JP2000070994A - スケール防止方法及びスケール防止剤 - Google Patents

スケール防止方法及びスケール防止剤

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JP2000070994A
JP2000070994A JP10240191A JP24019198A JP2000070994A JP 2000070994 A JP2000070994 A JP 2000070994A JP 10240191 A JP10240191 A JP 10240191A JP 24019198 A JP24019198 A JP 24019198A JP 2000070994 A JP2000070994 A JP 2000070994A
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liter
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Shigeru Sato
茂 佐藤
Toru Unno
徹 海野
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、pHが
8.5以上、カルシウム硬度が250mgCaCO3/リットル
以上の高pH、高硬度水系に適用して、スケールの付着を
効果的に防止することができるスケール防止方法及びス
ケール防止剤を提供する。 【解決手段】高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、高
pH、高硬度水系に、該水系に発生するスケール成分の種
晶を添加することを特徴とするスケール防止方法、及
び、高炉若しくは転炉ガス集塵水系用、又は、高pH、高
硬度水系用スケール防止剤であって、該水系に発生する
スケール成分の種晶を含有することを特徴とするスケー
ル防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スケール防止方法
及びスケール防止剤に関する。さらに詳しくは、本発明
は、高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、pHが8.5
以上、カルシウム硬度が250mgCaCO3/リットル以上
の高pH、高硬度水系のスケール防止方法及びスケール防
止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄所においては、製鉄設備である高炉
や転炉から、操業中に莫大な量の高炉、転炉ガスが発生
する。このガスには、相当量の一酸化炭素が含まれてい
るので、製鉄所ではこれを回収し、燃料として再利用し
ている。しかし、これらの高炉、転炉ガスには、多量の
煙塵が含まれており、そのままでは熱効率が低下するな
どの問題がある。そこで、高炉や転炉からのガスは、炉
頂から排出されたのち、清浄化することが必要になり、
その清浄化手段として、通常湿式集塵機、例えば、ベン
チュリースクラバーや、電気集塵機などが用いられる。
集塵機で煙塵を捕集した集塵水は、シックナーに送ら
れ、集塵水中の懸濁物質を沈殿除去したのち、処理水は
必要に応じて冷却塔で冷却され、再び集塵機の集塵水と
して利用される。ところが、集塵水は、集塵機で煙塵を
捕集すると同時に、高炉、転炉ガス中に多量に含まれて
いる炭酸ガスをも吸収するためにpHが低下し、煙塵中の
カルシウムイオンが溶解する。このために、集塵水には
カルシウムイオンや重炭酸イオンなどが、かなりの濃度
で溶存することになる。一方、集塵機から出た集塵水
は、シックナーなどでの大気開放条件下で炭酸ガスを放
出し、pHが上昇する。その結果、カルシウムイオンの飽
和濃度は、pHの上昇とともに急激に低下するので、一旦
集塵水中に溶解したカルシウムイオンは、過飽和な状態
で存在することになる。このように、カルシウムイオン
の過飽和な状態の水が再び集塵水として給水されると、
送水ポンプや送水配管、冷却塔充填材や集塵機の噴霧ノ
ズル、シックナーからのスラリー引抜き配管などに、炭
酸カルシウムなどがスケールとして付着する。スケール
付着の結果、集塵機の噴霧ノズルの閉塞や、配管の狭窄
による送水量の低下をもたらし、清掃のための操業の一
時停止による生産能力の低下や、送水量を確保するため
に送水ポンプの運転台数を増やすことによる動力費の増
加など、さまざまな問題が生ずる。そのために、これま
でにもいくつかのスケール防止対策がとられている。例
えば、特公昭57−54711号公報には、高炉ガス集
塵水を沈殿処理し、処理水にリグニンスルホン酸又はそ
の塩を添加して再び集塵用水として循環使用する方法が
提案されている。このような水溶性高分子を添加する方
法は、他にも例が多く、例えば、ポリアクリル酸ナトリ
ウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸な
