JP2000080301A - 赤味の色調を有する微粒子型コバルトブル―系顔料及びその製造方法 - Google Patents
赤味の色調を有する微粒子型コバルトブル―系顔料及びその製造方法Info
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Abstract
より赤味の微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料
を尿素等の窒素源の発生を伴わなずに製造する方法を提
供すること提供すること。 【解決手段】 BET法による比表面積が40〜60m
2/gである、酸化アルミニウム及び酸化コバルトより
成る微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料中にリ
ン換算で0.2〜1.0重量%のリン化合物を含有する
微粒子型コバルトブルー系顔料、及びリン化合物の不存
在下又は存在下に、アルミニウム及びコバルトの水酸化
物及び/又は炭酸塩の沈殿を、それぞれ順に2段階で生
成させ、沈澱物を焼成する上記顔料の製造方法。
Description
ルー系顔料及びその製造方法に関し、更に詳しくは、よ
り赤味の冴えた色調を有し、透明で着色力があり、分散
性の良好なコバルトブルー系顔料及びその製造方法に関
する。
品性などに優れた、堅牢度の高い無機顔料として広く、
例えば塗料、合成樹脂の着色剤、窯業用、更には蛍光体
の着色剤等として幅広く使用されている。近年、微粒子
タイプのコバルトブルー系顔料が開発され、その光の波
長によって高い選択性透過性を有する特徴からCRT用
等の光学的カラーフィルター及び顔料付き蛍光体の着色
剤としての利用が進められつつある。これらの用途にお
いては、充分な透過性と外光反射の抑制を両立させるた
めに、分散性が良好で着色力の大きい顔料が求められ
る。更に、青色蛍光体の発光スペクトル波長に比べコバ
ルトブルーの透過スペクトル波長が長波長にシフトして
いることから、カラーフィルター特性上、より赤味のコ
バルトブルーが求められている。
造する方法として、本出願人は尿素の加水分解を利用す
る方法を提案した(特公平6−96454号公報、特開
平2−283771号公報、特願平7−282422
号)。しかしながら、特公平6−96454号公報によ
る方法では、色相は赤味であるものの一次粒子が微細
で、粒子間の凝集力が大きく、分散に多大なエネルギー
を必要とする上、焼成時に充分な発色を得るためにはコ
バルトの含有量を低くする必要があり、着色力が不充分
であるという欠点があった。一方特願平7−28242
2号による方法では、コバルト含有量を増加させるため
鉱化剤を利用することが提案されているが、色相的には
充分な赤味があるとはいえない。
を製造することは、顔料中のコバルト含有量を低くする
ことで可能である。しかしながら、この方法で得られる
顔料は着色力が低下し、顔料として品質上好ましいもの
ではない。更に、これら提案方法は、いずれも尿素の加
水分解を利用するため、反応終了後、アンモニア性窒素
が排水へ流出することは避けられず、河川等の富栄養化
の原因となることから、大量に生産した場合あまり好ま
しい方法とはいえない。
は、透明で分散性が良く、着色力も高く、色相がより赤
味の微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料を尿素
等の窒素源の発生を伴わなずに製造する方法を提供する
ことにある。本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究
の結果、アルミニウム及びコバルトの水酸化物又は炭酸
塩を沈殿させるアルカリ剤として炭酸ソーダを利用し、
それぞれの沈殿条件を最適に制御することにより、更に
は沈殿生成時にリン化合物を共存させることにより、透
明で分散性の良い、着色力が高く、より赤味の色相を有
する微粒子型コバルトブルー系顔料が得られることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。
明によって達せられる。即ち、本発明は、酸化アルミニ
ウム及び酸化コバルトより成る複合酸化物顔料であっ
て、BET法による比表面積が40〜60m2/gであ
ることを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔料及び
アルミニウム塩水溶液及びコバルト塩水溶液とアルカリ
金属の炭酸塩水溶液とを接触させて生成させたアルミニ
ウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
焼成して複合酸化物顔料を製造するに際し、先ず、アル
ミニウム及びコバルトのいずれか一方の金属の水酸化物
及び/又は炭酸塩の沈殿を生成させ、次いで、この沈澱
の存在下に他方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を沈
澱させることを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔
料の製造方法である。又、本発明によれば、上記の顔料
中にリン換算で0.2〜1.0重量%のリン化合物を含
有する更に赤味の色調を呈し、前記の比表面積を有する
微粒子型コバルトブルー系顔料が提供される。この顔料
は、上記の少なくとも一方の沈澱生成をリン化合物の存
在下に行うことによって製造される。
発明を更に詳しく説明する。本発明における微粒子型コ
バルトブルー系顔料は、BET比表面積が40〜60m
2の高表面積を有するにも拘らず、高着色力、高分散性
を有することが特徴であり、顔料中に更にリン化合物を
含むことでより赤味の色調を有することが特徴である。
又、上記顔料を製造する際、主原料のアルムニウム塩及
びコバルト塩と沈澱剤であるアルカリ金属の炭酸塩とを
接触させてこれらの金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の
沈澱を生成させる際に、先ず一方の金属の水酸化物及び
/又は炭酸塩の沈澱を生成させ、次いで、この沈澱の存
在下に他方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
生成させる2段階沈澱生成を行うことが特徴である。沈
澱生成に際して、少なくともいずれか一方の沈澱生成を
リン化合物の存在下に行うことよって、より赤味のある
顔料が得られることも特徴である。
ルト塩としては、アルミニウム及びコバルトの硫酸塩、
硝酸塩、塩化物、酢酸塩等の従来のコバルトブルー系顔
料の製造に使用されるいる塩はいずれも使用することが
でき、特に限定されない。アルミニウム塩として塩化物
を使用する場合には、赤味及び高着色力の顔料が得られ
易く、硫酸塩を使用する場合にはより微粒子の顔料が得
られ易い。又、上記の必須成分に加え、クロムやマグネ
シウム、亜鉛等の金属塩も少量併用することができる。
って二段階にわけて主原料塩の金属をそれぞれ水酸化物
及び/又は炭酸塩として順次沈殿させる際に、各沈澱段
階の条件を厳密に規定することが重要であり、その上
で、少なくとも一方の沈澱段階をリン化合物の存在下に
実施することが好ましい。リン化合物は主原料塩の金属
の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱と共に沈殿し、主原
料塩の金属の上記の沈澱と共存する。リン化合物は焼成
後の顔料の色相をより赤味にさせることができるばかり
でなく、顔料中のコバルト含有量を増加させることがで
き、着色力を向上させる。
ン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、リン酸2水
素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン
酸ナトリウム等の水溶性リン酸塩であればいずれも使用
することができ、特に限定されない。その使用量は、生
成顔料に対してリン基準換算で0.2〜1.0重量%含
まれるように使用することが好ましく、含有量が0.2
重量%未満ではリン化合物使用の効果が不充分であり、
1.0重量%を超えて含有させても効果は変わらないば
かりか色相に悪影響を与えるので好ましくない。好まし
いリン化合物の使用量は生成顔料に対して1.0〜3.
0重量%である。
は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩で
あり、炭酸ソーダ(ナトリウム)が好ましい。以下では
炭酸ソーダを例に説明する。
のいずれか一方の主原料塩の水溶液と沈澱剤の水溶液を
接触させて一方の主原料金属の水酸化物及び/又は炭酸
塩の沈澱を生成させ、この沈澱の存在下に同様にして他
方の主原料金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を生
成させる。その際、沈澱条件を厳密に制御することで本
発明の目的の大部分は達成される。又、厳密な沈澱条件
下に、リン化合物を沈澱生成反応系中に均一に共存させ
ることが好ましい。リン化合物の共存により、より赤味
