JP2000081059A - シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置 - Google Patents

シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置

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JP2000081059A
JP2000081059A JP10253690A JP25369098A JP2000081059A JP 2000081059 A JP2000081059 A JP 2000081059A JP 10253690 A JP10253690 A JP 10253690A JP 25369098 A JP25369098 A JP 25369098A JP 2000081059 A JP2000081059 A JP 2000081059A
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piston
cylinder
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shoe gap
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Michinori Takashima
通典 高嶌
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Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な機械加工の改善で以て、シュー間
隙自動調整作動が確実且つ安定性に優れたシュー間隙自
動調整機構付シリンダ装置を提供する。 【解決手段】 アジャストボルト30の一方軸部のおね
じ32を第1ピストン16に非可逆ねじ螺合し、中間部
のクラッチ面38をシリンダボディ11の第1円錐面2
3aにクラッチ係合すると共に、シリンダボディ11の
第2円錐面23bにクラッチ係合する駆動リング35と
可逆ねじ螺合し、且つ該アジャストボルト30の小径部
41と第2ピストン25の間にOリング43を介挿させ
てシュー間隙自動調整機構を構成し、前記アジャストボ
ルト30が第1ピストン16から螺出する方向に回転し
たとき、Oリング43が摺接するアジャストボルト30
の環状溝部50の周面を、同一の加工条件の表面になる
ように仕上げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドラムブレーキ装置
に使用されるシュー間隙自動調整機構付シリンダ装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダボディの同軸線上に設けた左右
のシリンダ穴に各々滑嵌合する一対のピストンと、前記
両シリンダ穴を区画している隔壁に設けたクラッチ面に
外周がクラッチ係合するめねじ部材と、該めねじ部材に
中間部が可逆ねじ螺合すると共に、その隣接面が前記隔
壁に設けたクラッチ面にクラッチ係合し、かつ一方の軸
部が一方のピストンの流体室側に非可逆ねじ螺合すると
共に、他方の軸部が弾性部材を介在して他方のピストン
の流体室側に嵌合するおねじ部材とを具備するシュー間
隙自動調整機構付シリンダ装置が、特開平9−2291
14号公報に開示されており、図1,図2,図3を参照
しながら詳説する。
【0003】<イ>ドラムブレーキの全体構成 図3にデュアル・ツー・リーディング(D2L)型のド
ラムブレーキに適用したシリンダ装置を示す。1はバッ
クプレートで、車体側に固定されている。バックプレー
ト1には上下一対のブレーキシュー2,3がシューホー
ルド部品4,4により支承されている。ブレーキシュー
2,3は円弧状のリム5の内側にウエブ6を接合すると
共に、リム5の外側にライニング7を鋲8着又は接着し
て構成されている。シュー間隙自動調整機構を具備する
シリンダ装置10,10はバックプレート1にボルト止
めされていて、各ブレーキシュー2,3の端部が各シリ
ンダ装置10,10のピストンに係止している。リター
ンスプリング9,9は各ブレーキシュー2,3のウエブ
