JP2000068610A - 半導体レ―ザ装置及びそれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

半導体レ―ザ装置及びそれを用いた光ディスク装置

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JP2000068610A
JP2000068610A JP11123225A JP12322599A JP2000068610A JP 2000068610 A JP2000068610 A JP 2000068610A JP 11123225 A JP11123225 A JP 11123225A JP 12322599 A JP12322599 A JP 12322599A JP 2000068610 A JP2000068610 A JP 2000068610A
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Hideto Adachi
秀人 足立
Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Satoshi Kamiyama
智 上山
Takeshi Uenoyama
雄 上野山
Masaya Mannou
正也 萬濃
Toshiya Fukuhisa
敏哉 福久
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に半導体レーザを構成する可飽和吸収層や
スペーサ層のドーピングの程度や厚さを適切に設定する
ことによって、安定な自励発振特性を有する高信頼性の
半導体レーザを提供する。 【解決手段】 本発明の半導体レーザ装置は、n型Ga
Asからなる基板201と、活性層204と、活性層2
04を挟む一対のクラッド層と、を含む。装置は、更
に、活性層204に隣接したスペーサ層205と、高ド
ープ可飽和吸収層206と、を含む。可飽和吸収層20
6に高ドープすることにより、キャリア寿命が短縮され
て、安定した自励発振が得られる。その結果、広い温度
範囲に渡って低い相対雑音強度を有する半導体レーザ装
置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクシステ
ムの光源などとして用いられる低雑音自励発振型半導体
レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信、レーザプリンタ、光ディ
スクなどの分野で、半導体レーザ装置(レーザダイオー
ド)の需要が高まっている。この状況下で、GaAs系
及びInP系半導体レーザ装置を特に中心として、種々
の半導体レーザ装置の研究開発が活発に進められてき
た。光情報処理分野においては、780nm帯のAlG
aAs系レーザダイオードを光源として用いて情報の記
録・再生を行うシステムが実用化されている。そのよう
なシステムは、コンパクトディスクの記録・再生システ
ムとして広く普及した。
【0003】しかし、最近、これらの光ディスクの記憶
容量の増加が強く求められている。これに伴い、より短
波長のレーザ光を放射できる半導体レーザ装置を得るこ
とが強く求められてきている。
【0004】AlGaInP系半導体レーザ装置は、赤
色領域の630〜690nmの波長でのレーザ発振を実
現できる。本願明細書において、(AlxGa1-x0.5
In0 .5P(0≦x<1)が、単純に「AlGaIn
P」と省略されている。この半導体レーザ装置は、現
在、実用レベルにある種々の半導体レーザ装置の中で最
も短い波長のレーザ光を放射することができるので、従
来から広く使用されていたAlGaAs系半導体レーザ
装置に代わって、光情報記録用の次世代の大容量光源と
して、非常に有望である。
【0005】半導体レーザ装置の評価にとっては、レー
ザ光の波長に加えて、強度雑音や温度特性が重要な要素
である。特に、半導体レーザ装置が光ディスクの再生用
光源として使用される場合、強度雑音の少ないことが極
めて重要である。これは、強度雑音が、光ディスクに記
録されている信号が読取られる際にエラーを誘発するか
らである。半導体レーザ装置の強度雑音は、素子の温度
変化によって引き起こされるだけではなく、光ディスク
の表面から半導体レーザ素子に部分的に反射された光に
よっても生じる。従って、反射光が装置へ帰還されても
強度雑音が少ない半導体レーザ装置が、光ディスクの再
生用光源には不可欠となる。
【0006】従来、光ディスクの再生専用低出力光源と
してAlGaAs系半導体レーザ装置を用いる場合、雑
音を低減するために素子内のリッジストライプの両側に
意図的に可飽和吸収体が形成される。このような構造の
使用は、レーザ発振の縦モードをマルチ化する。レーザ
発振が単一縦モードで実現しているときにレーザ光の装
置への帰還や装置温度の変化等が生じると、利得ピーク
の微少な変化が、レーザ発振が既に実現している縦モー
ドに近接する他の縦モードでのレーザ発振を開始させ
る。これが、新しい縦モードとオリジナルの縦モードと
の間のモード競合を起こし、雑音を生じさせる。従っ
て、マルチ縦モードの場合、各モードの強度変化が平均
化され、レーザ光の装置への帰還や装置温度の変化など
によって各モードの強度が変化しない。これによって、
安定な低雑音特性を得ることができる。
【0007】特開昭63−202083号公報は、安定
な自励発振特性を得ることのできる半導体レーザ装置を
開示している。この公報では、活性層で生成された光を
吸収することのできる層を設けることによって、自励発
振型半導体レーザを実現している。
【0008】また、特開平6−260716号公報は、
活性層のバンドギャップと吸収層のバンドギャップとを
ほぼ等しくすることによって赤色半導体レーザ装置の特
性を改善したと開示している。図1は、特開平6−26
0716号公報に開示されている従来の自励発振型半導
体レーザ装置の模式断面図である。以下、図1を参照し
ながら、この半導体レーザ装置を説明する。
【0009】図1において、n型GaAsからなる基板
1601の上に、n型GaInPからなるバッファ層1
602、n型AlGaInPからなるクラッド層160
3a、歪量子井戸可飽和吸収層1605a、n型AlG
aInPからなるクラッド層1603b、GaInPか
らなる歪量子井戸活性層1604、n型AlGaInP
からなるクラッド層1603c、及び歪量子井戸可飽和
吸収層1605bが、順次形成されている。歪量子井戸
可飽和吸収層1605bの上には、クラッド層1606
とp型GaInPからなるコンタクト層1607とが、
それぞれリッジ状に形成されている。クラッド層160
6及びコンタクト層1607の両側は、n型GaAs層
からなる電流ブロック層1608によって埋め込まれて
いる。さらに、コンタクト層1607及びブロック層1
608の上には、p型GaAsからなるキャップ層16
09が形成されている。キャップ層1609の上にはp
型電極1610が形成され、基板1601の裏面にはn
電極1611が形成されている。
【0010】図2は、歪量子井戸可飽和吸収層1605
a及び1605bのエネルギーバンドを示している。歪
量子井戸可飽和吸収層1605a及び1605bでは、
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるバリア層17
01とGaxIn1-xP(膜厚:100Å、歪:+0.5
〜1.0%)からなる井戸層1702とが、交互に積層
されている。本従来例では、3層の井戸層1702が積
層されている。ここで、歪量子井戸活性層1604のバ
ンドギャップと歪量子井戸可飽和吸収層1605a及び
1605bのバンドギャップがほぼ等しくなっている。
この従来例では、この構成の使用によって、満足な自励
発振特性を得ようとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】AlGaAs系半導体
装置に比べて、AlGaInP系半導体装置は、自励発
振を実現し難い。これは、両者間の利得特性の大きな相
違に起因する。図3は、それぞれAlGaAs系半導体
装置及びAlGaInP系半導体装置の活性層に主に用
いられる材料であるGaInP及びGaAsについて、
利得のキャリア密度依存性を示している。
【0012】自励発振を達成するためには、キャリア密
度に対する利得の増加率(すなわち、利得曲線の傾き)
が大きいことが要求される。ところが、GaInPの利
得曲線の傾きはGaAsの利得曲線の傾きよりも小さい
ため、GaInPでは、自励発振を達成することが比較
的に難しいことが判明した。
【0013】さらに、本願発明者らの実験結果より、以
下のことが見い出された。赤色半導体レーザ装置(Al
GaInP系半導体レーザ)の場合、利得特性により、
従来例のように活性層のバンドギャップと可飽和吸収層
のバンドギャップとを単に等しくすることでは、安定し
た自励発振を得ることが困難である。
【0014】本発明は、上記の点を考慮して達成された
ものであり、その目的は、特に半導体レーザを構成する
可飽和吸収層やスペーサ層のドーピングの程度や厚さを
適切に設定することによって、安定な自励発振特性を有
する高信頼性の半導体レーザを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のある局面によれ
ば、活性層と、該活性層を挟むクラッド構造と、を備え
た自励発振型半導体レーザ装置が提供され、該クラッド
構造は可飽和吸収層を含んでおり、該可飽和吸収層は、
その光閉じ込め係数が約1%以上になるように、該活性
層から離れた位置に配置されている。
【0016】前記可飽和吸収層は、その光閉じ込め係数
が約1.5%以上になるように、前記活性層から離れた
位置に配置されていてもよい。
【0017】前記可飽和吸収層は量子井戸構造を有して
いてもよい。
【0018】前記活性層と前記可飽和吸収層との間に
は、該活性層のバンドギャップよりも大きいバンドギャ
ップを持つスペーサ層が配置されていてもよい。
【0019】前記可飽和吸収層に隣接して光ガイド層が
配置されていてもよい。
【0020】好ましくは、前記可飽和吸収層のキャリア
寿命が6ナノ秒以下である。
【0021】本発明の他の局面によれば、半導体レーザ
装置と、該半導体レーザ装置から放射されたレーザ光を
記録媒体に集光する集光光学系と、該記録媒体から反射
されたレーザ光を検出する光検出器と、を備えた光ディ
スク装置が提供され、該半導体レーザ装置は、活性層
