一方リーン側応答遅れカウンタCFAFL
は、所定周期毎にカウントアップしつつ空燃比フィード
バック補正係数FAF(図14(a))がリーンスキッ
プする毎にリセットされる(図14(c))。
【0129】続くステップ305aにおいては、先行の
処理ルーチンである前記「空燃比フィードバック制御ル
ーチン」で今回算出された見込み空燃比フィードバック
補正係数FAFmk及び基本空燃比フィードバック補正
係数FAFbsを用い、以下に示す式(2)に従って両
者間の偏差(以下、見込み量−基本量偏差という)dl
mkbsを算出する。 dlmkbs=FAFmk−FAFbs…(2) ここで、この見込み量−基本量偏差dlmkbsは、見
込み空燃比フィードバック補正係数FAFmk−基本空
燃比フィードバック補正係数FAFbs間偏差であっ
て、特にこの場合は、両補正係数がリーンからリッチへ
反転する直前の偏差に相当する。
【0130】ステップ306aにおいては、前記ステッ
プ305aで算出した見込み量−基本量偏差dlmkb
sが0以上であるか否か、言い換えると、見込みフィー
ドバック補正係数FAFmkが基本空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFbs以上であるか否かを判断する。そ
して、その判断が肯定であれば処理をステップ307a
1に移行し、その判断が否定であれば処理をステップ3
07a2に移行する。
【0131】ステップ307a1及びステップ307a
2においては、空燃比フィードバック補正係数FAFが
リーンからリッチへ反転したときのスキップ量RSRに
係る最新の履歴を学習値として更新する。このスキップ
量RSRの算出に際しては、先ず前記ステップ305a
において算出した見込み量−基本量偏差dlmkbsに
基づきスキップ量RSRの変化量dlRSRを演算す
る。そして、更に当該変化量dlRSRをスキップ量R
SRの旧学習値RSRi-1に加算し、この値を最新の学
習値とする。この学習値(スキップ量)RSRは、吸気
量Gaに基づいて区画された複数の運転領域のうち、現
在の運転領域(Ga)に該当する領域に係る学習値とし
て前記バックアップRAM31dに格納されることとな
る。そして、ステップ307a1における処理の後には
ステップ308aに移行し、ステップ307a2におけ
る処理の後にはステップ309aにジャンプする。な
お、ステップ307a1における処理で見込み量−基本
量偏差dlmkbsに基づいて求められる変化量dlR
SRは、リッチ側スキップ量RSRを増量させるための
更新量であるのに対し、ステップ307a2における処
理で求められる変化量dlRSRは、リッチ側スキップ
量RSRを減量させるための更新量である。よってステ
ップ307a1で求められる変化量dlRSRは正の
値、ステップ307a2で求められる変化量dlRSR
は負の値となる。
【0132】ステップ308aにおいては、図14
(a)に併せ示すように、旧学習値として前記バックア
ップRAM31dに記憶されているリッチ側応答遅れ時
間dtRi-1に対し、現在のリッチ側応答遅れカウンタ
CFAFRの値(dtRi)を加味した値を、最新の学
習値dtRとして同バックアップRAM31dに記憶更
新する。なお、図12のフローチャート中のステップ3
08aに示すように、最新の学習値は、旧学習値dtR
i-1とリッチ側応答遅れカウンタCFAFR(dtRi)
との平均値として算出するが、学習値の急激な変動を抑
制するために、リッチ側応答遅れカウンタCFAFRの
最新学習値dtRへの寄与率は小さく設定(1/64な
まし(徐変))してある。
【0133】ステップ309aにおいては、以下に示す
式(3)に従って見込みスキップ量RSRmkを算出す
る。 RSRmk = dtR × KiR…(3) そして、この見込みスキップ量RSRmkもまた、吸気
量Gaに照らした現在の運転領域に係る学習値として前
記バックアップRAM31dに格納されることとなる。
同ステップ309aにおける処理を経た後、ECU30
は今回のルーチンを終了する。
【0134】上記ステップ301、ステップ302、及
びステップ303a〜309aにおける一連の処理で
は、図14(a)に示す空燃比フィードバック補正係数
FAFがリッチスキップをしてからリーンスキップをす
るまでの間、同空燃比フィードバック補正係数FAFの
制御波形を矩形に近似させつつ、当該制御波形にかかる
情報を学習値として記憶・更新するためのものである。
そして、このような制御波形の最適化処理を繰り返すこ
とにより、記憶される学習値により形成される制御波形
は、当該学習制御が行われている運転領域(吸気量G
a)に対応する最適な制御波形に近似されていくことと
なる。
【0135】一方、前記ステップ302における判断が
否定であり、処理をステップ303b(図13)に移行
した場合のステップ303b〜ステップ309bに示す
一連の処理は、同じく図14(a)に示す空燃比フィー
ドバック補正係数FAFがリーンスキップをしてからリ
ッチスキップをするに至るまでの制御波形にかかる情報
を学習値として記憶・更新するためのものである。な
お、同ステップ303b〜ステップ309bに示す処理
は上述したステップ303a〜ステップ309aにおい
て行う処理に対応したものであるため、ここでの重複し
た説明は割愛する。
【0136】ECU30は、以上説明した「応答遅れ及
びスキップ量学習ルーチン」の処理手順に従い、前記
「空燃比フィードバック補正係数算出ルーチン」で算出
する空燃比フィードバック補正係数FAFの制御波形の
最適化を行うとともに、当該最適化された制御波形に係
る制御情報の記憶更新を行う。
【0137】図15は、上記応答遅れ及びスキップ量学
習ルーチンにより、空燃比フィードバック補正係数FA
Fの制御波形がどのような態様で変更されるかを、リッ
チスキップからリーンスキップに至る一期間を例にとっ
て模式的に示したものである。
【0138】例えば、同図15(a)に示す制御波形の
ように、リーンスキップ直前の基本空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFbsが見込み空燃比フィードバック補
正係数FAFmkを上回っている場合には、当該「応答
遅れ及びスキップ量学習ルーチン」(図12)は、ステ
ップ306aでの判断をもとに、制御波形を矩形に近似
させるべく以下のような手順で処理を行うこととなる。 (A1)次回リッチスキップ時のスキップ量RSRを増
量し、学習する(ステップ307a1)。 (A2)当該スキップ量RSRから推定される次回の応
答遅れdtRを算出する(ステップ308a)。 (A3)応答遅れdtRに所定の積分量KiRを乗算し
て次回の見込みスキップ量RSRmkを算出し、学習す
る(ステップ309a)。 一方、同図15(c)に示す制御波形のように、リーン
スキップ直前の基本空燃比フィードバック補正係数FA
Fbsが見込み空燃比フィードバック補正係数FAFm
k以下である場合には、制御波形は矩形となるが、矩形
を保持しつつ積分制御時の空燃比フィードバック補正係
数FAFを減少させることにより、同空燃比フィードバ
ック補正係数FAFの振幅を抑制し得る。
【0139】そこで、当該「応答遅れ及びスキップ量学
習ルーチン」(図13)では、以下のような手順に従
い、当該振幅の抑制を図る。 (C1)次回リッチスキップ時のスキップ量RSRを減
量し、学習する(ステップ307a2)。 (C2)今回の応答遅れdtR(更新せず)に所定の積
分量KiRを乗算し、次回の見込みスキップ量RSRm
kとして学習する(ステップ309a)。 このような学習ルーチンによる制御の結果、リッチスキ
ップからリーンスキップに至る期間における空燃比フィ
ードバック補正係数FAFの制御波形は、同図15
(b)に示すような波形、すなわち略矩形を有しつつ、
積分制御期間のうちのリーンスキップ直前の微小期間
に、同空燃比フィードバック補正係数FAFの徐変が生
じるような波形となる。
