JP2000080301A - 赤味の色調を有する微粒子型コバルトブル―系顔料及びその製造方法 - Google Patents

赤味の色調を有する微粒子型コバルトブル―系顔料及びその製造方法

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JP2000080301A JP11148613A JP14861399A JP2000080301A JP 2000080301 A JP2000080301 A JP 2000080301A JP 11148613 A JP11148613 A JP 11148613A JP 14861399 A JP14861399 A JP 14861399A JP 2000080301 A JP2000080301 A JP 2000080301A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明で分散性が良く、着色力も高く、色相が
より赤味の微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料
を尿素等の窒素源の発生を伴わなずに製造する方法を提
供すること提供すること。 【解決手段】 BET法による比表面積が40〜60m
2/gである、酸化アルミニウム及び酸化コバルトより
成る微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料中にリ
ン換算で0.2〜1.0重量%のリン化合物を含有する
微粒子型コバルトブルー系顔料、及びリン化合物の不存
在下又は存在下に、アルミニウム及びコバルトの水酸化
物及び/又は炭酸塩の沈殿を、それぞれ順に2段階で生
成させ、沈澱物を焼成する上記顔料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微粒子型コバルトブ
ルー系顔料及びその製造方法に関し、更に詳しくは、よ
り赤味の冴えた色調を有し、透明で着色力があり、分散
性の良好なコバルトブルー系顔料及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】コバルトブルー系顔料は、耐熱性、耐薬
品性などに優れた、堅牢度の高い無機顔料として広く、
例えば塗料、合成樹脂の着色剤、窯業用、更には蛍光体
の着色剤等として幅広く使用されている。近年、微粒子
タイプのコバルトブルー系顔料が開発され、その光の波
長によって高い選択性透過性を有する特徴からCRT用
等の光学的カラーフィルター及び顔料付き蛍光体の着色
剤としての利用が進められつつある。これらの用途にお
いては、充分な透過性と外光反射の抑制を両立させるた
めに、分散性が良好で着色力の大きい顔料が求められ
る。更に、青色蛍光体の発光スペクトル波長に比べコバ
ルトブルーの透過スペクトル波長が長波長にシフトして
いることから、カラーフィルター特性上、より赤味のコ
バルトブルーが求められている。
【0003】上記の微粒子型コバルトブルー系顔料を製
造する方法として、本出願人は尿素の加水分解を利用す
る方法を提案した(特公平6−96454号公報、特開
平2−283771号公報、特願平7−282422
号)。しかしながら、特公平6−96454号公報によ
る方法では、色相は赤味であるものの一次粒子が微細
で、粒子間の凝集力が大きく、分散に多大なエネルギー
を必要とする上、焼成時に充分な発色を得るためにはコ
バルトの含有量を低くする必要があり、着色力が不充分
であるという欠点があった。一方特願平7−28242
2号による方法では、コバルト含有量を増加させるため
鉱化剤を利用することが提案されているが、色相的には
充分な赤味があるとはいえない。
【0004】又、従来の技術で赤味の色調を有する顔料
を製造することは、顔料中のコバルト含有量を低くする
ことで可能である。しかしながら、この方法で得られる
顔料は着色力が低下し、顔料として品質上好ましいもの
ではない。更に、これら提案方法は、いずれも尿素の加
水分解を利用するため、反応終了後、アンモニア性窒素
が排水へ流出することは避けられず、河川等の富栄養化
の原因となることから、大量に生産した場合あまり好ま
しい方法とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、透明で分散性が良く、着色力も高く、色相がより赤
味の微粒子型コバルトブルー系顔料及びこの顔料を尿素
等の窒素源の発生を伴わなずに製造する方法を提供する
ことにある。本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究
の結果、アルミニウム及びコバルトの水酸化物又は炭酸
塩を沈殿させるアルカリ剤として炭酸ソーダを利用し、
それぞれの沈殿条件を最適に制御することにより、更に
は沈殿生成時にリン化合物を共存させることにより、透
