JP2000090902A

JP2000090902A - 電池およびこの電池の製造方法

Info

Publication number: JP2000090902A
Application number: JP10257320A
Authority: JP
Inventors: Tadamitsu Azema; 忠満畦間
Original assignee: Alps Electric Co Ltd
Current assignee: Alps Alpine Co Ltd
Priority date: 1998-09-10
Filing date: 1998-09-10
Publication date: 2000-03-31

Abstract

(57)【要約】【課題】従来よりも製造時間を短縮することができる
と共に、底作動力の安全弁部を有する電池を提供するこ
とを目的とする。【解決手段】本発明の電池は、電池ケース１０と、こ
の電池ケース１０の内部を気密に遮蔽する蓋体４と、こ
の蓋体４の一部に形成されて電池ケース１０の内圧が所
定値以上に上昇すると破壊する安全弁部Ｚとを備え、こ
の安全弁部Ｚは蓋体４の一部に凹部４ｆを切削加工で形
成し、この凹部４ｆの底部４ｇを薄肉に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電池に係わり、電池
ケース内部の圧力が上昇したときに安全性を確保するた
めの安全弁部を有する電池とこの電池の製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の電池は、例えば電池ケースの内部
に有機溶媒系電解液を注入して密閉した、充電可能なリ
チウムイオン二次電池などが、携帯電話機やパソコン等
の携帯用機器の電源として広く使用されている。ところ
が、このような電池に再充電するときに過充電を行った
り、規定された電流よりも大きな電流で充電を行ったり
すると、電池に異常が生じて電池ケース内に気体が発生
し、電池ケース内の圧力や温度が上昇して、電池ケース
の膨張、さらには電池ケースに亀裂等が発生し、内部の
電解液が外部ににじみ出して、電池が組み込まれた機器
に悪影響を与えることがあった。また、これに至らなく
てとも、前述したような異常状態のままで、電池の使用
を継続すると、電池の膨張が進行し、電池ケースが破裂
したりする危険性があり、異常が生じた電池は速やかに
使用を中止する必要があった。

【０００３】前述したような電池ケースの破裂等を未然
に防ぐために、従来の電池は、電池ケースの内部を気密
に遮蔽する蓋体の一部に安全弁部を形成していた。そし
て、電池ケースの内圧が所定値以上に上昇すると、前記
蓋体の一部の安全弁部が破壊し、この破壊部分から電池
内部の高圧の気体が外部に排出して、電池ケースの亀
裂、あるいは破裂を未然に防止することができる安全弁
付き電池が知られている。このような従来の電池を、図
１２〜図１３に示すような、例えば角形の電池で説明す
る。まず、電池ケース２０の開口に溶接等で金属板から
成る蓋体２１が取り付けられて、電池ケース２０の内部
が機密に遮蔽されている。

【０００４】前記蓋体２１は、外形が略矩形に形成され
た鍔部２１ａと、この鍔部２１ａの内側に絞り加工等で
図示下方側に突出形成した平坦状の底板２１ｂとから構
成されている。この底板２１ｂには、図１３に示すよう
な、断面が略Ｖ字状のＶ溝２２ａを円環状に形成した安
全弁部２２が設けられ、この安全弁部２２は、Ｖ溝２２
ａによって薄肉部２２ｂが形成されている。前記Ｖ溝２
２ａの内周側は底板２１ｂと同じ厚さに設けられた、円
形の破断部２２ｃが形成されている。そして、安全弁部
２２を有する蓋体２１は、鍔部２１ａの外周端部が溶接
等で電池ケース２０に取り付けられて、電池ケース２０
の内部を機密に遮蔽するようになっている。

