JP2000073036A - アクリル系粘接着剤組成物 - Google Patents

アクリル系粘接着剤組成物

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JP2000073036A
JP2000073036A JP10256028A JP25602898A JP2000073036A JP 2000073036 A JP2000073036 A JP 2000073036A JP 10256028 A JP10256028 A JP 10256028A JP 25602898 A JP25602898 A JP 25602898A JP 2000073036 A JP2000073036 A JP 2000073036A
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acid
polyester
acrylate
monomer
weight
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JP10256028A
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English (en)
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Shizuo Kitahara
静夫 北原
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系粘接着剤組成物において、粘着三
要素である初期接着力、接着力及び保持力のバランスを
改良し、優れたアクリル系粘接着剤組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 重量平均分子量15万〜50万のポリア
クリル酸エステル系重合体(A)100重量部に、芳香
族ジカルボン酸とジオール及びトリオール混合物を単量
体成分として重縮合して得られ、水酸基価が30mgK
OH/g以上、かつ、重量平均分子量が3万〜7万のポ
リエステル(B)5〜50重量部を配合してなるアクリ
ル系粘接着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、初期接着力、接着
力及び保持力に優れたアクリル系粘接着剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアクリル酸エステル系重合体は、ゴ
ム系粘接着剤のベースレジンの代替として開発され、無
色透明で且つ耐候性及び耐油性に優れている。しかし、
ゴム系粘接着剤の分野で使用されている粘着付与剤との
相溶性が低く、そのために、アクリルゴムを使用した粘
接着剤は、粘着の三要素である初期接着力、接着力及び
保持力のバランスが良くないという問題がある。
【0003】このような問題を解決する手法として、例
えば、特開昭64−16882号公報には、粘着付与剤
として、ロジン及びその誘導体等を使用する技術が開示
されているが、粘着の三要素のバランスを改良するとい
う効果の点では不十分である。また、特開昭62−48
994号公報には、粘着付与剤として、シクロペンタジ
エンと極性ビニル単量体とを共重合して得られる軟化点
60℃以上の変性シクロペンタジエン系樹脂を配合する
技術が開示されている。しかし、変性シクロペンタジエ
ン系樹脂とポリアクリル酸エステル系重合体とが相溶す
る組成の範囲が狭く、このために、初期接着力が不十分
であるいう問題点が残されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アク
リル系粘接着剤組成物において、粘着三要素である初期
接着力、接着力及び保持力のバランスを改良し、優れた
アクリル系粘接着剤組成物を提供することにある。
【0005】そこで、本発明者は上記の課題を達成すべ
く鋭意検討を続けた結果、テレフタル酸と2−ブチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオールとを単量体成分
として、モノブチルスズオキサイドの存在下で重縮合し
て得られるポリエステルのなかでも、高分子量かつ高水
酸基価のものを合成し、これを従来の粘着付与剤にかえ
てアクリルゴムに配合したところ、初期接着力、接着力
及び保持力のバランスに優れた粘着組成物が得られるこ
とを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到っ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、ポリアクリル酸エステル系重合体(A)に、多価カ
ルボン酸と多価アルコールとを単量体成分として、重縮
合して得られる、水酸基価が30mgKOH/g以上、
かつ、重量平均分子量が1,000〜100,000で
あるポリエステル(B)を配合してなるアクリル系粘接
着剤組成物が提供される。
【0007】本発明の具体的な実施態様は、以下のとお
りである。 (1)ポリアクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸
エステル系単量体の重合体であって、その重量平均分子
量が、通常、50,000以上、好ましくは100,0
00〜1,000,000、更に好ましくは150,0
00〜500,000の範囲である飽和型の重合体であ
る。 (2)ポリアクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸
エステル系単量体の単独重合体、アクリル酸エステル系
単量体の共重合体、アクリル酸エステル系単量体と他の
共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体であ
って、好ましくは、アクリル酸エステル系単量体と他の
共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体であ
り、とくに、該共重合体中のアクリル酸エステル系単量
体の少なくとも1種の組成が50重量%以上である。 (3)アクリル酸エステル系単量体が、分子中に、炭素
数が1〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは4
〜12のアルキル基が結合したエステル基を有するもの
である。 (4)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能なエチ
レン性不飽和単量体が、不飽和カルボン酸系単量体、ア
ミド系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテ
ル系単量体、ビニル芳香族系単量体、ニトリル系単量体
