JP2000086605A - L―アリシンアセタ―ルの製造法 - Google Patents
L―アリシンアセタ―ルの製造法Info
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Abstract
ルを、少ない工程数で安価に製造する方法を提供する。 【解決手段】 D,L-アリシンアミドアセタールに、L-ア
リシンアミドアセタールを立体選択的に加水分解する活
性を有する微生物の菌体及び/又は菌体処理物を作用さ
せる。
Description
ールの製造法に関する。さらに詳しくは、D,L-アリシン
アミドアセタールを生化学的に不斉加水分解して対応す
るL-アリシンアセタールを製造する方法に関する。L-ア
リシンアセタールは、医薬品の製造中間体として重要な
物質である。
して、例えば特開平7-48259 号公報に記載されている方
法が知られている。この方法は、アセトアミドマロン酸
ジエチルから2段階の反応で誘導した N- アセチル-D,L
- ヒドロキシノルロイシンを、ブタ肝臓のアシラーゼで
立体選択的に加水分解してL-ヒドロキシノルロイシンと
し、該L-ヒドロキシノルロイシンのアミノ基をフタルイ
ミドとしカルボキシル基をメチルエステルとしてそれぞ
れ保護した後、水酸基をSwern 酸化によってアルデヒド
に変換し、さらにアルデヒドをジメチルアセタールとし
た後にフタルイミドを脱保護してL-アリシンジメチルア
セタールをメチルエステルとして得る方法であるが、工
程数が多く、収率が低く、また高価な試薬を必要とする
ため、工業的に優れた方法とは言いがたい。このほか、
Bioorganic & Medicinal Chemistry, Vol.3, 1237-124
0,(1995) には、3,4-ジヒドロ-2H- ピランから8 段階
の反応からなるD,L-アリシンエチレンアセタールの製造
法が記載されているが、この方法も工程数が多く、収率
が低く、更に高価な試薬を必要とするため、工業的に優
れた方法とは言いがたい。また、ここにはラセミ体の製
造法だけが記載されており、光学活性体であるL-アリシ
ンアセタールの製造法は記載されていない。
技術における上記のような課題を解決し、少ない工程数
で安価にL-アリシンアセタールを製造するための製造法
を提供することにある。
程数で安価にL-アリシンアセタールを製造するための製
造法に関して鋭意検討を行った結果、新規化合物である
D,L-アリシンアミドアセタールの合成に成功し、且つこ
のD,L-アリシンアミドアセタールが微生物の酵素作用に
より生化学的に加水分解してL-アリシンアセタールにな
ることを見出し本発明に到達した。すなわち本発明は、
(1)一般式(I)で示されるD,L-アリシンアミドアセ
タールに、L-アリシンアミドアセタールを立体選択的に
加水分解する活性を有する微生物の菌体又は菌体処理物
を作用させて、一般式(II)で示されるL-アリシンアセ
タールを製造するL-アリシンアセタールの製造法であ
り、
級アルキル基、またはR1とR2を合わせて [CH2]n で表さ
れるアルキレン基であり、nは2〜3である)
アミドアセタールに微生物の菌体又は菌体処理物を作用
させた後、未反応のD-アリシンアミドアセタールを強塩
基性物質の存在下で加熱することによりラセミ化してD,
L-アリシンアミドアセタールを得、再度原料として使用
するL-アリシンアセタールの製造法であり、(3)更に
(1)の反応で反応原料に用いる新規化合物のD,L-アリ
シンアミドアセタール及びその製造方法に関するもので
ある。
する。公知化合物であるグルタルアルデヒドモノアセタ
ール〔一般式 (III)〕を出発原料として新規化合物であ
るD,L-アリシンアミドアセタール〔一般式(I)〕を合
成し、更にこのD,L-アリシンアミドアセタールを微生物
菌体を用いて立体選択的に加水分解してL-アリシンアセ
タール〔一般式(II)〕を製造し、その際立体選択的加
水分解を受けずに残留しているD-アリシンアミドアセタ
ールはラセミ化して原料D,L-アリシンアミドアセタール
に戻す本発明の工程図を以下に示す。
ドモノアセタールは、例えばグルタルアルデヒドのモノ
アセタール化(特開昭48-39416号公報)によって合成さ
れるほか、5,5-ジメトキシ-1- ペンタノールの酸化(J.
