JP2000087721A - エンジンのブリーザ装置 - Google Patents

エンジンのブリーザ装置

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JP2000087721A
JP2000087721A JP10253507A JP25350798A JP2000087721A JP 2000087721 A JP2000087721 A JP 2000087721A JP 10253507 A JP10253507 A JP 10253507A JP 25350798 A JP25350798 A JP 25350798A JP 2000087721 A JP2000087721 A JP 2000087721A
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  • Lubrication Details And Ventilation Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Separating Particles In Gases By Inertia (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ブローバイガスを、キャップに画成したガス通
路を周方向に蛇行流動させることにより、オイル分の分
離作用が有効的に行われる範囲を拡張する。また、構成
を簡素化して製作面からも有利なエンジンのブリーザ装
置を提供する。 【解決手段】シリンダヘッド6の側面に取着するキャッ
プ11の内部空間に、キャップ面から円弧状隔壁14を
突設し、キャップの内部空間を覆って覆板15を取着
し、周方向に蛇行するガス通路17を画成し、ブリーザ
室13を形成する。覆板上部にガス導入口18を設け、
下部にオイル戻し孔20を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのブリー
ザ装置に関するものであり、更に詳しくは、クランク室
内に生じるブローバイガスをクランク室内から排出する
過程でブローバイガス中に含まれるエンジンオイル分を
分離するエンジンのブリーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】4ストロークエンジンにあっては、燃焼
室内のガスがピストンの摺動面を通してクランク室へ吹
き抜ける現象、すなわち、ブローバイガスを生じること
がある。このブローバイガスが生じるとクランク室内の
圧力が上昇するので、このブローバイガスをクランク室
から排出するブリーザ装置を設備することが一般的に行
われている。この場合のブローバイガスには、オイルパ
ンから掻き上げられたエンジンオイルや、各摺動部に強
制的に吹き付けられて摺動部を潤滑したあとのエンジン
オイルがミスト状(油滴に近い)になって混在するの
で、クランク室に連通して蛇行通路構成のブリーザ室を
設け、このブリーザ室にブローバイガスを導入してガス
中に含まれるオイル分を分離し、この分離されたオイル
分(ブリーザドレン)をクランクケースのオイルパンに
戻し、ブリーザ室からはガス分だけをエアクリーナに導
いてエンジン吸気とともに再循環させる手法を採用して
いる。
【0003】また、自動二輪車用エンジンのように、ク
ランクケース上にシリンダを結合し、シリンダヘッドに
形成した空間(カムシャフト設置空間)とクランク室が
チェーントンネルを介して互いに連通する構成のエンジ
ンでは、例えば、特開昭61−138811号公報に記
載のように、シリンダヘッドの一方の側面にカムシャフ
ト設置空間を開口させ、この開口部に、カムシャフト設
置空間を密閉するキャップを取着し、このキャップを中
空体状に形成してその内部空間にブリーザ室を形成した
ものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記する公報に記載の
ものは、シリンダヘッドのカムシャフト設置空間を密閉
するキャップの内部空間をブリーザ室に形成するのに、
キャップの内部空間に、その内壁及び外壁から互い違い
にリブを突出させて対向する内壁及び外壁間でブローバ
イガスを蛇行流動させるガス通路を画成し、ブリーザ室
に対するガス導入口を内壁中央部に設けた構成になって
いる。
【0005】このように、ガス導入口をキャップの内壁
中央部、つまり、ブリーザ室の中央部に設定してある場
合は、ブリーザ室に導入されたブローバイガスからのオ
イル分の有効的な分離作用は、主に、ブリーザ室の上半
部で行われる。また、ブリーザ室構成としては、キャッ
プの内壁及び外壁から互い違いにリブを突出させる構成
のため、製作面からは、リブを有する外壁(キャップ)
と、これに組み合わせるリブを有する内壁は、ともにダ
イカスト製のものになる。
【0006】そこで、本発明の課題は、ダイカスト製の
キャップと板材からなる覆板とを組み合わせ、キャップ
の内部空間に、周方向にブローバイガスを蛇行流動させ
るガス通路を画成したことにより、オイル分の分離作用
が有効的に行われる範囲を拡張し、構成を簡素化して製
