JP2000073185A - 表面外観および電着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents

表面外観および電着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法

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JP2000073185A
JP2000073185A JP10242880A JP24288098A JP2000073185A JP 2000073185 A JP2000073185 A JP 2000073185A JP 10242880 A JP10242880 A JP 10242880A JP 24288098 A JP24288098 A JP 24288098A JP 2000073185 A JP2000073185 A JP 2000073185A
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galvanized steel
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dip galvanized
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English (en)
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Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Toru Imokawa
透 妹川
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚目付化しても外板パネル用途に適用できる
良好な表面外観を有し、また電着塗装性に優れた溶融亜
鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 調質圧延された、片面あるいは両面溶融
亜鉛めっき鋼板の表面に、目付量が片面当たり1g/m2
上の電気亜鉛めっき層、又は、目付量が片面当たり1g/m
2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
き層のいずれかを有する溶融亜鉛めっき鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】自動車・家電・建材などに使
用される溶融亜鉛めっき鋼板、特に、目に見える部分に
使われる外板パネル用の表面外観に優れ、且つ電着塗装
性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車・家電・建材などに使用さ
れる表面処理鋼板としては、電気亜鉛めっき鋼板(以後
EGという)、溶融亜鉛めっき鋼板(以後GIとい
う)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以後GAという)が
主流である。
【0003】EGは、表面外観が良好であり、電着塗装
時の不具合の問題が無い。また、めっき層が軟質な亜鉛
(η相)であることから、プレス成型時のめっき層の加
工性が良好であり、さらに、自動車用の場合には走行時
の石跳ねによる衝撃変形を受けた場合のチッピング現象
にも耐えるため(耐チッピング性が良好)、外板パネル
用鋼板として多く用いられている。しかしながら、EG
は、連続焼鈍ライン(以後、CALという)を経て材質
調整された鋼帯をさらに電気めっきライン(以後、EG
Lという)においてめっきすることから、コストが高い
という問題点がある。さらには、防錆性能の目標レベル
が高まり、より一層の高耐食化が望まれているなかで
の、めっき層の厚目付化に対しては、電力コストが大き
いことから、不利である。
【0004】GIは、めっき層がη相であり、めっき層
の加工性ならびに耐チッピング性が良好である。さら
に、材質調整を行う焼鈍とめっきを同時に行う連続溶融
亜鉛めっきライン(以後、CGLという)により製造さ
れるため、製造コストが低い上、厚めっき化が容易であ
る。しかしながら、GIは、溶融亜鉛を付着後凝固させ
るため、表面にはスパングルと呼ばれる凝固模様が存在
する。また、溶融亜鉛浴の中には、鋼板と溶融亜鉛との
反応生成物であるドロスと呼ばれるFe-ZnあるいはFe-Al
合金の微粒子が存在し、めっき後の皮膜中に取り込まれ
ている。従って、スパングルやドロスが存在する状態で
は、塗装後の外観に劣る。また、溶融亜鉛を付着→凝固
させるプロセスにより製造するため、表面に酸化膜が不
均一が存在すること、さらには、η相中にFe-Znあるい