Am. Chem. Soc., Vol.104,1033-1041, (1982) )や4,4
-ジエトキシ-1- ブテンのハイドロホルミル化(J. Am.
Chem. Soc., Vol.115, 2066-2068, (1993) )等の公知
の方法によって合成される。
アミノニトリルとして表示)は、グルタルアルデヒドモ
ノアセタールと、青酸若しくは青酸塩及びアンモニア若
しくはアンモニウム塩とを反応させるストレッカー(St
recker)反応によって合成される。この方法は、初めに
グルタルアルデヒドモノアセタールと青酸を反応させて
シアンヒドリンとした後、該シアンヒドリンをアンモニ
アと反応させてアミノニトリルとする2段階の反応で行
う方法と、グルタルアルデヒドモノアセタールに青酸塩
とアンモニウム塩を反応させて1段階でアミノニトリル
とする方法がある。グルタルアルデヒドモノアセタール
と青酸との反応によりシアンヒドリンを製造する工程の
反応条件は、特に限定されるものではないが、通常は塩
基性触媒存在下、反応温度0〜20℃で行われる。シアン
ヒドリンとアンモニアとの反応でD,L-α- アミノニトリ
ルを製造する工程の反応条件は、特に限定されるもので
はないが、通常はシアンヒドリンに対して5〜10倍モル
量のアンモニアを用い、反応温度は低すぎると反応が遅
くなり高すぎると分解物が生じるため、通常は20〜80℃
で行われる。グルタルアルデヒドモノアセタールと青酸
塩及びアンモニウム塩を反応させて1段階でアミノニト
リルを製造する工程の反応条件は、特に限定されるもの
ではないが、通常は反応温度0〜50℃で行われる。青酸
塩としてはシアン化アルカリが好ましく、シアン化アル
カリの中ではシアン化カリ及びシアン化ナトリウムが特
に好ましい。アンモニウム塩としては塩化アンモニウム
が好ましい。
で示されるD,L-アリシンアミドアセタールを製造するた
めには2つの方法がある。1つはD,L-α- アミノニトリ
ルを部分加水分解する方法であり、他の方法はD,L-α-
アミノニトリルと R3COR4 (但し R3 及び R4 は低級ア
ルキル基)で示されるケトンとからオキサゾリジンを製
造し、このオキサゾリジンを加水分解する方法である。
D,L-α- アミノニトリルを部分加水分解する場合の反応
条件は、特に限定されるものではないが、通常は塩基性
触媒及びケトン類の存在下、水溶液中、反応温度0〜30
℃で行われる。オキサゾリジンを経由してD,L-アリシン
アミドアセタールを製造する場合の反応条件は、特に限
定されるものではないが、通常は塩基性触媒存在下、ア
ミノニトリルに対して1〜5倍モル程度のケトン類を用
い、反応温度-10 〜50℃程度、好ましくは0〜30℃程度
でオキサゾリジン合成を行い、次いで該オキサゾリジン
を水溶液中で0〜50℃程度の反応温度で加水分解するこ
とによって行われる。
製造する方法は、工業原料として広く使用されているア
ルデヒド類、青酸およびアンモニアから容易に製造する
ことができる点で有利である。本発明の一般式(I)で
示されるD,L-アリシンアミドアセタールの代表例は、D,
L-アリシンアミドジメチルアセタール(D,L-2-アミノ-
6,6- ジメトキシヘキサンアミド)、D,L-アリシンアミ
ドジエチルアセタール(D,L-2-アミノ-6,6- ジエトキシ
ヘキサンアミド)およびD,L-アリシンアミドエチレンア
セタール(D,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサ
ンアミド)などがある。また一般式(I)で示されるD,
L-アリシンアミドアセタールは、その製法および品質等
に特に制限はない。
生化学的加水分解に使用される微生物菌体は、目的とす
るL-アリシンアセタールに該当するL-アリシンアミドア
セタールを立体選択的に加水分解する活性を有する微生
物の菌体であれば良く、このような微生物として例え
