JP3212069B2 - 微粒子型コバルトブルー系顔料及びその製造方法 - Google Patents
微粒子型コバルトブルー系顔料及びその製造方法Info
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09C—TREATMENT OF INORGANIC MATERIALS, OTHER THAN FIBROUS FILLERS, TO ENHANCE THEIR PIGMENTING OR FILLING PROPERTIES ; PREPARATION OF CARBON BLACK ; PREPARATION OF INORGANIC MATERIALS WHICH ARE NO SINGLE CHEMICAL COMPOUNDS AND WHICH ARE MAINLY USED AS PIGMENTS OR FILLERS
- C09C1/00—Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
- C09C1/0081—Composite particulate pigments or fillers, i.e. containing at least two solid phases, except those consisting of coated particles of one compound
Landscapes
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- Composite Materials (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微粒子型コバルトブ
ルー系顔料及びその製造方法に関し、更に詳しくは赤味
の冴えた色調を有し、透明で着色力があり分散性の良好
なコバルトブルー系顔料及びその製造方法に関する。
ルー系顔料及びその製造方法に関し、更に詳しくは赤味
の冴えた色調を有し、透明で着色力があり分散性の良好
なコバルトブルー系顔料及びその製造方法に関する。
【0002】コバルトブルー系顔料は耐熱性に優れた無
機顔料として広く知られ、例えば、塗料や合成樹脂の着
色剤、窯業用、更には蛍光体用着色剤等として幅広く使
用されている。近年微粒子タイプのコバルトブルー系顔
料が開発され、その光の波長によって高い選択的透過性
を有する特性からCRT用等の光学的カラーフィルター
向けの利用が進められつつある。この際に、充分な透過
性と外光反射の抑制を両立させるために、分散性が良好
で着色力の大きい顔料が求められている。
機顔料として広く知られ、例えば、塗料や合成樹脂の着
色剤、窯業用、更には蛍光体用着色剤等として幅広く使
用されている。近年微粒子タイプのコバルトブルー系顔
料が開発され、その光の波長によって高い選択的透過性
を有する特性からCRT用等の光学的カラーフィルター
向けの利用が進められつつある。この際に、充分な透過
性と外光反射の抑制を両立させるために、分散性が良好
で着色力の大きい顔料が求められている。
【0003】上記の微粒子型のコバルトブルー系顔料を
製造する方法として、我々は尿素の加水分解を利用する
方法を提案した( 特公平6−96454号公報、特開平
2−283771号公報)。しかしながら、これらの方
法による顔料は、赤味の鮮明なブルーであるが、一次粒
子が極めて微細であるため、粒子間の凝集力が大きく、
分散に多大のエネルギーを必要とする上、焼成時に充分
な発色を得るためにはコバルトの含有量を低くする必要
があり、着色力が不充分であるという欠点があった。
製造する方法として、我々は尿素の加水分解を利用する
方法を提案した( 特公平6−96454号公報、特開平
2−283771号公報)。しかしながら、これらの方
法による顔料は、赤味の鮮明なブルーであるが、一次粒
子が極めて微細であるため、粒子間の凝集力が大きく、
分散に多大のエネルギーを必要とする上、焼成時に充分
な発色を得るためにはコバルトの含有量を低くする必要
があり、着色力が不充分であるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、透明で分散性が良く、着色力のある微粒子型コバル
トブルー系顔料を提供することである。本発明者は上記
目的を達成すべく鋭意研究の結果、尿素の加水分解によ
りアルミニウム及びコバルトの水酸化物を沈澱させる際
に適当な鉱化剤を共存させ、場合によっては、更に強ア
ルカリ溶液を滴下することにより、焼成時の反応性を向
上させて発色を改善し、その結果、上記の方法では充分
発色しなかったコバルト分の多い、着色力の大きい組成
の顔料でも良好な発色が得られ、上記の目的が容易に達
成出来ることを見出し、本発明を完成した。
は、透明で分散性が良く、着色力のある微粒子型コバル
トブルー系顔料を提供することである。本発明者は上記
目的を達成すべく鋭意研究の結果、尿素の加水分解によ
りアルミニウム及びコバルトの水酸化物を沈澱させる際
に適当な鉱化剤を共存させ、場合によっては、更に強ア
ルカリ溶液を滴下することにより、焼成時の反応性を向
上させて発色を改善し、その結果、上記の方法では充分
発色しなかったコバルト分の多い、着色力の大きい組成
の顔料でも良好な発色が得られ、上記の目的が容易に達
成出来ることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明(第1発
