JP2000080427A - 端子・コネクタ用銅合金及びその製造方法 - Google Patents
端子・コネクタ用銅合金及びその製造方法Info
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Abstract
レーション性、耐応力腐食割れ性、はんだ耐候性(耐熱
剥離性)等にも優れた端子・コネクタ用銅合金を得る。 【解決手段】 Ni:0.1%以上0.5%未満、S
n:1.0%を超え2.5%未満、Zn:1.0%を超
え15%以下、さらにP:0.0001%以上0.05
%未満とSi:0.0001%以上0.05%以下のい
ずれか一方又は双方を含有し、残部がCu及び不可避的
不純物からなり、焼鈍して得られる導電率の最大値に対
して90%以下の導電率をもち、あるいは析出物等の未
固溶物の面積率が5%以下である端子・コネクタ用銅合
金。
Description
イヤハーネス及びターミナル等に用いられる銅合金に関
し、さらに詳しくは耐応力緩和特性及びはんだ耐候性に
優れた、民生、産業用及び自動車等の端子・コネクタ用
銅合金に関する。
等の銅合金が用いられてきた。しかしながら、最近にお
ける端子・コネクタの小型化によって、黄銅並びにりん
青銅よりも高い導電率及び強度が必要となってきた。ま
た、部品の極間ピッチが狭くなったことにより、マイグ
レーションを起こすという問題が生じてきた。なお、マ
イグレーションとは、電極間に結露等が起こって金属元
素がイオン化し、このイオン化した金属元素がクーロン
フォースにより陰極に移動して析出し、めっき(電析)
と同じように陰極から樹脂状に金属結晶が成長して陽極
側まで達し短絡することをいう。
62−199741号公報では、Cu−Sn−Ni−P
−Zn合金にて強度及び耐マイグレーション性に優れ、
かつ応力腐食割れを抑制する合金を提供している。しか
しがら、近年、民生用・産業用及び自動車等に搭載され
ている端子・コネクタ(特にエンジン回り品)等では、
使用温度が約150℃にも達することから、高温状態で
の強度、特にばね特性の維持や応力緩和特性の向上が強
く要求されており、従来の製造方法では対応できなくな
ってきている。
おける合金は非析出強化合金であるにもかかわらず、中
間焼鈍にバッチ(2Hr)工程を採用しているためりん
化物の生成を招き、曲げ加工性の劣化やはんだあるいは
Snめっきを施した場合、白化又はめっき剥離を生じる
という問題があった。さらに、長時間焼鈍は生産の非効
率につながりコストアップにもなる。
なされたものであり、特に応力緩和特性に優れ、さらに
強度、耐マイグレーション性、耐応力腐食割れ性、はん
だ耐候性(耐熱剥離性)等にも優れた端子・コネクタ用
銅合金を得ることを目的とする。
クタ用銅合金は、Ni:0.1%以上0.5%未満、S
n:1.0%を超え2.5%未満、Zn:1.0%を超
え15%以下、さらにP:0.0001%以上0.05
%未満とSi:0.0001%以上0.05%以下のい
ずれか一方又は双方を含有し、残部がCu及び不可避的
不純物からなる。上記銅合金は、さらにTi:0.00
01%以上0.2%以下、Mg:0.0001%以上
0.2%以下、Ag:0.0001%以上0.2%以
下、及びFe:0.0001以上0.6重量%以下から
なる群から選択された一種以上の成分を総量で0.00
01〜1重量%含むことが望ましい。さらに、上記銅合
金は、S:0.0005%以上0.005%以下とし、
さらにO含有量:50ppm以下、かつH含有量:10
