JP2000063876A - ディーゼルエンジン用潤滑油組成物 - Google Patents

ディーゼルエンジン用潤滑油組成物

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JP2000063876A
JP2000063876A JP10232042A JP23204298A JP2000063876A JP 2000063876 A JP2000063876 A JP 2000063876A JP 10232042 A JP10232042 A JP 10232042A JP 23204298 A JP23204298 A JP 23204298A JP 2000063876 A JP2000063876 A JP 2000063876A
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lubricating oil
oil
boron
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mass
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Takashi Fujizu
貴 藤津
Takeshi Sato
武司 佐藤
Kensaku Miyahara
研作 宮原
Mitsuhiro Nagakari
光洋 永仮
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Showa Shell Sekiyu KK
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Showa Shell Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硼素を含有しない無灰系分散剤を用いて、硼
素含有無灰系分散剤配合潤滑油組成物よりも優れた清浄
性および優れた酸中和能力を長期に渡り有し、また金属
系清浄剤に由来する硫酸灰分が少ない潤滑油配合におい
ても優れた清浄性および優れた酸中和能力を長期に渡り
有する、環境に優しいディーゼルエンジン用潤滑油の提
供。 【解決手段】 鉱油、合成油またはこれらの混合物であ
る潤滑油基油に(A)JIS K2272で規定されて
いる硫酸灰分の値と、JIS K2501で規定されて
いる塩酸法で測定した全塩基価又は過塩素酸法で測定し
た全塩基価の値との比が0.01〜0.20という関係
を満たす、アルキルサリシレートカルシウム塩またはア
ルキルサリシレートカルシウム塩とアルキルサリシレー
トマグネシウム塩を1〜12質量%含有し、かつ(B)
ポリアルケニルこはく酸イミドを窒素含有量として0.
1質量%以上含有するように処方されたことを特徴とす
る硼素を含まないディーゼルエンジン用潤滑油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硼素化合物を含ま
ず、低灰分であっても優れた清浄性を示し、かつ優れた
酸中和能力を長期に渡り保持する環境にやさしいディー
ゼルエンジン用潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジン燃料である軽油や重
油には多量の硫黄分が含まれており、燃焼に伴い排出さ
れる排気ガス中には多量の硫黄酸化物が含まれてくる。
そのため最近では低硫黄軽油が使われはじめている。一
方、ディーゼルエンジンから排出される窒素酸化物(N
Ox)の低減を目的として排気ガスを循環して再燃焼さ
せるEGR(Exhaust Gas Recirc
ulation)装置が標準装着されつつあるが、本装
置を装着すると排ガス中のNOxは低減されるが硫黄酸
化物が増加してしまうこととなる。
【0003】また、排気ガス中には硫黄酸化物とともに
水も含まれているので、これらが反応して硫酸を生成
し、その硫酸の一部はエンジン油にふくまれることとな
り、エンジン内部の部材を腐食、摩耗することとなる。
この対策として従来は塩基性を有する金属系清浄分散剤
を比較的に多量に添加し、この硫酸を中和していた。
【0004】一方、排気ガス中に含めれる粒子状物質
(PM)による環境汚染問題が深刻になっている。Ro
ger.O.McClellanとFrederic.