作面からも有利なエンジンのブリーザ装置を提供するこ
とを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1記載の発明は、シリンダヘッ
ドの側面に取着され、カムシャフト設置空間を密閉する
キャップの内部空間に、キャップ面から円弧状隔壁を突
設し、また、キャップの内部空間を覆って覆板を取着
し、周方向に蛇行するガス通路を画成し、ブリーザ室を
形成したことを特徴とする。
【0008】さらに、キャップをダイカスト製とし、キ
ャップ上部にブリーザ室に連通するガス導出口を設け、
ブリーザ室でオイル分が分離された後のガス分をこのガ
ス導出口からブリーザチューブ等を介してエアクリーナ
に送出するようにした構成であって、本発明において
は、キャップの内部空間に、円弧状隔壁の他に覆板を取
着するための固定ねじ取着座等を一体に形成する。ま
た、ブリーザ室にブローバイガスを導入するガス導入口
と、ブリーザ室からオイル分を排出するオイル戻し孔
は、キャップに設けることも可能であるが、本発明にお
いては、これらをキャップの内部空間を覆ってキャップ
に取着される覆板に設ける。ここで、請求項2記載の発
明のように、円弧状隔壁として、キャップの内部空間に
同心に配した中間部隔壁と中央部隔壁を有し、覆板に両
隔壁先端を気密的に当接させてガス通路を画成した構成
とするのが好ましい。
【0009】このように構成すると、ブローバイガスが
ガス通路を短絡的に流動することがなくなり、効率よく
オイル分の分離が行われる。
【0010】また、請求項3記載の発明のように、中間
部隔壁とブリーザ室周壁との間でガス通路を入口側ガス
通路と出口側ガス通路に仕切り、入口側ガス通路の上部
に連通して覆板にガス導入口を設け、出口側ガス通路の
上部に連通してキャップにガス導出口を設け、ブリーザ
室下部に位置して覆板にオイル戻し孔を設けた構成を採
用すると、覆板上部のガス導入口からブリーザ室の入口
側ガス通路に導入されたブローバイガスは、入口側ガス
通路から出口側ガス通路に向けてほぼブリーザ室の全域
に亘って周方向へ蛇行流動してこの間に効果的にオイル
分が分離される。また、製作面からは、キャップの構成
が簡素化されてその加工工数を少なくでき、覆板は、打
ち抜き加工により簡単に製作できる。
【0011】また、前記中間部隔壁と中央部隔壁は、請
求項4記載の発明のように、中間部隔壁をほぼ半円形円
弧状にし、中央部隔壁を切欠円筒状にし、中間部隔壁を
キャップの内部空間の斜め上方に位置させ、その下半部
をブリーザ室周壁と中央部隔壁との間に入り込ませ、該
中間部隔壁の下側端を、斜め下方に開口させた中央部隔
壁の開口部に臨ませた構成とするのが好ましい。
【0012】このように構成すると、ガス導入口からブ
リーザ室に導入されたブローバイガスは、中間部隔壁の
背面側でキャップの内部空間周壁との間で仕切られた入
口側ガス通路を下向き周方向に流動して比重の重いオイ
ル分の多くは、ここで分離されてそのままオイル戻し孔
向けに流下し、ブリーザ室における滞留時間を短くして
オイル戻し孔から効率よく排出される。
【0013】また、入口側ガス通路を流動するブローバ
イガスは、中間部隔壁の下側端部に達して向きを変えて
蛇行流動が始まり、中央部隔壁内の空間に流入する。こ
こでは丁度、円筒形空間にガスを吹き込んだようにな
り、圧力が高められ高速の渦巻き流を生じ、サイクロン
作用、つまり、遠心力によりオイル分が分離される。こ
の後、中央部隔壁内から出てきたガスは、中央部隔壁の
背面側で中間部隔壁との間のガス通路を進み、中間部隔
壁の上側端部で大きく逆周方向へ回流して出口側ガス通
路に入り込む間に、下向き流と上向き流が錯綜する複雑
な蛇行流を生じてここでもオイル分は効率よく分離され
る。
【0014】また、覆板としては、請求項5記載の発明
のように、覆板中央部に外向きに膨出する球面部を形成
し、該球面部に中央部隔壁先端を当接させ、また、球面
部と球面部回りの平板部との境界部を中間部隔壁先端に
当接させた構成とするのが好ましい。
【0015】このように構成すると、覆板の剛性が高ま
り、キャップに覆板を取着して覆板の歪みを生じること
がない。また、覆板の球面部は中央部隔壁の上端外周部
に対し、傾斜して縮径方向に加圧的に当接して気密性を
向上し、また、中間部隔壁の上端に対しては、覆板の球
面部回りの平板部との境界部が平面性を保持して当接し
て気密性を向上し、これら隔壁と覆板により画成された
ガス通路における短絡的なガス流動をなくし、オイル分
の分離作用が効率的に行われる。
【0016】こうして、ブリーザ室で分離されてブリー
ザ室を構成する各面に付着したオイル分は、自然流下し
てオイル戻し孔から排出されるが、ここで、請求項6記
載の発明のように、中央部隔壁及び中間部隔壁より下方
に位置してオイル戻し孔を取り巻き状にキャップ面にオ
イル戻し部隔壁を設け、該オイル戻し部隔壁先端と覆板
との間にオイル戻し隙間を形成した構成とするのが好ま
しい。
【0017】この場合のオイル戻し部隔壁は、中央部を
中央部隔壁の方に膨出させた円弧状隔壁に形成し、隔壁
先端に浅く切り込み状に複数の凹部を設けてこの凹部で