明で分散性の良い、着色力が高く、より赤味の色相を有
する微粒子型コバルトブルー系顔料が得られることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達せられる。即ち、本発明は、酸化アルミニ
ウム及び酸化コバルトより成る複合酸化物顔料であっ
て、BET法による比表面積が40〜60m2/gであ
ることを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔料及び
アルミニウム塩水溶液及びコバルト塩水溶液とアルカリ
金属の炭酸塩水溶液とを接触させて生成させたアルミニ
ウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
焼成して複合酸化物顔料を製造するに際し、先ず、アル
ミニウム及びコバルトのいずれか一方の金属の水酸化物
及び/又は炭酸塩の沈殿を生成させ、次いで、この沈澱
の存在下に他方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩を沈
澱させることを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔
料の製造方法である。又、本発明によれば、上記の顔料
中にリン換算で0.2〜1.0重量%のリン化合物を含
有する更に赤味の色調を呈し、前記の比表面積を有する
微粒子型コバルトブルー系顔料が提供される。この顔料
は、上記の少なくとも一方の沈澱生成をリン化合物の存
在下に行うことによって製造される。
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施形態を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明における微粒子型コ
バルトブルー系顔料は、BET比表面積が40〜60m
2の高表面積を有するにも拘らず、高着色力、高分散性
を有することが特徴であり、顔料中に更にリン化合物を
含むことでより赤味の色調を有することが特徴である。
又、上記顔料を製造する際、主原料のアルムニウム塩及
びコバルト塩と沈澱剤であるアルカリ金属の炭酸塩とを
接触させてこれらの金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の
沈澱を生成させる際に、先ず一方の金属の水酸化物及び
/又は炭酸塩の沈澱を生成させ、次いで、この沈澱の存
在下に他方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
生成させる2段階沈澱生成を行うことが特徴である。沈
澱生成に際して、少なくともいずれか一方の沈澱生成を
リン化合物の存在下に行うことよって、より赤味のある
顔料が得られることも特徴である。
【0008】本発明で使用するアルミニウム塩及びコバ
ルト塩としては、アルミニウム及びコバルトの硫酸塩、
硝酸塩、塩化物、酢酸塩等の従来のコバルトブルー系顔
料の製造に使用されるいる塩はいずれも使用することが
でき、特に限定されない。アルミニウム塩として塩化物
を使用する場合には、赤味及び高着色力の顔料が得られ
易く、硫酸塩を使用する場合にはより微粒子の顔料が得
られ易い。又、上記の必須成分に加え、クロムやマグネ
シウム、亜鉛等の金属塩も少量併用することができる。
【0009】本発明では、上記の主原料塩を沈澱剤によ
って二段階にわけて主原料塩の金属をそれぞれ水酸化物
及び/又は炭酸塩として順次沈殿させる際に、各沈澱段
階の条件を厳密に規定することが重要であり、その上
で、少なくとも一方の沈澱段階をリン化合物の存在下に
実施することが好ましい。リン化合物は主原料塩の金属
の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱と共に沈殿し、主原
料塩の金属の上記の沈澱と共存する。リン化合物は焼成
後の顔料の色相をより赤味にさせることができるばかり
でなく、顔料中のコバルト含有量を増加させることがで
き、着色力を向上させる。
【0010】本発明で使用するリン化合物としては、リ
ン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、リン酸2水
素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン
酸ナトリウム等の水溶性リン酸塩であればいずれも使用
することができ、特に限定されない。その使用量は、生
成顔料に対してリン基準換算で0.2〜1.0重量%含
まれるように使用することが好ましく、含有量が0.2
重量%未満ではリン化合物使用の効果が不充分であり、
1.0重量%を超えて含有させても効果は変わらないば
かりか色相に悪影響を与えるので好ましくない。好まし
いリン化合物の使用量は生成顔料に対して1.0〜3.