等である。 (5)ポリアクリル酸エステル系重合体が、溶液ラジカ
ル重合方法により製造されるものである。 (6)多価カルボン酸が、芳香族多価カルボン酸単量体
及びその誘導体、脂環族多価カルボン酸単量体及びその
誘導体、複素環多価カルボン酸及びその誘導体、脂肪族
多価カルボン酸及びその誘導体から選ばれるものであ
る。 (7)多価アルコールが、好ましくは、2価アルコール
単量体と3価以上のアルコール単量体の混合物であり、
該混合物中の2価アルコール単量体の割合は、通常50
〜99重量%、好ましくは60〜98重量%、より好ま
しくは70〜97重量%の範囲である。 (8)アクリル系粘接着剤組成物が、通常、ポリアクリ
ル酸エステル系重合体100重量部に対し、ポリエステ
ルが1〜150重量部、好ましくは3〜100重量部、
より好ましくは5〜50重量部である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。ポリアクリル酸エステル系重合体 本発明で使用するポリアクリル酸エステル系重合体は、
アクリル酸エステル系単量体の重合体であって、その重
量平均分子量が、通常、50,000以上、好ましくは
100,000〜1,000,000、更に好ましくは
150,000〜500,000の範囲である重合体で
ある。
【0009】ポリアクリル酸エステル系重合体の具体例
としては、例えば、アクリル酸エステル系単量体の単独
重合体、アクリル酸エステル系単量体の共重合体、アク
リル酸エステル系単量体と他の共重合可能なエチレン性
不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。これらの中
でも、アクリル酸エステル系単量体と他の共重合可能な
エチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましく、とく
に、該共重合体中のアクリル酸エステル系単量体の少な
くとも1種の比率が50重量%以上である共重合体が特
に好ましい。
【0010】アクリル酸エステル系単量体としては、格
別な制限はないが、分子中に、炭素数が1〜20、好ま
しくは2〜15、より好ましくは4〜12のアルキル基
が結合したエステル基を有するものが、粘接着剤組成物
として、初期接着力、接着力及び保持力を高める上で好
適である。
【0011】このようなアクリル酸エステル系単量体の
具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ノルマル−プロピル、アクリル酸イソプ
ロピル、アクリル酸ノルマル−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸セカンダリーブチル、アクリル酸t
ert−ブチル、アクリル酸ノルマル−オクチル、アク
リル酸イソオクチル、アクリル酸セカンダリーオクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニ
ル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボニル、アクリ
ル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステア
リル等が挙げられる。
【0012】さらに、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ノルマル−プロピル、メタクリ
ル酸イソプロピル、メタクリル酸ノルマル−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸セカンダリーブチ
ル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸ノ
ルマル−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタク
リル酸セカンダリーオクチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、
メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸ドデシル、メタ
クリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げら
れる。
【0013】また、水酸基、アミノ基等の極性基が結合
したエステル基を有するものも使用することができる。
水酸基が結合したアクリル酸エステル系単量体として
は、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−
ヒドロキシプロピル等が挙げられる。アミノ基が結合し
たものとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、
ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプ
ロピルアクリレート等である。また、これ以外にも、ア
リルアルコール等を共重合することができる。
【0014】これらの中でも、アクリル酸ノルマル−ブ
チル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸セカンダリー
ブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸ノ
ルマル−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル
酸セカンダリーオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリ
ル酸デシル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸セカンダリーブチル、メタクリル酸
ターシャリーブチル、メタクリル酸ノルマルオクチル、
メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸セカンダリー
オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デ
シル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸ドデシル
等が好ましい。
【0015】さらに、アクリル酸イソオクチル、アクリ
ル酸セカンダリーオクチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸イソオクチ
ル、メタクリル酸セカンダリーオクチル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソノニル等が、特
に好ましい。