明)は、主として酸化アルミニウム、酸化コバルトより
成る顔料中に0.5〜2.0重量%の無水モリブデン酸
及び/又は無水タングステン酸を含有し、BET法によ
る比表面積が30〜45m2/gであることを特徴とす
る微粒子型コバルトブルー系顔料である。又、本発明
(第2発明)は、アルミニウム塩、コバルト塩、鉱化剤
である無水モリブデン酸及び/又は無水タングステン
酸、及び尿素を水中に溶解して混合液とし、これを加熱
することによってアルミニウム水酸化物とコバルト水酸
化物とを共沈させ、共沈物を濾過及び水洗後焼成するこ
とを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方
法である。
明)は、主として酸化アルミニウム、酸化コバルトより
成る顔料中に0.5〜2.0重量%の無水モリブデン酸
及び/又は無水タングステン酸を含有し、BET法によ
る比表面積が30〜45m2/gであることを特徴とす
る微粒子型コバルトブルー系顔料である。又、本発明
(第2発明)は、アルミニウム塩、コバルト塩、鉱化剤
である無水モリブデン酸及び/又は無水タングステン
酸、及び尿素を水中に溶解して混合液とし、これを加熱
することによってアルミニウム水酸化物とコバルト水酸
化物とを共沈させ、共沈物を濾過及び水洗後焼成するこ
とを特徴とする微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方
法である。
【0006】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。本発明で使用するアルミ
ニウム塩及びコバルトの塩としては、アルミニウム及び
コバルトの硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩等
の従来のコバルトブルー系顔料の製造に使用されている
塩はいずれも使用することが出来る。又、上記の必須成
分に加えてクロムやマグネシウム等の金属塩も少量併用
可能であり、特にアルミニウム1モルに対して0.3モ
ル以下の少量のクロム塩を併用することによって得られ
る顔料の色調を緑味に優れたものとすることが出来る。
本発明を更に詳しく説明する。本発明で使用するアルミ
ニウム塩及びコバルトの塩としては、アルミニウム及び
コバルトの硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩等
の従来のコバルトブルー系顔料の製造に使用されている
塩はいずれも使用することが出来る。又、上記の必須成
分に加えてクロムやマグネシウム等の金属塩も少量併用
可能であり、特にアルミニウム1モルに対して0.3モ
ル以下の少量のクロム塩を併用することによって得られ
る顔料の色調を緑味に優れたものとすることが出来る。
【0007】上記においてアルミニウム塩とコバルト塩
の使用量は、モル比でCo/Al=1/2〜1/5程度
の範囲が適当である。以上の如きアルミニウム塩、コバ
ルト塩を水に溶解して混合塩水溶液を形成するが、その
濃度は上記の如き範囲のモル比で、全体として約0.1
〜0.5モル/l (アルミニウム塩基準)の濃度とする
のがよい。濃度がこの範囲未満であると、得られる顔料
の透明性が不足し、又、製造効率も低下する。一方、上
記範囲を超えると得られる顔料が微細になりすぎて凝集
してしまい、極めて分散性の乏しいものとなってしま
う。
の使用量は、モル比でCo/Al=1/2〜1/5程度
の範囲が適当である。以上の如きアルミニウム塩、コバ
ルト塩を水に溶解して混合塩水溶液を形成するが、その
濃度は上記の如き範囲のモル比で、全体として約0.1
〜0.5モル/l (アルミニウム塩基準)の濃度とする
のがよい。濃度がこの範囲未満であると、得られる顔料
の透明性が不足し、又、製造効率も低下する。一方、上
記範囲を超えると得られる顔料が微細になりすぎて凝集
してしまい、極めて分散性の乏しいものとなってしま
う。
【0008】上記の原料塩と共に鉱化剤としてモリブデ
ン酸塩及び/又はタングステン酸塩が使用される。これ
らの鉱化剤は焼成時の反応性を更に大きくすることが出
来、顔料の着色力を向上させる。好ましい鉱化剤は、モ
リブデン酸及びタングステン酸のアルカリ金属の塩であ
る。上記の混合塩溶液に鉱化剤を添加し、下記の共沈反
応中に系に存在させることが焼成時の反応効率を高める
うえで好ましい。鉱化剤の添加量は顔料に対し0.5〜
2.0重量%の範囲が好適である。
ン酸塩及び/又はタングステン酸塩が使用される。これ
らの鉱化剤は焼成時の反応性を更に大きくすることが出
来、顔料の着色力を向上させる。好ましい鉱化剤は、モ
リブデン酸及びタングステン酸のアルカリ金属の塩であ
る。上記の混合塩溶液に鉱化剤を添加し、下記の共沈反
応中に系に存在させることが焼成時の反応効率を高める
うえで好ましい。鉱化剤の添加量は顔料に対し0.5〜
2.0重量%の範囲が好適である。
【0009】上記混合塩溶液から混合水酸化物を析出さ
せるために、沈澱剤として尿素を使用する。本発明者の
詳細な研究によれば、前記混合塩水溶液中に尿素を溶解
することによって、常温付近の温度では特別の変化を生
じないが、これを攪拌しながら昇温すると、例えば、6
0℃以上、好ましくは70℃以上の温度に加熱すると、
アルミニウムの水酸化物とコバルトの水酸化物が共沈を
始める。尿素の使用量は、混合液中の尿素の濃度が0.
