JP2000083668A - 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法 - Google Patents

複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法

Info

Publication number
JP2000083668A
JP2000083668A JP10267227A JP26722798A JP2000083668A JP 2000083668 A JP2000083668 A JP 2000083668A JP 10267227 A JP10267227 A JP 10267227A JP 26722798 A JP26722798 A JP 26722798A JP 2000083668 A JP2000083668 A JP 2000083668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
template
stranded
stranded dna
primer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10267227A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Okamoto
泰志 岡本
Masakata Hirai
正名 平井
Tsutomu Kajino
勉 梶野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP10267227A priority Critical patent/JP2000083668A/ja
Publication of JP2000083668A publication Critical patent/JP2000083668A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数種の鋳型一本鎖DNAを使用して長鎖二
本鎖DNAを合成する方法の提供。 【解決手段】 本発明の合成方法により、3′−末端側
同士又は5′−末端側同士の少なくとも一方において相
補的な結合領域を有し、かつ、上記結合領域においてア
ニールして連続的に連結して上記二本鎖DNAの塩基配
列の全体を構成することができる複数種の鋳型β−本鎖
DNAに、DNAポリメラーゼを作用させて、目的とす
る長鎖二本鎖DNAを、簡易かつ、迅速に合成すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリメラーゼ連鎖
反応を利用した、複数種の鋳型一本鎖DNAを使用し
た、非天然塩基配列を含む長鎖二本鎖DNAの合成方法
に関する。上記鋳型一本鎖DNAは、天然物からの単離
又は化学合成により調製することができるので、本発明
に係る合成方法により、複数種のかかる鋳型一本鎖DN
Aを使用して、天然に存在しない長鎖二本鎖DNAを合
成し、そのDNAを用いて新規なポリペプチド又はタン
パク質を創製することができる。従って、本発明は、生
理又は薬理活性を有する有用な新規なポリペプチド又は
タンパク質の探索において有用な手段を提供する。
【0002】
【従来の技術】現在、DNAを合成する方法は、少なく
とも2種類存在する。それは、DNA合成酵素を用いる
方法と、DNAを化学的に合成する方法である。DNA
合成酵素を用いる方法は、短い一本鎖DNA又はRNA
から成るプライマー及び一本鎖DNAの鋳型が必要であ
る。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)〔サイキら、
サイエンス、第239巻、第487〜491頁、(19
88)〕が開発されており、最近では、4万bp(塩基
対)程度までの増幅が可能になっている。PCR法にお
いて、その鋳型DNAが天然物由来である場合には、増
幅すべき鋳型DNAの調製は比較的容易である。すなわ
ち、天然DNAの制限酵素による切断及び再連結によっ
て目的とする鋳型DNAを合成することができる。一
方、増幅すべき鋳型DNAが非天然のDNAを含む場
合、すなわち、その天然DNAの一部が合成DNAで置
換されたものである場合、その天然DNAにプロモータ
ー等の他のユニットが結合されたものである場合、又は
その全てが合成DNAである場合等には、一定の合成D
NAを化学的に事前に合成して、これらを、何らかの手
段で互いに又は天然DNAに結合させて増幅すべき鋳型
DNAを調製する必要がある。
【0003】DNAを化学的に合成する方法としては、
燐酸ジエステル法、燐酸トリエステル法や亜リン酸法等
があり、これらの方法により、任意の塩基配列をもつD
NAを、各種のDNA自動合成機を使用して化学合成す
ることができる。しかしながら、これらの化学合成法に
おいて合成することができる塩基配列の長さの限界は、