【0016】これらのアクリル酸エステル系単量体は、
それぞれ単独で、または、2種以上組み合わせて使用す
ることができる。
【0017】アクリル酸エステル系単量体と共重合可能
なエチレン性不飽和単量体としては、不飽和カルボン酸
系単量体、アミド系単量体、ビニルエステル系単量体、
ビニルエーテル系単量体、ビニル芳香族系単量体、ニト
リル系単量体等が挙げられる。
【0018】具体的には、不飽和カルボン酸系単量体と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸等;アミド系単量体としては、
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メタアク
リルアミド等;ビニルエステル系単量体としては、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル等;ビニルエーテル系単量
体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエー
テル、ビニルノルマルプロピルエーテル等;ビニル芳香
族系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン
等;ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メ
タアクリロニトリル等が挙げられる。
【0019】さらにその他の単量体として、2−アクリ
ル酸プロパンスルホン酸、2−メタクリル酸プロパンス
ルホン酸、アクリル酸エチルホスフェート、メタクリル
酸エチルホスフェート、塩化ビニリデン、塩化ビニル等
が挙げられる。また、ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリ
メチロールメタアクリレート等のエチレン性不飽和結合
を2個以上有するものも使用することができる。
【0020】これらの中でも、不飽和カルボン酸系単量
体及びビニルエステル系単量体が好ましく、なかでも、
不飽和カルボン酸系単量体としてはアクリル酸が、ビニ
ルエステル系単量体としては酢酸ビニルが使用される。
【0021】本発明で使用するポリアクリル酸エステル
系重合体の製造方法はとくに限定されず、公知のラジカ
ル開始剤を使用するラジカル重合方法を採用することが
できる。ラジカル重合方法は、通常、塊状ラジカル重
合、溶液ラジカル重合、乳化ラジカル重合または懸濁ラ
ジカル重合等をいずれも採用でき、使用する形態に応じ
て適宜選択することができる。
【0022】本発明で使用するポリアクリル酸エステル
系重合体を、溶液ラジカル重合方法により製造する場合
は、作業性が良好であるとともに、使用する有機溶剤が
重合反応のときの連鎖移動剤として効果的に作用して、
過度な付加重合反応を抑制したり、重合反応するときの
ゲル化を防止できるため好適である。
【0023】このような有機溶剤の具体例としては、ト
ルエン、ベンゼン等の芳香族溶剤;ヘキサン、ヘプタ
ン、ノルマル−オクタン、イソオクタン等のパラフィン
系炭化水素溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステ
ル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール系溶剤等が挙げられる。なかでも、トル
エン単独、もしくは、トルエンと他の溶剤との混合溶媒
であって、トルエンを50重量%以上含むものが好まし
い。
【0024】有機溶剤の使用量は、製造するポリアクリ
ル酸エステル系重合体の組成及び分子量、エチレン性不
飽和単量体の種類、重合反応における単量体ラジカルに
対する連鎖移動のし易さ及び重合開始剤の種類と使用量
等により適宜選択され、とくに限定されないが、通常、
全単量体100重量部に対して5〜1200重量部、好
ましくは10〜900重量部、更に好ましくは20〜4
00重量部である。
【0025】ラジカル重合に使用するラジカル開始剤と
しては、アゾ系化合物及び有機過酸化物が挙げられる。
なかでも、有機過酸化物を使用して製造したポリアクリ
ル酸エステル系重合体を配合した粘接着剤組成物は、接
着力及び凝集力を改善するうえで効果的なので好まし
い。
【0026】アゾ系化合物としては、アゾビスイソブチ
ロニトリル等が挙げられる。
【0027】有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオ
キサイド、クメンハイドロパーオサイド、ジ−tert
−ブチルパーオサイド、tert−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、ケトンパーオ
キサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シ
クロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。これら
のラジカル開始剤の使用量は、全単量体量に対して、通
常0.1〜10重量%、好ましくは1〜10重量%の範
囲である。
【0028】重合は、窒素雰囲気中撹拌下で、通常50
〜230℃、より好ましくは100〜200℃の範囲内
で行う。なお、必要に応じて、例えば、ブチルメルカプ
タン、ラウリルメルカプタン等の連鎖移動剤を、全単量
体総量に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%
以下の量で添加しても良い。
【0029】ポリエステル 本発明で使用するポリエステルは、多価カルボン酸と多
価アルコールとを単量体成分として重縮合して得られる
ものである。ポリエステルの分子量は、ゲルパミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)で測定される、標準
ポリスチレンに換算した重量平均分子量(Mw)で1,
000〜200,000、好ましくは5,000〜10
0,000、より好ましくは30,000〜70,00
0の範囲である。ポリエステルの分子量が過度に小さい
と、粘接着剤組成物として、前記粘着三要素のバランス
に劣り、逆に、過度に大きくても粘着三要素のバランス
の改善効果が得られないので、いずれも好ましくはな
い。
【0030】該ポリエステルの水酸基価は、通常、30
mgKOH/g以上、好ましくは40〜250mgKO
H/g、より好ましくは50〜150mgKOH/gの
範囲である。水酸基価がこの範囲にあるときに粘着三要
素のバランスが特に優れ好適である。さらに、該ポリエ
ステルの軟化点は、通常0℃以上、好ましくは20〜2
00℃、より好ましくは30〜150℃、最も好ましく
は50〜120℃の範囲にあるときに操作性に優れ好適
である。
【0031】多価カルボン酸 本発明で使用する多価カルボン酸は、芳香族多価カルボ