5〜2.0モル/lであり、かつ尿素の量が前記の原料
金属塩1当量に対し0.2〜1.0モルの使用割合が好
適であり、使用割合が上記範囲未満では金属水酸化物の
共沈が不十分となり、上記範囲を超える使用割合では不
要な尿素を用いることになり不経済である。
せるために、沈澱剤として尿素を使用する。本発明者の
詳細な研究によれば、前記混合塩水溶液中に尿素を溶解
することによって、常温付近の温度では特別の変化を生
じないが、これを攪拌しながら昇温すると、例えば、6
0℃以上、好ましくは70℃以上の温度に加熱すると、
アルミニウムの水酸化物とコバルトの水酸化物が共沈を
始める。尿素の使用量は、混合液中の尿素の濃度が0.
5〜2.0モル/lであり、かつ尿素の量が前記の原料
金属塩1当量に対し0.2〜1.0モルの使用割合が好
適であり、使用割合が上記範囲未満では金属水酸化物の
共沈が不十分となり、上記範囲を超える使用割合では不
要な尿素を用いることになり不経済である。
【0010】本発明においては、必要により、アルカリ
溶液を沈澱剤として尿素と併用することが出来る。アル
カリとしては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等通常
のアルカリ沈澱法で使用するものはいずれも使用するこ
とが出来る。アルカリ溶液は、尿素の分解が完了した後
に混合液に滴下することが望ましい。アルカリ溶液の使
用は、共沈した水酸化物粒子が粗大な凝集を作ることを
防ぎ、得られる顔料の分散性を良くすることができ、更
に尿素の使用量を削減することが出来る。好ましいアル
カリの使用割合は、上記の混合液中の濃度として0.1
〜2.0モル/l 程度である。尚、前記の鉱剤化はアル
カリ溶液に溶解して、アルカリ溶液と共に混合液に添加
することも出来る。
溶液を沈澱剤として尿素と併用することが出来る。アル
カリとしては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等通常
のアルカリ沈澱法で使用するものはいずれも使用するこ
とが出来る。アルカリ溶液は、尿素の分解が完了した後
に混合液に滴下することが望ましい。アルカリ溶液の使
用は、共沈した水酸化物粒子が粗大な凝集を作ることを
防ぎ、得られる顔料の分散性を良くすることができ、更
に尿素の使用量を削減することが出来る。好ましいアル
カリの使用割合は、上記の混合液中の濃度として0.1
〜2.0モル/l 程度である。尚、前記の鉱剤化はアル
カリ溶液に溶解して、アルカリ溶液と共に混合液に添加
することも出来る。
【0011】更に、本発明においては、共沈時に系中に
硫酸イオンを共存させることにより、共沈した金属水酸
化物の2次凝集を大きくし、脱水及び乾燥を容易とし、
更に焼成時にも粒子が凝集しにくく、焼成後殆ど粉砕を
要しない程ソフトな顔料の製造が可能となる。硫酸イオ
ンの好ましい使用割合は尿素の使用モルに対し5〜20
モル%程度である。
硫酸イオンを共存させることにより、共沈した金属水酸
化物の2次凝集を大きくし、脱水及び乾燥を容易とし、
更に焼成時にも粒子が凝集しにくく、焼成後殆ど粉砕を
要しない程ソフトな顔料の製造が可能となる。硫酸イオ
ンの好ましい使用割合は尿素の使用モルに対し5〜20
モル%程度である。
【0012】以上の如き本発明の方法は、各成分を水中
に溶解し、溶解が完了したら全体を攪拌しながら60℃
以上、好ましくは70〜100℃の温度で約3〜10時
間程度攪拌することによって水酸化物の共沈が完了す
る。水酸化物の共沈の完了は、反応液の一部を濾過し、
その濾液にアルカリを加えて、濾液が着色しないことを
確認することによって行うことが出来る。
に溶解し、溶解が完了したら全体を攪拌しながら60℃
以上、好ましくは70〜100℃の温度で約3〜10時
間程度攪拌することによって水酸化物の共沈が完了す
る。水酸化物の共沈の完了は、反応液の一部を濾過し、
その濾液にアルカリを加えて、濾液が着色しないことを
確認することによって行うことが出来る。
【0013】次に、析出した共沈物を濾過することによ
って含水率は約40〜60重量%程度となり、これを約
100〜120℃程度の温度で乾燥し、これを酸化性雰
囲気下で約900〜1,150℃の温度で約30〜90
分間焼成することにより発色し、本発明のコバルトブル
ー系顔料が得られる。従来方法における焼成温度は、一
般的に1,000〜1,200℃程度が要求されるが、
