JP2000063722A - 溶融可能インク用のインク組成物 - Google Patents
溶融可能インク用のインク組成物Info
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Abstract
示さないインク組成物用のモノマー化合物を提供する。 【解決手段】インク液滴がインクダクトから噴射される
プリンティング装置において利用可能な融解可能インク
のインク組成物は、無定形に固化するモノマー化合物を
含む。その化合物の融解物が毎分5℃の速度で冷却され
固体状態に変化した後毎分20℃の速度で融点温度以上
に加熱したときに、1%以下の結晶化度を示す。上記種
類の化合物はインク組成物のバインダー中に利用でき
る。上記種類のインクが被記録材料へ転写された際に、
ゴム、かき傷及び折り曲げ抵抗と透明性に関しては、印
字層における良好な安定性が得られる。
Description
クダクトから噴射されるプリンティング装置において利
用可能な溶融可能インクのインク組成物に関し、さらに
インク組成物が溶融可能ベース材料を含む前記種類の装
置において利用可能な溶融可能インクのインク組成物に
関する。さらに本発明は2、2’−ビフェノールから誘
導される数多くのエステル類に関する。
ば米国特許第5,122,187 号明細書から周知である。しか
しながら、一般にはこれらのインク組成物は、被記録材
料上において脆すぎる又は柔らかすぎるのいずれかであ
る印字されたインク層の結果を招き、その結果、特に例
えばお互いに異なる色の異なるインク層でのゴム、かき
傷及び折り曲げ抵抗(GKV)が劣ってしまう。
ぎる結晶材料を固くするために、無定形バインダーを利
用する必要がある。溶融インク組成物の冷却後、その後
印字された画像はあまり傷つきやすくない。無定形状態
は良好な光透過性をも保証し、このことは色の耐久度及
びオーバーヘッドシートでの使用には有利である。米国
特許第5,421,868 号から、上記無定形バインダーは溶融
状態でのインク粘度をかなり増加させ、プリンティング
装置の操作に関して不利になることが知られている。上
記理由のためにモノマー化合物を含むバインダーを用い
ることが好ましい。
は、一般には結晶化しやすい化合物であることが知られ
ている。純粋な化合物になればなるほど分子量は低くな
り、結晶格子を形成しやすくなる。しかしながら、バイ
ンダーはモノマー化合物を含むことが知られており、プ
リンティング装置用のインク組成物に用いた際に、バイ
ンダーは被記録材料上で無定形に固化する。かかるバイ
ンダーから作られたインクは被記録材料上に印字された
なら、前記バインダーは間違いなく無定形に固化された
相を形成するが、時間が経過すればバインダーは(部
分)後結晶化(after-crystallisation)を示すであろ
う。印字層の性質は変化し、その結果ゴム、かき傷及び
折り曲げ抵抗は減少し、色の印象は変化して透明性は減
少する。
みてなされたものであり、印字インク層において後結晶
化を示さないインク組成物用のモノマー化合物を提供す
ることを目的とする。
がインクダクトから噴射されるプリンティング装置にお
いて利用可能である溶融可能インク用であり、無定形に
固化するモノマー化合物を含むインク組成物であって、
前記化合物の融解物が毎分5℃の速度で冷却され固体状
態に変化した後毎分20℃の速度で融点温度以上に加熱
したときに該化合物は1%以下の結晶化度を示すことを
特徴とするインク組成物により達成される。
を含む溶融可能インク用のインク組成物であって、化合
物の融解物が毎分5℃の速度で冷却され固体状態に変化
した後毎分20℃の速度で融点温度以上に加熱したとき
に1%以下の結晶化度を示す無定形に固化するモノマー
化合物に加えて、無定形ポリマー及びオリゴマーバイン
ダーを含み、前記ベース材料は結晶性固化するモノマー
化合物であることを特徴とするインク組成物により達成
される。
2,2’−ビフェノールと芳香族性を有する酸から成る
エステル類を含むバインダーにより達成される。本発明
において、2、2’−ビフェノールと芳香族性を有する
酸から成るエステルを含むバンダーを用いたら、上記エ
ステル類は低分子量であるにもかかわらず、通常の室温
条件下において印字インク層では、後結晶化は全く起こ
らないということが、驚くべきほどにわかった。後結晶