ppm以下とすることが望ましい。そして、上記銅合金
は、必要に応じてCa、Mn、Be、Al、V、Cr、
Co、Zr、Nb、Mo、In、Pb、Hf、Ta、
B、Ge、Sbの1種又は2種以上を総量で1%以下含
むことができる。
応じて熱間圧延した後、冷間圧延し、その冷間圧延途中
で少なくとも1度焼鈍して再結晶させ、最終冷間圧延後
さらに安定化焼鈍して製造されるが、優れた耐応力緩和
特性を得るためには、安定化焼鈍後において、当該合金
を焼鈍したときに得られる導電率の最大値に対して90
%以下の導電率となっている必要がある。あるいは、析
出物等の未固溶物の面積率が5%以下となっている必要
がある。
タ用銅合金について詳細に説明する。先ず、各添加元素
の添加理由及び組成限定理由について説明する。 (Ni)Niは、Snとの共添にて変調構造を形成し、
強度及び耐応力緩和特性を向上させる元素である。しか
しながら、Pと共存し、バッチ焼鈍等によりNiとPの
化合物を形成した場合は変調構造部が少なくなり、耐応
力緩和特性を著しく低下させるため、固溶させる必要が
ある。その含有量が0.1%未満では上記効果が得られ
ず、また、0.5%以上含有されると導電率及びはんだ
耐候性の低下を招き、コスト的にも不利である。従っ
て、Niの添加量は0.1%以上0.5%未満とした。
を形成し、機械的性質の向上、特に耐力と伸びのバラン
スひいては成形加工性及びばね限界値並びに耐応力緩和
特性の向上に効果をもたらすが、1.0%以下ではその
効果が得られず、また、2.5%以上含有されると導電
率の低下を招き、経済的でない。従って、Snの添加量
は1.0%を超え2.5%未満とした。
れた電気・電子部品の極間に水の侵入又は結露等が生じ
た場合のCuのマイグレ−ションを抑制し、漏洩電流を
抑制するための必須元素である。さらに、強度向上及び
はんだの密着性向上やウイスカー発生を抑制する元素で
ある。Zn含有量が1.0重量%以下では耐マイグレー
ション性やはんだの密着性向上、ウイスカー発生の抑制
効果が小さく、Zn含有量が15%を超えた場合は、導
電率が低くなり、また応力腐食割れを起こし易くなる。
従って、Zn含有量は1.0%を超え15%以下とす
る。望ましくは1.0%を超え5%以下である。
酸・湯流れ等)に寄与する元素である。Pは含有量(合
金中に残存する量)が0.0001%未満では、溶湯中
の脱酸効果が得られない。一方、0.05%以上(特に
0.01%以上)添加されると製造法によっては容易に
Ni−P金属間化合物を析出、凝集粗大化し、製品の機
械的性質や曲げ加工性あるいはめっき性を阻害する。ま
たNi−P化合物を析出させない範囲での熱処理が行わ
れたとしても、0.05%以上添加されるとはんだ及び
Snめっきの剥離現象を引き起こし、かつ応力腐食割れ
を生ずる。従ってP添加量は0.0001%以上0.0
5%未満とし、より望ましい範囲は0.0001%以上
0.01%未満である。
脱酸材としての効果がある。そのためSiを加えること
によって、最終製品での材料特性を劣化させるおそれの
あるP残存量をそれだけ低減させることが可能となる。
従って、Pの代わりに又はPとともに添加する。ただ
し、PとSiとではPの方が脱酸効果が大きい。しか
し、応力腐食割れを考慮した場合はSiが好ましい。ま
た、Siは脱酸材として添加する場合以外にも再結晶温
度を上昇させる効果がある。これらの効果を得るために
は、0.0001%以上残留させるのが望ましい。一
方、添加されたSiの大部分は脱酸後の酸化物として溶