本発明方法では上記のようにそれ以下の温度でも十分に
焼成を行うことが出来る。
って含水率は約40〜60重量%程度となり、これを約
100〜120℃程度の温度で乾燥し、これを酸化性雰
囲気下で約900〜1,150℃の温度で約30〜90
分間焼成することにより発色し、本発明のコバルトブル
ー系顔料が得られる。従来方法における焼成温度は、一
般的に1,000〜1,200℃程度が要求されるが、
本発明方法では上記のようにそれ以下の温度でも十分に
焼成を行うことが出来る。
【0014】上記の本発明の方法により、主として酸化
アルミニウム、酸化コバルトより成る顔料中に0.5〜
2.0重量%の無水モリブデン酸及び/又は無水タング
ステン酸を含有し、BET法による比表面積が30〜4
5m2/gである微粒子型コバルトブルー系顔料が得ら
れる。このコバルトブルー系顔料は、従来のコバルトブ
ルー系顔料がくすんだ色調の緑味の青色であるのに対し
て、くすみのない鮮明な赤味の青色の顔料であり、粒子
は非常にソフトである。
アルミニウム、酸化コバルトより成る顔料中に0.5〜
2.0重量%の無水モリブデン酸及び/又は無水タング
ステン酸を含有し、BET法による比表面積が30〜4
5m2/gである微粒子型コバルトブルー系顔料が得ら
れる。このコバルトブルー系顔料は、従来のコバルトブ
ルー系顔料がくすんだ色調の緑味の青色であるのに対し
て、くすみのない鮮明な赤味の青色の顔料であり、粒子
は非常にソフトである。
【0015】以上の本発明の特徴は、共沈澱剤として尿
素、場合によりアルカリを併用すること及び共沈時に系
中に鉱化剤としてモリブデン酸塩及び/又はタングステ
ン酸塩を共存させることである。アルミニウム及びコバ
ルト水酸化物の共沈澱剤として尿素、場合によりアルカ
リを順次用いることにより、これらの金属の水酸化物の
共沈粒子の大きさを細かく制御することが出来る。即
ち、尿素の濃度を調整し、加水分解速度を変化させるこ
とによって水酸化物の1次粒子径が変化し、滴下するア
ルカリ溶液の量を変化させて凝集力の強さを調整するこ
とによって2次以上の凝集粒子径を制御することが出来
る。このようにして、これまでの均一沈澱法では避けら
れなかった乾燥時の凝集による粗大粒子の生成を少なく
することが出来るようになった。
素、場合によりアルカリを併用すること及び共沈時に系
中に鉱化剤としてモリブデン酸塩及び/又はタングステ
ン酸塩を共存させることである。アルミニウム及びコバ
ルト水酸化物の共沈澱剤として尿素、場合によりアルカ
リを順次用いることにより、これらの金属の水酸化物の
共沈粒子の大きさを細かく制御することが出来る。即
ち、尿素の濃度を調整し、加水分解速度を変化させるこ
とによって水酸化物の1次粒子径が変化し、滴下するア
ルカリ溶液の量を変化させて凝集力の強さを調整するこ
とによって2次以上の凝集粒子径を制御することが出来
る。このようにして、これまでの均一沈澱法では避けら
れなかった乾燥時の凝集による粗大粒子の生成を少なく
することが出来るようになった。
【0016】しかしながら、上記の共沈澱剤の使用だけ
では粒径を制御できる範囲に限界があり、着色力も大き
くない。ところが、鉱化剤としてモリブデン酸塩又はタ
ングステン酸塩を共存させて上記の水酸化物を共沈させ
ることによって、均一で焼成時の反応性に富む共沈澱を
得ることが出来るようになった。その結果、鉱化剤を使
用しないこれまでの方法と比べて、顔料中のコバルトの
比率を10〜18重量%も高めることができ、着色力を
高めることが出来るようになった。
では粒径を制御できる範囲に限界があり、着色力も大き
くない。ところが、鉱化剤としてモリブデン酸塩又はタ
ングステン酸塩を共存させて上記の水酸化物を共沈させ
ることによって、均一で焼成時の反応性に富む共沈澱を
得ることが出来るようになった。その結果、鉱化剤を使
用しないこれまでの方法と比べて、顔料中のコバルトの
比率を10〜18重量%も高めることができ、着色力を
高めることが出来るようになった。
【0017】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。尚、文中の部及び%は特に断りのない
限り重量基準である。 実施例1 コンデンサー付のセパラブルフラスコに、硝酸アルミニ
ウム9水塩36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.