ン酸単量体及びその誘導体、脂環族多価カルボン酸単量
体及びその誘導体、複素環多価カルボン酸及びその誘導
体並びに脂肪族多価カルボン酸及びその誘導体が含まれ
る。
【0032】芳香族多価カルボン酸単量体としては、分
子構造の基本骨格として芳香族環が1個のもの;ビフェ
ニル、p−テレフェニル、ジフェニルメタン、トリフェ
ニルメタン、ビベンジル、スチルベン等の形態で、独立
した芳香族環を骨格中に2個〜3個するもの;ナフタリ
ン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族環が2個
〜3個縮合したもの;インデン、テトラリン等の芳香族
環に5員又は6員の炭素環が縮合環を有するもの等を使
用することができる。該芳香族多価カルボン酸単量体の
炭素数は、通常、8〜30、好ましくは8〜20、より
好ましくは8〜15の範囲である。
【0033】このような芳香族多価カルボン酸単量体の
具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−
1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボ
ン酸等が挙げられる。中でも、テレフタル酸、イソフタ
ル酸が特に好ましい。
【0034】また、芳香族多価カルボン酸単量体の誘導
体としては、上記芳香族多価カルボン酸単量体のエステ
ル化合物、酸ハロゲン化物、酸無水物等が挙げられる。
これらの中でも、エステル化合物が好ましく、とくに、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ア
ミル、ヘキシル等の、炭素数が1〜6のアルキル基を有
するエステル基を有するものが好ましい。
【0035】脂環族多価カルボン酸単量体としては、分
子構造の基本骨格として、脂環族環を少なくとも1個有
するのものが挙げられる。具体的には、シクロペンタン
環、シクロヘキサン環、ノルボルネン環、アダマンタン
環等である。
【0036】脂環族多価カルボン酸単量体の具体例とし
ては、1,2−シクロヘキサン・二酸、1,3−シクロ
ヘキサン・二酸、1,4−シクロヘキサン・二酸、1,
2−シクロペンタン・二酸、1,3−シクロペンタン・
二酸、2,3−ノルボルネン・二酸、アダマンタン・二
酸等が挙げられる。中でも、1,4−シクロヘキサン・
二酸、1,2−シクロヘキサン・二酸が好ましい。
【0037】脂環族多価カルボン酸の誘導体としては、
上記脂環族多価カルボン酸のエステル化合物、酸ハロゲ
ン化物、酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、エ
ステル化合物が好ましく、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、アミル、ヘキシル等の炭素数が
1〜6のアルキル基を有するエステル結合を有するもの
が特に好ましい。
【0038】複素環多価カルボン酸単量体としては、複
素環2価カルボン酸単量体が好ましく、例えば、2,5
−ピロールジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン
酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジン
ジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、3,5
−ピラゾールジカルボン酸、2,4−キノリンジカルボ
ン酸、2,7−ナフチリジンジカルボン酸、2,3−キ
ノキサリンジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボ
ン酸等が挙げられる。これらの中でも2,3−ピリジン
ジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6
−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン
酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸等が好ましい。
【0039】脂肪族多価カルボン酸単量体としては、2
価の脂肪族カルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が
挙げられる。2価脂肪族カルボン酸単量体としては、例
えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン
酸、イタコン酸、ピメリン酸、メチルマロン酸、ジメチ
ルマロン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ブラシル酸、ドデカンジカルボン酸、ポリアルケニル琥
珀酸、重合脂肪酸のダイマー酸(以下、単に「ダイマー
酸」と記す。)及びその水添物等が挙げられる。これら
の中でも、ポリアルケニル琥珀酸、ダイマー酸及びその
水添物が好ましい。
【0040】ここで、ダイマー酸は、一般的に、脂肪酸
または脂肪酸エステル等の重合脂肪酸を、公知の方法で
熱重合して得られるものである。その態様は、不飽和脂
肪酸のアルキルエステルを、水、アンスラキノン、二酸
化硫黄またはアルカリ化合物の存在下で加熱して、反応
系中に生成する不飽和脂肪酸の共役二重結合間で起こる
Diels−Alder反応によって合成されるダイマ
ー酸;不飽和脂肪酸のアルキルエステルを、酸性白土、
粘土または三フツ化ホウ素のようなルイス酸の存在下で
熱重合することによって合成されるダイマー酸;不飽和
脂肪酸をラジカル重合により多量化し、さらに、ジター
シャリーブチルパーオキサイドのような過酸化物を併用
して合成されるダイマー酸が挙げられる。
【0041】ダイマー酸の合成に使用する不飽和脂肪酸
は、炭素数が通常8〜30、好ましくは12〜24、よ
り好ましくは16〜20を有するものである。また、不
飽和脂肪酸のアルキルエステルは、これらの不飽和脂肪
酸のメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステ
ル、アミルエステル、シクロヘキシルエステル等であ
る。好ましい不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノ
ール酸、リシノール酸、エレオステアリン酸等が挙げら
れる。さらに、トール油、牛脂等の天然脂肪酸を使用す
ることもできる。なお、ダイマー酸は、分子中に存在す
る炭素−炭素不飽和結合の一部または全部を、水素添加
反応により飽和結合としたものを使用することもでき
る。
【0042】ダイマー酸は市販品として入手が可能であ
る。市販品は、オレイン酸、リノール酸、リシリノール
酸またはエリオステアリン酸等を原料として合成された
