JP2000087181A - ポケットウエーブが発生しにくいロール成形用薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

ポケットウエーブが発生しにくいロール成形用薄鋼板およびその製造方法

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JP2000087181A
JP2000087181A JP10256855A JP25685598A JP2000087181A JP 2000087181 A JP2000087181 A JP 2000087181A JP 10256855 A JP10256855 A JP 10256855A JP 25685598 A JP25685598 A JP 25685598A JP 2000087181 A JP2000087181 A JP 2000087181A
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Yoshikazu Kawabata
良和 河端
Kazuya Miura
和哉 三浦
Osamu Furukimi
古君  修
Hideko Yasuhara
英子 安原
Takaaki Hira
隆明 比良
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロール成形を行う際に危惧されるポケットウ
エーブの発生を有効に抑制する薄鋼板とその製造技術を
提供する。 【構成】 C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以下、Mn:
1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt%以下、
Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.2wt%以
下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、B:0.01wt
%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
る鋼のシートバーを、Ar3変態点〜(Ar3変態点−100
℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を35%以下、
かつ全圧下率を60%以上とする条件にて仕上げ圧延し、
この仕上げ圧延を(Ar3変態点−100 ℃)以上で終了し
てから、冷間圧延し、焼鈍することにより、圧延方向に
直角な方向のr値を0.7 以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロール成形によ
り製造される屋根材、壁材などとしての使途に好適な薄
鋼板(冷延鋼板、冷延鋼板に表面処理を施した表面処理
鋼板を含む)に関し、とくにロール成形した後にポケッ
トウエーブが発生しにくい薄鋼板およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】屋根材や壁材などに代表される長尺の広
幅形材は、通常、薄鋼板の素板に、縦方向に配列された
数段の成形ロールを用いて、漸進的に連続成形(折り曲
げ加工)を施して製造される。この加工に際して、一般
に、ウェブ部分にはポケットウエーブと呼ばれる円形状
の凹凸欠陥が成形方向(長手方向)に沿って発生するこ
とがある。この欠陥は局部的な形状不良に相当するの
で、そのままでは製品にすることができない。このよう
なロール成形によってもたらされる形状不良の発生機構
について、例えば、「ロール成形」(日本塑性加工学会
編、コロナ社)の53頁には、次のように説明されてい
る。 (1)ロール成形時、素板の折り曲げ部およびその近傍域
は、幅方向の伸び歪みに対応して長手方向の縮み歪みが
集中的に発生する。 (2)この縮み変形に伴って、ウェブ部に圧縮力が作用
し、これが過大になるとウェブ部は弾性座屈を起こし、
これによりポケットウェーブが発生する。
【0003】また、ポケットウェーブと材料特性との関
係については、上記「ロール成形」(日本塑性加工学会
編、コロナ社)の54〜56頁にあるように、以下の現
象が知られている。すなわち、 (1)降伏応力の大きな素板はポケットウェーブが発生し
にくい。 (2)降伏伸びが大きい場合には、ポケットウェーブが発
生しにくくなる。 (3)n値小は降伏伸び大と同様の影響を与える。 (4)r値が大きいとポケットウェーブが発生しやすい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの公知技術を利
用することによって、ポケットウェーブを抑制すること
が考えられる。しかしながら、降伏応力を大きくする
と、成形荷重が増して加工装置の寿命が低下したり、し
わが発生しやすくなる。また、降伏伸びを極端に大きく
すると、ストレッチャーストレインが発生して外観を損
なうといった問題を招く。また、ロール成形において
は、通常、薄鋼板は、圧延方向と直角方向に曲げ加工さ
れるので、ポケットウェーブを発生させないためには、
圧延方向に直角な方向のr値(rc )を低下させること