と、該活性層を挟むクラッド構造と、を備えた自励発振
型半導体レーザ装置であって、該クラッド構造は可飽和
吸収層を含んでおり、該可飽和吸収層は、その光閉じ込
め係数が約1%以上になるように、該活性層から離れた
位置に配置されている。
【0022】前記可飽和吸収層は、その光閉じ込め係数
が約1.5%以上になるように、前記活性層から離れた
位置に配置されていてもよい。
【0023】前記過飽和吸収層は量子井戸構造を有して
いてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の半導体レーザ装置では、
可飽和吸収層のドーピングレベルを調節することによっ
て、可飽和吸収層におけるキャリアの寿命時間が6ナノ
秒以下に低減されている。その結果、キャリア密度の時
間変化率に対する自然放出の寄与が増大し、それによっ
て、自励発振を容易に生じることができ、相対雑音を下
げることができる。
【0025】従来の半導体レーザ装置では、活性層近傍
のドーピングレベルが1×1018cm-3以下であり、可
飽和吸収層のキャリア寿命が長く、自励発振が困難であ
る。本願発明者らの研究によると、この理由は以下のよ
うである。キャリア寿命が大きい場合には、キャリア密
度の時間変化率に対する自然放出光の寄与が小さくな
り、キャリア密度が振動し難くなる。以下に、この点を
さらに詳細に説明する。
【0026】可飽和吸収層を備えた半導体レーザ装置に
おけるレート方程式は、以下のように表現される。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】ここで、Sは総光子数、nは電子密度、Γ
は光閉じ込め係数、pは正孔密度、βspは自然放出光係
数、Vは体積、τはキャリア寿命時間、gは利得、及
び、Iは注入電流密度を表している。また、添字1及び
2は、それぞれ、活性層及び可飽和吸収層に対応してい
る。
【0031】活性層に電流が注入される前は、各式
(1)から(3)の各項はゼロである。活性層に電流が
注入され始めると、式の電流に関する項が大きくなり、
dn1/dtは正となる。これは、活性層における電子密度n
1が増加することを意味している。
【0032】電子密度n1の増加は、自然放出による光
子数の増加と利得による光子数の増加とを招く。そのた
め、dS/dtが増加して、総光子数Sの増加を招く。総光
子数Sの増加は、式(2)の第1項の絶対値を大きくし
て、dn1/dtは減少し、電子密度n1は低下する。
【0033】式(3)の第1項における利得g2は、最
初、負の値を持っている。そのため、式(3)の右辺は
正となり、可飽和吸収層における電子密度n2は増加す
る。可飽和吸収層がある量の光を吸収すると、利得g2
は正になる。利得g2が正になると、dn2/dtが減少し始
めて、負になる。
【0034】自励発振を実現するためには、総光子数S
と電子密度n1及びn2とを大きく振動させる必要があ
る。このような振動を引き起こすためには、光閉じ込め
係数Γが大きくされ得るか、或いは、各層の体積V1
びV2が小さくされ得る。しかし、本発明者らの実験に
よれば、光閉じ込め係数Γが大きくされるか、或いは各
層の体積V1及びV2が小さくされても、自励発振は達成
されなかった。
【0035】本発明者らは、通常は定数として扱われる
可飽和吸収層における電子の寿命時間τ2に着目した。
本発明者らは、種々の解析や実験を通じて、可飽和吸収
層における電子の寿命時間τ2が適切な値(6ナノ秒以
下)を持てば自励発振が達成されることを見いだした。
また、本発明者らは、可飽和吸収層のドーピングレベル
を適切な値(すなわち、1×1018cm-3以上)に設定
することによって、可飽和吸収層における電子の寿命時
間τ2を上記の適切な値に設定できることも見いだし
た。
【0036】図4は、p型不純物がドープされた可飽和
吸収層のドーピングレベルに対するキャリアの寿命時間
τ2の変化を示すグラフである。このグラフより、ドー
ピングレベルに依存してキャリアの寿命時間τ2が大き
く変化することがわかる。このグラフ中の曲線の形状
は、p型不純物の種類には依存しない。
【0037】前述したように、活性層の近傍における不
純物ドーピングレベルは、1×10 18cm-3未満になる
ように低い値に設定されている。この理由は、活性層へ
の不純物拡散によるレーザ装置の信頼性の低下を防ぐた
めである。しかし、1×10 18cm-3未満の不純物ドー
ピングレベルでは寿命時間τ2が長すぎるため、自励発
振は達成され得ない。
【0038】前述のように、本発明者らの実験によれ
ば、キャリアの寿命時間τ2は約6ナノ秒以下であるこ
とが望ましいことがわかった。図4のグラフにおいて、
寿命時間τ2が6ナノ秒以下の領域に、斜線が施されて
いる。図4から明らかなように、寿命時間τ2は、低ド
ーピングレベルで長くなる。1×1018cm-3未満のド
ーピングレベルでは、寿命時間τ2は6ナノ秒を越え
る。これに対して、ドーピングレベルを1×1018cm
-3以上、例えば約2×1018cm-3に高くすることによ
って、寿命時間τ2を約3ナノ秒にまで減少させること
が可能となる。
【0039】前述の特開平6−260716号公報に
は、ドーピングに関する記述はない。特開平6−260
716号公報は、活性層の両側に設けられたクラッド層
の中に、単に活性層と同等のバンドギャップを有する可
飽和吸収層を導入するだけで、自励発振が生じると記載
している。しかし、そのような可飽和吸収層のクラッド
層への導入だけでは自励発振型レ−ザ装置の実現は困難
であることを、本発明者らは見いだした。
【0040】先に述べたように、本発明者らの実験か
ら、1×1017cm-3〜1×1018cm-3の範囲内の通
常のドーピングレベルでは、光出力の自励発振が生じ難
いことがわかった。
【0041】通常のドーピングレベルで自励発振を生ず
るためには、別のパラメータとして可飽和吸収層の体積
Vを十分に小さくし、且つキャリアの密度を相対的に増
加させる方法が考えられる。しかし、可飽和吸収層の体
積を小さくするには、層をより薄くする必要がある。可
飽和吸収層の体積の減少にともなって、可飽和吸収層へ
の光の閉じ込めが減少する。そのために、光の吸収効率
が低下し、所望の自励発振特性を有する半導体レーザを
得ることを困難にする。
【0042】このように、安定な自励発振を得るために
は、可飽和吸収層のドーピングレベルを適切な値に設定
することによって、可飽和吸収層におけるキャリアの寿
命時間τ2を適切な値(6ナノ秒以下)にすることが、
極めて有効である。
【0043】可飽和吸収層のドーピングレベルを高くす
る場合に留意すべき事項がある。
【0044】一般に、(100)面から[011]方向
に主面を傾けた基板(オフ基板)を用いることによっ
て、例えば、AlGaInPにおけるp型不純物のドー
ピングレベルが高められ得ることが知られている。しか
し、活性層の近くに高ドープ層が位置されると半導体レ
ーザ装置の信頼性が低下することが、本願発明者らの実
験でわかった。これは、p型ドーパントであるZnの拡
散による。従って、信頼性に関する限りは、可飽和吸収
層のドーピングレベルを高くすることは、必ずしも十分
ではない。高ドープ可飽和吸収層による弊害は、相対的
に低いドーピングレベル、例えば約5×1017cm-3
スペーサ層を挿入することによって、解決される。これ
は、実施例によって更に詳細に説明する。
【0045】本発明の半導体レーザ装置では、可飽和吸
収層が量子井戸として使用される場合に光閉じ込め係数
の低下を補うために、可飽和吸収層に隣接する位置に、
或いは可飽和吸収層の近傍に、光ガイド層を設け、それ
によって、可飽和吸収層による光吸収の効果を十分に生
じさせる。その結果として、安定な自励発振特性を得る
ことが可能となる。
【0046】以下には、本発明の半導体レーザ装置が、
図面を参照しながら実施例によって説明される。
【0047】(実施例1)図5は、本発明による第1の
実施例の半導体レーザ装置の第1の実施例の断面構造を
示す。
【0048】半導体レーザ装置は、n型GaAs基板2
01と、GaAs基板201の上に形成された半導体積
層構造とを備えている。半導体積層構造は、n型GaA
sバッファ層202、n型AlGaInPクラッド層2
03、AlGaInP及びGaInPからなる多重量子
井戸活性層204、p型AlGaInPスペーサ層20
5、p型GaInP高ドープ可飽和吸収層206、第1
のp型AlGaInPクラッド層207、p型GaIn
Pエッチング停止層208、及び第2のp型AlGaI
nPクラッド層209を含んでいる。
【0049】第2のp型AlGaInPクラッド層20
9は、共振器長方向に延びるストライプ状の形状(幅:
約2.0〜7.0μm)を有している。
【0050】第2のp型クラッド層209の上面には、
コンタクト層210が形成されている。第2のp型クラ
ッド層209及びコンタクト層210の両側には、n型
GaAs電流ブロック層211が形成されている。コン
タクト層210と電流ブロック層211の上には、p型
GaAsキャップ層212が形成されている。キャップ
層212の上面にはp型電極213が形成され、基板2
01の裏面にはn型電極214が形成されている。活性
層204は、3層の井戸層と3層の障壁層とからなる多
重量子井戸構造を有している。
【0051】本願明細書では、半導体積層構造からバッ
ファ層、活性層、コンタクト層、キャップ層、及び電流
ブロック層を除いた半導体積層構造の残りの部分を、
「クラッド構造」と呼ぶ。本実施例では、n型AlGa
InPクラッド層203、高ドープ可飽和吸収層20
6、p型GaInPエッチング停止層208、第1のp
型AlGaInPクラッド層207、及び第2のp型A
lGaInPクラッド層209が、クラッド構造を構成
している。
【0052】レーザ発振を実現するためにp型電極21
3とn型電極214との間に電圧を印加して、p型電極
213からn型電極214へ電流(駆動電流)を流す
と、電流は、コンタクト層210及び第2のp型クラッ
ド層209を通って流れるように、電流ブロック層21
1によってブロックされる。このため、電流は、活性層
204のうちで第2のp型クラッド層209の真下の領
域(電流注入領域)を流れ、電流ブロック層211の真
下の領域は流れない。光は、活性層204の電流注入領
域内で発生し、電流注入領域の外側にある程度まで広が
る。この光は、部分的に可飽和吸収層206と相互作用
して、自励発振を実現する。