【0140】前記「空燃比フィードバック補正係数算出
ルーチン」による空燃比フィードバック制御を実行しつ
つ、これに上記の「応答遅れ及びスキップ量学習ルーチ
ン」による処理を併用することにより、運転領域(本実
施形態にあっては吸気量Gaの領域)を限定した上で最
適な制御波形を学習させることができるため、制御波形
を矩形に近似させても、過渡的な運転状態の変動にも対
応でき、加えて制御の緻密性も一層向上することとな
る。そして、この結果、広い運転状態領域で最適な空燃
比が好適に保持されることとなり、ドライバビリティや
排気特性も一層向上することとなる。
【0141】次に、図4において説明した空燃比フィー
ドバック制御に係るルーチンののうち、ステップ005
のホールド制御ルーチンについてその処理内容の詳細を
説明する。
【0142】このホールド制御ルーチンは、同図4に示
したメインルーチンのステップ002での判断におい
て、触媒床温が所定温Tc以上であると判断された場
合、ステップ003,004に係る一連の空燃比フィー
ドバック制御を一時中断して実行されるルーチンであ
る。このルーチンでは、空燃比フィードバック補正係数
FAFをリッチ側に所定時間滞留させることにより空燃
比A/Fをリッチ側に編在させ、触媒20の劣化を抑制
すべく触媒床温の低下を促す。
【0143】例えば、図16(a)〜(c)は、このホ
ールド制御ルーチンの実行に伴う空燃比フィードバック
補正係数FAF及び酸素センサ11からのセンサ電圧V
Oの推移例を共通の時間軸(横軸)のもとで示すタイム
チャートである。
【0144】このホールド制御にあっては、基本的には
図16(a)に示すように、空燃比フィードバック補正
係数FAFの制御波形の示すリッチスキップのタイミン
グ(点A)は、センサ電圧VOがリッチ側(VO>KO
XR)からリーン側(VO≦KOXR)に反転するタイ
ミングに同期させるが、リーンスキップのタイミング
(点B)決定はセンサ電圧VOには依らず、リッチスキ
ップ時(点A)からECU30により設定されるホール
ド時間Thd0が経過した時刻とする。そして、リッチス
キップ時から上記設定されたホールド時間Thd0が経過
するまでリッチスキップにより更新したFAFを一定に
保持させることとする。上記ホールド時間Thd0を設定
する際に、センサ電圧VOが次回リッチ側(VO>KO
XR)に反転するまでに要する時間は予想応答遅れ時間
Tdyとして推定する。
【0145】ところが、同図16(b)に示すように、
燃料噴射量の増量により空燃比をリッチ側へ推移させる
効果が予想を下回る場合などには、前記予想応答遅れ時
間Tdyが経過してもセンサ電圧VOがリッチ側に反転し
ないこともある。そのような場合、このホールド制御で
は、実際の応答遅れ時間tが経過するまで、すなわちセ
ンサ電圧VOが基準電圧KOXRを上回るまで所定の増
加率をもって空燃比フィードバック補正係数FAFを徐
変(増加)させることとする。そして、当該実際の応答
遅れ時間tが経過した後は、空燃比フィードバック補正
係数FAFを再度一定値に保持することとなる。ただし
この際には、ホールド時間Thd0の残り時間を予想応答
遅れ時間Tdyと実際の応答遅れ時間tとの誤差分(C−
D間)だけ延長させるよう調節して、初期値として設定
したホールド時間Thd0を新ホールド時間Thd0’(A−
B’間)として再設定することとする。
【0146】一方、図16(c)に示すように、燃料噴
射量の増量により空燃比をリッチ側に推移させる効果が
予想を上回る場合などには、予想応答遅れ時間Tdyを経
過する以前に、センサ電圧VOがリーンからリッチに反
転することもある。そのような場合、このホールド制御
では、実際の応答遅れ時間t経過後のホールド時間Thd
の残り時間を予想応答遅れ時間Tdyと実際の応答遅れ時
間tとの誤差分だけ短縮させるよう調節して、初期値と
して設定したホールド時間Thd0を新ホールド時間Thd
0’(A−B’間)として再設定することとする。
【0147】このように、本実施形態のホールド制御で
は、所定のホールド時間Thd0を設けて空燃比フィード
バック補正係数FAFをリッチ側に偏在させるととも
に、ホールド時間中の空燃比フィードバック補正係数F
AFを適宜変更し、更にホールド時間の伸縮も行うこと
によって、空燃比フィードバック制御に係る制御周波数
の低下を抑制しつつ、必要且つ十分な範囲で空燃比をリ
ッチ側に偏在させるようにする。
【0148】なお、このホールド制御の実行条件である
「触媒20が所定温Tc以上」(図4参照)は、空燃比
フィードバック制御の実行可能な温度領域内ではある。
しかしながら、触媒20の触媒床温がこの所定温Tcを
越えて上昇し続ければいずれ空燃比フィードバック制御
のできない高温領域に達することとなる。すなわち、こ
のホールド制御を実行することにより、触媒20の触媒
床温に係る運転状態が、空燃比フィードバック制御の実
行条件から外れることを好適に防止することとなる。こ
の結果、排気特性の好適化に有利な空燃比フィードバッ
ク制御の実行領域が実質的に拡大されることとなり、平
均的には排気特性のより一層の向上が図られることとな
る。
【0149】図17及び図18には、当該ホールド制御
に係る処理内容の詳細を示す。処理がこのルーチンに移
行すると、ECU30は先ずステップ401(図17)
において、現在リッチスキップタイミングであるか否か
を判断する。すなわち、スキップタイミングフラグXR
QSKPが「ON」に設定されており、且つリッチ判定
フラグXOXRが「ON」に設定されていればその判断
は肯定である。そして、その判断が肯定であれば処理を
ステップ402に移行し、その判断が否定であれば処理
をステップ403に移行する。
【0150】ステップ402においては、空燃比フィー
ドバック補正係数FAFの更新、リーン側応答遅れカウ
ンタCFAFLのリセット、並びにホールド時間Thd
0、リッチ側見込みスキップ量RSRmk及び予想応答
遅れ時間Tdyの算出を行う。
【0151】空燃比フィードバック補正係数FAFの更
新に際しては、前回の処理で算出した空燃比フィードバ
ック補正係数FAFi-1に、前述したリッチ側スキップ
量RSR及びリッチ側見込みスキップ量RSRmkを加
算して、今回の空燃比フィードバック補正係数FAFi
とする。
【0152】ホールド時間Thd0は、空燃比をリッチ側
に保持しておくための設定時間であり、触媒20の床温
を適度に低下させるため必要十分な時間として、現在の
吸気量Ga及び触媒20の模擬床温に基づき図示しない
マップを参照して算出される。
【0153】予想応答遅れ時間Tdyは、フィードバック
制御の応答遅れ、この場合はセンサ電圧VOがリーン側
に維持される推定時間であり、現在の吸気量Gaに基づ
いて図示しないマップから算出する。この予想応答遅れ
時間Tdyは、吸気量Gaが大きいほど短くなる傾向にあ
るよう設定されている。
【0154】また、リーン側応答遅れカウンタCFAF
Lは、前記「応答遅れ及びスキップ量学習ルーチン」で
説明したように、本ルーチンとは別途のプログラムとし
て構成されるタイマカウンタによって、常時更新され続
けるカウント値である。本ルーチンにおいては、このカ
ウント値CFAFLは、ホールド時間Thd0、同ホール
ド時間Thd0経過までの残り時間、予想応答遅れ時間Td
y、及び実際の応答遅れ時間tの経過等を認識するため
に用いられる。同ステップ402の処理後、ECU30
はルーチンを一旦抜ける。
【0155】一方、前記ステップ401における判断が
否定で処理をステップ403に移行した場合、同ステッ
プ403では、カウンタCFAFLがホールド時間Thd
0(再設定後においてはThd0’)を経過していないか否
か、すなわちホールド時間Thd0の残り時間があるか否
かを判断する。そして、その判断が否定(残り時間が
「0」)であれば、図16(a)〜(c)における点B
若しくは点B’での処理を行うべくステップ411(図
18)に移行し、その判断が肯定であれば処理をステッ