【０００５】このような従来の電池は、蓋体２１の一部
のＶ溝２２ａによって形成された薄肉部２２ｂの強度
が、その他の部分より弱くなっているので、電池に異常
が発生して電池ケース２０内部の圧力が異常に上昇し
て、底板２１ｂの下面に前記上昇した圧力が加わると、
円形の破断部２２ｃの一部が上方に持ち上げられて、薄
肉部２２ｂの一部が破断するようになっている。この薄
肉部２２ｂの一部が破断した破断部分（図示せず）か
ら、電池ケース２０内部の高圧の気体を電池の外部に放
出することができる。そのために、電池ケース２０の亀
裂、あるいは破裂等を未然に防ぐことができる。また、
従来の電池の、その他の安全弁部の形態として、図示は
省略するが、電池蓋の一部に開口部を設け、別部材の金
属板の一部にエッチング等で薄い箔を形成し、この金属
板を前記開口部に溶接した物がある。このような安全弁
部は、電池ケース２の内部の圧力が異常に上昇すると、
この上昇した圧力が、電池蓋に溶接されている金属板の
薄い箔が破断されて、高圧に上昇した気体を電池の外部
に放出することができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述のような従来の電
池は、蓋体２１の一部にプレス加工等によりＶ溝２２ａ
を設けて薄肉部２２ｂを形成していたが、プレス加工時
の１回のパンチング動作では、薄肉部２２ｂの厚さを、
ロット内、あるいはロット間で、バラツキなく均一に仕
上げることが難しかった。そのために、プレス加工時に
パンチング動作を複数回行って薄肉部２２ｂの厚さをバ
ラツキのないように仕上げを行っていたので、プレス加
工の製造時間が長くなり、従来の電池用安全弁の製造効
率が悪くなっていた。また、電池蓋にエッチング等で形
成した薄い箔を有する金属板を溶接した物では、薄い箔
を得るためのエッチング作業等に時間が掛かり、製造効
率が悪くなっていた。本発明は、前述のような従来の課
題を解決して、高精度で、且つ製造効率の良い電池を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第１の解決手段として本発明の電池は、電池ケース
と、この電池ケースの内部を気密に遮蔽する蓋体と、こ
の蓋体の一部に形成されて前記電池ケースの内圧が所定
値以上に上昇すると破壊する安全弁部とを備え、この安
全弁部は前記蓋体の一部に凹部を形成し、この凹部の底
部を薄肉にした構成とした。

【０００８】また、前記課題を解決するための第２の解
決手段として、前記安全弁部は、前記凹部を構成する内
周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記底部の内
面または／および外面に、前記コーナ部に沿ってＶ溝を
形成した構成とした。

【０００９】また、前記課題を解決するための第３の解
決手段として、前記蓋体には、前記安全弁部と、この安
全弁部を破壊する圧力より低い前記電池ケースの内圧で
変位可能なダイアフラム部とを一体形成した構成とし
た。

【００１０】また、前記課題を解決するための第４の解
決手段として、電池ケースの内部を気密に遮蔽する蓋体
の一部に切削加工で凹部を形成し、前記切削加工で前記
凹部の底部を薄肉に形成した製造方法とした。

【００１１】また、前記課題を解決するための第５の解
決手段として、前記切削加工の後に、前記凹部を構成す
る内周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記底部
の内面または／および外面に、前記コーナ部に沿ってプ
レス加工でＶ溝を形成した製造方法とした。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の電池の実施の形
態について図面に基づいて説明する。図１は本発明に係
わる要部断面図、図２は本発明に係わる分解斜視図、図
３は本発明に係わる蓋体の上面図と右側面図であり、図
４は本発明に係わる蓋体の断面正面図、図５は本発明に
係わる下面図であり、図６は本発明に係わる安全弁部の
動作を説明する概略図であり、図７は本発明に係わるそ
の他の実施の形態を説明する概略図であり、図８は本発
明に係わる変形例を説明する蓋体の上面図であり、図
９、１０は本発明に係わる製造方法を説明する図であ
り、図１１は本発明に係わるその他の変形例を説明する
概略図である。

【００１３】本発明の電池を、例えば角形の電池で説明
すると、電池蓋１は全体形状が略矩形に形成され、端子
部２と、絶縁体３と、蓋体（負ケース）４と、保持体
５、外部電極６、圧力遮断用エレメント７、リベット
８、とから主に成り、このような電池蓋１の蓋体４を電
池ケース１０に溶接等で取り付けて、電池ケース１０の
内部を気密に遮蔽するようになっている。