化が分布しないという結果として、本発明によるバイン
ダーは、インク組成物用のキャリア材料としての使用に
特に適しており、前記バインダーはインク組成物の主構
成要素である。上記インクは通常の条件下に保存された
際には、長期間良好な性質を保持する印字層を形成す
る。良好なインク組成物は、結晶−固化モノマー化合物
及び無定形ポリマー又はオリゴマーバインダーの形の溶
融可能ベース材料をも含む本発明によるバインダーで得
ることもできる。構成要素の注意深い選択により、上記
インクは被記録材料でのプリンティング装置及び浸透挙
動における溶融挙動に関して、非常に巧く調整されてい
る。
おける、本発明によるモノマー化合物の“コールド結晶
化(cold crystallisation)”(熱供給を受けた影響下
で結晶化された固体無定形状態で結晶可能な物質が存在
する現象)が存在しないことと組合わさっていることが
分かった。溶融化合物を毎分5℃で非常にゆっくりと冷
却し、固化状態へ変化した後、固体化合物を毎分20℃
で加熱して溶融温度を通過させる条件である。溶融物が
毎分5℃で冷却され固化状態へ変化した後に、固化状態
から毎分5℃のゆっくりとした速度で加熱して溶融温度
を通過させた際に、完全に無定形のままである化合物が
適している。特に適する化合物は、Printlas(登録商
標)のオリゴマーバインダークリスタルボンド509と
混ぜ(化合物:クリスタルボンド=2:1重量/ 重
量)、50℃で48時間保存した際に、無定形のままで
もある化合物である。かかる化合物から得られるインク
組成物は、通常の条件下において数ヶ月保存した後でさ
えもGKV及び透明性において劣化を全く示さない印字
層を与える。
条件下ではいつも(部分)結晶化を示した。2,2’−
ビフェノールとメトキシ安息香酸又はメチル安息香酸と
のエステル類は、上述した条件のいずれにおいても結晶
化を示さず、新規化合物でもある。
して説明される。 例1. モノマー化合物の熱分析 図1は本発明によるバインダーの示差走査熱量計(DS
C)によりプロットされた、温度に対する吸収されたエ
ネルギーの量で表現された溶融及び固化挙動(示差熱分
析曲線)を示すグラフである。DSC測定器具の例とし
ては、Perkin Elmer Co., Norwalk, CT.のパーキンエル
マーDSC−7を用いた。
バインダーの同じDSCでプロットされた、温度に対す
る吸収されたエネルギーの量で表現された溶融及び固化
挙動を示すグラフである。本発明による好ましい性質
は、図1及び図2に示されるような純粋化合物の示差熱
分析曲線から最もよく理解される。エタノールからの再
結晶により得られた結晶相での化合物から始めて、上記
示差熱分析曲線がプロットされた。
分析曲線である。本化合物は0℃の温度から毎分20℃
の速度で加熱させた際に(曲線A)、約125℃の温度
で融解した。付随した融解熱は68J/ gである。溶解
物を毎分5℃で冷却し固化状態(BIPANIの場合に
は本経路は30℃付近の温度である)へ変化した際に、
化合物はガラス転移として知られる液相から固相へ変化
する。その後化合物を毎分20℃(明瞭にするために曲
線Aに関してy軸上に5mWシフトさせた曲線Bで示
す)の速度で、先ほど決定された融解温度以上に再加熱
したら、ガラス転移のみが26℃で観察された。よって
上記条件下では、化合物はもはや結晶化できない。技術
的にはこのことを(コールド)結晶化が存在しないと言
う。
示さない、つまりジペンタエリスリトールのエステル
(di- PETPC) の無定形に固化するモノマー化合物
の比較用の示差熱分析曲線である。本化合物は約136
℃で融解する。上記冷却速度で融解物を冷却させた後、
本化合物は約32℃の温度で固相へ変化する。その後分
速20℃の速度で加熱すると、本化合物は約95℃の温
度で結晶化し始め、このことは132℃まで伸びる負の
ピークの形成により曲線上に観察可能である。したがっ
てこれがコールド結晶化である。さらに加熱すると、本
化合物は再び融解を始める。上記条件下において、融解
熱は元の66J/ gに対して、初期のレベルにはもはや
達しないので(33J/ g)、化合物は部分的に結晶化
していることが示差熱分析曲線から明らかである。上記
値を割ることにより上記条件下での化合物の結晶化度の
値は、di- PETPCの場合は50%と決定された。