ば、シュードモナス属、クリプトコッカス属、ロツデロ
マイセス属 、ロドスポリジウム属、ミコプラーナ属お
よびパチソレン属等に属する細菌が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。具体的な例としては、ミ
コプラーナ ブラタ(Mycoplana bullata )NCIB 9440
、シュードモナスロゼア(Pseudomonas rosea )NCIB
10605、クリプトコッカス ラウレンティ(Cryptococcu
s laurentii)ATCC 18803、ロツデロマイセス エロギ
スポラス(Lodderomyces elogisporus)IFO 1676、ロド
スポリジウム トルロイドス(Rhodosporidium toruloi
des )IFO 0871、パチソレン タンノフィラス(Pachys
olentannophilus)IFO 1007 がある。
炭素源、窒素源、各微生物に必須の無機塩、栄養等を含
有させた培地を用いて行われるが、高い酵素活性を得る
ために、培地に予めD,L-α- アミノ酸アミドを添加する
ことも効果的である。この際に添加されるD,L-α- アミ
ノ酸アミドは、目的とするL-アリシンアセタールに対応
するD,L-アリシンアミドアセタールを用いることが好ま
しいが、一般的なD,L-α- アミノ酸アミド、例えばD,L-
アラニンアミド、D,L-バリンアミド等でもよく、特に制
限はない。培養時のpHは、4 〜10の範囲であり、温度は
20〜50℃である。培養は1 日〜1 週間程度好気的に行わ
れる。このようにして培養した微生物は、培養液、分離
菌体、菌体破砕物、さらには精製した酵素として反応に
使用される。また、常法に従って、菌体または酵素を固
定化して使用することもできる。菌体処理物とは菌体を
処理した物、即ち前記の菌体破砕物、精製した酵素、菌
体または酵素を固定化した物を意味する。
加水分解反応の条件は以下の通りである。反応液中のD,
L-アリシンアミドアセタール濃度は1 〜40wt% 、D,L-ア
リシンアミドアセタールに対する微生物の菌体及び/又
は菌体処理物の使用量は乾燥菌体として重量比0.005 〜
3 、反応温度20〜70℃、pH5 〜13の範囲である。D,L-ア
リシンアミドアセタールの生化学的加水分解反応で生成
したL-アリシンアセタールは、反応終了液から、例えば
遠心分離あるいは濾過膜などの通常の固液分離手段によ
り微生物の菌体及び/又は菌体処理物を除き、減圧濃縮
後、有機溶媒を加えてL-アリシンアセタールを析出さ
せ、析出したL-アリシンアセタールを濾取するといった
方法、あるいは微生物の菌体及び/又は菌体処理物を除
いた後、減圧下で水を除去し、残渣固体に有機溶媒を加
えて未反応のD-アリシンアミドアセタールを溶解し、不
溶のL-アリシンアセタールを濾取するといった方法によ
り、容易に分離することができる。このときL-アリシン
アセタールを析出させるため、あるいは未反応のD-アリ
シンアミドアセタールを溶解させるために加える有機溶
媒は、L-アリシンアセタールの溶解度が低く、未反応の
D-アリシンアミドアセタールの溶解度が高い溶媒であれ
ばよく、特に制限はないが、エタノール、2-プロパノー
ル、2-メチル-1- プロパノール、1 - ブタノールおよび
2-ブタノール等のアルコール類が好適に使用される。ま
た、微生物の菌体及び/又は菌体処理物を分離した反応
終了液から、未反応のD-アリシンアミドアセタールを溶
媒抽出などの方法により除いた後、残液から晶出などの
方法によってL-アリシンアセタールを分離することもで
きる。このときD-アリシンアミドアセタールを抽出する
溶媒として、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエンおよ
びキシレン等の非極性溶媒が挙げられる。このほか、反
