JP2000070939A - 造水方法 - Google Patents

造水方法

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JP2000070939A
JP2000070939A JP11238234A JP23823499A JP2000070939A JP 2000070939 A JP2000070939 A JP 2000070939A JP 11238234 A JP11238234 A JP 11238234A JP 23823499 A JP23823499 A JP 23823499A JP 2000070939 A JP2000070939 A JP 2000070939A
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membrane
layer
separation
thickness
atm
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Masaru Kurihara
優 栗原
Yoshinari Fusaoka
良成 房岡
Toshihiro Ikeda
敏裕 池田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐圧性が高く70atm以上の圧力をかけて
も、膜の分離特性の変化が小さく、かつ70atm以上
の圧力で運転した際の性能の経時変化が小さい複合膜を
用いた造水方法を提供する。 【解決手段】細孔を有する一方の層と、この層の細孔径
よりも大きな細孔径を有する他方の層との2層構成を有
する支持膜上に分離機能層が設けられてなる複合膜を用
いて、操作圧力を50atm以上として水を処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海水の淡水化、かん水
の脱塩、排水の処理および有価物の濃縮、回収、特に、
高濃度の非分離液を高圧で分離するのに好適な造水方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工業的に利用されている半透膜に
は非対称膜型の酢酸セルロース膜があった(例えば、米
国特許第3、133、132号明細書、同第3、13
3、137号明細書)。しかし、この膜は耐加水分解
性、耐微生物性などに問題があり、塩排除率、水透過性
も十分ではなかった。このため、酢酸セルロース非対称
膜は一部の用途には使用されているが広範囲の用途に実
用化されるには至っていない。
【0003】これらの欠点を補うべく非対称膜とは形態
を異にする半透膜として微多孔性支持膜上に異なる素材
で実質的に膜分離性能をつかさどる分離機能膜を被覆し
た分離膜が考案された。複合膜では、分離機能膜と微多
孔性支持膜の各々に最適な素材を選択する事が可能であ
り、製膜技術も種々の方法を選択できる。
【0004】現在市販されている複合膜の大部分は微多
孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した分離機能膜
を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを界面重
縮合した分離機能膜を有するものの2種類である。前者
の具体例としては、特開昭49−13282号公報、特
公昭55−38164号公報、PBレポート80−18
2090、特公昭59−27202号公報、同61−2
7102号公報などがある。後者の具体例としては米国
特許第3,744,942号明細書、同第3,926,
798号明細書、同第4,277,344号明細書、特
開昭55−147106号公報、同58−24303号
公報、同62−121603号公報などがある。
【0005】これらの複合膜では酢酸セルロース非対称
膜よりも高い脱塩性能が得られている。さらにこれらの
膜は殺菌に用いられる塩素、過酸化水素に対する耐久性
も向上されつつあり用途が広がってきている段階にあ
る。この型の膜の問題としては、水透過性を高めようと
すると(低圧高造水量化)、分離機能膜を非常に薄く塗
るため、微多孔性支持膜の傷、あるいは異物などによっ
て、欠点を生じやすいこと、また平膜状の複合膜の場合
には、スパイラル、プレートアンドフレーム型のエレメ
ントとして使用するにあたり、エレメント製造時の作業
中に分離機能膜に傷がつき、膜本来の脱塩性能に対して
エレメントの脱塩性能が低下する現象がしばしば生じ
た。これらは最近特に要望が強くなってきている高排除
性の妨げになっている。これらの問題は製造技術の向上
によって解決されつつあり、この高い性能の複合膜が市
販されている段階にある。
【0006】特に、ある一定濃度以下の透過液を得るた
めには分離対象液の濃度が高いほど、高い排除率が必要
となる。例えば1%の溶液から100ppmの透過液を
得る場合には、排除率は99%で良いが、4%の溶液か
ら100ppmの透過液を得るためには99.75%の
排除率が必要になり、高排除率膜の要望はますます強く
なってきている。
【0007】さらに、逆浸透膜による分離を行なうに際
しては、供給液の浸透圧と透過液の浸透圧の差以上の圧
力を供給液側にかけることが必要であり、特に供給液の
濃度が高く、浸透圧が高い場合には高い圧力を操作圧力
として必要とする。さらに、供給液に対する透過液の量
の割合(これを収率という)が高くなると濃縮液の濃度