はFe-Alのドロスが存在すること、により、電着塗装時
にクレーター状欠陥がEGに比べ多く発生する傾向があ
る。従って、表面外観の問題ならびに電着塗装欠陥の問
題から、GIは外板パネル用途には使用できない。
【0005】GAは、めっき層がFe-Zn合金からなり、
塗装後耐食性、溶接性に優れており、良好な表面外観を
有することから、外板パネル用鋼板としても多く使用さ
れている。一方、防錆性能の目標レベルが高まり、より
一層の高耐食化が望まれ、厚目付化の要望があるが、Fe
-Zn合金は比較的硬質であるためにプレス加工などを受
けたときにめっき皮膜が粉状に剥離脱落する問題があ
る。薄目付の場合には実用上問題ないが、厚目付の場合
には、プレス金型に付着し押しキズ状のプレス欠陥を生
じる問題がある。また、皮膜が硬質であるが故に耐チッ
ピング性に劣るという問題がある。
【0006】さらに、Fe-Znの合金相はζ相(FeZn13)、
δ相(FeZn7)、Γ1相(Fe5Zn21)、Γ相(FeZn4)の4種が
存在し、それぞれに電気的特性が異なるために、GA表
面は電気的に不均一となっており電着塗装時にクレータ
ー状欠陥が発生しやすいという問題点がある。
【0007】上記のような問題点を解決する方法とし
て、以下のような技術が提案されている。特開平6-8110
2号公報(従来技術1という)には、GAの加工性およ
び耐チッピング性を向上するため、GAめっき層の相構
造にη相を存在させ、電着塗装性を良好とするために、
Fe濃度70%以上のFe-Zn合金めっきを施したことを特徴と
するGAが開示されている。
【0008】また、特公平5-76559号公報(従来技術2
という)には、合金化亜鉛めっき鋼板のめっき層の上層
として、目付量が片面当たり3〜25g/m2の電気亜鉛めっ
き層を有することを特徴とする加工性に優れる合金化亜
鉛めっき鋼板が開示されている。
【0009】さらに、特開昭56-142885号公報(従来技
術3という)には、亜鉛又は亜鉛合金をめっきした鋼板
の表面にFeの電気めっき層を形成させるカチオン電着塗
装用の複層めっき鋼材が開示されている。
【0010】一方、例えば特開平3-267357号公報(従来
技術4という)には、CGLにおいて、GAまたはGI
を製造するに当たり、ドロス欠陥を低減して表面外観を
良好にするための方法が開示されている。
【0011】また、特開平3-211262号公報(従来技術5
という)には、溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際し、溶融
亜鉛めっき槽内に浸漬され連続走行する鋼板に、該鋼板
とZn、Alとが反応してできた微小なFe-Zn合金および/
またはFe-Al合金を付着させたまま引き出し、次いで調
質圧延を行い無害化することを特徴とするめっき外観及
び耐食性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示
されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1および2
は、Fe-Zn合金を主体とする皮膜を有する合金化亜鉛め
っき鋼板(GA)に関するものである。硬質なFe-Zn合
金を主体として用いる限りは、加工時のめっき層の破壊
は避け難く、防錆性能の目標レベルが高まりによるめっ
き層の厚目付化には、限界がある。
【0013】また、従来技術2のように下層のFe-Zn合
金のめっき層を実用上問題ないレベルに低く抑え、厚目
付化を上層の電気めっきにより行うという考え方もでき
るが、上層電気めっきの膜厚が大きくなると、コストが
高くなる。
【0014】従来技術3では、下地鋼板として亜鉛めっ
き鋼板を選択できるので、加工時のめっき層の破壊の問
題は回避されるが、上層めっき皮膜がFeリッチ皮膜であ
るために、耐赤錆性に劣るという問題がある。
【0015】従来技術4のようなドロス欠陥低減技術
は、多数提案されているが、鋼板と溶融亜鉛の反応によ
りめっき層を付着させるCGLの原理上、溶融亜鉛めっ
き浴内にFeが溶け込みFe-ZnあるいはFe-Alの微粒子が生
成するのを避けることは難しく、優れた表面外観を安定
して得ることが困難である。
【0016】従来技術5では、付着したFe-Zn合金およ
び/またはFe-Al合金の微粒子を調質圧延により無害化
し、良好な表面外観を得るものである。しかしながら、
この無害化は、外観的な無害化であり、めっき層のη相
中にFe-Zn合金および/またはFe-Al合金の微粒子が存在
しており、一部は表面に露出している。従って、外観上
の表面は良好であるが、電着塗装を行う場合には、η相
に対してFe-Zn合金および/またはFe-Al合金の微粒子の
存在が、電気的な不均一を生じるため、クレーター状欠
陥を生じ外板用途としては使用できない。