プ404に移行する。ステップ404においては、酸素
センサ11からのセンサ電圧VOに基づく空燃比がリッ
チ側であるか否か、すなわちリッチ判定フラグXOXR
が「ON」に設定されているか否かを判断する。
【0156】そして、その判断が否定であれば図16
(a)〜(c)でのリーン側に対する処理を行うべくス
テップ405に移行し、その判断が肯定であれば図16
(a)〜(c)でのリッチ側での処理を行うべくステッ
プ407(図18)に移行する。
【0157】ステップ405においては、リーン側応答
遅れカウンタCFAFLが予想応答遅れ時間Tdyを上回
ったか否かを判断する。そして、その判断が否定であれ
ば処理をステップ406aに移行し、その判断が肯定で
あれば処理をステップ406bに移行する。
【0158】ステップ406aにおいては、前回の空燃
比フィードバック補正係数FAFi-1を今回の空燃比フ
ィードバック補正係数FAFiとして再度採用する(図
16(a)〜(c)の各A−C間)。一方、ステップ4
06bにおいては、前回算出した空燃比フィードバック
補正係数FAFi-1にリッチ側積分量KiRを加算して今
回の空燃比フィードバック補正係数FAFiとする(図
16(b)のC−D間)。そして、ステップ406a及
びステップ406bのうち何れのステップにおける処理
を行った場合であっても、ECU30はその後の処理を
一旦終了する。
【0159】また、前記ステップ404における判断が
肯定で処理をステップ407(図18)に移行した場
合、当該ステップ407では、リッチ判定フラグXOX
Rが前回「ON」に設定されていたか否かを判断する。
そして、その判断が肯定であれば、既にホールド時間T
hd0の更新(新ホールド時間Thd0’の設定)が済んでい
るものとして、処理をステップ410に移行し、その判
断が否定であれば、現在、図16(a)及び(c)では
点C、図16(b)では点Dのタイミングにあるものと
して、処理をステップ408に移行する。
【0160】ステップ408においては、今回読み込ま
れたリーン側応答遅れカウンタCFAFLが予想応答遅
れ時間Tdyと一致しているか否かを判断する。そして、
その判断が肯定であれば、図16(a)に示したパター
ンに相当しているものとして処理をステップ410に移
行し、その判断が否定であれば図16(b)あるいは
(c)に示したパターンに相当しているものとして処理
をステップ409に移行する。
【0161】ステップ409においては、前記ステップ
402において設定されたホールド時間の初期設定時間
Thd0から予想応答遅れ時間Tdyを減算して、その演算
結果を現在の残り時間Thdiとする。そして、以下の式
(4)に示すように、この残り時間Thdiと現在のカウ
ンタCFAFLの値とからホールド時間Thd0を新ホー
ルド時間Thd0’として再設定する。 Thd0’= CFAFL + Thdi…(4) ここで、空燃比フィードバック補正係数FAFのリッチ
スキップ後、センサ電圧VOがリーンからリッチに反転
するまでに要した時間t(CFAFL)が予想応答遅れ
時間Tdyを上回っていればホールド時間Thd0(Thd
0’)は延長されることとなる(図16(b))。一
方、空燃比フィードバック補正係数FAFのリッチスキ
ップ後、センサ電圧VOがリーンからリッチに反転する
までに要した時間t(CFAFL)が予想応答遅れ時間
Tdyを下回っていればホールド時間Thd0(Thd0’)は
短縮されることとなる(図16(c))。この後ECU
30は、処理をステップ410に移行する。
【0162】ステップ410においては、前回の空燃比
フィードバック補正係数FAFi-1を今回の空燃比フィ
ードバック補正係数FAFiとして再設定する(図16
(a)のC−B間、図16(b)のD−B’間、図16
(c)のC−B’間)。そしてECU30は、その後の
処理を一旦終了する。
【0163】一方、前記ステップ403(図17)にお
ける判断が否定であり、処理をステップ411(図1
8)に移行した場合には、図16(a)〜(c)におけ
るそれぞれ点B、あるいは点B’以降の処理を行う。す
なわちステップ411においては、ホールド時間Thd0
あるいはThd0’の経過後最初の処理であるか否かを判
断する。そして、最初の処理であると認識した場合には
処理をステップ412aに、一方、最初の処理ではない
と認識した場合には処理をステップ412bにそれぞれ
移行する。
【0164】ステップ412aにおいてはスキップ制御
の処理を行う(図16(a)の点B、図16(b)及び
(c)の点B’)。すなわち、前回の空燃比フィードバ
ック係数FAFi-1から所定のリーン側スキップ量RS
Lを減算して、これを今回の空燃比フィード係数FAF
iとする。また、ステップ412bにおいては積分制御
を行う(図16(a)のB−A間、図16(b)及び
(c)のB’−A間)。すなわち、前回のフィードバッ
ク係数FAFi-1から所定のリーン側積分量KiLを減算
して、これを今回の空燃比フィード係数FAFiとす
る。
【0165】そして、ステップ412a及びステップ4
12bのうち何れの処理を行った場合であっても、EC
U30はその後の処理を一旦終了する。このように、上
記の態様で空燃比フィードバック制御を行う本ルーチン
によれば、触媒20の触媒床温が所定温以上昇温した際
には、空燃比フィードバック制御の制御条件を外れるこ
ともなく、当該フィードバック制御に係る制御波形も好
適に保持しつつ空燃比フィードバック補正係数FAFを
リッチ側に偏在させ、もって触媒20の触媒床温の低下
を促すことができるようになる。
【0166】この結果、通常に比べ、より広い運転状態
領域で触媒20の触媒床温が好適な温度範囲に保持され
ることとなる。このことは、実質上空燃比フィードバッ
ク制御を実行できる機会を拡大することとなって、エン
ジン1の燃焼に係る平均的な排気特性が一層向上するこ
ととなる。
【0167】なお、上記ホールド制御において、リッチ
側へのスキップ量(RSR+RSRmk)及びリーン側
へのスキップ量(RSL+RSLmk)は、互いの対応
関係とその時の運転状態から定まるパラメータであり、
ある回に算出されるリッチ側へのスキップ量(RSR+
RSRmk)が前回までのリッチ側へのスキップ量より
相対的に大きく設定されることもあれば小さく設定され
ることもある。すなわち、ある回に実行する「空燃比制
御ルーチン」でのリッチスキップでは、その設定が(R
SR=4%,RSRmk=1%)となるのに対し、次回
のルーチンでは(RSR=2%,RSRmk=2%)と
いうようにその組合せ及び総和も様々となる。したがっ
て、例えば「空燃比ホールド制御ルーチン」による処理
では、触媒20の触媒床温が所定温度tc以上となった
場合に、空燃比フィードバック補正係数FAFをリッチ
側の反転させた後所定期間、所定値を維持することによ
って、床温低下の効果を得ることとしているため、空燃
比フィードバック補正係数FAFのリッチ側へのスキッ
プ時において、スキップ量(RSR+RSRmk)がそ
れまでの値より小さく設定されるとともに同値が所定期
間tc保持されることもあることもあるし、スキップ量
がそれまでの値より大きく設定されるとともに同値が所
定時間tc保持されることもある。
【0168】以上説明した態様で空燃比制御を行う本実
施形態によれば、以下に列記する効果が奏せられるよう
になる。 (1)空燃比フィードバック制御の制御波形に係る振幅
を縮減できるようになるとともに、周波数の増大も図ら
れ、より緻密な空燃比制御ができるようになる。 (2)空燃比フィードバック制御の制御波形に係る振幅
増大或いは周波数低下を伴うことなく、制御中心を変更
することができるようになり、例えば空燃比センサの応
答遅れに起因するリーンずれを好適に修正することがで
きるようになる。 (3)スキップ制御に係るスキップ量の基準値を最適化
することにより、空燃比フィードバック補正係数FAF
の制御波形の制御中心の安定性保持と、センサ電圧VO