が高くなる。例えば海水の淡水化の場合、海水の濃度
3.5%に対応する浸透圧は25.4atmであり、収
率40%で淡水化を行なうと濃縮水の濃度は約6%で濃
縮水の濃度6%に対応する浸透圧、約45atm以上の
操作圧力が必要である。透過水の水質と水量を充分に得
るためには、実際には濃縮水濃度に対応する浸透圧より
も約20atm(この圧力を有効圧力と呼ぶ)程度高め
の圧力を逆浸透膜に加えることが必要である。従来、一
般的には海水淡水化は60から65atm程度の圧力を
かけて収率40%程度の条件で運転されている。
【0008】一方、高濃度溶液の分離・濃縮の場合など
では70atm以上の圧力で短期間、逆浸透膜装置が運
転されている例がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】海水淡水化の場合、得
られる透過水のコストは収率に左右され、収率を高くす
る方が好ましい。しかし、実際の運転では収率を上げる
ことは操作圧力を高くすることに相当する。従来の膜は
主に10〜30atmの中圧で使用されるものであり、
海水淡水化や高濃度溶液の分離・濃縮に用いられる膜で
も60〜70atmで使用されるものがほとんどであっ
た。これらの膜は、70atm程度までの耐圧性を有し
ており、これ以下の圧力で使用するには充分な膜性能を
発揮するが、これ以上の圧力で使用しようとすると充分
な膜性能を発揮できないものであった。
【0010】一般に膜に圧力をかけると膜は圧密化を起
こすが、圧力を除くともとの形態に戻る。しかし、限界
圧力以上の圧力を加えると非対称膜あるいは支持膜のボ
イドがつぶれたり、分離機能膜がさらに緻密化して膜形
態、膜性能が変化する。具体的には膜透過係数が小さく
なり、本来の膜透過係数から予測される透過水量よりも
小さくなってしまう。一方では、膜面の凹凸が強調され
るため分離機能膜が凹凸に添って引き伸ばされたり傷が
入りやすくなったりして溶質透過係数が大きくなり予想
される排除率よりも低下する。
【0011】本発明は、耐圧性が高く70atm以上の
圧力をかけても、膜の分離特性の変化が小さく、かつ7
0atm以上の圧力で運転した際の性能の経時変化が小
さい複合膜を用いた造水方法を提供することを目的とす
る。さらに、70atm以上での耐圧性が向上すれば、
従来の使用圧力である50〜70atmにおいても性能
安定性の向上が期待できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は基本的に下記の構成を有する。すなわち、
「細孔を有する第1の層と、この第1の層の細孔径より
も大きな細孔径を有する第2の層との2層構成を有する
支持膜上に分離機能層を設けてなる複合膜を用い、操作
圧力を50atm以上として水を処理することを特徴と
する造水方法。」である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、細孔径の判定は
断面の電子顕微鏡写真による。断面の電子顕微鏡は次の
手順で観察写真を解析して測定できる。まず、タフタや
不織布などの膜の裏うち材が存在する場合はこれらを剥
がした後、中空糸膜などの場合はそのまま、凍結割断法
で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに
白金または4酸化ルテニウム、好ましくは4酸化ルテニ
ウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で高
分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SE
M)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡
は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。
電子顕微鏡の倍率としては、1,000〜50,000
倍程度が好ましい。特に、細孔径と層の厚みを測定する
場合には5,000〜20,000倍が好ましい。得ら
れた電子顕微鏡写真から観察倍率を考慮して細孔径を直
接測ることができる。例えば、5,000倍の電子顕微
鏡写真で長さ10cmの断面に平行な直線を断面の任意
の位置に引き、その直線上でポリマーの部分とポリマー
のない部分即ち細孔部分を区別し、各々の細孔部分の長
さを測定することができる。この各々の細孔部分の長さ
が細孔径である。
【0014】また、主な細孔径が200nm以下とは、
膜面に平行な直線上で測定した細孔径が200nm以下
の細孔の数が10cmの直線上の全細孔の数の半分以上
であることをいい、数平均の細孔径が200nm以下で
あっても良い。更に、主な細孔径が200nm以下の第
1の層(以下、A層という)の厚みとは、上記直線上で
200nm以下の細孔の数が全細孔の半分になる境界の
直線あるいは数平均の細孔径が200nm以上になる境
界の直線と細孔径が小さい方の膜表面との距離をいう。
同様にして第2の層(以下、B層という)の厚みは該境
界の直線と細孔径が大きい方の膜表面との距離である。
【0015】A層の厚みは2μm以上であり、好ましく
は2〜100μm、更に好ましくは2〜50μmであ
る。A層の厚みが小さすぎると分離性能や耐圧性が十分
でなく大きすぎると透過性が小さくなりすぎる。また、
B層の厚みは8μm以上であり、好ましくは8〜400
μm、更に好ましくは8〜200μmである。A層とB