【0017】本発明は、上記した種々の問題点を考慮し
て、低コストで厚目付化を達成し、厚目付化しても外板
パネル用途に適用できる良好な表面外観を有し、また電
着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0018】本発明は、また、めっき層の加工性と耐チ
ッピング性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の手段は以下の通りである。
【0020】(1)調質圧延された、片面あるいは両面
溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、目付量が片面当たり1g/m
2以上の電気亜鉛めっき層、又は、目付量が片面当たり1
g/m2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金め
っき層のいずれかを有することを特徴とする、表面外観
および電着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
【0021】(2)溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際し、
鋼板の片面又は両面に溶融亜鉛めっきを行った後、調質
圧延を行い、さらに、目付量が片面当たり1g/m2以上の
電気亜鉛めっき、又は、目付量が片面当たり1g/m2〜10g
/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっきのい
ずれかを行うことを特徴とする、表面外観および電着塗
装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0023】まず、めっき鋼板の下層めっきを溶融亜鉛
めっきに限定した理由について述べる。
【0024】低コストで厚目付けの皮膜を得るために
は、焼鈍と溶融亜鉛めっきを一つのラインで行う溶融亜
鉛めっき法(CGL)が有利であり、この方法で製造さ
れる亜鉛めっき製品としては、GAとGIが存在する。
【0025】GAは、めっき皮膜がFe-Zn合金からな
り、表面外観が均一であることから、外板用途に使用可
能である。しかしながら、Fe-Zn合金は比較的硬く脆い
ため、強加工を必要とする自動車用パネルのプレス成形
時にはめっき皮膜が剥離する。2軸引張り変形の場合に
は、鋼板の延びに追随できずに皮膜に亀裂が入るが、め
っき皮膜が脱落することはなく、耐食性への影響もほと
んどない。しかしながら、圧縮変形や縮み変形を伴う加
工の場合には、硬いめっき皮膜は行き場を失い、粉状に
破壊され脱落する。この場合には、脱落量が多いとプレ
ス金型に付着して押し疵上欠陥が多数発生する。また、
プレス部品に残存するめっき皮膜量が減っているため、
耐食性に寄与する実効亜鉛量が減ってしまう。目付量が
60g/m2程度までで有れば、めっき条件や合金化処理条件
の選択により合金相構造を最適に制御すれば、実用的に
問題ないレベルは達成されている。
【0026】しかしながら、防錆目標の高まりから、更
なるめっき皮膜の厚目付化を必要とし、例えば、目付量
が90g/m2程度以上になると、めっき皮膜構造の制御での
対応は困難になる。即ち、目付量が厚くなることによ
り、めっき層−地鉄界面付近に、硬くて脆いΓ相が厚く
生成するようになり、耐パウダリング性の低下を抑える
ことができなくなるためである。また、GAにおいて
は、同様の理由により自動車走行時の石跳ねによる衝撃
変形を受けた場合の耐チッピング性に劣る。
【0027】この様な理由から、下層めっきを溶融亜鉛
めっきに限定した。下層めっきの亜鉛目付量は、高防錆
化の観点から片面当たり60g/m2以上が望ましく、耐食性
は亜鉛目付量とともに向上するから、多い程良い。自動
車用途を考え、経済性をも考慮すると、片面当たり90〜
120g/m2が適していると言える。
【0028】尚、下層の溶融亜鉛めっき層を形成させる
手段としては、通常の溶融亜鉛めっきを行えば良く、め
っき浴組成、還元焼鈍条件、CGLの形式などは特に限
定するものではない。
【0029】上層めっきを、目付量が片面当たり1g/m2
以上の電気亜鉛めっき、又は、目付量が片面当たり1g/m
2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
きに限定した理由について述べる。
【0030】下層めっきを溶融亜鉛めっきに限定した
が、溶融亜鉛めっきの表面には以下のような問題点があ
る。即ち、GIは、溶融亜鉛を付着後凝固させるため、
表面にはスパングルと呼ばれる凝固模様が存在する。ま
た、溶融亜鉛浴の中には、鋼板と溶融亜鉛との反応生成
物であるドロスと呼ばれるFe-ZnあるいはFe-Al合金の微
