JP2000096493A - たばこ副流煙臭気を改善するための香料の固定化方法およびシガレット - Google Patents
たばこ副流煙臭気を改善するための香料の固定化方法およびシガレットInfo
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Abstract
し、喫煙時には副流煙臭気を改善する香りを放出し得る
ようにたばこ副流煙臭気を改善するための香料の固定化
方法を提供する。 【解決手段】たばこ副流煙臭気を改善する香料を含有す
る、エチレン含有率が30重量%以下のエチレン−酢酸
ビニル共重合体のエマルジョンをたばこ用巻紙に適用
し、これを乾燥して該香料を該エチレン−酢酸ビニルに
より該巻紙上に固定する。
Description
を改善するための香料の固定化方法およびシガレットに
係り、特には、固定すべき香料を特に修飾することなく
効果的にたばこ用巻紙に固定化するための方法およびシ
ガレットに関する。
煙の味や香りを担保するために、数多くの香料が添加さ
れている。一般的に、たばこ製品では、多種類の揮発性
香料が調合されて添加され、各々のたばこ製品のイメー
ジを創出している。最近では、喫煙時に周囲に放出する
副流煙の臭気を改善するために、シガレット巻紙に不快
なたばこ臭さをマスクする香料を添加することが提案さ
れている。
巻紙に添加される香料は、製造場所へ望ましくない香気
ができるだけ混入しないこと、たばこ製品貯蔵中におい
て香料ができるだけ移行しないこと、しかも喫煙時には
副流煙中に香料を選択的に放出して副流煙を改善し得る
こと等の特性が要求される。このような臭気改善技術を
実現するためには、香料の低揮発化を図り、製造及び貯
蔵条件下では安定であって非揮発性でありながら、喫煙
条件下では熱分解、脱着により香料成分を放出させる香
料放出剤が必要となる。
−501075号公報(米国特許第4,804,002
号)には、香料を配糖体化する技術が開示され、特開平
5−146285号公報(米国特許第5,144,96
4号)および特表平7−504080号公報(米国特許
第5,479,949号)には、シクロデキストリンに
より香料を包接する技術が開示されている。
スキング香料は、上で述べた一般的な香料と同じよう
に、各たばこ製品が持つ独特な煙の香りを担保するため
に、多種類の揮発性マスキング香料を調合して用いるこ
とが強く望まれている。しかしながら、前述の技術で解
決できるマスキング香料は、配糖体化技術では合成方法
により、またシクロデキストリンによる包接技術では包
接空間の物理的条件により制限を受ける。さらに、これ
らの技術では、調合香料については対処し得ない。
って生み出されるものであり、味や香りのメカニズム
は、かなり複雑なプロセスが集合して成り立っている。
例えば、燃焼反応や酸化反応等の化学反応や蒸発、蒸留
プロセスなどによる煙成分の生成と、希釈、拡散、ろ過
などの移動プロセスによる煙成分のデリバリーなどが絡
み合っている。したがって、香料保持体(固定化媒体)
として、従来にない新規な化合物や添加物を用いると、
これらの複雑なプロセスにより予期せぬ副産物が生じ、
シガレットの味や香りへのネガティブな影響が現れるお
それがある。その結果、満足すべき味や香りを生み出す
ために、ネガティブな影響を取り除くためのかなりの労
力を要することになる。
る香料保持・固定化技術としては、煙成分の生成やデリ
バリーに影響を与えないもの、すなわち、新規化合物や
添加物を用いない香料固定化技術が望ましい技術であ
る。
1に、貯蔵中には香料をたばこ用巻紙に安定的に保持
し、喫煙時には副流煙臭気を改善する香りを放出し得る
ようにたばこ副流煙臭気を改善するための香料の固定化
方法を提供することを課題とする。
気改善用香料に特別の修飾を施すことなく、当該香料を
効果的にたばこ用巻紙に固定化させる方法を提供するこ
とを課題とする。
を解決するために、鋭意研究した結果、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(以下、「EVA」という。)エマルジ