湯中から除去されるが、固溶分として母相中に残存した
Siが0.05%以上あると、はんだ及びSnめっきの
白化あるいは剥離を引き起こし、さらに導電率も低下す
る。また、変調構造の形成を抑制する。従ってSiは
0.05%以下とする。より望ましい範囲は0.000
1%以上0.01%未満である。
は微量添加によりさらに耐応力緩和特性を向上させる効
果を有するが、いずれも0.0001%未満では効果が
なく、総量で1%を超えて含有されると導電率、はんだ
耐候性及び曲げ加工性の低下を招く。従って、総量で
0.0001%以上1%以下とする。 (S)Sは高温では単体、低融点の金属間化合物又は複
合酸化物などとして結晶粒界に融出し、加工性を劣化さ
せる有害な元素である。0.005%を超えて含有され
ると熱間圧延時にこの低融点部から粒界割れを起こし鋳
塊に割れが発生してしまう。一方、Sは打抜プレスによ
る打抜加工性を向上させ(ばりの低減、残留応力の低
減)、打抜金型の摩耗を低減することができる。0.0
005%未満の含有量ではこの効果がない。従って、S
の含有量は0.0005%以上0.005%以下が望ま
しい。上記効果のためには0.001%を超える含有量
がさらに望ましい。
体元素であるH及びOを吸収している。これらは凝固時
に溶湯中から追い出されてくるため、O含有量を50p
pm以下でかつH含有量を10ppm以下に規制してお
かなければ鋳造時の湯流れ性や鋳塊肌が劣化する。ま
た、特にHの残留は、板材加工まで至ったとしても、途
中工程の圧延や焼鈍で表面に膨れを生じる原因となり、
これは製品としての価値を損なう。従って、O含有量を
50ppm以下、かつH含有量を10ppm以下に規制
する。
Al、V、Cr、Co、Zr、Nb、Mo、In、P
b、Hf、Ta、B、Ge、Sbは、耐応力緩和特性を
向上させる働きをもつ。いずれの元素も1%以下であれ
ば本合金の主要成分であるNi、Snとは金属間化合物
を造らないが、常温付近での固溶限が低い、もしくは酸
素との親和力が強いため、これらの元素の1種又は2種
以上が総量で1%を超えて含有されていると、溶解鋳造
時、熱間圧延時あるいは加工熱処理中に粗大な酸化物を
形成したり、粗大な晶出物が発生し、めっき性や曲げ加
工性を低下させてしまう。また、導電率を低下させる。
従って、これらの選択元素の1種又は2種以上の添加量
は総量で1%以下とする。
て析出物が耐応力緩和特性を劣化させることを知見し、
添加元素を固溶させることを目標とした。応力緩和率が
160℃・1000Hr後にて30%以下を維持するた
めには、当該合金を焼鈍したときに得られる導電率の最
大値に対して90%以下の導電率となっている必要があ
る。上記銅合金の場合、導電率の最大値は約500℃
(数10分以上の場合)の焼鈍で得られ、500℃×4
Hrの焼鈍条件で導電率はほぼ飽和するが、これは、こ
の焼鈍により析出物が最大量生成し、以後導電率の上昇
はほとんどないためである。なお、安定化焼鈍後におい
て上記の導電率とするには、冷間圧延途中の焼鈍後(安
定化焼鈍前)に上記の導電率となっている必要がある。
の向上は、透過型電子顕微鏡で観察可能な結晶粒内部の
微視的構造の調整があって初めて可能となる。具体的に
は、冷間圧延途中の焼鈍又は最終冷間圧延後に行われる
安定化焼鈍において析出物の挙動を調整することによ
り、耐応力緩和特性が飛躍的に向上する。この析出物の
挙動が導電率の変化として現れる。安定化焼鈍後の最終
製品において導電率が最大値の90%以下ということ
は、焼鈍によってある程度析出物が生成されるが添加元