J.Miller両博士の調査研究をもとに、米国環境
保護庁はPM25と総称される2.5μm以下の粒径の
PMが人体に有害であると発表している。PMは燃料中
の硫黄分に起因する硫酸塩、煤および燃料と潤滑油の未
燃分である可溶性有機成分(SOF)からなる。このう
ち全PMに対するSOF成分の割合は30〜40%とい
われている。最近は排出ガス浄化を目的に、これらのS
OF成分を酸化させて低減させるSOF酸化触媒や、P
Mをフィルタートラップして低減させるさせるDPF等
の後処理装置が自動車に搭載されつつある。
【0005】しかし、エンジン油に金属系清浄剤を比較
的多く添加すると、エンジン油は一部分が燃焼室内で燃
焼するために、金属系清浄剤に起因する灰分が多量に排
気ガス中に含まれることとなる。これら灰分がSOF酸
化触媒を被毒したり、DPFのフィルターをつまらせた
りして、排気ガス後処理装置に悪影響を与える。そこで
近年になり硫酸灰分量を抑えたディーゼルエンジン油組
成物が特開平7−102273号公報、特開平8−04
8989号公報、特開平8−253782号公報および
特開平9−111275号公報に開示されている。
【0006】これらの技術においては、硫酸灰分を少な
くするため、硼素を含んだ無灰系分散剤が用いられてい
る。硼素はエンジン燃焼室内で酸化され、排気ガス中に
オルト硼酸、メタ硼酸、ピロ硼酸等の酸化化合物として
放出されると考えられる。これら硼酸の体外への排泄は
遅いと言われ、生物毒性の点で環境上好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硼素
を含有しない無灰系分散剤を用いて、硼素含有無灰系分
散剤配合潤滑油組成物よりも優れた清浄性および優れた
酸中和能力を長期に渡り有し、また金属系清浄剤に由来
する硫酸灰分が少ない潤滑油配合においても優れた清浄
性および優れた酸中和能力を長期に渡り有する、環境に
優しいディーゼルエンジン用潤滑油を提供する点にあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決したディーゼルエンジン用潤滑油組成物を製造
するため鋭意研究を重ねた結果、硼素化分散剤や硼素化
脂肪酸エステルといった硼素化合物を一切使用せず、硫
酸に接する実際のエンジン運転条件下でも、特定の無灰
系分散剤と特定のサリシレート系清浄剤を内燃機関用潤
滑油の組成物(配合処方)の中に組み込むことにより、
長期にわたり優れた清浄性および酸中和能力を有するデ
ィーゼルエンジン用潤滑油を提供することが可能となる
手法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明は、鉱油、合成油またはこれらの混
合物である潤滑油基油に(A)JIS K2272で規
定されている硫酸灰分の値と、JIS K2501で規
定されている塩酸法で測定した全塩基価又は過塩素酸法
で測定した全塩基価の値との比が0.01〜0.20と
いう関係を満たす、アルキルサリシレートカルシウム塩
またはアルキルサリシレートカルシウム塩とアルキルサ
リシレートマグネシウム塩を1〜12質量%含有し、か
つ(B)ポリアルケニルこはく酸イミドを窒素含有量と
して0.1質量%以上含有するように処方されたことを
特徴とする硼素を含まないディーゼルエンジン用潤滑油
組成物に関する。
【0010】
【発明実施の形態】本発明の潤滑油組成物に用いられる
アルキルサリシレートカルシウム塩、もしくはアルキル
サリシレートカルシウム塩とアルキルサリシレートマグ
ネシウム塩の混合物を使用する点については、シェルグ
ループが出願している特公昭59−28238号公報
(日本国特許第1271215号)、特公昭55−21
078号公報(日本国特許第1031507号)に記載
されているが、これらの公報には本発明のようなアルキ
ルサリシレート塩とポリアルケニルこはく酸イミドとの
併用については何らの記載も示唆もないうえ、前記カル
シウム塩やマグネシウム塩は周期律表第II族の金属なら
すべて均等物であるという前提である。
【0011】しかし本発明においては、アルキルサリシ
レート金属塩化合物は、硼素を含まないカルシウム塩お
よびマグネシウム塩に限定している。この理由は、カル
シウムやマグネシウム以外の金属はコストが高く実用に
供することは困難であり、また金属によっては結晶硬度
が高い為に摩耗が悪化する懸念があるからである。