ものである。これらの市販品は、その主成分がダイマー
酸であり、副生成物として少量のトリマー酸等のポリマ
ー酸及びモノマー酸とを含有する混合物である。市販品
のダイマー酸を、多価アルコール成分との縮重合反応に
使用する場合は、このような混合物をそのまま使用する
ことができる。また、必要に応じて、蒸留法または溶媒
抽出法等により、上記の混合物を精製して使用すること
も可能である。
【0043】3価以上の脂肪族カルボン酸単量体として
は、例えば、トリメリット酸、トリカルバリル酸、カン
ホロン酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、重合脂肪酸
のトリマー酸等及びこれらのエステル化合物及び酸無水
物等が挙げられる。
【0044】これらの多価カルボン酸単量体は、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0045】本発明で使用する多価カルボン酸中には、
本発明によって得られる効果を損なわない範囲で、1価
のカルボン酸単量体またはそのエステル化合物を含んで
いてもよい。このような化合物としては、蟻酸、酢酸、
酪酸、2−メチルプロパン酸、吉草酸、イソオクチル
酸、イソノナノイック酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラ
キン酸、リノール酸、オレイン酸、エライジン酸、トー
ル脂肪酸等及びこれらのエステル化合物が挙げられる。
該化合物は、多価カルボン酸成分中に、通常20重量%
以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重
量%以下の範囲で含まれるものである。
【0046】多価アルコール 本発明で使用する多価アルコールは、好ましくは、2価
アルコール単量体と3価以上のアルコール単量体の混合
物であり、該混合物中の2価アルコール単量体の割合
は、全多価アルコール単量体中の通常50〜99重量
%、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは70
〜97重量%の範囲である。
【0047】2価アルコール単量体としては、例えば、
アルカンジオール、シクロアルカンジオール、芳香族系
ジオール、オリゴオキシアルキレングリコール、ポリオ
キシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中
では、アルカンジオール、シクロアルカンジオール等が
好ましく、接着性の改善効果が高く好適である。これら
の2価アルコール単量体は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】アルカンジオールとしては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポ
リオール等が挙げられる。これらの中でも、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル
−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール等の炭素数が4〜9のアル
キル基に基づくアルカンジオールが好ましい。
【0049】アルカンジオールの中でも、それぞれヒド
ロキシル基が結合した2個の炭素原子の間に水素原子が
結合していない炭素原子が挟まれた分子構造を有するも
の(以下、「ヒンダードグリコール」と記すことがあ
る。)を用いて得られたポリエステルは、塗装性の改善
効果が高く好適である。かかるアルカンジオールとして
は、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0050】
【化1】
【0051】一般式(1)中、R1 及びR2 は、それぞ
れ、炭素数が、1〜50個、好ましくは2〜20個、よ
り好ましくは3〜10個のアルキル基である。アルキル
基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
セカンダリーブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、
トリデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイ
コシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、セカンダリーブチル基、アミル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が
好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル
基、ヘキシル基、ヘプチル基等が特に好ましい。
【0052】該ヒンダードグリコールの具体例として
は、例えば、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ
ール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジイソプロピル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2
−メチル−2−ドデシル−1,3−プロパンジオール、
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、
2−プロピル−2−ペンチル−1,3−プロパンジオー
ル等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオール、2,2−ジプロピル−
1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3
−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3
−プロパンジオール、2−プロピル−2−ペンチル−
1,3−プロパンジオール等が好ましい。
【0053】シクロアルカンジオールとしては、例え
ば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオ
ール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロオク
タン−1,4−ジオール、2,5−ノルボルナンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメチノール、アダマンタ
ンジオール等が挙げられる。
【0054】芳香族系ジオールとしては、例えば、p−
キシレンジオール、4,4’−メチレンジフェノール、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,5−ナフタレ
