JP2000080202A - 複合プラスチック材料 - Google Patents

複合プラスチック材料

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JP2000080202A
JP2000080202A JP25110598A JP25110598A JP2000080202A JP 2000080202 A JP2000080202 A JP 2000080202A JP 25110598 A JP25110598 A JP 25110598A JP 25110598 A JP25110598 A JP 25110598A JP 2000080202 A JP2000080202 A JP 2000080202A
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plastic material
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Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
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Oji Paper Co Ltd
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  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、白濁状態、透明状態の変化機
構が簡単かつ制御可能で、材料の構造が安定であり、溶
融成形で様々な材料形状に加工ができる、温度変化によ
り透明度が変化するプラスチック材料を提供することに
ある。また、本発明の別の目的は、前記において、環境
に悪影響を与えないプラスチック材料を提供することに
ある。 【解決手段】 透明な高分子物質の連続層中に結晶性脂
肪族ポリエステルが微粒子状に分散された、温度変化に
より透明状態と不透明状態を可逆的にとることができる
複合プラスチック材料。透明な高分子物質をセルロース
アセテート、結晶性脂肪族ポリエステルを、ポリアルキ
レンアルカノエートまたはポリω−ヒドロキシアルカノ
エートに属する脂肪族ポリエステルとし、生分解性とす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、示温ラベル、示温
性カードなどの示温材料、調光材料、包装材料、農業用
などの産業用シートなどに使用できる、熱履歴により透
明度合が変化するプラスチック材料に関する。
【0002】
【従来の技術】温度変化に対応して可逆的に白濁状態、
透明状態を繰り返す現象は、有機、無機材料を問わず古
くから知られているが、有機材料を用いたものは、一般
には高分子/低分子複合タイプ、高分子タイプ、ロイコ
染料タイプに大別される。このうち、高分子/低分子複
合タイプは、DP2907352(1980)に示され
ているように、透明な高分子化合物のマトリックス中に
有機低分子化合物を分散させたもので、有機低分子化合
物の溶融で透明になることに加え、室温においても、熱
履歴に基づくボイドの有無或いは単結晶と多結晶の相違
によって透明と白濁状態を制御することが可能で、有機
低分子の状態変化の速度が速い特徴を生かして、リライ
タブル記録材料として利用されている。
【0003】一方、高分子タイプのものは、更に細かく
液晶高分子、ポリマーブレンド、相変化を利用した3種
類にわけることができる。液晶高分子の利用に関して
は、例えばコレステリック液晶の場合、温度変化による
螺旋ピッチの変化で色彩を変化させることが可能であり
(J.Watanabe et al. : Macromolecules、20、298(198
7))、またマルチドメイン状態と等方性状態の光散乱の
温度依存性により白濁状態と透明状態をコントロールす
ることも提案されている(R. Araki et al. : Mol. Cr
yst. Liq. CrysT250、269(1994))。ポリマーブレンド
については、温度変化による相溶、相分離現象に基づい
たものが、特開昭61−258853に提案されている
ように、ブレンド高分子の種類により、相分離している
白濁状態が低温域で相溶して透明性を有する下限臨界共
溶温度型(LCST)、その逆に高温域で相溶して透明
性を有する上限臨界共溶温度型(UCST)が知られて
いる。また、特開平5−309940においては、非晶
性高分子に結晶性高分子を分散させた相溶系ポリマーア
ロイを用い、結晶性高分子の再結晶を利用して白濁状