応終了液から微生物の菌体及び/又は菌体処理物を除い
た後、イオン交換電気透析によりL-アリシンアセタール
だけを選択的に分離回収する方法も有効である。
前記のD,L-アリシンアミドアセタールの生化学的加水分
解反応終了液からL-アリシンアセタールを分離した後の
液の濃縮、あるいは微生物の菌体及び/又は菌体処理物
分離後の反応終了液からの溶媒抽出などの方法により、
容易に回収される。回収したD-アリシンアミドアセター
ルは、強塩基性物質の存在下で加熱することにより、容
易にラセミ化し、D,L-アリシンアミドアセタールとする
ことができるため、再度これを生化学的加水分解反応の
原料として使用することができる。D-アリシンアミドア
セタールのラセミ化反応で使用されるD-アリシンアミド
アセタールは、前記のD,L-アリシンアミドアセタールの
生化学的加水分解反応終了液から回収されたD-アリシン
アミドアセタールをそのまま、または必要に応じて再結
晶等の操作によって精製を行った後に用いることができ
る。
応に使用される強塩基性物質とは、有機または無機の強
塩基性物質であれば良く、代表例として水酸化テトラメ
チルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウ
ムなどの有機第四級アンモニウム化合物ならびに水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、
ナトリウムエチラート、ナトリウムアミドおよびナトリ
ウムハイドライドなどのアルカリ金属化合物、ならびに
水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属化合物が挙げら
れる。なお、反応系内において上記の強塩基性物質に変
化しうる物質、例えばナトリウムおよびカリウムなどの
アルカリ金属単体、ならびにバリウムなどのアルカリ土
類金属単体などをそれぞれ添加することも可能である。
ンアミドアセタール1 モルに対して0 .001〜0.5 モルの
割合であり、好適には0.01〜0.1 モルの割合である。D-
アリシンアミドアセタールのラセミ化反応は、溶媒を使
用しないで行うこともできるが、溶媒を使用した場合に
は反応温度を低くすることができ、そのため副生成物が
生成する危険性を低くすることができ、より好適であ
る。この際に使用される溶媒としては、D-アリシンアミ
ドアセタールおよび強塩基性物質のそれぞれに対して不
活性であれば良く、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化
水素類、2-プロパノール、2-メチル-1- プロパノール、
2-ブタノール、1-ブタノールおよび1-ペンタノール等の
アルコール類、ならびにイソブチロニトリルなどがあ
る。溶媒の使用量に特に制限はないが、実用上、D-アリ
シンアミドアセタールの重量に対して100 倍より多くす
る必要はなく、1 〜20倍程度が好ましい。
しいが、1wt% 程度以下ならば殆ど支障はなく、0.1wt%
以下であれば実質的に支障はない。ラセミ化反応の温度
は、20〜200 ℃、好適には50〜150 ℃である。ラセミ化
反応は、通常、常圧下で行われるが、減圧下または加圧
下で行うことを妨げない。ラセミ化反応終了後、生成し
たD,L-アリシンアミドアセタールを分離回収する方法
は、例えば減圧下で溶媒を留去した後、冷却して結晶を
析出させ、濾取または遠心分離などの通常の固液分離操
作により分離回収する方法、あるいはラセミ化反応終了
液へ水を添加して、D,L-アリシンアミドアセタールを水
相へ溶出し、そのまま、あるいはpH調整後生化学的加水
分解工程へ循環する方法があるが、後者の方が工業的に
は、より合理的である。
ルをラセミ化しD,L-アリシンアミドアセタールとし、生
化学的加水分解反応系へ循環することにより、D,L-アリ