一般に100bp程度である。長いDNAを一回(1バッ
チ)の反応で化学合成することは不可能に近い。たとえ
合成できたとしても、多くの複雑な工程とかなりの費用
がかかり、さらにそのように合成されたDNAの純度も
極めて低いという欠点がある。数回の反応により長い配
列のDNAを合成できる可能性は残されているが、この
場合も高価な試薬や酵素を使用し、複雑な精製工程が必
要であるという欠点がある。
【0004】従来、例えば、1,000bpの長鎖二本鎖
DNAを一定量最終的に得ようとする場合には、図1に
示すように、目的とするDNAのセンス鎖とアンチセン
ス鎖の全領域を最大約100bp毎に分割し、それぞれの
一本鎖DNAを化学合成し、これらを混合してリガーゼ
(連結酵素)で連結する。すなわち、1,000bpの長
鎖鋳型二本鎖DNAを得るためには、2,000bp分の
一本鎖DNAを化学合成する必要がある。通常、このよ
うな操作においては、化学合成に1日、精製に1から2
日、連結反応に30分から一晩を要する。また、連結後
のDNAの精製処理、例えば、電気泳動、液体クロマト
グラフィー等が必要になる場合もある。従って、最終的
に得ようとする二本鎖DNAの長さが長くなればなる
程、長鎖鋳型二本鎖DNAを得るまでの時間が長くな
り、コストと複雑な操作が必要とされる。さらにいえば
このような方法では目的とするDNA中にホモロジーの
ある領域が存在する場合でも相補鎖全てを合成する必要
がある。このため全ての断片が誤りなくアニールし、目
的どおりの長鎖二本鎖DNAが構成される確率は低くな
らざるを得ず、例えばプロモータ領域のようにホモロジ
ーの高い領域が多数存在する場合には合成が不可能な場
合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、非天然塩基配
列を含む長鎖二本鎖DNAを、複数の鋳型一本鎖DNA
を使用して、簡易、かつ、迅速に合成する方法の必要性
が存在する。
【0006】従来、3′末端側同士に相補的な配列を有
するプライマーにDNAポリメラーゼを作用させると、
3′末端側から相補鎖の伸長が起こり、二本鎖DNAが
合成されることが知られていた。この反応はPCR法に
おいてはその特徴であるDNAの特異的増幅を阻害する
要因として、プライマー設計上避けなければならない重
要事項と認識されていた。本願発明者らは、今般、驚ろ
くべきことに、3′末端側同士又は5′末端同士の少な
くとも一方に相補的な配列を有する一本鎖鋳型DNAを
複数種用いることにより長鎖二本鎖DNAが合成可能で
あることを発見した。一見、本願発明に係るDNAの合
成方法に類似していると思われる方法が、組換えPCR
法で利用されている。当該方法は天然のDNAを鋳型と
し、変異箇所を有するプライマーを用いて3′末端側に
相補的な配列を有する一本鎖DNAを合成し、これにD
NAポリメラーゼを作用させて変異箇所を有する二本鎖
DNAを合成する方法である。従って、組換えPCR法
は、本発明に係る方法と目的において異なる。さらに本
願発明に係る方法は鋳型となる天然のDNAを本質的に
必要としない点で当該組換えPCR法と異なる。また、
上述のようなリガーゼを用いる従来のDNA合成方法で
は、ホモロジーがある領域が存在する場合でも相補鎖全
てを合成する必要があった。このため、全ての断片が誤
りなくアニールし、目的どおりの長鎖二本鎖DNAが構
成される確率は低いものにならざるを得ず、例えば、プ
ロモータ領域のようにホモロジーの高い領域が多数存在
する場合には合成が不可能な場合があった。本発明に係
る方法によれば全ての相補鎖を合成する必要が無いた
め、あらかじめ相補的に結合させる領域を選定すること
が可能であり、このため上記の欠点を解消することがで
きる。相補的に結合させる領域の選定に当たってはホモ
ロジーのある領域を避けることが重要であり、このため
合成したい配列間のホモロジー検索を事前に実施するこ
とが好ましい。また、相補的な結合領域のTmをほぼ一
定に調整することも可能であり、この操作によって、最
適のアニール温度が決まり、従来法で起っていた相補鎖
のミスマッチの確率を著しく減少させることができる。
このように本発明によれば、合成時の自由度が著しく向
上することにより、従来法の欠点を確実に解消すること
ができる。この際に化学合成すべき一本鎖鋳型DNAは
従来法の約半分で良いのでコスト、時間および工程が著
しく軽減されることは言うまでもない。
【0007】PCR法に用いられるTaqDNAポリメ
ラーゼは、内因性の3′→5′エキソヌクレアーゼ活性
はもっていないので(従って、誤って合成されたDNA
は修正されない)、かかるDNAポリメラーゼは生化学
的に極めて正確であるとは考えられていない。従って、
PCR法においては、かかるDNAポリメラーゼの正確
さ(フィデリティー)を確保するために、dNTPの濃
度等を考慮すべきであるとされている。このために、従
来、当業者は、PCR法により増幅されるべき鋳型を、