素のほとんどが固溶した状態であり、母相自体の応力緩
和に対する抵抗力(すべり線の移動や転位消滅をブロッ
クする作用)を維持している。しかし、析出物が多く生
成され導電率が90%を超えるようであると、母相中の
転位は消滅するようになり、結果、材料特性が低下し、
十分な耐応力緩和特性が得られなくなる。なお、上記銅
合金において、導電率が最大値の90%以下というの
は、析出物等の未固溶物の面積率でほぼ5%以下に対応
する。
合、耐応力緩和特性の劣化にともなって、端子間の嵌合
力が低下するなどの支障を来たし、信頼性を損なうもの
となる。しかしながら、応力緩和率が160℃・100
0Hr後にて30%以下であれば特に問題はない。本発
明の銅合金においては、導電率と析出物面積率について
前記条件を充足させることで、応力緩和率を160℃・
1000Hr経過後にて30%以下とすることが可能で
ある。
としているため、最終冷間圧延前に最も大きく弾性歪み
エネルギーを蓄える熱間圧延後の冷間圧延途中で再結晶
させておく必要がある。また、安定化焼鈍後の導電率を
90%以下にするためには、冷間圧延途中の焼鈍後の段
階で導電率を90%以下とすることが必要である。その
ための熱処理条件として、本合金は析出硬化型合金では
ないため、250〜850℃、より好ましくは、550
〜650℃の範囲内の温度で5秒以上1分以下の加熱保
持時間にて行う必要がある。この範囲よりも低温あるい
は短時間では完全再結晶組織は得られず、この範囲より
も高温あるいは長時間では析出物が粗大化して面積率が
大きくなり、導電率が上昇し、耐応力緩和特性は低下す
る。また結晶粒径が大きくなるため、機械的性質等の劣
化を生じる。
性を向上させ、材料特性(特にばね限界値)を向上させ
るための安定化焼鈍を行う必要があるが、そのためには
250〜850℃、より好ましくは300〜450℃の
温度範囲内の温度で5秒以上1分以下の加熱保持時間で
行う必要がある。この範囲よりも低温あるいは短時間で
は冷間圧延で導入された転位が適切に解放されるに至ら
ず、耐応力緩和特性や材料特性を向上させることができ
ない。また、この範囲よりも高温あるいは長時間では析
出物が粗大化して面積率が大きくなり、導電率が上昇
し、耐応力緩和特性は低下しさらに経済的にも不利であ
る。
る。実施例1にて板材の製造可否について、実施例2に
て添加元素の作用について、実施例3にて導電率、析出
物の面積率の作用及び熱処理条件について検証する。 (実施例1)銅合金をクリプトル炉により大気中で木炭
被覆下で溶解し、表1に示す組成の鋳塊を得た。ここで
鋳造可否を判断した。次いで、この鋳塊を熱間圧延して
厚さ15mmに仕上げ、熱間圧延時に割れが発生してい
ないか目視にて判定した。なお、この本発明に係る銅合
金は熱間圧延を必要としない横型連続鋳造によっても製
作可能である。
鋳造可能で、かつ熱間圧延時の割れも発生しなかった。
一方、比較例12は、P及びSiが不足しているため、
脱酸不足により健全な鋳塊が得られなかった。比較例1
3は、H及びOが過剰で、湯流れ性が極端に低下したた
め鋳造を断念した。比較例14は鋳造可能であったが、
Sが過剰に含有されているため熱間圧延時に割れが生じ
た。
炉により大気中で木炭被覆下で溶解し、表2のNo.1
5〜28に示す組成の鋳塊を得、次いで熱間圧延して厚
さ15mmに仕上げた。この比較例合金はS、H、Oが
すべて規定範囲内であるため、容易に良好な熱間圧延材
が得られた。本発明例No.1〜11及び比較例No.