層の厚みの合計は、10μm〜数mmであり、膜強度の
面から10μm以上、扱い易さやモジュール加工のし易
さの面で400μm以下が好ましい。また、分離膜が高
圧で十分な耐圧性を有するためにはA層とB層の厚みの
合計に対するA層の厚みの割合Xは、20%以上である
ことが必要である。好ましくはXは30%以上であり、
更に好ましくは50%以上である。
【0016】なお、A層やB層の境界が不明瞭であった
り、複雑に入り組んでいたり、あるいは明確に層を形成
していない場合は、細孔径をカウントして、200nm
を境にして、以下のものをAグループ、以上のものをB
グループに分類して、A、BグループをそれぞれA、B
層に仮想的に再構成して、仮の層厚さや割合Xを算出す
ることにより判定すればよい。
【0017】本発明においては、前記のように細孔径で
規定しているが、逆にポリマー実質からも本発明を把握
することができる。即ち、微細孔層を有する膜は、その
ポリマー実質はポリマーの粒子状物あるいは円柱状物が
凝集あるいは融着した微細構造を有する。そして、直径
が1〜100nmの範囲内にあるポリマーの粒子状物あ
るいは円柱状物が凝集あるいは融着した微細構造の厚み
が全膜厚の20%以上であることが好ましい。
【0018】これら粒子状物あるいは円柱状物の平均径
は5〜80nm、好ましくは10〜70nm、さらに好
ましくは15〜50nmである。平均径が小さすぎると
分離膜の透過性が小さくなり好ましくない。また、平均
径が大きすぎると膜表面に凹凸ができやすくなり好まし
くない。
【0019】本発明における粒子状物または円柱状物が
凝集あるいは融着した微細孔層の厚みは、該微細孔層を
有する膜の全厚みの20%以上であり、好ましくは30
%以上、さらに好ましくは50%以上である。厚みの割
合が小さいと細孔径200nm以上の細孔を有する層の
相対膜厚が多くなり、また圧力をかけた時に膜全体の圧
密化が大きく、そのため分離膜の膜性能の変化が大きく
好ましくない。また、該粒子状物または円柱状物が凝集
あるいは融着した層の厚みの絶対値は該微細孔層を有す
る膜の全膜厚によって異なるが1〜50μm、好ましく
は5〜40μm、さらに好ましくは10〜40μmであ
る。厚みの絶対値が小さすぎると分離膜の耐圧性が充分
でなく、また厚みの絶対値が大きすぎると膜の透過速度
が小さくなりすぎて好ましくない。
【0020】微細孔層を有する膜とは、膜の少なくとも
一部に微細孔層を有する膜であり、これ以外にマクロボ
イド層、均一層、あるいは限外濾過機能や逆浸透分離機
能などを有する分離機能層等も含んでいても良い。微細
孔層を有する膜は、もちろん、それ自身、限外濾過や逆
浸透等の分離機能を有する、膜の各部分が同一の素材か
らなる非対称膜として用いることができる。しかし、特
に海水淡水化用途などで逆浸透法に用いるには、好まし
くは膜表面に異なる素材で実質的に分離性能を司る分離
機能膜を被覆した微細孔層を有する膜とすることが好ま
しい。即ち、本発明の微細孔層を有する膜を多孔性支持
膜とする複合膜である。この時、分離機能膜は緻密なA
層表面に形成されることが好ましい。A層の表面は平均
細孔径100nm以下の緻密層であることが好ましい。
特に、膜の各部分が同一素材からなる非対称膜の場合
は、該緻密層の平均細孔径は50nm以下であることが
好ましく、更に好ましくは10nm以下である。
【0021】以下、特に限定されるものではないが、微
細孔層を有する膜を微多孔性支持膜として用いた複合膜
に基づいて本発明を詳細に説明する。従って、以下、単
に「微多孔性支持膜」といった場合は、主に微細孔層を
有する膜を指すものとし、又、単に「分離膜」と言った
場合、微細孔層を有する膜あるいはそれを微多孔性支持
膜として用いた複合膜のことを指すものとする。
【0022】本発明において、微多孔性支持膜という場
合、実質的には逆浸透分離性能を有さない層を指し、複
合膜においては実質的に分離性能を有する分離機能膜に
強度を与えるために支持膜として用いられるものであ
る。
【0023】本発明の複合膜の微多孔性支持膜は、粒子
状物または円柱状物の直径が1〜100nmの範囲に含
んでいることが特徴である。さらに本発明の粒子状物ま
たは円柱状物が凝集あるいは融着した微細孔層の厚みが
微多孔性支持膜の全厚みの20%以上であることが特徴
である。
【0024】本発明を図面に基づいて説明する。図1
は、微細孔層を有する膜を支持膜として用いて作成した
複合膜の断面の模式図である。分離膜即ち微細孔層を有
する膜またはそれを支持膜として用いて作成した複合膜
は、A層(4)が、図2に示される従来膜よりも厚いこ
とが特徴である。なお、これらの図は理解を助けるため
に模式的に描いた図ものであるので、何等これに限定さ
れるものではなく、実際の分離膜では、例えば、分離機
能層(1)や微多孔性支持膜(2)あるいはそれらの境
界が、明瞭でない場合や分離機能層の素材成分が微多孔
性支持膜にもっと複雑に侵入していることもあり得る
し、あるいは、A層(4)や200nm以上のボイド
(5)の層(B層)との区別や境界が判別しがたい場合
もあり得る。
【0025】本発明の微多孔性支持膜の全厚みは1μm
〜数mmであり、膜強度の面から10μm以上、扱いや
すさやモジュール加工のしやすさの面で100μm以下
が好ましい。
【0026】また、本発明において細孔径とは中に存在
する空孔(ボイド)およびポリマーの粒子状物あるいは