【００１４】前記端子部２はアルミニウム製で、図２に
示すように略Ｌ字状に直角に折り曲げられており、その
長手方向の一端部には、後述するリベット８の接続部８
ｄと溶接される接続片部２ａが延設されている。また、
平坦部２ｂには略円形の開口部２ｃが複数個形成されて
いる。絶縁体３は絶縁性の樹脂材料から成り、一端部寄
りにリベット８を貫挿する円筒部３ａと、後述する蓋体
４のダイアフラムＤを内方に膨出し得るようにした凹部
３ｂと、この凹部３ｂの底面に貫通形成した通気孔３
ｃ、３ｃと、溶接用の孔３ｄと、略長方形の開口３ｅ、
３ｅと、位置決め用の三角形状の突起部３ｆとから構成
されている。

【００１５】前記絶縁体３の上部にはステンレス材のよ
うな導電性金属板から成る蓋体４が配設され、この蓋体
４は図３〜図５に示すように、外形が略矩形の弁当箱状
に形成され、外周部に略矩形の鍔部４ｋと、この鍔部４
ｋの内側を絞り加工等で下方に突出させて平坦状の底板
４ａが形成されている。前記鍔部４ｊと底板４ａとを連
結する底板４ａの周囲には突条部４ｂが形成されてい
る。前記底板４ａの一端寄りにはリベット８を貫挿した
前記円筒部３ａを貫通する孔部４ｃが形成されている。

【００１６】この孔部４ｃの図示右隣りには、底板４ａ
を薄肉に形成したダイヤフラム部Ｄが設けられている。
このダイヤフラム部Ｄは、切削等によって底板４ａの板
厚を薄肉にして連結部４ｄを形成し、この薄肉の連結部
４ｄを更にプレス等で椀状に図示下方に膨出させ、この
膨出中央部に図示上方側に突出する突起４ｅを設けて構
成されている。そして、電池ケース１０の内圧が所定値
以上に上昇すると、ダイヤフラム部Ｄの薄肉部４ｄが一
気に上方に反転して変位可能になっている。

【００１７】また、蓋体４は図４に示す底板４ａの他端
寄りに、安全弁部Ｚが形成されている。この安全弁部Ｚ
は、底板４ａの一部に、例えば外形が円環状の切削加工
等によって凹部４ｆが形成されている。この凹部４ｆに
は底部４ｇが設けられ、この底部４ｇが薄肉に形成され
て構成されている。また、蓋体４の他端側で底板４ａの
隅部には突条部４ｂの一部を内側に突出させた位置決め
用の突起部４ｊが形成され、突条部４ｂの上端の外周側
には外方に延出する鍔部４ｋが形成されて蓋体４が構成
されている。このような蓋体４は、鍔部４ｋの外周端部
が電池ケース１０の開口部に溶接等で取り付けられて、
電池ケース１０の内部を気密に遮蔽するようになってい
る。

【００１８】前記蓋体の底板４ａ上には、ＰＰＳ等の絶
縁樹脂材料で成形された保持体５が配設されている。こ
の保持体５は、図１に示すように蓋体４の突条部４ｂ内
に嵌合される大きさに形成されている。保持体５の一端
寄りには、図２に示すように、絶縁体３の円筒部３ａが
貫通する貫通孔５ａが形成されている。この貫通孔５ａ
のまわりの凹部には、リベット８を接続するリベット接
続部９ａと、一対のリード９ｂ、９ｃをそれぞれ延出す
る開口部５ｂ、５ｂと、外部電極６を保持する台座部５
ｃと、外部電極６の接続部６ｃと接続される電極接続部
９ｄと、蓋体４と溶接される固定部９ｅと、安全弁部Ｚ
に対応した位置に形成された開口５ｄと、蓋体４の位置
決め用の突起部４ｈが嵌合される切欠き部５ｅとが設け
られている。