も有効であると考えられる。しかし、冷延薄鋼板は、一
般に冷延によりr値、特にrc が高くなる性質があっ
て、rc の低い鋼板を製造すること自体極めて困難であ
るというのが一般的な通念であった。加えて、r値に関
するこれまの多くの研究は、専ら深絞り性向上のために
r値を向上させることのためにのみ傾注されてきた。こ
れらの状況もあって、r値を低下させるための有効な方
法は、これまでほとんど知られていないというのが現実
であった。なお、加工用薄鋼板に関する従来技術におけ
るrc の値は、例えば、特開平5−255804号公報に冷延
鋼板の比較例として記載されている、0.7 がこれまでの
最低値である。
【0005】ところで、金属組織学上の研究によれば、
単結晶において、板面に{100}面が平行なND//
<100>集合組織のr値が低いことが知られている。
また、r値と直接関係がない電磁鋼板の分野ではある
が、特開昭62−284016号公報に、ND//<100>集
合組織を発達させるには、Ar3変態点以下で少なくとも
30%以上の圧下率で仕上熱延するのがよいとの開示があ
る。これらの開示技術からすると、Ar3変態点以下で少
なくとも30%以上の圧下率で仕上熱延することが、r値
を低下させるうえで有効であることが予測される。しか
しながら、実際に発明者らが検討したところでは、仕上
熱延を単にAr3変態点以下の温度で行うだけでは、十分
に低いrc を得ることができないというのが実情であっ
た。
【0006】上述したように、ロール成形時のポケット
ウエーブが発生しにくい薄鋼板の必要性が極めて高かっ
たにもかかわらず、これまでは、かかる薄鋼板を製造す
るための有効な手段が存在しなかった。そこで、本発明
の目的は、このようなロール成形用薄鋼板の現状に鑑
み、ロール成形における一般的な成形性を犠牲にするこ
となく、ポケットウエーブの発生を抑制できる薄鋼板お
よびその製造方法を提供することにある。また、本発明
の他の目的は、圧延方向に直角な方向のr値を低下させ
ることにより、ポケットウエーブの発生を有効に抑制す
る薄鋼板の製造技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題の
解決に向けて鋭意実験、検討を行った。その結果、熱間
仕上げ圧延をはじめとする薄鋼板の製造条件を適正に制
御することにより、今までにない低r値の鋼板が製造可
能になるとの知見を得て、本発明を完成するに到った。
その要旨構成は以下のとおりである。
【0008】(1) C:0.1 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下
を含有し、圧延方向に直角な方向のr値が0.7 以下であ
ることを特徴とするポケットウエーブが発生しにくいロ
ール成形用薄鋼板。
【0009】(2) C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以
下、Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt
%以下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.
2 wt%以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、
B:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不
純物からなり、圧延方向に直角な方向のr値が0.7 以下
であることを特徴とするポケットウエーブが発生しにく
いロール成形用薄鋼板。
【0010】(3) C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以
下、Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt
%以下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.
2 wt%以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、
B:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不
純物からなる鋼のシートバーを、Ar3変態点〜(Ar3
態点−100 ℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を
35%以下、かつ全圧下率を60%以上とする条件にて仕上
げ圧延し、この仕上げ圧延を(Ar3変態点−100 ℃)以
上で終了してから、冷間圧延し、焼鈍することを特徴と
する、ポケットウエーブが発生しにくいロール成形用薄
鋼板の製造方法。
【0011】(4) C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以
下、Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt
%以下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.