上記DNAポリメラーゼを用いて得るということをため
らっていたものと思われる。しかしながら、本発明に係
るDNAの合成方法は、以下に記載するようにPCR法
と組み合わせることにより、さらに有効な長鎖二本鎖D
NAの合成法となる。すなわちPCR法で増幅すべき長
鎖二本鎖鋳型DNAを構成するに必要な複数の短鎖一本
鎖DNA及びプライマーを化学合成し、PCRを行なう
ことにより、複雑な操作や工程を経ることなく、従来法
と比較して著しく安価、短時間に非天然型の長鎖二本鎖
DNAを大量に調製することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の1の態様におい
ては、3種以上の鋳型一本鎖DNAを使用して長鎖二本
鎖DNAを合成する方法であって、(1)少なくとも
3′−末端又は5′−末端のどちらか一方に互いに相補
的な結合領域を有し、かつ、上記結合領域においてアニ
ールして連続的に連結して上記二本鎖DNAの塩基配列
の全体を構成することができる3種以上の鋳型一本鎖D
NAに、連結後の鋳型一本鎖DNAの末端に、3′−末
端が突き出た場合には、その3′−末端側に相補的にア
ニールするプライマーDNAの存在下、DNAポリメラ
ーゼを作用させて、上記二本鎖DNAの全体長の長さを
もつ長鎖鋳型二本鎖DNAを合成する第1の工程を有す
るDNAの合成方法が提供される。そして本発明の他の
態様においては、(2)前記第1の工程において得られ
た長鎖鋳型二本鎖DNAを、a)上記の3′−末端側に
相補的にアニールするプライマーDNAと、b)上記の
アニールして連続的に連結した複数種の鋳型一本鎖の連
結物の末端に、5′−末端が突き出た鋳型一本鎖が存在
する場合には、その5′−末端側の塩基配列をもつプラ
イマーDNAの存在下、ポリメラーゼ連鎖反応に供し
て、目的とする長鎖二本鎖DNAを得る、第2の工程を
さらに有することを特徴とするDNAの合成方法が提供
される。
【0009】本発明の原理を以下の図2に示す。例とし
て、鋳型一本鎖DNAの種類(以下、nとする。)が3
の場合と4の場合を示しているが、nは、これに限定さ
れるものではない。図2に示すnが3の場合には、3′
末端が突き出た(3′末端同士に相補的な結合領域をも
たない)鋳型一本鎖DNAが存在し、この場合には、こ
の鋳型一本鎖DNAの3′末端に相補的に結合するプラ
イマーDNAが必要である。また、この場合には、2回
の反応サイクルで長鎖鋳型二本鎖DNAが合成される。
一方、図2に示すnが4の場合には、3′末端が突き出
た(3′末端同士に相補的な結合領域をもたない)鋳型
一本鎖DNAが存在しないので、この場合には、この鋳
型一本鎖DNAの3′末端に相補的に結合するプライマ
ーDNAが必要ではない。また、この場合にも、2回の
反応サイクルで長鎖鋳型二本鎖DNAが合成される。
【0010】長鎖鋳型二本鎖DNAを得るためには、少
なくとも(log n/log 2)回以上(ここで、
nは、前記鋳型一本鎖DNAの種類の数であり、そして
式の値は小数点以下を切り上げた整数である。)のサイ
クルが必要である。この式は、1サイクルで鋳型一本鎖
DNAの数が半分になるということに基づくものであ
る。従って、n=100、すなわち、100種の100
bpの鋳型一本鎖DNAを使用した場合には、たった7回
のサイクルで約1万塩基対の長鎖鋳型二本鎖DNAを合
成することができることになる。
【0011】本発明に係る長鎖二本鎖DNA合成方法に
おいては、前記鋳型一本鎖DNAの各々の前記反応液中
の濃度がほぼ等しいものであることができる。本発明に
おいては、長鎖鋳型二本鎖DNAを合成した後に、引き
続きPCRを行うので、プライマーは、鋳型一本鎖DN
Aよりも過剰量、好ましくは、プライマーDNAの量
が、前記鋳型一本鎖DNAの濃度に比較して、10倍以
上で存在する。
【0012】さらに、本発明に係る長鎖二本鎖DNA合
成方法においては、前記プライマーDNAの溶融温度
(Tm)を、前記鋳型一本鎖DNAの相補的な結合領域
のTmよりも高くなるように、それらの相補的領域の塩
基配列を設定し、前記第1の工程において、少なくとも
(log n/log 2)回以上(ここで、nは、前
記鋳型一本鎖DNAの種類の数であり、そして式の値は
小数点以下を切り上げた整数である。)、前記鋳型一本
鎖DNAの相補的な結合領域のTmの内最も低い温度以
下でアニーリングさせ、そしてそれに見合う温度で前記
プライマーを伸長させて、ポリメラーゼ反応を行い、そ
の後、前記第2の工程において、前記プライマーDNA
のTmの内最も低い温度付近でアニーリングさせ、そし
てそれに見合う温度で前記プライマーを伸長させて、ポ
リメラーゼ連鎖反応を行うことが望ましい。前記第1の
工程におけるアニーリング温度を低く設定する理由は、
ポリメラーゼ連鎖反応における長鎖の鋳型が正しく合成
されていることを保証するためである。
【0013】さらに、本発明に係る長鎖二本鎖DNA合