6,6間に張設されている。上記した構成において、ブ
レーキシュー2と3は車両走行中に自重で鉛直方向に移
動して引きずりを起さないよう、一般的に車両の上下方
向に配設される。
【0004】<ロ>シリンダ装置 図1及び図2を参照しながら両口開放型のシリンダ装置
10,10について詳説する。尚、一対のシリンダ装置
10と10は同一構造につき一方のみ説明する。
【0005】[シリンダボディ]シリンダボディ11に
は隔壁12を挟んでシリンダ穴13,14が同一軸線上
に設けられている。一方のシリンダ穴13の奥には流体
の給排用ポート穴(図示せず)が穿設されている。隔壁
12の軸線上には、図面右側から左側へ向けて拡径する
貫通穴23が穿設され、その内周面の右方から小径の第
1円錐面23aと、大径の第2円錐面23bが形成され
ている。
【0006】[第1ピストン]図1の図面左側の一方の
シリンダ穴13にはピストンカップ15を外装した第1
ピストン16が滑嵌合され、その後端面が隔壁12と離
間している。第1ピストン16の左端にはクリップ17
で以て手動調整歯輪18が一体的に固着されていると共
に、その軸心にシュー係合溝19付のピストンヘッド2
0が相対回転可能に取り付けられている。ピストンヘッ
ド20のシュー係合溝19には一方のブレーキシュー2
のウエブ6が係止され、回転不能である。第1ピストン
16の本体とシリンダボディ11との間には防塵防水用
のダストブーツ21が取り付けられている。第1ピスト
ン16の軸心右方即ち流体室側には、非可逆内ねじ付き
の盲穴22が穿設されている。
【0007】[第2ピストン]図1の図面右側の他方の
シリンダ穴14にはピストンカップ24を外装した第2
ピストン25が滑嵌合され、ブレーキ開放時にはその後
端面が隔壁12の壁面に当接している。第2ピストン2
5の右端にはシュー係合溝26が一体に形成され、他方
のブレーキシュー3のウエブ6が係止されて回転不能で
ある。第2ピストン25とシリンダボディ11との間に
もダストブーツ28が取り付けられている。第2ピスト
ン25の軸心左方即ち流体室側には、盲穴29が穿設さ
れている。
【0008】[アジャストボルト・駆動リング]おねじ
部材であるアジャストボルト30の軸心には貫通する中
心穴31が穿設されている。アジャストボルト30の一
方(図面左部)に非可逆おねじ32が刻設され、前記第
1ピストン16の内ねじ付きの盲穴22と螺合してい
る。即ちアジャストボルト30の一方の軸部と第1ピス
トン16の盲穴22の螺合部は、非可逆ねじを構成して
いる。「非可逆ねじ」とは第1ピストン16とアジャス
トボルト30のいずれか一方の部材に軸方向の推力が作
用したとき、通常は両部材の相対的回転を生じない螺合
構造を意味する。
【0009】又、アジャストボルト30の一方軸部の外
周には、おねじ32を縦断する外周溝33が設けられて
いる。アジャストボルト30の中間の大径部に多条ねじ
34が刻設され、この多条ねじ34にめねじ部材である
駆動リング35が螺着し、多条ねじ34と駆動リング3
5のめねじとにより、可逆ねじを構成している。「可逆
ねじ」とはアジャストボルト30と駆動リング35のい
ずれか一方の部材に軸方向の推力が作用したとき他方の
部材に回転を生じ、又逆の関係も成り立つ関係の螺合構
造を意味する。
【0010】前記アジャストボルト30の多条ねじ34
部に近接する左方(一方の軸部側)軸部に形成した鍔部
36と駆動リング35との間には駆動リングばね37が
縮設してあって、駆動リング35の外周に形成した円錐
状のクラッチ面35aを前記隔壁12に形成した第2円
錐面23bとクラッチ係合する方向に付勢している。ア
ジャストボルト30の多条ねじ34部に連設する右方
(他方軸部側)には円錐状のクラッチ面38が形成さ
れ、前記隔壁12に形成した第1円錐面23aとクラッ
チ係合している。アジャストボルト30の多条ねじ34
とこれに連続するクラッチ面38は、鍛造又は焼結加工
等で一体に成形されている。
【0011】又、アジャストボルト30の中心穴31の
右半にコイル状のスプリング39が圧縮された状態で収
容されていて、このスプリング39にロケータ40の軸
部40aが嵌挿されていると共に、ロケータ40の先端
