JP2000087997A - 前輪駆動装置の動力断接クラッチ - Google Patents

前輪駆動装置の動力断接クラッチ

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JP2000087997A
JP2000087997A JP10254459A JP25445998A JP2000087997A JP 2000087997 A JP2000087997 A JP 2000087997A JP 10254459 A JP10254459 A JP 10254459A JP 25445998 A JP25445998 A JP 25445998A JP 2000087997 A JP2000087997 A JP 2000087997A
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sleeve
engagement
transmission gear
wheel drive
front wheel
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JP10254459A
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English (en)
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Hidesuke Nemoto
秀介 根本
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Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kanzaki Kokyukoki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の噛み合いクラッチにおいては、接続時
に突起同士が当たると、一時的に動力伝達されず大きく
空転するので、前輪駆動の応答が悪い場合があった。 【解決手段】 駆動側の伝動ギア17の側面に設けた複
数の第一係合体17a・17a・・・と、従動側の軸上
に摺動可能に配置したスリーブ20の側面に設けた複数
の第二係合体25・25・・・との係脱により動力伝達
の断接を行う前輪駆動装置の動力断接クラッチにおい
て、前記複数の第二係合体25をスリーブ20に対し回
転軸線方向に沿って相対回転可能に設けてスリーブ20
内に配した付勢バネ24で第一係合体17a方向に突出
付勢するとともに、前記第二係合体25のうち少なくと
も一の第二係合体25は第一係合体17aと第一係合体
17aとの間に挿入されるように配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前輪駆動装置に配
置して動力を断接するクラッチにおいて、スムースで確
実に断接できる動力断接クラッチの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から前輪駆動装置には、エンジン動
力を前輪へ伝達したり、遮断したりするためにクラッチ
が配置されている。該クラッチには摩擦式や噛み合い式
や流体式等があるが、噛み合い式のクラッチの場合、爪
又はピン等の突起が噛み合うので動力の伝達が確実で小
型化ができるというメリットがあって、多く利用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の噛
み合い式のクラッチは、突起と突起が噛み合って初めて
駆動力を伝える構成であるために、駆動軸と従動軸を接
続する際には、場合によっては突起と突起が当接して、
互いに間に入り噛み合うまでの間空転することとなる。
そして、その空転する角度は爪の幅が大きいと90°近
くの値になることもある。従って、クラッチを接続して
から実際に従動軸に駆動力が伝達されるまで時間を要す
る場合があり、切換え操作に対する応答がスムーズでな
く、操作性が良くなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。請求項1においては、駆動側の伝
動ギアの側面に設けた複数の第一係合体と、従動側の軸