【００１９】前記リベット接続部９ａ、リード９ｂ、９
ｃ、電極接続部９ｄ、固定部９ｅはそれぞれ導電性の金
属板等から成り、インサート成形等により保持体５に一
体化されて取り付けられている。また、保持体５の下面
には電極接続部９ｄの下面を露出させる孔部５ｆが形成
され、この孔部５ｆに溶接具を通して保持体５の電極接
続部９ｄに当て、上方から溶接具を外部電極６の接続部
６ｃに当てて挟み込んでスポット溶接を行って、外部電
極６を保持体５に固定すると共にリード９ｃに電気的に
接続させている。

【００２０】またリベット接続部９ａとリード９ｂとは
１枚の金属板で形成されており、リード９ｂは圧力遮断
用エレメント７を介してリード９ｃと電気的に接続さ
れ、リード９ｃが電極接続部９ｄを介して外部電極６に
接続されて、リベット接続部９ａと外部電極６とが電気
的に接続された状態になっている。一方、固定部９ｅは
独立しており、他と電気的に接続されていない。保持体
５は、固定部９ｅが、その下面に配設されている蓋体４
の底板４ａにスポット溶接等により固着されて、蓋体４
と保持体５とが一体化されている。

【００２１】前記外部電極６は、鉄板等の金属板にニッ
ケルメッキが施され、外形が略矩形の本体部６ａと、こ
の本体部６ａの両側縁から折り曲げられた脚部６ｂ、６
ｂと、保持体５の電極接続部９ｅと接続される接続部６
ｃとが設けられて、電極接続部９ｄに接続部６ｃがスポ
ット溶接等により保持体５に外部電極６が一体化されて
いる。そして、外部電極６は、電池の正極になるように
なっている。

【００２２】前記圧力遮断用エレメント７は、セラミッ
ク等の脆い絶縁性材料から成り、図２に示すように、略
帯状で中央部が両端部より狭くなった幅狭部７ａが形成
されている。この圧力遮断用エレメント７の上面側に
は、導電性部材を印刷、または金属箔を粘着等で形成し
た遮断用電路７ｂが設けられている。そして、圧力遮断
用エレメント７は、前記幅狭部７ａより幅広の両端部の
遮断用電路７ｂが保持体５のリード９ｂ、９ｃに半田付
け等で電気的に接続されて取り付けられている。

【００２３】また、リベット８はアルミ製で、図２に示
すように、先端側をやや細くした円柱部８ａと、下端に
設けた鍔部８ｂと、鍔部８ｂの外周に沿って上方に突設
した環状突条部８ｃと、鍔部８ｂから横方向に延設した
接続部８ｄとから成り、この接続部８ｄには前記端子部
２の接続片部２ａが溶着されるようになっている。ま
た、絶縁体３、蓋体４、および保持体５は、リベット８
の円柱部８ａの先端がカシメられて一体化され、このカ
シメ部分が保持体５のリベット接続部９ａに接続されて
いる。従って、外部電極６は圧力遮断用エレメント７の
遮断用電路７ｂ等を経て端子部２と電気的に接続されて
いる。

【００２４】前述したような本発明の電池は、電池ケー
ス１０の開口部に、蓋体４の鍔部４ｋをケースの全周に
亘って溶接し、電池ケース１０に設けた電解液注入口
（図示せず）から電解液を注入し、最後に溶接等で前記
電解液注入口を塞ぐことで、電池ケース１０の内部が気
密に遮蔽される。また、本発明の電池用安全弁を用いた
電池を、再充電するときの電流の経路は、外部電極（正
極）６から順次、リード９ｃ、遮断溶エレメント７の遮
断溶電路７ｂ、リード９ｂ、リベット８を経て、端子部
２に導出される。