2 wt%以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、
B:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不
純物からなる鋼のシートバーを、Ar3変態点〜(Ar3
態点−100 ℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を
35%以下、かつ全圧下率を60%以上とする条件にて仕上
げ圧延し、この仕上げ圧延を(Ar3変態点−100 ℃)以
上で終了してから、冷間圧延し、焼鈍、さらに時効処理
を行うことを特徴とする、ポケットウエーブが発生しに
くいロール成形用薄鋼板の製造方法。
【0012】(5) 上記 (3)または (4)において、冷間圧
延をリバースにて行うことを特徴とする、ポケットウエ
ーブが発生しにくいロール成形用薄鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】発明者らは、冷延鋼板または表面
処理鋼板のrc を低下するために、ND//<100
>、すなわち板面(100)の集合組織を発達させる方
法について種々の実験、検討を行った。以下に、実験に
より得られた結果を中心にして説明する。なお、実験に
用いた鋼の化学組成は、後述する表1のFに示すもので
ある。図1は、通常の方法で鋳込みおよび粗圧延を施さ
れたシートバーに対し、圧延温度と、1パス当たりの圧
下率を25〜40%の水準で変化させて1パス圧延した場合
に、これらの条件が熱延板の{200}面インバース強
度比(板厚中央付近の位置で測定)に及ぼす影響を示し
たものである。図1より、1パス当たり35%以下の圧下
率で熱延すること、またこの圧延をAr3変態点〜(Ar3
変態点−100 ℃)の温度域において実施することが、熱
延板のND//<100>の集合組織の発達に有利であ
ることがわかる。次に、Ar3変態点〜(Ar3変態点−10
0 ℃)の温度域における圧下率を30%/パスとした複数
パスからなる圧延で全圧下率を変化させ、{200}面
のインバース強度比(板厚中央付近の位置で測定)に及
ぼす全圧下率の影響を調査した。その結果を図2に示
す。図2から、全圧下率を60%以上にすると、熱延板の
ND//<100>の集合組織が著しく発達することが
わかる。
【0014】このような現象がもたらされる機構につい
ては、必ずしも明らかではないが、次のような理由が考
えられる。 (1)フェライト域で60%以上の全圧下率で圧延すること
により、フェライトの圧延集合組織、ND//<100
>、ND//<211>、ND//<111>が発達す
る。 (2)この時、圧延温度がAr3変態点〜(Ar3変態点−100
℃)と高温で、かつ、各パスの圧下率が35%以下と小
さいために、前述のいずれの圧延集合組織においても、
再結晶速度が変わるほどには圧延歪みが蓄積しない。 (3)その結果、通常のフェライト域での熱延では、比較
的歪みがたまりやすく、再結晶が速くて、他の集合組織
を侵食するといわれるND//<111>の発達が抑制
されて、逆に、やや回復の速いND//<100>集合
組織が他の集合組織を侵食して発達する。 このような機構によって、熱延ままでND//<100
>の集合組織が十分に発達した熱延鋼板は、その後、冷
延−焼鈍、または、焼鈍−冷延−焼鈍が施されても、も
とのND//<100>集合組織が冷延−焼鈍後も維持
され、低r値の薄鋼板となる。
【0015】また、冷延工程を、通常のタンデム圧延に
よって行う場合と、1パス毎に圧延方向を逆転させるリ
バース圧延によって行う場合において、rc がどのよう
に変わるかについても調査した。その結果を図3に示
す。図3から、リバース圧延を行えば、タンデム圧延を
行ったものよりも低いrc が得られることがわかる。な
お、これらのデータは後述する実施例から抽出したもの
である。上記のごとき傾向が現れた機構については必ず
しも明らかではないが、発明者らは、圧延方向を1パス
毎に変化させる圧延の場合、一方向圧延(タンデム圧
延)の場合にはないすべり系が作用し、ND//<10
0>の結晶にも歪みが蓄積して、続く、焼鈍により再結
晶したからであると考えている。
【0016】図4は、冷延−焼鈍の後、または、さらに
表面処理の後に行う時効処理がrcに及ぼす影響を示し
たものである。図4によれば、時効処理(焼付塗装処理
に相当)の実施は低rc 値にとって有利であるといえ
る。なお、この図も後述する実施例データを用いたもの
である。このような現象が得られた機構についても、必
ずしも明らかではないが、時効処理により、転位の臨界
剪断応力が高くなり、その結果、比較的動きやすいND
//<100>の結晶だけが変形するためであると考え
られる。
【0017】図5は、rc とポケットウェーブの発生傾