覆板間にオイル戻し隙間を形成するのがよい。このよう
に構成すると、ガス導入口からブリーザ室に導入された
ブローバイガスが入口側ガス通路を下向きに流動する際
に、このオイル戻し部隔壁に衝接して向きを変えて蛇行
流動を開始するので、オイル戻し部隔壁はブリーザ室で
ブローバイガスを蛇行させる隔壁と機能するとともに、
オイル戻し孔を取り囲むオイル分流入空間を画成し、こ
の空間へのブリーザ室からのガス分の流入を軽減し、ブ
リーザ室の各面を自然流下してくるオイル分を効率よく
排出するのに有効なものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0019】図1は本発明を適用したエンジンの概略要
部の断面図、図2は本発明の実施の形態を示すキャップ
の縦断面図、図3は本発明の実施の形態を示すキャップ
本体部の正面図、図4は本発明の実施の形態を示す覆板
の正面図である。
【0020】先ず、図1を参照すると、本発明を適用し
たエンジンが示されており、同エンジンは、クランクケ
ース1上にシリンダ2が結合され、このシリンダ2内に
摺嵌したピストン3をコンロッド4を介してクランクケ
ース1のクランク室1aに軸支したクランクシャフト5
と連結している。なお、図中1bはクランクケース1の
底部に形成したオイルパンである。
【0021】シリンダ2に結合したシリンダヘッド6に
は、カムシャフト設置空間7を形成し、この空間7にカ
ムシャフト8を軸支し、このカムシャフト8をチェーン
スプロケット伝導機構9を介してクランクシャフトと連
結している。このチェーンスプロケット伝導機構9を構
成するチェーン9aは、シリンダ2及びシリンダヘッド
6内に形成されたチェーントンネル10に通されてい
る。また、このチェーントンネル10によって前記カム
シャフト設置空間7とクランク室は連通されている。
【0022】シリンダヘッド6には、吸気弁及び排気弁
(図示せず)が装着され、これらの弁はカムシャフト8
に形成したカム8aにより所定のタイミングで開閉され
る。そこで、シリンダヘッド6の一方の側面にカムシャ
フト設置空間7の開口部7aを設け、この開口部7aに
キャップ11を取着して密閉し、キャップ11を取り外
すことによってカムシャフト8を含めカムシャフト設置
空間7内の保守点検を行い得るようにしている。なお、
図中12はシリンダヘッド6に取り付けた点火プラグで
ある。
【0023】本発明のブリーザ装置のブリーザ室13
は、前記シリンダヘッド6の側面に取着するキャップ1
1に形成される。
【0024】図2,3において、キャップ11はダイカ
スト製のもので、キャップ面に円弧状隔壁14を突設す
る他に、覆板15を取着するための固定ねじ取着座16
等を一体に設けてキャップ11の内部空間を形成してい
る。
【0025】円弧状隔壁14は、図3に示すように、キ
ャップ11の内部空間に同心に配したほぼ半円形円弧状
をなす中間部隔壁14aと、切欠円筒状をなす中央部隔
壁14bを有し、中間部隔壁14aは、キャップ11の
内部空間斜め上方に位置し、その下半部をキャップ11
の内部空間周壁、すなわち、ブリーザ室周壁13aと中
央部隔壁14bとの間に入り込ませ、この中間部隔壁1
4aの下側端を、斜め下方に開口させた中央部隔壁14
bの切欠開口部14cに臨ませている。
【0026】ブリーザ室13は、図2に示すように、キ
ャップ11の内部空間を覆って覆板15を取着して形成
されるもので、覆板15は円弧状隔壁14の上端、すな
わち、中間部隔壁14aと中央部隔壁14bの上端が気
密的に当接し、図3に示すように、周方向に蛇行するガ
ス通路17を画成する。ここで、覆板15には、図2に
示すように、覆板中央部に外向きに膨出する球面部15
aを形成し、この球面部15aが僅かに傾斜して中央部
隔壁14bの上端外周を加圧的に当接するようにし、ま
た、球面部15aと球面部15a回りの平板部15bと
の境界部15cが平面性を保持して中間部隔壁14aの
上端に当接するようにしている。
【0027】キャップ11に覆板15を取着する3つの
固定ねじ取着座16a,16b,16cが、図3に示す
ように、ブリーザ室周壁13a沿いに適宜の間隔を採っ
て設けられている。その内の一つの固定ねじ取着座16
aは中間部隔壁14aの中間部で、中間部隔壁14aと
ブリーザ室周壁13aとの間に設けて中間部隔壁14a
の背面側でガス通路17を入口側ガス通路17aと出口
側ガス通路17bに仕切り、この固定ねじ取着座16a
を挟むようにして入口側ガス通路17aに対して覆板1
5にガス導入口18(図4参照)を設け、出口側ガス通
路17bに対してはブリーザ室周壁13aを貫通してガ
ス導出口19を設けている。もう一つの固定ねじ取着座
16bは、ブリーザ室13の最下部付近に設けられ、こ
の固定ねじ取着座16bに近接して覆板15にオイル戻
し孔20(図4参照)を設けている。残るもう一つの固
定ねじ取着座16cは、中央部隔壁14bの背面側で中
間部隔壁14aの上側端の前方に位置してガス通路17
の中に設けられている。覆板15はこれらの固定ねじ取
着座16a,16b,16cに固定ねじ21(図2,4