6部、硝酸コバルト6水塩15.6部、モリブデン酸ナ
トリウム2水塩0.4部、及び尿素16.8部と水を加
え、全体を500部とした。又、これとは別に、無水炭
酸ナトリウム7.7部を水55部に溶解したアルカリ溶
液を用意した。フラスコの内容物をよく攪拌して各成分
を完全に溶解させて原料塩溶液を調製した。原料塩溶液
を攪拌しながら温度を上げ、温度が100℃になったら
その温度に一定に保った。しばらくすると沈澱が析出し
てくるので、沈澱が生じてから約1.5時間後、このス
ラリー中にアルカリ溶液を滴下した。滴下後約一時間後
に共沈物を濾別し、充分に水洗して残塩を洗い流した。
これを120℃の温度にて12時間以上乾燥させた。
体的に説明する。尚、文中の部及び%は特に断りのない
限り重量基準である。 実施例1 コンデンサー付のセパラブルフラスコに、硝酸アルミニ
ウム9水塩36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.
6部、硝酸コバルト6水塩15.6部、モリブデン酸ナ
トリウム2水塩0.4部、及び尿素16.8部と水を加
え、全体を500部とした。又、これとは別に、無水炭
酸ナトリウム7.7部を水55部に溶解したアルカリ溶
液を用意した。フラスコの内容物をよく攪拌して各成分
を完全に溶解させて原料塩溶液を調製した。原料塩溶液
を攪拌しながら温度を上げ、温度が100℃になったら
その温度に一定に保った。しばらくすると沈澱が析出し
てくるので、沈澱が生じてから約1.5時間後、このス
ラリー中にアルカリ溶液を滴下した。滴下後約一時間後
に共沈物を濾別し、充分に水洗して残塩を洗い流した。
これを120℃の温度にて12時間以上乾燥させた。
【0018】次にこの乾燥した共沈物を1100℃で1
時間、酸化雰囲気中にて焼成させ、本発明のコバルトブ
ルー系顔料を得た。この顔料の比表面積をBET法で測
定した。得られた顔料(40部)をペイントシェーカー
にてメラミンアルキッド樹脂ワニス(100部)中に分
散させて塗料化し、従来のコバルトブルー系顔料を用い
たものとの対比で色調を観察した。その結果、本発明の
顔料は色調、透明性は従来のものとほぼ同等であるが、
着色力、隠蔽力が共に大きくなり、色の強さが増した。
又、分散性も向上した。以上の結果を表1に示す。
時間、酸化雰囲気中にて焼成させ、本発明のコバルトブ
ルー系顔料を得た。この顔料の比表面積をBET法で測
定した。得られた顔料(40部)をペイントシェーカー
にてメラミンアルキッド樹脂ワニス(100部)中に分
散させて塗料化し、従来のコバルトブルー系顔料を用い
たものとの対比で色調を観察した。その結果、本発明の
顔料は色調、透明性は従来のものとほぼ同等であるが、
着色力、隠蔽力が共に大きくなり、色の強さが増した。
又、分散性も向上した。以上の結果を表1に示す。
【0019】実施例2 上記のセパラブルフラスコに、硝酸アルミニウム9水塩
36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.6部、硝酸
コバルト6水塩15.6部、タングステン酸ナトリウム
2水塩0.6部、及び尿素16.8部と水を加え、全体
を500部とし、十分に攪拌して各成分を溶解させた。
又、アルカリ溶液として無水炭酸ナトリウム7.7部を
水55部に溶解したものを用意した。実施例1と同様の
方法により顔料の合成を行った。このようにして得られ
た顔料は、実施例1の顔料と同様に透明で冴えた赤味の
冴えた青色で、なおかつある程度の着色力と隠蔽力を有
し分散性良好であった。BETによる比表面積と共に以
上の結果を表1に示す。
36.3部、硫酸アルミニウム18水塩6.6部、硝酸
コバルト6水塩15.6部、タングステン酸ナトリウム
2水塩0.6部、及び尿素16.8部と水を加え、全体
を500部とし、十分に攪拌して各成分を溶解させた。
又、アルカリ溶液として無水炭酸ナトリウム7.7部を
水55部に溶解したものを用意した。実施例1と同様の
方法により顔料の合成を行った。このようにして得られ
た顔料は、実施例1の顔料と同様に透明で冴えた赤味の
冴えた青色で、なおかつある程度の着色力と隠蔽力を有
し分散性良好であった。BETによる比表面積と共に以
上の結果を表1に示す。
【0020】比較例1 実施例1のセパラブルフラスコに、硝酸アルミニウム9
水塩44.8部、硝酸コバルト6水塩13.9部、無水
硫酸ナトリウム4.9部、及び尿素19部と水を加え、