どを添加する方法が提案されている。これらの水溶性高
分子をスケール発生箇所に添加することにより、スケー
ル付着を防止することはできるものの、その効果は添加
した箇所の近傍に限られ、効果の安定性、持続性はほと
んどない。その理由は、水中の高濃度のカルシウムイオ
ンのために、ポリマー自体が析出し、機能を果たさなく
なるためである。また、ヘキサメタリン酸塩、ホスホン
酸塩などのリン系化合物を添加する方法も提案されてい
るが、上記の水溶性高分子と同様に、効果の安定性、持
続性に問題がある。さらに、pHを下げることにより、炭
酸カルシウムを溶解し、スケール化を防ぐ方法も提案さ
れているが、pHが低下しすぎると装置や配管の腐食が生
じるために、pH調整操作が煩雑となり、工場の操業に影
響を与える場合が多い。一方、高炉、転炉などのドライ
ピットの冷却水系、コークス工場などにおけるアンモニ
ア蒸留塔水系、都市ゴミ清掃工場などにおける焼却灰水
系、濃縮循環冷却水系などは、pHが8.5以上、カルシ
ウム硬度が250mgCaCO3/リットルという、pHが比較
的高く、かつカルシウム硬度も高い水系となりやすい。
このような高pH、高硬度水系に対するスケール防止剤と
して、特公昭57−60080号公報に、マレイン酸と
アミレンの共重合体を含むスケール防止剤が提案されて
いる。また、アクリル酸塩やマレイン酸塩をモノマー成
分とする合成高分子や、重合リン酸塩をスケール防止剤
として適用する試みもなされている。しかし、pHが8.
5以上で、しかもカルシウム硬度が250mgCaCO3/リ
ットル以上という高pH、高硬度水系においては、これら
のスケール防止剤が水中のカルシウムイオンと反応して
不溶性塩を生成し、スケール防止剤としての性能が低下
するのみならず、過剰にスケール防止剤を添加すると、
スケール防止剤自体が難溶性のカルシウム塩を生成し、
スケールの原因となる場合がある。特に、アンモニア蒸
留塔水系における熱交換器の伝熱面では、この傾向が助
長され、ポリアクリル酸塩や、マレイン酸塩をモノマー
成分とする合成高分子に起因すると考えられる有機性カ
ルシウム化合物からなるスケールの付着がしばしば認め
られている。このように、高炉又は転炉ガス集塵水系
や、高pH、高硬度水系においては、従来のスケール防止
剤ではその適用対象が限られる、効果の安定性に問題が
あることから、これらの水系においても有効なスケール
防止方法及びスケール防止剤が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高炉若しく
は転炉ガス集塵水系、又は、pHが8.5以上、カルシウ
ム硬度が250mgCaCO3/リットル以上の高pH、高硬度
水系に適用して、スケールの付着を効果的に防止するこ
とができるスケール防止方法及びスケール防止剤を提供
することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、高炉若しくは転
炉ガス集塵水系、又は、高pH、高硬度水系に、付着防止
の対象であるスケール成分の種晶を添加することによ
り、スケールの付着を防止し得ることを見いだし、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、(1)高炉又は転炉ガス集塵水系に、該水系
に発生するスケール成分の種晶を添加することを特徴と
するスケール防止方法、(2)高炉又は転炉ガス集塵水
系用スケール防止剤であって、該水系に発生するスケー
ル成分の種晶を含有することを特徴とするスケール防止
剤、(3)pHが8.5以上、カルシウム硬度が250mgC
aCO3/リットル以上の高pH、高硬度水系に、該水系に発
生するスケール成分の種晶を添加することを特徴とする
スケール防止方法、及び(4)pHが8.5以上、カルシ
ウム硬度が250mgCaCO3/リットル以上の高pH、高硬
度水系用スケール防止剤であって、該水系に発生するス
ケール成分の種晶を含有することを特徴とするスケール
防止剤、を提供するものである。さらに、本発明の好ま
しい態様として、(5)スケール成分の種晶が、炭酸カ
ルシウムである第(1)項記載のスケール防止方法、
(6)スケール成分の種晶の添加量が、ラインを流れる
水量に対して、1〜100mg/リットルである第(1)項
記載のスケール防止方法、(7)スケール成分の種晶の
平均粒径が、0.01〜100μmである第(1)項記載
のスケール防止方法、(8)スケール成分の種晶が、炭
酸カルシウムである第(2)項記載のスケール防止剤、
(9)スケール成分の種晶の平均粒径が、0.01〜1
00μmである第(2)項記載のスケール防止剤、(1
0)スケール成分の種晶が、炭酸カルシウムである第
(3)項記載のスケール防止方法、(11)スケール成分
の種晶の添加量が、ラインを流れる水量に対して、1〜
500mg/リットルである第(3)項記載のスケール防止
方法、(12)スケール成分の種晶の平均粒径が、0.