態、透明状態を制御する熱溶融成形可能な記録材料シー
トが提案されているが、温度と熱履歴の制御が難しこと
から、記録材料以外の用途展開は困難と思われる。相変
化については、結晶構造の相転移を利用することが提案
されている。
【0004】これら高分子タイプは、ほとんどが光の散
乱状態の変化で透明状態と白濁状態が可逆的に変化する
ものであり、高分子の場合、状態変化に時間がかり応答
速度が遅くなるため、高分子/低分子複合タイプに比べ
て記録材料に応用する場合は制限が多いと思われる。た
だし、状態変化の速度があまり重要でなく、白濁状態と
透明状態が可逆的に変化するだけでよい分野において、
近年BASF社によりエネルギー節約を念頭においたも
ので、UCSTを利用したものが調光材料として実用化
された例もでてきている。
【0005】ロイコ染料を用いるタイプは、ロイコ染料
と顕減色剤の応用を利用したもので、ロイコ染料が酸雰
囲気でラクトン環の開裂により発色し、アルカリ雰囲気
で閉じて消色するという現象を利用しており、高分子/
低分子複合タイプと同様リライタブル記録材料への実用
化を念頭においた数多くの研究がなされてきている。さ
て、上記のうち、高分子/低分子複合タイプとロイコ染
料タイプは、リライタブル記録材料にような精密さと高
速さを要求される分野を念頭においたものであるから、
支持体上に塗布する製造方法が主なもので、材料の形
状、使用分野は自ずと制限される。
【0006】一方、高分子タイプは、状態変化の速度が
遅いことから、リライタブル記録材料のようなに高速さ
を要求される分野には不向きであるが、例えばポリマー
ブレンドタイプで熱可塑性材料を選択でき、白濁状態、
透明状態の変化機構が簡単で、材料の構造が安定であ
り、かつ安価であれば、溶融成形で様々な材料形状に加
工ができることから、日用、雑貨、産業資材製品に応用
しやすくなり、使用分野は広がっていくものと考えられ
る。しかし、従来の高分子タイプでは、大まかに温度を
変更するだけの簡単な機構で、白濁状態と透明状態を制
御することは難しく、また必要な物性を有しているもの
がまだ得られていない。
【0007】一方、近年、環境保護に向けた認識が深ま
るなかでプラスチック廃棄物の処理問題が重要視され、
特にフィルム、シート等の農業、園芸用途向けに、ある
いは不織布等の使い捨て用途向けについては、生分解性
材料を使用する気運が高まっており、特に環境中での使
用が想定される新規な材料を開発する際は、生分解性グ
レードを持ち合わせることも必要になってきているが、
生分解性ポリマーからなる透明度が温度により変化する
材料は、まったく検討されていない。
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、白濁状態、透明状態の変化機構が簡単かつ制御可能
で、材料の構造が安定であり、溶融成形で様々な材料形
状に加工ができる、温度変化により透明度が変化するプ
ラスチック材料を提供することにある。また、本発明の
別の目的は、前記において、環境に悪影響を与えないプ
ラスチック材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、以下の構成を採用する。即ち、本発明の第
1は、「透明な高分子物質の連続層中に結晶性脂肪族ポ
リエステルが微粒子状に分散された、温度変化により透
明状態と不透明状態を可逆的にとることができる複合プ
ラスチック材料」である。
【0009】本発明の第2は、第1の発明において、結
晶性脂肪族ポリエステル微粒子の平均直径が0.1〜1
0μmであることを特徴とする。
【0010】本発明の第3は、前記第1または第2の発
明において、透明な高分子物質が生分解性セルロースア
セテートであることを特徴とする。
【0011】本発明の第4は、前記第3の発明におい
て、結晶性脂肪族ポリエステルが、ポリアルキレンアル
カノエート、ポリω−ヒドロキシアルカノエートに属す
る脂肪族ポリエステルから選択された少なくとも1種類
からなる生分解性を有するポリマーであることを特徴と
する。
【0012】本発明らは、従来の技術に記載した現状に
鑑み、従来の高分子タイプではない構造と機構を有する
材料が必要であると考え、高分子/低分子複合タイプを
発展させた熱可塑性高分子マトリックス中に別の熱可塑
性高分子をミクロ相分離させたタイプの検討を進めた。
【0013】つまり、透明な熱可塑性ポリマーからなる
マトリックス中に結晶性高分子をミクロ相分離させた材
料が、結晶性高分子の溶融による光散乱の大きな低下と
いう現象により白濁状態(=不透明状態)と透明状態を
可逆的に変化し、かつ結晶サイズ或いはボイドの有無の