【0053】本発明の積層構造を構成する各半導体層の
ドーピングレベル及び厚さは、以下の通りである。
【0054】
【表1】
【0055】図6は、本実施例の活性層付近の(Alx
Ga1-x0.5In0.5P(0≦x<1)のAl組成xの
プロファイルを示す。本実施例では、n型クラッド層2
03、スペーサ層205、第1のp型クラッド層20
7、及び第2のp型クラッド層209のAl組成xは、
0.7である。しかし、これらの層のAl組成xは、
0.7に限定されるものではない。n型クラッド層20
3、スペーサ層205、第1のp型クラッド層207、
及び第2のp型クラッド層209のAl組成xは、相互
に異なり得る。また、各層の中で、Al組成xが段階的
或いは連続的に変化し得る。
【0056】図6に示されるように、本実施例の可飽和
吸収層206は、クラッド構造のp型部分において、活
性層204から離れた位置に挿入されている。クラッド
構造において、活性層204と可飽和吸収層206との
間に位置する部分は、本願明細書ではスペーサ層205
と呼ばれる。
【0057】本実施例のスペーサ層205の厚さは、9
00Åである。スペーサ層205は、可飽和吸収層20
6に高濃度にドープされた不純物が活性層204に拡散
して装置の信頼性を劣化させることを抑制する。スペー
サ層205の好ましい厚さ及びその不純物濃度は、後に
説明する。
【0058】本実施例の可飽和吸収層206の厚さは、
150Åである。150Å以上の厚さの可飽和吸収層は
量子井戸構造を形成していないので、可飽和吸収層中に
量子準位が形成されない。可飽和吸収層206が厚い
と、言い換えると、可飽和吸収層206の体積を有する
と、その中のキャリア密度が小さくなる。そのため、キ
ャリアの寿命時間が短くならず、自励発振が生じにくく
なる。この点を考慮すると、可飽和吸収層の厚さは、好
ましくは約150Å未満である。可飽和吸収層206の
厚さをより薄く、例えば150Å以下にすることによっ
て量子井戸構造が形成される例は、後により詳細に説明
する。
【0059】可飽和吸収層206のAl組成xは、活性
層204から放射された光を可飽和吸収層206が十分
に吸収できるように、選択される。
【0060】一般に、(AlxGa1-x0.5In0.5Pの
バンドギャップは、Al組成xの増加とともに大きくな
る。従って、図6は、本実施例の活性層付近のバンドギ
ャップのプロファイルも、示している。図6からわかる
ように、スペーサ層205のバンドギャップは、活性層
204及び可飽和吸収層206のバンドギャップよりも
大きい。これが、活性層204からオーバフローした少
数キャリアが可飽和吸収層206に入ることを妨げる。
【0061】スペーサ層205のバンドギャップは、第
1のp型クラッド層207などのバンドギャップと等し
く設定される必要はない。活性層204からのキャリア
のオーバフローに対するバリア効果を高めるために、ス
ペーサ層205のバンドギャップは、第1のp型クラッ
ド層207等のバンドギャップより大きく設定され得る
(スペーサ層205のAl組成は0.7より大きく設定
され得る)。また、活性層204及び/或いは可飽和吸
収層206の光閉じ込め係数を調整するために、スペー
サ層205のバンドギャップは、クラッド構造の他の部
分のバンドギャップよりも小さく設定され得る(スペー
サ層205のAl組成は0.7より小さく設定され得
る)。
【0062】本実施例では、可飽和吸収層206の光閉
じ込め係数は約4.5%である。可飽和吸収層206の
光閉じ込め率が3%であると、安定した自励発振特性が
得られないことがわかった。
【0063】図7は、図2に示す半導体レーザ装置の電
流−光出力特性を示す。閾値電流は、約50mAであ
る。自励発振型半導体レーザ装置の特性においては、通
常の半導体レーザ装置と異なって、閾値電流近傍で光出
力の急激な立ち上がりが見られる。これは、可飽和吸収
層の存在のために、キャリア注入量がある閾値を越える
までは光が外部へ放出されないためである。キャリア注
入量が閾値を越えると、レーザ発振が生じて、注入電流
に比例して光出力が増加し始める。
【0064】図8は、図7のグラフにおける点P1に対
応する電流が半導体レーザ装置を流れる場合における、
光出力の時間依存性を示している。図5に示されている
振動波形は、シミュレーションにより得られた。図8か
ら、光出力の振動(自励発振)現象が継続的に生じてい
ることが分かる。
【0065】図9は、実際に作製された自励発振型半導
体レーザ装置を動作させることによって得られた光出力
の振動波形を示している。時間とともに光出力が大きく
振動して自励発振が生じていることが確認された。
【0066】図7を参照すると、注入電流を、図7の点
P1に相当する値に達した後に更に大きくすると、自励
発振が停止し、通常のレーザ発振が生じる。自励発振が
停止する時の光出力を、最大自励発振出力(Pmax)と
呼ぶことにする。
【0067】図10は、最大自励発振出力(Pmax)の
可飽和吸収層ドーピングレベルに対する依存性を示して
いる。図10ら明らかなように、可飽和吸収層のドーピ
ングレベルが1×1018cm-3より低い(例えば0.8
×1018cm-3)場合には、自励発振は生じない。これ
に対して、可飽和吸収層のドーピングレベルが1×10
18cm-3であるとき、最大自励発振出力(Pmax)は
5.1mWであり、可飽和吸収層のドーピングレベルが
1.5×1018cm-3であるとき、最大自励発振出力
(Pmax)は8.2mWであり、可飽和吸収層のドーピ
ングレベルが2.0×1018cm-3であるとき、最大自
励発振出力(Pmax)は14.3mWである。このよう
に、ドーピングレベルが1×1018cm-3以上になる
と、最大自励発振出力(Pmax)は急激に増大する。
【0068】次に、図6を参照しながら、スペーサ層の
役割を説明する。
【0069】活性層204と可飽和吸収層206との間
に設けられたスペーサ層205の検討結果を示す。スペ
ーサ層205は薄いほど、可飽和吸収層206が活性層
204に近づく。従って、可飽和吸収層206の光の閉
じ込め係数が増加する。しかし、スペーサ層205が更
に薄くされると、活性層204から可飽和吸収層206
へ少数キャリア(電子)が注入される。
【0070】図11A及び図11Bは、半導体レーザ装
置の印加電圧が1.9Vの場合の、エネルギーバンド
(実線)及び電子密度のプロファイル(点線)を示す。
図11Aは、スペーサ層205の厚さが100Åの場合
を示し、図11Bは、スペーサ層205の厚さが500
Åの場合を示す。
【0071】可飽和吸収層206での電子密度は、スペ
ーサ層205が500Åの場合、クラッド構造の他の部
分の電子密度に比べて僅かに増加している。しかし、ス
ペーサ層205が100Åの場合、可飽和吸収層206
での電子密度は、活性層204の電子密度を超えてい
る。これは、かなりの量の電子が可飽和吸収層206に
注入されていることを意味している。
【0072】キャリアの注入によって極めて高い電子密
度を有すると、可飽和吸収層は利得を持ち、もはやレー
ザ光を吸収しない。そのため、自励発振を生じさせるこ
とが不可能となる。実験により、スペーサ層205の厚
さは、100Åより厚くする必要があることがわかっ
た。
【0073】図12は、スペーサ層の厚さと可飽和吸収
層での電子密度との関係を示すグラフである。このグラ
フより、スペーサ層が厚くなると、可飽和吸収層におけ
る電子密度を低減できることがわかる。自励発振を生じ
るためには、電子密度を3×1018cm-3以下に抑える
必要がある。図12からわかるように、電子密度を3×
1018cm-3以下にするには、スペーサ層の厚さを20
0Å以上にする必要がある。図13は、スペーサ層の厚
さと自励発振現象の存在についての実験結果を示す。安
定した自励発振を達成するためには、図12及び図13
から、スペーサ層の厚さは約200Å以上である必要が
あることがわかる。
【0074】図14A及び図14Bは、半導体レーザ装
置の相対強度雑音(RIN)特性を示す。図14Aは、
可飽和吸収層を有さない半導体レーザ装置の特性を示
し、図14Bは、本発明の半導体レーザ装置の特性を示
している。
【0075】本発明の半導体レーザ装置は、広い温度範
囲に渡って安定した低雑音特性を示している。特に、−
140dBの値が得られているので、本発明の半導体レ
ーザ装置は実用的に適していることがわかる。
【0076】次に、スペーサ層の不純物濃度について説
明する。
【0077】スペーサ層や可飽和吸収層に一様に不純物
をドープすることによって可飽和吸収層におけるキャリ
ア寿命時間を小さくすると、その不純物が活性層に拡散
し、レーザ装置特性を劣化させ、装置の信頼性を悪くす
る。図15Aは、スペーサ層のドーピングレベルが5×
1017cm-3の場合の信頼性試験の結果を示し、図15
Bは、スペーサ層のドーピングレベルが2×1018cm
-3の場合の信頼性試験の結果を示す。図15A及び図1
5Bからわかるように、スペーサ層が2×10 18cm-3
の濃度でドーパントでドープされると、ドーパントが活
性層にまで拡散する。そして、時間とともにレーザの駆
動電流が急激に変化し、装置が実用に耐えないものとな
る。このように高いドーピングレベルの場合、レーザ装
置の劣化が非常に顕著であることがわかった。
【0078】以上に説明したとおり、活性層近傍の領域
に不純物が高濃度にドープされていると、レーザ装置の
特性が劣化する。従って、安定した自励発振を達成でき
る高信頼性の半導体レーザ装置を得るためには、以下の
ことが必要である。本発明のように、可飽和吸収層は不
純物でに高濃度にドープされ、活性層に近接する部分
は、従来通りに比較的低濃度に不純物でドープされる。
【0079】以下、可飽和吸収層とその近傍の不純物濃
度のプロファイルとを、より詳細に説明する。
【0080】ここで、スペーサ層のドーピングレベルと
可飽和吸収層のドーピングレベルとの差異を△Pとす
る。図16は、Pmaxの△P依存性を示している。この
図から明らかなように、△Pは、好ましくは、0.3×
1018cm-3以上である。スペーサ層は、不純物で均一
にドープされている必要はなく、スペーサ層は、不純物
が比較的に高濃度にドープされた部分と低濃度にドープ
された部分とを含むように形成され得る。
【0081】図17〜図20は、可飽和吸収層及びその
近傍における不純物濃度プロファイルを示している。
【0082】図17を参照すると、スペーサ層205の
一部と可飽和吸収層206とのドーピングレベルが1.