01〜100μmである第(3)項記載のスケール防止方
法、(13)スケール成分の種晶が、炭酸カルシウムで
ある第(4)項記載のスケール防止剤、及び、(14)ス
ケール成分の種晶の平均粒径が、0.01〜100μm
である第(4)項記載のスケール防止剤、を挙げることが
できる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のスケール防止方法は、高
炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、pHが8.5以上、
カルシウム硬度が250mgCaCO3/リットル以上の高p
H、高硬度水系に、該水系に発生するスケール成分の種
晶を添加するものである。また、本発明のスケール防止
剤は、高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、pHが8.
5以上、カルシウム硬度が250mgCaCO3/リットル以
上の高pH、高硬度水系用スケール防止剤であって、該水
系に発生するスケール成分の種晶を含有するものであ
る。高炉又は転炉ガス集塵水系の水質は、高炉又は転炉
で使用される添加剤などによって異なるが、一般に、カ
ルシウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオンなどを高濃度に
含んでいる。ただし、カルシウム硬度が250mgCaCO3
/リットルとなることは少なく、pHも7〜8程度である
場合が多い。また、高pH、高カルシウム硬度水系となる
のは、濃縮冷却水の水系、ドライピットの冷却水の水
系、アンモニア蒸留塔水系、焼却灰水系、集塵水系など
であり、pHが8.5以上、カルシウム硬度が250mgCaC
O3/リットルに達する。本発明において使用するスケー
ル成分の種晶は、水系に添加したとき、核となってスケ
ール成分の結晶化を開始させ、スケール成分の結晶の析
出速度を速めるものである。スケール成分が既知の場合
は、種晶としてスケール成分と同一の結晶又はスケール
成分と類似の構造若しくは結晶形を有する化合物の結晶
を添加することができる。スケール成分と類似の構造若
しくは結晶形を有する化合物の結晶の種晶としての有効
性は、適用する水系の水を濃縮又は冷却することにより
過飽和状態とし、スケール成分と類似の構造若しくは結
晶形を有する化合物の結晶を添加し、スケール成分の結
晶が析出する状態を観察することにより確認することが
できる。スケール成分が未知の場合は、適用する水系の
水を濃縮し、析出する結晶を、スケール成分と同一の化
合物である種晶として利用することができる。
【0006】高炉又は転炉ガス集塵水系で付着するスケ
ールの主体は、多くの場合炭酸カルシウムであり、塩基
性炭酸亜鉛などの亜鉛系スケールがスケール成分として
検出される場合もある。また、高pH、高硬度水系で付着
するスケールの主体は、炭酸カルシウムである。対象と
するスケール成分が炭酸カルシウムである場合、スケー
ル成分の種晶としては、炭酸カルシウムの結晶を用いる
ことが好ましい。使用する炭酸カルシウムの結晶に特に
制限はなく、炭酸カルシウムの多形であるカルサイト、
パテライト、アラゴナイトのいずれをも用いることがで
きる。対象とするスケール成分が塩基性炭酸亜鉛の場
合、スケール成分の種晶としては、塩基性炭酸亜鉛又は
結晶構造の類似した亜鉛化合物を用いることが好まし
い。本発明方法において、スケール防止剤は、スケール
が付着する箇所に直接添加するか、あるいは、その箇所
よりも前段に添加することができ、従来のスケール防止
剤と同様に扱うことができる。したがって、スケール生
成が問題となる高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、
高pH、高硬度水系においては、シックナーなどの固液分
離装置から集塵装置に至る水系の任意の箇所に添加する
ことができ、例えば、シックナーから流出する処理水用
の送水ポンプの直前、集塵機までの送水配管の途中、集
塵機からシックナーまでの送水配管の途中などにおいて
添加することができる。また、シックナーからのスラリ
ー引き抜き配管にスケール付着が多い場合は、その配管
ラインに添加することもできる。
【0007】本発明方法において、種晶の添加方法に特
に制限はなく、例えば、結晶をそのまま粉末状態で添加
することができ、あるいは、結晶を液に分散させたスラ