円柱状物の隙間のことである。本発明における該細孔径
200nm以上の細孔が存在する層の厚みは全膜厚の8
0%以下であることが好ましい。より好ましくは70%
以下、さらに好ましくは50%以下であり、80%より
も厚みの割合が大きいと空孔率が大きすぎて分離膜の耐
圧性が低くなる。
【0027】また、本発明の分離膜は、細孔径100n
m以下の細孔の細孔体積空孔率が25%以上でであるこ
とが好ましい。より好ましくは35%以上、さらに好ま
しくは50%以上である。細孔径100nm以下の細孔
の細孔体積空孔率が25%よりも小さいと圧力をかけた
時の分離膜全体の圧密化が大きく膜性能の変化が大き
い。
【0028】ここで細孔体積空孔率は、DSC(示差走
査熱量)測定あるいはガス吸着測定と分離膜の含水量測
定の結果から求めることができる。
【0029】DSC測定では細孔径の大きさによって細
孔内の水の凝固点が変化することを利用してDSC曲線
から細孔の径と細孔内に存在する水の重量を測定するこ
とができる。細孔内の水の比重を考慮すると、ここから
細孔分布曲線を得ることができる。細孔分布曲線は細孔
径とそれに対応する細孔のトータルの体積を示したもの
であり、この曲線の細孔径100nm以下の部分を積分
することによって100nm以下の孔径の細孔の全体積
を計算することができる。DSC法の測定は、次の通り
にして行なえる。まず、水中に保存してある膜サンプル
をを取り出し、軽く付着水を除いた後、少量のサンプル
を密閉パンに詰めて、秤量する。これを示差走査熱量計
(Perkin−Elmer社製DSC−2)に装填す
る。試料は、一旦冷却してから、再昇温して−0.3℃
で保持し、ここから0.5℃/分以下の降温速度で冷却
過程の測定をおこなう。このようにしてDSC測定を行
なうと、細孔半径に対応した温度にピークを持つ凍結曲
線が得られる。細孔水の融点降下度あるいは凝固点降下
度ΔTは、細孔半径rと次の関係が成立する。
【0030】r=α/ΔT+t ここでαは水/氷の界面張力に関係する比例定数であ
り、tは不凍水の厚みである。不凍水とは膜のポリマー
表面に吸着して凍らない水のことである。tを1nmと
仮定してDSC曲線の横軸を細孔半径に、縦軸の熱流束
dq/dtを比重を考慮して細孔体積変化率dV/dr
に変換することによってDSC曲線から細孔径分布曲線
を算出できる。この曲線について細孔径100nm以下
の部分を積分すると細孔径100nm以下の細孔の全細
孔体積を求めることができる。
【0031】一方、ガス吸着法では、凍結乾燥したサン
プルの一定量を測定セル内に入れ、窒素ガスを用いてD
H法(Dollimore and Heal法)で細
孔分布曲線を求めることができる。ただし、サンプルに
よっては凍結乾燥時に形態が変化し、細孔径などが変わ
るので用いるサンプル、処理方法に注意が必要である。
【0032】このようにして求めた絶乾サンプル単位重
量当たりの細孔体積を絶乾サンプルの単位重量当たりの
空孔体積で割って細孔体積空孔率を求めることができ
る。
【0033】さらに、分離膜の含水量は、水に浸漬した
サンプルに付着した水分を注意深く拭き取ったたのち、
秤量し、サンプルの絶乾重量との差を水分量とし、単位
絶乾重量にたいする水分の量で計算する。さらに、水の
比重を考慮してサンプルの単位重量当たりの空孔体積を
求めることができる。
【0034】本発明の微細孔層を有する膜は非対称膜で
あることが好ましい。また、本発明におけるA層又はB
層はそれぞれ均一な細孔径の微細孔を有する構造であっ
ても良いが、非対称構造であることが好ましい。非対称
構造とは片面にち密で微細な孔を持ち、もう一方の面ま
で徐々に大きな微細な孔を持つ構造である。更にA層と
B層は連続的に細孔径が変化しており、A層及びBが一
体となった非対称構造の膜が好ましい。
【0035】一方、本発明において透過速度係数(aで
表わす)とは単位時間、単位膜面積に単位有効圧力で膜
を透過する溶液の重量を表わしたもので、次の式で計算
できる。
【0036】 a(g・cm-2・sec-1・atm-1) =F/(P−π1+π2)×115.7×10-5 (1) ここでFとは膜1m2あたり1日に透過する量をm3単位
で示したものであり、透過流束、造水量と呼ぶ。Pはa
tmで表わした操作圧力である。また、π1は供給液の
浸透圧であり、π2は透過液の浸透圧である。aが大き
いほど透過しやすい膜である。
【0037】さらに膜の溶質透過係数(bで表わす)は
単位膜面積、単位時間あたりに膜両面の単位濃度差で透
過する溶質の量を表わしたもので、次式によって計算で
きる。
【0038】 b(cm・sec-1) =(1−R)×a×(P−π1+π2)/R (2) ここでRは膜の溶質排除率であり、供給液の濃度と透過
液の濃度の差を供給液濃度で割った値(%)である。こ
のbが小さいほど排除率が高い膜である。
【0039】これらのaおよびbは膜に固有の値であ
り、操作圧力、供給液の濃度によらないものである。し
かしながら、実際には従来の膜では60atmを越える
圧力で膜を使用すると圧力により膜が変形して60at
m以下で測定して得られたa,bの値と異なってしま
う。その変化を比率で表わすと、例えば56atmでの
測定に比べて90atmの測定ではaの値は40%近く
小さくなってしまう。また、bの値は30%を越えて大
きくなる。しかしながら、これらの変化率は0に近い方
が好ましく、本発明における複合膜はこのAの値の変化
率は30%以下であり、さらに耐圧性の高い膜では20