参照)を用いて強固に取着される。
【0028】また、キャップ11の内部空間にあってキ
ャップ面には、図3に示すように、前記中間部隔壁14
a及び中央部隔壁14bより下方に位置し、オイル戻し
孔20(図4参照)を取り巻き状にキャップ面にオイル
戻し部隔壁22を突設している。このオイル戻し部隔壁
22は、その中央部を中央部隔壁14bの方に膨出させ
た円弧状隔壁に形成し、隔壁先端に浅く切り込んだ複数
の凹部を設けてこの凹部で覆板15との間にオイル戻し
隙間23を形成している。
【0029】上記構成において、図1におけるクランク
室1aからのブローバイガスがチェーントンネル10を
経てガス導入口18からブリーザ室13の入口側ガス通
路17aに導入されると、ブローバイガスは、図3に実
線で矢示するように入口側ガス通路17aを下向き周方
向に流動して中間部隔壁14aの下側端部に達し、オイ
ル戻し部隔壁22に衝接して向きを変え蛇行流動を開始
する。この間に分離されたオイル分は流下エネルギーを
もったまま、図3に破線で矢示するようにオイル戻し部
隔壁22と覆板15とのオイル戻し隙間23を通過して
オイル分流入空間内に流下し、ブリーザ室13での滞留
時間を短くしてオイル戻し孔20(図4参照)から効率
よく排出される。
【0030】中間部隔壁14aの下側端部で向きを変え
たブローバイガスは、斜め下向きに開口した中央部隔壁
14b内の空間に流入し、ここで高速の渦巻き流を生じ
て遠心力の作用によりオイル分が分離される。引き続
き、中央部隔壁14b内から出てきたガスは、中央部隔
壁14bの背面側で中間部隔壁14aとの間のガス通路
17を周方向に進み直ぐに大きく逆周方向へ回流して出
口側ガス通路17bに入り込む。この間に、ガスは下向
き流とガス導出口19に向けての上向き流が錯綜する複
雑な蛇行流を生じてオイル分が効果的に分離される。こ
のオイル分は、ブリーザ室13を構成する各面に付着し
てオイル戻し孔20(図4参照)に向けに自然流下す
る。
【0031】こうして、ブリーザ室13でオイル分が分
離された後のガス分は、公知のもの同様に、ブリーザ室
13の出口側ガス通路17b上部のガス導出口19から
ブリーザチューブ等を介してエアクリーナ(図示せず)
などへ送給される。また、ブリーザ室13で分離された
オイル分はオイル戻し孔20(図4参照)から排出され
て図1に示すオイルパン1bに戻される。
【0032】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、本発明によれば、ブリーザ室がエンジン上部の
シリンダヘッドに取着したキャップに形成され、ブリー
ザ室に導入されたブローバイガスは、下向き周方向の流
動から始まってほぼブリーザ室全域に蛇行流動させてオ
イル分を分離するので、気液分離効果が高く、キャップ
の内部空間を有効利用してブリーザ装置をコンパクト化
できる。
【0033】また、ブリーザ室は、ダイカスト製のキャ
ップと、打ち抜き加工した覆板とを組み合わせて構成さ
れ、覆板にガス導入口とオイル戻し孔を設けたので、キ
ャップの構成が簡素化できてキャップの加工工数を低減
し、生産性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したエンジンの概略要部の断面図
である。
【図2】本発明の実施の形態を示すキャップの縦断面図
である。
【図3】本発明の実施の形態を示すキャップ本体部の正
面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す覆板の正面図であ
る。
【符号の説明】
1 クランクケース 1a クランク室 1b オイルパン 2 シリンダ 3 ピストン 4 コンロッド 5 クランクシャフト 6 シリンダヘッド 7 カムシャフト設置空間 7a カムシャフト設置空間の開口部 8 カムシャフト 8a カム 9 チェーンスプロケット伝達機構 9a チェーン 10 チェーントンネル 11 キャップ 12 点火プラグ 13 ブリーザ室 13a ブリーザ室周壁 14 円弧状隔壁 14a 中間部隔壁 14b 中央部隔壁 14c 切欠開口部 15 覆板 15a 球面部 15b 平板部 15c 境界部 16a,16b,16c 固定ねじ取着座 17 ガス通路 17a 入口側ガス通路 17b 出口側ガス通路 18 ガス導入口 19 ガス導出口 20 オイル戻し孔 21 固定ねじ 22 オイル戻し部隔壁 23 オイル戻し隙間
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月19日(1999.7.1
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 エンジンのブリーザ装置
【特許請求の範囲】
【請求項】中間部隔壁をほぼ半円形円弧状にし、中央
部隔壁を切欠円筒状にし、中間部隔壁をキャップの内部
空間の斜め上方に位置させ、その下半部をブリーザ室周
壁と中央部隔壁との間に入り込ませ、該中間部隔壁の下
側端を、斜め下方に開口させた中央部隔壁の開口部に臨
ませたことを特徴とする請求項1記載のエンジンのブリ
ーザ装置。