成方法においては、前記鋳型一本鎖DNAが、50〜1
20塩基対の長さであり、そして前記鋳型一本鎖DNA
の種類の数が、2〜400であることができる。
【0014】本発明に係る長鎖二本鎖DNAの合成方法
においては、上記以外の反応条件においては、PCRの
標準的なプロトコールに従うことができる。これらの諸
条件には、TaqDNAポリメラーゼの濃度、鋳型DN
Aの濃度、dNTPの濃度、マグネシウム濃度、緩衝液
の種類、アニーリングの温度・時間、プライマーの伸長
時間・伸長温度、DNAの変性の温度・時間、サイクル
数、プライマーの濃度、Tm及び塩基配列、プラトー効
果、並びにPCRの正確さの考慮等、がある。
【0015】TaqDNAポリメラーゼは、Perkin-Elm
er Cetus社のGeneAmp PCR Core Reagents のAmplitaqD
NAであることができる。DNAポリメラーゼの濃度
は、製造元によって異なるが、一般に、1.0〜3.0
単位、好ましくは、2.0〜2.5単位であることがで
きる。DNAポリメラーゼの濃度が高いと、非特異的な
PCR生成物が生じ、また、低濃度では収量が低下する
ことがある。
【0016】鋳型DNAの濃度は、反応溶液100μl
当たり105 〜106 分子に相当する量であることがで
き、又はその最終濃度は、0.1〜1,000nM、好ま
しくは1〜100nMであることができる。dNTPの濃
度は、2〜300μM、好ましくは2〜250μMであ
ることができる。dNTPの濃度を20〜200μMの
間とすると、PCR反応が、その効率、特異性、正確さ
からみて、満足のいく結果が得られることが多い。4種
のデオキシヌクレオチドの濃度を均一にしないと、ミス
インコーポレーションの割合が高くなることが知られて
いる。
【0017】マグネシウム濃度は、0.5〜2.5mM、
好ましくは、1.0〜2.0mMである。マグネシウム濃
度は、プライマーのアニーリング状態、鋳型及びPCR
生成物のDNA解離温度、合成されたDNAの正確さ、
プライマー二量体の形成状況、酵素活性、に関与するこ
とが知られている。緩衝液は、5〜50mM、好ましく
は、5〜20mM Tris-HCl(pH 8.3) であることができ
る。また、塩化カリウムは、10〜100mMであること
ができ、好ましくは、約50mMまで添加されることがで
き、プライマーのアニーリングを促進することが知られ
ている。
【0018】アニーリングの温度は、プライマー又は前
記一本鎖鋳型DNAの塩基の内容と長さ及び濃度によっ
て決定されるが、一般に、Tm の5℃下の温度が選ばれ
る。一般に、アニーリング温度を上昇させると、プライ
マーと鋳型DNAのミスマッチが減少し、プライマー
3′側のミスインコーポレーションを防ぐことができ
る。従って、正確さを高めるためには、長いプライマー
を用い、反応温度を一定にして伸長反応を行うことが望
ましいといえるが、本発明に係る長鎖二本鎖DNA合成
反応の第1の工程においては、上述のように、増幅され
るべき完全長の長鎖鋳型二本鎖DNAの形成を保証する
ために、アニーリング温度を下げることが望ましい。以
下の実施例においては、前記第1の工程においては、3
7℃、そして前記第2の工程においては、63℃とした
が、それぞれ、30〜55℃、及び55〜72℃である
ことができる。
【0019】プライマーの伸長時間は、鋳型DNAの濃
度と長さ、及び伸長温度はによって左右される。標準的
な反応では、伸長温度は、72℃であり、最適温度に近
いものである。72℃におけるDNAの合成速度は、緩
衝液、pH、塩濃度、鋳型DNAの性質によって異なる
が、1秒当たり35〜100塩基である。従って、2kb
以内のDNA合成については、72℃で1分間行えば十
分である。本発明に係る長鎖二本鎖DNA合成反応の第
1の工程において、増幅されるべき完全長の長鎖鋳型二
本鎖DNAの形成を保証するためにアニーリング温度を
下げたために、それに見合うようにプライマーの伸長温
度も上記最適温度から低下したものとなっている。以下
の実施例においては、前記第1の工程おける伸長温度
は、50℃であるが、45〜65℃であることができ
る。
【0020】DNAの変性の温度・時間は、95℃30
秒、97℃15秒、又は94℃15秒等の標準的なもの
であることができる。また、サイクル数は、一般的に、
40回以下であることができる。
【0021】プライマーの濃度は、0.1〜2.0μ
M、好ましくは、0.1〜1.0μMであることができ
る。プライマーがあまりに高濃度になるとアニーリング
に誤りが生じ、鋳型DNAと無関係な非特異的なDNA
が合成されたり、プライマー自体が二量体を形成したり
するアーティファクトが出現する可能性が高くなり、そ
れ自体がPCR反応の鋳型となるので、正しく合成され
るべきDNAの伸長を阻害して、収率が著しく低下す
る。標準的なプライマーは、18〜28塩基対の長さで