0重量%である。
【0011】本発明で使用する沈澱剤(アルカリ剤)
は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩で
あり、炭酸ソーダ(ナトリウム)が好ましい。以下では
炭酸ソーダを例に説明する。
【0012】本発明の顔料を製造するには、先ず、上記
のいずれか一方の主原料塩の水溶液と沈澱剤の水溶液を
接触させて一方の主原料金属の水酸化物及び/又は炭酸
塩の沈澱を生成させ、この沈澱の存在下に同様にして他
方の主原料金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を生
成させる。その際、沈澱条件を厳密に制御することで本
発明の目的の大部分は達成される。又、厳密な沈澱条件
下に、リン化合物を沈澱生成反応系中に均一に共存させ
ることが好ましい。リン化合物の共存により、より赤味
のある、高着色力の顔料を得ることができる。リン化合
物は2段階沈澱のいずれか一方又は両方に共存させても
よい。リン化合物の共存のさせ方は特に制限されない
が、例えば、予め用意した共沈媒体中に、あるいはアル
ミニウム塩水溶液及び/又は炭酸ソーダ水溶液に必要量
のリン化合物を完全に溶解させておく等の態様が好まし
いものして挙げられる。
【0013】主原料金属の沈澱を生成させるために、先
ず、前記のアルミニウム塩、コバルト塩及び炭酸ソーダ
をそれぞれ水に溶解して、別々の塩水溶液及びアルカリ
水溶液を形成する。各塩の水溶液の濃度は最終顔料換算
濃度として2〜10重量%程度となる範囲が好ましい。
本発明におけるアルミニウム塩とコバルト塩の使用量
は、モル比でCo/Al=1/2〜1/5程度の範囲が
好ましい。又、水溶液中のアルミニウム塩及びコバルト
塩の濃度は、0.5〜2.0モル/リットルの範囲が好
ましい。アルミニウム塩及びコバルト塩の濃度、更に全
体としての濃度が、上記の下限未満では、得られる顔料
の前駆体及び顔料が微細になりすぎて凝集力が大きく、
分散性の悪いものになり、生産効率も低下する。一方、
上記の上限を超えると、前駆体及び得られる顔料の嵩が
大きくなりすぎて取り扱いが困難になるだけでなく、顔
料の吸油量、吸水量も増加し、分散性が悪くなり、透明
性が不足する傾向にある。
【0014】本発明における主原料塩をその金属の水酸
化物及び/又は炭酸塩として沈澱させる好ましい方法
は、先ず、アルミニウム塩水溶液と炭酸ソーダ水溶液を
用い、予め用意した水等の沈殿媒体中にこれらの水溶液
を同時滴下させせてアルミニウムの水酸化物及び/又は
炭酸塩の沈澱を生成させ、その後、この沈澱を含む沈澱
媒体中にコバルト水溶液と炭酸ソーダ水溶液を同時に滴
下させてコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈澱を
生成させる方法である。リン化合物を沈澱系に共存させ
る場合には、上記のアルミニウム塩水溶液、コバルト塩
水溶液及び炭酸ソーダ水溶液の少なくとも1種に溶解さ
せて使用する。通常は、アルミニウム塩水溶液か炭酸ソ
ーダ溶液に溶解させる。
【0015】この方法においては、アルミニウムの水酸
化物及び/又は炭酸塩を沈殿させる沈澱媒体の温度は、
40〜60℃の範囲が望ましい。40℃未満では沈殿物
がゲル化し易くなり、顔料適性が悪くなる。又、60℃
を超えても特に問題となる悪影響はないが、最終顔料の
分散性がやや悪くなる。又、沈殿生成時の沈澱媒体のp
Hは、3.5〜4.5の範囲が好ましい。pHが3.5
未満では沈澱が非常に微細な粒子になってゲル化し易
く、得られる顔料は顔料適性が低下し、最終顔料の分散
性が極めて悪くなる。又、pHが4.5を超えると顔料
前駆体及び得られる顔料の嵩が大きくなりすぎ、顔料の
