JP2000093159A - 非付着性細胞の培養及び濃縮装置 - Google Patents

非付着性細胞の培養及び濃縮装置

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JP2000093159A
JP2000093159A JP11187173A JP18717399A JP2000093159A JP 2000093159 A JP2000093159 A JP 2000093159A JP 11187173 A JP11187173 A JP 11187173A JP 18717399 A JP18717399 A JP 18717399A JP 2000093159 A JP2000093159 A JP 2000093159A
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ロドリィ アンタル
Pierre Kramer Jean
クレマー ジーン・ピエール
Reisbach Gilbert
ライスバッハ ギルバート
Ryu Gokin
リュウ ゴーキン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非付着性細胞の培養及び濃縮用の装置を提供
する。また、この装置を2種の細胞の同時培養用の装置
として用いた場合に、細胞の凝集や細胞の損失を防ぎ、
汚染のリスクを低減する。 【解決手段】 非付着性細胞の培養及び濃縮用装置であ
って、2種の異なる細胞の同時培養にも使用することの
できる装置。縦長の中空容器からなり、当該容器が、こ
の中空容器を培養工程用に配置するための縦軸と平行に
延在するレスト面と、中空容器を細胞採収工程あるいは
2種の細胞の同時培養工程用に配置するための縦軸に直
交する方向に延在するスタンド面と、前記中空容器のス
タンド面の反対側の部位に設けた少なくとも1の閉塞可
能な注入/排出口と、中空容器内に設けられ、前記スタ
ンド面から延在し、容器の内部空間を部分的に区画割り
する画壁と、を具えており、この画壁の少なくとも一部
であって前記スタンド面に近い部位に液体は通すが細胞
は通さない細孔膜あるいは細胞不浸透スクリーンを設け
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非付着性細胞の培養
及び濃縮装置に関するものである。また、本発明の装置
は、付着性細胞と非付着性細胞といった2種の細胞の同
時培養装置としても使用できる。
【0002】
【従来の技術】細胞培養においては、細胞は、付着性細
胞(培養フラスコ表面に付着する細胞)又は非付着性細
胞(培養基の懸濁液に存在する細胞)といった細胞の種
類に応じて、その細胞が成長する培養基が入った培養フ
ラスコに収納される。従来、非付着性の成長細胞を採収
し、それを継続して培養するには、一般に、成長段階の
後、次の工程に進む前に遠心分離によって細胞を濃縮す
るようにしていた。しかしながら、遠心分離を行うと、
所望しない細胞の凝集や、細胞の破損を引き起こす。更
に、操作中にバクテリアや細菌によって汚染(contamin
ation)されるリスクも高い。
【0003】一方、種類の異なる細胞を同時培養する技
術では、従来、液体は透過するが細胞は透過しない膜を
具える可動枠を培養皿中に設けて、培養皿を2つのセル
コンパートメントに仕切った装置が用いられている。し
かしながら、従来の培養皿の枠では、一方の細胞は組織
培養皿内に、他方の細胞は膜の上に位置してしまうた
め、小規模な異なる条件でしか2種の細胞の同時培養を
行うことができない。更に、培地の交換や、余剰培養組
織の回収、あるいは細胞濃度の調整を繰り返して行うこ
とは不可能であるか、例え可能な場合でも制限された状
態でしか行うことができない。WO96/00780号
には、複数のコンパートメントに分かれた細胞培養装置
が開示されている。この細胞コンパートメントは気体を
透過する下側膜と培養基を透過する上側膜で仕切られて
おり、細胞コンパートメント内の高分子細胞生成物の濃
度を同じにして、より好適に細胞を供給することができ
る。この細胞培養装置は遠心分離を行わずに細胞培地を
交換することができるが、高分子細胞生成物を採収する
には遠心分離によって細胞を分離させる必要がある。ま
た、この装置では2種の細胞を同時に培養することがで
きない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に概ね述
べた従来の装置の問題点に基づいてなされたものであ
り、簡単な構造で、遠心分離を行うことなく細胞生成物