【0012】また本発明では、JIS K2272で規
定されている硫酸灰分の値と、JIS K2501で規
定されている塩酸法で測定した全塩基価又は過塩素酸法
で測定した全塩基価の値との比が0.01〜0.20と
いう関係を満たすアルキルサリシレートカルシウム塩ま
たはアルキルサリシレートカルシウム塩およびアルキル
サリシレートマグネシウム塩に限定している。それはこ
の範囲を満たす金属系清浄剤サリシレートが、有効に油
中分散するに最適であるからである。金属系清浄剤サリ
シレートを構成する成分である無機物質成分と有機物質
成分の構成割合比が性能に大きく影響しているためでは
ないかと考えられる。本発明においてのアルキルサリシ
レート金属は、アルキルサリシレートカルシウム塩単
独、もしくはアルキルサリシレートカルシウム塩とアル
キルサリシレートマグネシウム塩の混合物で、その混合
割合は潤滑油中の金属マグネシウム量が油中金属カルシ
ウム量を超えてはならない。また全アルカリ価が50〜
400mgKOH/gのものが本発明の潤滑油組成物と
して好ましい。
【0013】本発明のディーゼルエンジン油用潤滑油組
成物においては、耐摩耗剤としてジアルキルジチオリン
酸亜鉛(ZnDTP)の添加が好ましい。ZnDTPの
添加はエンジンの摩耗を防止すると同時に潤滑油組成物
の酸化も防止することができる。ZnDTPのアルキル
基は特に制限されないが、通常、炭素数3〜12が好ま
しい。また、そのアルキル基は第2級アルキル基(Se
c−ZnDTP)および/又は第1級アルキル基(Pr
imary alkyl−ZnDTP)および/又はア
リール基(Aryl−ZnDTP)が配合されているこ
とが好ましく、その使用量は通常0.3〜5重量%、好
ましくは1〜2重量%である。
【0014】本発明において用いられているアルキルサ
リシレート金属塩の配合量は、最終製品となる内燃機用
潤滑油100質量%に対して1〜12質量%、好ましく
は5〜10質量%の割合である。また、アルキルサリシ
レートカルシウム塩とアルキルサリシレートマグネシウ
ム塩の混合物を使用する場合については、潤滑油中の金
属マグネシウム量が油中金属カルシウム量を超えないよ
うに混合する。またJIS K2272で規定される潤
滑油の硫酸灰分量が0.8〜1.8質量%になるように
調整して、これらのサリシレート金属塩の配合量を決定
することが好ましい。
【0015】無灰系分散剤の種類としては、シェルグル
ープが出願している特公昭61−34442号公報(日
本国特許第1367796号)、特公平2−4594号
公報(日本国特許第1667140号)、特公昭60−
27655号特公平4−29716号公報(日本国特許
第1302811号)、特公平4−29716号公報
(日本国特許第1743435号)に示されるポリアル
ケニルこはく酸イミド、ポリアルケニルこはく酸エステ
ルなどが挙げられるが、特に本発明においては硼素を含
有しないものに限定している。本発明においては、硼素
を含有しないポリアルケニルこはく酸イミドを用いる
が、その窒素含有量は低い方が性能的に好ましい。でき
れば、ポリアルケニルこはく酸イミド中の窒素含有量が
0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%、
とくに好ましくは0.8〜2.3質量%のものが好適で
ある。過去において窒素量含有量の高い無灰系分散剤が
ディーゼルエンジン向けには良いと一般的に言われ、使
用され続けていたが、近年、窒素含有量は低くても優れ
た清浄性能を有する無灰系分散剤が市販されはじめた。
なおポリアルケニルこはく酸イミドは、アルケニル無水
こはく酸、あるいはアルケニル無水こはく酸とポリアミ
ンとの反応で得られる。潤滑油組成物中の窒素含有量は
0.1質量%以上、通常0.1〜1質量%、好ましくは
0.1〜0.5質量%、とくに好ましくは0.1〜0.
2質量%となるように処方されるのが好ましい。本発明
は、前記(A)成分と(B)成分の併用により高い酸中
和保持能力が得られ、長期間安定なディーゼルエンジン
用潤滑油組成物への道を開くことができた。
【0016】特開平10−53784号公報には、基油
に(a)塩基価100mgKOH/g以上の高塩基性カ
ルシウムサリシレートをカルシウム量として0.04〜
0.2重量%、(b)塩基価100mgKOH/g未満
の低塩基性カルシウムサリシレートおよび/またはカル
シウムフェネートをカルシウム量として0.01〜0.