あり、50〜60%のグアニン/シトシンを含んでい
る。また、使用する2つのプライマーのTm は同一にす
べきである。目安として、アデニンとチミンでは2℃、
グアニンとシトシンでは4℃と計算すればよいとされて
いる。一般に、プライマーのTm は、55〜80℃が望
ましく、プライマー同士の3′側は、相補性を有しない
ものとしなければならない。そうでないとプライマーは
二量体を形成し、PCRの収率が低下するからである。
また、3′側にはシトシン又はグアニンを3つ以上続け
ない方が、グアニン/シトシンの豊富な塩基配列でのプ
ライミングを誤りを防ぐためによいとされている。さら
に、プライマー内でパリンドロームを形成しない塩基配
列にすべきであるとされる。
【0022】このようなプライマーの設計条件は、本発
明に係る長鎖二本鎖DNAの合成方法において使用され
る複数種の鋳型一本鎖DNAの前記結合領域の設計にも
同様に適用される。
【0023】従って、本発明に係る長鎖二本鎖DNAの
合成方法においては、2つのプライマー及び全ての鋳型
一本鎖DNAの結合領域の塩基配列を、上記プライマー
の設計条件を全て満足するように事前に決定しておき、
かかる設計に基づいて、前記鋳型一本鎖DNAの全て及
び2つのプライマーを合成する必要がある。かかる設計
が、本願発明に係る長鎖二本鎖DNAの合成方法を実施
する際に、決定的なものとなる。
【0024】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに説明する
が、これにより本発明が限定されるものではない。以下
の実施例1と2は、3種及び4種の鋳型一本鎖DNAを
用いた長鎖鋳型二本鎖DNAの合成例であるが、先に記
載した反応条件を満たす限り、100種まで、さらに4
00種までの鋳型一本鎖DNAにも拡張することができ
る。
【0025】実施例1:奇数(3種)の鋳型一本鎖DN
Aを用いた長鎖二本鎖DNAの合成(3′末端が突き出
た鋳型を有する場合) 以下の配列番号1〜8に表す鋳型1〜5並びにプライマ
ー1及び2を、化学合成機を使用して化学合成した。こ
のうち、鋳型1(配列番号:1)、鋳型2(配列番号:
2)及び鋳型3(配列番号:3)(各々最終濃度10nM
又は1nM)、プライマー1(配列番号:6)及びプライ
マー2(配列番号:7)(各々最終濃度1μM)、並び
に緩衝液〔10mMトリス−HCl(pH8.3)、50mM
KCl, 1.5mM MgCl2 、各々最終濃度〕、Pe
rkin-Elmer Cetus社のGeneAmp PCR Core Reagents のア
ンプリタクDNAポリメラーゼ(最終濃度2.5U)、
デオキシリボヌクレオチド〔dATP, dCTP,
dGTP,dTTP(各々最終濃度200μM)〕から
成る反応液100μlを、PCR装置 Perkin Elmer Ce
tus Gene Amp CRS System 9600 (2400) 内で、以下の表
1に示す反応条件下で反応させた。
【0026】
【表1】
【0027】この反応液10μlを、1%アガロース、
トリス/ホウ酸/EDTAゲルに電気泳動後、臭化エチ
ジウムで染色して、紫外線ランプ下で観察したところ、
図3の図面に代わる写真上に、約190bpのバンドを確
認した。このバンド上の生成物を配列決定したところ以
下の配列番号:9に示す配列をもつことが判明した。こ
の結果から、鋳型1、鋳型2、鋳型3及びプライマー2
から長鎖鋳型二本鎖DNAが合成され、これにプライマ
ー1とプライマー2が結合してポリメラーゼ連鎖反応が
正確に行われたことが確認された。尚、配列番号:1の
67〜79位と配列番号:2の53〜65位、そして配
列番号:2の1〜15位と、配列番号:3の1〜15位
が相補領域である。
【0028】実施例2:偶数個(4種)の鋳型一本鎖D
NAを用いた長鎖二本鎖DNAの合成(5′末端が突き
出た鋳型を有しない場合) 鋳型2(配列番号:2)、鋳型3(配列番号:3)、鋳
型4(配列番号:4)及び鋳型5(配列番号:5)(各
々最終濃度100nM,10nM又は1nM)、プライマー2
(配列番号:7)及びプライマー3(配列番号:8)
(各々最終濃度1μM)、並びに緩衝液〔10mMトリス
−HCl(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM M
gCl2 、各々最終濃度〕、アンプリタクDNAポリメ
ラーゼ(最終濃度2.5U)、デオキシリボヌクレオチ
ド〔dATP, dCTP, dGTP, dTTP
(各々最終濃度200μM)〕から成る反応液100μ
lを、PCR装置Perkin Elmer Cetus Gene Amp CRS Sy
stem 9600 (2400)内で、表1に示す反応条件下で反応さ
せた。この反応液10μlを、1%アガロース、トリス
/ホウ酸/EDTAゲルに電気泳動後、臭化エチゾウム
で染色して、紫外線ランプ下で観察したところ、図4の
図面に代わる写真上に、約270bpのバンドを確認し