【請求項】覆板中央部に外向きに膨出する球面部を形
成し、該球面部に中央部隔壁先端を当接させ、また、球
面部と球面部回りの平板部との境界部を中間部隔壁先端
に当接させたことを特徴とする請求項1又は2記載のエ
ンジンのブリーザ装置。
【請求項】中間部隔壁及び中央部隔壁より下方に位置
してオイル戻し孔を取り巻き状にキャップ面にオイル戻
し部隔壁を突設し、該オイル戻し部隔壁先端と覆板との
間にオイル戻し隙間を形成したことを特徴とする請求項
1〜3いずれか1項に記載のエンジンのブリーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのブリー
ザ装置に関するものであり、更に詳しくは、クランク室
内に生じるブローバイガスをクランク室内から排出する
過程でブローバイガス中に含まれるエンジンオイル分を
分離するエンジンのブリーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】4ストロークエンジンにあっては、燃焼
室内のガスがピストンの摺動面を通してクランク室へ吹
き抜ける現象、すなわち、ブローバイガスを生じること
がある。このブローバイガスが生じるとクランク室内の
圧力が上昇するので、このブローバイガスをクランク室
から排出するブリーザ装置を設備することが一般的に行
われている。この場合のブローバイガスには、オイルパ
ンから掻き上げられたエンジンオイルや、各摺動部に強
制的に吹き付けられて摺動部を潤滑したあとのエンジン
オイルがミスト状(油滴に近い)になって混在するの
で、クランク室に連通して蛇行通路構成のブリーザ室を
設け、このブリーザ室にブローバイガスを導入してガス
中に含まれるオイル分を分離し、この分離されたオイル
分(ブリーザドレン)をクランクケースのオイルパンに
戻し、ブリーザ室からはガス分だけをエアクリーナに導
いてエンジン吸気とともに再循環させる手法を採用して
いる。
【0003】また、自動二輪車用エンジンのように、ク
ランクケース上にシリンダを結合し、シリンダヘッドに
形成した空間(カムシャフト設置空間)とクランク室が
チェーントンネルを介して互いに連通する構成のエンジ
ンでは、例えば、特開昭61−138811号公報に記
載のように、シリンダヘッドの一方の側面にカムシャフ
ト設置空間を開口させ、この開口部に、カムシャフト設
置空間を密閉するキャップを取着し、このキャップを中
空体状に形成してその内部空間にブリーザ室を形成した
ものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記する公報に記載の
ものは、シリンダヘッドのカムシャフト設置空間を密閉
するキャップの内部空間をブリーザ室に形成するのに、
キャップの内部空間に、その内壁及び外壁から互い違い
にリブを突出させて対向する内壁及び外壁間でブローバ
イガスを蛇行流動させるガス通路を画成し、ブリーザ室
に対するガス導入口を内壁中央部に設けた構成になって
いる。
【0005】このように、ガス導入口をキャップの内壁
中央部、つまり、ブリーザ室の中央部に設定してある場
合は、ブリーザ室に導入されたブローバイガスからのオ
イル分の有効的な分離作用は、主に、ブリーザ室の上半
部で行われる。また、ブリーザ室構成としては、キャッ
プの内壁及び外壁から互い違いにリブを突出させる構成
のため、製作面からは、リブを有する外壁(キャップ)
と、これに組み合わせるリブを有する内壁は、ともにダ
イカスト製のものになる。
【0006】そこで、本発明の課題は、ダイカスト製の
キャップと板材からなる覆板とを組み合わせ、キャップ
の内部空間に、周方向にブローバイガスを蛇行流動させ
るガス通路を画成したことにより、オイル分の分離作用
が有効的に行われる範囲を拡張し、構成を簡素化して製
作面からも有利なエンジンのブリーザ装置を提供するこ
とを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1記載の発明は、シリンダヘッ
ドの側面に取着され、カムシャフト設置空間を密閉する
キャップの内部空間に、キャップ面から同心に配した中
間部隔壁と中央部隔壁を有する円弧状隔壁を突設し、ま
た、キャップの内部空間を覆って覆板を取着し、該覆板
に、前記中間部隔壁と中央部隔壁の先端を気密的に当接
させて周方向に蛇行するガス通路を画成し、ブリーザ室
を形成したエンジンのブリーザ装置において、前記中間
部隔壁とブリーザ室周壁との間でガス通路を入口側ガス
通路と出口側ガス通路に仕切り、入口側ガス通路の上部
に連通して覆板にガス導入口を設け、出口側ガス通路の
上部に連通してキャップにガス導出口を設け、ブリーザ
室下部に位置して覆板にオイル戻し孔を設けたことを特
徴とする。
【0008】ここでキャップをダイカスト製とし、この
キャップの内部空間に、円弧状隔壁の他に覆板を取着す
るための固定ねじ取着座等を一体に形成する。また、ブ
リーザ室でオイル分が分離された後のガス分は、キャッ
プ上部に設けたガス導出口からブリーザチューブ等を介
してエアクリーナに送出するようにしている
【0009】このように構成すると、ブローバイガスが