向との関係を後述する実施例データに基づいてまとめた
ものである。図5から、ポケットウェーブの発生とrc
との間には極めて高い相関関係があり、rc が低下する
ほどポケットウェーブは発生しにくくなり、とくにrc
が0.7 以下になれば、ポケットウェーブはほとんど発生
しなくなり、rc が0.5 以下ではポケットウェーブの発
生はほぼ零になることが示された。
【0018】以上説明した理由により、本発明における
目標rc は0.7 以下とする。そして、発明者らはさらに
実験を重ねた結果、このような特性を有する薄鋼板を製
造する条件として、Ar3変態点〜(Ar3変態点−100
℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を35%以下、
好ましくは30%以下、かつ全圧下率を60%以上、好まし
くは80%以上となるようにして仕上げ圧延することが肝
要であるとの結論に達した。なお、1パス当たりの圧下
率の下限については特に制限を設けるものではないが、
通常の工業的生産性を考慮して、5%以上であることが
好ましい。また、上記仕上げ圧延は(Ar3変態点−100
℃)以上で終了する必要がある。というのは、仕上げ圧
延温度が(Ar3変態点−100 ℃)を下回ると、各パスの
圧下率を35%以下にしても圧延歪みが蓄積するようにな
り、その結果、比較的圧延歪みがたまりやすいND//
<111>の結晶粒の再結晶が速くなって、好ましいN
D//<100>結晶粒を侵食するからである。
【0019】上記の仕上げ圧延に次いで、冷間圧延し
て、焼鈍し、表面処理鋼板にあってはさらにめっき処理
をして薄鋼板とされる。また、必要に応じて、前記焼鈍
のあと、時効処理することが望ましく、また時効処理に
先立ってのスキンパス圧延も時効処理を短時間で鋼帯全
長全巾均一に完了させるために有効である。ここに、冷
間圧延については、圧下率が60〜90%といった一般的な
範囲でよいが、圧延方式については通常のタンデム方式
よりも低rc が得られるリバース方式にて行うことが有
利である。また、焼鈍条件は、再結晶温度以上、すなわ
ち、600 ℃以上、Ac3変態点以下がよい。スキンパス圧
延は、形状矯正はもちろん、時効処理を短時間で鋼帯全
長全巾均一に完了させることを目的として行い、その圧
下率は 0.5〜 1.5%の範囲が望ましい。時効処理
は、rc の低下に有効であって、その条件としては、焼
付塗装処理を兼ねることのできる 160〜260 ℃で30〜12
0secで行うことが推奨される。なお、上記仕上げ圧延で
得られた熱延板を冷間圧延に先立って焼鈍することは、
冷間圧延性を向上させるほか、ND//<100>集合
組織をさらに発達させるうえで有効である。
【0020】上記製造工程を適用するための鋼の成分組
成は、基本的に、ロール成形に必要な加工性を有するも
のであればよい。そして、熱延時に、動的回復が十分に
速く行われる成分組成が望ましい。これら成分について
以下に説明する。 C:0.1 wt%以下 Cは、所定の強度を得るために、必要に応じて含有させ
るが、C量が0.1 wt%を超えると、熱間圧延時に蓄積さ
れる歪量が大きくなったり、Ar3温度が著しく低くなっ
て、Ar3変態点以下で圧延することが困難になるため
に、上限を0.1 wt%とすることが好ましい。
【0021】Si:0.5 wt%以下 Siは、所定の強度を得るために、また、脱酸元素として
必要に応じて添加される。しかし、Si量が0.5 wt%を超
えると、製品板の延性が著しく低下して加工が困難にな
るために、0.5 wt%以下とするのが好ましい。
【0022】Mn:1.0 wt%以下 Mnは、所定の強度を得るために、また、Sを固定して熱
間加工性を向上させるために必要に応じて添加される。
しかし、Mn量が1.0 wt%を超えると、Ar3温度が著しく
低くなってフェライト域での圧延することが困難になる
ために、1.0 wt%以下とするのが好ましい。
【0023】P:0.15wt%以下 Pは、所定の強度を得るために、必要に応じて添加され
る。しかし、P含有量が0.15wt%を超えると製品板の延
性が著しく低下して加工が困難になるために、0.15wt%
以下とするのが好ましい。
【0024】S:0.02wt%以下 Sは、熱間加工性を低下させ、また、製品板の延性を低
下させるために低いほど望ましい。好ましい範囲は0.02
wt%以下である。
【0025】Al:0.10wt%以下 Alは、脱酸元素として、また、Nを固定して製品板の延
性を向上させるために、必要に応じて添加される。しか
し、Al量が0.10wt%を超えると熱間圧延時に蓄積される
歪量が大きくなるために、0.10wt%以下とするのが好ま
しい。
【0026】N:0.01wt%以下 Nは、所定の強度を得るために必要に応じて添加される