%以下である。さらに、本発明における複合膜はbの値
の変化率も30%以下であり、さらに耐圧性の高い膜で
は20%以下の変化率である。
【0040】微多孔性支持膜の素材にはポリスルホン、
ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビ
ニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニ
レンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポ
リフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポ
リマーを単独であるいはブレンドして使用することがで
きる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロ
ース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリア
クリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホ
ン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸
セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、
ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド
スルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好まし
い。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポ
リフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレ
ンスルホンが挙げられ、さらに、これらの素材の中では
化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であ
ることからポリスルホンが一般的に使用できる。また、
微多孔性支持膜は、布、不織布、紙などで裏うちされて
いてもよい。なお、支持機能と逆浸透分離などの分離機
能を合わせ持つ膜として用いる場合には、膜素材として
は、ポリアミド、酢酸セルロース等が特に好適である。
【0041】本発明において、微多孔性支持膜という場
合、実質的には逆浸透分離性能を有さない層を指し、複
合膜においては実質的に分離性能を有する分離機能膜に
強度を与えるために支持膜として用いられるものであ
る。
【0042】非対称膜あるいは微多孔性支持膜は例え
ば、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサ
ーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポ
ート”No.359(1968)に記載された方法に従っ
て製造することができる。具体的には、ポリスルホンの
ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリ
エステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、
一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、水などの凝
固液中で凝固させることによって得ることができるが本
発明の微多孔性支持膜はこれらの作製方法で限定される
ものではない。
【0043】この微多孔性支持膜に分離機能膜を被覆し
て、複合膜を製造する。本発明において、分離機能膜と
は分離膜において実質的に分離機能を有するごく薄い層
のことで、分離機能層、活性層、超薄膜、超薄膜層と呼
ぶこともある。分離機能膜の素材としては架橋あるいは
線状の有機物のポリマーを使用することができる。分離
膜が高い分離性能を発現するためには、ポリマーはポリ
アミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、
セルロースエステル、ポリイミド、ポリアミック酸、ビ
ニルポリマーが好ましく、さらに好ましくはポリアミ
ド、特に芳香族ポリアミドが好ましい。また、さらに分
離膜全体の耐圧性を高くし、70atm以上の圧力でも
高い排除率をさらに維持するためには、これらのポリマ
ーが架橋ポリマーであることが好ましい。特に、架橋芳
香族ポリアミドおよびその共重合体が好ましい。
【0044】本発明の複合膜における分離機能膜の厚み
は1〜1,000nmであり、好ましくは5〜800n
m、さらに好ましくは10〜500nmである。分離機
能膜の厚みが小さすぎると製膜時の欠点の発生が多くな
ったり取り扱い時に傷つきやすくなったりし、圧力をか
けた際にも欠点が発生したりして排除率の低下を招く。
また分離機能膜の厚みが大きすぎると透過速度係数が極
端に低下して充分な透過量が得られない。
【0045】本発明における分離機能膜の被覆はポリマ
ーをコーティングする方法、コーティングしたポリマー
をさらに架橋する方法、モノマーを微多孔性支持膜の膜
面で重合する方法、あるいは微多孔性支持膜の膜面で界
面重縮合する方法で行なうことができる。特に界面反応
法は薄く均一な分離機能膜が得られ、好ましい。