粒子が存在し、めっき後の皮膜中に取り込まれている。
従って、スパングルやドロスが存在する状態では、塗装
後の外観に劣る。また、溶融亜鉛を付着→凝固させるプ
ロセスにより製造するため、表面に酸化膜が不均一が存
在すること、さらには、η相中にFe-ZnあるいはFe-Alの
ドロスが存在すること、により、電着塗装時にクレータ
ー状欠陥がEGに比べ多く発生する傾向がある。従っ
て、表面外観の問題ならびに電着塗装欠陥の問題から、
GIは外板パネル用途には使用できない。
【0031】そこで、これらの表面外観ならびに表面特
性の不均一を被覆隠蔽するめっき金属について種々検討
した。即ち、各種のめっき(Zn、Fe-Zn、Ni-Zn、Cu-Z
n、Co-Zn、Cr-Zn)を施した溶融亜鉛めっき鋼板の表面
外観と電着塗装時のクレーター状欠陥発生傾向ならびに
電着塗装後にグラベロショットによりチッピング試験を
行った後複合サイクル腐食試験(CCT)を行い、特性
を評価した結果以下のことが判明した。
【0032】上層めっきを、目付量が片面当たり1g/m2
以上の電気亜鉛めっき、又は、目付量が片面当たり1g/m
2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
きに限定することにより、自動車外板パネル用途に要求
される表面外観、クレーター発生抑制能、耐チッピング
後耐食性に対し優れた特性が得られた。
【0033】亜鉛の目付量が1g/m2未満の場合には、下
層の溶融亜鉛めっき鋼板が有するドロス欠陥やスパング
ルを完全に隠蔽して不均一性を解消するまでには至らな
い。
【0034】60%Fe-Zn合金の目付量が1g/m2未満の場合
には、下層の溶融亜鉛めっき鋼板が有するドロス欠陥や
スパングルを完全に隠蔽して不均一性を解消するまでに
は至らない。また、60%Fe-Zn合金の目付量が10g/m2超に
なると、Fe量が多すぎるため赤錆が発生しやすくなり、
チッピング後の耐食性が低下する。
【0035】Fe-Zn合金の目付量が1g/m2〜10g/m2であっ
ても、Fe-Zn合金のFe組成が50%未満の場合には、電気的
特性が不均一な領域にあるため電着塗装欠陥を解消する
ことができず、また、Fe-Zn合金のFe組成が80%超の場合
には、チッピング後耐食性試験を行うと赤錆が発生する
ようになり、耐食性に劣る。
【0036】さらに、上層めっきの組成がNi-Zn、Cu-Z
n、Co-Zn、Cr-Znの場合には、合金成分のNi、Cu、Co、C
rがFeより貴な金属であるために、耐食性に劣り、赤錆
が発生する。
【0037】尚、上層の電気亜鉛めっき層もしくはFe-Z
n合金電気めっき層を形成させる手段としては、用いる
めっき浴・条件に関し、特に限定するものではなく、通
常の硫酸浴、塩化物浴等のいずれでも可能である。
【0038】次に、表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼
板を製造するに当たり、溶融亜鉛めっきを行った後、調
質圧延を行い、さらに、目付量が片面当たり1g/m2以上
の電気亜鉛めっき、もしくは、目付量が片面当たり1g/m
2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
き層のいずれかを行うことに限定した理由を述べる。
【0039】表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得
るには、溶融亜鉛めっきを行った後、調質圧延を行う必
要がある。好ましくは、圧下率0.5%以上の調質圧延を行
うことが望ましい。調質圧延を行わない場合には、溶融
亜鉛めっき時に付着したFe-ZnあるいはFe-Al合金の微粒
子が、凸状を呈しているため、その後の上層めっきによ
っても、隠蔽することができない。
【0040】表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板は、
調質圧延を行った後、さらに、目付量が片面当たり1g/m
2以上の電気亜鉛めっき、又は、目付量が片面当たり1g/
m2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
き層のいずれかを行う必要がある。調質圧延は、従来も
行われていたが、その場合、外観的には良好であって
も、めっき層のη相中にFe-Zn合金および/またはFe-Al
合金の微粒子が存在しており、一部は表面に露出してい
る。従って、外観上の表面は良好であるが、自動車外板
のように電着塗装を行う場合には、η相に対してFe-Zn
合金および/またはFe-Al合金の微粒子の存在が、電気
的な不均一を生じるため、クレーター状欠陥を生じ外板
用途としては使用できない。従って、電気的不均一を解
消する目的で上層めっきを行わなければならない。