た。このバンド上の生成物を配列決定したところ以下の
配列番号:10に示す配列をもつことが判明した。この
結果から、鋳型2、鋳型3、鋳型4及び鋳型5から長鎖
鋳型二本鎖DNAが合成され、これにプライマー2とプ
ライマー3が結合してポリメラーゼ連鎖反応が正確に行
われたことが確認された。尚、配列番号:2の1〜15
位と配列番号:3の1〜15位、配列番号:2の51〜
65位と配列番号:5の69〜83位、そして配列番
号:5の1〜10位と配列番号:4の1〜10位が相補
領域である。
【0029】
【発明の効果】本発明によって、従来制限酵素部位の導
入、結合反応、精製工程等の複雑な工程と多大なコスト
がかかっていた長鎖DNA合成を、極めて簡単に、か
つ、低コストで行うことができるようになった。例え
ば、本発明によれば、従来、事実上不可能であった1万
bp程度のDNAの全合成も、100塩基程度の鋳型DN
Aを100種程度使用すれば、僅か7回のサイクルで長
鎖鋳型二本鎖DNAを合成することができるので、引き
続きPCRを行うことで、目的とする長鎖二本鎖DNA
を簡易、かつ、迅速に調製することができる。
【0030】
【配列表】 <110> Denso Co., Ltd. <120> A method for synthesizing a long-chain double-strand DNA usi ng a plurality of template single-strand DNAs <130> 983637 <160> 10 <210> 1 <211> 79 <212> DNA <213> Artificial Sequence (templete 1) <400> 1 gcgaattcga gcttggacta gaaaaaaact tcacaaaatg ctatactagg taggtaaaaa 60 aatattcgga ggaattttg 79
【0031】 <210> 2 <211> 65 <212> DNA <213> Artificial Sequence (templete 2) <400> 2 gcgactgtac cggctaacaa gatcgatagc cctttctttt tcctttgcat ttcaaaattc 60 ctccg 65
【0032】 <210> 3 <211> 72 <212> DNA <213> Artificial Sequence (templete 3) <400> 3 agccggtaca gtcgctttag gggcgctggc tgtcttgcca gtcggcgaaa tccaagcaaa 60 ggcggtcgac gc 72
【0033】 <210> 4 <211> 79 <212> DNA <213> Artificial Sequence (templete 4) <400> 4 acaaaaatcc aaagtaaccg ctttattaag ccattcttaa ataaaaataa aaaaagatta 60 atagctaaaa ctattaatc 79
【0034】 <210> 5 <211> 83 <212> DNA <213> Artificial Sequence (templete 5) <400> 5 ggatttttgt gagcttggac tagaaaaaaa cttcacaaaa tgctatacta ggtaggtaaa 60 aaaatattcg gaggaatttt gaa 83
【0035】 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence (primer 1) <400> 6 gcgaattcga gcttggacta g 21
【0036】 <210> 7 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence (primer 2) <400> 7 gcgtcgaccg cctttgcttg g 21
【0037】 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence (primer 3) <400> 8 gcgaattcag attaatagtt ttagc 25
【0038】 <210> 9 <211> 186 <212> DNA <213> Artificial Sequence (a long-chain DNA product in Example 1) <400> 9 gcgaattcga gcttggacta gaaaaaaact tcacaaaatg ctatactagg taggtaaaaa 60 aatattcgga ggaattttga tgcaaaggaa aaagaaaggg ctatcgatct tgttagccgg 120 tacagtcgct ttaggggcgc tggctgtctt gccagtcggc gaaatccaag caaaggcggt 180 cgacgc