全体を500部とした。又、これとは別に、水酸化ナト
リウム4.6部を水23.2部に溶解したアルカリ溶液
を用意した。実施例2と同様の方法で共沈、乾燥させた
後、1150℃にて焼成した。このようにして合成した
顔料は 透明で冴えた赤みの青色であるが、従来のコバ
ルトブルー系顔料と同様に着色力、隠蔽力共に小さく、
塗料化時に色が薄く見えるという欠点があった。分散性
はやや不良であった。比表面積と共に以上の結果を表1
に示す。
水塩44.8部、硝酸コバルト6水塩13.9部、無水
硫酸ナトリウム4.9部、及び尿素19部と水を加え、
全体を500部とした。又、これとは別に、水酸化ナト
リウム4.6部を水23.2部に溶解したアルカリ溶液
を用意した。実施例2と同様の方法で共沈、乾燥させた
後、1150℃にて焼成した。このようにして合成した
顔料は 透明で冴えた赤みの青色であるが、従来のコバ
ルトブルー系顔料と同様に着色力、隠蔽力共に小さく、
塗料化時に色が薄く見えるという欠点があった。分散性
はやや不良であった。比表面積と共に以上の結果を表1
に示す。
【0021】比較例2 上記のセパラブルフラスコに硝酸アルミニウム9水塩4
7.6部、硝酸コバルト6水塩14.8部、無水硫酸ナ
トリウム7.1部、及び尿素57.6部と水を加えて全
体を500部とし、十分に攪拌して各成分を溶解させ
た。アルカリ溶液を使用しない以外は実施例1と同様、
共沈させ、そのまま1時間程度放置した後、共沈物を濾
別した。以下実施例1と同様水洗、乾燥の後1200℃
で1 時間、酸化雰囲気にて焼成した。この様にして得ら
れた顔料は、赤味の冴えた青色であるが透明性、分散
性、着色力とも従来のコバルトブルー系顔料より劣って
いた。比表面積と共に以上の結果を表1に示す。
7.6部、硝酸コバルト6水塩14.8部、無水硫酸ナ
トリウム7.1部、及び尿素57.6部と水を加えて全
体を500部とし、十分に攪拌して各成分を溶解させ
た。アルカリ溶液を使用しない以外は実施例1と同様、
共沈させ、そのまま1時間程度放置した後、共沈物を濾
別した。以下実施例1と同様水洗、乾燥の後1200℃
で1 時間、酸化雰囲気にて焼成した。この様にして得ら
れた顔料は、赤味の冴えた青色であるが透明性、分散
性、着色力とも従来のコバルトブルー系顔料より劣って
いた。比表面積と共に以上の結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】以上の本発明によれば、結晶性が良く、
鉱化剤の作用により一次粒子径が大きくなって粒子間の
凝集力が弱まるために非常にソフトな状態のコバルトブ
ルー系顔料が得られる。このため分散が容易となり、分
散時の透明性が向上する。従って、本発明によるコバル
トブルー系顔料は、従来の微粒子顔料に無い、鮮明な発
色と良好な分散性、高い着色力を合わせ持ち、従来の塗
料や合成樹脂の着色剤等に用いられる他、これらの特性
を生かした光学的カラーフィルター等への応用が期待出
来る。
鉱化剤の作用により一次粒子径が大きくなって粒子間の
凝集力が弱まるために非常にソフトな状態のコバルトブ
ルー系顔料が得られる。このため分散が容易となり、分
散時の透明性が向上する。従って、本発明によるコバル
トブルー系顔料は、従来の微粒子顔料に無い、鮮明な発
色と良好な分散性、高い着色力を合わせ持ち、従来の塗
料や合成樹脂の着色剤等に用いられる他、これらの特性
を生かした光学的カラーフィルター等への応用が期待出
来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 裕美 東京都中央区日本橋馬喰町1−7−6 大日精化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−55323(JP,A) 特開 平4−55322(JP,A) 特公 平6−96454(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 51/04 CA(STN)
Claims (8)
- 【請求項1】 主として酸化アルミニウム、酸化コバル
トより成る顔料中に0.5〜2.0重量%の無水モリブ
デン酸及び/又は無水タングステン酸を含有し、BET
法による比表面積が30〜45m2/gであることを特
徴とする微粒子型コバルトブルー系顔料。 - 【請求項2】 アルミニウム塩、コバルト塩、鉱化剤で
あるモリブデン酸塩及び/又はタングステン酸塩及び尿