の変動周期に起因する空燃比のリッチずれ又はリーンず
れの抑制を好適に両立させることができるようになる。 (4)運転状態に応じた最適な空燃比制御の波形を記憶
することができるようになり、適宜の運転状態領域で採
用しうる最小振幅及び最大周波数の制御波形をもって空
燃比フィードバック補正を行うことができるようにな
る。 (5)触媒の床温が上昇した場合にあっても、空燃比フ
ィードバック制御の制御条件を好適に保持しつつ、好適
に床温低下を促し、もって最適な排気特性を維持するこ
とができるようになる。 (6)空燃比フィードバック制御の実行領域が拡大さ
れ、平均的には排気特性のより一層の向上が図られるこ
ととなる。
【0169】なお、本実施形態において、空燃比フィー
ドバック補正係数算出ルーチン、応答遅れ及びスキップ
量学習ルーチン、及びホールドルーチンは、いずれも一
連のメインルーチンとして構成した。これに対し、各々
のルーチンは、例えば所定の時間周期で別途独立に起動
されてそれぞれ上述した各処理を実行するものとしても
よい。
【0170】また、本実施形態では、上記各ルーチンで
採用する空燃比フィードバック補正係数FAF、基本空
燃比フィードバック補正係数FAFbs、若しくは見込
み空燃比フィードバック補正係数FAFmkの基準値を
「1」としている。これは、基本燃料噴射量(時間)T
AUbsにそれら補正係数を乗算して補正を行うことを
前提としているためである。これに対し、燃料噴射量
(時間)に係る補正の態様は、このような乗算補正に限
られず、例えば補正係数を基本燃料噴射量(時間)に加
算するものであってもよい。その場合は、上記各補正係
数の基準値は「0」となる。
【0171】また、本実施形態において、「応答遅れ及
びスキップ量学習ルーチン」で学習したFAFの制御波
形に係る各学習値は、吸気量Gaに基づいて区画された
運転領域に格納することとした。これに対し、同運転領
域は、エンジン回転数NEやその他のエンジン負荷を代
表する他のパラメータに基づいて設定してもよいし、複
数のパラメータを変数とする関数や多次元マップ等によ
って設定してもよい。この場合、「空燃比フィードバッ
ク補正係数算出ルーチン」(図7)のステップ202a
及び204aにおいて採用されるFAF制御波形の各構
成要素の算出マップ(関数)f0,f1,f2もこれに
適合した各種運転状態パラメータからなる多次元マップ
(関数)が適用されることとなる。
【0172】また、本実施形態の「応答遅れ及びスキッ
プ量学習ルーチン」においては、運転領域に応じた最適
な矩形の制御波形を得るために、その遷移過程として
は、毎回算出される見込み量−基本量偏差dlmkbs
に基づき次回用いるスキップ量RSR又はRSLを学習
するとともに、今回の応答遅れdtR又はdtLに基づ
いて見込みスキップ量RSRmk又はRSLmkを算出
し、これを学習することとした。これに対し、積分量K
iR又はKiLも学習値として更新させてもよい。
【0173】また、本実施形態の「空燃比フィードバッ
ク補正係数算出ルーチン」においては、空燃比フィード
バック補正係数FAFの算出にあたり、同補正係数がリ
ッチ(増量)側及びリーン(減量)側にある場合のう
ち、何れの場合においても、見込みスキップ量を加味し
たスキップ制御と所定時間一定値を保持した後に徐変を
行う積分制御とからなる制御態様(制御波形)を用いて
空燃比フィードバック制御を行うこととしている。
【0174】一方、図10に例示したように、空燃比フ
ィードバック制御系の応答遅れを生じさせる要因の一つ
である酸素センサの応答時間は、実際の空燃比がリーン
からリッチに反転するときに比べ、リッチからリーンに
反転するときの方が長いことが知られている。この酸素
センサの応答時間においてみられる偏り、すなわちリッ
チからリーンへの反転とリーンからリッチへの反転に係
る偏差を考量しなければ、空燃比の制御中心は徐々にリ
ーン側に偏っていくこととなる。
【0175】そこで、このようにリーン側に偏りがちな
空燃比をリッチ側に誘導する場合等においては、空燃比
フィードバック補正係数FAFがリッチ側又はリーン側
のうちいずれか一方にある場合にのみこのような制御態
様を用いることとしても、本実施形態と同等又はこれに
準ずる効果を奏することはできる。
【0176】また、酸素センサからの検出信号に基づい
て空燃比フィードバック制御を行うにあたり、例えば流
量特性等、各インジェクタの物理的特性に微妙なばらつ
きがあると、空燃比フィードバック補正係数FAFの制
御波形にチャタリングが発生することがある。条件設定
ルーチン(図5および図6)で示した一連の処理(ステ
ップ103〜ステップ115)、すなわち空燃比フィー
ドバック補正係数FAFの制御波形の安定化を図るべく
ディレイカウンタCDLYを用いて行う遅延処理を施し
ても、完全に回避することはできない。このようなチャ
タリングが発生すると、リッチ側スキップ量RSRとリ
ーン側スキップ量RSLとが異なっている場合、すなわ
ち空燃比フィードバック補正係数FAFの制御波形が非
対称である場合においては、例えば図19(a)に示す
ように、同制御波形の中心がずれてしまい、空燃比が一
時的に誤補正されてしまうことが発明者により確認され
ている。すなわち同図19(a)に示すように、チャタ
リングがn回生じれば、空燃比フィードバック補正係数
FAFの制御波形の中心が「|RSR−RSL|×n」
%ずれることとなる。そこで、空燃比フィードバック制
御の実行中にこのようなチャタリングの発生を認識した
際には、図19(b)に示すように「RSR=RSL=
RS」として、一時的に空燃比フィードバック補正係数
FAFの制御波形を対称化する処理を行うことが有効で
ある。このような処理を行うには、例えば図20に示す
一連のステップS11〜ステップS17を「空燃比制御
ルーチン」(図4)におけるステップ002及びステッ
プ003間に実行するようにすればよい。
【0177】すなわち、同図20に示すように、所定の
時間計測用カウンタCXOXRを設定しておき、空燃比
フィードバック制御中(XFAF=「ON」)にはこの
カウンタCXOXRにより、空燃比フィードバック補正
係数FAFの前回の反転から今回の反転までに要した時
間を常に計測して(ステップS11→S12→S1
5)、その反転時(ステップS11→S12→S1
4)、当該時間が所定時間C1に満たない場合(CXO
XR<C1)には、チャタリング発生とみなし、前回用
いたスキップ量RSoldと同一のスキップ量をもって今
回のスキップを行うこととする(ステップS16)。な
お、カウンタCXOXRは、F/B許可フラグXFAF
が「OFF」に設定解除されている認識したとき(ステ
ップS11→S13)、或いは前回用いたスキップ量を
今回のスキップ量RSとして更新したとき(ステップS
16→S17)にそれぞれ「0」にリセットされる。
【0178】このような処理を空燃比フィードバック制
御に適用すれば、とくに、本実施形態に係る空燃比フィ
ードバック補正係数FAFのように、基本空燃比フィー
ドバック補正係数FAFbsと見込み空燃比フィードバ
ック補正係数FAFmkとを用いてその制御波形を緻密
に変更、学習させる場合には、制御の安定性や適正な空
燃比への収束性が一層向上することとなる。
【0179】さらにこの場合、チャタリング発生時に
は、一時的に「RSR+RSRmk=RSL+RSLm
k」とする処理を行ってもよい。また、チャタリング発
生時には、一時的に「RSR=RSL」の設定を行うと
ともに、見込み空燃比フィードバック補正係数FAFm
kは用いずに、基本空燃比フィードバック補正係数FA
Fbsのみを用いて「FAFbs=FAF」と設定して
空燃比フィードバック制御を行うように処理してもよ
い。
【0180】また、本実施形態の「空燃比ホールド制御
ルーチン」において、予想応答遅れ時間Tdyが実際の応
答遅れ時間より長い場合、ホールド時間Thd0を短縮す
ることとしたが、これに代えて、当該ホールド時間Thd
0中の空燃比フィードバック補正係数FAFを減量する