【0046】分離膜の形態は平膜でも、中空糸でも構わ
ない。平膜の場合、分離膜は、布、不織布、紙などで裏
打ちされていても良い。また、得られた分離膜は平膜
は、スパイラル、チューブラー、プレート・アンド・フ
レームのモジュールに組み込んで、また中空糸は束ねた
上でモジュールに組み込んで使用することができるが、
本発明はこれらの膜の使用形態に左右されるものではな
い。
【0047】本発明における複合膜は10atm程度の
操作圧力でも使用することができるが50atm以上、
好ましくは70atm以上、さらに好ましくは90at
m以上の圧力で使用する場合には耐圧性の効果が発揮で
き、かつ高い透過速度を得ることができる。高圧ポンプ
の能力、配管材料、膜エレメントあるいはモジュールの
部材の耐圧性を考慮すると、使用圧力としては60〜2
00atm、好ましくは70〜150atmである。
【0048】本発明における高濃度溶液とは溶質濃度が
重量%で0.1%以上の溶液であり、前述の通り逆浸透
法では浸透圧以上の圧力で分離を行なう必要があるた
め、浸透圧の高い0.5重量%以上の濃度の溶液、好ま
しくは3%以上、さらに好ましくは5%以上の濃度の溶
液の分離に効果がある。また、淡水の収率としては、1
0%以下の収率でも本発明における膜は安定運転が可能
で、耐久性が向上する効果があるが、好ましくは10%
以上、さらに好ましくは20%以上の収率で運転する場
合に効果が大きい。分離する溶液の種類としては水溶液
が好ましく、特に高濃度かん水、海水、濃縮海水の淡水
化に効果が大きい。
【0049】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定
されるものではない。
【0050】なお、以下の実施例において分離膜の排除
率(R)は次式3で計算されるものであり、分離膜の透
過速度(F)は次式4で計算されるものである。
【0051】 R(%) ={(供給液の濃度−透過液の濃度)/供給液の濃度}×100 (3) F(m3/m2・日)=(一日の透過液量)/(膜面積) (4) 実施例1 タテ30cm、ヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維か
らなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸とも150デニ−ルのマ
ルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨコ
67本/インチ、厚さ160μ)をガラス板上に固定
し、その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel P
−3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DM
F)溶液を200μの厚みで室温(20℃)でキャスト
し、しばらく空気中で放置した後、純水中に浸漬して5
分間放置することによってポリスルホン微多孔性支持膜
を作製した。
【0052】得られた微多孔性支持膜は、電子顕微鏡観
察の結果、A層には粒子径5〜50nmの粒子が凝集し
た厚さ17μmの層が膜表面側に存在した。全膜厚(A
層+B層)55μmに対してA層の割合Xは37%と見
積られた。また、細孔径が200nmよりも大きい細孔
の存在する層の厚みは28μmであり各部分での全膜厚
に対して51%であった。さらにDSC法で求めた細孔
体積空孔率は37%であった。
【0053】得られた微多孔性支持膜を1,3,5−ト
リアミノベンゼンの3重量%水溶液に1分間浸漬した。
微多孔性支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた
後、イソフタル酸クロライドの0.1重量%n−デカン
溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティングして1分
間静置した。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液切り
して除去した後、水洗した。このようにして得られた分
離膜を3.5%の塩化ナトリウム水溶液を用いてpH
6.5、25℃、56atmの条件下で逆浸透評価を行
なった結果、排除率99.5%、造水量0.6m3 /m
2 ・日の性能が得られた。この時の透過速度係数aは
2.2×10-5、溶質透過係数bは4.9×10-6であ
った。同じ複合膜を用いて3.5%塩化ナトリウム水溶
液pH6.5、25℃、90atmで逆浸透評価を行な
った結果、排除率99.6%、透過水量1.19m3
m 2 ・日であった。この時の透過速度係数aは2.1×
10-5、溶質透過係数bは5.0×10-6であり、90
atmにした時の56atmに対するaおよびbの値の
比率はそれぞれ0.95、1.02であった。
【0054】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが55μmであったが、逆浸透評価後、厚さが34
μmとなり、38%の減少であった。
【0055】比較例1 タテ30cm、ヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維か
らなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸友150デニ−ルのマル
チフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨコ6
7本/インチ、厚さ160μ)をガラス板上に固定し、
その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel P−3
500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)
溶液を200μの厚みで室温 (20℃)でキャスト
し、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによ
ってポリスルホン微多孔性支持膜を作製した。このよう
にして得られた微多孔性支持膜は、電子顕微鏡観察の結
果、A層には、粒子径5〜20nmの粒子が凝集した厚
さ10μmの層が膜表面側に存在し、全膜厚65μmに
対してA層は15%と見積られた。また、細孔径が20
0nmよりも大きい細孔の存在する層の厚みは55μm
であり各部分での全膜厚に対して84〜90%と見積も
られた。さらにDSC法で求めた細孔体積空孔率は17
%であった。
【0056】得られた微多孔性支持膜を用いて実施例1
と同じようにして分離膜を作製した。このようにして得
られた分離膜を3.5%の塩化ナトリウム水溶液を用い
てpH6.5、25℃、56atmの条件下で逆浸透評
価を行なった結果、排除率99.3%、造水量0.65
3 /m 2 ・日の性能が得られた。この時の透過速度係
数aは2.4×10-5、溶質透過係数bは5.3×10
-6であった。同じ分離膜を用いて3.5%塩化ナトリウ
ム水溶液pH6.5、25℃、90atmで逆浸透評価
を行なった結果、排除率99.3%、透過水量0.88
3 /m 2 ・日であった。この時の透過速度係数aは
1.56×10-5、溶質透過係数bは7.69×10-6
であり、90atmにした時の56atmに対するaお
よびbの値の比率はそれぞれ0.65、1.45であっ
た。
【0057】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが65μmであったが、逆浸透評価後、厚さが36
μmとなり、45%の減少であった。
【0058】実施例2 実施例1と同様にして微多孔性支持膜を得た。得られた
微多孔性支持膜をm−フェニレンジアミンと1,3,5
−トリアミノベンゼンの2重量%水溶液に1分間浸漬し
た。微多孔性支持膜表面から余分な該水溶液を取り除い
た後、トリメシン酸クロライドとイソフタル酸クロライ
ドの0.1重量%n−デカン溶液を表面が完全に濡れる
ようにコ−ティングして1分間静置した。次に膜を垂直
にして余分な該溶液を液切りして除去した後、水洗し
た。このようにして得られた分離膜を3.5%の塩化ナ
トリウム水溶液を用いてpH6.5、25℃、56at
mの条件下で逆浸透評価を行なった結果、排除率99.
6%、造水量0.65m3 /m 2 ・日の性能が得られ
た。この時の透過速度係数aは2.39×10-5、溶質
透過係数bは3.02×10-6であった。同じ分離膜を
用いて3.5%塩化ナトリウム水溶液pH6.5、25
℃、90atmで逆浸透評価を行なった結果、排除率9
9.7%、透過水量1.12m3 /m 2 ・日であった。
この時の透過速度係数aは1.98×10-5、溶質透過
係数bは3.41×10-6であり、90atmにした時
の56atmに対するaおよびbの値の比率はそれぞれ
0.83、1.19であった。
【0059】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが55μmであったが、逆浸透評価後、厚さが29
μmとなり、38%の減少であった。
【0060】比較例2 比較例1と同様にして微多孔性支持膜を得た。得られた
微多孔性支持膜を使用して実施例2と同様の方法で分離
膜を作製した。作製した分離膜を実施例2と同様の方法
で逆浸透評価したところ、56atmにおける性能は排
除率99.4%、透過水量0.63m3 /m2 ・日であ
った。このときの透過速度係数aは2.3×10-5、溶
質透過係数bは4.4×10-6であった。同じ分離膜を
用いて3.5%塩化ナトリウム水溶液,pH6.5、2
5℃、90atmで逆浸透評価を行なった結果、排除率
99.3%、透過水量0.79m3 /m2 ・日であっ
た。この時の透過速度係数aは1.4×10-5、溶質透
過係数bは6.25×10-6であり、90atmにした
時の56atmに対するaおよびbの値の比率はそれぞ
れ0.62、1.42であった。
【0061】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが65μmであったが、逆浸透評価後、厚さが36
μmとなり、45%の減少であった。
【0062】実施例3 実施例1で使用したポリスルホンの15%DMF溶液の
代りにポリフェニレンスルフィドスルホンの18%ジメ
チルイミダゾリジノン(DMI)溶液を用いた以外は実
施例と同様にして微多孔性支持膜を得た。得られた微多
孔性支持膜は、電子顕微鏡観察の結果、A層には、粒子
径5〜60nmの粒子が凝集した厚さ20μmの層が膜
表面側に存在し、全膜厚50μmに対してA層は40%
と見積られた。また、細孔径が200nmよりも大きい
細孔の存在する層の厚みは30μmであり各部分での全
膜厚に対して60%であった。さらにDSC法で求めた
細孔体積空孔率は52%であった。
【0063】得られた微多孔性支持膜を用いて実施例1