を得ることができ、汚染のリスクを低減させ、更に細胞
濃度の調整を容易に行うことができる装置を提供するも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、請求項
1に記載の構成によりこの課題を解決することができ
る。また、本発明の好適な改良を達成する望ましい構成
は従属する請求項に開示されている。
【0006】本発明の装置では、部分的な画壁を固定的
に設けることにより好適な部分的2チャンバシステムを
得ることができる。この装置では採収工程において細胞
を含まない(セルフリー)余剰培養基が膜を透過して反
対側のチャンバへ好適に流れてゆき、所望の量の余剰細
胞を取除いて、その上に新たな媒質を供給することがで
きる。一方、培養工程では、装置の配置により前記画壁
が細胞懸濁液の上に好適に位置する。このようにすれ
ば、中空容器を直立させて配置した後は遠心分離を行う
ことなく、培地の交換や細胞濃度の調整、余剰培養基の
回収が可能になる。この構成により細胞の凝集や細胞の
破損を防ぐことができ、制御された状態で培地交換を行
うことにより、細胞濃度の調整を容易に行うことができ
る。更に、細胞培養の工数が少なくなり汚染のリスクも
減少する。
【0007】このように設計、構成されているため、本
発明の装置は頻繁かつ簡単な培地交換によって高濃度の
細胞を培養するのに好適に利用することができる。ま
た、装置の直立体勢では全く同一の培養環境の下に2種
の細胞を大量に同時培養することができる。
【0008】遠心分離工程による重力の影響を取り除い
たことによって細胞の取扱いを慎重に行いうるだけでな
く、従来、遠心分離及びそれに続く濾過工程によって回
収するより容易に、細胞を含まない(セルフリー)余剰
培養基を回収できることは、本発明の特別な利点の一つ
である。また、本発明の装置を使用すれば、細胞の損失
が全くないか、あったとしてもその損失は、遠心分離と
それに続いて行う余剰培地を空にすること、あるいはデ
カンティングを行うことによって生じる損失より少なく
てすむ。
【0009】更に、本発明の装置は従来技術に比べて操
作が比較的簡単である。例えば、従来の遠心分離による
培地の交換は約12分を要していたが、本発明の装置で
は、中空容器をレスト面で寝かせた体勢から直立する面
へ立たせた体勢へと単に傾ける操作で培地の交換を行う
ことができるため、この時間をおよそ4分に短縮でき
る。
【0010】他の利点は、遠心分離工程では細胞ペレッ
ト内で生じていた細胞の凝集を防ぐかあるいは少なくし
うることにある。更に、操作工程が少ないので汚染のリ
スクが飛躍的に低減する。
【0011】本発明の装置を用いることによる更なる利
点は、頻繁かつ簡単に媒地交換を行いうることにより、
高濃度の細胞を培養することができる点である。更に、
例えば抗体の製造又は細胞を大規模に増殖させる場合
に、培養基を絶えず交換するのに都合がよい。更に、2
種の細胞の同時培養を好適に行うことができ、例えばこ
れらの細胞の液性相互作用を研究することが可能とな
る。
【0012】本発明の装置は、通路を画壁と同一面上に
設けた細孔膜若しくは細胞不浸透スクリーン、又は、側
方に突出した縁部材を設けた細孔膜若しくは細胞不浸透
スクリーンで塞ぐように設計することが、機能面及び製
造面で望ましい。この膜あるいはスクリーンのサイズ、
形状、素材、細孔や網目のサイズは、所望の目的、すな
わち細胞は通さないが媒質及び細胞を含まない余剰量の
培養基を通す透過性を有するといった目的の、各要求に
応じて、通常の範囲内で任意に変化させても良い。又
は、少なくとも1つの通路を設ける代わりに、画壁全体
を細孔膜又は細胞不浸透スクリーンとして構成するよう
にしてもよい。この場合、スクリーンの端縁部分に構造
的に必要であるプラスチックのウェブが必要となる。こ
の構成によれば、中空容器を直立させた状態で液体の交
換を早く行うことができる。
【0013】液体は透過するが細胞は透過しない膜、又
は、液体は透過するが細胞は透過しないスクリーンは、
透明な素材で構成するのが好ましいが、中空容器が好適
な透明素材でできている場合には、この膜またはスクリ
ーンの透明性は必須ではない。このような構成によれ
ば、いわゆる倒立顕微鏡(inverting microscope)を用
いて中空容器を視覚的に検査することが可能となる。す
なわち、レンズの上に中空容器を配置して上方から光を
あてることにより中空容器の底部から培養組織を見るこ
とができる。中空容器及び、好ましくは画壁も、半透明
な素材で構成するのが好ましく、特に限定するものでは