こととして、空燃比のリッチ側への偏在の度合いを調節
することとしてもよい。
【0181】また、本実施形態の「空燃比ホールド制御
ルーチン」において、触媒20の床温は、運転状態より
推定することとしたが、これに代え、排気温センサ等の
測定機器を触媒20内又はその近傍に設けることによ
り、触媒床温を直接測定することとしてもよい。
【0182】また、本実施形態の「空燃比ホールド制御
ルーチン」による処理は、図4において「空燃比制御ル
ーチン」のステップ003として示した空燃比フィード
バック制御、すなわち図3(e)に示した制御波形をも
って燃料噴射量の補正を行う空燃比フィードバック制御
と併せて行うこととした。これに対し、通常のスキップ
制御及び積分制御のみからなる空燃比フィードバック制
御、すなわち本実施形態では基本空燃比フィードバック
補正係数FAFの制御波形として図3(b)に示した態
様で燃料噴射量の補正を行うものと併せて行うこととし
てもよい。 (第2の実施形態)次に、本発明に係る空燃比制御装置
を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の
形態と異なる点を中心に説明する。
【0183】該第2の実施の形態の装置も、同じく自動
車のエンジンシステムに適用され、空燃比フィードバッ
ク制御により燃料噴射量(時間)の補正を行うものであ
る。ただし、同第2の実施の形態の装置にあっては図2
1に示すように、排気系4の構成が第1の実施の形態と
相違しており、本実施の形態にあって、この排気系4
は、触媒20、フロント酸素センサ11a及びリア酸素
センサ11bを備えて構成されている。触媒20は前述
のように、燃焼室3から排出される排気中に含まれる一
酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、及び酸化窒素
(NOx)を浄化するために設けられる。フロント酸素
センサ11a及びリア酸素センサ11bはそれぞれこの
触媒20の上流及び下流に設けられ、触媒通過及び後に
おける排気中の酸素濃度を検出する。
【0184】そして、本実施の形態にあっては、触媒2
0の下流に設けられたリア酸素センサ11bからのセン
サ電圧VOrに基づいて前記第1の実施形態で説明した
「空燃比フィードバック補正係数算出ルーチン」におけ
る空燃比フィードバック補正係数FAF算出に係るリッ
チ側見込みスキップ量RSRmk及びリーン側見込みス
キップ量RSLmkをそれぞれ補正する。
【0185】ここで、空燃比フィードバック補正係数F
AFの算出に係る手順は、第1の実施形態で説明した
「空燃比フィードバック補正係数算出ルーチン」(図
7)によるものとほぼ同様のものである。ただし、同ル
ーチンのステップ202aにおけるリッチ側見込みスキ
ップ量RSRmk及びリーン側見込み量RSLmkは、
以下に説明する「サブフィードバック制御ルーチン」に
おいて算出されることとなる。
【0186】図22及び図23には、「サブフィードバ
ック制御ルーチン」に係る処理手順のフローチャートを
示す。上述したように、このルーチンは、前記「空燃比
フィードバック補正係数算出ルーチン」で用いられるリ
ッチ側見込みスキップ量RSRmk及びリーン側見込み
スキップ量RSLの算出及び更新を行うものであり、E
CU30により所定周期毎に実行される。
【0187】処理がこのルーチンに移行すると、ECU
30は先ずステップ501において、現在の運転状態が
サブフィードバック(サブF/B)制御を実行するため
の条件に適合しているか否かを判断する。当該条件は、
基本的には第1の実施の形態において説明した空燃比フ
ィードバック制御の適合条件(a1)〜(a5)と同様
のものである。ただし、(a4)に相当する条件とし
て、リア酸素センサ11bが活性化状態であることが必
要とされる。そしてECU30は、当該サブフィードバ
ック制御の実行条件を満たしている場合には処理をステ
ップ502に移行し、同条件を満たしていなければ本ル
ーチンを一旦抜ける。
【0188】続くステップ502、502a及び502
bにおいては、リアセンサリッチ判定フラグXOXSR
の設定又は設定解除を行う。リアセンサリッチ判定フラ
グXOXSRとは、リア酸素センサ11bからのセンサ
電圧VOrに基づいて設定及び設定解除されるフラグで
あり、空燃比A/Fがリッチ側であれば「ON」に設定
され、空燃比A/Fがリーン側であれば「OFF」に設
定解除されるものである。
【0189】すなわち、先ずステップ502において
は、リア酸素センサ11bからのセンサ電圧VOrが基
準電圧KOXRを上回っているか否かを判断する。そし
て、その判断が肯定であれば、ステップ502aに移行
しリアセンサリッチ判定フラグXOXSRを「ON」に
設定する。一方ステップ502における判断が否定であ
れば処理をステップ502bに移行し、リアセンサリッ
チ判定フラグXOXSRを「OFF」に設定解除する。
そしてステップ502a及び502bのうち何れを経た
場合も、処理をステップ503に移行する。
【0190】ステップ503においては、リアセンサリ
ッチ判定フラグXOXSRが「ON」に設定されている
か否かを判断する。そして、その判断が肯定であれば処
理をステップ504に移行し、その判断が否定であれば
処理をステップ505に移行する。そして、ステップ5
04及び505のうち何れのステップにおいても、前回
の処理においてリアセンサリッチ判定フラグXOXRが
「ON」であると認識されたか否かを判断する。
【0191】ステップ504における判断が肯定であれ
ば、前回のルーチンから今回のルーチンに処理が移行す
る間にリア酸素センサ11bからのセンサ電圧に基づい
て算出した空燃比A/Fはリッチの状態を継続している
とみなし、処理をステップ506aに移行する。一方、
その判断が否定であれば、同空燃比A/Fがリーンから
リッチに反転したとみなし、処理をステップ506bに
移行する。
【0192】ステップ506aにおいては、見込みスキ
ップ補正量dlmkを「−a」%に設定する。他方、ス
テップ506bにおいては、見込みスキップ補正量dl
mkを「−b」%に設定する。そして、ステップ506
a及び506bのうち何れのステップで処理を行ったと
しても、続く処理をステップ508(図23)に移行す
る。
【0193】一方、ステップ505において、その判断
が否定であれば、前回のルーチンから今回のルーチンに
処理が移行する間にリア酸素センサ11bからのセンサ
電圧に基づいて算出した空燃比A/Fはリーンの状態を
継続しているとみなし、処理をステップ507aに移行
する。一方、その判断が肯定であれば、同空燃比A/F
がリッチからリーンに反転したとみなし、処理をステッ
プ507bに移行する。そして、ステップ507aにお
いては見込みスキップ補正量dlmkを「−a」%に設
定し処理をステップ508に移行する。他方、ステップ
507bにおいては見込みスキップ補正量dlmkを
「−b」%に設定し、この場合も処理をステップ508
(図23)に移行する。
【0194】ここで、前記ステップ506a,506
b,507a及び507bにおいて、見込みスキップ補
正量dlmkに代入される数値「a」及び数値「b」は
共に正の定数であり、「a≪b」の関係にある。また、
基本量となる空燃比フィードバック係数FAFに対し相
対的には微小な数値(例えば、数値「a」は「0.0
1」%未満、数値「b」は「1」%未満)として設定さ
れる。
【0195】ステップ508(図23)においては、上
記ステップ506a、506b、507a及び507b
のうち何れかのステップで設定された見込みスキップ補
正量dlmkを前回算出されたサブフィードバック見込
みスキップ量RSmkに加算して、今回のサブフィード
バック見込みスキップ量RSmkとする。
【0196】続くステップ509においては、後続のス
テップ510,511,512でサブフィードバック見
込みスキップ量RSmkに基づいて行う空燃比フィード
バック補正係数FAFの各更新量RSR、RSL、RS