【００２５】このとき、充電が終了しても更に電流を流
し続けるような、例えば過充電が行われたり、また、規
定された電流よりも大きな電流で充電が行われると、電
池（図示せず）内部に異常が発生し、電池ケース１０内
部の圧力や温度が異常に上昇する。このとき、圧力上昇
した電池内圧が所定値以上に上昇して、絶縁体３の通気
孔３ｃ、３ｃを介して蓋体４のダイヤフラムＤに伝わる
と、椀状で下方に膨出しているダイヤフラム部Ｄが一気
に上方に反転して変位する。このダイヤフラム部Ｄの変
位で、突起４ｅが圧力遮断用エレメント７の幅狭部７ａ
に衝突して、脆い材質から成る圧力遮断用エレメント７
が幅狭部７ａから破断される。この圧力遮断用エレメン
ト７の破断により、遮断用電路７ｂが断線し、リード９
ｂ、９ｃ間の電気的導通が遮断される。

【００２６】前記リード９ｂ、９ｃ間の電気的導通が遮
断されることにより、外部電極６と電池内の発電部（図
示せず）の正極間の電路を遮断し、これ以上の充電をス
トップさせて、電池内部の圧力上昇を抑えることがで
き、電池の破裂等を未然に防ぐことができるようになっ
ている。しかし、もしも前記圧力遮断用エレメント７を
破断させて電路を遮断しても、電池内部の電解液の影響
等で電池内圧が更に上昇するような場合には、絶縁体３
の開口３ｅ、３ｅを介して、更に圧力上昇した電池内圧
が安全弁部Ｚに加わる。

【００２７】このときの安全弁部Ｚの動作は、図６Ａに
示すように、更に圧力上昇して所定値以上に上昇した電
池内圧Ａが、薄肉の底部４ｇに加わると、底部４ｇの中
央部が上方に湾曲して膨らみ、底部４ｇと凹部４ｆの内
周壁とのコーナ部４ｍに集中加重が加わる。このコーナ
部４ｍに集中加重が加わることで、底部４ｇは、図６Ｂ
に示すように、コーナ部４ｍの一部が破断して開口４ｎ
が形成されて、安全弁部Ｚが破壊される。そして、底部
４ｇが破断されて形成された開口４ｎから、電池内部の
高圧に上昇した気体Ａが外部に排出されて、本発明の電
池の破裂を未然に防ぐことができるようになっている。

【００２８】前記ダイアフラム部Ｄと安全弁部Ｚの作動
力は、例えば電池の内圧が４〜１０気圧の範囲まで上昇
すると、ダイアフラム部Ｄが一気に上方に反転して変位
するようになっている。また、電池の内圧が更に上昇し
て、例えば１０〜２０気圧の範囲まで上昇すると、安全
弁部Ｚの底部４ｇが破断されるように設定されている。
即ち、蓋体４には、安全弁部Ｚと、この安全弁部Ｚを破
壊する圧力より低い電池ケース１０の内圧で変位可能な
ダイアフラム部Ｄとが一体形成されているので、電池ケ
ース１０内部に異常が発生して、内部圧力が上昇したと
しても、電池ケース１０に破裂等が発生する前に、圧力
上昇した内部の気体を、確実に、且つ安全に外部に排出
することができるようになっている。

【００２９】また、本発明の電池のその他の実施の形態
を、図７で説明すると、凹部４ｆの内周壁と、薄肉の底
部４ｇとのコーナ部４ｍ近傍の底部４ｇの外面にＶ字状
のＶ溝４ｈを形成したものでもよい。前記Ｖ溝４ｈの形
成は、底部４ｇの外面に限定されるものではなく、底部
４ｇの内面、あるいは底部４ｇの内面と外面の両方に形
成したものでもよい。即ち、前記安全弁部Ｚは、コーナ
部４ｍ近傍の底部４ｇの内面または／および外面に、コ
ーナ部４ｍに沿ってＶ溝４ｈを形成したものでもよい。
また、前記Ｖ溝４ｆはＶ字状に限定されるものでなく、
Ｕ字状、あるいは凹状でもよい。