上に摺動可能に配置したスリーブの側面に設けた複数の
第二係合体との係脱により動力伝達の断接を行う前輪駆
動装置の動力断接クラッチにおいて、前記複数の第二係
合体をスリーブに対し回転軸線方向に沿って相対摺動可
能に設けてスリーブ内に配した付勢バネで第一係合体方
向に突出付勢するとともに、前記第二係合体のうち少な
くとも一の第二係合体は第一係合体と第一係合体との間
に挿入されるように配置したものである。
【0005】請求項2においては、前記スリーブを設置
する軸と該スリーブとの間にデテント機構を設けたもの
である。
【0006】請求項3においては、前記第一係合体は直
径方向に二組設け、かつ、一の第一係合体と該第一係合
体の近い側の第一係合体とがなす角を90°未満とした
ものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明のクラッチを説明す
る。図1は本発明のクラッチを装備した四輪駆動トラク
タの全体的な構成を示した側面図である。
【0008】まず、図1に図示のトラクタの全体の概略
構成を説明する。即ち、このトラクタは、エンジンフレ
ーム1上にエンジン1aやバッテリー等を搭載し、これ
らをボンネット2にて覆い、ボンネット2後端にはダッ
シュボード3を配設して、ダッシュボード3より上方に
ハンドル4を配置している。エンジン1aの後方にはク
ラッチハウジング5、ミッションケース6を連結してお
り、該ミッションケース6には後輪差動機構が内装さ
れ、左右両側にリアアクスル7を延設して、その左右各
外端に後輪8・8を取り付けている。リアアクスル7上
には制動装置が備えられ、運転部のステップ上に配した
ブレーキペダルをオペレータが踏み込み操作すること
で、後輪8・8に制動力を付与するべく構成している。
【0009】クラッチハウジング5からミッションケー
ス6にかけて、その内部に、エンジン1aの出力軸と後
輪差動機構とを連結するための主変速装置及び副変速装
置が直列接続して内装されており、クラッチハウジング
5の下端には前輪動力取出ケース9を付設して、後輪8
への動力伝達経路途中から分岐して前輪駆動用としての
後輪8と同期した回転動力を取り出す前輪駆動装置を構
成している。前輪動力取出ケース9より前方に出力軸1
8を突出し、その前端はユニバーサルジョイント、伝動
軸10を介して、エンジンフレーム1の下部に配設した
フロントアクスルケース11内の前輪差動機構に連結さ
れる。そのフロントアクスルケース11の左右各外方に
フロントアクスル11a・11aを突設し、その各外端
に前記ハンドル4にて操舵自在な前輪12・12を配設
している。
【0010】以上構成の四輪駆動トラクタにおいて、前
輪駆動装置の実施例を図2から図4までを参照して説明
する。図2はトラクタの前輪動力取出ケース9内部の構
成を示した側面断面図、図3は図2におけるQ−Q断面
矢視図である。図4は前輪動力取出ケース9内のクラッ
チ部分の分解斜視図である。
【0011】即ち、前記クラッチハウジング5内におい
て、後輪駆動用の伝動軸(後輪差動機構に接続する図示
しない変速軸)上に前輪動力取出ギア14が配設されて
おり、前輪動力取出ギア14は、前輪動力取出ケース9
内の上部に横設したカウンタ軸15上に回転自在に外嵌
される二連のカウンタギア16の大径ギア16aに噛合
している。前輪動力取出ケース9には出力軸18が機体
前後方向に軸支され、その前端は前輪動力取出ケース9
より前方に突出して、前記ユニバーサルジョイント、伝
動軸10を介して前輪12に連結される。前記出力軸1
8には伝動ギア17が回転自在に遊嵌されており、前記
二連のカウンタギア16の小径ギア16bと噛合してい
る。
【0012】前記伝動ギア17の前面中央には環状凸部
17bを形成しており、該環状凸部17bの外周面には
突起(第一係合体)17a・17a・・・を円周方向に
四つ形成している。また、該伝動ギア17の前方におい
ては出力軸18外周面にスプラインを設けており、該ス
プラインに嵌合するスプライン溝を内周面に設けた筒状
のスリーブ20を、軸方向に摺動自在かつ相対回転不能
に該出力軸18に外嵌している。
【0013】前記スリーブ20は、内側スリーブ20a
に外側スリーブ20bを外嵌して、相対摺動不能及び相