制御で白濁状態と透明状態を制御することが可能である
か否かを多数のケースについて詳細に調査した。
【0014】まず、透明な高分子物質の連続層(以下マ
トリックスポリマーとも称する)として、セルロースエ
ステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル系等を選択し、
また、マトリックス中に分散させるポリマーとしては、
結晶性高分子物質であることに加え室温近辺に融点をも
ちかつ多様な構造が可能で融点の選択の幅が広いことが
必要であることから、近年生分解性樹脂としても脚光を
浴びている良好な結晶性を持ちあわせた脂肪族ポリエス
テルを選択して、多数の組み合わせについて合成並びに
マトリックスポリマーとの混練を行い、ミクロ相分離構
造を有する複合プラスチックの作製を試みた。
【0015】その結果、溶解度パラメーターが比較的近
接した幾つかで、相溶化剤の使用なしで、結晶性ポリマ
ーが1μm前後の粒径でマトリックスポリマー中にミク
ロ相分離した複合プラスチックが得られた。そこで、フ
ィルム化したものを温度可変ステージ付偏光顕微鏡下で
観察したところ、室温において白濁状態であったフィル
ムを昇温させていくと結晶性ポリマーの融点で透明状態
になり、その後降温させると白濁状態に戻ることが観察
され、可逆的に変化することがわかった。その上、結晶
性高分子の構造、分子量によっては、白濁状態から透明
状態への変化は瞬時に、また透明状態から白濁状態への
変化が20〜30秒以内に起こり、状態変化の速度が比
較的速いことがわかった。
【0016】つぎに、融点以上での処理温度、時間を種
々検討したところ、驚くことに融点以下に降温させても
白濁状態に戻らない条件が見出された。この理由につい
ては、高分子/低分子複合タイプと同様熱履歴に基づく
結晶サイズ或いはボイドの有無の相違が光散乱の有無に
つながり、室温という特定温度での白濁状態と透明状態
の制御を可能にしたと考えられる。また、溶融成形加工
が可能であり、種々の熱履歴を経ても材料構造が極めて
安定で、基本となるミクロ相分離構造は変化しないこと
が見出された。したがって、フィルム、シートから各種
容器に至るまで様々な形状を有する示温材料等を作製す
ることが可能なこともわかった。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のマトリックスに使用され
るポリマーとして、セルロースアセテート、セルロース
プロピオネート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチ
レート等のセルロースエステル、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース等のセルロースエーテル、ポリスチレン、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリ
ル酸エステル、ノルボルネン系ポリマー、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン系
共重合体および芳香族ポリエステルから選択された少な
くとも1種類が用いられる。
【0018】本発明において、マトリックス層中には、
必要に応じて可塑剤を使用することができる。本発明で
使用される可塑剤は、マトリックスとして使用されるポ
リマーの熱可塑性改善、ミクロ相分離構造制御の目的で
用いられ、フタル酸メチル、フタル酸エチル等のフタル
酸エステル、エチレングリコール、グリセリン等の多価
アルコール、ジエチルアジペート、ジエチルサクシネー
ト、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテー
ト等の脂肪族エステル、ポリエチレンアジペート、ポリ
エチレンサクシネート等の2塩基酸とグリコールからな
り平均分子量400〜5000の範囲のポリアルキレン
アルカノエート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカ
プロラクトントリオール等で平均分子量400〜500
0の範囲のポリカプロラクトンポリオール等が挙げられ
る。
【0019】マトリックスに使用される透明なポリマー
の配合量(可塑剤を使用する場合は可塑剤と透明なポリ
マーの合計重量)は、全重量当り60〜90重量%が好
ましく、60重量%以下では安定なミクロ相分離構造を
形成させるのが難しく、また90重量%を越えると、白
濁状態と透明状態のコントラストが小さく、本発明のプ
ラスチック材料用途には好ましくない。
【0020】本発明のマトリックスにミクロ相分離させ