0×1018cm-3であるのに、スペーサ層205のうち
で活性層204に隣接する部分のドーピングレベルは、
1.0×1018cm-3より低い。この例では、スペーサ
層205において活性層204に隣接する部分のドーピ
ングレベルと可飽和吸収層206のドーピングレベルと
の差異が、0.3×1018cm-3以上であるので、安定
した自励発振が達成され得る。
【0083】図18を参照すると、スペーサ層205
は、大部分が、可飽和吸収層206のドーピングレベル
とほとんど同じドーピングレベルで不純物がドープされ
ているが、スペーサ層205のうちで活性層204の近
傍の部分は、活性層204とほぼ同じドーピングレベル
に不純物がドープされている。この例では、スペーサ層
205において活性層204に隣接する部分のドーピン
グレベルと可飽和吸収層206のドーピングレベルとの
差異が、0.3×1018cm-3以上であるので、安定し
た自励発振が達成され得る。
【0084】図19を参照すると、スペーサ層205は
不純物で均一にドープされている。この場合、スペーサ
層205のドーピングレベルと可飽和吸収層206のド
ーピングレベルとの差異が0.3×1018cm-3以上で
あるので、安定した自励発振が達成され得る。
【0085】可飽和吸収層206が不純物で高濃度にド
ープされている場合、図20に示されるように、その不
純物の一部が、可飽和吸収層206に隣接する層に、可
飽和吸収層から拡散しても良い。
【0086】本実施例では、図6に示されるように、可
飽和吸収層206は第1のp型クラッド層207の中に
設けられているが、n型クラッド層203の中に設けら
れてもよい。本実施例で説明したように、可飽和吸収層
206が活性層204に極端に近く位置されたり、或い
は活性層204と可飽和吸収層206との間のスペーサ
層205のドーピングレベルを高くし過ぎると、装置
は、実用的アプリケーションでの信頼性を失う。n型ク
ラッド層203の中の適切な位置に可飽和吸収層206
が設けられれば、可飽和吸収層206がp型クラッド層
207に設けられる場合と同様に、可飽和吸収層206
でのキャリアの寿命時間を短くできて、安定した自励発
振を達成することができる。
【0087】(実施例2)本発明による半導体レーザ装
置の第2の実施例を説明する。この半導体レーザ装置
は、量子井戸構造を含む活性層を用いているので、第1
の実施例よりも高い光出力を得ることができる。
【0088】図21に示されるように、半導体レーザ
は、n型GaAs基板1201と、GaAs基板120
1の上に形成された半導体積層構造と、を備えている。
半導体積層構造は、n型GaAsバッファ層1202、
n型AlGaInPクラッド層1203、AlGaIn
P及びGaInPからなる多重量子井戸活性層120
4、p型AlGaInPスペーサ層1205、p型Ga
InP高ドープ量子井戸可飽和吸収層1206、光ガイ
ド層1207、第1のp型AlGaInPクラッド層1
208、p型GaInPエッチング停止層1209、及
び第2のp型AlGaInPクラッド層1210を含ん
でいる。
【0089】第2のp型AlGaInPクラッド層12
10は、共振器長方向に延びるストライプ形状(幅:約
2.0〜7.0μm)を有している。
【0090】第2のp型クラッド層1210の上面に
は、コンタクト層1211が形成されている。第2のp
型クラッド層1210及びコンタクト層1211の両側
には、n型GaAs電流ブロック層1212が形成され
ている。コンタクト層1211と電流ブロック層121
2との上には、p型GaAsキャップ層1213が形成
されている。キャップ層1213の上面にはp型電極1
214が形成され、基板1201の裏面にはn型電極1
215が形成されている。活性層1204は、3層の井
戸層と3層の障壁層とからなる多重量子井戸構造を有し
ている。
【0091】この半導体レーザ装置を構成する各半導体
層の種類、厚さ、不純物濃度などは、第1の実施例のそ
れらと同様である。本実施例の半導体レーザ装置の特徴
は、以下の通りである。
【0092】1)可飽和吸収層として、量子井戸可飽和
吸収層1206(厚さ:30Å〜150Å)が用いられ
ている。
【0093】2)活性層として、多重量子井戸活性層1
204が用いられている。
【0094】3)可飽和吸収層1206が、高濃度
(1.0×1018cm-3以上)にドープされている。
【0095】4)可飽和吸収層1206に隣接して、
(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなる光ガイド層1
207(厚さ:300Å〜1500Å)が設けられてい
る。
【0096】以下に、図22を参照しながら、本実施例
の半導体レーザ装置をより詳細に説明する。
【0097】図22から明らかなように、本実施例で
は、光ガイド層1207が可飽和吸収層1206の近傍
に設けられている。光ガイド層1207は、可飽和吸収
層1206より小さく且つスペーサ層1205や第1の
p型クラッド層1208よりも大きな屈折率を有してい
る。
【0098】可飽和吸収層1206を量子井戸構造を持
つように薄くした場合、その光の閉じ込め係数が極端に
減少する。また、高濃度にドープされている可飽和吸収
層は、あまり活性層1204に近づけて設けられない。
その結果、このままでは、自励発振は生じない。
【0099】本実施例では、クラッド構造の他の部分よ
りも屈折率の大きな(Al0.5Ga0 .50.5In0.5Pか
らなる光ガイド層1207を可飽和吸収層1206の近
傍に配置することによって、可飽和吸収層1206の光
閉じ込め係数は増加される。光ガイド層1207が挿入
されて可飽和吸収層1206の光閉じ込め係数が少なく
とも約1.5%以上に設定されると、安定な自励発振を
生じることが可能となる。
【0100】可飽和吸収層1206を量子井戸にした場
合、可飽和吸収層1206の厚さが薄いために、光ガイ
ド層1207なしでその光閉じ込め係数を自励発振を生
じさせるために必要な大きさに設定することはできな
い。その光閉じ込め係数を増加させるために可飽和吸収
層1206の層数を増加すると、可飽和吸収層1206
の体積が増加して、そのキャリア密度が小さくなり、そ
の結果、自励発振は生じなくなる。従って、可飽和吸収
層1206の近傍に光ガイド層1207を設けることに
よって、自励発振が実現された。
【0101】光ガイド層1207のバンドギャップは、
好ましくは、可飽和吸収層1206のバンドギャップよ
りも大きく、スペーサ層1205のバンドギャップより
も小さい。しかし、光ガイド層1207のバンドギャッ
プが可飽和吸収層1206のバンドギャップに近すぎる
と、可飽和吸収層1206に光が閉じ込められ過ぎる。
その結果、光吸収の飽和特性を示さなくなる。
【0102】多重量子井戸活性層1204は3つの量子
井戸層を含み、各量子井戸層の厚さは50Åである。量
子井戸可飽和吸収層1206の近傍の光ガイド層120
7は、厚さ1500Å(組成x=0.5)の層から形成
されている。光ガイド層1207の厚さは、200Å以
上で有効となることが分かっている。
【0103】量子井戸可飽和吸収層1206は、少数キ
ャリアが量子井戸可飽和吸収層1206に注入されない
限りは、多重量子井戸活性層1204にさらに近づけて
設けられ得る。量子井戸可飽和吸収層1206が活性層
1204に近づき過ぎて位置されると、活性層1204
からオーバフローした少数キャリアが可飽和吸収層12
06に注入される。従って、可飽和吸収層1206は、
少数キャリアが可飽和吸収層1206に注入されること
ができるだけ妨げられるように、活性層1204の近傍
に設けられることが好ましい。活性層1204から可飽
和吸収層1206への少数キャリア注入を抑制するため
に、スペーサ層1205のバンドギャップは、好ましく
は、クラッド構造の他の部分のバンドギャップよりも大
きくされる。実施例1で説明したスペーサ層1205の
好ましい厚さや不純物濃度は、本実施例でも当てはま
る。
【0104】本実施例の半導体レーザ装置の最高光出力
(Pmax)は、多重量子井戸活性層1204に量子井戸
構造を導入することによって、バルク活性層を用いた半
導体レーザ装置の最高光出力に比べて、約20%増加し
た。また、しきい値電流が低減して、半導体レーザ装置
は、高温で動作が可能となる。
【0105】本実施例の半導体レーザ装置では、図9に
示されるような自励発振現象が確認され、−130dB
/Hz以下の相対雑音強度(RIN)も得られた。
【0106】以上に説明したように、本実施例の半導体
レーザ装置の特性は、量子井戸活性層、低濃度スペーサ
層、高ドープ可飽和位吸収層、及び光ガイド層を含む新
規な構造を採用することによって、実現され得る。
【0107】(実施例3)本発明の半導体レーザ装置の
第3の実施例を、図23を参照して説明する。
【0108】n型GaAs基板1401の上にバッファ
層1402、AlGaInPからなるn型クラッド層1
403、活性層1404、AlGaInPからなる第1
のp型クラッド層1405、p型GaInPからなるエ
ッチング停止層1406が、この順に形成されている。
エッチング停止層1406の上部には、AlGaInP
からなるリッジ状の第2のp型クラッド層1407とp
型GaInPからなるコンタクト層1408とが形成さ
れる。リッジ状の第2のp型クラッド層1407及びコ
ンタクト層1408の両側は、n型GaAs層からなる
電流ブロック層1409によって埋め込まれている。さ
らに、コンタクト層1408と電流ブロック層1409
との上には、p型GaAsからなるキャップ層1410
が形成されている。キャップ層1410の上及び基板1
401の裏面には、p型電極1411及びn型電極14
12がそれぞれ形成されている。
【0109】さらに、p型不純物の亜鉛(Zn)が、リ
ッジストライプの外側(すなわち、電流注入領域に隣接
する領域)に拡散されている。それによって、活性層1
404の電流注入領域の外側の領域に高ドープ可飽和吸
収領域1413が形成される。
【0110】本実施例の半導体レーザ装置は、活性層1
404の一部が可飽和吸収領域として機能している点