ガス通路を短絡的に流動することがなくなり、効率よく
オイル分の分離が行われるもので、覆板上部のガス導入
口からブリーザ室の入口側ガス通路に導入されたブロー
バイガスは、入口側ガス通路から出口側ガス通路に向け
てほぼブリーザ室の全域に亘って周方向へ蛇行流動して
この間に効果的にオイル分が分離される。また、製作面
からは、キャップの構成が簡素化されてその加工工数を
少なくでき、覆板は、打ち抜き加工により簡単に製作で
きる。
【0010】また、前記中間部隔壁と中央部隔壁は、請
求項記載の発明のように、中間部隔壁をほぼ半円形円
弧状にし、中央部隔壁を切欠円筒状にし、中間部隔壁を
キャップの内部空間の斜め上方に位置させ、その下半部
をブリーザ室周壁と中央部隔壁との間に入り込ませ、該
中間部隔壁の下側端を、斜め下方に開口させた中央部隔
壁の開口部に臨ませた構成とするのが好ましい。
【0011】このように構成すると、ガス導入口からブ
リーザ室に導入されたブローバイガスは、中間部隔壁の
背面側でキャップの内部空間周壁との間で仕切られた入
口側ガス通路を下向き周方向に流動して比重の重いオイ
ル分の多くは、ここで分離されてそのままオイル戻し孔
向けに流下し、ブリーザ室における滞留時間を短くして
オイル戻し孔から効率よく排出される。
【0012】また、入口側ガス通路を流動するブローバ
イガスは、中間部隔壁の下側端部に達して向きを変えて
蛇行流動が始まり、中央部隔壁内の空間に流入する。こ
こでは丁度、円筒形空間にガスを吹き込んだようにな
り、圧力が高められ高速の渦巻き流を生じ、サイクロン
作用、つまり、遠心力によりオイル分が分離される。こ
の後、中央部隔壁内から出てきたガスは、中央部隔壁の
背面側で中間部隔壁との間のガス通路を進み、中間部隔
壁の上側端部で大きく逆周方向へ回流して出口側ガス通
路に入り込む間に、下向き流と上向き流が錯綜する複雑
な蛇行流を生じてここでもオイル分は効率よく分離され
る。
【0013】また、覆板としては、請求項記載の発明
のように、覆板中央部に外向きに膨出する球面部を形成
し、該球面部に中央部隔壁先端を当接させ、また、球面
部と球面部回りの平板部との境界部を中間部隔壁先端に
当接させた構成とするのが好ましい。
【0014】このように構成すると、覆板の剛性が高ま
り、キャップに覆板を取着して覆板の歪みを生じること
がない。また、覆板の球面部は中央部隔壁の上端外周部
に対し、傾斜して縮径方向に加圧的に当接して気密性を
向上し、また、中間部隔壁の先端に対しては、覆板の球
面部回りの平板部との境界部が平面性を保持して当接し
て気密性を向上し、これら隔壁と覆板により画成された
ガス通路における短絡的なガス流動をなくし、オイル分
の分離作用が効率的に行われる。
【0015】こうして、ブリーザ室で分離されてブリー
ザ室を構成する各面に付着したオイル分は、自然流下し
てオイル戻し孔から排出されるが、ここで、請求項
載の発明のように、中央部隔壁及び中間部隔壁より下方
に位置してオイル戻し孔を取り巻き状にキャップ面にオ
イル戻し部隔壁を設け、該オイル戻し部隔壁先端と覆板
との間にオイル戻し隙間を形成した構成とするのが好ま
しい。
【0016】この場合のオイル戻し部隔壁は、中央部を
中央部隔壁の方に膨出させた円弧状隔壁に形成し、隔壁
先端に浅く切り込み状に複数の凹部を設けてこの凹部で
覆板間にオイル戻し隙間を形成するのがよい。このよう
に構成すると、ガス導入口からブリーザ室に導入された
ブローバイガスが入口側ガス通路を下向きに流動する際
に、このオイル戻し部隔壁に衝接して向きを変えて蛇行
流動を開始するので、オイル戻し部隔壁はブリーザ室で
ブローバイガスを蛇行させる隔壁と機能するとともに、
オイル戻し孔を取り囲むオイル分流入空間を画成し、こ
の空間へのブリーザ室からのガス分の流入を軽減し、ブ
リーザ室の各面を自然流下してくるオイル分を効率よく
排出するのに有効なものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0018】図1は本発明を適用したエンジンの概略要
部の断面図、図2は本発明の実施の形態を示すキャップ
の縦断面図、図3は本発明の実施の形態を示すキャップ
本体部の正面図、図4は本発明の実施の形態を示す覆板
の正面図である。
【0019】先ず、図1を参照すると、本発明を適用し
たエンジンが示されており、同エンジンは、クランクケ
ース1上にシリンダ2が結合され、このシリンダ2内に
摺嵌したピストン3をコンロッド4を介してクランクケ
ース1のクランク室1aに軸支したクランクシャフト5
と連結している。なお、図中1bはクランクケース1の
底部に形成したオイルパンである。
【0020】シリンダ2に結合したシリンダヘッド6に
は、カムシャフト設置空間7を形成し、この空間7にカ
ムシャフト8を軸支し、このカムシャフト8をチェーン
スプロケット伝導機構9を介してクランクシャフトと連
結している。このチェーンスプロケット伝導機構9を構
成するチェーン9aは、シリンダ2及びシリンダヘッド
6内に形成されたチェーントンネル10に通されてい
る。また、このチェーントンネル10によって前記カム