部40bが第2ピストン25の盲穴29に着座し、点接
触している。スプリング39はロケータ40を介し第2
ピストン25から反カを得て、アジャストボルト30と
第1ピストン16の非可逆ねじ螺合部に常時小さな摩擦
力が生じるように付勢している部材であるが、これらの
部材39,40は必須ではない。
【0012】又、アジャストボルト30の右方の小径部
41には径方向に向けて交差穴42が穿設されていると
共に、その外周と対向部材である第2ピストン25の盲
穴29との間を弾性的に支持するOリング43が装着さ
れている。この交差穴42と前記中心穴31及び外周溝
33は流体の流路であり、又、Oリング43はアジャス
トボルト30に係合する各部材の加工に伴う心ずれを吸
収し、かつアジャストボルト30を両端部で支持する構
造とし、以てアジャストボルト30の振動を抑制して盲
動防止する役目を果す。従って、Oリング43はこれに
限定されるものではなく、弾性を有する部材であればよ
い。
【0013】
【作用】次にシリンダ装置10の作用について説明す
る。
【0014】<イ>非制動時 図1,2に示す非制動時においては、第1ピストン16
は図3のシューリターンスプリング9のばね力を受けて
後退し、第1ピストン16に螺合するアジャストボルト
30のクラッチ面38がシリンダボディ11の第1円錐
面23aに当接して第1ピストン16の戻り位置が規制
されている。アジャストボルト30に螺合する駆動リン
グ35は駆動リングばね37により第2円錐面23bへ
付勢されて、常時安定位置に保持されている。
【0015】<ロ>制動時 今、車両前進時のブレーキドラム(図示せず)の回転方
向が図3における矢印F方向とすると、図1,2おい
て、流体を一方のシリンダ穴13へ供給して第1ピスト
ン16を左方へ押すと、一方のブレーキシュー2が第1
ピストン16の押圧力により拡開する。他方のブレーキ
シュー3もシリンダ装置10,10同士がブレーキパイ
プ(図示せず)で接続されているため同様に拡開する。
又、第1ピストン16に非可逆ねじで螺合するアジャス
トボルト30も第1ピストン16に追随して左方へ移動
し、アジャストボルト30のクラッチ面38がシリンダ
ボディ11の第1円錐面23aから離れるがOリング4
3とスプリング39の作用による回転抵抗に加え、アジ
ャストボルト30は左方の非可逆ねじ部と右方のOリン
グ43とで両端部が支持されているから、アジャストボ
ルト30の振動が抑制されて盲動することはない。この
とき、アジャストボルト30と駆動リング35が螺合す
る可逆ねじに形成されたバックラッシュにより、調整を
必要としない正常時の第1ピストン16の作動ストロー
ク時には、アジャストボルト30及び駆動リング35は
共に相対回転を生じない。尚、図示しないブレーキドラ
ムが反対方向に回転している車両後進時には、第2ピス
トン25の押圧力により他方のブレーキシュー3が拡開
する。
【0016】<ハ>シュー間隙自動調整作動 ブレーキシュー2のライニング7が摩滅して、第1ピス
トン16の作動ストロークが前記バックラッシュを越え
ると、アジャストボルト30の多条ねじ34が駆動リン
グ35の内ねじに当接して、駆動リング35のクラッチ
面35aの摩擦力が減少する。そのため、駆動リングば
ね37の付勢力で以て駆動リング35のクラッチ面35
aとシリンダボディ11の第2円錐面23bとの間に滑
りを生じ駆動リング35が回転する。
【0017】ブレーキを開放すると、第1ピストン16
と共にアジャストボルト30がリターンスプリング9の
作用力により右方へ復帰する。このとき、アジャストボ
ルト30と駆動リング35の可逆ねじのバックラッシュ
は、アジャストボルト30のクラッチ面38がシリンダ
ボディ11の第1円錐面23aに当接する前になくな
る。そのため、駆動リング35のクラッチ面35aがシ
リンダボディ11の第2円錐面23bにクラッチ結合し
駆動リング35の回転を阻止するので、アジャストボル
ト30と駆動リング35が螺合する可逆ねじは、アジャ
ストボルト30をそのクラッチ面が第1円錐面23aに
当接するまで回転せしめ、このアジャストボルト30の
回転に伴っておねじ32部が第1ピストン16の非可逆
内ねじ付きの盲穴22から螺出し、第1ピストン16と