15〜28の熱間圧延材(板厚15mm)について、下
記条件の冷間圧延と熱処理を組み合わせ、0.25mm
厚の板材を得た。 (No.1〜11、15〜25、28)15mmt→
0.5mmまで冷間圧延→600℃×20秒の焼鈍→
0.25mmまで冷間圧延→300℃×20秒の安定化
焼鈍。 (No.26)15mmt→3.0mmまで冷間圧延→
550℃×2時間の焼鈍→1.5mmまで冷間圧延→4
50℃×2時間の焼鈍→0.34mmまで冷間圧延→4
00℃×2時間の焼鈍→0.25mmまで冷間圧延→3
50℃×20秒の安定化焼鈍。 (No.27)15mmt→3.0mmまで冷間圧延→
490℃×2時間の焼鈍→1.0mmまで冷間圧延→3
60℃×2時間の焼鈍→0.25mmまで冷間圧延→3
50℃×20秒の安定化焼鈍。これらの板材について下
記要領で材料特性を評価、比較例と差異を確認した。
長手方向を圧延方向に平行としたJIS5号試験片(n
=2)にて測定した。 (応力緩和特性)図1及び図2に示すように、幅10m
mの試験片1をEMAS−3003に記載の片持ち梁式
にて、長さ80mm(l)の位置に試験片の耐力の80
%の曲げ応力を付加し、応力を付加した状態で160℃
又は180℃で1000時間保持した後応力を除去し
た。応力を付加したときの付加点での試験片のたわみ量
(δ)と応力を除去したときの変異量(ε1)を測定
し、次式によって応力緩和率を測定した(各温度でn=
5)。 応力緩和率(%)=(ε1/δ)×100 なお、曲げ応力(σ)は次式によって算出される。 σ=(3×E×t×δ)/(2×l2) ただし、 σ:曲げ応力=試験片の耐力×0.8 E:試験片のヤング率(N/mm2) t:試験片の板厚=0.25mm
ことにより評価した。導電率はJIS H 0505に
基づいて測定した。 (はんだ耐候性)MIL−STD−202F METH
OD 208Dに基づいて、はんだ付けを行なった後、
大気中150℃・1000Hr経過後、1mmφで18
0°曲げ戻しを行い、はんだの剥離の有無を目視で確認
した(n=3)。
幅3.0mm、長さ80mmの試験片を採取し、2枚1
組として試験を行った(n=4)。第3図及び第4図
は、上記試験片を使用した漏洩電流を測定する試験方法
の説明図である。第3図及び第4図において2a、2b
は試験片、3は厚さ1mmのABS樹脂、3aはこのA
BS樹脂に形成された穴、4はこのABS樹脂3の押え
板である。5は押え板4を押圧固定するため表面に絶縁
塗料を塗布したクリップ、6はバッテリ−、7は電線で
ある。試験片2a、2bは端部に電線6が接続されてい
る。第3図及び第4図に示す2枚の試験片2a、2bに
バッテリ−6から直流電流14Vを印加して、水道水中
に5分間浸漬した後、続いて10分間乾燥する乾燥試験
を50回行い、その間の最大漏電流を高感度レコ−ダ−
(図示せず)で測定した。
W曲げ試験に規定されているB型曲げ治具で、幅10m
m、長さ35mmに加工した供試材をはさみ、島津製作
所製万能試験機RH−30を使用して1tの荷重でR/
t=0にて先ずW曲げ加工を行った後、さらに1tの荷
重で90°曲げ部を密着曲げして、曲げ部の割れの有無
を判別した(n=2)。 (耐応力腐食割れ性)上記板材から0.25mmt×1
2.7mmw×150mmlの試験片を切り出し、耐応
力腐食割れ試験をトンプソンの方法(Material
s Research & Standards(19
61)1081)に準じて行った(n=4)。すなわ
ち、試験片を図5に示すループ状にした後、14wt%
のアンモニア水を入れ、40℃の温度で飽和蒸気を充満
させたデシケータ中に暴露し、試験片が破断するまでの
時間を測定した。
電率、密着曲げ加工性は良好で、耐マイグレーション性
における最大漏洩電流値は低く抑制されており、さらに
はんだ耐熱剥離性、耐応力腐食割れ性も良好であり、耐