る結晶性脂肪族ポリエステルとして、ポリアルキレンア
ルカノエート、ポリω−ヒドロキシアルカノエート等が
含まれる。
【0021】このうち、ポリアルキレンアルカノエート
は、2塩基酸とグリコールからなり、2塩基酸として、
例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、
アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン
酸及びフマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカル
ボン酸などの炭素数2〜14程度のジカルボン酸があげ
られ、グリコールとして、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1、2−プ
ロパンジオール、ジプロピレングリコール、1、3−ブ
タンジオール、1、4−ブタンジオール、2、2−ジメチ
ル−1、3−プロパンジオール、1、6−ヘキサンンジオ
ール、ネオペンチルグリコール等の炭素数2〜12程度
のグリコールが挙げられる。2塩基酸とグリコールはそ
れぞれ1種又は2種以上使用することができる。ポリω
−ヒドロキシアルカノエートとしては、環状エステルモ
ノマーからなり、β−プロピオラクトン、ピバロラクト
ン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−ブチロラク
トン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等を1
種又は2種以上使用することができる。
【0022】これら結晶性脂肪族ポリエステルの平均分
子量としては、1万〜20万程度が好ましい。融点につ
いては、実用性の点から−30〜120℃の範囲に属す
るものが好ましい。また、結晶性を制御する目的で、有
機、無機の結晶核剤を配合することは可能である。ま
た、白濁状態と透明状態の中間状態を得るために、2種
類以上の結晶性脂肪族ポリエステルを使用することは、
有効な手段である。
【0023】本発明には必要に応じて要求される性能を
損なわない範囲内で、ミクロ相分離化を容易にする相溶
化剤、熱劣化、熱着色を防止する弱有機酸、フェノール
化合物、エポキシ化合物、フォスフェイト、チオフォス
フェイト等の安定剤を単独または2種類以上混合して添
加してもよい。また、有機、無機系の生分解促進剤、滑
剤、帯電防止剤、潤滑剤等の添加剤を配合することは何
らさしつかえない。
【0024】本発明のプラスチック材料を生分解性にす
るためには、マトリックスに使用されるポリマー及び可
塑剤として、それぞれセルロースアセテート、生分解性
可塑剤を用いれば可能である。このうちセルロースアセ
テートについては、酢化度56%以下の本質的生分解性
が確認されているものが用いられる。セルロースアセテ
ートの酢化度は51%を下まわると易分解性となり生分
解がさらに容易となるが、可塑剤に生分解が可能な化合
物を使用する限りにおいては、酢化度51〜56%のセ
ルロースアセテートを用いても、生分解は容易に行われ
る。また、酢化度が30%未満では可塑剤との相溶性が
低下し、また耐水性が低下する点から実用に適さない。
また、可塑剤としては、生分解性を有するジエチルアジ
ペート、ジエチルサクシネート、グリセリンジアセテー
ト、グリセリントリアセテート等の脂肪族エステルや平
均分子量400〜5000の範囲のポリアルキレンアル
カノエートポリオール、ポリω−ヒドロキシアルカノエ
ートポリオール等の脂肪族ポリエステル系が使用でき
る。
【0025】本発明のプラスチック材料は、少なくとも
1種類のポリマー及び/又は可塑剤からなる透明なマト
リックス中に、−30℃〜120℃の融点を有する結晶
性脂肪族ポリエステルの少なくとも1種類がミクロ相分
離してなる複合プラスチックであり、可逆的に白濁状態
・透明状態を繰り返すことが可能なことと共に、特定温
度での白濁状態と透明状態の制御が可能である。
【0026】ミクロ相分離構造の制御は、マトリックス
ポリマーの化学構造、分子量、結晶性脂肪族ポリエステ
ルの化学構造、分子量及び可塑剤の化学構造、分子量に
よって行われるが、適当な相溶化剤を用いることもでき
る。ここで使用する相溶化剤は、ミクロ相分離構造を安
定的に作るためのもので、本発明においては、マトリッ
クスポリマーと結晶性脂肪族ポリエステルを相互に溶解
させて透明化することは必要では無い。可逆的に白濁状
態・透明状態を繰り返すことが可能であることについて
は、ミクロ相分離している結晶性脂肪族ポリエステルの
融点Tmを挟んだ融解と凝固により光散乱が変化するこ