Lmk、RSLmkの設定に先だって、当該サブフィー
ドバック見込みスキップ量RSmkの上下限ガードを行
う。
【0197】すなわち、サブフィードバック見込みスキ
ップ量RSmkが下限値K6(<0)から上限値K7(>
0)までの範囲内にあるか否かを判断するとともに、下
限値K6を下回っている場合には同下限値K6に、上限値
k7を上回っている場合には同上限値K7に設定しなお
す。
【0198】続くステップ510においては、今回上記
ステップ508で算出したサブフィードバック見込みス
キップ量RSmkが「0」%以上であるか否かを判断す
る。そして、その判断が肯定であれば処理をステップ5
11に移行し、その判断が否定であれば処理をステップ
512に移行する。
【0199】ステップ511においては、リッチ側スキ
ップ量RSRを所定値K4(>0)、リーン側スキップ
量RSLを所定値K5(>0)に設定するとともに、リ
ッチ側見込みスキップ量RSRmk及びリーン側スキッ
プ量RSLmkを何れも(所定値K0×サブフィードバ
ック見込みスキップ量RSmk)として同値に設定す
る。
【0200】一方、ステップ512においては、リッチ
側見込みスキップ量RSRmk及びリーン側見込みスキ
ップ量RSLmkをそれぞれ以下の演算式(5)及び
(6)に従って算出する。 RSR=K4−K1×RSmk…(5) RSL=K5+K2×RSmk…(6) ただし、K1>0,K2>0 また、リッチ側見込みスキップ量RSRmk及びリーン
側見込みスキップ量RSLmkをともに「0」として設
定する。
【0201】ECU30は、ステップ511及びステッ
プ512のうち何れかを経た後、その後の処理を一旦終
了する。ECU30は、以上説明した「サブフィードバ
ック制御ルーチン」により、空燃比フィードバック補正
係数FAF算出に係る見込みスキップ量RSRmk及び
RSLmk等の修正を行う。
【0202】次に、上記「空燃比サブフィードバック制
御ルーチン」で算出されたサブフィードバック見込みス
キップ量RSmkがどのような態様で空燃比フィードバ
ック補正係数FAFに反映されるのか、図を併せ参照し
て説明する。
【0203】図24(a)及び図24(b)は、リア酸
素センサ11bからのセンサ電圧VOrの変化態様及び
同センサ電圧VOrに基づいて変更されていくサブフィ
ードバック見込みスキップ量RSmkの変化態様をそれ
ぞれ同一スケールの時間軸上に示したものである。
【0204】一方図24(c)には、図24(b)上に
おいて、サブフィードバック見込みスキップ量RSmk
が点α、点β、点γにあるとき、空燃比フィードバック
補正係数FAFがどのような制御波形となるのかを例示
する。
【0205】先の「空燃比サブフィードバック制御ルー
チン」において説明したように、ECU30は、触媒2
0下流に設けられたリア酸素センサ11bからのセンサ
電圧VOrに基づきサブフィードバック見込みスキップ
量RSmkを更新していく。例えば図24(a)及び
(b)に示すように、センサ電圧VOrに基づく空燃比
がリッチ側にある場合にはサブフィードバック見込みス
キップ量RSmkを増大させ、リーン側にある場合には
減少させる。そして、このような見込みスキップ量RS
mkの変動を反映して、空燃比フィードバック補正係数
FAFの制御波形も変化することとなる。
【0206】すなわち、「サブフィードバック制御ルー
チン」で説明したように、サブフィードバック見込みス
キップ量RSmkが「0%」以上である場合には、ステ
ップ511で示したように、リッチ側スキップ量RSR
及びリーン側スキップ量RSLはそれぞれ所定値K4及
びK5に固定される一方、リッチ側見込みスキップ量R
SRmk及びリーン側見込みスキップ量RSLmkは、
共にサブフィードバック見込みスキップ量RSmkの増
減に比例して増減されることとなる。
【0207】例えば、図24(b)上の点αと点βとを
比較すると、図24(c)に示すように、点αにおける
見込みスキップ量RSmkは点βにおける見込みスキッ
プ量RSmkに比して大きい。この相違を反映して、点
αにおいて設定される見込みスキップ量RSRmk、R
SLmkは点βにおいて設定されるものより大きな値と
なる。
【0208】一方、例えば図24(b)上における点γ
のように、サブフィードバック見込みスキップ量RSm
kが「0%」未満である場合には、ステップ512で示
したように、リッチ側見込みスキップ量RSRmk及び
リーン側見込みスキップ量RSLmkをともに「0%」
に設定するとともに、サブフィードバック見込みスキッ
プ量RSmkに応じてリッチ側スキップ量RSR及びリ
ーン側スキップ量RSLを操作する。この際、先の演算
式(5)及び(6)からも明らかなように、サブフィー
ドバック見込みスキップ量RSmk(<0)が小さいほ
どリッチ側スキップ量RSRは大きく、リーン側スキッ
プ量RSLは小さく設定され、結果として、空燃比フィ
ードバック補正係数FAFがリッチ側に偏在する傾向が
強くなる(図24(c)を併せ参照)。
【0209】すなわち、サブフィードバック見込みスキ
ップ量RSmkが「0%」以上である場合には、空燃比
フィードバック補正係数FAFの制御波形を見込みスキ
ップ量RSRmk及びRSLmkの大きさで操作するこ
とにより、空燃比をリッチ側、或いはリーン側へ偏在さ
せ、最適な排気空燃比を維持する。一方、サブフィード
バック見込みスキップ量RSmkが「0%」を下回った
場合には、空燃比フィードバック補正係数FAFの制御
波形に係る見込みスキップ量RSRmk及びRSLmk
は設けずに、同スキップ量RSR及びRSLの操作によ
る制御波形の非対称化を行って排気空燃比をリッチに偏
在させることとする。
【0210】このように、本実施形態にあっては、空燃
比フィードバック補正係数FAFの制御波形に係る制御
量として見込みスキップ量RSmkを導入するととも
に、リッチ側及びリーン側へのスキップ制御に係る見込
みスキップ量を操作することによりFAFの制御波形の
最適化を図ることができる。そして、排気空燃比の更な
るリーン化が生じた場合には、見込みスキップ量の導入
を中断するとともに、空燃比フィードバック補正係数F
AFの非対称化により空燃比のリッチ側への偏在の効果
を強化させる。こうして、制御波形の振幅や周波数は極
力安定に保持した状態で空燃比補正係数FAFの制御中
心をリッチ又はリーンに偏在させ、最適な排気空燃比を
維持し、もって触媒の最適な浄化効率を得ることができ
るようになる。
【0211】すなわち、フロント酸素センサ11aのば
らつき等に起因する排気エミッションのばらつきも、上
記空燃比サブフィードバック制御を通じて任意に、しか
も的確に抑制することができるようになり、排気特性を
一層向上できるようになる。
【0212】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、第1の実施の形態による前記(1)〜(6)の効果
に加えて、更に以下のような効果が奏せられるようにな
る。 (7)リア酸素センサからのセンサ電圧の適用による空
燃比サブフィードバック制御を空燃比フィードバック制
御に係る制御波形に乱れを生じさせることなく行えるよ
うになり、排気特性の向上に係る効率を一層高めること
ができるようになる。
【0213】なお、本実施形態にあって、上記「空燃比
サブフィードバック制御ルーチン」の処理手順中、スキ
ップ補正量dlmkは、リア酸素センサ11bのセンサ
電圧VOrの挙動に対し、当該センサ電圧がリッチ側
(VOr>KOXR)にある場合には「a」%分減量
(「−a」%)、リーン側(VOr≦KOXR)にある
場合にはa分増量(「+a」%)され、また、リーンか
らリッチへの反転時には「b」%分減量(「−b」
%)、リッチからリーンへの反転時には「b」分増量
(「+b」%)されることにより、見込みスキップ量R
Smkの制御波形は図24(b)に示したように、増大
側と減少側に対して互いにほぼ対称となる(センサ電圧