のある、高着色力の顔料を得ることができる。リン化合
物は2段階沈澱のいずれか一方又は両方に共存させても
よい。リン化合物の共存のさせ方は特に制限されない
が、例えば、予め用意した共沈媒体中に、あるいはアル
ミニウム塩水溶液及び/又は炭酸ソーダ水溶液に必要量
のリン化合物を完全に溶解させておく等の態様が好まし
いものして挙げられる。
ず、前記のアルミニウム塩、コバルト塩及び炭酸ソーダ
をそれぞれ水に溶解して、別々の塩水溶液及びアルカリ
水溶液を形成する。各塩の水溶液の濃度は最終顔料換算
濃度として2〜10重量%程度となる範囲が好ましい。
本発明におけるアルミニウム塩とコバルト塩の使用量
は、モル比でCo/Al=1/2〜1/5程度の範囲が
好ましい。又、水溶液中のアルミニウム塩及びコバルト
塩の濃度は、0.5〜2.0モル/リットルの範囲が好
ましい。アルミニウム塩及びコバルト塩の濃度、更に全
体としての濃度が、上記の下限未満では、得られる顔料
の前駆体及び顔料が微細になりすぎて凝集力が大きく、
分散性の悪いものになり、生産効率も低下する。一方、
上記の上限を超えると、前駆体及び得られる顔料の嵩が
大きくなりすぎて取り扱いが困難になるだけでなく、顔
料の吸油量、吸水量も増加し、分散性が悪くなり、透明
性が不足する傾向にある。
化物及び/又は炭酸塩として沈澱させる好ましい方法
は、先ず、アルミニウム塩水溶液と炭酸ソーダ水溶液を
用い、予め用意した水等の沈殿媒体中にこれらの水溶液
を同時滴下させせてアルミニウムの水酸化物及び/又は
炭酸塩の沈澱を生成させ、その後、この沈澱を含む沈澱
媒体中にコバルト水溶液と炭酸ソーダ水溶液を同時に滴
下させてコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
生成させる方法である。リン化合物を沈澱系に共存させ
る場合には、上記のアルミニウム塩水溶液、コバルト塩
水溶液及び炭酸ソーダ水溶液の少なくとも1種に溶解さ
せて使用する。通常は、アルミニウム塩水溶液か炭酸ソ
ーダ溶液に溶解させる。
化物及び/又は炭酸塩を沈殿させる沈澱媒体の温度は、
40〜60℃の範囲が望ましい。40℃未満では沈殿物
がゲル化し易くなり、顔料適性が悪くなる。又、60℃
を超えても特に問題となる悪影響はないが、最終顔料の
分散性がやや悪くなる。又、沈殿生成時の沈澱媒体のp
Hは、3.5〜4.5の範囲が好ましい。pHが3.5
未満では沈澱が非常に微細な粒子になってゲル化し易
く、得られる顔料は顔料適性が低下し、最終顔料の分散
性が極めて悪くなる。又、pHが4.5を超えると顔料
前駆体及び得られる顔料の嵩が大きくなりすぎ、顔料の
吸油量、吸水量の増大を招き、分散不良を起こし易くな
る。
塩の沈殿を生成させる時の沈澱媒体の温度は、50〜8
0℃の範囲が好ましい。50℃未満ではコバルトの水酸
化物及び/又は炭酸塩の沈澱とアルミニウムの水酸化物
及び/又は炭酸塩との沈澱との組成偏在等の均一性に欠
ける傾向にあり、最終顔料の発色が悪くなる傾向にあ
る。又、80℃を超えると沈殿時のpH制御が難しくな
るだけでなく、エネルギーの無駄でもある。更に好まし
い沈澱時の温度は60〜70℃である。又、沈澱生成時
の沈澱媒体のpHは6.5〜7.5の範囲が望ましい。
pHが6.5未満ではコバルトの水酸化物又は炭酸塩の
沈澱が非常に微細な粒子になってゲル化し易く、顔料適
性が低下し、最終顔料の分散性が悪くなる。又、pHが
7.5を超えると顔料の前駆体及び顔料自体の嵩が大き
くなりすぎ、吸油量、吸水量の増大を招き、最終顔料の
分散性にあまりよい結果を生じない。
化合物が共存しない場合及び共存する場合も、アルミニ
ウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿物
を2段階に分けて生成させるが、かかる2種の沈澱物を
同一pHで同時に1段階で共沈殿させる方法も当然なが
ら考えられる。しかしながら、両者の沈澱物の性状が大
幅に異なるため、この共沈方法ではどのような条件下で
も均一性に欠けた顔料適性の乏しい顔料しか得られな
い。本発明によれば、リン化合物の共存の有無に拘ら
ず、アルミニウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭
酸塩を別々の条件下で沈殿させる方法を提案している
が、両者の性状を詳細に検討した結果、本発明の前記の
沈殿条件下にそれぞれ沈澱を生成させれば、顔料適性の
最も優れた前駆体が得られ、通常の共沈法と全く遜色の
ない顔料が得られる。
炭酸塩の沈澱を生成させた後、更に加熱、熟成して沈殿
反応を完了させる。次に、得られた生成沈澱物を水洗、