ンジオール等が挙げられる。
【0055】オリゴオキシアルキレングリコール及びポ
リオキシアルキレングリコールとしては、例えば、下記
の一般式(2)で表される重合体であって、酸化エチレ
ン、酸化プロピレン、酸化ブチレン等の酸化アルキレン
の単独もしくは混合物を公知の方法で重合したものが挙
げられる。
【0056】
【化2】
【0057】一般式(2)中、R3 は、水素原子または
炭素数1〜6のアルキル基を示す。アルキル基の具体例
は、メチル基、エチル基等である。R1は、好ましくは
水素原子またはメチル基である。aは、1〜6の整数を
示し、好ましくは1〜4である。bは、2〜100の整
数を示し、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜2
5である。
【0058】このようなオリゴオキシアルキレングリコ
ール及びポリオキシアルキレングリコールの具体例は、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレングリコール等;ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリ
コール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
【0059】3価以上の多価アルコールとしては格別限
定されないが、具体例としては、例えば、グリセロー
ル、ジグリセロール、ポリグリセロール等のグリセロー
ル化合物;ソルビトール、グルコース、マンニトール、
ショ糖、ブドウ糖等の糖類;ジトリメチロールプロパ
ン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0060】3価以上のアルコールとして、一般式
(3)で表されるように、それぞれヒドロキシル基が結
合した2個の炭素原子の間に水素原子が結合していない
炭素原子が挟まれた分子構造を有するもの用いることが
できる。
【0061】
【化3】
【0062】一般式(3)中、R4 及びR5 は、それぞ
れ、炭素数が1〜50個、好ましくは1〜20個、より
好ましくは2〜10個のアルキル基または該アルキル基
に少なくとも1つのヒドロキシル基が結合したものを示
す。
【0063】このような3価以上のアルコールの具体例
としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリ
トール等が挙げられる。これらの3価以上のアルコール
成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0064】本発明で使用する多価アルコールとして、
前記の式(1)又は式(3)のものを用いて得られたポ
リエステルを配合した粘接着剤組成物は、基材の相溶性
と接着性が相乗的に改良される。この場合、多価アルコ
ール中の前記の式(1)又は式(3)のものの割合は、
使用目的に応じて適宜選択されるが、全多価アルコール
中の、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以
上、より好ましくは70重量%以上である。多価アルコ
ールの他の成分は、とくに制限されず、前記式(1)又
は式(3)のもの以外の2価アルコールまたは3価以上
のアルコールを用いることができ、好ましくは2価アル
コール、より好ましくはアルキレングリコールである。
【0065】本発明で使用する多価アルコールには、本
発明の効果を損ねない範囲で、1価アルコールを含んで
もよい。1価のアルコールの具体例は、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノ
ール、ネオペンチルアルコール、3−メチル−3−ペン
タノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3,3
−トリメチル−2−ブタノール、1−デカノール、ノニ
ルアルコール等である。これらは、、全多価アルコール
中の通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、
より好ましくは10重量%以下である。
【0066】ポリエステルの製造 本発明で使用するポリエステルの製造方法は、とくに限
定されず、単量体成分として、多価カルボン酸と多価ア
ルコールとを用いて重縮合反応を行うものである。重縮
合反応は、常法に従い、例えば、反応温度が100〜3
00℃、好ましくは150〜280℃で行われ、特に不
活性ガスの存在下で行うのが好ましい。必要に応じて、
トルエン、キシレン等の水と共沸する非水溶性の有機溶
媒を使用してもよく、また反応を減圧下で、すなわち、
通常、0.1〜500mmHg、好ましくは1〜200
mmHg、より好ましくは10〜100mmHgで行っ
てもよい。
【0067】重縮合反応は、通常、エステル化触媒を使
用する。エステル化触媒としては、例えば、パラトルエ
ンスルホン酸、硫酸、リン酸重合等のブレンステッド
酸;酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ステア
リン酸亜鉛、アルキル錫オキサイド、ジアルキル錫オキ
サイド、チタンアルコキサイド等の有機金属化合物:酸
化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化バナジウム
等の金属酸化物:等が挙げられ、得られたポリエステル
の酸化安定性の点で周期律表第IV族の有機金属化合物
が好ましい。
【0068】上記単量体成分を重縮合するにあたり、全
多価カルボン酸と全多価アルコールとを合計した全単量
体中のアルコール性反応性基の総数[X]が、前記カル
ボン酸性反応性基の総数[Y]よりも大きい条件で行う
ことが、ポリエステルの分子量を高分子量にし、かつ、
水酸基価を大きくする上で好適である。アルコール性反
応性基の総数[X]とカルボン酸性反応性基の総数
[Y]との割合は、[X]/[Y]の当量比で、通常
1.02以上、好ましくは、1.03〜3.5、より好
ましくは、1.04〜2.5の範囲である。ここでアル
コール性反応性基とは、エステル結合を形成させ得るア
ルコール性の官能基のことであり、通常、ヒドロキシル
基等が挙げられる。また、カルボン酸性反応性基とは、
エステル結合を形成させ得るカルボン酸性の官能基のこ
とであり、通常、カルボキシル基、エステル基、酸無水
物等が挙げられる。
【0069】本発明で使用するポリエステルが油溶性で
ある場合には、ポリメタクリル酸エステルとの相溶性が
優れることから、粘接着剤組成物の配合成分として好適
である。ここで「油溶性」とは、下記の方法によって測
定するポリエステル溶液の光透過率が、60%以上であ
ることをいう。好ましい光透過率は80%以上である。