リー状態で添加することもできる。種晶の添加量に特に
制限はないが、高炉又は転炉ガス集塵水系においては、
ラインを流れる水量に対して、1〜100mg/リットル
であることが好ましく、3〜50mg/リットルであるこ
とがより好ましい。種晶の添加量が水量に対して1mg/
リットル未満であると、スケール成分の水中における析
出が十分に促進されず、壁面などにスケールが発生する
おそれがある。水量に対して100mg/リットルを超え
る種晶を添加してもスケール付着に関する悪影響は生じ
ないが、経済性が損なわれるおそれがある。一方、高p
H、高硬度水系においては、種晶の添加量は、ラインを
流れる水量に対して、1〜500mg/リットルであるこ
とが好ましく、5〜100mg/リットルであることがよ
り好ましい。種晶の添加量が水量に対して1mg/リット
ル未満であると、スケール成分の水中における析出が十
分に促進されず、壁面などにスケールが発生するおそれ
がある。水量に対して500mg/リットルを超える種晶
を添加してもスケール付着に関する悪影響は生じない
が、経済性が損なわれるおそれがある。本発明において
使用するスケール成分の種晶は、一般的には微細な結晶
であることが好ましい。種晶の平均粒径は、通常は、
0.01〜100μmであることが好ましく、0.05〜
50μmであることがより好ましい。種晶の平均粒径が
0.01μm未満であると、取り扱いづらく、作業性が
低下するおそれがある。種晶の平均粒径が100μmを
超えると、種晶の表面積が小さくなり、スケール防止効
果が低下するおそれがある。
【0008】本発明方法においては、必要に応じて、他
のスケール防止剤を併用することができる。他のスケー
ル防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレ
イン酸、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸と2−ヒド
ロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸の共重合体
などの有機ポリマー、ニトリロトリメチレンホスホン
酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノブタン
トリカルボン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリ
ン系化合物などを挙げることができる。本発明方法によ
れば、高炉若しくは転炉ガス集塵水系、又は、高pH、高
硬度水系に含まれるスケール成分は、大部分が水中にお
いて分散した結晶として析出、成長し、壁面にスケール
として付着するものは僅かである。水系に添加した種晶
は、析出した結晶とともにシックナーなどにおいて固液
分離され、懸濁物質スラリーとして系外に除去される。
製鉄工場の高炉又は転炉ガス集塵水系を流れる水は、ス
ケール成分の高過飽和溶液であり、そのスケール成分の
種晶を添加することにより、溶液中のスケール成分が種
晶を核として析出し、水中に分散した状態で成長する。
その結果、溶存するスケール成分の濃度が低下し、溶液
中のスケール成分の過飽和度が低下して、壁面などへの
スケールの付着が発生しにくい水に変化するものと考え
られる。
【0009】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 図1に示す装置を用いて、スケール付着防止試験を行っ
た。製鉄工場の高炉集塵水系のシックナーからの引き抜
きスラリーの水質を分析したところ、pH8.1、電気伝
導率358mS/m、懸濁物質4,600mg/リット
ル、カルシウム硬度100mgCaCO3/リットル、全鉄2,
890mg/リットル、鉄イオン0.1mg/リットル、亜
鉛イオン0.1mg/リットル、塩化物イオン30mg/リ
ットル、濁度13,000、Mアルカリ度1,010mgCa
CO3/リットルであった。この水質を参考にして、Mア
ルカリ度1,000mgCaCO3/リットル、カルシウム硬度
100mgCaCO3/リットルとなるように、純水に5重量
%重炭酸ナトリウム水溶液と10重量%塩化カルシウム
水溶液を加え、pHを8として200リットルの試験水を
調製し、タンクAに入れた。また、平均粒径0.5μm
の重質炭酸カルシウムを、薬剤タンクDに入れた。タン
クAの試験水を、16リットル/時間で40℃に加温し