ョンが、特定のエチレン含有率を有するならば、たばこ
副流煙臭気を改善する香料(以下、「マスキング香料」
という。)をたばこ用巻紙に固定化させるための媒体と
してきわめて有効であり、その際、香料に対し格別の修
飾(他の化合物との反応や包接等)を施す必要がないこ
とを見出した。
臭気を改善する香料を含有する、エチレン含有率が30
重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルジ
ョンをたばこ用巻紙に適用し、これを乾燥して該香料を
該エチレン−酢酸ビニルにより該巻紙上に固定すること
を特徴とする、たばこ副流煙臭気を改善するための香料
の固定化方法が提供される。
キング香料を固定化したたばこ用巻紙により巻装された
たばこロッドを有するシガレットも提供される。この場
合、EVAエマルジョンは、たばこ用巻紙のシーム部に
おいてシーム糊の形態で適用することが最も好ましい。
の固定化媒体として用いられるEVAエマルジョンは、
30重量%以下のエチレン含有率を有する。このエチレ
ン含有率が30重量%を超えると、十分な固定化効果を
発揮し得ない。本発明において用いられるEVAエマル
ジョンは、高速のシガレット巻上げ機に使用されるいわ
ゆるシーム糊として使用することができるものである。
り固定化されるマスキング香料は、通常マスキング香料
として使用されている香料であれば、特に制限はなく、
これを修飾することなくそのまま用いることができる。
そのようなマスキング香料の例を挙げると、テルペン
類、エステル類、リナロール、ネロールやゲラニオール
等のアルコール類、アネトール等のフェノール類、バニ
リンやエチルバニリン等のアルデヒド類、ラクトン類、
植物および果実抽出物等である。これらは、単独で使用
することもできるし、所望により混合物の形態(調合香
料)で使用することもできる。
基材となるたばこ用巻紙は、紙巻たばこ(シガレット)
の巻紙であり、通常使用されているいずれのものでも使
用することができる。
に固定化するためには、まず、EVAエマルジョンに1
種またはそれ以上のマスキング香料を添加する。マスキ
ング香料が周囲温度で液体である場合は、そのままか、
エタノールや多価アルコール中の溶液として添加するこ
とができる。また、エチルバニリンのように、マスキン
グ香料が周囲温度で固体である場合には、エタノールお
よび多価アルコールもしくは水/アルコール混合溶媒等
の溶媒に溶解させて添加することができる。マスキング
香料の添加量は、EVAエマルジョンに対し、0.00
1〜10重量%であることが好ましい。マスキング香料
を添加した後、EVAエマルジョンを十分に混合し、均
一にする。
Aエマルジョンをたばこ用巻紙に適用(塗布)する。巻
紙に対して、EVAエマルジョンを全面ではなく、巻紙
の縦または横方向に1以上の線状に塗布することができ
る。しかしながら、本発明のEVAエマルジョンは、上
にも述べたように、シーム糊として使用することができ
るので、たばこ巻上げ機における糊タンクに、マスキン
グ香料を添加したEVAエマルジョンを入れ、シーム糊
としてそのままて用いることが最も好ましい。このよう
にすると、既存の設備を改作したり、付加的な装置を付
設したりすることなく当該設備をそのまま利用してマス
キング香料を巻紙上に固定化させ、シガレットを巻き上
げるることができるので、コストの上昇が抑えられる。
乾燥させる。乾燥は、通常、常温〜300℃の温度で
0.001秒間〜数分間行うことができる。シーム糊と
してEVAエマルジョンを適用した場合には、シーム糊
の通常の乾燥条件を用いることができる。
巻紙上に固定化されたマスキング香料は、添加量が少な
い条件では、通常のたばこ製品の製造および貯蔵条件下
では、香気を発生せず、喫煙時にたばこ副流煙の臭気を
改善するように効果的に香気を放散する。この点で、粒
子状またはペレット状のEVAに香料を混入させた香気
徐放剤とは明確に区別される。また、本発明において