シャフト設置空間7とクランク室は連通されている。
【0021】シリンダヘッド6には、吸気弁及び排気弁
(図示せず)が装着され、これらの弁はカムシャフト8
に形成したカム8aにより所定のタイミングで開閉され
る。そこで、シリンダヘッド6の一方の側面にカムシャ
フト設置空間7の開口部7aを設け、この開口部7aに
キャップ11を取着して密閉し、キャップ11を取り外
すことによってカムシャフト8を含めカムシャフト設置
空間7内の保守点検を行い得るようにしている。なお、
図中12はシリンダヘッド6に取り付けた点火プラグで
ある。
【0022】本発明のブリーザ装置のブリーザ室13
は、前記シリンダヘッド6の側面に取着するキャップ1
1に形成される。
【0023】図2,3において、キャップ11はダイカ
スト製のもので、キャップ面に円弧状隔壁14を突設す
る他に、覆板15を取着するための固定ねじ取着座16
等を一体に設けてキャップ11の内部空間を形成してい
る。
【0024】円弧状隔壁14は、図3に示すように、キ
ャップ11の内部空間に同心に配したほぼ半円形円弧状
をなす中間部隔壁14aと、切欠円筒状をなす中央部隔
壁14bを有し、中間部隔壁14aは、キャップ11の
内部空間斜め上方に位置し、その下半部をキャップ11
の内部空間周壁、すなわち、ブリーザ室周壁13aと中
央部隔壁14bとの間に入り込ませ、この中間部隔壁1
4aの下側端を、斜め下方に開口させた中央部隔壁14
bの切欠開口部14cに臨ませている。
【0025】ブリーザ室13は、図2に示すように、キ
ャップ11の内部空間を覆って覆板15を取着して形成
されるもので、覆板15は円弧状隔壁14の先端、すな
わち、中間部隔壁14aと中央部隔壁14bの先端が気
密的に当接し、図3に示すように、周方向に蛇行するガ
ス通路17を画成する。ここで、覆板15には、図2に
示すように、覆板中央部に外向きに膨出する球面部15
aを形成し、この球面部15aが僅かに傾斜して中央部
隔壁14bの先端外周を加圧的に当接するようにし、ま
た、球面部15aと球面部15a回りの平板部15bと
の境界部15cが平面性を保持して中間部隔壁14aの
先端に当接するようにしている。
【0026】キャップ11に覆板15を取着する3つの
固定ねじ取着座16a,16b,16cが、図3に示す
ように、ブリーザ室周壁13a沿いに適宜の間隔を採っ
て設けられている。その内の一つの固定ねじ取着座16
aは中間部隔壁14aの中間部で、中間部隔壁14aと
ブリーザ室周壁13aとの間に設けて中間部隔壁14a
の背面側でガス通路17を入口側ガス通路17aと出口
側ガス通路17bに仕切り、この固定ねじ取着座16a
を挟むようにして入口側ガス通路17aに対して覆板1
5にガス導入口18(図4参照)を設け、出口側ガス通
路17bに対してはブリーザ室周壁13aを貫通してガ
ス導出口19を設けている。もう一つの固定ねじ取着座
16bは、ブリーザ室13の最下部付近に設けられ、こ
の固定ねじ取着座16bに近接して覆板15にオイル戻
し孔20(図4参照)を設けている。残るもう一つの固
定ねじ取着座16cは、中央部隔壁14bの背面側で中
間部隔壁14aの上側端の前方に位置してガス通路17
の中に設けられている。覆板15はこれらの固定ねじ取
着座16a,16b,16cに固定ねじ21(図2,4
参照)を用いて強固に取着される。
【0027】また、キャップ11の内部空間にあってキ
ャップ面には、図3に示すように、前記中間部隔壁14
a及び中央部隔壁14bより下方に位置し、オイル戻し
孔20(図4参照)を取り巻き状にキャップ面にオイル
戻し部隔壁22を突設している。このオイル戻し部隔壁
22は、その中央部を中央部隔壁14bの方に膨出させ
た円弧状隔壁に形成し、隔壁先端に浅く切り込んだ複数
の凹部を設けてこの凹部で覆板15との間にオイル戻し
隙間23を形成している。
【0028】上記構成において、図1におけるクランク
室1aからのブローバイガスがチェーントンネル10を
経てガス導入口18からブリーザ室13の入口側ガス通
路17aに導入されると、ブローバイガスは、図3に実
線で矢示するように入口側ガス通路17aを下向き周方
向に流動して中間部隔壁14aの下側端部に達し、オイ
ル戻し部隔壁22に衝接して向きを変え蛇行流動を開始
する。この間に分離されたオイル分は流下エネルギーを
もったまま、図3に破線で矢示するようにオイル戻し部
隔壁22と覆板15とのオイル戻し隙間23を通過して
オイル分流入空間内に流下し、ブリーザ室13での滞留
時間を短くしてオイル戻し孔20(図4参照)から効率
よく排出される。
【0029】中間部隔壁14aの下側端部で向きを変え
たブローバイガスは、斜め下向きに開口した中央部隔壁
14b内の空間に流入し、ここで高速の渦巻き流を生じ
て遠心力の作用によりオイル分が分離される。引き続
き、中央部隔壁14b内から出てきたガスは、中央部隔
壁14bの背面側で中間部隔壁14aとの間のガス通路
17を周方向に進み直ぐに大きく逆周方向へ回流して出
口側ガス通路17bに入り込む。この間に、ガスは下向
き流とガス導出口19に向けての上向き流が錯綜する複
雑な蛇行流を生じてオイル分が効果的に分離される。こ