ク組成物が支持材料に移動した際に、後結晶化する化合
物の状態よりも安定であることが図から明らかである。
表1には本発明による数多くの化合物に加えて、数多く
の他の無定形に固化するモノマー化合物を示す。表には
さらに、インク組成物としてバインダー内に利用された
際に、印字層が通常の条件下で保存されたときに、後結
晶化分布を示す化合物も示す。表にはさらに、上述した
DSC分析中に達した結晶化度をも示す。表のパートA
は2,2’−ビフェノールからの誘導化合物を示し、パ
ートBの化合物はペンタエリスリトールからの誘導体で
あり、パートCにはジペンタエリスリトールからの、部
分的に同様な誘導体がある。4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネートから誘導された化合物はパー
トDに示す。最後に、パートE及びFは、それぞれイソ
ホロンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシ
アネートから誘導された化合物を示す。
る酸からのエステル類は本発明の化合物である。これら
は上記説明した条件下で証明できうる結晶化度を示さな
い。このことは、各場合において化合物の1%以下は結
晶化しないことを意味している。化合物di- PET3T
は8%の結晶化度を示す。インク組成物中において、印
字層が室温及び50%の相対空気湿度で数週間保存され
た際に、本化合物は目視可能な後結晶化を示す。 表1. インク組成物の一部として支持材に転写させた
際の後結晶化の発生率及び融解物を毎分5℃で冷却し、
さらに毎分20℃で再加熱した後での結晶化度に関係し
た無定形に固化するモノマー化合物の選択の詳細。
の結晶化 印字層中での無定形固化するモノマーの後結晶化は、オ
リゴマーバインダーであるクリスタルボンド509と本
化合物(化合物:クリスタルボンド=2:1重量/ 重
量)を混ぜ、混合物を50℃のオーブンに置き、48時
間後に化合物の後結晶化が発生しているかどうかで評価
することにより、より速く実証できる。後結晶化は混合
物の透明性の減少と関係しているので、本評価は目視で
行うことが可能である。必要ならば、結晶化はDSCに
より定量化できる。表2はクリスタルボンド509の性
質を示す。表3は数多くのモノマー化合物での本テスト
の結果を示す。表3には問題の化合物を含むインク組成
物において、バインダーを用いた際の印字層の安定性の
評価結果も含む。本テストにおいて後結晶化を示さなか
った化合物は、インク組成物での最も安定な印字層を与
えることは明らかである。 表2. クリスタルボンド509の特性
クリスタルボンド=2:1重量/ 重量)からの数多くの
無定形に固化する化合物の後結晶化とインク組成物がバ
インダー中に化合物を含んだときの印字層の安定性の評
価
発明によるインクである。インク5及び6による印字層
は、数週間以内に品質に明らかな低下が観測された(低
分子量バインダーの後結晶化による特に層の透明性の低
下)。従来の添加物類が前記インクのそれぞれに加えら
れた。例えば酸化防止剤、表面張力低下化合物や溶解性
染料あるいは顔料の形での色素など。 表4. インク組成物及び印字層の安定性の評価。p−
BuBSAはパラ-n- ブチルベンゼンスルホンアミドで
あり、HQHEは1,4−ハイドロキノンビス(2−ヒ
ドロキシエチル)エーテルであり、クリオスタルボンド
509はPrintlas(登録商標)のポリエチレンフタレー
ト樹脂である。
類によるエステル類の合成 2,2’−ビフェノールと芳香族性を有する酸とのエス
テル類の合成は、アルコールと少し過剰の酸クロライド
との反応により行われる。12.5gの2,2’−ビフ
ェノールを還流冷却管の付いた丸底フラスコの250m
lのピリジンに溶解させた。その後一定に攪拌させなが
ら水酸基に対して1.2当量の酸クロライドを約30分
かけて一滴ずつ添加した。混合液を上記条件下で沸騰さ
せてもかまわない。全ての酸クロライドの添加後、混合
液は3時間攪拌され、ゆっくりと室温へ冷却した。その
後混合液は飽和炭酸水素ナトリウム溶液(約300m
l)に注がれた。それから混合液を250mlの塩化メ
チレンで3回洗い、その後全ての生成物は塩化メチレン
で集められた。塩化メチレン溶液の上澄み液は捨てら
れ、何度か水で洗浄し、最後に硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶液は濾過され、真空で乾燥させた。必要ならば化