ないが、ポリスチレンを好適に用いることができる。
【0014】中空容器を直立させたときの画壁の高さh
は、中空容器が直立しているときに画壁を越えて他方の
細胞を収容しているチャンバ側へ細胞懸濁液が流れない
ような寸法にするのが好ましい。
【0015】中空容器を横にした細胞培養工程において
は画壁が細胞懸濁液の上に延在する。この画壁は中空容
器を傾けて床面に配置しても懸濁液で濡れないよう構成
する。この画壁によって、成長した細胞培養基は細胞が
成長したチャンバに残り、細胞を含まない培養基は膜又
はスクリーンを透過して反対側のチャンバへ流れる。こ
の画壁の高さhは、いかなる場合でもこの所望の分離を
確実に実現するよう設定する。
【0016】本発明の好適な実施例では、中空容器内の
画壁の両側の容量はほぼ同じである。一方、中空容器
は、フラスコ型状に構成されているのが好ましく、更に
本発明の好適な改良においては、注入/排出口を中空容
器の縦軸に対して鋭角をなすように配設して、ピペット
で各チャンバに適切にアクセスできるように構成してい
る。更に別の構成として、一の注入/排出口を設ける代
りに、各チャンバに機能を割り振って2つの開口を設け
るようにしてもよい。
【0017】更に他の実施例として、単一のあるいは複
数の開口を、固形キャップ又はフィルタキャップにより
ゆるく閉まるように構成して、容器を密閉せずに空気を
循環させるようにしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付の図
面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、本発
明の1実施形態であるフラスコ型の中空容器10を示す
図である。この中空容器10は、注入/排出口12に対
して所定の角度で傾斜したテーパ形状の接合セクション
13を有する平行六面体の本体11を具える。本体11
は、底部側にスタンド面14と、一対の短側面15及び
16と、図2に示すように、平行な長側面17及び18
とを具えている。
【0019】図1において、画壁19は点線で示されて
いる。この画壁19は底面14から注入/排出口12に
向けて、中空容器10の縦軸と平行に延在している。画
壁19は、底面14の近傍に円形の通路20を具え、こ
の通路20には液体は透過するが細胞は透過しない浸透
膜フィルタ21が設けられている。
【0020】図に示す実施形態では、画壁19は、中空
容器10の高さの半分を越えて、底面14から高さhま
で延在しており、2チャンバシステムを形成している。
このチャンバシステムは細胞懸濁液を収容するチャンバ
22と他方の細胞を収容するチャンバ23とで構成され
ている。注入/排出開口12は、図2に示すように、中
空容器10の縦軸Lに対してずれた位置に配設されてい
る。
【0021】図4は、細胞培養工程における装置10の
状態を示す図である。ここでは、装置10は側面17を
下にして配置されており、チャンバ22がチャンバ23
の下側に位置している。また、画壁19は底面17と平
行に延在している。チャンバ22の一部に細胞を含む培
養基でなる細胞懸濁液24が収容されている。
【0022】細胞を採収する場合には、図5に示すよう
に、中空容器10はスタンド面14を底面として直立し
ている。この状態では、細胞の成長によりチャンバ22
内に細胞の凝集24’が生じ、一方、余剰量の培地25
が浸透膜21を透過してチャンバ23へ流れて分離され
ている。この状態でピペットを用いてチャンバ22、2
3の収容液を回収することができる。
【0023】更に、図5に示すような細胞を採収する状
態にして、装置10で2種の細胞の同時培養を好適に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るフラスコ形状の中空容器
の正面図である。
【図2】図2は、図1に示す中空容器の側面図である。
【図3】図3は、図1に示す中空容器の平面図である。
【図4】図4は、図1に示す中空容器を、細胞培養工程
において水平配置した状態を示す図である。
【図5】図5は、細胞採収工程で中空容器が直立配置さ
れた状態を示す図である。
【符号の説明】
10 中空容器 11 容器本体 12 注入/排出口 13 接合セクション 14 スタンド面 15、16 短側面 17、18 長側面(レスト面) 19 画壁 20 通路 21 浸透膜フィルタ 22、23 チャンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンタル ロドリィ ドイツ国 81243 ミュンヘン ラドルフ ツェラーシュトラーセ 14 (72)発明者 ジーン・ピエール クレマー ドイツ国 86853 ラングゲリンゲン 23 ハウプトシュトラーセ 28 (72)発明者 ギルバート ライスバッハ ドイツ国 80637 ミュンヘン ランプア デウスシュトラーセ 2 (72)発明者 ゴーキン リュウ 中華人民共和国 400046 チョンキン イ ユーユンル 1#