とに基づいており、この原理を効率的に適用するために
は、ミクロ相分離している結晶性ポリマーのサイズが、
光散乱しやすい0.1〜10μmの粒径を有しているこ
とが望ましく、特には0.2〜5μmが望ましい。
【0027】一方、特定温度での白濁状態と透明状態の
制御が可能なことについては、結晶性ポリマーを融点以
上に保持した場合の状態に依存する。即ち、結晶性ポリ
マーの融点より低い特定温度T1、結晶性ポリマーの融
点Tm、融点より高い変換温度T2を用いて説明すると、
特定温度T1でこの材料は白濁状態にあり、この材料を
Tmを越えT2以下の範囲で加熱して透明状態にした後T
1まで戻すと、可逆的に変化してT1で白濁状態を示す
が、Tm越えて加熱し透明状態にした直後に加熱を止め
るか、或いはT2以上に充分加熱すると、T1に戻した時
に透明状態を保持することができる。このT1における
透明状態を再度白濁状態に戻すには、Tmを越えT2以下
の範囲で加熱すればよい。また、この材料をTmを越え
T2以下まで加熱して透明状態にした後室温まで戻し白
濁状態にする際、加熱温度がT2に近い程室温に戻した
場合の白濁の度合いが小さく、中間の白濁状態を出すこ
とができる。更に、融点の異なる2種類以上の結晶性ポ
リマーをミクロ相分離させても中間の白濁状態をだすこ
とが可能である。
【0028】このように本発明のプラスチック材料は、
可逆的に白濁状態と透明状態を繰り返すことができるこ
とに加え、特定温度において、いずれかの状態或いはそ
の中間状態に安定に保持することも可能であり、記録材
料への展開も対応できるが、熱溶融成形により種々の形
状への加工が可能であることが大きな特徴である。
【0029】すなわち、本発明のプラスチック材料は、
Tダイ、リングダイ等による押出成形に加えてカレンダ
ー成形、射出成形、ブロー成形等の溶融成形方法によ
り、フィルム、シート、容器等の他、メルトブロー、ス
パンボンド等の溶融紡糸方法により、フィラメント、織
布、不織布等へ加工することができる。また、別の基材
と組み合わせることで、複合化することも可能である。
【0030】溶融成形加工に先立ち、透明なマトリック
スポリマー中に、結晶性脂肪族ポリエステルがミクロ相
分離している複合プラスチックを作製する方法として、
混練が優れたものとして挙げられる。この場合、ニーダ
ー、2軸混練機、バンバリーミキサー等、通常ポリマー
同士を混練するために使用されているものなら特に制限
はなく用いられる。なお、混練を容易にするために粉砕
機により予め粒径を揃えたり、予備分散させることは好
ましい。また、混練物は溶融成形加工時に押出機に供給
しやすくするため、また押出機供給の際気泡等の混入を
できるだけ少なくするために、混練後ストランドとし、
その後ペレタイザーでペレットにしておくことが望まし
い。また、ペレットにした複合プラスチックは、溶融成
形加工に先立ち、溶融時の加水分解、気泡発生を防止す
るために、含水率を0.1%以下に乾燥することが好ま
しい。混練温度、溶融成形加工温度については、複合プ
ラスチックに使用される化合物の熱分解、加水分解が顕
著にならない温度が好ましい。
【0031】一方、混練により複合プラスチックを作製
し、その後溶融成形によりを成形加工する上記方法とは
別に、本発明の複合プラスチックを構成する成分を適当
な溶剤に溶解させ、その後溶剤を乾燥除去することで複
合プラスチックを作製することもできる。この場合、得
られた複合プラスチックを溶融成形加工することもでき
るが、溶剤を乾燥除去する前の状態で、コーター等によ
り支持体表面に塗布し、その後溶剤を乾燥除去させて支
持体表面に複合プラスチック層を直接設けることもでき
る。この方法は複合材料を得るには適しているが、ミク
ロ相分離の制御方法は、溶融成形の場合とは異なってく
る。
【0032】
【実施例】以下実施例、比較例により本発明を更に詳し
く説明するが、これらに限定されるものではない。
【0033】<実施例1>マトリックスポリマー、可塑
剤として、それぞれ酢化度54%のセルロースアセテー
ト(イーストマンコダック製:商標:CA398−3
0)を全重量当り55重量%、平均分子量1000のポ
リエチレンアジペートジオール(日本ポリウレタン工業
(株)製、商標:N4002)20重量%と、ミクロ相
分離させる結晶性脂肪族ポリエステルとして、平均分子
量25000のポリブチレンアジペート20重量%とを
ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機を用いて
200℃で混練した。混練された溶融物は、内径3mm
のストランドダイを通してストランドとして吐出させ、