シンアミドアセタールを全量L-アリシンアセタールに変
換することができる。本発明の方法によって、具体的に
は、例えばL-アリシンジメチルアセタール、L-アリシン
ジエチルアセタール、およびL-アリシンエチレンアセタ
ール等のL-アリシンアセタールを製造することが可能で
ある。
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 実施例1 グルタルアルデヒドモノアセタールからD,L-
アリシンアミドアセタールの製造 (a)D,L-6,6-エチレンジオキシ-2- ヒドロキシヘキサ
ンニトリルの製造 撹拌機、温度計、還流冷却器および滴下ロートを付した
200ml 四ツ口フラスコに、メチル-t- ブチルエーテル35
g を入れ、5℃に冷却し、青酸8.0g(0.30mol)を添加
した。ここに撹拌下、トリエチルアミン0.6gを加えた
後、5,5-エチレンジオキシペンタナール33.0g (0.23mo
l )を、反応液の温度が20℃を越えないように滴下ロー
トから約20分かけて徐々に滴下した。さらに20℃で2時
間撹拌した後、粗D,L-6,6-エチレンジオキシ-2- ヒドロ
キシヘキサンニトリルを含む反応混合液を、そのまま次
のアミノ化工程に供した。 (b)D,L-2-アミノ-6,6 -エチレンジオキシヘキサンニ
トリルの製造 200ml 耐圧容器に、前記(a)で得た粗D,L-6,6-エチレ
ンジオキシ-2- ヒドロキシヘキサンニトリルを含む反応
混合液76g を入れ、一旦−20℃に冷却し、液体アンモニ
ア39.1g (2.3mol)を加え、その後40℃の水浴中で2時
間振盪し、さらに室温で15時間静置した。反応系内をア
ンモニアのパージにより常圧に戻した後、反応混合物を
200ml ナス型フラスコに移し、過剰のアンモニアをエバ
ポレーターで除去し、粗D,L-2-アミノ-6,6 -エチレンジ
オキシヘキサンニトリル40.0g を褐色油状物として得
た。
ール(D,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンア
ミド)の製造 撹拌機、温度計およびpH電極を付した300ml 四ツ口フラ
スコに、蒸留水40g およびアセトン40gを入れ、5 ℃に
冷却し、前記(b)で得た粗D,L-2-アミノ-6,6-エチレ
ンジオキシヘキサンニトリル39.0gを加え、さらに40%水
酸化ナトリウム水溶液2.5g(水酸化ナトリウムとして1.
0g、0.025mol)を、氷冷下、撹拌しながら添加した。40
%水酸化ナトリウム水溶液添加後、反応液の温度は15℃
に上昇した。反応混合物を10時間撹拌した後、18% 塩酸
5.0g(塩酸として0.9g、0.025mol)を加え、エバポレー
ターで水およびアセトンを留去した。残渣45.7g に炭酸
ジメチル100ml を加えて溶解し、不溶の固体を濾過して
除いた。濾液の溶媒をエバポレーターで濃縮し、5℃に
冷却して、析出したD,L-アリシンアミドエチレンアセタ
ールの白色結晶を濾取した。得られた結晶の乾燥後の重
量は35.0g (0.19mol )、5,5-エチレンジオキシペンタ
ナールに対する収率は81モル% であった。
ンアセタールの融点、元素分析値、IRスペクトル、1H-N
MRスペクトル、および13C-NMR スペクトルを示す。 1)融点:65-67 ℃ 2)元素分析値:C8H16N2O3 (MW188.23) 理論値(%):C51.05 H8.57 N14.88 実測値(%):C50.82 H8.78 N14.91 3)IRスペクトル(νmax 値、cm-1):(KBr )3352,
3296, 2953, 1674, 1606, 1416, 1142, 939 4)1H-NMRスペクトル(δ値、ppm ):(CDCl3 、内部
標準:TMS )1.63(m,6H), 1.84(m,2H), 3.34(m,1H), 3.