【0041】
【実施例】CGLで通常の条件で製造した板厚0.8mm、
目付量90g/m2の、調質圧延を施し、又は施さない、溶融
亜鉛めっき鋼板(GI)又は合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(GA)に、各種の上層めっきを施して供試めっき鋼板
を製造し、上層めっき層の目付量とめっき組成、表面外
観、電着塗装性、耐チッピング性及び加工性を調査し
た。
【0042】上層めっきの組成は化学分析(ICP)により
求めた。表面外観は目視により評価した。評価基準は以
下の通りである。評価が◎が外板用途に最適であり、評
価○であれば外板用途に適している。 ◎:ドロス又はスパングルが全く見えないもの。 ○:ドロス又はスパングルが若干見えるが、塗装すると
見えなくなるもの。 △:ドロス又はスパングルが若干見え、塗装後も若干残
るもの。 ×:ドロス又はスパングルが認められるもの。
【0043】電着塗装性は、70×150mmのテストピース
にリン酸塩処理(日本パーカライジング社製PBL-3080)
を施した後、関西ペイント社製電着塗料エレクロンGT-1
0を用いて電着塗装を行い、電着塗装欠陥の発生程度を
目視により評価した。電着塗装に際しては、正規の条件
とは異なりクレーターが発生しやすいように、電着塗料
として3ヶ月程度使い込んだ塗料を用いた。電着温度30
℃、電圧280Vで塗装を行った。評価基準は、以下の通り
である。 ◎:クレーター状欠陥発生無し。 ○:クレーター状欠陥発生5個以下(1テストピース当
たり)。 △:クレーター状欠陥発生6〜20個以下(1テストピ
ース当たり)。 ×:クレーター状欠陥発生多数(1テストピース当た
り)。
【0044】耐チッピング性は、チッピング後の耐食性
により評価した。即ち、リン酸塩処理(日本パーカライ
ジング社製PBL-3080)を施した後、関西ペイント社製電
着塗料エレクロンGT-10を用いて正規の電着塗装条件に
より20μmの膜厚の塗装を行った。その後、-20℃におい
てグラベロショット試験を行って、塗膜をチッピングさ
せ、複合腐食サイクル試験(CCT)に供した。試験条
件は、自動車技術会が制定した自動車用材料腐食試験方
法(JASO M 609-91)により行い、30サイクル経過した
時点での錆発生状況を観察した。評価基準は以下の通り
である。 ◎:膨れ極小。 ○:膨れ小。 △:膨れ小。赤錆発生。 ×:膨れ大。赤錆発生。
【0045】加工性は、耐パウダリング性の観点よりド
ロービード試験におけるめっき層の剥離量により評価し
た。
【0046】ドロービード試験方法について、図1を用
いて説明する。図1において、3は幅30mmの試験片、4
はビードで、厚さ(t)が12mm、先端径(R)は0.5mm
である。5a、5b、6a、6bは、ビード4を保持
し、試験片3を挟圧するダイである。
【0047】ビード4の先端をダイ5a、5bの摺動面
Sより押し込み深さ(D)だけ押し込んだ位置で、ビー
ド4をダイ5aと5bの間に保持する。潤滑油として、
日本パーカライジング社製ノックスラスト530F(商品
名)を塗布した試験片3を、ダイ5a、5bおよびダイ
6a、6bの間に挿入し、ダイ6a、6bをダイ5a、
5b側に移動して、試験片3を一定の押付力(P)で挟
圧する。一定の押付力Pで挟圧しながら、試験片3を引
張速度(V)で、上方にストローク(L)だけ引抜く。
ストローク(L)だけ引き抜いた後の試験片3のめっき
層表面にテープを密着剥離する。但し、押付力(P):
500(kgf)、押込み深さ(D):4(mm)、ストローク
(L):テープテスト110(mm)、引張速度(V):200(m
m/min)である。
【0048】ドロービード試験前の試験片とテープ密着
剥離後の試験片の重量差、からめっき層の剥離量を求
め、剥離量に応じて、以下のように評価する。 ○:剥離量小。 ×:剥離量大。
【0049】供試材の内容(GA又はGIの別と調圧条
件及び上層めっきの種別)並びに前記の調査結果を表1
に記載する。
【0050】
【表1】
【0051】表1に見られるように、溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき層の上層めっきを、目付量が片面当たり1g/m
2以上の電気亜鉛めっき、もしくは、目付量が1g/m2〜10
g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっきを形
成した発明例(No.3〜5、8〜11、14、18〜2
1、23)は、全ての評価項目に対し優れた特性が得ら
れている。
【0052】亜鉛の目付量が1g/m2未満の場合(No.1、
2)には、下層の溶融亜鉛めっき鋼板が有するドロス欠
陥やスパングルを完全に隠蔽して不均一性を解消するま