たタンクBに連続的に供給し、同時に薬剤タンクDの重
質炭酸カルシウムを、定量供給機を用いて80mg/時間
の割合でタンクBに連続的に供給し、試験水に重質炭酸
カルシウムを分散した。タンクB内の水量は4リット
ル、すなわち滞留時間を15分間とした。タンクBの水
は、16リットル/時間で40℃に加温したタンクCに
連続的に供給した。タンクCには、容量4リットルでオ
ーバーフローするように、オーバーフロー口を設けてい
る。タンクCの水は、60℃の温水を通水するステンレ
スチューブFを装着したアクリルカラムGに、5m/分
の流速で通水し、ステンレスチューブの伝熱面と接触し
たのち、タンクCに戻した。試験は、8時間連続して行
った。試験終了後にタンクCの水をサンプリングし、直
ちに0.1μmフィルターでろ過し、ろ液について水質
分析を行ったところ、カルシウム硬度は58mgCaCO3
リットルであった。また、ステンレスチューブをアクリ
ルカラムから取り外して、乾燥、秤量し、重量増加から
スケール付着量を求めたところ、0.02mg/cm2であっ
た。 実施例2 平均粒径5μmの軽質炭酸カルシウムの50重量%水分
散液を薬剤タンクEに入れ、この水分散液を320mg/
時間の割合でタンクBに連続的に供給した以外は、実施
例1と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカル
シウム硬度は、62mgCaCO3/リットルであった。ま
た、ステンレスチューブのスケール付着量は、0.06m
g/cm2であった。 実施例3 軽質炭酸カルシウムの50重量%水分散液の供給量を6
40mg/時間に増加した以外は、実施例2と同じ操作を
繰り返した。試験終了後のろ液のカルシウム硬度は、6
5mgCaCO3/リットルであった。また、ステンレスチュ
ーブのスケール付着量は、0.03mg/cm2であった。 比較例1 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、分子量6,
000のポリアクリル酸ナトリウムの40重量%水溶液
を用い、その供給量を200mg/時間とした以外は、実
施例2と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカ
ルシウム硬度は、95mgCaCO3/リットルであった。ま
た、ステンレスチューブのスケール付着量は、2.53m
g/cm2であった。 比較例2 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、ヘキサメタ
リン酸ナトリウムをPとして30.4重量%含む水溶液
を用い、その供給量を160mg/時間とした以外は、実
施例2と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカ
ルシウム硬度は、93mgCaCO3/リットルであった。ま
た、ステンレスチューブのスケール付着量は、1.88m
g/cm2であった。 比較例3 スケール防止剤を添加することなく、実施例1と同じ操
作を繰り返した。試験終了後のろ液のカルシウム硬度
は、79mgCaCO3/リットルであった。また、ステンレ
スチューブのスケール付着量は、5.41mg/cm2であっ
た。実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を、第1表に
示す。
【0010】
【表1】
【0011】第1表に見られるように、従来のスケール
防止剤であるポリアクリル酸ナトリウム又はヘキサメタ
リン酸ナトリウムを添加した比較例1〜2の場合、試験
終了後のろ液のカルシウム硬度はスケール防止剤を添加
しない比較例3に比べて高く、スケール防止剤によりカ
ルシウムの析出が抑制されていることが分かる。しか
し、スケール付着量はスケール防止剤を添加しない比較
例3に比べて35〜50%程度に減少するに止まり、ス
ケール防止に関しては顕著な効果があるとは言い難い。
これに対して、本発明のスケールの種晶を添加した実施
例1〜3においては、試験終了後のろ液のカルシウム硬
度がスケール防止剤を添加しない比較例3よりも低く、
種晶によって試験水中のカルシウムの析出が促進されて
いることが分かる。また、スケール付着量も、スケール
防止剤を添加しない比較例3に比べて0.4〜1%程度
に激減し、本発明方法が優れたスケール防止効果を発揮
することが示されている。 実施例4 図1に示す装置を用いて、スケール付着防止試験を行っ