応力緩和特性にも優れている。一方、比較例15はNi
が過剰に含有されているため導電率が低く、はんだ耐候
性試験にて剥離が生じた。比較例16はNiの含有量が
不足しているため、耐力は低く応力緩和特性にも劣る。
比較例17はSnが過剰に添加されているため、導電率
が低く、曲げ加工性に劣っている。比較例18はSnの
含有量が不足しているため、十分な耐力が得られず耐応
力緩和特性にも劣る。比較例19はZnが過剰に添加さ
れているため、導電率が低く耐応力緩和特性に劣り、さ
らに耐応力腐食割れ性において短時間で破損が認められ
た。比較例20はZnの含有量が不足しているため、は
んだ耐候性試験にて剥離が生じ、さらに耐マイグレーシ
ョン性における最大漏洩電流値が高く、自動車端子用に
は致命的である。比較例21はPが過剰に添加されてい
るため、はんだ耐候性試験にて剥離が生じている。比較
例22はSiが過剰に添加されているため、はんだ耐候
性試験にて剥離が生じている。比較例23はFeが過剰
に添加されているため導電率が低下し、曲げ加工性試験
では割れが発生、さらにはんだ耐候性試験にて剥離が生
じている。比較例24はMgが過剰に添加されているた
め、曲げ加工性試験では割れが発生、さらにはんだ耐候
性試験にて剥離が生じている。比較例25はMn等の選
択元素が総量で過剰に含有されているため、導電率が低
下し、曲げ加工性試験では割れが発生した。比較例26
はりん青銅であるが、導電率が低く、曲げ加工性試験で
は割れが発生、耐マイグレーション性及び耐応力緩和特
性も劣り、はんだ耐候性試験にて剥離が生じている。比
較例27は黄銅であるが、導電率が低く、曲げ加工性試
験では割れが発生、耐応力緩和特性も劣り、耐応力腐食
割れ性では短時間で破損している。比較例28はP、S
iが過剰に添加されるため、はんだ耐候性試験にて剥離
が生じ、耐応力腐食割れ性では短時間で破損している。
圧延材(15mm厚)について、表5に示す条件の冷間
加工と焼鈍を組み合わせ、0.25mm厚の板材を得
た。これらの板材について材料特性と、析出物の面積率
を下記要領で測定した。 (析出物の面積率)TEMを用いて90000倍(析出
物を確認するのに最も適当な倍率であった)の倍率で3
視野観察し、単位面積あたりに占める析出物の割合を測
定し、平均値を面積率とした。
3では耐力、導電率、密着曲げ加工性は良好、耐マイグ
レーション性における最大漏洩電流値は低く抑制され
て、さらにはんだ耐候性、耐応力腐食割れ性も良好であ
る。また、導電率はバッチ焼鈍材(No.2−17)に
比較して90%以下、析出物の面積率も5%以下であ
り、耐応力緩和特性に優れている。一方、表7に示すよ
うに、比較例2−4は、冷間圧延途中の熱処理時間が短
いため再結晶せず、耐応力緩和特性をはじめとする材料
特性に劣る。比較例2−5は、冷間圧延途中の熱処理時
間が長すぎたため結晶粒が粗大化し、析出物の面積率が
過剰となり、導電率もバッチ焼鈍材の90%を超え、耐
応力緩和特性が劣化し、さらに曲げ加工性にも劣る。比
較例2−6は、冷間圧延途中の熱処理時間が短いため再
結晶せず、耐応力緩和特性をはじめとする材料特性に劣
る。比較例2−7は、冷間圧延途中の熱処理時間が長す
ぎたため結晶粒が粗大化し、析出物の面積率が過剰とな
り、導電率もバッチ焼鈍材の90%を超え、耐応力緩和
特性が劣化し、さらに曲げ加工性にも劣る。比較例2−
8は、冷間圧延途中の熱処理温度が低すぎたため再結晶
せず、耐応力緩和特性をはじめとする材料特性に劣る。
比較例2−9は、冷間圧延途中の熱処理温度が高すぎた
ため、結晶粒が粗大化し、析出物の面積率が過剰とな
り、導電率もバッチ焼鈍材の90%を超え、耐応力緩和
特性は劣化し、さらに曲げ加工性にも劣る。
鈍が行われていないため転位が適切に解放されておら
ず、耐応力緩和特性に劣る。比較例2−11は、最終圧