は、使用するEVAと香料との間には、相互作用は生じ
ない。
化した巻紙を用いてたばこロッドを巻き上げることがで
き、このたばこロッドを有するシガレットは、喫煙時に
不快な副流煙臭気が抑制されたものとなる。
マルジョンを巻紙製造工程において塗工してもよい。
の各例において、EVAエマルジョンとしては、エチレ
ン含有率が15ないし20重量%のものを用いた。
リナロールを添加し、攪拌したところ、リナロール香気
が減少した。これは、EVAエマルジョン中にリナロー
ルが取り込まれていることを示唆する。
ある分岐シクロデキストリンのリナロール包接物やリナ
ロール配糖体では、不純物としての遊離したリナロール
を除去しきれず、リナロール香気を抑制することはでき
なかった。
への香気混入を抑制することができることがわかった。
0.5mLを巻紙0.0136m2 に塗布し、100℃
で2時間乾燥した。コントロールとして、1mg/mL
のリナロール水溶液を0.5mL、巻紙0.0136m
2 へ塗布した。巻紙におけるリナロール量は、巻紙を3
00℃で1時間真空加熱し、リナロール蒸気を液体窒素
でトラップし、ガスクロマトグラフィーで定量した。そ
の結果、巻紙におけるリナロール量は、EVAエマルジ
ョンを用いた場合が0.36mgであり、コントロール
が0.005mgであった。こうして、EVAエマルジ
ョンを用いることにより、容易にリナロールが固定化さ
れることが分かった。
変化を検討するため、蔵置試験として、以下の加速試験
を行った。
を有する吸着容器に入れ、温度30℃で、相対湿度60
%の窒素ガスを巻紙と平衡状態に達するまで(48時間
以上)、供給した。平衡状態に達した巻紙のリナロール
量を同様に定量した。その結果、加速試験後の巻紙にお
けるリナロール量は、経時変化がほとんどなく、初期担
持量と同じく0.36mgであった。
料の移動を抑制できることがわかった。
して用いたシガレットの副流煙臭気の改善効果を、官能
試験法により評価した。評価法は、香料無添加のEVA
エマルジョンを接着剤としたシガレット(コントロール
試料)と、香料を添加したEVAエマルジョンを接着剤
としたシガレットとから発生する副流煙を横並びで嗅ぎ
比べる一対比較法とし、試料間の差の程度を評定尺度表
に記入するシェッフェ(Sheffe)の方法に準じて行っ
た。
するために、各組み合わせについて、嗅ぎ順を逆にした
繰り返し評価を行った。効果の判定は各評価項目で得ら
れた試料間の尺度差が統計的に有意であるか否かをもっ
て判断した。臭気試料となる副流煙は隣り合う2台の副
流煙発生装置を用いて発生させ、嗅ぎ口におけるその煙
濃度は、たなびく紫煙が鼻先にかかる条件を想定し、お
よそ2本/m3 程度の濃い条件とした。臭気評価パネル
は社内の健常者で、オルファクトメーター法で選定した
臭気感覚の優れた20、30才代の男女からなる10〜
15名とした。香料添加の有無以外のシガレットの仕様
は全て同一とした。香料としては、リナロール、エチル
バニリン、4種類の調合香料(プルーン系、ハニー系、
ティ系、フルーティ系)を用いた。リナロールとエチル
バニリンでは、EVAエマルジョンヘの香料添加濃度を
0.1重量%とし、それ以外の香料では、香料添加濃度
を1重量%とした。さらに、エチルバニリンは常温で固
体の物質であるため、エタノールに溶解させた後、所定
量添加した。下記表1に評価結果を示す。
れ、焦げ臭さやヤニ臭さで代表されるたばこ臭さが低減
していた。副流煙臭気は、本発明によれば、香料の状態
(単品でも調合香料、溶媒の有無)に依らず、香料のマ
スキング効果により改善されたことが分かる。また、本
発明の手法をシガレットヘ適用する場合に、糊としてで
はなく、巻紙表面ヘコーティングしても、同様に、香料
の香気付与とたばこ臭さの低減が認められた。すなわ
ち、副流煙臭気は、マスキング香料を添加したEVAエ
マルジョンを巻紙などのシガレット外周部に付与するこ
とで、明らかに改善された。
いて、EVAと香料の相互作用の有無を確認するために
赤外分光法による分析を行った。EVAは1020cm