【0070】すなわち、ポリエステル5gとトルエン9
5gとを混合し、窒素雰囲気下に80℃で1時間撹拌し
ながら溶解し、次いで、20℃まで冷却する。このトル
エン溶液を20℃恒温室にて24時間静置し、次いで、
再度撹拌した後、濁度計(東京光電(株)製ANA−1
4S)を用いて透過率を測定する。光源としてタングス
テン白熱電球(6V、6A)を用い、セルとして20m
m角型ガラスセルを使用する。シヤッターを閉じた状態
を透過率0%とし、希釈に用いたトルエン自体の透過率
を100%とする。
【0071】アクリル系粘接着剤組成物 本発明のアクリル系粘接着剤組成物は、ポリアクリル酸
エステル系重合体とポリエステルとを配合してなるもの
である。両者の配合比率は、使用目的に応じて適宜選択
できるが、通常、ポリアクリル酸エステル系重合体10
0重量部に対し、ポリエステルが1〜150重量部、好
ましくは3〜100重量部、より好ましくは5〜50重
量部である。両者の配合比率がこの範囲にあるとき、粘
接着剤組成物として、初期接着力の付与効果や接着力の
バランスが優れるものである。
【0072】本発明のアクリル系粘接着剤組成物の調製
方法は、とくに限定されず、例えば、溶液方法、乳化方
法及びバルク方法が挙げられる。溶液方法としては、ト
ルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等
の有機溶剤を用いて溶液重合により得られたポリアクリ
ル酸エステル系重合体にポリエステルを配合して、均一
な粘接着剤組成物の溶液とする方法;乳化方法として
は、ポリエステルを加熱または溶剤に溶解した後、界面
活性剤及び水を加えて乳化物を調製し、この乳化物と乳
化重合することによって得られたポリアクリル酸エステ
ル系重合体のエマルジョンとを混合する方法;バルク方
法としては、バルク重合して得られたポリアクリル酸エ
ステル系重合体と、重縮合により得られたポリエステル
とを、高粘度撹拌機を用いて均一に混合する方法等が挙
げられる。
【0073】本発明のアクリル系粘接着剤組成物には、
必要に応じて、架橋剤、充填剤、酸化防止剤、各種安定
剤、希釈剤、顔料等を適宜配合することができる。
【0074】また、本発明のアクリル系粘接着剤組成物
は、リバースコーター、キスコーター、ダムコーター等
の公知のアプリケーターを用いて、和紙、グラフト紙、
不繊布、ゴム、プラスチックシート及びフィルム等の基
材に、塗布・乾燥して各種粘着テープ、ステッカー、シ
ート等を作成することができる。
【0075】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。実施例中の部及び%は、特に断わりがない限り重量
基準である。
【0076】(1)重量平均分子量 ポリアクリル酸エステル系重合体及びポリエステルの重
量平均分子量は、GPC法に従って、標準ポリスチレン
換算量として算出した。 (2)水酸基価及び酸価 ポリエステルの水酸基価及び酸価は、「基準油脂分析試
験法(日本油化学協会)」に記載される下記に準じて測
定した(単位:mmgKOH/g)。 水酸基価 2,4,9,2−83 酸価 2,4,1−83 (3)初期接着力 プローブタックテストに従い、5mm径のプローブを用
い、引っ張り速度1cm/秒、接触時間1秒、温度25
℃で測定した(単位:g/cm2)。 (4)接着力 JIS Z−1522に準じて、耐水研磨紙(200
番)で研磨したステンレス鋼板に、ポリエステルテープ
を、25mm×長さ100mmとなるように貼り付け、
25℃にて200mm/分の速度で、180度の方向に
剥離したときの測定値である(単位:g/25mm)。 (5)保持力 JIS Z−1524に準じ、耐水研磨紙(200番)
で研磨したステンレス鋼板に、ポリエステルテープの一
端側が、20mm×10mmの面積で接するように貼り
付け、30分後、40℃で1時間エージングした。その
後、テープが垂直に垂れ下がるようにし、ステンレス鋼
板の他端側に、1kgの荷重が均一にかかるように吊る
して、40℃で落下するまでの時間を測定した(単位:
分)。
【0077】参考例1.ポリアクリル酸エステル系重合
体溶液の調製 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた500ccフラスコに、トルエン135g、
ノルマル−ブタノール60gを仕込み、70℃に昇温し
た。次いで、アクリル酸2−エチルヘキシル 80g、
酢酸ビニル 16g、アクリル酸4g、過酸化ベンゾイ
ル2.5gを、反応系を撹拌しながら、70℃、2.5
時間かけて添加した。次に、反応系を90℃まで昇温
し、さらに15時間反応させた後、残留単量体を留去
し、不揮発分40%のポリアクリル酸エステル系重合体
溶液を得た。ポリアクリル酸系重合体の重量平均分子量
は、150,000であった。
【0078】参考例2.ポリアクリル酸エステル系重合
体エマルジョンの調製 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた500cc用フラスコに、水70g、アルキ
ル酸ソーダ0.02g、過硫酸アンモニウム0.2gを
仕込み、次いで、アクリル酸2−エチルヘキシル80
%、酢酸ビニル16%及びアクリル酸4%の単量体混合
物10gを仕込み、徐々に反応系の温度を70℃に昇温
した。反応温度を維持しつつ、予め調製した前記単量体
混合物90gと水50g及びアルキル酸ソーダ0.1g
とのエマルジョンを、2.5時間かけて添加し、さら
に、90℃にて15時間反応させた後、残留単量体を留
去し、不揮発分50%のポリアクリル酸エステル系重合
体エマルジョンを得た。得られたポリアクリル酸エステ
ル系重合体の重量平均分子量は、160,000であっ
た。
【0079】ポリエステルの製造例1 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた500cc用フラスコに、テレフタル酸16
6.2g、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン
ジオール173.7g、ペンタエリスリトール36.8
g及びモノブチルスズオキサイド0.17gを仕込ん
だ。系中のヒドロキシル基(OH)とカルボキシル基
(COOH)との当量比(以下、OH/COOH当量
比)は1.61である。
【0080】系中に窒素ガスを導入しながら撹拌を行
い、反応中に生成する水及び未反応のジオールを除去し
ながら、200℃から240℃まで6時間を要して昇温
した。その後240℃で、50mmHgの減圧下で脱水
を行いながら、さらに3時間反応を続けた。得られたポ
リエステル(以下、ポリエステルA)は重量平均分子量
5,980、光透過率 93%、酸価0.15、水酸基
価142であった。