の螺合長(係合長)を調整してライニング7の摩耗を補
償する。すなわち、多条ねじ34が右ねじの場合にはお
ねじ32も右ねじとし、多条ねじ34が左ねじの場合に
はおねじ32を左ねじにすればよい。このねじれ方向は
後述するシュー間隙手動調整時に要求される手動調整歯
輪18の回転方向により決定される。
【0018】<ニ>シュー間隙手動調整作動 図示しないブレーキドラムの脱着を容易にするために、
手動で以てブレーキシュー2を拡縮し得る機構を必要と
する。本実施例の場合には、バックプレート1の裏側か
らマイナスドライバー等の工具を挿入し、手動調整歯輪
18を所望の方向に回転することにより、これと一体の
第1ピストン16を回転せしめてブレーキシュー2を拡
縮できるように構成されている。しかして、前記ブレー
キシュー2の拡縮に対する手動調整歯輪18の回転方向
は、車両の前後方向に対して同一の方向が広く採用され
ており、左右輪のドラムブレーキでねじのねじれ方向を
逆にしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】弾性体であるOリング
43の主たる役割は前記した通り、アジャストボルト3
0に係合してシュー間隙自動調整作動に関連する各部材
の心ずれを吸収する機能の他に、制動時にアジャストボ
ルト30の両端部を支持する構造と成すことによりブレ
ーキ作動中に生起する微振動を吸収して抑制し、以て該
アジャストボルト30の盲動を防止することにある。前
記観点から、アジャストボルト30の回転抵抗は盲動を
防止し得る範囲内で小さい程、且つばらつきも小さい程
望ましいことは明らかである。因に前記回転抵抗が大き
くなる程、シュー間隙調整時における駆動リング35の
共回り、すなわち未調整を防ぐために、駆動リング35
と第2円錐面23bの係合角度を食い付き現象を誘発し
易い鋭角の方向に変えなければならず、微調整を要求さ
れるシュー間隙自動調整作動の不安定要因となる。
【0020】しかして、Oリング43の締め代はアジャ
ストボルト30を両端で支持する機能面から内・外周共
に同じにしており、この場合にはアジャストボルト30
の回転時にOリング43が接触する面積の小さい内周側
が相対回転することとなる。しかし乍ら、従来はOリン
グ43が外装されるアジャストボルト30の環状溝50
の切削回転方向をねじのねじれ方向に係わりなく同一の
回転方向で行っていたがために、後述の通りその回転方
向による表面状態に起因して、アジャストボルト30の
回転抵抗及びばらつきに差が生じ、シュー間隙自動調整
作動の安定性を欠いていた。
【0021】アジャストボルト30の環状溝50とOリ
ング43間の回転抵抗及びばらつき大の原因を解明する
ために、Oリング43の内周が摺接する環状溝50の周
面を詳細に観察した所、極微細な鋸歯状に形成されてお
り、これに食い込む格好にOリング43が密接するから
アジャストボルト30の回転方向によって差が生じてい
た。前記環状溝50底の鋸歯状の表面状態は、主にアジ
ャストボルト30の軸心と切削工具であるバイトの刃先
との心ずれ及びバイトの切れ味に起因するが、前記心ず
れを常に零に保つことは不可能であるから、大なり小な
りのびびり現象が惹起されて鋸歯状を呈するし、バイト
の切れ味については交換又は研磨周期を早めると生産能
率が低下するという問題がある。
【0022】本発明は、簡単な機械加工の改善で以て、
シュー間隙自動調整作動が確実且つ安定性に優れたシュ
ー間隙自動調整機構付シリンダ装置を提供することにあ
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の間隙自
動調整装置付シリンダ装置は、シリンダボディのシリン
ダ穴に滑嵌合するピストンと、一方軸部のおねじ部が前
記ピストンの流体室側に非可逆ねじ螺合し、中間部の多
条ねじ部に近接する円錐面が前記シリンダ穴の流体室内
の第1円錐面にクラッチ係合し、他方軸部が回転不能な
対向部材に滑嵌合するアジャストボルトと、該アジャス
トボルトの前記非可逆ねじのねじれ方向と同方向の前記
多条ねじに可逆ねじ螺合し、外周の円錐面が前記シリン
ダ穴の流体室内の第2円錐面にクラッチ係合する駆動リ
ングと、前記アジャストボルトの他方軸部と回転不能な