1重量%、および、(c)ポリアルケニルこはく酸イミ
ドを窒素量として0.02重量%以上含有させたディー
ゼルエンジン用潤滑油が記載されており、ポリアルケニ
ルこはく酸イミドの使用が開示されているが、併用必要
成分がサリシレートまたはフェネートよりなる金属系清
浄剤であり、本発明の金属系清浄剤とは異っているだけ
でなく、そこにはポリアルケニルこはく酸イミドと本発
明の特定の金属系清浄剤を併用して酸中和保持能力を高
くするという技術課題は皆無である。
【0017】また、特開平7−197067号公報に
も、ディーゼルエンジン用潤滑油組成物においてアルケ
ニルこはく酸イミドの使用が開示されているが、この技
術はジアルキルジチオりん酸亜鉛、過塩基性カルシウム
フェネート、過塩基性カルシウムスルホネートおよび中
性カルシウムスルホネートとの併用を必須条件とするも
のであり、これらは本発明の金属系清浄剤と異っている
だけでなく、ここにもポリアルケミルこはく酸イミドと
本発明の特定の金属系清浄剤を併用して酸中和保持能力
を高くするという技術課題は皆無である。
【0018】本発明で用いる潤滑油基油については、特
に限定されず、従来公知の各種鉱油や合成潤滑油が使用
できる。なぜならば自動車技術 1992年46巻5号
77〜81ページに記載されている通り、基油中に含ま
れるイオウ分に起因する硫酸イオンが、摩耗に与える影
響は少ないと考えられるからである。鉱油系基油として
は、溶剤精製鉱油や、シェルグループが出願している特
公昭54−23924号公報(日本国特許第98698
8号)、特公昭57−17037号公報(日本国特許第
1128210号)、特公昭57−3716号公報(日
本国特許第1149503号)、特公昭60−2203
9号公報(日本国特許第1302774号)、特公昭5
7−61073号号公報(日本国特許第1166979
号)、特公昭54−2204号公報(日本国特許第97
1639号)に示される水素化処理した鉱油、Petr
oleum Review 1990年4月号204〜
209ページに記載されているフィッシャートロプッシ
ュ合成ワックスの水素化異性化油より製造される基油、
特開平2−40331号公報に規定されるプラズマ法に
より製造される基油、炭化水素系合成基油およびそれら
の混合物を用いたものならば有効である。また飽和脂肪
酸エステル基油を、製品となる内燃機用潤滑油100質
量の質量割合として15%程度を混合させた場合も有効
である。
【0019】酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−
t−ブチルフェノール、4,4′−メチレンビス−
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ビ
ス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′
−ビス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,2′−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチ
ル−6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチ
リデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、4,4′−イソブチリデンビス−(2,6−ジ−
t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−
(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2′−イ
ソブチリデンビス−(4,6−ジメチルフェノール)、
2,2′−メチレンビス−(4−メチル−シクロヘキシ
ルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェ
ノール)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノー
ル、2,6−ジ−t−αジメチルアミノ−p−クレゾー
ル、2,6−ジ−t−ブチル−4(N,N′−ジメチル
アミノメチルフェノール)、4,4′−チオビス−(2
−メチル−6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′
−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2,2′−チオビス−(4−メチル−t−ブチル
フェノール)、ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシ−
5−t−ブチルベンジル)スルフィドおよびビス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
スルフィド等のフェノール系酸化防止剤やアルキル化ジ
フェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アル
キル化−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤等
を挙げることができ、これらは0.01〜2質量%の割
合で使用することができる。
【0020】本発明の潤滑油組成物には、所望によりそ
の他の各種添加剤を適量加えることも有効である。粘度
指数向上剤としては、例えばシェルグループが出願して
いる特公昭51−5644号公報(日本国特許第954
077号)、特公昭55−21078号公報(日本国特
許第1031507号)、特公昭63−18605号公
報(日本国特許第1468752号)、特公平4−45
523号公報(日本国特許第1764494号)、特公
平4−33837号公報(日本国特許第1751082