でには至らないため、表面外観と電着塗装性に劣る。
【0053】60%Fe-Zn合金の目付量が1g/m2未満の場合
(No.17)には、下層の溶融亜鉛めっき鋼板が有する
ドロス欠陥やスパングルを完全に隠蔽して不均一性を解
消するまでには至らないため、表面外観と電着塗装性に
劣る。
【0054】また、Fe-Zn合金の目付量が1〜10g/m2の範
囲内であってもFe-Zn合金のFe組成が50%未満の場合(N
o.12、13)には、電気的特性が不均一な領域にある
ため、電着塗装欠陥を解消することはできないので、電
着塗装性に劣る。
【0055】また、Fe-Zn合金のFe組成が50〜80%の範囲
内であってもFe-Zn合金の目付量が10g/m2超の場合(No.
22)には、Fe量が多すぎるため赤錆が発生しやすくな
り、チッピング後耐食性に劣る。
【0056】一方、Fe-Zn合金の目付量が1〜10g/m2の範
囲内であってもFe-Zn合金のFe組成が80%超の場合(No.
24、25)には、赤錆が発生しやすくなり、チッピン
グ後耐食性に劣る。
【0057】また、上層めっきの組成がNi-Zn、Cu-Zn、
Co-Zn、Cr-Znの場合(No.26〜33)には、合金成分
のNi、Cu、Co、CrがFeより貴な金属であるために、耐食
性に劣り、赤錆が発生しやすく、チッピング後の耐食性
に劣る。
【0058】下層めっきが合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(GA)で有る場合(No.7、16)には、耐パウダリ
ング性に劣る。
【0059】調質圧延を行わなかった場合(No.6、1
5)には、良好な表面外観が得られていない。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低コス
トで厚目付化を達成し、厚目付であっても外板パネル用
途に適用できる良好な表面外観を有し、めっき層の加工
性および耐チッピング性ならびに電着塗装性に優れた溶
融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドロービード試験方法を説明する図。
【符号の説明】
3 試験片 4 ビード 5a、5b、6a、6b ダイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 妹川 透 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA05 AA18 AB02 BA01 BA03 BB02 BB15 BB18 BC01 DA01 DB06 GA02 GA04 GA12 4K027 AA05 AA22 AB06 AB14 AB35 AB42 4K044 AA02 AA06 AB02 BA10 BB03 BC02 BC04 BC09 CA11 CA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調質圧延された、片面あるいは両面溶融
    亜鉛めっき鋼板の表面に、目付量が片面当たり1g/m2
    上の電気亜鉛めっき層、又は、目付量が片面当たり1g/m
    2〜10g/m2でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっ
    き層のいずれかを有することを特徴とする、表面外観お
    よび電着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際し、鋼板
    の片面又は両面に溶融亜鉛めっきを行った後、調質圧延
    を行い、さらに、目付量が片面当たり1g/m2以上の電気
    亜鉛めっき、又は、目付量が片面当たり1g/m2〜10g/m2
    でFe含有率が50〜80wt%の電気Fe-Zn合金めっきのいずれ
    かを行うことを特徴とする、表面外観および電着塗装性
    に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP10242880A 1998-08-28 1998-08-28 表面外観および電着塗装性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板ならびにその製造方法 Pending JP2000073185A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017066457A (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 新日鐵住金株式会社 加工性と耐食性に優れるMg含有合金めっき鋼材

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