対回転不能に取り付けた構成としている。即ち、該内側
スリーブ20aは内周面にスプライン溝、外周面にスプ
ラインを設けたパイプ状に構成しており、その後端にフ
ランジ部20fを形成している。外側スリーブ20bは
前半部分の内周面にスプライン溝を設け、外周面には環
状溝20dを形成している。外側スリーブ20bの後半
部分の内周面には円周方向で等間隔に四つの円柱状の凹
部20c・20c・・・を設けている。また、上記内側
スリーブ20a後部のフランジ部20f後面には、該凹
部20cの位置に合わせて四つのピン孔20h・20h
・・・を開口している。
【0014】上記凹部20c・20c・・・のそれぞれ
には前記ピン孔20hに対し回転軸線方向に沿って摺動
可能に構成したピン(第二係合体)25が付勢バネ24
とともに収められ、該凹部20cの位置と上記ピン孔2
0hの位置を一致させて内側スリーブ20aに外側スリ
ーブ20bを外嵌固設して、凹部20c内のピン25が
付勢バネ24により後方に押し出され、フランジ部20
fのピン孔20hからピン25の頭頂部が突出するよう
付勢される構成としている。但し、ピン25の前端には
抜け出し防止用の鍔部が形成されている。
【0015】外側スリーブ20bの外周に設けた環状溝
20dには、図3に示すようにシフター21の端部に設
けた突起21aを係合しており、該シフター21の基部
は前輪動力取出ケース9の側壁部に回転自在に支持した
操作軸26のケース内端部に固設され、操作軸26のケ
ース外端部上にはシフトアーム22の一端が固設されて
いる。該シフトアーム22の他端は、トラクタの操作部
に設けられたペダルやレバー等の前輪駆動切換手段とワ
イヤー等を介して連結している。上記構成とすることに
より、スリーブ20は前記シフター21の回動により出
力軸18上を前後に摺動され、これにより原動側の伝動
ギア17に対して従動側の出力軸18の断接操作が行わ
れる。
【0016】図2に示すのは、前記前輪駆動切換手段が
「四輪駆動」側に操作されることにより、前記シフター
21が回動して前記スリーブ20が後方に摺動された状
態である(以下、スリーブ20が該位置にある状態を
「四輪駆動モード」という)。図2に図示したピン25
の状態は、その頭頂部を突起17aと突起17aの間に
挿入した状態である。
【0017】上記のように伝動ギア17の回転中にピン
25が突起17aと突起17aの間に挿入されると、ピ
ン25が突起17aの側面に当接して噛み合い、伝動ギ
ア17の回転がスリーブ20を介して出力軸18に伝え
られ、前輪12・12が駆動されて四輪駆動走行が実現
される。そして、前記クラッチを接続した状態から前輪
駆動切換手段を「二輪駆動」側に操作すると、シフター
21の回動によりスリーブ20が前方に摺動され(以
下、スリーブ20が該位置に来る状態を「二輪駆動モー
ド」という)、上記ピン25と突起17aとの噛み合い
が解除され、出力軸18への回転駆動の伝達が切断され
て、後輪8・8のみの二輪駆動走行となる。
【0018】そして、前記スリーブ20が位置する出力
軸18には直径方向に貫通孔を穿設し、該貫通孔内部に
はデテントバネ23a及びデテント球23b・23bが
内嵌され、スリーブ20の内面には環状の溝が上記各モ
ード位置に合わせて設けられてデテント機構が構成さ
れ、これによりスリーブ20は上記四輪駆動モード及び
二輪駆動モードの切換え時にその位置で保持され、正確
な切換えができるようにしている。
【0019】次に、伝動ギア17に設けた突起17aの
配置構成を説明する。尚、以下においては、それぞれの
突起17aの位置関係を説明する便宜上、四つの突起1
7aに各別にそれぞれX,Y,Z,Wの符号を付して説
明することとする。即ち、図5に示すように、伝動ギア
17の前面には、その回転中心を挟んで一対の突起X・
Zを一直線状に配置し、同様にもう一対の突起Y・Wも
伝動ギア17の回転中心を挟んで一直線状に配置され
る。そして、一の突起と該突起に近い側の隣の突起とが
なす角、即ち、XとY(及びZとW)とがなす角Pは、
90°より小さい鋭角としている。
【0020】次に図5から図8までを参照して、クラッ
チを接とするために、スリーブ20が後方に摺動されて
四輪駆動モードに移行してからピン25と突起17aが