濾過し、100〜120℃程度の温度で乾燥させ、得ら
れた乾燥物を酸化性雰囲気下で約1000〜1200℃
の温度で30〜90分焼成することにより、本発明の微
粒子型コバルトブルー系顔料及びリン含有微粒子型コバ
ルトブルー系顔料が得られる。
が40〜60m2/gの、酸化アルミニウム及び酸化コ
バルトより成る赤味の複合酸化物微粒子型コバルトブル
ー系顔料及びこの顔料中にリン換算で0.2〜1.0重
量%のリン化合物を含有する、より赤味の複合酸化物微
粒子型コバルトブルー系顔料が得られる。いずれも高着
色力、高分散性を有する顔料である。
力、高分散性を有する、赤味の微粒子型コバルトブルー
系顔料及びより赤味のリン含有微粒子型コバルトブルー
系顔料を、沈殿剤として尿素を用いることなく、一般的
なアルカリである炭酸ソーダを使用することでアンモニ
ア等の窒素負荷の全くない方法で製造することができる
ことにある。又、アルミニウム及びコバルトの水酸化物
又は炭酸塩の反応濃度、沈殿温度、沈殿pH等の合成条
件をそれぞれ精密に制御することで反応性の良好な前駆
体を得ることが可能であり、この反応に要するエネルギ
ー、時間も尿素法に比べて極めて少ないことも特徴であ
る。更に、従来本発明者らが提示している鉱化剤である
モリブデン酸塩又はタングステン酸塩などを共存させ、
粒子の大きさを制御することも勿論可能である。
てこれらの塩化物を使用すると、前記の沈澱条件下では
沈澱中に少量の塩素が塩基性塩として取り込まれ、これ
が沈澱物の焼成時に反応促進剤として働くために、顔料
粒子がやや大きめになるものの、赤味で、高着色力、高
分散性の微粒子型コバルトブルー顔料が得られる。一
方、上記の原料として硫酸塩を用いた場合には、上記の
ような効果はなく、赤味は少ないものの、より微細で透
明な顔料を得ることができる。但し、着色力はやや不足
する。
体的に説明する。尚、本文中の部及び%は特に断りのな
い限り重量基準である。
れを完全に溶かして1000部とする。次に沈殿剤とし
て無水炭酸ソーダ256部及びリン酸2水素ナトリウム
2水塩5部を計り採り、水を加えて700部とし、約4
0℃に加熱して完全に溶解する。又、塩化コバルト6水
塩178部を計り採り、水を加えてこれを完全に溶かし
て350部とする。次に、塩化コバルト用沈殿剤として
無水炭酸ソーダ98部を計り採り、水を加えて250部
とし、約40℃に加熱して完全に溶解する。
000部を加熱して約50℃に調整し、ここに塩化アル
ミニウム水溶液とリン酸塩を含んだ炭酸ソーダ水溶液と
を同時に滴下し、約30分から1時間かけて沈殿反応を
完了させる。この際のpHは4.0前後になるように注
意し、塩化アルミニウム水溶液の滴下が終了した後、リ
ン酸塩を含む過剰の炭酸ソーダ水溶液を続けて加えpH
を約6.7とした後、70℃まで徐々に加熱しながら、
60分間程度熟成する。次にこの媒体スラリー中に塩化
コバルト水溶液とこれ用の炭酸ソーダ水溶液を同時に滴
下し、20〜25分かけて沈殿反応を完了させる。この
際のpHは6.8〜7.0位になるように注意し、炭酸
ソーダ水溶液の滴下が終了した後、塩化コバルトの水溶
液を全量加えてpHが6.4〜6.5位にする。その後
90℃まで加熱し、2時間程度熟成する。
デカンテーションにより充分に水洗し、残塩を洗い流
し、濾過を行う。次いで100〜120℃の温度にて1
2時間以上乾燥させる。この乾燥物を1150℃で1時
間、酸化雰囲気にて焼成した後冷却した。このようにし
て得られた本発明のコバルトブルー顔料の比表面積をB
ET法で測定した。又、得られた顔料(40部)をペイ
ントシェイカーにてメラミンアルキッド樹脂ワニス(1
00部)中に分散させて塗料化し、従来の微粒子型コバ
ルトブルー顔料を用いたものとの対比で色調を観察し
た。その結果、本発明の顔料は透明性、分散性は従来の
ものと同等に良好で、色調が赤味であった。以上の結果
を表1に示す。
リブデン酸ナトリウム2水塩4部を添加及び溶解する以
外は実施例1と同様にして顔料の合成を行った。この様
にして得られた顔料は実施例1と同様に透明で冴えた赤
味の色調を有し、やや隠蔽性が大きく、分散性も良好で
あった。BETによる比表面積と共に結果を表1に示
す。
にリン酸2水素ナトリウム2水塩を添加溶解しない以外
は実施例1と同様にして顔料の合成を行った。この様に
して得られた顔料は、色調にやや赤味が少ないものの、
透明性、分散性は良好であった。比表面積と共に以上の
結果を表1に示す。
ウム9水塩36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.