89(m,4H), 4.86(m,1H), 6.29(b r,1H), 7.08(b
r,1H) 5)13C-NMR スペクトル(δ値、ppm ):(CDCl3 、内
部標準:TMS )20.3, 33.6, 35.0, 55.1, 64.8, 104.2,
178.4
からL-アリシンアセタールの製造(1) a)L-アリシンエチレンアセタールの製造 次の組成の培地を調製し、この培地200ml を1L三角フラ
スコに入れ、滅菌後、ミコプラーナ ブラタ (Mycoplan
a bullata) NCIB 9440を接種し、30℃で48時間振盪培養
を行った。 培地組成 (pH7.0 ) グルコース 10 g ポリペプトン 5 g 酵母エキス 5 g KH2PO4 2 g MgSO4 ・7H2O 0.4 g FeSO4 ・7H2O 0.01 g MnCl2 ・4H2O 0.01 g D,L-バリンアミド 5 g 蒸留水 1 L 培養終了時、培養液の菌体濃度は5g/kg であった。この
培養液100gから、遠心分離により、乾燥菌体0.5gに相当
する生菌体を得た。この生菌体を100ml の蒸留水に懸濁
し、1L三角フラスコに入れ、ここにD,L-2-アミノ-6,6-
エチレンジオキシヘキサンアミド5.0g(27mmol)を加え
て、40℃で5 時間振とうして加水分解反応を行った。反
応液のpHは9.4 であった。
し、エバポレーターで減圧にて水を除去した後、2-プロ
パノール100ml を加えて未反応のD-2-アミノ-6,6- エチ
レンジオキシヘキサンアミドを溶解し、不溶のL-アリシ
ンエチレンアセタールを白色固体として濾取した。得ら
れた固体の乾燥後の重量は2.4g(13mmol)、D,L-2-アミ
ノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンアミドに対する収率
は48モル% 、L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサ
ンアミドに対する収率は95モル% であった。また、生成
したL-アリシンエチレンアセタールを光学分割用キラル
カラム(CHIRALPAK WH、ダイセル化学工業製)を用いた
液体クロマトグラフィーにより分析した結果、光学純度
は99%e.e. 以上であった。次に、得られたL-アリシンエ
チレンアセタールの融点、元素分析値、IRスペクトル、
1H-NMRスペクトル、および13C-NMR スペクトルを示す。 1)融点:217-218 ℃ 2)元素分析値:C8H15NO4(MW 189.21 ) 理論値(%):C50.78 H7.99 N7.40 実測値(%):C50.65 H8.07 N7.22 3)IRスペクトル(νmax 値、cm-1):(KBr )2950,
2873, 1581, 1514, 1444, 1408, 1145, 1061, 945 4)1H-NMRスペクトル(δ値、ppm ):(D2O 、内部標
準:TMS-PS)1.3-2.1(m,6H), 3.69(t,J=5.9Hz,1H), 3.9
2(m,4H), 4.90(t,J=4.5Hz,1H) 5)13C-NMR スペクトル(δ値、ppm ):(D2O 、内部
標準:TMS-PS)21.7, 32.9, 34.8, 57.3, 67.2, 106.3,
177.0
ヘキサンアミドの回収 L-アリシンエチレンアセタールの固体を濾取した後の濾
液の溶媒を、エバポレーターで減圧下留去し、ジイソプ
ロピルエーテル50mlを加えて不溶の固体を濾取し、未反
応のD-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンアミド
を白色固体として回収した。乾燥後の重量は2.2g(12mm
ol)、D,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンア
ミドに対する回収率は44モル% 、D-2-アミノ-6,6- エチ
レンジオキシヘキサンアミドに対する回収率は88モル%
であった。また、回収したD-2-アミノ-6, 6-エチレンジ
オキシヘキサンアミドを光学分割用キラルカラム(CROW
NPAK CR 、ダイセル化学工業製)を用いた液体クロマト
グラフィーにより分析した結果、光学純度は99%e.e. 以
上であった。 (c)D-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンアミ
ドのラセミ化 D-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンアミド1.0g
(5.3mmol )を10mlの2-メチル-1- プロパノールに溶解
し、ここに水酸化ナトリウム0.02g (0.5mmol)を加え
て110 ℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応液を冷却