延後の焼鈍時間が短すぎたため、転位が適切に解放され
ておらず、耐応力緩和特性に劣る。比較例2−12は、
最終圧延後の焼鈍時間が長すぎたため、析出物が粗大化
して面積率が大きくなり、導電率もバッチ焼鈍材の90
%を超え、耐応力緩和特性が劣った。比較例2−13
は、最終圧延後の焼鈍時間が短すぎたため、転位が適切
に解放されておらず、耐応力緩和特性に劣る。比較例2
−14は、最終圧延後の焼鈍時間が長すぎたため、析出
物が粗大化して面積率が大きくなり、導電率もバッチ焼
鈍材の90%以上となり、耐応力緩和特性が劣る。比較
例2−15は、最終圧延後の焼鈍温度が低すぎたため、
転位が適切に解放されておらず、耐応力緩和特性に劣
る。比較例2−16は、最終圧延後の焼鈍温度が高すぎ
たため、析出物が粗大化して面積率が大きくなり、導電
率もバッチ焼鈍材の90%以上となり、耐応力緩和特性
が劣った。比較例2−17はバッチ焼鈍材であり、冷間
圧延途中の焼鈍時間が本請求範囲を超えるものであり、
さらに最終圧延後の焼鈍も行われていないため、耐応力
緩和特性をはじめとする材料特性に劣る。
れ、強度、耐マイグレーション性、耐応力腐食割れ性、
はんだ耐熱剥離性等にも優れた端子・コネクタ用銅合金
を得ることができる。
めの斜視図である。
面図である。
を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 Ni:0.1%(重量%、以下同じ)以
上0.5%未満、Sn:1.0%を超え2.5%未満、
Zn:1.0%を超え15%以下、さらにP:0.00
01%以上0.05%未満とSi:0.0001%以上
0.05%以下のいずれか一方又は双方を含有し、残部
がCu及び不可避的不純物からなる端子・コネクタ用銅
合金。 - 【請求項2】 さらにTi:0.0001%以上0.2
%以下、Mg:0.0001%以上0.2%以下、A
g:0.0001%以上0.2%以下、及びFe:0.
0001以上0.6重量%以下からなる群から選択され
た一種以上の成分を総量で0.0001〜1重量%含む
ことを特徴とする請求項1に記載された端子・コネクタ
用銅合金。 - 【請求項3】 S:0.0005%以上0.005%以
下とし、さらにO含有量:50ppm以下、かつH含有
量:10ppm以下としたことを特徴とする請求項1又
は2に記載された端子・コネクタ用銅合金。 - 【請求項4】 Ca、Mn、Be、Al、V、Cr、C
o、Zr、Nb、Mo、In、Pb、Hf、Ta、B、
Ge、Sbの1種又は2種以上を総量で1%以下含むこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された端
子・コネクタ用銅合金。 - 【請求項5】 焼鈍して得られる導電率の最大値に対し
て90%以下の導電率を有することを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載された端子・コネクタ用銅合
金。 - 【請求項6】 析出物等の未固溶物の面積率が5%以下
であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
された端子・コネクタ用銅合金。 - 【請求項7】 160℃・1000hr経過後の応力緩
和率が30%以下であることを特徴とする請求項1〜6
のいずれかに記載された端子・コネクタ用銅合金。 - 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載された銅
合金に対し、冷間圧延工程の途中での焼鈍及び最終冷間
圧延後の安定化焼鈍を、連続炉において250℃〜85
0℃の温度範囲で5秒以上1分以下実施することを特徴
とする端子・コネクタ用銅合金の製造方法。
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