当接されるまでに必要な伝動ギア17の回転角(即ち、
伝動ギア17が空転することとなる角度)について説明
する。図5は、伝動ギア17の突起17aとスリーブ2
0のピン25との位置関係の一例を示した正面図、図6
は図5の状態から突起17aとピン25とが噛み合った
状態を示した正面図、図7は伝動ギア17の突起17a
とスリーブ20のピン25との位置関係の他の例を示し
た正面図、図8は図7の状態から突起17aとピン25
とが噛み合った状態を示した正面図である。また、図9
は本発明において伝動ギア17とスリーブ20の相対角
度と、伝動ギア17の空転角との関係を示した図であ
る。
【0021】上記の回転角は、スリーブ20が後方に摺
動された瞬間の伝動ギア17とスリーブ20の回転位相
の相対関係によって異なるので、場合分けをしながら説
明する。まず、伝動ギア17とスリーブ20の位置関係
が図5に示す如き状態である瞬間に、クラッチが接続操
作されてスリーブ20が後方に摺動された場合を考え
る。尚、図5から図8までの各図面においては、ピン2
5の位置を図示することによりスリーブ20の位置の図
示に代えている。上記場合においては、四つあるピン2
5のうち二つのピン25・25は突起Yと突起Zとの間
及び突起Xと突起Wの間に挿入される。一方他の二つの
ピン25・25は突起X及び突起Zの前面に当接してい
る。
【0022】この状態では突起17aはいずれのピン2
5とも噛み合っておらず、よって伝動ギア17の回転は
スリーブ20に伝達されないが、図の白抜きの矢印で示
す方向に伝動ギア17が一定角度だけ回転(空転)する
ことにより、四つの突起X・Y・Z・Wの位置が回転移
動して、うち二つの突起Y・Wの側面がピン25に当接
することとなる。この当接した瞬間の状態を図6に示
す。図6の状態となって初めて二つの突起Y・Zそれぞ
れが太線矢印の方向にピン25・25を押圧して、駆動
力が伝達されてスリーブ20が回転される結果、出力軸
18に回転が伝達されることとなる。尚、図6の細い想
像線は、スリーブが後方に摺動された瞬間の伝動ギアの
位置(即ち、図5の状態の位置)を示している。従っ
て、スリーブ20が後方に摺動された瞬間の位置(細い
想像線)から出力軸が駆動される瞬間の位置(実線)ま
でに伝動ギア17が回転する角度(以下「空転角」と定
義する。)は、図6に示す角度Aで表される。
【0023】次に、伝動ギア17とスリーブ20の位置
関係が図7に示す如き状態である瞬間に、スリーブ20
が後方に摺動された場合を考える。この図7に示す状態
は、二つのピン25・25の頭頂部が当接している突起
が、突起Yと突起Wである点が、図5の場合と異なる。
【0024】上記状態から伝動ギア17が回転して、突
起X・Zがピン25・25に当接した瞬間の状態を図8
に示す。尚、図8の細い想像線は、スリーブが後方に摺
動された瞬間の伝動ギアの位置(即ち、図7の伝動ギア
の位置)を示している。
【0025】従って、図7の場合の伝動ギアの空転角
は、図8に示す角度Bで表される。図から明らかな通
り、この角度Bは図5の状態の空転角(図6に示した
A)よりは大きい角となる(B>A)。
【0026】尚、スリーブ20が後方に摺動された瞬間
の伝動ギア17とスリーブ20の回転位相の相対関係
は、図5及び図7に示される場合に限られない。例え
ば、スリーブ20が後方に摺動された瞬間が図6又は図
8の状態である場合もあり得る。尚、この場合はいずれ
も伝動ギア17はまったく空転せず(空転角=0)、即
座に出力軸18に駆動力が伝達されることとなる。
【0027】また、伝動ギア17とスリーブ20の相対
関係が上記に示すいずれの関係とも異なる場合も考えら
れる。この場合の空転角の大きさは、突起X・Z(又は
突起Y・W)と、該突起から伝動ギア回転方向側にある
ピン25との距離に比例することとなる。このことは、
クラッチを接続すべく前輪駆動切換手段を四輪駆動側に
操作した瞬間から実際にクラッチが噛み合って従動軸側
(即ち出力軸18)に駆動力が伝達されるまでの時間
は、時と場合によって異なり、一定とならないことを意
味している。
【0028】上記を踏まえて空転角が最大となる状態に
ついて考えると、該空転角は図7に示す状態のときに最
大値を示し、該最大値は図8に示した角Bである。この