た。カルシウム硬度250mgCaCO3/リットル、Mアル
カリ度30mgCaCO3/リットルとなるように、純水に5
重量%重炭酸ナトリウム水溶液と10重量%塩化カルシ
ウム水溶液を加え、pHを8.7として200リットルの
試験水を調製し、タンクAに入れた。また、平均粒径
0.5μmの重質炭酸カルシウムを、薬剤タンクDに入
れた。タンクAの試験水を、16リットル/時間で30
℃に加温したタンクBに連続的に供給し、同時に薬剤タ
ンクDの重質炭酸カルシウムを、定量供給機を用いて3
20mg/時間の割合でタンクBに連続的に供給し、試験
水に重質炭酸カルシウムを分散した。タンクB内の水量
は4リットル、すなわち滞留時間を15分間とした。タ
ンクBの水は、16リットル/時間で30℃に加温した
タンクCに連続的に供給した。タンクCには、容量4リ
ットルでオーバーフローするように、オーバーフロー口
を設けている。タンクCの水は、60℃の温水を通水す
るステンレスチューブFを装着したアクリルカラムG
に、5m/分の流速で通水し、ステンレスチューブの伝
熱面と接触したのち、タンクCに戻した。試験は、8時
間連続して行った。試験終了後にタンクCの水をサンプ
リングし、直ちに0.1μmフィルターでろ過し、ろ液
について水質分析を行ったところ、カルシウム硬度は1
10mgCaCO3/リットルであった。また、ステンレスチ
ューブをアクリルカラムから取り外して、乾燥、秤量
し、重量増加からスケール付着量を求めたところ、0.
01mg/cm2であった。 実施例5 カルシウム硬度1,000mgCaCO3/リットル、Mアルカ
リ度100mgCaCO3/リットル、pH8.6の試験水を用
い、重質炭酸カルシウムの添加量を640mg/時間とし
た以外は、実施例4と同じ操作を繰り返した。試験終了
後のろ液のカルシウム硬度は、126mgCaCO3/リット
ルであった。また、ステンレスチューブのスケール付着
量は、0.05mg/cm2であった。 実施例6 平均粒径5μmの軽質炭酸カルシウムの50重量%水分
散液を薬剤タンクEに入れ、この水分散液を640mg/
時間の割合でタンクBに連続的に供給した以外は、実施
例4と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカル
シウム硬度は、102mgCaCO3/リットルであった。ま
た、ステンレスチューブのスケール付着量は、0.02m
g/cm2であった。 実施例7 カルシウム硬度1,000mgCaCO3/リットル、Mアルカ
リ度100mgCaCO3/リットル、pH8.6の試験水を用
い、軽質炭酸カルシウムの水分散液の添加量を1,28
0mg/時間とした以外は、実施例6と同じ操作を繰り返
した。試験終了後のろ液のカルシウム硬度は、141mg
CaCO3/リットルであった。また、ステンレスチューブ
のスケール付着量は、0.06mg/cm2であった。 比較例4 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、分子量6,
000のポリアクリル酸ナトリウムの40重量%水溶液
を用い、その供給量を800mg/時間とした以外は、実
施例6と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカ
ルシウム硬度は、192mgCaCO3/リットルであった。
また、ステンレスチューブのスケール付着量は、2.4
9mg/cm2であった。 比較例5 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、分子量6,
000のポリアクリル酸ナトリウムの40重量%水溶液
を用い、その供給量を1,600mg/時間とした以外
は、実施例7と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ
液のカルシウム硬度は、330mgCaCO3/リットルであ
った。また、ステンレスチューブのスケール付着量は、
3.32mg/cm2であった。 比較例6 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、ヘキサメタ
リン酸ナトリウムをPとして30.4重量%含む水溶液
を用い、その供給量を320mg/時間とした以外は、実
施例6と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカ
ルシウム硬度は、228mgCaCO3/リットルであった。
また、ステンレスチューブのスケール付着量は、2.1
6mg/cm2であった。 比較例7 軽質炭酸カルシウムの水分散液の代わりに、ヘキサメタ
リン酸ナトリウムをPとして30.4重量%含む水溶液
を用い、その供給量を640mg/時間とした以外は、実
施例7と同じ操作を繰り返した。試験終了後のろ液のカ
ルシウム硬度は、290mgCaCO3/リットルであった。
また、ステンレスチューブのスケール付着量は、2.9
5mg/cm2であった。 比較例8 スケール防止剤を添加することなく、実施例4と同じ操
作を繰り返した。試験終了後のろ液のカルシウム硬度
は、195mgCaCO3/リットルであった。また、ステン
レスチューブのスケール付着量は、3.65mg/cm2であ
った。実施例4〜7及び比較例4〜8の結果を、第2表
に示す。
【0012】
【表2】
【0013】第2表に見られるように、従来のスケール
防止剤であるポリアクリル酸ナトリウム又はヘキサメタ
リン酸ナトリウムを添加した比較例4及び比較例6の場
合、試験終了後のろ液のカルシウム硬度はスケール防止
剤を添加しない比較例8に比べて同等又はやや高く、ス
ケール防止剤によるカルシウム析出抑制効果が認められ
る場合もある。しかし、スケール付着量はスケール防止
剤を添加しない比較例8に比べて60〜70%程度に減
少するに止まり、スケール防止に関しては効果があると
は言い難い。これに対して、本発明のスケールの種晶を
添加した実施例4及び実施例6においては、試験終了後
のろ液のカルシウム硬度がスケール防止剤を添加しない
比較例8よりも低く、種晶によって試験水中のカルシウ
ムの析出が促進されていることが分かる。また、スケー
ル付着量も、スケール防止剤を添加しない比較例8に比
べて0.3〜0.5%程度に激減し、本発明方法が優れた
スケール防止効果を発揮することが示されている。ま
た、カルシウム硬度1,000mgCaCO3/リットル、Mア
ルカリ度100mgCaCO3/リットルの試験水を用いた実
施例5、実施例7、比較例5及び比較例7を比較する
と、試験終了後のろ液のカルシウム硬度は実施例の方が
比較例より低く、種晶によって試験水中のカルシウムの
析出が促進されていることが分かる。さらに、実施例に
おけるスケールの付着量は、比較例のスケール付着量の
約2%であり、本発明方法が優れたスケール防止効果を
発揮することが示されている。
【0014】
【発明の効果】本発明のスケール防止方法及び本発明の
スケール防止剤によれば、従来の金属イオン封鎖剤を添
加するスケール防止方法と異なり、高炉又は転炉ガス集
塵水系や、高pH、高硬度水系から、炭酸カルシウムなど
のスケール成分を結晶として析出させるが、析出した結
晶の付着性が低くスケール化しにくいので、スケールの
発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スケール付着防止試験に用いた装置の
工程系統図である。
【符号の説明】
A タンク B タンク C タンク D 薬剤タンク E 薬剤タンク F ステンレスチューブ G アクリルカラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 5/10 620 C02F 5/10 620B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高炉又は転炉ガス集塵水系に、該水系に発
    生するスケール成分の種晶を添加することを特徴とする
    スケール防止方法。
  2. 【請求項2】高炉又は転炉ガス集塵水系用スケール防止
    剤であって、該水系に発生するスケール成分の種晶を含
    有することを特徴とするスケール防止剤。
  3. 【請求項3】pHが8.5以上、カルシウム硬度が250m
    gCaCO3/リットル以上の高pH、高硬度水系に、該水系に
    発生するスケール成分の種晶を添加することを特徴とす
    るスケール防止方法。
  4. 【請求項4】pHが8.5以上、カルシウム硬度が250m
    gCaCO3/リットル以上の高pH、高硬度水系用スケール防
    止剤であって、該水系に発生するスケール成分の種晶を
    含有することを特徴とするスケール防止剤。
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