で、前述のものと異なる。活性層1404の電流注入領
域で発生した光の一部は、電流注入領域の両側に位置す
る可飽和吸収領域1413に広がり、可飽和吸収領域1
413に吸収されることによって自励発振現象が生じ
る。
【0111】可飽和吸収領域1413のキャリアの寿命
時間が短いほど、自励発振は生じやすい。具体的には、
6ナノ秒以下の寿命時間にする必要があり、可飽和吸収
領域1413のキャリア濃度を1×1018cm-3以上に
することが望ましい。
【0112】また、可飽和吸収領域1413に分布する
光の量が全光量の1%以上であることが必要なことが、
実験の結果からわかっている。
【0113】図23に示すような半導体レーザ装置で
は、自励発振現象が観測されて−130dB/Hz以下
のRINが得られた。
【0114】本実施例では、拡散されたZnによって、
高濃度にドープされた可飽和吸収領域が形成される。し
かし、イオン注入法のような他のドーピング方法を用い
て、活性層1404のうちの可飽和吸収領域として機能
する領域に不純物を高濃度にドープすることもできる。
【0115】(実施例4)図24を参照しながら、半導
体レーザ装置の第4の実施例を説明する。図24は、n
型クラッド層1804から第1のp型クラッド層180
6までの各層のエネルギーバンドを示す。このエネルギ
バンド図は、図12のエネルギーバンドと類似してい
る。
【0116】本実施例では、活性層と可飽和吸収層との
間の領域(スペーサ層)は、3つの部分(1800、1
805a及び1805b)から構成されている。第1ス
ペーサ層1805aは、厚さ60Åの(Al0.7Ga0.3)
0.5In0.5P層から形成されている。多重量子障壁(M
QB)層1800は、厚さ14ÅのGa0.5In0.5P量
子井戸層と厚さ14Åの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5
量子障壁層とからなる。第2スペーサ層1805bは、
厚さ60Åの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P層から形成
されている。
【0117】多重量子障壁(MQB)層1800は、注
入電子に対する仮想障壁を形成するために設けられてい
る。第1スペーサ層1805a、多重量子障壁(MQ
B)層1800及び第2スペーサ層1805bの合計の
厚さは、260Åである。第1スペーサ層1805a及
び第2スペーサ層1805bは、電子が多重量子障壁
(MQB)層1800をトンネル効果により流れること
を防ぐために設けられている。
【0118】上記の構造によって、伝導帯における注入
電子に対する障壁は100meV増加され、活性層18
02から可飽和吸収層1801へ電子が流入することが
抑制される。多重量子障壁層1800の存在のために、
多重量子障壁層を持たない厚さ260Åのスペーサ層と
比べて、可飽和吸収層1801の光閉じ込め係数が1%
増加する。
【0119】前述したように、可飽和吸収層1801と
活性層1802との間に位置するスペーサ層が薄いほ
ど、言い換えると、可飽和吸収層1801と活性層18
02との間隔が狭いほど、可飽和吸収層1801内に分
布する光の割合(光閉じ込め率)は増加する。しかし、
この間隔が小さすぎると、活性層1802から注入され
た電子によって、可飽和吸収層1801の電子密度が増
加し、自励発振が不可能となる。
【0120】上述のように、本実施例では、スペーサ層
と可飽和吸収層との間に多重量子障壁(MQB)層が挿
入されている。多重量子障壁は、活性層をオーバフロー
する電子の波の干渉効果によって、活性層とスペーサ層
との間にの実効的な障壁高さを有する。従って、可飽和
吸収層へ注入される電子が低減する。
【0121】多重量子障壁等の超格子を可飽和吸収層の
近傍に配置することにより、可飽和吸収層の光閉じ込め
率が増加するという利点がある。従って、本実施例の構
成によれば、スペーサ層を薄くすることによって、可飽
和吸収層の光閉じ込め率が増加し、多重量子障壁により
電子が可飽和吸収層へ注入されることが抑制される。こ
れにより、自励発振を容易に達成することが可能とな
る。
【0122】(実施例5)活性層の電流注入領域を含む
電流経路の外側に可飽和吸収層が存在すると、可飽和吸
収層に注入されたキャリアが、可飽和吸収層内を基板に
平行な方向に拡散する。これにより、可飽和吸収層にお
けるキャリアの寿命時間が長くなり、自励発振が困難と
なる。従って、電流経路の外側に位置する可飽和吸収層
の部分は、選択的に取り除くことが望ましい。
【0123】以下、可飽和吸収層を一部を選択的に除去
する方法について、可飽和吸収層がGaInP混晶から
形成され、クラッド層及びスペーサ層がAlGaInP
混晶から形成されている場合を例にとり、説明する。
【0124】可飽和吸収層のうちで電流経路の外側に位
置する部分を取り除く方法の一例として、SiO2など
からなるエッチングマスクを電流注入領域の上方に形成
し、マスクされていない領域のクラッド層及びそのクラ
ッド層の下に設けられた可飽和吸収層を、硫酸系溶液に
よるウェットエッチング或いは塩素系ガスによるドライ
エッチングにより除去する。しかし、可飽和吸収層と活
性層との間隔は非常に小さく、すなわち数百オングスト
ロームのオーダである。そのため、可飽和吸収層のエッ
チング工程における過剰エッチングが生じたり、或いは
エッチング工程後の水洗や大気中での搬送において活性
層がダメージを受けたりして、装置特性を著しく悪化さ
せる。このような弊害を避けるために、有機金属気相成
長法や有機金属分子ビーム成長法などにおいて、アルシ
ンのような可飽和吸収層を構成する混晶に対してエッチ
ング作用を持つガスを用いて、反応室内の装置の可飽和
吸収層がエッチングされ、その後にその反応室内で拡散
ブロック層を成長させる。
【0125】本発明に適した可飽和吸収層1906のエ
ッチング方法を、図25Aから図25Eを参照しながら
説明する。
【0126】図25Aを参照すると、n型GaAs基板
1901の上に、Siドープn型GaAsバッファ層1
902、Siドープn型AlGaInPクラッド層19
03、歪多重量子井戸活性層1904、Znドープp型
AlGaInPスペーサ層1905、p型GaInP可
飽和吸収層1906、及びZnドープp型AlGaIn
Pクラッド層1907が、この順番で形成される。その
後に、この積層構造の電流注入領域の上に選択的に、S
iO2マスクが形成される。
【0127】次に、図25Bに示されるように、p型A
lGaInPクラッド層1907のうちでSiO2マス
クで覆われていない部分が、硫酸液により選択的にエッ
チングされ、p型AlGaInPクラッド層1907が
ストライプ状にパターニングされる。
【0128】積層構造が上に形成された基板1901
は、有機金属気相成長装置の反応管内に入れられる。そ
して、この反応管に、アルシンが、圧力76Torrの
水素雰囲気中で1分間に1000ccの量で導入され、
基板1901は600℃まで加熱される。図25Cに示
されるように、可飽和吸収層1906がエツチングされ
る。この条件下でのGaInP可飽和吸収層1906の
エッチングレートは、1時間あたり5μmである。従っ
て、5nmの可飽和吸収層1906を除去するために
は、3.6秒間のエッチングが必要とされる。
【0129】次に、図25Dに示されるように、反応管
内にアルシン、トリエチルガリウム(TMGa)、及び
n型ドーパントとしてのシランガス(SiH4)が導入
され、キャリア拡散ブロック層及び電流ブロック層とし
て作用するn型GaAs層1908が選択的にエピタキ
シャル成長される。
【0130】この方法により、活性層にダメージを与え
ず、可飽和吸収層の一部が選択的に除去され、拡散ブロ
ック層が形成される。
【0131】この後、図23Eに示されるように、p型
GaAs層とp側電極とがこの順番で形成される。
【0132】以上のように、本実施例によれば、活性層
へダメージを与えることなく、可飽和吸収層の一部が選
択的に除去され、且つn型GaAsコンタクト層が電流
ブロック層として使用され得る。従って、小アスペクト
比且つ抑制された電流の拡がりを有する半導体レーザ装
置が実現される。
【0133】(実施例6)半導体レーザ装置の活性層近
傍に高濃度にドープされた可飽和吸収層が配置される
と、半導体多層膜のエピタキシャル成長中に高濃度のド
ーパントは固相内拡散し、活性層まで達する。これは、
拡散し得る欠陥を生じさせ、レーザ装置の信頼性に悪影
響を及ぼす。前述のように本発明では、可飽和吸収層が
高濃度に不純物でドープされることが必要不可欠であ
る。このため、可飽和吸収層からの不純物の拡散による
製造歩留まりの低下や素子特性の劣化を検討した。
【0134】GaInP可飽和吸収層にp型ドーパント
であるZnとn型ドーパントであるSiとを同時に添加
することによって、Znの拡散が抑制できて、所望のキ
ャリア濃度プロファイルを乱すことなく半導体多層膜を
再現性良く形成できることが見出された(特願平4−1
56522号参照)。
【0135】この効果を利用する目的で、可飽和吸収層
がp型及びn型ドーパントで同時にドープされている以
下の構造の半導体レーザ装置が作製された。本発明の第
6の実施例が、説明される。
【0136】図26を参照しながら、本発明による半導
体レーザ装置の第6の実施例を説明する。
【0137】基板2001は、(100)面から[01
1]方向に9゜傾斜した主面を持つn型GaAs基板で
ある。この基板2001の上に、Siドープn型GaA
sからなるバッファ層2002、Siドープn型AlG
aInPからなるクラッド層2003、歪多重量子井戸
活性層2004、Znドープp型AlGaInPからな
るスペーサ層2005、Zn及びSiドープp型GaI
nPからなる歪量子井戸可飽和吸収層2006、Znド
ープp型AlGaInPからなる光ガイド層2007、
Znドープp型AlGaInPからなる第1のp型クラ
ッド層2008、及びZnドープp型GaInPからな
るエッチング停止層2009が、この順に形成される。
【0138】エッチング停止層2009の上には、Zn