が、N量が0.01wt%を超えると延性が低下する。また、
固溶Nが過剰とならない (あるいは存在しない) ように
添加されるAl, Ti等の成分コストも増大する。したがっ
て、0.01wt%以下とするのが好ましい。
【0027】Ti:0.2 wt%以下 Tiは、C, N, Sを固定して熱間圧延時の歪の蓄積を抑
制し、かつ製品板の延性を向上させるために添加され
る。しかし、Ti量が0.2 wt%を超えると、熱間圧延時に
蓄積される歪量が著しく大きくなるために、上限を0.2
wt%として添加するのが好ましい。
【0028】Nb:0.2 wt%以下 Nbは、C, Nを固定して熱間圧延時の歪の蓄積を抑制
し、かつ製品板の延性を向上させるために添加される。
しかし、Nb量が0.2 wt%を超えると、熱間圧延時に蓄積
される歪量がむしろ著しく大きくなるために、上限を0.
2 wt%として添加するのが好ましい。
【0029】V:0.2 wt%以下 Vは、C, Nを固定して熱間圧延時の歪の蓄積を抑制
し、かつ製品板の延性を向上させるために添加される。
しかし、V量が0.2 wt%を超えると熱間圧延時に蓄積さ
れる歪量がむしろ著しく大きくなるために、上限を0.2
wt%として添加するのが好ましい。
【0030】B:0.01wt%以下 Bは、二次加工脆性を改善するために、必要に応じて添
加される。しかし、B量が0.01wt%を超えると熱間圧延
時に蓄積される歪量が著しく大きくなるために、上限を
0.01wt%として添加するのが好ましい。
【0031】なお、主要元素であるC, Si, Mn, P,
S, Al, Nについては0%を含まないものとする。その
他の元素であるTi, Nb, Bについては、0%を含むもの
とし、各元素の添加効果を必要とする場合に、各々適正
量を添加するものとする。
【0032】
【実施例】次に本発明を実施例にもとづいて具体的に説
明する。表1に示す成分組成になる鋼スラブから、熱間
粗圧延により32〜36mm厚のシートバーとし、表2に示
す種々の条件により4mm厚まで仕上げ圧延した。この
熱延板を、酸洗し、次いで、80%の圧下率で、通常のタ
ンデム圧延またはリバース圧延により板厚0.8 mmの冷
延鋼帯とし、700 ℃- 60 secで仕上焼鈍した。この鋼帯
をそのまま、又はこの鋼帯に溶融亜鉛めっき(めっき浴
温度 540℃)を施した。さらにその後、伸び率1%のス
キンパス圧延、あるいは伸び率1%のスキンパスの後、
時効処理(一方の面にコーティングラインで塗料塗布後
230 ℃で40 secの焼付→他方の面に塗料塗布後220 ℃で
20 secの焼付の処理)を付加する工程によって鋼板を製
造した。これら工程の組合せは、表3中の工程1〜工程
5に示すとおりである。
【0033】このようにして得た供試鋼板について、r
C 、ロール成形後のポケットウェーブ発生の程度を調査
した。ここで、rC は、圧延方向に対し90°の方向に採
取したJIS5号試験片を用いて、3点法により測定し
た。また、ポケットウェーブは、図6に示す断面形状に
ロール成形し、成形品を定盤上に静置して、ポケットウ
ェーブの発生程度を目視で判定した。ポケットウェーブ
の判定は、◎:発生せず、○:目立たず、△:やや目立
つ、×:非常に目立つの4段階で判定した。なお、ロー
ル成形条件は、スタンド数:16、スタンド問距離:350
mm、ロール径:120 mmφ、成形速度:30m/min で
あり、試片寸法:0.4 mm厚x810 mm幅x4000mm長
とした。その結果を表3に併せて示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表1〜3から、仕上圧延の条件が適正範囲
にある発明例では、rC が0.7 以下になり、ポケットウ
ェーブの発生がほとんど認められないことがわかる。と
くに、リバース圧延(工程2)、時効処理(工程3)を
施して製造した薄鋼板は、r C が0.5 以下になり、ポケ
ットウェーブの発生がほとんど認められなくなる。ま
た、リバース圧延と時効処理を併用した場合(工程4)
には、rC 値が0.4 以下になり、ポケットウェーブが発
生しなくなる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧延方向に直角な方向のr値(rC )0.7 以下の薄鋼板
が得られ、ロール成形時におけるポケットウェーブの発
生を効果的に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延板のND//<100>集合組織に及ぼす
仕上圧延温度と圧下率の影響を示すグラフである。
【図2】熱延板のND//<100>集合組織に及ぼす
仕上圧延における全圧下率の影響を示すグラフである。
【図3】冷延板のrC に及ぼすリバース圧延の影響を示
すグラフである。
【図4】冷延板のrC に及ぼす時効処理の影響を示すグ