号)に記載されているスチレン−ブタジエン共重合体、
スチレンーイソプレン星状共重合体、ポリメタクリレー
ト系、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、
これらは1〜20質量%の割合で使用される。またこれ
らのものに窒素原子や酸素原子を分子中に含んだ極性モ
ノマーを共重合させた分散型粘度指数向上剤についても
同じように使用することができる。流動点降下効果剤と
しては、特公昭58−30357号公報(日本国特許第
1195542号)、特公昭59−11638号公報
(日本国特許第1264056号)に記載されているポ
リメタクリレート系などが使用される。防錆剤として、
アルケニルこはく酸またはその部分エステル、ベンゾト
リアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、などが
使用される。消泡剤として、ジメチルポリシクロヘキサ
ン、ポリアクリレート等が使用される。
【0021】本発明の潤滑油組成物が優れた清浄性およ
び酸中和能力を長期に渡り有す理由のひとつとして、硫
酸イオンの生成を抑制する潤滑油組成の処方技術にあ
る。一般的に知られているように、潤滑油中に生成する
硫酸イオンは、燃料中に含まれる微量の硫黄化合物の燃
焼や内燃機関潤滑油組成物に含まれる硫黄元素を含む添
加剤の劣化によって発生することが考えられる。本発明
の主要な潤滑油組成物であるアルキルサリシレート金属
塩は、この硫酸イオンの発生となる硫黄元素を化合物中
に含まない。硫酸イオン生成を抑制できる配合処方であ
るが故に添加剤自身の分解を抑制し、添加剤自身の働き
を助長できると考えられ、清浄性、及び酸中和能力を高
めることが可能になっている。また特有の無灰系分散剤
と共に配合すると、長期にわたり清浄性および酸中和能
力を有す潤滑油組成を供給することができる。本発明の
潤滑油組成物は、自動車のエンジン油やガスを使用する
エンジン用の潤滑油として優れた性能を発揮する。
【0022】
【実施例】以下本発明について、実施例および比較例を
挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定
されるものではない。表1〜2に示す組成を有する各エ
ンジン油組成物を調製し、これらの性能評価試験を下記
の要領で行った。その試験結果を表1〜2に示す。
【0023】<エンジンピストン清浄性評価試験>排気
量7.4リットルの直噴式、直列6気筒ディーゼルエン
ジンで、エンジン回転数が3000rpm、試験時間が
300時間の連続運転を行い、試験後、ピストンの清浄
性を評価した。この時の燃料軽油は、硫黄分0.2%の
JIS、2号軽油を使用した。ピストン清浄性評価にあ
たっては、JPI−5S−15−85(陸上ディーゼル
ディーゼル機関のピストン評価法)に定められている手
順に従って行った。清浄性についての結果は、TGF1
00%を最悪とし、0%を最良として判断する。
【0024】<酸中和保持能力評価試験>50cc滴下
漏斗を備えた200ml平底三つ口フラスコに、供試油
として実施例および比較例の組成物を99g入れ加温し
撹袢する。供試油の油温が80℃になったところで、滴
下漏斗に予め準備されていた75%濃硫酸1gをフラス
コ試料油中に添加し撹袢すると同時に、予めフラスコに
セットされていた微動差圧計により、滴下完了時から2
分後のCO発生圧力を測定し、単位時間あたりのCO
発生圧力の値が高いものほど速やかに酸中和する能力
に溢れていることを意味し、酸中和能力に優れていると
いえる。エンジン試験後の使用油の単位時間あたりのC
発生圧力の値とエンジン試験前の新油時の単位時間
あたりのCO 発生圧力の値の割合、すなわち、
【数1】酸中和保持能力(%)=(試験後の油のCO
発生圧力)÷(試験前の油のCO発生圧力)×100 が長期に渡りどれほど酸中和能力を有するかを意味して
いる。即ち、これにより酸中和保持能力を測定できる。
酸中和保持能力%の高いものほど、長期に渡り酸中和能
力を持っているといえる。本発明によれば、酸中和保持
能力38%以上のものを得ることができる。
【0025】溶剤精製基油およびフィッシャートロプッ
シュ法によるワックスの水素化異性化油を混合したもの
を基油として全ての試験油に使用した。基油部分は、4
0℃動粘度40.6mm/s、100℃動粘度は6.
8mm/s、粘度指数124、油中イオウ分0.3質
量%、アロマ分1.4質量%という性状を有している。
また粘度指数向上剤の添加量により試験油の調整した。
【0026】全ての試験油の添加剤組成は、標準的なエ
ンジン油の添加剤組成を基本とした。すなわち金属系清
浄剤、耐摩耗剤、無灰系分散剤、粘度指数向上剤、流動
点降下剤、消泡剤を配合している。これらはAPI C
F級相当の性能を有している。API CF級とはAP
I(American Petroleum Inst
itute)が認定したCF級の油ということであり、
現在のディーゼルエンジン油のOff−Highway
用の規格の最上級のものである。
【0027】特に金属系清浄剤については、アルキルサ
リシレートカルシウム塩、アルキルサリシレートマグネ
シウム塩、アルキルスルフォネートカルシウム塩を使用
した。表中の金属系清浄剤AからCの添加剤などは、以
下の性状を有するものである。 金属系清浄剤A(カルシウムサリシレート):全塩基価
(塩酸法)69mgKOH/g、全塩基価(過塩素酸
法)70mgKOH/g、硫酸灰分8.6%、硫酸灰分
/全塩基価(塩酸法)=8.6/69≒0.125、硫
酸灰分/全塩基価(過塩素酸法)=8.6/70≒0.
123;以上の条件は本発明の要件を満たす。 金属系清浄剤B(マグネシウムサリシレート):全塩基
価(塩酸法)332mgKOH/g、全塩基価(過塩素
酸法)340mgKOH/g、硫酸灰分37.0%、硫
酸灰分/全塩基価(塩酸法)=37.0/332≒0.