【0081】ポリエステルの製造例2 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた1000ccフラスコに、イソフタル酸16
6.2g、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオ
ール167.6g、トリメチロールプロパン65.4g
及びジブチルスズオキサイド0.24gを仕込んだ。O
H/COOH当量比は1.56である。
【0082】系中に窒素ガスを導入しながら撹拌を行
い、反応中に生成する水及び未反応のジオールを除去し
ながら、200℃から240℃まで6時間を要して昇温
した。その後240℃で、50mmHgの減圧下で脱水
を行いながら、さらに3時間反応を続けた。得られたポ
リエステル(以下、ポリエステルB)は、重量平均分子
量12,450、光透過率95%、酸価0.15、水酸
基価135であった。
【0083】ポリエステルの製造例3 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた1000ccフラスコに、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸400g、2−ブチル−2−エチル
−1,3−プロパンジオール 431.8g及びモノブ
チルスズオキサイド0.20gを仕込んだ。OH/CO
OHは1.15である。
【0084】系中に窒素ガスを導入しながら撹拌を行
い、反応中に生成する水及び未反応のジオールを除去し
ながら、200℃から240℃まで6時間を要して昇温
した。その後240℃で、50mmHgの減圧下で脱水
を行いながら、さらに3時間反応を続けた。得られたポ
リエステル(ポリエステルC)は、重量平均分子量4,
780、光透過率96%、酸価0.18、水酸基価62
であった。
【0085】ポリエステルの製造例4 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管及び窒素ガス導入
管を備えた1000ccフラスコに、テレフタル酸15
5.4g、水添ダイマー酸136.2g、2−ブチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール236.5g及
びモノブチルスズオキサイド0.20gを仕込んだ。O
H/COOH当量は1.25である。
【0086】系中に窒素ガスを導入しながら撹拌を行
い、反応中に生成する水及び未反応のジオールを除去し
ながら、200℃から240℃まで6時間を要して昇温
した。その後、240℃で、50mmHgの減圧下で脱
水を行いながら、さらに3時間反応を続けた。得られた
ポリエステル(ポリエステルD)は、重量平均分子量
9,260、光透過率97%、酸価0.19、水酸基価
42であった。
【0087】実施例1〜3、比較例1及び2 参考例1で得たポリアクリル酸エステル系重合体溶液中
のポリアクリル酸エステル系重合体100部に対し、ポ
リエステルA、ポリエステルB及びポリエステルCを、
それぞれ18部添加し、更にポリイソシアネート系架橋
剤2部を加えて、これを厚さ1mmのポリエステル(P
ET)フィルム上に、厚さ25μmとなるように塗布し
て粘着テープを作成し、その初期接着力、接着力、保持
力を測定した。なお、比較の為にポリエステルを添加し
ない場合(比較例1)と、軟化点105℃のロジン変性
樹脂をポリアクリル酸エステル系重合体100部に対し
て20部添加した場合(比較例2)についても、同様
に、初期接着力、接着力、保持力を測定した。結果を表
1に示した。
【0088】
【表1】
【0089】実施例4〜7 参考例1で得たポリアクリル酸エステル系重合体溶液中
のポリアクリル酸エステル系重合体100部に対し、ポ
リエステルA,B,C,Dを、それぞれ18部混合し、
各混合溶液をガラス表面に塗布し、ガラス板上に形成さ
れた塗膜の透明性を観察して、相溶性の良否を判定した
(実施例4〜7)。結果を表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】実施例8〜10、比較例3及び4 予め、ポリエステルB、ポリエステルC及びポリエステ
ルDについて、それぞれ、ポリエステル100部、トル
エン50部、アルキル酸ソーダ2部、水120部を用い
て乳化し、エバポレーターにてトルエンを除去してポリ
エステルのエマルジョンを調製した。次に、このポリエ
ステルのエマルジョンと参考例2で得たポリアクリル酸
エステル系重合体エマルジョンを混合した。混合は、ポ
リアクリル酸エステル系重合体100重量部に対し、ポ
リエステルが25重量部となる割合で行った。その後、
上記の混合物を、厚さ1mmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に、厚さ25μmとなるように塗布して
粘着テープを作成し、その初期接着力、接着力、保持力
を測定した。なお、比較の為に、ポリエステルを添加し
ない場合(比較例3)及びロジン変性フェノール樹脂の
エマルジョンを添加した場合(比較例4)についても、
同様に初期接着力、接着力、保持力を測定した。結果を
表3に示した。
【0092】
【表3】
【0093】表1及び表3の結果より、ポリエステルを
配合しない場合(比較例1、3)及び粘着付与剤として
ロジン変性樹脂等を配合した場合(比較例2、4)は、
いずれも、初期接着力、接着力及び保持力の値が小さい
ことがわかる。これに対して、本発明のアクリル系粘接
着剤組成物は、初期接着力、接着力及び保持力がいずれ
も大きい値を示し、さらに、これらのバランスが良好で
あることがわかる。また、表2の結果より、本発明の粘
接着剤組成物は、配合成分であるポリアクリル酸エステ
ル系重合体とポリエステルとの相溶性が、非常に良好で
あることがわかる。
【0094】
【発明の効果】かくして、本発明により、初期接着力、
接着力及び保持力の粘着三要素のバランスに優れたアク
リル系粘接着剤組成物が提供される。また、本発明のア
クリル系粘接着剤組成物の配合成分であるポリエステル
は、ポリアクリル酸エステル系重合体との相溶性が良好
であることから粘接着剤組成物として良好な性能を有
し、様々な用途に好適に使用することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアクリル酸エステル系重合体(A)
    に、多価カルボン酸と多価アルコールとを単量体成分と
    して重縮合して得られ、水酸基価が30mgKOH/g
    以上、かつ、重量平均分子量が1,000〜100,0
    00であるポリエステル(B)を配合してなるアクリル
    系粘接着剤組成物。
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