吸油量、吸水量の増大を招き、分散不良を起こし易くな
る。
【0016】一方、コバルトの水酸化物及び/又は炭酸
塩の沈殿を生成させる時の沈澱媒体の温度は、50〜8
0℃の範囲が好ましい。50℃未満ではコバルトの水酸
化物及び/又は炭酸塩の沈澱とアルミニウムの水酸化物
及び/又は炭酸塩との沈澱との組成偏在等の均一性に欠
ける傾向にあり、最終顔料の発色が悪くなる傾向にあ
る。又、80℃を超えると沈殿時のpH制御が難しくな
るだけでなく、エネルギーの無駄でもある。更に好まし
い沈澱時の温度は60〜70℃である。又、沈澱生成時
の沈澱媒体のpHは6.5〜7.5の範囲が望ましい。
pHが6.5未満ではコバルトの水酸化物又は炭酸塩の
沈澱が非常に微細な粒子になってゲル化し易く、顔料適
性が低下し、最終顔料の分散性が悪くなる。又、pHが
7.5を超えると顔料の前駆体及び顔料自体の嵩が大き
くなりすぎ、吸油量、吸水量の増大を招き、最終顔料の
分散性にあまりよい結果を生じない。
【0017】このようにして本発明では、沈澱系にリン
化合物が共存しない場合及び共存する場合も、アルミニ
ウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿物
を2段階に分けて生成させるが、かかる2種の沈澱物を
同一pHで同時に1段階で共沈殿させる方法も当然なが
ら考えられる。しかしながら、両者の沈澱物の性状が大
幅に異なるため、この共沈方法ではどのような条件下で
も均一性に欠けた顔料適性の乏しい顔料しか得られな
い。本発明によれば、リン化合物の共存の有無に拘ら
ず、アルミニウム及びコバルトの水酸化物及び/又は炭
酸塩を別々の条件下で沈殿させる方法を提案している
が、両者の性状を詳細に検討した結果、本発明の前記の
沈殿条件下にそれぞれ沈澱を生成させれば、顔料適性の
最も優れた前駆体が得られ、通常の共沈法と全く遜色の
ない顔料が得られる。
【0018】アルミニウム及びコバルトの水酸化物又は
炭酸塩の沈澱を生成させた後、更に加熱、熟成して沈殿
反応を完了させる。次に、得られた生成沈澱物を水洗、
濾過し、100〜120℃程度の温度で乾燥させ、得ら
れた乾燥物を酸化性雰囲気下で約1000〜1200℃
の温度で30〜90分焼成することにより、本発明の微
粒子型コバルトブルー系顔料及びリン含有微粒子型コバ
ルトブルー系顔料が得られる。
【0019】上記本発明の方法により、BET比表面積
が40〜60m2/gの、酸化アルミニウム及び酸化コ
バルトより成る赤味の複合酸化物微粒子型コバルトブル
ー系顔料及びこの顔料中にリン換算で0.2〜1.0重
量%のリン化合物を含有する、より赤味の複合酸化物微
粒子型コバルトブルー系顔料が得られる。いずれも高着
色力、高分散性を有する顔料である。
【0020】既に述べた如く、本発明の特徴は、高着色
力、高分散性を有する、赤味の微粒子型コバルトブルー
系顔料及びより赤味のリン含有微粒子型コバルトブルー
系顔料を、沈殿剤として尿素を用いることなく、一般的
なアルカリである炭酸ソーダを使用することでアンモニ
ア等の窒素負荷の全くない方法で製造することができる
ことにある。又、アルミニウム及びコバルトの水酸化物
又は炭酸塩の反応濃度、沈殿温度、沈殿pH等の合成条
件をそれぞれ精密に制御することで反応性の良好な前駆
体を得ることが可能であり、この反応に要するエネルギ
ー、時間も尿素法に比べて極めて少ないことも特徴であ
る。更に、従来本発明者らが提示している鉱化剤である
モリブデン酸塩又はタングステン酸塩などを共存させ、
粒子の大きさを制御することも勿論可能である。
【0021】又、アルミニウム及びコバルトの原料とし
てこれらの塩化物を使用すると、前記の沈澱条件下では