-1及び1230cm-1にアセトキシル基を構成するC−
O単結合の逆対称伸縮振動、1370cm-1にメチル基
のC−H変角振動、1470cm-1にメチレン基のC−
H変角振動、1730cm-1にカルボニル基のC=O伸
縮振動を有するスペクトルを示す。
ョンをガラスプレート上に薄く塗布し、十分に乾燥した
後、ガラスプレート上の香料固定化試料を採取して、赤
外スペクトルの測定を行った。エチルバニリンは、EV
Aエマルジョン1gに対して5重量%となるようにエタ
ノールに溶解して十分混和した。
と840cm-1にC−Hの面外変角振動、1040cm
-1にエチルエーテル基のC−O−Cの対称伸縮振動、1
280cm-1にエチルエーテル基の逆対称伸縮振動、1
515cm-1と1580cm-1にC…Cのベンゼン環の
環伸縮振動、1670cm-1にアルデヒド基のC=O伸
縮振動、2695〜2900cm-1にアルデヒド基のC
−H伸縮振動、3350cm-1付近に幅広いヒドロキシ
ル基のO−H伸縮振動が確認される。
バニリン固定化試料の赤外線スペクトルは、殆どEVA
のスペクトルと同様のスペクトルを示し、2900cm
-1の部分に弱いアルデヒド基由来の吸収と1500〜1
600cm-1付近に芳香族に由来する吸収、更に169
0cm-1にEVAとは異なるカルボニル基由来の弱い吸
収が認められた。これらの確認された吸収は全てエチル
バニリンによるものであり、その他に特別に新しい吸収
が認められないことから、添加する香料とEVAとの相
互作用はないことが分かる。すなわち、EVA中では、
添加香料はそのままの状態で安定に固定化されている。
気発現性を確認するために、熱分解ガスクロマトグラフ
ィー質量分析計(Py−GC/MS)を用いて放出挙動
を調べた。
リンを5重量%の割合で添加したEVAエマルジョンを
薄く塗布し、105℃で30分乾燥した試料を用いて分
析を行った。十分乾燥したガラスプレート上の香料固定
化試料をミクロスパーテルで掻き取り、熱分解装置のサ
ンプル管に試料約300マイクログラム入れ、毎分20
℃の昇温条件下で100℃から600℃まで加熱した。
加熱による生成物を不活性化されたカラムを通し、質量
分析計で分析した。その結果、昇温による熱分解生成物
は3つのピークを有し、先ずエチルバニリンが、次に酢
酸が、さらにアセトンのピークが確認された。
を伴うことなく加熱により香気を放散することがわかっ
た。
1に、貯蔵中には香料をたばこ用巻紙に安定的に保持
し、喫煙時には副流煙臭気を改善する香りを放出し得る
ようにたばこ副流煙臭気を改善するための香料の固定化
方法が提供される。また、本発明によれば、既存の副流
煙臭気改善用香料に特別の修飾を施すことなく、当該香
料を効果的にたばこ用巻紙に固定化させることができ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 たばこ副流煙臭気を改善する香料を含有
する、エチレン含有率が30重量%以下のエチレン−酢
酸ビニル共重合体のエマルジョンをたばこ用巻紙に適用
し、これを乾燥して該香料を該エチレン−酢酸ビニルに
より該巻紙上に固定することを特徴とする、たばこ副流
煙臭気を改善するための香料の固定化方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法によりたばこ副流煙
臭気を改善する香料を固定化したたばこ用巻紙により巻
装されたたばこロッドを有するシガレット。 - 【請求項3】 該エマルジョンが、たばこ用巻紙のシー
ム部においてシーム糊の形態で適用されている請求項2
記載のシガレット。
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1998
- 1998-09-11 JP JP25779398A patent/JP2938067B1/ja not_active Expired - Fee Related
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