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種の細胞の同時培養装置としても使用
    できる非付着性細胞の培養及び濃縮装置において、縦長
    の中空容器を具え、当該中空容器が、 当該容器の縦軸と平行に延在し、前記中空容器を細胞培
    養工程用に配置するためのレスト面と、 前記縦軸と直交して延在し、前記中空容器を細胞採収工
    程あるいは2種の細胞の同時培養工程用に配置するため
    のスタンド面と、 前記中空容器のスタンド面に対向する部位に設けられ閉
    塞可能な少なくとも1つの注入/排出口と、 前記中空容器内に前記スタンド面から延在し、前記容器
    の内部空間を部分的に区画割りする画壁と、を具え、 前記画壁の少なくとも一部に、液体は透過するが細胞は
    透過しない膜又は細胞不浸透スクリーンが形成されてお
    り、この膜またはスクリーンが前記スタンド面近傍に設
    けられていることを特徴とする容器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、前記膜
    又は細胞不浸透スクリーンが、前記画壁と同一面上にあ
    ることを特徴とする装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の装置において、前記画
    壁の一部が側方に突出した縁部を有する通路として形成
    されていることを特徴とする装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の装置において、前記通
    路が円形であることを特徴とする装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の装置において、前記膜
    又は細胞不浸透スクリーンが、ポリエチレン素材又はポ
    リカーボネート素材からなることを特徴とする装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の装置において、前記中
    空容器が透明な素材からなることを特徴とする装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の装置において、前記画
    壁が半透明、好ましくは透明な素材からなることを特徴
    とする装置。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の装置において、前記画
    壁の高さを、前記中空容器が直立した体勢にある場合に
    細胞懸濁液が越えない寸法に構成したことを特徴とする
    装置。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の装置において、前記注
    入/排出口が固形キャップ又は空気透過性フィルタキャ
    ップにより緩く閉まるよう構成されていることを特徴と
    する装置。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の装置において、前記
    注入/排出口が前記中空容器の縦軸に対して鋭角をなし
    て配設されていることを特徴とする装置。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の装置において、前記
    注入/排出口が前記中空容器の縦軸からずれた位置に配
    置されていることを特徴とする装置。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の装置において、前記
    中空容器内で前記画壁の両側に形成されたチャンバの容
    量がほぼ同じであることを特徴とする装置。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の装置において、前記
    中空容器がフラスコ型に形成されていることを特徴とす
    る装置。
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