冷却した後3mmにカットしてペレットとした。このペ
レットは80℃に加熱した熱風乾燥機中で10時間乾燥
させ、その後Tダイを接続したエクストルーダー型溶融
押出し機に供給し、溶融押出し温度230℃で、リップ
巾0.50mmのTダイを通して吐出させ、吐出させた
溶融物を引取り装置により引取速度30m/minでフ
ィルム化した。フィルムの厚さは、0.054mmであ
った。得られたフィルムのミクロ相分離構造は、走査型
電子顕微鏡で観察した。白濁状態、透明状態は、温度制
御可能なステージ付の偏光顕微鏡を用いて評価した。ま
た、白濁状態、透明状態の度合いは、ヘイズを用いた。
【0034】<評価方法> (1)走査型電子顕微鏡 1000から5000倍の倍率でフィルム断面を観察
し、ミクロ相分離して微粒子状に分散している結晶性脂
肪族ポリエステルの粒径を測定した。 (2)偏光顕微鏡評価 1〜10℃/minの昇降温速度でフィルムを加温、冷
却し、ミクロ相分離している結晶性ポリマーの溶融、凝
固とフィルムの白濁状態、透明状態の関係を観察した。 (3)表面の曇り ヘイズはJIS K 7105に準拠して測定した。
【0035】上記方法で作製したフィルムを観察したと
ころ、ポリブチレンアジペートが1μm前後の粒径で、
マトリックス中にミクロ相分離していた。また示温性を
調べたところ、室温では白濁状態であったものが、昇温
していくと、ポリブチレンアジペートの融点に相当する
58℃でミクロ相分離しているポリブチレンアジペート
の溶融が観察され、フィルムは透明状態になり、その直
後に加温を止め室温に戻すと透明状態を保持していた
が、加熱を継続して65℃まで昇温後室温に戻すと可逆
的に白濁状態にもどった。なお、80℃まで昇温を続け
た後室温に戻すと、透明状態を維持していた。白濁状
態、透明状態のヘイズはそれぞれ、75.0、0.5%
であった。
【0036】<実施例2>実施例1と同様に、マトリッ
クスポリマー、可塑剤として、それぞれ酢化度54%の
セルロースアセテートを全重量の55重量%、平均分子
量1000のポリエチレンアジペートジオール20重量
%と、ミクロ相分離させる結晶性脂肪族ポリエステルと
して、平均分子量20000のポリエチレンアジペート
25重量%を用いた以外は実施例1と同様にしてフィル
ムを製造し、同様に評価した。その結果、ポリエチレン
アジペートが1μm前後の粒径でミクロ相分離してお
り、室温で白濁状態であったものが、ポリエチレンアジ
ペートの融点に相当する47℃で透明になり、また室温
に戻すと白濁状態を示し、同様な可逆性が確認された。
【0037】
【発明の効果】本発明により、温度変化により透明度が
変化するプラスチック材料で、しかも、優れた溶融加工
適性を有するものが得られる。本発明のプラスチックは
単独あるいは紙、その他のフィルム、シート等と複合し
て使用することが可能で、従来オレフィン系フィルム、
シートが使用されてきた記録材料、包装材料、調光材料
(温度によって光の透過性を調節する窓などの材料)、
日用雑貨、産業資材等の幅広い分野に適応できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な高分子物質の連続層中に結晶性脂
    肪族ポリエステルが微粒子状に分散された、温度変化に
    より透明状態と不透明状態を可逆的にとることができる
    複合プラスチック材料。
  2. 【請求項2】 該結晶性脂肪族ポリエステル微粒子の平
    均直径が0.1〜10μmである請求項1に記載の複合
    プラスチック材料。
  3. 【請求項3】 該透明な高分子物質が生分解性セルロー
    スアセテートであることを特徴とする請求項1〜請求項
    2のいずれかに記載の複合プラスチック材料。
  4. 【請求項4】 該結晶性脂肪族ポリエステルが、ポリア
    ルキレンアルカノエート、ポリω−ヒドロキシアルカノ
    エートに属する脂肪族ポリエステルから選択された少な
    くとも1種類からなる生分解性を有するポリマーである
    ことを特徴とする、請求項3に記載の複合プラスチック
    材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005139457A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Wolff Cellulosics Gmbh & Co Kg 多糖及び/又は多糖誘導体並びに少なくとも一種の合成ポリマーの貯蔵安定性粒子組成物及びその製造方法

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