6部、硝酸コバルト6水塩15.6部、モリブデン酸ソ
ーダ2水塩0.4部及び尿素16.8部と水を加え、全
体を500部とした。これとは別に、無水炭酸ソーダ
7.7部を水55部に溶解したアルカリ水溶液を用意し
た。フラスコの内容物をよく撹拌して各成分を完全に溶
解させて原料塩溶液を調整した。原料塩溶液を撹拌しな
がら温度を上げ、温度が100℃になったらその温度を
一定に保った。5時間程度経過すると沈殿が析出してく
る。沈殿が生じてから約1.5時間後、このスラリー中
にアルカリ水溶液を滴下した。滴下後約1時間熟成した
後は、焼成温度を1100℃とする以外は実施例1と同
様にして顔料を得た。この様にして得られた顔料は、透
明性、分散性は優れているものの、隠蔽性がやや高く、
緑味の色調をしている。比表面積と共に以上の結果を表
1に示す。
ニウム16水塩537.6部を使用する以外は実施例1
と同様にして顔料の合成を行った。得られた顔料は、赤
味は少ないものの、透明性、分散性は良好であった。比
表面積とともにこれらの結果を表1に示す。
を厳密に制御することにより、高透明性、高着色力、高
分散性を有する赤味の複合酸化物微粒子型コバルトブル
ー系顔料が提供される。又、この顔料にリン化合物を含
有させることにより色調的により赤味の複合酸化物微粒
子型コバルトブルー系顔料が提供される。本発明によれ
ば、これらの顔料は尿素等の窒素源を全く含まない沈澱
剤を用い、且つ簡便な方法で製造することができる。従
って、本発明による複合酸化物微粒子型コバルトブルー
系顔料は、従来の複合酸化物微粒子型にはない赤みの色
調を有し、鮮明な発色と良好な分散性、高い着色力を合
わせ持ち、塗料や合成樹脂の着色剤等に用いられる他、
これらの特性を生かした光学的カラーフィルター等への
応用が期待できる。
Claims (8)
- 【請求項1】 酸化アルミニウム及び酸化コバルトより
成る複合酸化物顔料であって、BET法による比表面積
が40〜60m2/gであることを特徴とする微粒子型コ
バルトブルー系顔料。 - 【請求項2】 更にリン化合物を顔料中にリン換算で
0.2〜1.0重量%含有する請求項1に記載の微粒子
型コバルトブルー系顔料。 - 【請求項3】 アルミニウム塩水溶液及びコバルト塩水
溶液とアルカリ金属の炭酸塩水溶液とを接触させて生成
させたアルミニウム及びコバルトの水酸化物及び/又は
炭酸塩の沈澱を焼成して複合酸化物顔料を製造するに際
し、先ず、アルミニウム及びコバルトのいずれか一方の
金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿を生成させ、次
いで、この沈澱の存在下に他方の金属の水酸化物及び/
又は炭酸塩を沈澱させることを特徴とする微粒子型コバ
ルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項4】 アルミニウム塩水溶液とアルカリ金属の
炭酸塩水溶液でアルミニウムの水酸化物及び/又は炭酸
塩を沈殿させた後、この沈殿スラリー中でコバルト塩水
溶液と炭酸ソーダ水溶液によってコバルトの水酸化物及
び/又は炭酸塩を沈殿させる請求項3に記載の微粒子型
コバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項5】 アルミニウム水酸化物及び/又は炭酸塩
の沈殿温度が40〜60℃、沈殿時のpHが3.5〜
4.5の範囲である請求項3又は4に記載の微粒子型コ
バルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項6】 コバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の
沈殿温度が60〜70℃、沈殿時のpHが6.5〜7.
5の範囲である請求項3又は4に記載の微粒子型コバル
トブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項7】 アルミニウム及びコバルトの少なくとも
一方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿の生成
を、リン化合物の存在下に行う請求項3〜6のいずれか
1項に記載の微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方
法。 - 【請求項8】 リン化合物の使用割合が生成顔料に対し
て1.0〜3.0重量%であり、リン化合物をアルミニ
ウム塩水溶液、コバルト塩水溶液、アルカリ金属の炭酸
塩水溶液並びにアルミニウム及びコバルを上記の沈澱と
して沈殿させる際の沈澱媒体の少なくとも1種に溶解す
る請求項7に記載の微粒子型コバルトブルー系顔料の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14861399A JP3681921B2 (ja) | 1998-06-23 | 1999-05-27 | 赤味の色調を有する微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP17565698 | 1998-06-23 | ||
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Country Status (1)
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Cited By (3)
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KR20030055107A (ko) * | 2001-12-25 | 2003-07-02 | 가세이 옵토닉스 가부시키가이샤 | 안료부착 형광체 및 그 제조방법 |
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JP2015036747A (ja) * | 2013-08-13 | 2015-02-23 | 富士ゼロックス株式会社 | 光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 |
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1999
- 1999-05-27 JP JP14861399A patent/JP3681921B2/ja not_active Expired - Lifetime
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