【0039】 <210> 10 <211> 268 <212> DNA <213> Artificial Sequence (a long-chain DNA product in Example 2) <400> 10 gcgaattcag attaatagtt ttagctatta atcttttttt atttttattt aagaatggct 60 taataaagcg gttactttgg atttttgtga gcttggacta gaaaaaaact tcacaaaatg 120 ctatactagg taggtaaaaa aatattcgga ggaattttga aatgcaaagg aaaaagaaag 180 ggctatcgat cttgttagcc ggtacagtcg ctttaggggc gctggctgtc ttgccagtcg 240 gcgaaatcca agcaaaggcg gtcgacgc 268
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は従来技術により長鎖二本鎖DNAを得よ
うとする場合の化学合成すべき一本鎖DNAの分割状態
を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の原理を説明した概略図であ
る。
【図3】図3は、実施例1において合成したDNAの、
臭化エチジウム染色されたアガロース・ゲル電気泳動写
真である。
【図4】図4は、実施例2において合成したDNAの、
臭化エチジウム染色されたアガロース・ゲル電気泳動写
真である。
フロントページの続き (72)発明者 平井 正名 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 梶野 勉 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA20 HA19 4B063 QA20 QQ42 QR08 QR38 QR42 QR62 QS16 QS25 QX01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3種以上の鋳型一本鎖DNAを使用して
    長鎖二本鎖DNAを合成する方法であって、 (1)少なくとも3′−末端又は5′−末端のどちらか
    一方に互いに相補的な結合領域を有し、かつ、上記結合
    領域においてアニールして連続的に連結して上記二本鎖
    DNAの塩基配列の全体を構成することができる3種以
    上の鋳型一本鎖DNAに、連結後の鋳型一本鎖DNAの
    末端に、3′−末端が突き出た場合には、その3′−末
    端側に相補的にアニールするプライマーDNAの存在
    下、DNAポリメラーゼを作用させて、上記二本鎖DN
    Aの全体長の長さをもつ長鎖鋳型二本鎖DNAを合成す
    る第1の工程を有するDNAの合成方法。
  2. 【請求項2】 (2)前記第1の工程において得られた
    長鎖鋳型二本鎖DNAを、a)上記の3′−末端側に相
    補的にアニールするプライマーDNAと、b)上記のア
    ニールして連続的に連結した複数種の鋳型一本鎖の連結
    物の末端に、5′−末端が突き出た鋳型一本鎖が存在す
    る場合には、その5′−末端側の塩基配列をもつプライ
    マーDNAの存在下、ポリメラーゼ連鎖反応に供して、
    目的とする長鎖二本鎖DNAを得る、第2の工程をさら
    に有することを特徴とする、請求項1に記載のDNAの
    合成方法。
  3. 【請求項3】 前記鋳型一本鎖DNAの全てが化学合成
    DNAである、請求項1又は2に記載のDNAの合成方
    法。
  4. 【請求項4】 前記鋳型一本鎖DNAの各々の前記反応
    液中の濃度がほぼ等しく、かつ、前記プライマーDNA
    の量が、前記鋳型一本鎖DNAの濃度に比較して10倍
    以上で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    DNAの合成方法。
  5. 【請求項5】 前記プライマーDNAの溶融温度(T
    m)を、前記鋳型一本鎖DNAの相補的な結合領域のT
    mよりも高くなるように、それらの相補的領域の塩基配
    列を設定し、前記第1の工程において、少なくとも(l
    og n/log 2)回以上(ここで、nは、前記鋳
    型一本鎖DNAの種類の数であり、そして式の値は小数
    点以下を切り上げた整数である。)、前記鋳型一本鎖D
    NAの相補的な結合領域のTmの内最も低い温度以下で
    アニーリングさせ、そしてそれに見合う温度で前記プラ
    イマーを伸長させて、ポリメラーゼ反応を行い、その
    後、前記第2の工程において、前記プライマーDNAの