のオイル分は、ブリーザ室13を構成する各面に付着し
てオイル戻し孔20(図4参照)に向けに自然流下す
る。
【0030】こうして、ブリーザ室13でオイル分が分
離された後のガス分は、公知のもの同様に、ブリーザ室
13の出口側ガス通路17b上部のガス導出口19から
ブリーザチューブ等を介してエアクリーナ(図示せず)
などへ送給される。また、ブリーザ室13で分離された
オイル分はオイル戻し孔20(図4参照)から排出され
て図1に示すオイルパン1bに戻される。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、本発明によれば、ブリーザ室がエンジン上部の
シリンダヘッドに取着したキャップに形成され、ブリー
ザ室に導入されたブローバイガスは、下向き周方向の流
動から始まってほぼブリーザ室全域に蛇行流動させてオ
イル分を分離するので、気液分離効果が高く、キャップ
の内部空間を有効利用してブリーザ装置をコンパクト化
できる。
【0032】また、ブリーザ室は、ダイカスト製のキャ
ップと、打ち抜き加工した覆板とを組み合わせて構成さ
れ、覆板にガス導入口とオイル戻し孔を設けたので、キ
ャップの構成が簡素化できてキャップの加工工数を低減
し、生産性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したエンジンの概略要部の断面図
である。
【図2】本発明の実施の形態を示すキャップの縦断面図
である。
【図3】本発明の実施の形態を示すキャップ本体部の正
面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す覆板の正面図であ
る。
【符号の説明】 1 クランクケース 1a クランク室 1b オイルパン 2 シリンダ 3 ピストン 4 コンロッド 5 クランクシャフト 6 シリンダヘッド 7 カムシャフト設置空間 7a カムシャフト設置空間の開口部 8 カムシャフト 8a カム 9 チェーンスプロケット伝達機構 9a チェーン 10 チェーントンネル 11 キャップ 12 点火プラグ 13 ブリーザ室 13a ブリーザ室周壁 14 円弧状隔壁 14a 中間部隔壁 14b 中央部隔壁 14c 切欠開口部 15 覆板 15a 球面部 15b 平板部 15c 境界部 16a,16b,16c 固定ねじ取着座 17 ガス通路 17a 入口側ガス通路 17b 出口側ガス通路 18 ガス導入口 19 ガス導出口 20 オイル戻し孔 21 固定ねじ 22 オイル戻し部隔壁 23 オイル戻し隙間

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッドの側面に取着され、カムシ
    ャフト設置空間を密閉するキャップの内部空間に、キャ
    ップ面から円弧状隔壁を突設し、また、キャップの内部
    空間を覆って覆板を取着し、周方向に蛇行するガス通路
    を画成し、ブリーザ室を形成したことを特徴とするエン
    ジンのブリーザ装置。
  2. 【請求項2】円弧状隔壁として、キャップの内部空間に
    同心に配した中間部隔壁と中央部隔壁を有し、覆板に両
    隔壁先端を気密的に当接させてガス通路を画成したこと
    を特徴とする請求項1記載のエンジンのブリーザ装置。
  3. 【請求項3】中間部隔壁とブリーザ室周壁との間でガス
    通路を入口側ガス通路と出口側ガス通路に仕切り、入口
    側ガス通路の上部に連通して覆板にガス導入口を設け、
    出口側ガス通路の上部に連通してキャップにガス導出口
    を設け、ブリーザ室下部に位置して覆板にオイル戻し孔
    を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジ
    ンのブリーザ装置。
  4. 【請求項4】中間部隔壁をほぼ半円形円弧状にし、中央
    部隔壁を切欠円筒状にし、中間部隔壁をキャップの内部
    空間の斜め上方に位置させ、その下半部をブリーザ室周
    壁と中央部隔壁との間に入り込ませ、該中間部隔壁の下
    側端を、斜め下方に開口させた中央部隔壁の開口部に臨
    ませたことを特徴とする請求項2又は3記載のエンジン
    のブリーザ装置。
  5. 【請求項5】覆板中央部に外向きに膨出する球面部を形
    成し、該球面部に中央部隔壁先端を当接させ、また、球
    面部と球面部回りの平板部との境界部を中間部隔壁先端
    に当接させたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1
    項に記載のエンジンのブリーザ装置。
  6. 【請求項6】中間部隔壁及び中央部隔壁より下方に位置
    してオイル戻し孔を取り巻き状にキャップ面にオイル戻
    し部隔壁を突設し、該オイル戻し部隔壁先端と覆板との
    間にオイル戻し隙間を形成したことを特徴とする請求項
    1〜5いずれか1項に記載のエンジンのブリーザ装置。
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