ラフである。
【図5】ポケットウェーブの発生に及ぼすrC の影響を
示すグラフである。
【図6】ポケットウェーブの発生状況の調査に用いたロ
ール成形材の断面形状を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 安原 英子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 比良 隆明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA05 EA15 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 FB05 FC03 FC07 FG03 FG10 FL01 GA05 JA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.1 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下を
    含有し、圧延方向に直角な方向のr値が0.7 以下である
    ことを特徴とするポケットウエーブが発生しにくいロー
    ル成形用薄鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以下、
    Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt%以
    下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.2 wt
    %以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、B:0.
    01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物か
    らなり、圧延方向に直角な方向のr値が0.7 以下である
    ことを特徴とするポケットウエーブが発生しにくいロー
    ル成形用薄鋼板。
  3. 【請求項3】 C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以下、
    Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt%以
    下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.2 wt
    %以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、B:0.
    01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物か
    らなる鋼のシートバーを、Ar3変態点〜(Ar3変態点−
    100 ℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を35%以
    下、かつ全圧下率を60%以上とする条件にて仕上げ圧延
    し、この仕上げ圧延を(Ar3変態点−100 ℃)以上で終
    了してから、冷間圧延し、焼鈍することを特徴とする、
    ポケットウエーブが発生しにくいロール成形用薄鋼板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以下、
    Mn:1.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、S:0.02wt%以
    下、Al:0.10wt%以下、N:0.01wt%以下、Ti:0.2 wt
    %以下、Nb:0.2 wt%以下、V:0.2 wt%以下、B:0.
    01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物か
    らなる鋼のシートバーを、Ar3変態点〜(Ar3変態点−
    100 ℃)の温度域では、1パス当たりの圧下率を35%以
    下、かつ全圧下率を60%以上とする条件にて仕上げ圧延
    し、この仕上げ圧延を(Ar3変態点−100 ℃)以上で終
    了してから、冷間圧延し、焼鈍、さらに時効処理を行う
    ことを特徴とする、ポケットウエーブが発生しにくいロ
    ール成形用薄鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4において、冷間圧延を
    リバースにて行うことを特徴とする、ポケットウエーブ
    が発生しにくいロール成形用薄鋼板の製造方法。
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