素を水中に溶解して混合液とし、これを加熱することに
よってアルミニウム水酸化物とコバルト水酸化物とを共
沈させ、共沈物を濾過及び水洗後焼成することを特徴と
する微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項3】 モリブデン酸塩及び/又はタングステン
酸塩の使用割合が、生成顔料に対して0.5〜2.0重
量%であることを特徴とする請求項2に記載の微粒子型
コバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項4】 混合液中の尿素の濃度が0.5〜2.0
モル/lであり、かつ尿素の量が前記の原料金属塩1当
量に対し0.2〜1.0モルであることを特徴とする請
求項2に記載のコバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項5】 尿素の分解が完了したのち、アルカリ溶
液を混合液中に滴下することを特徴とする請求項2に記
載の微粒子型コバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項6】 尿素に対し5〜20モル%の硫酸イオン
を混合液中に共存させることを特徴とする請求項2に記
載のコバルトブルー系顔料の製造方法。 - 【請求項7】 焼成温度が900〜1150℃であるこ
とを特徴とする請求項2に記載のコバルトブルー系顔料
の製造方法。 - 【請求項8】 アルミニウム塩及びコバルト塩の濃度が
0.1〜0.5モル/l(アルミニウム塩基準)である
ことを特徴とする請求項2に記載のコバルトブルー系顔
料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28242295A JP3212069B2 (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 微粒子型コバルトブルー系顔料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP28242295A JP3212069B2 (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 微粒子型コバルトブルー系顔料及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09100127A JPH09100127A (ja) | 1997-04-15 |
JP3212069B2 true JP3212069B2 (ja) | 2001-09-25 |
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ID=17652210
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JP28242295A Expired - Fee Related JP3212069B2 (ja) | 1995-10-05 | 1995-10-05 | 微粒子型コバルトブルー系顔料及びその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2003193045A (ja) * | 2001-12-25 | 2003-07-09 | Kasei Optonix Co Ltd | 顔料付き蛍光体及びその製造方法 |
DE102004050480A1 (de) * | 2004-10-15 | 2006-04-27 | Chemische Fabrik Budenheim Kg | Pigment für laserbeschriftbare Kunststoffe und dessen Verwendung |
CN115073938B (zh) * | 2022-06-23 | 2024-04-23 | 河西学院 | 一种凹凸棒石/钴蓝杂化颜料的制备方法、产品及应用 |
-
1995
- 1995-10-05 JP JP28242295A patent/JP3212069B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09100127A (ja) | 1997-04-15 |
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