VOrが対称形である場合)。これに対し、センサ電圧
VOrがリッチ側にある場合、リーン側にある場合、リ
ーンからリッチへの反転時、及びリッチからリーンへの
反転時に応じてそれぞれ異なるスキップ補正量dlmk
を設定すれば、図24(b)に示した見込みスキップ量
RSmkの制御波形を非対称化する等、その波形特性を
変更することができる。このような変更により、例え
ば、サブフィードバック見込みスキップ量が「0%」以
上となる時間、すなわち空燃比フィードバック補正係数
FAFの波形を見込みスキップ量RSRmk及びRSL
mkにより操作する時間(図24(b)及び(c)参
照)を柔軟に変更(伸縮)することができる。
【0214】なお、本実施形態では、サブフィードバッ
ク見込み量RSmkの変動に応じてリッチ側見込みスキ
ップ量RSRmkとリーン側見込みスキップ量RSLm
kとの相対量を可変とする構成を用いた。
【0215】これに対し、例えば図24のタイムチャー
ト上におけるサブフィードバック見込みスキップ量RS
mkの値に基づき複数の領域区画を行い、区画された領
域ごとに空燃比フィードバック補正係数FAFの制御波
形に係る見込みスキップ量RSRmk、RSLmk等を
設定しておいてもよい。
【0216】また、本実施形態においては、フロント酸
素センサ11a及びリア酸素センサ11bは、所定のセ
ンサ電圧KOXRを基準電圧として、空燃比がリッチ側
に在るのかリーン側に在るのかを二者択一的に判断す
る、いわゆる濃淡電池型のものである。これに代えて、
空燃比に応じてセンサ電圧が線形に変化する限界電流型
の酸素センサを適用してもよい。この種の酸素センサを
適用すれば、酸素センサからのセンサ電圧に基づく空燃
比の制御中心(目標空燃比)を必ずしも一定にする(例
えばFAF=1)必要がなく、本実施形態、あるいは先
の第1の実施形態で行った制御と併せて空燃比の制御中
心を柔軟に設定及び変更することができるようになり、
また現在の空燃比の制御中心からのずれ量をより的確に
把握しつつ空燃比制御を行うことができるようになる。
【0217】その他、第1及び第2の実施形態において
は、空燃比フィードバック補正係数FAFが燃料量(時
間)の補正量として採用されるとしたが、空燃比を決定
する他のパラメータ、例えばスロットルバルブ5がいわ
ゆる電子式のスロットルバルブであるような場合にはア
クセルの踏み込み量に対するスロットル開度を補正する
ような補正量として用いることもできる。
【0218】さらに、第1及び第2の実施形態におい
て、空燃比フィードバック制御に適用した見込み空燃比
フィードバック補正係数FAFmkは、スキップ制御が
行われた後、次回のスキップ制御まで一定の値を保持す
ることとしている。これに対し、同見込み空燃比フィー
ドバック補正係数FAFmkを、微小な変化率で積分制
御するよう制御を構成してもよい。
【0219】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、制御
波形の振幅は抑制しつつ、スキップ制御による補正量の
変動範囲のみを拡大することとなり、制御波形の周波数
も増大することとなる。この結果、空燃比フィードバッ
ク制御の精度が増し、排気特性も一層向上するようにな
る。
【0220】請求項2に記載した発明によれば、空燃比
センサからの検出信号のばらつきにより空燃比補正量の
制御波形の中心が不安定となることを好適に抑制するこ
とができるようになる。
【0221】請求項3に記載した発明によれば、酸素セ
ンサからの検出信号がリッチ及びリーン間で反転する周
期が短い場合、空燃比がリッチずれすることを好適に抑
制し、空燃比フィードバック制御に係る制御中心の安定
性を向上させることができるようになる。
【0222】請求項4に記載した発明によれば、酸素セ
ンサからの検出信号がリッチ及びリーン間で反転する周
期が短い場合、空燃比のリッチずれの抑制と空燃比フィ
ードバック制御に係る制御中心の安定化が確実に行われ
るようになる。
【0223】請求項5に記載した発明によれば、インジ
ェクタの流動特性や吸気系内での空気分配、パージ分配
の不具合に起因して空燃比補正量の制御波形にチャタリ
ングが生じたときに、このチャタリング発生時に空燃比
補正量の制御波形が非対称形である場合であれ、制御波
形の中心がずれてしまうことを好適に抑制することがで
きるようになる。
【0224】請求項6に記載した発明によれば、空燃比
フィードバック制御の制御波形に係る振幅の増大や周波
数の低下を伴うことなく、空燃比補正量の制御中心をリ
ッチ側へ偏在させることができ、空燃比センサの応答遅
れに起因するリーンずれを好適に修正することができる
ようになる。
【0225】請求項7に記載した発明によれば、空燃比
フィードバック制御に係る制御波形について、振幅の縮
減及び周波数の増大という面で、運転状態に応じた最適
な波形を形成することができるようになり、ひいては一
層緻密な空燃比制御を行うことができるようになる。
【0226】請求項8に記載した発明によれば、触媒上
流に設けられた空燃比センサからの検出信号のばらつき
を好適に修正して、一層緻密性の高い空燃比フィードバ
ック制御を実行することができるようになる。
【0227】請求項9に記載した発明によれば、空燃比
フィードバック制御の制御条件からはずれることなく、
しかも当該制御に係る制御波形の振幅を増大することも
なく空燃比を低下させ、好適に触媒の床温低下を促すこ
とができるようになる。
【0228】請求項10又は11に記載した発明によれ
ば、請求項9に記載した発明の実施に際して制御波形の
周波数低下を好適に抑制し、空燃比フィードバック制御
の緻密性を好適に保持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空燃比制御装置の第1の実施形態
を示す概略構成図。
【図2】同実施形態に採用されるECUの電気的構成を
示すブロック図。
【図3】酸素センサからのセンサ電圧及び空燃比フィー
ドバック補正係数等の変化態様を示すタイムチャート。
【図4】空燃比制御手順を総括的に示すフローチャー
ト。
【図5】条件設定手順を示すフローチャート。
【図6】条件設定手順を示すフローチャート。
【図7】空燃比フィードバック補正係数算出手順を示す
フローチャート。
【図8】空燃比フィードバック補正係数算出手順を示す
フローチャート。
【図9】空燃比フィードバック補正係数の制御波形。
【図10】実際の空燃比及び酸素センサからのセンサ電
圧を示すタイムチャート。
【図11】空燃比フィードバック制御に係る制御波形。
【図12】応答遅れ及びスキップ量学習手順を示すフロ
ーチャート。
【図13】応答遅れ及びスキップ量学習手順を示すフロ
ーチャート。
【図14】空燃比フィードバック補正係数、リッチ側応
答遅れカウンタ及びリーン側応答遅れカウンタの変化態
様を示すタイムチャート。
【図15】応答遅れ及びスキップ量学習により変更され
る空燃比フィードバック補正係数の制御波形。
【図16】ホールド制御での空燃比フィードバック補正
係数及び酸素センサからのセンサ電圧の変化態様を示す
タイムチャート。
【図17】ホールド制御手順を示すフローチャート。
【図18】ホールド制御手順を示すフローチャート。
【図19】チャタリング発生時の空燃比フィードバック
補正係数の変化態様を示すタイムチャート。
【図20】他の実施態様に係る空燃比制御手順の一部を
示すフローチャート。
【図21】本発明に係る空燃比制御装置の第2の実施形
態を示す概略構成図。
【図22】サブフィードバック制御手順を示すフローチ
ャート。
【図23】サブフィードバック制御手順を示すフローチ
ャート。
【図24】リア酸素センサからのセンサ電圧、見込みス
キップ量、及び空燃比フィードバック補正係数の制御波
形。
【符号の説明】
1…エンジン、2…吸気系、3…燃焼室、4…排気系、
5…スロットルバルブ、6…サージタンク、7…吸気量
センサ、8…スロットルポジションセンサ(開度セン
サ)、9…吸気温センサ、10…燃料噴射弁、11…酸