【００３０】このようなＶ溝４ｈによって底部４ｇを局
部的に薄肉にすることができ、電池ケース１０の内圧が
所定値以上に上昇すると、Ｖ溝４ｈから確実にバラツキ
なく底部４ｇを破壊することができる。また、安全弁部
Ｚの凹部４ｆの形状を、図３に示すような円形のもので
説明したが、本発明は安全弁部Ｚの形状を円形に限定す
るものではなく、例えば、図８に示すような略矩形／ま
たは小判形状（図示せず）の凹部４ｆから成るものでも
よい。このような略矩形／または小判形状の凹部４ｆは
底部４ｇの面積を広く取ることができるので、電池ケー
スの内圧が低圧でも容易に安全弁部Ｚを破壊することが
できる。

【００３１】次に、本発明の電池の安全弁部Ｚの製造方
法を、図９、１０を用いて説明する。まず、蓋体４を図
示しない治具に取り付けて、エンドミル等の切削工具１
１で凹部４ｆを形成し、底部４ｇを薄肉形成する。この
とき凹部４ｆと底部４ｇとのコーナ部４ｍは、切削工具
１１の端部で直角に加工されるようになっている。即
ち、本発明の実施の形態の製造方法は、電池ケース１０
の内部を気密に遮蔽する蓋体の一部に切削加工で凹部４
ｆを形成し、前記切削加工で凹部４ｆの底部４ｇを薄肉
に形成して、本発明の電池の蓋体４に安全弁部Ｚを形成
したものである。

【００３２】また、本発明のその他の実施の形態で説明
した、底部４ｇにＶ溝４ｈを形成する製造方法は、前述
した切削加工の後に、図１０に示すように、蓋体４を下
型１２上に位置決めして載置する。前記下型１２には三
角形状の凸部１２ａが、コーナ部４ｍ近傍に所定の高さ
で突出形成されている。前記凹部４ｆにはプレス装置
（図示せず）等に取り付けられた上型１３が位置するよ
うになっている。そして、プレス装置を動作させて上型
１３で凹部４ｆの底部４ｇを下型１２に圧接してプレス
すると、下型１２の凸部１２ａが底部４ｇの外面に食い
込むようなコイニング加工が施されて、所定の深さのＶ
溝４ｈを形成することができる。

【００３３】即ち、本発明のその他の実施の形態の製造
方法は、切削加工で凹部４ｆを形成した後に、凹部４ｆ
を構成する内周壁と薄肉の底部４ｇとのコーナ部４ｍ近
傍の底部４ｇの内面または／および外面に、コーナ部４
ｍに沿ってプレス加工でＶ溝４ｈを形成したもである。

【００３４】また、本発明の変形例として、図１１に示
すように凹部１４ｆを蓋体１４の裏面に溝状に形成し、
この溝状の凹部１４ｆを、フライス、あるいは研磨砥石
等からなる切削工具３１で加工して、底部１４ｇを薄肉
に形成した物でもよい。

【００３５】

【発明の効果】本発明の電池は、電池ケースと、この電
池ケースの内部を気密に遮蔽する蓋体と、この蓋体の一
部に形成されて前記電池ケースの内圧が所定値以上に上
昇すると破壊する安全弁部とを備え、この安全弁部は前
記蓋体の一部に凹部を形成し、この凹部の底部を薄肉に
したので、電池ケースの内圧所定値以上に上昇しても、
電池ケースに破裂等の障害が発生する前に、前記上昇し
た内圧で薄肉に形成した底部を、確実で、且つ安全に破
断して、内部の高圧の気体を電池外部に放出することが
できる、安全な電池を提供できる。

【００３６】また、前記安全弁部は、前記凹部を構成す
る内周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記底部
の内面または／および外面に、前記コーナ部に沿ってＶ
溝を形成するようにしたので、更に確実に安全弁部を破
壊することができる。また、Ｖ溝の深さを調整すること
で、安全弁部の作動力を自由に変えることができ、電池
の種類に応じて最適な作動力を設定することができる。

【００３７】また、前記蓋体には、前記安全弁部と、こ
の安全弁部を破壊する圧力より低い前記電池ケースの内
圧で変位可能なダイアフラム部とを一体形成したので、
電池ケースの内圧が上昇して、ダイアフラム部の作動で
電池内部の電路を遮断しても、電池内部の何らかの異常
で、電池ケースの内圧が更に上昇する場合に、電池ケー
スに破裂等の障害が発生する前に、更に上昇した電池ケ
ースの内圧で、薄肉の底部を確実で、且つ安全に破断す
ることができる。