し、ジイソプロピルエーテルを加え、析出した固体を濾
取し、D,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンア
ミドを得た。乾燥後の固体の重量は0.98g (5.2mmol )
であり、回収率は98モル% であった。この固体を光学分
割用キラルカラム(CROWNPAK CR )を用いた液体クロマ
トグラフィーにより分析した結果、D-2-アミノ-6,6- エ
チレンジオキシヘキサンアミドのラセミ化率は98% であ
った。なお、ラセミ化率は次のようにして算出した。 ラセミ化率(%) = L- アミド/(L-アミド+D- アミド) ×
2 ×100 ラセミ化率100%とは、L-アリシンアミドアセタールとD-
アリシンアミドアセタールとが互いに等量であることを
示す。
からL-アリシンアセタールの製造(2) 実施例2の培養液20g から遠心分離によって得た乾燥菌
体0.1gに相当する生菌体を20mlの蒸留水に懸濁し、100m
l 三角フラスコに入れ、ここに実施例2でラセミ化回収
したD,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシヘキサンアミ
ド0.5g(2.7mmol) および新たなD,L-2-アミノ-6,6- エチ
レンジオキシヘキサンアミド0.5g(2.7mmol) を加えて、
40℃で5 時間振とうして加水分解反応を行った。反応液
のpHは9.5 であった。反応後、実施例2と同様に後処理
を行い、L-アリシンエチレンアセタールを白色固体とし
て得た。得られた固体の乾燥後の重量は0.47g(2.5mmo
l)、新たに加えたD,L-2-アミノ-6,6- エチレンジオキシ
ヘキサンアミドに対する収率は93モル%であった。ま
た、生成したL-アリシンエチレンアセタールを光学分割
用キラルカラム(CHIRALPAK WH)を用いた液体クロマト
グラフィーにより分析した結果、光学純度は99%e.e. 以
上であった。
タールを、少ない工程数で安価に製造することができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 一般式(I)で示されるD,L-アリシンア
ミドアセタールに、L-アリシンアミドアセタールを立体
選択的に加水分解する活性を有する微生物の菌体及び/
又は菌体処理物を作用させて、一般式(II)で示される
L-アリシンアセタールを製造することを特徴とするL-ア
リシンアセタールの製造法、 【化1】 【化2】 ただし、式中のR1、R2は互いに同一または相異する低級
アルキル基、またはR1とR2を合わせて [CH2]n で表され
るアルキレン基であり、nは2〜3である。 - 【請求項2】 D,L-アリシンアミドアセタールに微生物
の菌体及び/又は菌体処理物を作用させた後、未反応の
D-アリシンアミドアセタールを強塩基性物質の存在下で
加熱することによりラセミ化してD,L-アリシンアミドア
セタールを得、再度原料として使用する請求項1記載の
方法。 - 【請求項3】 一般式(I)で示されるD,L-アリシンア
ミドアセタールが、一般式 (III)で示されるグルタルア
ルデヒドモノアセタールと、青酸若しくは青酸塩及びア
ンモニア若しくはアンモニウム塩とから誘導されるアミ
ノニトリルをアルカリで部分加水分解して得られたもの
である請求項1又は2記載の方法、 【化3】 ただし、式中のR1、R2は互いに同一または相異する低級
アルキル基、またはR1とR2を合わせて [CH2]n で表され
るアルキレン基であり、nは2〜3である。 - 【請求項4】 一般式(I)で示される新規なD,L-アリ
シンアミドアセタール。 - 【請求項5】 一般式 (III)で示されるグルタルアルデ
ヒドモノアセタールと、青酸若しくは青酸塩及びアンモ
ニア若しくはアンモニウム塩とから誘導されるアミノニ
トリルをアルカリで部分加水分解することを特徴とする
D,L-アリシンアミドアセタールの製造法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002037781A (ja) * | 2000-07-24 | 2002-02-06 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | アリシンアミドエチレンアセタールのラセミ化法 |
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-
1999
- 1999-07-05 JP JP19054199A patent/JP4492765B2/ja not_active Expired - Fee Related
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