素センサ、11a…フロント酸素センサ、11b…リア
酸素センサ、12…イグナイタ、13…ディストリビュ
ータ、14…点火プラグ、15…回転数センサ、 16
…気筒判別センサ、17…水温センサ、20…触媒(三
元触媒)、30…ECU(電子制御装置、31…マイク
ロコンピュータ、31a…CPU、31b…ROM、3
1c…RAM、31d…バックアップRAM、34…A
/D変換回路、35…駆動回路。
フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 CA01 CA03 DA05 DA10 DA25 EA11 EB08 EB12 EB13 EB24 EB25 EC03 FA07 FA10 FA18 FA30 FA33 FA36 FA39 3G301 JA04 JA21 KA01 KA07 KA09 KA25 KA26 MA01 MA12 NA01 NA03 NA04 NA08 NB02 NC02 ND01 ND05 NE13 NE15 NE16 NE17 NE19 NE22 NE23 PA01Z PA10Z PA11Z PA14Z PA19Z PD09A PD09Z PD12Z PE01Z PE04Z PE05Z PE08Z 5H004 GA02 GA10 GB12 HA13 HB01 HB02 HB04 HB07 HB08 JB07 JB11 JB30 KA69 KB05 KB33 KD63 LA03 LB07 MA01 MA02 MA44

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気系に設けられて当該内燃機
    関の排気空燃比を検出する空燃比センサを有し、その検
    出される排気空燃比がリッチとリーンとの間で反転した
    ときにスキップ制御されるとともに、その後積分制御さ
    れて更新される空燃比補正量に基づいて内燃機関に供給
    される混合気の空燃比をフィードバック制御する内燃機
    関の空燃比制御装置において、 前記スキップ制御に際し、そのスキップ量を所定量増大
    させるとともに、前記積分制御により算出される空燃比
    補正量が該増大したスキップ量をもって更新された空燃
    比補正量になるまでは、同増大したスキップ量をもって
    更新された空燃比補正量に基づき前記空燃比を補正する
    補正手段を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制
    御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置
    において、 前記補正手段は、前記積分制御により算出される空燃比
    補正量が前記増大したスキップ量をもって更新された空
    燃比補正量になるまでの期間に前記検出される排気空燃
    比が反転したときには、前記更新された空燃比補正量を
    基準量として前記所定量のスキップ制御をおこなうこと
    を特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置
    において、 前記補正手段は、前記積分制御により算出される空燃比
    補正量が前記増大したスキップ量をもって更新された空
    燃比補正量になるまでの期間に前記検出される排気空燃
    比がリーンからリッチまたはリッチからリーンに反転し
    たときには、前記積分制御により算出される空燃比補正
    量を基準量として前記所定量のスキップ制御をおこなう
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の内燃機関の空燃比制御装置
    において、 前記補正手段は、前記積分制御により算出される空燃比
    補正量が前記増大したスキップ量をもって更新された空
    燃比補正量になるまでの期間に前記検出される排気空燃
    比がリッチからリーンに反転したときには、前記更新さ
    れた空燃比補正量を基準量として前記スキップ制御をお
    こなうことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れかに記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記補正手段は、前記検出される排気空燃比の反転周期
    が所定時間以下であるときには、リッチからリーンへの
    スキップ制御に係るスキップ量と、リーンからリッチへ
    のスキップ制御に係るスキップ量とを等量とすることを
    特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜4の何れかに記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記補正手段は、前記空燃比をリッチ側に補正するとき
    にのみ、前記態様で設定される空燃比補正量に基づく補
    正を行うことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の何れかに記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記補正手段は、前記更新される空燃比補正量に基づく
    補正時間に応じて前記スキップ量の増大量を変更するこ
    とを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜6の何れかに記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記空燃比センサの下流に設けられた触媒の更に下流に
    あって同触媒下流の排気空燃比を検出するリア空燃比セ
    ンサを更に有し、 前記補正手段は、前記リア空燃比センサにて検出される
    触媒下流の排気空燃比に応じて前記スキップ量の増大量
    を変更することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装
    置。
  9. 【請求項9】請求項1〜8の何れかに記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記空燃比センサの下流に設けられた触媒の温度を検出
    する触媒温度検出手段を更に備え、 前記補正手段は、前記検出される触媒の温度が所定温以
    上であるとき、空燃比をリッチ側に補正するときのスキ
    ップ量を所定量増大させるとともに、該増大したスキッ
    プ量をもって更新された空燃比補正量を所定時間一定に
    保持することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置において、 空燃比をリッチ側に補正すべく空燃比補正量がスキップ
    された後、前記検出される排気空燃比がリーンからリッ
    チに戻るまでの時間を機関運転状態に基づき推定する時
    間推定手段を更に備え、 前記補正手段は、前記空燃比補正量をスキップさせた
    後、前記推定される時間経過後も前記検出される排気空
    燃比がリーンからリッチに戻らないとき、前記増大させ
    た空燃比補正量を更に増大させることを特徴とする内燃
    機関の空燃比制御装置。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の内燃機関の空燃比制
    御装置において、 前記補正手段は、前記推定される時間と前記検出される
    排気空燃比が実際にリーンからリッチに戻るまでの時間
    とに基づき前記空燃比補正量を保持する所定時間を変更
    することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
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