対向部材の間に介挿された弾性リングとから構成される
シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置において、前記
アジャストボルトを非可逆ねじ及び可逆ねじのねじれ方
向に対して逆方向である前記ピストンから螺出するシュ
ー間隙調整方向に回転したとき、前記弾性リングと相対
回転する相手部材の周面を、同一の加工条件の表面にな
るように仕上げたことを特徴とする、シュー間隙自動調
整機構付シリンダ装置である。請求項2に記載の間隙自
動調整装置付シリンダ装置は、請求項1において、前記
弾性リングがOリングであることを特徴とする、シュー
間隙自動調整機構付シリンダ装置である。請求項3に記
載の間隙自動調整装置付シリンダ装置は、請求項1又は
請求項2において、前記弾性リングが相対回転する相手
部材の周面を切削加工で仕上げたことを特徴とする、シ
ュー間隙自動調整機構付シリンダ装置である。請求項4
に記載の間隙自動調整装置付シリンダ装置は、請求項3
において、前記切削加工後、ローラによる圧潰加工を施
したことを特徴とする、シュー間隙自動調整機構付シリ
ンダ装置である。請求項5に記載の間隙自動調整装置付
シリンダ装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかにお
いて、前記シリンダ装置が片口開放型であることを特徴
とする、シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置であ
る。請求項6に記載の間隙自動調整装置付シリンダ装置
は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、前記シ
リンダ装置が両口開放型であることを特徴とする、シュ
ー間隙自動調整機構付シリンダ装置である。
【0024】
【発明の実施の形態1】以下、本発明の実施の形態1に
ついて説明するが、シュー間隙自動調整機構付シリンダ
装置の構造は前述した従来のものと同じ(図1〜図3)
につき、その詳細な説明を省略し、要点のみについて同
一の符号を用いて説明する。
【0025】本実施の形態1は、アジャストボルト30
の環状溝50の切削加工時の回転方向を、ねじのねじれ
方向に対して図1及び図2の右方から見た場合に逆の方
向に回転させて切削加工するものである。すなわち、図
1及び図2において、アジャストボルト30の非可逆お
ねじ32及び多条ねじ34が右ねじの場合には、このボ
ルト30を右方から見た場合に左回転させて環状溝50
を切削し、逆の左ねじの場合には右回転させて切削加工
する。言い換えると、アジャストボルト30をねじのね
じれ方向に対して逆方向である前記第1ピストン16か
ら螺出するシュー間隙調整方向に回転したとき、環状溝
50が同一の加工条件で仕上げられた状態にする。これ
により、シュー間隙自動調整時のアジャストボルト30
の回転方向は、前記おねじ32及び多条ねじ34のねじ
れ方向に係らず、必ずOリング43の摺接面が環状溝5
0の鋸歯の斜面を滑降する方向に回転するから、その回
転抵抗及びばらつきを小さく抑えることができ、シュー
間隙自動調整の作動が確実になると共に安定する。
【0026】本発明の前記した特性を証明するため、非
可逆おねじ32及び多条ねじ34のねじれ方向に対する
環状溝50の切削回転方向を変えた試料各50個を作成
し、アジャストボルト30のシュー間隙自動調整方向
(アジャストボルト30の螺出方向)の回転抵抗及びば
らつきを比較した。尚、試料はJIS B 2401に
準拠した。
【0027】<試料> (イ)Oリング内径:φ15.8mm×太さφ2.4m
m (ロ)アジャストボルトの環状溝底径:φ16mm
【0028】<測定結果>図4に示す測定結果(各50
個の測定値をプロットしたグラフ)の通り、非可逆おね
じ32及び多条ねじ34のねじれ方向に対して逆の切削
加工の試料の方が、同じ切削加工の試料よりも回転抵抗
及びばらつきが共に小さい。
【0029】
【発明の実施の形態2】前述した本実施の形態1におい
ては、左右輪用のアジャストボルト30の環状溝50を
切削加工する際に、アジャストボルト30のチャッキン
グ方向を変える(左右ひっくり返す)必要がある。本実