沈澱中に少量の塩素が塩基性塩として取り込まれ、これ
が沈澱物の焼成時に反応促進剤として働くために、顔料
粒子がやや大きめになるものの、赤味で、高着色力、高
分散性の微粒子型コバルトブルー顔料が得られる。一
方、上記の原料として硫酸塩を用いた場合には、上記の
ような効果はなく、赤味は少ないものの、より微細で透
明な顔料を得ることができる。但し、着色力はやや不足
する。
【0022】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。尚、本文中の部及び%は特に断りのな
い限り重量基準である。
【0023】実施例1 塩化アルミニウム6水塩412部を計り、水を加えてこ
れを完全に溶かして1000部とする。次に沈殿剤とし
て無水炭酸ソーダ256部及びリン酸2水素ナトリウム
2水塩5部を計り採り、水を加えて700部とし、約4
0℃に加熱して完全に溶解する。又、塩化コバルト6水
塩178部を計り採り、水を加えてこれを完全に溶かし
て350部とする。次に、塩化コバルト用沈殿剤として
無水炭酸ソーダ98部を計り採り、水を加えて250部
とし、約40℃に加熱して完全に溶解する。
【0024】予め用意しておいた沈殿媒体である水約2
000部を加熱して約50℃に調整し、ここに塩化アル
ミニウム水溶液とリン酸塩を含んだ炭酸ソーダ水溶液と
を同時に滴下し、約30分から1時間かけて沈殿反応を
完了させる。この際のpHは4.0前後になるように注
意し、塩化アルミニウム水溶液の滴下が終了した後、リ
ン酸塩を含む過剰の炭酸ソーダ水溶液を続けて加えpH
を約6.7とした後、70℃まで徐々に加熱しながら、
60分間程度熟成する。次にこの媒体スラリー中に塩化
コバルト水溶液とこれ用の炭酸ソーダ水溶液を同時に滴
下し、20〜25分かけて沈殿反応を完了させる。この
際のpHは6.8〜7.0位になるように注意し、炭酸
ソーダ水溶液の滴下が終了した後、塩化コバルトの水溶
液を全量加えてpHが6.4〜6.5位にする。その後
90℃まで加熱し、2時間程度熟成する。
【0025】次に沈澱媒体から生成沈澱物を取り出し、
デカンテーションにより充分に水洗し、残塩を洗い流
し、濾過を行う。次いで100〜120℃の温度にて1
2時間以上乾燥させる。この乾燥物を1150℃で1時
間、酸化雰囲気にて焼成した後冷却した。このようにし
て得られた本発明のコバルトブルー顔料の比表面積をB
ET法で測定した。又、得られた顔料(40部)をペイ
ントシェイカーにてメラミンアルキッド樹脂ワニス(1
00部)中に分散させて塗料化し、従来の微粒子型コバ
ルトブルー顔料を用いたものとの対比で色調を観察し
た。その結果、本発明の顔料は透明性、分散性は従来の
ものと同等に良好で、色調が赤味であった。以上の結果
を表1に示す。
【0026】実施例2 塩化コバルト水溶液を沈殿させる炭酸ソーダ水溶液にモ
リブデン酸ナトリウム2水塩4部を添加及び溶解する以
外は実施例1と同様にして顔料の合成を行った。この様
にして得られた顔料は実施例1と同様に透明で冴えた赤
味の色調を有し、やや隠蔽性が大きく、分散性も良好で
あった。BETによる比表面積と共に結果を表1に示
す。
【0027】実施例3 塩化アルミニウム水溶液を沈殿させる炭酸ソーダ水溶液
にリン酸2水素ナトリウム2水塩を添加溶解しない以外
は実施例1と同様にして顔料の合成を行った。この様に
して得られた顔料は、色調にやや赤味が少ないものの、
透明性、分散性は良好であった。比表面積と共に以上の
結果を表1に示す。
【0028】比較例1 コンデンサー付きのセパラブルフラスコに硝酸アルミニ
ウム9水塩36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.