理由は、以下に示す通りである。即ち、図5に示す状態
から更に上記空転角を大きくすべく伝動ギア17を白抜
き矢印と逆方向に回転させてゆく(即ち、伝動ギア17
とスリーブ20の相対角を大きくする方向に回転させて
ゆく)と、わずか回転させた後にすぐに図8に示す関係
となり、空転角が0の状態に戻ることとなる。また、同
様に図7に示す状態から更に伝動ギア17が白抜き矢印
と逆方向に回転すると、すぐに図6に示す関係となり、
空転角が0の状態に戻ることとなる。
【0029】このことより、クラッチを接続操作した瞬
間の伝動ギアとスリーブの相対角度と、空転角との関係
は、図9に示すグラフの通りとなる。尚、伝動ギアとス
リーブの相対角度は、突起X・Yがピンに当接した状態
(図6に示した状態)を0°にとっている。そして、図
9のグラフで示した符号f5,f6,f7,f8は、該
グラフにおいてそれぞれ図5、図6、図7、図8に示す
状態に対応した点を図示したものである。このグラフは
相対角度90°ごとに周期的な波形を繰り返すグラフと
なっているが、これから明らかなとおり、空転角は図5
又は図7に示した状態のときに極大値A又はBをとり、
また該二つの極大値の関係は前述のようにB>Aであ
る。よって、空転角が取り得る最大値はBとなる。
【0030】上記により、前輪駆動切換手段を四輪駆動
側へ操作した瞬間の伝動ギア17及びスリーブ20の相
対角度がどのような場合であっても、空転角が図7に示
す角度Bより大きくなることはないのである。
【0031】参考に、比較例として、伝動ギア17の突
起17aを図10に示すように90°の等間隔で形成し
た場合に、該伝動ギア17’の空転角の取り得る範囲に
ついて説明する。図11は図10の状態から伝動ギア1
7’が回転して、突起17aとピン25とが噛み合った
状態を示した正面図である。また、図12は図10の比
較例において、伝動ギア17’とスリーブ20の相対角
度と、伝動ギア17’の空転角との関係を示した図であ
る。
【0032】即ち、図10に示す17' が比較例に示す
伝動ギアであり、四つの突起17aを90°の等間隔で
配置している。そしてこの場合の空転角が最大となるの
は図10のように四本のピンがすべて突起17a前面に
当接した状態であり、従って図11に示す角度Cが空転
角の最大値となる。尚、この場合の伝動ギア17’とス
リーブ25の相対角度と空転角の関係は、図12のグラ
フに示す如くとなる。該グラフにおいて符号f10,f
11を付した点は、それぞれ図10、図11で示す状態
に対応した点を表している。図11から明らかな通り、
この角度Cは90°より小さいがそれに近い値であり
(厳密にはピン25の径及び突起17aの幅により定ま
る)、従って前記した本発明の伝動ギアの最大空転角B
より大きい(B<C)。そして、図9と図12の比較か
ら明らかなとおり、本発明の突起の配置によれば空転角
の上限を低く抑えることができ、よって四輪駆動への切
替操作の際の原動軸(即ち伝動ギア17)の空転が低減
されて、応答性のよい切換え操作が可能となる。
【0033】尚、上記伝動ギア17' における突起の配
置においては、図10に示す如く四本のピン25がすべ
て突起17a前面に当接した状態があり得るが、本発明
の伝動ギア17においては、突起17aの配置が前記ス
リーブ20の複数のピン25の配置と一部異なるよう構
成しているため、四本のピン25・25・・・がすべて
突起17a前面に当接する状態は起こり得ず、いかなる
場合であっても最低一対のピン25が突起17aと突起
17aとの間に挿入されることとなるのである。
【0034】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏するのである。即ち、請求項
1に示す如く、駆動側の伝動ギアの側面に設けた複数の
第一係合体と、従動側の軸上に摺動可能に配置したスリ
ーブの側面に設けた複数の第二係合体との係脱により動
力伝達の断接を行う前輪駆動装置の動力断接クラッチに
おいて、前記複数の第二係合体をスリーブに対し回転軸
線方向に沿って相対摺動可能に設けてスリーブ内に配し
た付勢バネで第一係合体方向に突出付勢するとともに、
前記第二係合体のうち少なくとも一の第二係合体は第一