施の形態2は、前記アジャストボルト30のチャッキン
グ方向を注意することなく、更にアジャストボルト30
の回転抵抗及びばらつきを小さく抑えるようにしたもの
である。すなわち、環状溝50を切削加工した後、ロー
ラで環状溝50底の外周面を押圧して鋸歯状の凸部を押
し潰し、極めて滑らかな周面に加工する。このローラに
よる圧潰加工は、アジャストボルト30の回転抵抗及び
ばらつきが大きい方のみ実施してもよいし、これに係り
なく双方共実施してよい。
【0030】
【発明の実施の形態3】前記した発明の実施の形態1及
び2は、Oリング43をアジャストボルト30に嵌装し
た構造であるが、本実施の形態3は前記実施の形態1及
び2と同じ部材に同一の符号を付して図5に示すよう
に、Oリング43を第2ピストン125に形成した環状
溝150に嵌装した構造である。本構造の場合も、Oリ
ング43の摺接面積はその内周面の方が外周面よりも少
ないから、シュー間隙自動調整時にOリング43の内周
面に対してアジャストボルト130が回転する。従っ
て、アジャストボルト130の小径部141の外周面を
加工する際に、前記した発明の実施の形態1及び2を適
用すれば、同等の作用効果が得られることは明らかであ
る。
【0031】尚、前述した実施の形態1〜3はシュー間
隙調整時にOリング43の内周面に対してアジャストボ
ルト30,130が回転する例であるが、例えばアジャ
ストボルト30,130の重量が軽くて済む場合にはO
リング43の外周の締め代を小さくし、この外周面が対
向部材に対して相対回転するようにしてもよく、本構造
に前記した実施の形態1〜3を適用することも容易に可
能である。
【0032】
【発明の実施の変形例1】図6に示す本実施の変形例1
は、ツー・リーディング(2L)型のドラムブレーキに
装着される片口解放型のシリンダ装置に適用したもので
ある。尚、本実施の変形例以降の説明に際し、前記実施
の形態1と同一の部位は同一の符号を付して説明を省略
する。本実施の変形例1にあっては、シリンダボディ1
1のシリンダ穴13に連続して形成された最深部が盲穴
44とされ、この盲穴44にOリング43を嵌装したア
ジャストボルト30の小径部41が嵌合している。尚、
本実施の変形例におけるアジャストボルト30の小径部
41に対向する回転不能な対向部材はシリンダボディ1
1であり、本例に前記実施の形態2及び3を適用するこ
とも可能である。
【0033】
【発明の実施の変形例2】図7に示す本実施の変形例2
は、デュアル・ツー・リーディング(D2L)型、又は
リーディング・トレーリング(LT)型のドラムブレー
キに装着される、両口開放型のシリンダ装置10bに適
用したものである。尚、本実施の変形例2は左右対称の
構造体で、シュー自動間隙調整機構を左右一対備えてい
ると共に、シリンダボディ11に穿設した共通流路45
を介して各シリンダ穴13,14へ流体を供給できる構
造になっている。又、アジャストボルト30、30が同
一軸線上で付き合う構造となっており、この隣接端近傍
に各々Oリング43,43が嵌装されて隔壁12の貫通
穴に嵌合している。本実施の変形例2にあっても、前記
実施の形態2及び3の適用が可能なことは明らかであ
る。
【0034】
【発明の効果】(1)Oリングを嵌装する環状溝の切削
加工方向の指定、又は切削加工後のローラ圧潰加工を施
す簡単な工夫により、シュー間隙自動調整時におけるア
ジャストボルトの回転抵抗及びばらつきを小さく抑える
ことができ、シュー間隙自動調整の作動が確実になると
共に、安定したブレーキドラムとブレーキシューの間隙
が得られる。 (2)又、アジャストボルトの回転抵抗及びばらつきを
小さく抑えることができるから、殊に駆動リングのクラ
ッチ仕様や可逆ねじ仕様の設計自由度が大きくなる。 (3)デュアル・ツー・リーディング(D2L)型やツ
ー・リーディング(2L)型やリーディング・トレーリ
ング(LT)型ドラムブレーキに装着されるシリンダ装
置に適用でき、その適用範囲が広範である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態1及び従来のシュー
間隙自動調整機構付両口開放型シリンダ装置の縦断面図
【図2】 図1のシュー間隙自動調整機構部の拡大断面