【００３８】また、電池ケースの内部を気密に遮蔽する
蓋体の一部に切削加工で凹部を形成し、前記切削加工で
前記凹部の底部を薄肉に形成したので、凹部の加工を短
時間に行うことができると共に、薄肉の底部の厚さを、
ロット内、あるいはロット間でバラツキなく形成するこ
とができる。

【００３９】また、前記切削加工の後に、前記凹部を構
成する内周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記
底部の内面または／および外面に、前記コーナ部に沿っ
てプレス加工でＶ溝を形成したので、プレス加工による
１回のパンチング動作で、底部のＶ溝の深さを調整する
ことができ、安全弁部の作動力を自由に変えることがで
き、電池の種類に応じて最適な作動力を設定することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる電池蓋の要部断面図である。

【図２】本発明に係わる電池蓋の分解斜視図である。

【図３】本発明に係わる蓋体の上面図と右側面図であ
る。

【図４】本発明に係わる蓋体の断面正面図である。

【図５】本発明に係わる下面図である。

【図６】本発明に係わる安全弁部の動作を説明する概略
図である。

【図７】本発明に係わるその他の実施の形態を説明する
概略図である。

【図８】本発明に係わる変形例を説明する蓋体の上面図
である。

【図９】本発明に係わる製造方法を説明する概略図であ
る。

【図１０】本発明に係わる製造方法を説明する概略図で
ある。

【図１１】本発明に係わる変形例を説明する蓋体の概略
図である。

【図１２】従来の電池に用いる蓋体の上面図である。

【図１３】従来の電池に用いる蓋体の断面正面図であ
る。

【符号の説明】

１電池蓋２端子部２ａ接続片部２ｂ平坦部２ｃ開口部３絶縁体３ａ円筒部３ｂ凹部３ｃ通気口３ｄ孔３ｅ開口４蓋体４ａ底板４ｂ突条部４ｃ孔部４ｄダイヤフラム部４ｅ突起４ｆ凹部４ｇ底部４ｈＶ溝４ｋ鍔部４ｍコーナ部４ｎ開口５保持体５ａ貫通孔５ｂ開口部５ｃ台座部５ｄ開口５ｅ切り欠き部５ｆ孔部６外部電極６ａ本体部６ｂ脚部６ｃ接続部７圧力遮断用エレメント７ａ幅狭部７ｂ遮断用電路８リベット８ａ円柱部８ｂ鍔部８ｃ環状突条部８ｄ接続部９ａリベット接続部９ｂリード９ｃリード９ｄ電極接続部９ｅ固定部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】電池ケースと、この電池ケースの内部を
気密に遮蔽する蓋体と、この蓋体の一部に形成されて前
記電池ケースの内圧が所定値以上に上昇すると破壊する
安全弁部とを備え、この安全弁部は前記蓋体の一部に凹
部を形成し、この凹部の底部を薄肉にしたことを特徴と
する電池。
【請求項２】前記安全弁部は、前記凹部を構成する内
周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記底部の内
面または／および外面に、前記コーナ部に沿ってＶ溝を
形成したことを特徴とする請求項１記載の電池。
【請求項３】前記蓋体には、前記安全弁部と、この安
全弁部を破壊する圧力より低い前記電池ケースの内圧で
変位可能なダイアフラム部とを一体形成したことを特徴
とする請求項１、または２記載の電池。
【請求項４】電池ケースの内部を気密に遮蔽する蓋体
の一部に切削加工で凹部を形成し、前記切削加工で前記
凹部の底部を薄肉に形成したことを特徴とする電池の製
造方法。
【請求項５】前記切削加工の後に、前記凹部を構成す
る内周壁と前記薄肉の底部とのコーナ部近傍の前記底部
の内面または／および外面に、前記コーナ部に沿ってプ
レス加工でＶ溝を形成したことを特徴とする請求項４記
載の電池の製造方法。