    Tmの内最も低い温度付近でアニーリングさせ、そして
    それに見合う温度で前記プライマーを伸長させて、ポリ
    メラーゼ連鎖反応を行う、請求項1〜4のいずれか1項
    に記載のDNAの合成方法。
  6. 【請求項6】 前記鋳型一本鎖DNAが、50〜120
    塩基対の長さであり、そして前記鋳型一本鎖DNAの種
    類の数が、3〜400である、請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の長鎖二本鎖DNAの合成方法。
JP10267227A 1998-09-07 1998-09-07 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法 Pending JP2000083668A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267227A JP2000083668A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267227A JP2000083668A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000083668A true JP2000083668A (ja) 2000-03-28

Family

ID=17441916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10267227A Pending JP2000083668A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000083668A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101032750B1 (ko) 이중 특이성 올리고뉴클레오타이드를 사용한 방법 및 이중 특이성 올리고뉴클레오타이드
KR101534228B1 (ko) 이중 특이성 올리고뉴클레오타이드를 사용한 방법 및 이중 특이성 올리고뉴클레오타이드
EP0550693B1 (en) Direct cloning of pcr amplified nucleic acids
US5132215A (en) Method of making double-stranded dna sequences
JP4718493B2 (ja) 核酸増幅中のプライマー凝集体形成を減少させるためのdUTPに基づく組成物
JP3867926B2 (ja) 核酸の増幅法
WO2005063977A1 (ja) 核酸の増幅法およびこれを利用した変異核酸の検出法
JP2005511096A (ja) アニーリング調節プライマーおよびその使用
JP2005511096A6 (ja) アニーリング調節プライマーおよびその使用
WO2011094646A1 (en) Methods and compositions for high yield, specific amplification
CN101691593A (zh) 在经修饰的随机寡核苷酸的存在下的核酸扩增
JP7054398B2 (ja) 改変されたマルチプレックスおよびマルチステップ増幅反応ならびにそのための試薬
JP4284063B2 (ja) 核酸塩基配列決定方法
EP1333089A1 (en) Method of synthesizing single-stranded nucleic acid
CN101671672A (zh) 用于改进的核酸扩增的聚阴离子
JPH07177885A (ja) 核酸の特異的クローニング方法
EP3252168B1 (en) Pcr primer linked to complementary nucleotide sequence or complementary nucleotide sequence including mis-matched nucleotides and method for amplifying nucleic acid using same
JP4942160B2 (ja) RecAタンパク質を利用した核酸の等温増幅法
JP2000083668A (ja) 複数の鋳型一本鎖dnaを使用した長鎖二本鎖dnaの合成方法
JPWO2002090538A1 (ja) 核酸を合成する方法
JP5618227B2 (ja) 核酸の増幅方法および遺伝子変異の検出方法
KR100762261B1 (ko) 전장 상보 디옥시리보핵산 제조 방법과 이에 사용되는앵커와 프라이머
EP1180547A2 (en) Method for producing DNA
JP2001517458A (ja) 核酸を合成および増幅する方法
JP2008029222A (ja) 改変型の耐熱性RecAタンパク質、及び該タンパク質を用いた核酸増幅方法