【図3】 本発明に係る実施の形態1及び従来のデュア
ル・ツー・リーディング(D2L)型ドラムブレーキの
概略平面図
【図4】 アジャストボルトの回転抵抗の比較説明図
【図5】 本実施の形態3に係るOリング嵌装部の拡大
断面図
【図6】 本実施の変形例1に係る片口開放型シリンダ
装置の縦断面図
【図7】 本実施の変形例2に係る他の両口開放型シリ
ンダ装置の縦断面図
【符号の説明】
1 バックプレート 2,3 ブレーキシュー 4 シューホールド部品 5 リム 6 ウエブ 7 ライニング 8 鋲 9 リターンスプリング 10,10a,10b シリンダ装置 11 シリンダボディ 12 隔壁 13,14 シリンダ穴 15,24 ピストンカップ 16 第1ピストン 17 クリップ 18 手動調整歯輪 19,26 シュー係合溝 20 ピストンヘッド 21,28 ダストブーツ 22,29,44 盲穴 23 貫通穴 23a 第1円錐面 23b 第2円錐面 25,125 第2ピストン 30,130 アジャストボルト 31 中心穴 32 おねじ 33 外周溝 34 多条ねじ 35 騒動リング 35a クラッチ面 36 鍔部 37 駆動リングばね 38 クラッチ面 39 スプリング 40 ロケータ 40a 軸部 40b 先端部 41,141 小径部 42 交差穴 43 Oリング 45 共通流路 50,150 環状溝

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダボディのシリンダ穴に滑嵌合す
    るピストンと、一方軸部のおねじ部が前記ピストンの流
    体室側に非可逆ねじ螺合し、中間部の多条ねじ部に近接
    する円錐面が前記シリンダ穴の流体室内の第1円錐面に
    クラッチ係合し、他方軸部が回転不能な対向部材に滑嵌
    合するアジャストボルトと、該アジャストボルトの前記
    非可逆ねじのねじれ方向と同方向の前記多条ねじに可逆
    ねじ螺合し、外周の円錐面が前記シリンダ穴の流体室内
    の第2円錐面にクラッチ係合する駆動リングと、前記ア
    ジャストボルトの他方軸部と回転不能な対向部材の間に
    介挿された弾性リングとから構成されるシュー間隙自動
    調整機構付シリンダ装置において、 前記アジャストボルトを非可逆ねじ及び可逆ねじのねじ
    れ方向に対して逆方向である前記ピストンから螺出する
    シュー間隙調整方向に回転したとき、前記弾性リングと
    相対回転する相手部材の周面を、同一の加工条件の表面
    になるように仕上げたことを特徴とする、 シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記弾性リングがO
    リングであることを特徴とする、シュー間隙自動調整機
    構付シリンダ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記弾
    性リングが相対回転する相手部材の周面を切削加工で仕
    上げたことを特徴とする、シュー間隙自動調整機構付シ
    リンダ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記切削加工後、ロ
    ーラによる圧潰加工を施したことを特徴とする、シュー
    間隙自動調整機構付シリンダ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかにおい
    て、前記シリンダ装置が片口開放型であることを特徴と
    する、シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれかにおい
    て、前記シリンダ装置が両口開放型であることを特徴と
    する、シュー間隙自動調整機構付シリンダ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021042774A (ja) * 2019-09-06 2021-03-18 日野自動車株式会社 ホイルシリンダ
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