111、硫酸灰分/全塩基価(過塩素酸法)=37.0
/340≒0.109;以上の条件は本発明の要件を満
たす。 金属系清浄剤C(カルシウムスルホネート):全塩基価
(塩酸法)15mgKOH/g、全塩基価(過塩素酸
法)20mgKOH/g、硫酸灰分8.0%、硫酸灰分
/全塩基価(塩酸法)=8.0/15≒0.533、硫
酸灰分/全塩基価(過塩素酸法)=8.0/20=0.
4;以上の条件は本発明の要件を満たさない。 無灰系分散剤は、ポリアルケニルこはく酸イミドを窒素
含有量として1.4質量%になる濃度で基油に溶解した
ものを使用した。硼素含有無灰系分散剤は、市販の硼素
系イミドを窒素含有量として1.3質量%になる濃度で
基油に溶解したものを使用した。耐摩耗剤としてのジチ
オりん酸亜鉛は、アルコール残基が2級で主成分が炭素
数4の市販品を、耐摩耗剤Aとして使用した。耐摩耗剤
Bはアルコール残基が1級および2級の混合物で、主成
分が炭素数3および8の市販品である。
【0028】表1および表2中の上段に示した配合量の
項目は、潤滑油組成物に対する各配合成分の使用割合を
重量%で示したものであり、下段はその潤滑油組成物の
代表性状を示している。したがって、代表性状の項にお
ける窒素含有量は潤滑油組成物に対する%であり、実施
例1〜2は、0.15質量%、比較例1〜2は0.15
質量%、比較例3は0.10質量%、比較例4〜5は
0.05質量%であることが分かる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】比較例1と実施例1を比較すると、硼素を
含有しない無灰系分散剤が硼素含有無灰系分散剤よりも
優れた清浄性、酸中和保持能力をもっていることがわか
る。比較例2と実施例1の比較からアルキルサリシレー
トカルシウム塩がアルキルスルフォネートカルシウム塩
よりも清浄性ならびに酸中和保持能力に優れていること
がわかる。同様に、実施例2と比較例1の比較、および
実施例2と比較例2との比較から、アルキルスサリシレ
ートカルシウム塩とアルキルサリシレートマグネシウム
塩の混合系においても、アルキルスサリシレートカルシ
ウム塩のみの配合時と同様なことが言える。実施例1と
実施例2の結果を比較してもわかるように性能もほとん
どかわらない(第1発明の場合)。
【0032】比較例3と実施例1、比較例4と実施例1
の比較により、無灰系分散剤添加が、清浄性ならびに酸
中和保持能力の向上に寄与していることを示している。
特に比較例5との比較からもわかるように、配合によっ
ては酸中和及び清浄性に有効とされる硫酸灰分が高い配
合処方油をも陵駕する優れた性能を与える(第2発
明)。
【0033】
【発明の効果】本発明は、特に低硫酸灰分であっても優
れた清浄性、酸中和能力を長期に渡り維持するディーゼ
ルエンジン用潤滑油組成物であり、これにより優れた内
燃機関用潤滑油組成物を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 133:16) C10N 10:04 30:04 30:10 40:25 (72)発明者 宮原 研作 東京都港区台場二丁目3番2号 昭和シェ ル石油株式会社内 (72)発明者 永仮 光洋 東京都港区台場二丁目3番2号 昭和シェ ル石油株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BE11C DA02A DB06C EA30C EB02 FA02 LA02 LA03 PA42

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱油、合成油またはこれらの混合物であ
    る潤滑油基油に(A)JIS K2272で規定されて
    いる硫酸灰分の値と、JIS K2501で規定されて
    いる塩酸法で測定した全塩基価又は過塩素酸法で測定し
    た全塩基価の値との比が0.01〜0.20という関係
    を満たす、アルキルサリシレートカルシウム塩またはア
    ルキルサリシレートカルシウム塩とアルキルサリシレー
    トマグネシウム塩を1〜12質量%含有し、かつ(B)
    ポリアルケニルこはく酸イミドを窒素含有量として0.
    1質量%以上含有するように処方されたことを特徴とす
    る硼素を含まないディーゼルエンジン用潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】 酸中和保持能力が38%以上である請求
    項1記載の硼素を含まないディーゼルエンジン用潤滑油
    組成物。
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