ドープp型AlGaInPからなるリッジ状の第2のp
型クラッド層2010とZnドープp型GaInPから
なるコンタクト層2011とが形成される。リッジ状の
第2のp型クラッド層2010及びコンタクト層201
1の両側は、Siドープn型GaAsからなる電流ブロ
ック層2012によって埋め込まれている。さらに、コ
ンタクト層2011と電流ブロック層2012との上に
は、Znドープp型GaAsからなるキャップ層201
3が形成されている。キャップ層2013及び基板20
01の裏側には、p型電極2014及びn型電極201
5がそれぞれ形成されている。
【0139】本実施例の半導体レーザの組成図は、図1
2に示したものと同じである。歪多重量子井戸活性層2
004は、膜厚5nmの3つの歪量子井戸を含む。歪量
子井戸可飽和吸収層2006の光ガイド層2007は、
組成xが0.5且つ厚さが150nmである。
【0140】本実施例は、歪量子井戸可飽和吸収層20
06にp型ドーパントとn型ドーパントとを同時に添加
することにより、歪量子井戸可飽和吸収層2006のキ
ャリア濃度が所望のレベルに設定されている点で、前述
の実施例と異なる。この場合、歪量子井戸可飽和吸収層
2006のキャリア濃度が2×1018cm−3となる
ように、Zn及びSiの添加量が精密に調整されてい
る。
【0141】本実施例の方法により作製された半導体レ
ーザ装置は、2種類のドーパントが同時にドープされて
いないもので得られるものと同様の自励発振現象が生
じ、−130dB/Hz以下のRINが得られる。さら
に、自励発振を実現する半導体レーザ装置の製造歩留ま
りは、5%から50%へ実質的に改善され、その推定寿
命は5000時間から20000時間へ改善される。こ
れより、実用上問題のない半導体レーザ装置が得られ
る。
【0142】本実施例では、可飽和吸収層へp型ドーパ
ントとn型ドーパントとを同時に添加することにより、
高濃度にドープされたZnの拡散が抑制される。このた
め、キャリア濃度プロファイルが製造工程中及び装置の
動作中に所望の値から大きく変化しない。従って、半導
体レーザ装置の諸特性及び歩留まりが向上される。
【0143】本実施例では、ドーパントとしてZn及び
Siが用いられている。しかし、使用されるべきドーパ
ントは、これに限定されるない。p型ドーパントとして
Mgなどが使用され得て、n型ドーパントとしてSeな
どが使用され得る。
【0144】(実施例7)実施例6では、可飽和吸収層
からのドーパントの拡散を防止するために適した構造が
説明されている。本実施例では、さらに電流ブロック層
からのドーパントの拡散を抑制できる構造を持つ半導体
レーザ装置を説明する。
【0145】半導体レーザ装置の製造工程において半導
体層が成長される場合、近傍に再成長界面が存在する
と、界面に存在する欠陥を介して不純物の拡散が促進さ
れる。そのため、Znが、GaInP可飽和吸収層の形
成後に設けられる電流狭窄層のような埋込構造形成時
に、問題を生じさせると思われる。そこで、GaAs電
流ブロック層にn型ドーパントであるSiとp型ドーパ
ントであるZnとを同時に添加することによって、Ga
InP可飽和吸収層中からのZnの拡散が抑制され、所
望のキャリア濃度プロファイルを乱すことなく半導体多
層膜を再現性良く形成できることが見出された。この効
果を利用する目的で、可飽和吸収層がn型及びp型ドー
パントで同時にドープされている以下の構造の半導体レ
ーザが作製された。
【0146】図27を参照しながら、本発明による半導
体レーザ装置の第7の実施例を説明する。
【0147】基板2101は、(100)面から[01
1]方向に9゜傾斜した面を持つn型GaAs基板であ
る。この基板2101の上に、Siドープn型GaAs
からなるバッファ層2102、Siドープn型AlGa
InPからなるクラッド層2103、歪多重量子井戸活
性層2104、Znドープp型AlGaInPからなる
スペーサ層2105、Zn及びSiドープp型GaIn
Pからなる歪量子井戸可飽和吸収層2106、Znドー
プp型AlGaInPからなる光ガイド層2107、Z
nドープp型AlGaInPからなる第1のp型クラッ
ド層2108、及びZnドープp型GaInPからなる
エッチング停止層2109が、この順に形成される。
【0148】エッチング停止層2109の上には、Zn
ドープp型AlGaInPからなるリッジ状の第2のp
型クラッド層2110とZnドープp型GaInPから
なるコンタクト層2111とが形成される。リッジ状の
第2のp型クラッド層2110及びコンタクト層211
1の両側は、Si及びZnドープn型GaAsからなる
電流ブロック層2112によって埋め込まれている。
【0149】さらに、コンタクト層2111と電流ブロ
ック層2112との上には、Znドープp型GaAsか
らなるキャップ層2113が形成されている。キャップ
層2113の上及び基板2101の裏面には、p型電極
2114及びn型電極2115がそれぞれ形成されてい
る。
【0150】本実施例の半導体レーザ装置の構造図は、
図12のものと同じである。歪多重量子井戸活性層21
04は、厚さ5nmの3つの歪量子井戸を含む。歪量子
井戸可飽和吸収層2106の光ガイド層2107は、組
成xが0.5で厚さが150nmである。
【0151】本実施例は、電流ブロック層2112にn
型ドーパントとp型ドーパントとを同時に添加により、
そのキャリア濃度が所望のレベルに設定されている点
で、前述の実施例と異なる。この場合、電流ブロック層
2112のキャリア濃度が3×1018cm-3となるよう
に、Si及びZnの添加量が精密に制御される。
【0152】本実施例の方法により作製された半導体レ
ーザ装置は、2種類のドーパントが同時にドープされて
いないもので得られるものと同様の自励発振現象が生
じ、−130dB/Hz以下のRINが得られる。さら
に、自励発振を実現する半導体レーザ装置の製造歩留ま
りは、5%から60%へ実質的に改善され、その推定寿
命は5000時間から40000時間へ改善される。こ
れより、実用上問題のない半導体レーザ装置が得られ
る。
【0153】本実施例では、電流狭窄層へp型ドーパン
トとn型ドーパントとを同時に添加することにより、歪
量子井戸可飽和吸収層に高濃度にドープされたZnの拡
散が抑制される。このため、キャリア濃度プロファイル
が変化せず、半導体レーザ装置の諸特性及び歩留まりが
効果的に向上される。
【0154】本実施例では、歪量子井戸可飽和吸収層と
電流ブロック層とが、2種類の不純物によって同時にド
ープされている。しかし、電流ブロック層のみが2種類
の不純物によってドープされる場合でも、同じ効果が期
待される。
【0155】本実施例では、ドーパントとしてZn及び
Siが用いられている。しかし、使用されるべきドーパ
ントは、これに限定されない。p型ドーパントとしてM
gなどが使用され得て、n型ドーパントとしてSeなど
が使用され得る。
【0156】(実施例8)以下、本発明によるチップ検
査工程を説明する。
【0157】一般に、1枚の半導体ウェハから複数の半
導体レーザ装置が形成される。具体的には、半導体ウェ
ハの上にp型電極及びn型電極が形成された後に、半導
体ウェハ基板は、複数のバーを得るように劈開される。
この後に、各バーの劈開面に反射膜がコートされる。
【0158】チップ検査工程で、所定の範囲外の特性を
持つと判定された半導体レーザ装置は、不良品として排
除される。例えば、バーの状態にある半導体レーザ装置
は、室温でパルス駆動させたとき、閾値電流が100〜
200mAの範囲内にないと、不良品として排除され
る。
【0159】次に、チップ検査工程で排除されなかった
バーからレーザチップを得る。これらのレーザチップ
は、組立工程を行う目的でキャン内にシールされる。
【0160】次に、エージング工程が行われる。本発明
者らは、p型不純物のドープされた可飽和吸収層を持つ
半導体レーザ装置の場合、レーザ発振の開始時のレーザ
装置の特性が、1分以上経過後に変化することを発見し
た。また、レーザ発振の開始に続く数分の経過後に、特
性は安定化する傾向にあることも発見した。より具体的
には、レーザ発振の開始に続く約10分の経過した後
に、特性は、ほぼ一定の状態を維持するようになる。例
えば、所定の光出力を得る条件のもとで半導体レーザ装
置が駆動される場合、レーザ発振の開始直後は約100
mAの駆動電流でレーザ装置が動作しているにもかかわ
らず、1〜10分の経過後には約70mAの駆動電流で
レーザ装置が動作するようになることが時々ある。
【0161】特性の上記の変化は、レーザ発振の開始後
の比較的に短い期間内に生じるが、その期間が経過した
後は生じない。このため、このような特性変動は、「初
期特性変動」と呼ぶことにする。
【0162】半導体レーザ装置を光源として含む装置や
システムを使用する場合、半導体レーザ装置の動作電流
は変動しない方が好ましい。このため、本発明による半
導体レーザ装置は、好ましくは、出荷する前に、閾値電
流の様な特性を安定化する工程(エージング工程)を受
ける。このエージング工程の間に、チップ状態の半導体
レーザ装置は、1〜120分間室温で連続レーザ発振さ
れるか、或いは1〜120分間、50℃でパルス発振さ
れる。これらの工程は、チップの組立前に行われる必要
がある。
【0163】エージング工程を行う代わりに、ウェハを
複数のバ−に分離する前に、ウェハに対して300〜8
00℃で約10〜60分間アニールを行うことによっ
て、レーザ装置の特性は安定化されることもわかった。
組立前にウェハ状態でアニールを行うことによって、半
導体レーザ装置の特性が安定化され得る。これで、組立
前に不良品が排除され得て、不良品の組立のような無駄
がなくなる。また、半導体レーザ装置が個別に取り扱わ
れる必要が無く、従って、複数の半導体レーザ装置が同
時に処理され得る。特性安定化のためのアニールは、ウ
ェハがレーザバーに分離された後に行い得る。
【0164】上記のエージング工程及びアニールは、可
飽和吸収層にp型不純物(特にZn)が高濃度にドープ
された場合に、好ましい効果をもたらす。
【0165】上記の何れの実施例においても、AlGa