と同様の方法で分離膜を作製した。このようにして得ら
れた分離膜を3.5%の塩化ナトリウム水溶液を用いて
pH6.5、25℃、56atmの条件下で逆浸透評価
を行なった結果、排除率99.3%、造水量0.56m
3 /m 2 ・日の性能が得られた。この時の透過速度係数
aは2.06×10-5、溶質透過係数bは4.57×1
-6であった。同じ分離膜を用いて3.5%塩化ナトリ
ウム水溶液pH6.5、25℃、90atmで逆浸透評
価を行なった結果、排除率99.6%、透過水量1.1
3m3 /m 2 ・日であった。この時の透過速度係数aは
2.0×10-5、溶質透過係数bは5.2×10-6であ
り、90atmにした時の56atmに対するaおよび
bの値の比率はそれぞれ0.97、1.14であった。
【0064】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが50μmであったが、逆浸透評価後、厚さが33
μmとなり、34%の減少であった。
【0065】比較例3 ポリマー溶液をキャストした後、直ちに凝固した以外は
実施例3と同様にして微多孔性支持膜を作製した。得ら
れた微多孔性支持膜は、電子顕微鏡観察の結果、A層に
は、粒子径5〜25nmの粒子が凝集した厚さ5μmの
層が膜表面側に存在し、全膜厚45μmに対してA層は
11%と見積られた。また、細孔径が200nmよりも
大きい細孔の存在する層の厚みは40μmであり各部分
での全膜厚に対して89%と見積られた。さらにDSC
法で求めた細孔体積空孔率は18%であった。
【0066】得られた微多孔性支持膜を用いて実施例2
と同様の方法で分離膜を作製した。このようにして得ら
れた分離膜を実施例2と同様の方法で逆浸透評価したと
ころ、56atmにおける性能は排除率99.4%、造
水量0.63m3 /m 2 ・日の性能が得られた。この時
の透過速度係数aは2.3×10-5、溶質透過係数bは
4.4×10-6であった。同じ分離膜を用いて3.5%
塩化ナトリウム水溶液pH6.5、25℃、90atm
で逆浸透評価を行なった結果、排除率99.3%、透過
水量0.79m3 /m 2 ・日であった。この時の透過速
度係数aは1.4×10-5、溶質透過係数bは6.25
×10-6であり、90atmと56atmでのaおよび
bの値の比率はそれぞれ0.62、1.42であった。
【0067】又、該ポリスルホン膜は、逆浸透評価前、
厚さが45μmであったが、逆浸透評価後、厚さが24
μmとなり、47%の減少であった。
【0068】A層はつぶれ難くB層はつぶれやすいの
で、従来膜と本発明の膜とでは200nm以上のボイド
のつぶれ方は同じだがA層とB層の割合が違うので全膜
厚の変化や空孔率の変化が相違した。
【0069】上記の複合膜は分離性能の検証により十分
な排除率、透水量を保持し耐久性が高く長時間安定して
使用できることが明らかとなった。また、厚さの減少率
より、強固な耐圧性を有することも明らかとなった。
【0070】
【発明の効果】本発明の造水方法によって、特に60a
tmを越える圧力で逆浸透分離を行なうに際して高い分
離性能で、高濃度溶液の分離を行なうことができる。さ
らに海水の淡水化においては海水及び高濃度海水を高い
収率で、また低いエネルギー、少ないコストで淡水化す
ることができ、得られる水は水質が良く、かつ水量も多
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の分離膜のマシン方向に平行の断面形態の
模式図である。
【図2】本発明の分離膜のマシン方向に平行の断面形態
の模式図である。
【符号の説明】
1:分離機能膜 2:微多孔性支持膜 3:微細孔 4:A層 5:200nm以上のボイド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔を有する第1の層と、この第1の層
    の細孔径よりも大きな細孔径を有する第2の層との2層
    構成を有する支持膜上に分離機能層を設けてなる複合膜
    を用い、操作圧力を50atm以上として水を処理する
    ことを特徴とする造水方法。
  2. 【請求項2】 第1の層の主な細孔径が200nm以下
    の複合膜を用いる、請求項1に記載の造水方法。
  3. 【請求項3】 分離機能層が第1の層上に設けられてい
    る複合膜を用いる、請求項1または2に記載の造水方
    法。
  4. 【請求項4】 支持膜の厚みに対する第1の層の厚みの
    割合が20%以上である複合膜を用いる、請求項1〜3
    のいずれかに記載の造水方法。
  5. 【請求項5】 分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含
    んでいる複合膜を用いる、請求項1〜4のいずれかに記
    載の造水方法。
  6. 【請求項6】 海水を処理する、請求項1〜5のいずれ
    かに記載の造水方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009233666A (ja) * 2001-12-10 2009-10-15 Toray Ind Inc 分離膜
JP4502070B2 (ja) * 2001-12-10 2010-07-14 東レ株式会社 分離膜

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