6部、硝酸コバルト6水塩15.6部、モリブデン酸ソ
ーダ2水塩0.4部及び尿素16.8部と水を加え、全
体を500部とした。これとは別に、無水炭酸ソーダ
7.7部を水55部に溶解したアルカリ水溶液を用意し
た。フラスコの内容物をよく撹拌して各成分を完全に溶
解させて原料塩溶液を調整した。原料塩溶液を撹拌しな
がら温度を上げ、温度が100℃になったらその温度を
一定に保った。5時間程度経過すると沈殿が析出してく
る。沈殿が生じてから約1.5時間後、このスラリー中
にアルカリ水溶液を滴下した。滴下後約1時間熟成した
後は、焼成温度を1100℃とする以外は実施例1と同
様にして顔料を得た。この様にして得られた顔料は、透
明性、分散性は優れているものの、隠蔽性がやや高く、
緑味の色調をしている。比表面積と共に以上の結果を表
1に示す。
【0029】実施例4 塩化アルミニウム6水塩412部の代わりに硫酸アルミ
ニウム16水塩537.6部を使用する以外は実施例1
と同様にして顔料の合成を行った。得られた顔料は、赤
味は少ないものの、透明性、分散性は良好であった。比
表面積とともにこれらの結果を表1に示す。
【0030】表 1
【0031】
【発明の効果】以上の発明によれば、合成(沈澱)条件
を厳密に制御することにより、高透明性、高着色力、高
分散性を有する赤味の複合酸化物微粒子型コバルトブル
ー系顔料が提供される。又、この顔料にリン化合物を含
有させることにより色調的により赤味の複合酸化物微粒
子型コバルトブルー系顔料が提供される。本発明によれ
ば、これらの顔料は尿素等の窒素源を全く含まない沈澱
剤を用い、且つ簡便な方法で製造することができる。従
って、本発明による複合酸化物微粒子型コバルトブルー
系顔料は、従来の複合酸化物微粒子型にはない赤みの色
調を有し、鮮明な発色と良好な分散性、高い着色力を合
わせ持ち、塗料や合成樹脂の着色剤等に用いられる他、
これらの特性を生かした光学的カラーフィルター等への
応用が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 徹 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 山根 健一 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウム及び酸化コバルトより
    成る複合酸化物顔料であって、BET法による比表面積
    が40〜60m2/gであることを特徴とする微粒子型コ
    バルトブルー系顔料。
  2. 【請求項2】 更にリン化合物を顔料中にリン換算で
    0.2〜1.0重量%含有する請求項1に記載の微粒子
    型コバルトブルー系顔料。
  3. 【請求項3】 アルミニウム塩水溶液及びコバルト塩水
    溶液とアルカリ金属の炭酸塩水溶液とを接触させて生成
    させたアルミニウム及びコバルトの水酸化物及び/又は
    炭酸塩の沈澱を焼成して複合酸化物顔料を製造するに際
    し、先ず、アルミニウム及びコバルトのいずれか一方の
    金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿を生成させ、次
    いで、この沈澱の存在下に他方の金属の水酸化物及び/
    又は炭酸塩を沈澱させることを特徴とする微粒子型コバ
    ルトブルー系顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム塩水溶液とアルカリ金属の
    炭酸塩水溶液でアルミニウムの水酸化物及び/又は炭酸
    塩を沈殿させた後、この沈殿スラリー中でコバルト塩水
    溶液と炭酸ソーダ水溶液によってコバルトの水酸化物及
    び/又は炭酸塩を沈殿させる請求項3に記載の微粒子型
    コバルトブルー系顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウム水酸化物及び/又は炭酸塩
    の沈殿温度が40〜60℃、沈殿時のpHが3.5〜
    4.5の範囲である請求項3又は4に記載の微粒子型コ
    バルトブルー系顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】 コバルトの水酸化物及び/又は炭酸塩の
    沈殿温度が60〜70℃、沈殿時のpHが6.5〜7.
    5の範囲である請求項3又は4に記載の微粒子型コバル
    トブルー系顔料の製造方法。
  7. 【請求項7】 アルミニウム及びコバルトの少なくとも
    一方の金属の水酸化物及び/又は炭酸塩の沈殿の生成
    を、リン化合物の存在下に行う請求項3〜6のいずれか
    1項に記載の微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 リン化合物の使用割合が生成顔料に対し
    て1.0〜3.0重量%であり、リン化合物をアルミニ
    ウム塩水溶液、コバルト塩水溶液、アルカリ金属の炭酸
    塩水溶液並びにアルミニウム及びコバルを上記の沈澱と
    して沈殿させる際の沈澱媒体の少なくとも1種に溶解す
    る請求項7に記載の微粒子型コバルトブルー系顔料の製
    造方法。
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KR20030055107A (ko) * 2001-12-25 2003-07-02 가세이 옵토닉스 가부시키가이샤 안료부착 형광체 및 그 제조방법
EP2100853A2 (en) 2008-03-07 2009-09-16 Toda Kogyo Corporation Infrared reflecting blue pigment, infrared reflecting green pigment, paint and resin composition using the infrared reflecting blue pigment, and paint and resin composition using the infrared reflecting green pigment
JP2015036747A (ja) * 2013-08-13 2015-02-23 富士ゼロックス株式会社 光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

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