InP系半導体レーザ装置が説明されている。しかし、
本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発
明は、AlxGa1-xAs(0≦x≦1)系、AlxGay
In1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)系、またはM
xZn1-xySe1-y(0≦x≦1、0≦y≦1)系に
も適用可能である。何れの材料系が使用されても、可飽
和吸収層が1×1018cm-3以上の濃度で不純物がドー
プされる限り、安定した自励発振が達成され得る。
【0166】AlxGa1-xAs(0≦x≦1)系半導体
レーザ装置の場合、例えば、活性層はAl0.1Ga0.9
sから形成され、可飽和吸収層はGaAsから形成さ
れ、クラッド層はAlGaAsから形成される。
【0167】AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1、0
≦y≦1)系半導体レーザ装置の場合、例えば、活性層
はIn0.05Ga0.95Nから形成され、可飽和吸収層はI
0. 2Ga0.8Nから形成され、クラッド層はAl0.1
0.9Nから形成される。
【0168】MgxZn1-xySe1-y(0≦x≦1、0
≦y≦1)系半導体レーザ装置の場合、例えば、活性層
はCd0.2Zn0.8Seから形成され、可飽和吸収層はC
0. 3Zn0.7Seから形成され、クラッド層はMg0.1
Zn0.90.1Se0.9から形成される。
【0169】(実施例9)次に、図28を参照しなが
ら、本発明による光ディスク装置を説明する。
【0170】光ディスク装置は、本発明の半導体レーザ
装置801と、半導体レーザ装置801から放射された
レーザ光(波長:650nm)を平行光にするコリメー
タレンズ803と、その平行光を3本のレーザ光(この
図では1本のレーザ光のみが示されている)に分離する
回折格子804と、レーザ光の特定成分を透過/反射す
るハーフプリズム805と、ハーフプリズム805から
のレーザ光を光ディスク807の上にフォーカスする集
光レンズ806と、を含む。光ディスク807の上で
は、例えば、直径約1μmのレーザビームスポットが形
成される。光ディスク807としては、読み出し専用デ
ィスクとともに書き換え可能なものも使用され得る。
【0171】光ディスク807から反射されたレーザ光
は、ハーフプリズム805で反射された後、受光レンズ
808及びシリンドリカルレンズ809を透過し、受光
素子810に入射する。受光素子810は、複数に分割
されたフォトダイオードを有しており、光ディスク80
7から反射されたレーザ光に基づいて、情報再生信号、
トラッキング信号、及びフォーカスエラー信号を生成す
る。トラッキング信号及びフォーカスエラー信号に基づ
いて駆動系811が光学系を駆動することによって、光
ディスク807の上のレーザ光スポットの位置を調整す
る。
【0172】光ディスク装置において、半導体レーザ装
置801以外の構成要素は、公知のものが使用され得
る。前述のように、本実施例の半導体レーザ装置801
は、高濃度にドープされた可飽和吸収層を有している。
このため、光ディスク807から反射されたレーザ光の
一部がハーフプリズム805と回折格子804とを透過
して半導体レーザ装置801に戻ってきても、相対強度
雑音は低いレベルに維持される。
【0173】図22に示す半導体レーザ装置では、光出
力が約10mWのレベルまで自励発振が生じる。しか
し、このレベルを越えて光出力を大きくすると、発振状
態は徐々に、自励発振から単一モード発振に変化して行
く。例えば、約15mWの光出力では、自励発振は生じ
ない。光ディスクに記録された情報を再生するときに
は、半導体レーザ装置は、自励発振によって戻り光雑音
を生じないべきである。しかし、光ディスク上に情報を
記録するときには、自励発振が生じている必要はない。
例えば、約15mWの光出力で情報が記録され、約5m
Wの出力で情報が再生されれば、情報の低雑音再生とと
もに低雑音記録が行われ得る。
【0174】上述のように、本発明の光ディスク装置で
は、高周波重畳用回路部品を用いることなく、630〜
680nmの波長で低雑音再生が達成され得る。
【0175】これに対して、630〜680nmの波長
で動作する従来のAlGaInP系半導体レーザ装置
は、安定な自励発振を生じさせられない。そのため、従
来のAlGaInP系半導体レーザ装置が光ディスク装
置で用いられる場合、高周波を駆動電流に重畳すること
によって、戻り光雑音を抑制する必要がある。これは、
大型の高周波重畳回路を必要として、光ディスク装置の
小型化に不適当である。
【0176】(実施例10)次に、本発明による光ディ
スク装置の他の実施例を説明する。
【0177】光ディスク装置は、本発明の前述の半導体
レーザ装置を含むレーザユニットを使用する。レーザユ
ニットは、フォトダイオードが形成されたシリコン基板
と、その上にマウントされた半導体レーザ装置と、を含
んでいる。更に、半導体レーザ装置から放射されたレー
ザ光を反射させるマイクロミラーが、シリコン基板に形
成されている。
【0178】図29を参照しながら、このレーザユニッ
トを説明する。図29に示されるように、シリコン基板
(7mm×3.5mm)1の主面1aの中央に凹部2が
形成されており、凹部2の底面に半導体レーザ装置3が
配置されている。凹部2の一側面は傾斜しており、マイ
クロミラー4として機能する。シリコン基板1の主面1
aが(100)面である場合、(111)面は、異方性
エッチングによって露出されてマイクロミラー4として
利用される。(111)面は、(100)面から54°
傾斜している。そのため、主面1aが(100)面から
<110>方向に9°だけ傾斜したオフ基板が用いられ
れば、主面1aに対して45°傾斜した(111)面が
得られる。(111)面に対向する位置に設けられた
(111)面は、主面1aに対して63°傾斜する。こ
の面にはマイクロミラー4が形成されず、後述する光出
力モニター用フォトダイオード5が形成される。異方性
エッチングによって形成した(111)面は平滑なミラ
ー面であるので、優れたマイクロミラー4として機能す
る。しかし、マイクロミラー4の反射効率を高めるため
に、レーザ光を吸収し難い金属膜が、好ましくはシリコ
ン基板1の傾斜面上に蒸着される。
【0179】シリコン基板1の上には、半導体レーザ装
置3の光出力をモニターするためのフォトダイオード5
に加えて、光信号検出用の5分割フォトダイオード6a
及び6bが形成されている。
【0180】図30を参照しながら、本実施例の光ディ
スク装置を説明する。前述した構造を持つレーザユニッ
ト10の半導体レーザ装置(図30には不図示)から放
射されたレーザ光は、マイクロミラー(図30には不図
示)から反射されて、ホログラム素子11の下面に形成
されたグレーティングによって3本のビームに分離され
る(図中では、簡単化のため1本のビームのみ示されて
いる)。その後に、レーザ光は1/4波長板(1/4λ
板)12と対物レンズ13とを透過し、光ディスク14
の上にフォーカスされる。光ディスク14から反射され
たレーザ光は、対物レンズ13及び1/4λ板12を透
過した後、ホログラム素子11の上面に形成されたグレ
ーティングによって回折される。この回折によって、図
31に示されるように、−1次光と+1次光とが形成さ
れる。例えば、−1次光は、図の左側に位置する受光領
域15aに照射され、+1次光は、図の右側に位置する
受光領域15bに照射される。ホログラム素子11の上
面に形成されたグレーティングのパターンは、−1次光
の焦点距離が+1次光の焦点距離とは異なるように調整
される。
【0181】図32に示されるように、レーザ光が光デ
ィスク上にフォーカスすると、レーザユニット10の受
光領域15aに形成される反射レーザ光ビームのスポッ
トの形状は、受光領域15bに形成される反射レーザ光
ビームのスポットの形状と等しくなる。レーザ光が光デ
ィスク上でフォーカスしていないときには、レーザユニ
ット10の受光領域15aに形成される反射レーザ光ビ
ームのスポットの形状は、受光領域15bに形成される
反射レーザ光ビームのスポットの形状とは異なる。
【0182】左右の受光領域の上に形成される光ビーム
スポットの大きさは、フォーカスエラー信号(FES)
として、以下のように検出される。
【0183】 FES=(S1+S3+S5)−(S2+S4+S6) ここで、S1〜S3は、受光領域15aを構成している
5つのフォトダイオードの内の中央の3つのフォトダイ
オードから出力された信号の強度を意味し、S4〜S6
は、受光領域15bを構成している5つのフォトダイオ
ードの内の中央の3つのフォトダイオードから出力され
た信号の強度を意味している。フォーカスエラー信号
(FES)がゼロのとき、レーザ光は光ディスクの上に
フォーカスしている。図30に示されるアクチュエータ
15によって、フォーカスエラー信号(FES)がゼロ
になるように対物レンズ13が駆動される。
【0184】トラッキングエラー信号(TES)は、以
下のように求められる。
【0185】TES=(T1−T2)+(T3−T4) T1及びT2は、受光領域15aを構成している5つの
フォトダイオードの内の両端の2つのフォトダイオード
から出力された信号の強度を意味し、T3及びT4は、
受光領域15bを構成している5つのフォトダイオード
の内の両端の2つのフォトダイオードから出力された信
号の強度を意味している。
【0186】情報信号(RES)は、以下のように求め
られる。
【0187】 RES=(S1+S3+S5)+(S2+S4+S6) 本実施例では、半導体レーザ装置がフォトダイオードと
一体化されているレーザユニットが使用されている。し
かし、半導体レーザ装置は、フォトダイオードから分離
され得る。
【0188】上記のように、半導体レーザ装置がフォト
ダイオードと一体化されたレーザユニットを用いること
によって、光ディスク装置が小型化される。また、フォ
トダイオード及びマイクロミラーがシリコン基板に予め
形成されているので、光学的なアライメントは、単にシ