合物はエタノールで再結晶され、高純度化させた。結果
生じたBIPANIは125℃の融点を示し、BIP4
Tは117℃の融点を示した。
ー化合物の示差熱分析曲線である。
Claims (17)
- 【請求項1】 インク液滴がインクダクトから噴射され
るプリンティング装置において利用可能である溶融可能
インク用であり、無定形に固化するモノマー化合物を含
むインク組成物であって、前記化合物の融解物が毎分5
℃の速度で冷却され固体状態に変化した後毎分20℃の
速度で融点温度以上に加熱したときに該化合物は1%以
下の結晶化度を示すことを特徴とするインク組成物。 - 【請求項2】 前記無定形に固化する化合物は、前記化
合物の融解物が毎分5℃の速度で冷却され固体状態に変
化した後毎分5℃の速度で融点温度以上に加熱したとき
に、1%以下の結晶化度を示すことを特徴とする請求項
1記載のインク組成物。 - 【請求項3】 重量比1:2のクリスタルボンド509
と前記化合物の混合物における前記無定形に固化する化
合物は、50℃で少なくとも48時間無定形のままであ
ることを特徴とする請求項1から2のうちいずれか1項
記載のインク組成物。 - 【請求項4】 前記化合物は以下の分子式を有する群か
ら選ばれることを特徴とする請求項1から3のうちいず
れか1項記載のインク組成物。 【化1】 ここでR及びR’は芳香族性を有する。 - 【請求項5】 R及びR’は以下の群から選ばれること
を特徴とする請求項4記載のインク組成物。 【化2】 又は 【化3】 又は 【化4】 ここでR1 は1つ又は2つ以上のC1−C4アルキル置
換、又は水素である。 - 【請求項6】 R及びR’はパラ−アニシル、パラ−ト
リル及びフェノキシの群から選ばれることを特徴とする
請求項5記載にインク組成物。 - 【請求項7】 R及びR’が同じであることを特徴とす
る請求項6記載のインク組成物。 - 【請求項8】 融解可能なベース材料を含む溶融可能イ
ンク用のインク組成物であって、化合物の融解物が毎分
5℃の速度で冷却され固体状態に変化した後毎分20℃
の速度で融点温度以上に加熱したときに1%以下の結晶
化度を示す無定形に固化するモノマー化合物に加えて、
無定形ポリマー及びオリゴマーバインダーを含み、前記
ベース材料は結晶性固化するモノマー化合物であること
を特徴とするインク組成物。 - 【請求項9】 前記無定形に固化するモノマー化合物
は、前記化合物の融解物が毎分5℃の速度で冷却され固
体状態に変化した後毎分5℃の速度で融点温度以上に加
熱したときに、1%以下の結晶化度を示すことを特徴と
する請求項8記載のインク組成物。 - 【請求項10】 重量比1:2のクリスタルボンド50
9と前記化合物の混合物における無定形に固化する化合
物は、50℃で少なくとも48時間無定形のままである
ことを特徴とする請求項9記載のインク組成物。 - 【請求項11】 前記無定形に固化するモノマー化合物
は以下の分子式を有する群から選ばれることを特徴とす
る請求項8,9又は10のうちいずれか1項記載のイン
ク組成物。 【化5】 ここでR及びR’は芳香族性を有する。 - 【請求項12】 R及びR’は以下の群から選ばれるこ
とを特徴とする請求項11記載のインク組成物。 【化6】 又は 【化7】 又は 【化8】 ここでR1 は1つ又は2つ以上のC1−C4アルキル置
換基、又は水素である。 - 【請求項13】 R及びR’はパラ−アニシル、パラ−
トリル又はパラ−フェノキシの群から選ばれることを特
徴とする請求項12記載のインク組成物。 - 【請求項14】 R及びR’は同じであることを特徴と
する請求項13記載のインク組成物。 - 【請求項15】 以下の分子式を有する群から選ばれる
ことを特徴とする2,2’−ビフェノールのエステル。 【化9】 ここでR及びR’はアニシル及び置換基を有するアリル
から選ばれ、置換基は水素およびC1−C4アルキルの
群から選ばれる。 - 【請求項16】 R及びR’はパラ−アニシル及びパラ
−トリルの群から選ばれることを特徴とする請求項15
記載のエステル。 - 【請求項17】 R及びR’は同じであることを特徴と
する請求項16記載のエステル。
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