係合体と第一係合体との間に挿入されるように配置した
ので、クラッチの断接の切換えの瞬間にあっても常に伝
動ギアの突起間に即座に一以上のピンが挿入され、よっ
て少なくとも一以上のピンは確実に突起の側面と当接す
るので、ピンを介してスムーズかつ確実に従動軸側へ動
力を伝達でき、駆動軸側の空転を防止することができ
る。
【0035】請求項2に示す如く、前記スリーブを設置
する軸と該スリーブとの間にデテント機構を設けたの
で、上記効果に加えてさらに確実にスリーブが所定の位
置に保持されることとなり、クラッチの断接の確実性が
向上する。
【0036】請求項3に示す如く、前記第一係合体は直
径方向に二組設け、かつ、一の第一係合体と該第一係合
体の近い側の第一係合体とがなす角を90°未満とした
ので、クラッチ接続時に、空転しないときと、空転する
ときとの空転の程度のバラツキが抑えられる。従って、
クラッチ切り換え時の操作のフィーリングが異なる等と
いうことが防止され、操作に対する応答バラツキの減少
によりオペレータは信頼感をもって切換操作をすること
ができ、よって操作性の高い前輪駆動装置を提供でき
る。また、伝動ギアの突起の配置を一部変更するだけで
上記効果を達成することができるので、わずかな設計変
更を加えるのみで、従来とほとんど変わらないコストで
クラッチを提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッチを装備した四輪駆動トラクタ
の全体的な構成を示した側面図。
【図2】トラクタの前輪動力取出ケース内部の構成を示
した側面断面図。
【図3】図2におけるQ−Q断面矢視図。
【図4】前輪動力取出ケース内のクラッチ部分の分解斜
視図。
【図5】伝動ギアの突起とスリーブのピンとの位置関係
の一例を示した正面図。
【図6】図5の状態から、突起とピンとが噛み合った状
態を示した正面図。
【図7】伝動ギアの突起とスリーブのピンとの位置関係
の他の例を示した正面図。
【図8】図7の状態から突起とピンとが噛み合った状態
を示した正面図。
【図9】本発明において伝動ギアとスリーブの相対角度
と、伝動ギアの空転角との関係を示した図。
【図10】比較例として示す伝動ギアにおいて、伝動ギ
アの突起とスリーブのピンとの位置関係の一例を示した
正面図。
【図11】図10の状態から伝動ギアが回転して、突起
とピンとが噛み合った状態を示した正面図。
【図12】比較例において、伝動ギアとスリーブの相対
角度と、伝動ギアの空転角との関係を示した図。
【符号の説明】
9 前輪動力取出ケース 10 伝動軸 12 前輪 14 前輪動力取出ギア 17 伝動ギア 17a(X,Y,Z,W) 突起(第一係合体) 18 出力軸 20 スリーブ 23a デテントバネ 23b デテントボール 25 ピン(第二係合体)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動側の伝動ギアの側面に設けた複数の
    第一係合体と、従動側の軸上に摺動可能に配置したスリ
    ーブの側面に設けた複数の第二係合体との係脱により動
    力伝達の断接を行う前輪駆動装置の動力断接クラッチに
    おいて、前記複数の第二係合体をスリーブに対し回転軸
    線方向に沿って相対摺動可能に設けてスリーブ内に配し
    た付勢バネで第一係合体方向に突出付勢するとともに、
    前記第二係合体のうち少なくとも一の第二係合体は第一
    係合体と第一係合体との間に挿入されるように配置した
    ことを特徴とする前輪駆動装置の動力断接クラッチ。
  2. 【請求項2】 前記スリーブを設置する軸と該スリーブ
    との間にデテント機構を設けたことを特徴とする請求項
    1記載の前輪駆動装置の動力断接クラッチ。
  3. 【請求項3】 前記第一係合体は直径方向に二組設け、
    かつ、一の第一係合体と該第一係合体の近い側の第一係
    合体とがなす角を90°未満としたことを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の前輪駆動装置の動力断接クラ
    ッチ。
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