リコン基板に半導体レーザ装置を位置合わせするだけで
達成される。このように、光学的なアライメントが容易
であるので、組立精度が向上して、且つ製造工程が簡単
になる。
【0189】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、可飽和
吸収層のドーピングレベルを増加することにより、キャ
リアの寿命時間が制御されて、安定した自励発振特性が
実現された半導体レーザ装置が得られる。
【0190】また、本発明の半導体レーザ装置は、活性
層に量子井戸を適用し、且つ光ガイド層を備えた量子井
戸可飽和吸収層を用いることによって、より高出力の自
励発振特性を実現できる。
【0191】また、本発明の半導体レーザ装置は、高ド
ープされた可飽和吸収領域を活性層の電流注入領域に隣
接して設けることにより、容易に自励発振を生じさせ
る。
【0192】また、本発明によれば、スペーサ層内に多
重量子障壁層を設けることにより、可飽和吸収層への電
子流入を抑制し、可飽和吸収層の光閉じ込め係数を増加
して、これにより、自励発振を容易に実現する。
【0193】また、本発明によれば、可飽和吸収層や電
流狭窄層にn型ドーパントとp型ドーパントとを同時に
ドープすることにより、ドーパントの拡散が抑制され、
キャリア濃度プロファイルが変化しない。従って、本発
明は、半導体レーザ装置の諸特性及び歩留まりの向上の
点で、非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例における半導体レーザ装置の断面図であ
る。
【図2】従来例における可飽和吸収層のAl組成を示す
図である。
【図3】GaAsとGaInPとについて、利得のキャ
リア密度依存性(利得特性)を示す図である。
【図4】可飽和吸収層におけるキャリア寿命時間のドー
ピングレベル依存性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施例におけるAlGaInP
系半導体レーザの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における活性層近傍のA
l組成を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例における電流−光出力特
性を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施例における光出力及びキャ
リア密度の時間変化を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施例における光出力とキャリ
ア密度との実測時間を示す波形図である。
【図10】最大自励発振出力(Pmax)の可飽和吸収層
ドーピングレベルに対する依存性を示すグラフである。
【図11A】本発明の第1の実施例におけるエネルギー
バンド及び電子密度分布を示す図である。
【図11B】本発明の第1の実施例におけるエネルギー
バンド及び電子密度分布を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施例におけるスペーサ層の
厚さに対する可飽和吸収層の電子密度を示すグラフであ
る。
【図13】本発明の第1の実施例におけるスペーサ層の
厚さに対する光出力の自励発振の存在を示す図である。
【図14A】本発明の第1の実施例と従来例との間の雑
音特性の比較を示す図である。
【図14B】本発明の第1の実施例と従来例との間の雑
音特性の比較を示す図である。
【図15A】本発明の第1の実施例において、スペーサ
層が5×1017cm-3でドープされている場合の信頼性
試験の結果を示す。
【図15B】本発明の第1の実施例において、スペーサ
層が2×1018cm-3でドープされている場合の信頼性
試験の結果を示す。
【図16】スペーサ層のドーピングレベルと可飽和吸収
層のドーピングレベルとの差異(△P)に対する最大自
励発振出力(Pmax)の依存性を示すグラフである。
【図17】可飽和吸収層及びその近傍における不純物濃
度プロファイルを示すグラフである。
【図18】可飽和吸収層及びその近傍における不純物濃
度プロファイルを示すグラフである。
【図19】可飽和吸収層及びその近傍における不純物濃
度プロファイルを示すグラフである。
【図20】可飽和吸収層及びその近傍における不純物濃
度プロファイルを示すグラフである。
【図21】本発明の第2の実施例におけるAlGaIn
P系半導体レーザ装置の第2の実施例の断面図である。
【図22】本発明の第2の実施例における活性層近傍の
Al組成を示す図である。
【図23】本発明の第3の実施例におけるAlGaIn
P系半導体レーザ装置の断面図である。
【図24】本発明の第4の実施例における活性層近傍の
組成構造を示す図である。
【図25A】本発明の第5の実施例における半導体レー
ザ装置の製造工程を示す断面図である。
【図25B】本発明の第5の実施例における半導体レー
ザ装置の製造工程を示す断面図である。
【図25C】本発明の第5の実施例における半導体レー
ザ装置の製造工程を示す断面図である。
【図25D】本発明の第5の実施例における半導体レー
ザ装置の製造工程を示す断面図である。
【図25E】本発明の第5の実施例における半導体レー
ザ装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】本発明の第6の実施例におけるAlGaIn
P系半導体レーザ装置の断面図である。
【図27】本発明の第7の実施例におけるAlGaIn
P系半導体レーザ装置の断面図である。
【図28】本発明による光ディスク装置の実施例の構成
を示す模式図である。
【図29】本発明による光ディスク装置に使用されるレ
ーザユニットの斜視図である。
【図30】本発明による光ディスク装置に他の実施例の
構成を示す模式図である。
【図31】本発明による光ディスク装置の実施例に用い
られるホログラム素子の働きを示す図である。
【図32】本発明による光ディスク装置の実施例に用い
られる光検出器の平面図である。
【符号の説明】
201 n型GaAs基板201 202 n型GaAsバッファ層 203 n型AlGaInPクラッド層 204 多重量子井戸活性層 205 p型AlGaInPスペーサ層205 206 p型GaInP高ドープ可飽和吸収層 207 第1のp型AlGaInPクラッド層 208 p型GaInPエッチング停止層 209 第2のp型AlGaInPクラッド層 210 コンタクト層210 211 n型GaAs電流ブロック層211 212 p型GaAsキャップ層 213 p型電極 214 n型電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上山 智 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上野山 雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 萬濃 正也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 福久 敏哉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層と、該活性層を挟むクラッド構造
    と、を備えた自励発振型半導体レーザ装置であって、 該クラッド構造は可飽和吸収層を含んでおり、 該可飽和吸収層は、その光閉じ込め係数が約1%以上に
    なるように、該活性層から離れた位置に配置されてい
    る、自励発振型半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記可飽和吸収層は、その光閉じ込め係
    数が約1.5%以上になるように、前記活性層から離れ
    た位置に配置されている、請求項1に記載の自励発振型
    半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記可飽和吸収層は量子井戸構造を有し
    ている、請求項1或いは2に記載の自励発振型半導体レ
    ーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記活性層と前記可飽和吸収層との間に
    は、該活性層のバンドギャップよりも大きいバンドギャ
    ップを持つスペーサ層が配置されている、請求項1から
    3の何れかに記載の自励発振型半導体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記可飽和吸収層に隣接して光ガイド層
    が配置されている、請求項1から4の何れかに記載の自
    励発振型半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 前記可飽和吸収層のキャリア寿命が6ナ
    ノ秒以下である、請求項5に記載の自励発振型半導体レ
    ーザ装置。
  7. 【請求項7】 半導体レーザ装置と、該半導体レーザ装
    置から放射されたレーザ光を記録媒体に集光する集光光
    学系と、該記録媒体から反射されたレーザ光を検出する
    光検出器と、を備えた光ディスク装置であって、 該半導体レーザ装置は、活性層と、該活性層を挟むクラ
    ッド構造と、を備えた自励発振型半導体レーザ装置であ
    って、該クラッド構造は可飽和吸収層を含んでおり、該
    可飽和吸収層は、その光閉じ込め係数が約1%以上にな
    るように、該活性層から離れた位置に配置されている、
    自励発振型半導体レーザ装置である、光ディスク装置。
  8. 【請求項8】 前記可飽和吸収層は、その光閉じ込め係
    数が約1.5%以上になるように、前記活性層から離れ
    た位置に配置されている、請求項7に記載の光ディスク
    装置。
  9. 【請求項9】 前記過飽和吸収層は量子井戸構造を有し
    ている、請求項7或いは8に記載の光ディスク装置。
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